自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会(第2回)議事録

開催日時

令和5年11月27日(月)9:30~12:00

議事次第

1 開会
2 議事
 (1) 自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき、今後講ずべき必要な措置 (答申案)の検討
 (2) その他
3 閉会

議事録

午前9時30分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境部会第2回自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会を開会いたします。
 本日は、お忙しい中ご出席いただきありがとうございます。
 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日の委員会には16名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員、臨時委員10名中、ウェブ会議システムでの参加を含め10名がご出席いただいておりますので、本委員会は成立しています。
 本日の会議運営についてご説明いたします。本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後は、マイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投影し、進行させていただきますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。本委員会の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っております。傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
 これよりの議事進行につきましては、石井委員長にお願いいたします。
 石井委員長よろしくお願いいたします。
○石井委員長 そうしましたら、皆さんおはようございます。朝早くからお疲れさまでございます。
 前回は論点に沿って様々なご意見をいただきました。本日は答申の取りまとめに向けた議論に入っていければと思います。今日も活発なご議論をよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事次第に従って進めさせていただきます。
 会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承いただいた上で公開することとなります。また、会議資料につきましても、公開となります。なお、本日時間内にご発言いただけなかった質問等につきましては、後日、文書での質問、回答とさせていただく場合がございますことをご了承願います。
 それでは、議事の1です。自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき、今後講ずべき必要な措置(答申案)の検討について、事務局からご説明をお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 皆さんおはようございます。環境省、小林です。今日は月曜日の午前中から、どうもありがとうございます。急に寒くなりましたので体にどうぞご自愛ください。
 それでは、早速資料の説明に入りたいと思います。資料の1-3をご覧ください。
 本日が第2回目の小委員会になります。第1回目の小委員会でいただいたご意見を、資料1-1にまとめております。これらのご意見を踏まえて、本日、答申案を用意いたしました。今回の答申案は、第1回の小委員会のときにお示しした5つの論点ごとに整理を試みたものです。
 続いて、答申案の全体像です。背景、はじめにというバックグラウンドの後に、今申し上げた論点5つごとに、現状と課題、そして講ずべき措置を整理しました。
 文章としては、資料1-2のとおり用意しております。本日は時間の関係上、少し抜粋しながら、この資料1-3のパワーポイントで全体の概要を説明します。
 まず、はじめにということで背景的な話です。現在、国際・国内的にも非常に生物多様性が、大きな局面を迎えていると感じております。G7の自然協約、そして昆明・モントリオール生物多様性枠組など、ネイチャーポジティブに向けて世界が非常に動き出していると感じております。我が国においても、生物多様性は過去50年損失を続けていると言われておりますが、このようなネイチャーポジティブに向けた世界の動きに対応するべく、今年の3月に生物多様性国家戦略2023-2030を策定いたしました。日本もこのネイチャーポジティブの実現に向けて動き出したということになります。
 そして、この生物多様性国家戦略の中でも柱の一つになっていますが、この健全な生態系を確保していくということが重要であろうと。そのためには、場所にひもづいた取組み、場の保全というのが非常にポイントになってきます。ご存じのとおり、30by30目標、それから、その達成手段としても最近注目されているOECMという手段、これによって里地里山や都市の緑地、それから沿岸域、そういった身近な自然というのも保全の対象になってくることが、非常に進めやすくなってきていると感じています。
 このような中、環境省では、自然共生サイトを開始しました。この30by30やOECMの議論をきっかけに、今年の4月から運用を開始しました。2023年中に100か所以上を認定するという目標を掲げていたところですが、今回、第1期認定で、122か所の認定をすることができました。非常に多くの企業をはじめ、民間から関心、期待が寄せられていると感じております。
 そういった背景として、特に企業回りですけども、この新たな世界目標のターゲット15、こちらでビジネスにおける生物多様性の情報開示が求められることとなり、さらに今年の9月にはTNFDの枠組みが公開されるなど、特に企業中心に近年、民間による生物多様性保全に取り組む流れが進んでいると感じています。
 こういった中で、この場所にひもづいた活動に着目するという視点が必要になってきてるんではないかと感じております。というのも、先ほど申し上げたこの自然共生サイトも、4つのポイント、活動の範囲、ガバナンス体制、生物多様性の状態、そして保全活動の内容、この大きく四つの基準から内容を見ておりました。そして、その活動範囲を生物多様性保全に貢献する区域として自然共生サイトに認定しています。
 OECM検討会とか、自然共生サイトの審査委員会においても、認定というのはゴールではなく、認定はスタートになって、そこからさらによくしていこうというご指摘が非常に多かったです。そのためにはその場所でどんな活動をしていくのかという、活動の中身の重要性が強く指摘されていたと感じています。そうすると、現にこの場の保全のためにというためには、この場所をどうよくしていくか、その管理、活動という、その中身が重要であって、この自然共生サイトでも、そういう意味ではガバナンス体制とか、活動内容を重要な要素として捉えていますが、今回、制度化を目指す新たな制度においても、その場所でどんな活動をしていくか、それがネイチャーポジティブにつながるのか、それに着目するということが非常に必要になってくると感じております。
 ここは大きなポイントなのでもう少し続けますと、活動により着目することで自然共生サイトの課題に応えることも可能になると感じています。というのも、自然共生サイトは既に生物多様性の状態がよいことを条件にしております。これは見方を言えば、過去から現在までの活動の成果を見ているとも言えるんですけれども、自然共生サイトの課題として、今後ポジティブにしていくような、新たな創出というのが対象にできないよねというのがありました。ここで、場所にひもづいた活動に着目することで、生態系の創出、それから生態系の回復というものを取り込むことで、多様性を守るだけでなくプラスして作っていくということも、対応が可能になるのではないかと考えています。
 そして、こういったものを進めていくことで、活動場所の質の向上や担保にもつながっていきます。また、非常に生物多様性、分かりにくい、何をすればよいか分からないというのを言われ続けてきておりますが、この場所での活動、アクションということで、場所と人がひもづいてくる、そういうことで、非常に身近な自然を含めて、人との接点がつながっていく、そういうことで身の回りの当たり前とか、自然の大切さに気づき、国民運動的にこの活動を広げていくことができるんじゃないか。また、この公的資金のみならず、民間資金をネイチャーポジティブなものに振り向けていく機会になってくるんじゃないかということを考えております。こういったことを背景に書かせていただきました。
 では、具体的にどんなことを講ずべきかということについて、次のスライドからになります。論点ごとに整理しました。まず、論点①、国による認定がどうかということです。時間の関係上、今回は、右側の今後講ずべき必要な措置についてのみ説明いたします。
 全国各地でこの生物多様性の保全を進めていくためには、多くの民間の活動が重要になってくると考えています。そのためには、法制度の面から、この実行に係る課題に対応できるように、場所とひもづいた活動計画を国が認定するべきであると。そして、統一的な観点による判定や国際的な信頼性の確保からも、国が認定するということが重要であると考えております。こちらは第1回目の小委員会でも、国の認定がよいのではないかという多くのご指摘いただきまして、そちらも踏まえてこのような形として書かせていただいております。こちらが論点1の対応になります。
 続いて、論点②、活動の対象範囲と策定主体と内容についてです。まず活動の対象範囲です。こちらは土地の利用区分や生態系区分を問わず、陸域全体及び沿岸域を対象とすべき、非常に幅広く国土全体でやっていこうということです。そして、今の自然共生サイト、先ほど申し上げたように、生物多様性が現状で豊かな場所を対象にしていますが、それに生態系の回復及び創出での活動も対象にするということで、いいところを守るに加えて増やしていくという活動も対象にしていきたいと考えております。
 一方で、そうなってくるときに、生物多様性の価値に合致する場合と、現状では合致しない場合でのこの違いが分かるような工夫というのは、これはポイントとして重要になってくると感じております。ここまでが対象範囲です。
 続いて、では誰が主体的にやるかでございます。先ほど自然共生サイトの話を申しましたが、近年、企業をはじめとした民間主体の動きというのは非常に加速的に増えていると感じております。全国的にこういった活動を広げていく、それから機動的に対応していくためにも、企業など民間が中心となって策定する活動計画というのが、スポット的に多く増えてくるというのは重要ではないかと感じております。そして、市町村が多様な主体と連携して策定していくような、帯的な、面的なこの計画というのも、やはり重要であろうと。そういう意味では、こういったスポット的なものと帯的な、面的なもの。これらを両輪的に進めていくというのがポイントになってくると考えております。
 続いて、活動の内容です。こちらは基準につながりますが、活動場所の生態系タイプ、それから目標に応じて検討・整理することがポイントであろうと。そういったときには、地べたを管理する農林水産省、国土交通省との連携は、非常に重要になってくると考えております。そして、本当にいろんなところで取組を進めていくということになっていきますので、そういったときには各種計画との調和を図っていくというのがポイントになってくると思いますし、申請者や地方公共団体に過度な負担にならないような手続というのもポイントになってくると考えております。
 一方で、目標、それから活動を考えていく上では、生物多様性に関する過去の経緯とかその状況、それから、周辺地域との関係性を踏まえてどのような特徴があるか、どういったところで貢献できるかというところを踏まえながら、目標設定や活動内容を考えていくことが重要になってくると考えております。
 続きまして、3番、活動の継続性と質の担保についてでございます。制度的な話としては、活動状況を確認できる仕組みというのは望ましいであろうと。一方で、残念ながら、なかなか計画が実行されず、そして改善の見込みがないと判断される場合は、認定を取消することも必要だろうと。ただ、前提としては、この認定制度は自らの発意による自主的な活動を後押ししていくと。そういう意味では、この制度上に規制的なことを課すことは想定はしていません。そういう意味では、生物多様性の活動は農林水産業をはじめとする既存の生産活動との両立を図るということが重要になってきます。
 一方で、その活動の中には活動主体と活動を実施する土地の所有者が異なる場合もあるかと思います。そういったときに、この継続性を担保する措置として、例えば活動主体と土地所有者が協定を締結するような制度があると安定性にもつながるのではないか、継続性にもつながるのではないかと考えております。
 また、継続性・質の担保を進めていく上では、いろいろな支援策というのが必要になってくるかなと考えています。その一つが、中間支援組織の重要性です。行政機関とか専門家による助言・伴走支援、それから各個別の活動の取組を連携させて、生態系ネットワークや人的なネットワークを通じたノウハウの共有というのを進めていくことはポイントになります。一方で、これらを進めていくためには、間に入ってハブ的に進めていくような中間支援組織が非常に効果的だろうと。そういったときに、地域連携保全活動支援センターという、自治体が設置するセンターや、ノウハウを非常に多く持っているNPOといった団体が、中間支援組織としての役割としていくことが効果的ではないかと考えております。
 続いて、モニタリングについてです。やはりこの活動を順応的に進めていくという意味では、モニタリングは大きなポイントになってくると考えています。一方で、モニタリングが過度な負担になって、継続的に進めることが困難になるというのは避けていきたいところであります。そういった意味では、この継続可能な、簡便なモニタリング手法を開発・普及していくということが、この持続性という意味でもポイントになってくるのではないかと考えております。
 次が、活動内容の見える化でございます。やはり活動に着目するということは、その活動が動いているかどうかが重要になってくるであろうと。そういう意味では、この活動の継続性や活動の効果を見える化させていくような仕組みというのがポイントになってくると考えています。
 そして、次に地方公共団体との連携です。企業をはじめ民間の動き、非常に今活発に動き出していますが、地方公共団体は、もちろん自らがプレーヤーとなって取組を進めていくということのほかにも、この管内での企業とか、団体、民間の取組を後押しするということも役割として取り組んでいただくことが非常に望まれているところでございます。また、やはりこういう企業の活動とかを含めて考えていくときには、生物多様性の地域戦略、これに基づいて取り組んでいくこともポイントになってくるかと考えております。そういった意味では、基礎自治体とかにおいて、この地域戦略の策定や改定が進んでいくということが望まれるところかなと考えております。
 次に、普及啓発の推進です。やはりどんなにいい制度でも、知られていないと困るということもあります。こういった意味では、この地方公共団体、地域住民、消費者、それから金融関係者など、幅広く多様な主体に対して、まずこの当該制度を知っていただくということが必要であろうと。その上で制度の中身について理解を深めていただくということが重要であると考えています。また、こういったときに環境教育とも連携して活動への参加を通じていくこともポイントになってくると思います。
 ここまで結構国内向けでしたが、特に企業とかの取組においては、国際的にどう見られていくか、評価されていくかというところも大きなポイントになるかと考えています。そういった意味では、この国際的な理解促進というのも図っていくということが大きく必要になってくるだろうと考えています。
 ここまでが、論点③に対応した中身です。
 続いて、論点④、関係する分野・施策との連携強化についてです。大きく3つあります。一つが、生物多様性関連施策との連携強化です。この活動計画に基づく行為について、例えば、既存の法制度の行為規制、それから届出義務について、特例制度を設けること。それから、例えば種の保存法や外来生物法に基づく認定制度と連携することで、この活動計画の認定をもって他の制度の認定を受けたものとするような、いわゆるみなし認定の特例を設けることが、活動を動かすことに効果的ではないかと考えています。
 また、民間のこういう活動に関する法令として、現在、生物多様性地域連携促進法や自然再生推進法がございます。今般制度化を考えている制度においても、これらの既存の法令との関係を踏まえていくということがポイントになってくると考えています。
 続いて、気候変動、循環経済、Eco-DRR等の連携強化についてです。生物多様性の保全の取組を進めていく上では、脱炭素をはじめとした気候変動や循環経済との取組を連携していくということが効果的であろうと。また、生物多様性の保全を通じて発揮される多様な機能、防災・減災、自然体験、観光、健康環境教育、それから自然資源を活用したビジネス。保全だけではなくて、保全を通じてそこから裨益されるような、各種活動とうまくリンクさせることがポイントになってくるかなと感じております。
 そして、国土利用の計画及び施策との連携強化です。生物多様性に関連する活動を、全国、国土全体で進めていくという上では、国土形成計画、利用計画や、みどりの食料システム戦略、森林計画、沿岸漁業管理制度、グリーンインフラ、まちづくりGXなど、主に国交省、農水省との施策計画と連携調和を強化していくということがポイントになってくると感じております。
 また、現在、国交省が検討中の制度であったり、既存の民間の認証制度と連携することで、制度間の効果的・効率的な運用というのも必要になってくると感じております。
 ここまでが論点④についてです。
 続いて、これが最後ですけれども、論点⑤に対応する活動を促進するための方策でございます。3つありますが、1つが活動の評価です。先ほどから申し上げているとおり、この計画認定制度は、国民運動的に全国各地で展開していくということがポイントになってくると。そういう意味では、この認定自体は広く行っていくことが効果的であると思っています。一方で、やはりそうなってくると、この多くの活動の中でも優れた活動がしっかりクローズアップされていくということ、その特徴が何なのかというのは非常にポイントになってくる。そうすると、この生物多様性保全の状況について、客観的な評価というのを実施することが必要であろうと。そういったときにTNFDを踏まえて、企業が活用しやすいような仕組みにすることも重要になってくると考えています。こちら、アウトカムではかることが非常に望ましいですが、なかなか難しい場合であれば、そのインプット情報であったりとか、そういう測定可能での評価方法というのは考えられると思っております。
 続いて、人的・資金的支援の強化についてです。こちらは具体的には、別途検討会を開いている経済的インセンティブ検討会で議論を進めておりますが、貢献証書のような第三者からの支援制度、それから申請者と専門家をマッチングするような制度が重要ではないかと。また、企業版ふるさと納税の活用であったりとか、公的資金の活用、それからこの制度化と併せて支援措置の在り方自体を検討するということもポイントになってくるかなと考えています。
 こちら最後ですが、手続的な面からも改善していくことが必要であろうと。審査事務については、既存の制度の活用をはじめ、事務の効率化を図れるような体制。それから、申請、審査の効率化の観点から、手続一括で可能とするような仕組み。それから申請前に、各土地所有者や公物の管理者と調整することで、申請後の手続をスムーズに進めていくというところもポイントになってくるかなと考えております。
 以上、答申案の概要の全体の説明でした。 
○石井委員長 ありがとうございました。
 そうしましたら、ご意見、ご質問等を受けたいと思います。会議室におられる委員におかれては、いつものように名札を立てていただければ、私のほうから指名いたします。それから、オンラインで参加の皆様は、先ほどありましたようにチャットのほうに質問がありますとか、意見がありますというふうに書き込んでいただければと思います。
 質問される際は、申し訳ありませんけれど、いつもより手短にお願いしたいと思います。それから、答申案のどの部分に関するご質問なのか、ご意見なのか、最初にご発言いただいてからお願いしたいと思います。
 資料1-3の概要のほうで質問される場合には、そのように言っていただければよろしいですし、答申案のほうは、ページ数などを示していただけるといいのではと思います。この会議の後、パブリックコメントが入って、その後、3回目で答申案の取りまとめと、かなり忙しいスケジュールになっておりますので、今日は十分にご意見を伺えればというふうに思っています。
 それでは、発言のある方、よろしくお願いします。それでは土屋委員からいきましょうか。お願いします。
○土屋委員 ちょっと一個一個の課題には沿っていないんですが、少し感想を言っておきたいと思います。自然共生サイトが122認定されたということについての評価なんですけども、実は結構、様々な方からの評価を聞いていると、まずは122あったというのは、それはいいだろう。ただし、中身が問題だよねというのはかなり多くて、つまり、やはり都市域もしくは工場等のところが多かったり、そうでなくても、これまでも万全に保全されてるところについての追認的なところが多い。これは、これまでは明らかになっていなかったところが、明らかになったという意味では非常に私は重要だったと思っているんですけども、ただ、いわゆるネイチャーポジティブということを考えるならば、これまでやっぱり保全上、様々な問題からなかなかうまくいっていなかったところを何とか支援することが重要であって、その部分をやるためには、やっぱり今の自然共生サイトの仕組みだけでは駄目で、もう少しそれを広げていくような様々なことを考えていかなくてはいけないと、改めて思いました。
 また、この概要でいくと、(1)、(2)の辺りのところなんですが、地域連携保全活動、促進法というのが何回も出てきます。前も申し上げたように、私、この法律の基本方針の作成のときから関わっているんですが、やはりこの法律を土台にして考えるならば、法律の特徴といいますか、特色をちゃんとよりいいものにしていくということも重要だと思っています。残念ながら、この報告の中でもあったように、現時点では計画を作っているところが非常に限られている。それから、例えば、都道府県がやることを想定していたはずですけれども、地域連携保全活動支援センターというのがあるよと言ってますけども、これも事実上、動いているところは非常に限られているんじゃないかと思います。もともとセンターを作ったときが、既存の組織を名前をつけ加えたというところがかなり多かったはずで、実はちょっと最近フォローしてない、もしかしたらすごく頑張っているところがあるかもしれないんですが、そこのところが非常に限られてるような気がしています。
 だとすると、そういった既存の制度がうまくいかないところを、何とかうまくいくようにするということはもう、この法律を使うんだったら考えるべきだというのがあります。都道府県とか市町村がなかなか動かないのは、様々な制度もあると同時に、やはりサポートするのが少ない。このサポートというのは、一つはやっぱり財政的な支援というのはかなり大きいと思います。それからもう一つは、様々な意味での技術的な助言であったり、それから、いわゆる伴走支援のようなもの。ここで言っている中間支援組織的なところの支援というのが、やっぱりちょっとなかなか難しいというのが大きかったんだと思うんです。その辺のところをどうするのかということをよく考えなくちゃいけないというふうに思っています。
 あと、ここではあまり取り上げてないんですが、私はこの促進法の非常に重要なところというのは、NPO等が市町村に対して計画を作ることを提案できるというのを作ったことなんです。これは非常に画期的で、あまりない。普通はどちらかというとトップダウンのほうになってしまうわけで、その仕組みというのは、今回、市町村だけではなく、企業やNPOだけで計画を作れるというようなことがあったんですが、それと同時に、そういった、例えばかなり活動をしようとしている団体があれば、それが市町村に積極的にやってよということを投げかける、提案するというのをより強化するということ。今のところあまりそれはうまくいっているとは思えないので、そういうことも同時に、やはり考えるべきなんじゃないかなというふうに考えます。
 すみません、あともう一点は、(5)のところです。これは、いわゆる活動を促進するための方策の推進のところで、それでいきますと、それの1枚目のポツと言われるこの矢印の下から二つ目のところです。つまりこれ、いわゆるモニタリングのときに定量的な評価というのはなかなか難しいから、それ以外のところを何とかしようということを言っていて、これは非常に私は賛成です。現状で、特にNPO等がやる場合に、十分なモニタリングというのを技術面でも、それから資金面でも、もしくは手間暇という面でも、やるのはなかなか大変なわけで、それをやっぱり少なくとも、当面は補填するためには、定性的なデータでよかったり、もしくは活動計画には絶対何しますというのは載るわけだから、いわゆるアウトプットの何をしましたということである程度、代替するというようなことを、より強めるべきだというふうに思っております。
 ちょっと長くなりましたけど、以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。コメントがほとんどとは思いますけれども、よろしいですか。
 それでは、続きまして、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 ご説明ありがとうございます。勢一です。
 短期間の間に、現場の活動する方々に寄り添うような原案を作っていただいたと思っております。その点、お礼を申し上げたいと思います。私自身も国家戦略の策定に携わりましたので、各地でネイチャーポジティブへの機運が醸成されていくということには、非常に大きな期待をしているというところです。
 その上で、やはり法律の立場として、今日の答申やご説明の中ではあまりクリアになっていない部分があって、私自身がイメージを描けていない部分が何点かございます。私の想定の疑問が解消されない場合は、法制度として機能しないのではないかという心配がありますので、何点か質問をさせていただければと思います。
 まず、国の認定でどのような法定効果が生ずるかというところ、前回コメントをさせていただきました。この認定制度が持っている法定効果は、相応に難しく、他の法律との関係での特例を設けるというところは分かったのですが、それ以外で何かあるのでしょうかというところです。一応、統一的な観点による判定をして、ケース認定することで、その認定が国際的な信頼性の確保につながるということを書いていただいています。それがどのような形で社会的な効力として示されるのかというのが、よく分からないところです。この辺り少しご説明をいただければと思います。
 次に、対象ですけれども、今回は自然共生サイトのときはサイト認定だったところですけれども、今回は活動計画の認定ということで、活動に重きを置くというご説明が先ほどその理由を含めてございました。地域で、住民の方々も関わって活動を積極的にしていくことは非常に尊いですし、ぜひとも後押しはしたいと思っているのですけれども、現行の自然共生サイトがサイト認定である部分で見ますと、この場所にひもづいた活動の、場所の要件はどの程度認定に関わってくることになるのでしょうかということを教えてください。認定はスタートであってゴールではないというご指摘、まさにこのネイチャーポジティブにとってはそうだと思うのですけれども、法的に認定をするときには、認定したときの要件が非常に大事で、それが要件どおり担保されているかをコントロールしていくのが、認定制度ということになります。ですので、そこをどういうふうに想定されているのかという部分のご説明をいただきたいと思います。
 特に、対象としては、自然共生サイトはもう既に良好な状況に担保されているもの、場所だけなので、足りないというご指摘。生物多様性の課題としても、まさにそのとおりだと思うのですが、これを耕作放棄地など、全く性質の異なる活動範囲についても、活動計画を同一の認定をするというのであれば、これはどのような基準で認定をしていくのか。あるいは、認定の制度として、認定自体を分けるのかというようなところ。この辺りをどのようにお考えかというのを教えていただきたいと思います。
 また、似たような点は、活動主体の捉え方にもございまして、資金力のかなりある大手の企業が主体になってやる場合と、小さな住民グループが地道に長年続けてきた活動。主体として、活動の幅は大きく違うし、質が違っても当然だと思うのですが、これ同じ認定にのせるとなるとどういうことが起こるのか。小さい住民グループがかなり不利になるのではないかというような懸念があります。
 次に、認定の仕組みについてですけれども、これは何件程度の認定を想定した制度設計でお考えなのかというところも伺いたいと思います。認定自体は広くとお話しいただきましたし、現行の自然共生サイトが現時点で122。それをさらに広げる。また、耕作放棄地についても認定を広げていくということになると、かなりの数になろうかと思います。そうした認定の状況を、誰がどのように監督し、認定の質を担保するのか。この辺りの想定をお聞かせいただければと思います。併せて、認定手続についても、先ほども触れましたけれども、審査基準は事前に公表するのが行政手続法の法的義務になります。どのような審査基準を設定して公表するのか。また、認定後の認定状況の担保です。条件も整ってない場合には、取消もということは言及していただきましたけれども、その場合の取消に至る手続です。どのような手続を踏んで、取消の要件に該当するのかを判断するのか。当然、意見の対立もあり得るわけですから、仮に取消しをしたときに、訴訟に耐えられるようなスキームを想定できるのか。この辺りの全体的な手続、スキームについて少しご教示をいただければと思います。
 国際的な評価につなげるというような想定の制度ですから、あまり適切ではない活動が続けられているところを放置するわけにはいかないと思いますので、この辺りも伺いたいと思います。
 また、認定制度の年数を区切るのかというようなところも、似たような議論があろうかと思います。自然再生につなげるような分野というのは不確実性が大きいですから、更新制にするのかですとか、その場合の審査基準をどうするのかと、かなり悩ましいところがあるように私などは感じておりまして、ここの部分も少し教えていただきたいと思います。
 また、場所とひもづいた活動計画ということですが、このときの場所の正確さというか確定度合いをどの程度想定しているのかというところも気になりました。
 例えば、活動内容自体、活動主体自体は変わらないけれども、活動の場所が例えば土地の所有者が賛同してくれない状況が起こって半分になりますというようなときに、それはこの活動計画の認定を満たさなくなることになるのか。もし認定取消しということになるとすると、不利益処分など厳しい部分もあろうかと思いますが、仮に認定を継続できるというような場合には、どのような理由の下で継続が可能なのかというところ、この辺りも少しお考えを教えていただきたいと思います。
 あと最後、継続性の担保として、活動主体と土地所有者の協定制度に言及いただきました。長期的担保は非常に大事なので、重要な仕組みかと思いますが、これはこの法律の中に位置づけるという趣旨でしょうか。位置づける場合には、通常こういう協定は民民の協定になりますので、それに法的に何か関わる、加えるということであれば、その辺りも教えていただきたいと思います。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございました。たくさん質問があったんですけれど、よろしいですか。では、事務局からご回答をお願いします。
○大臣官房環境経済課市場メカニズム室長 勢一先生、ご質問ありがとうございました。非常に多くのご質問をいただきまして、順を追って回答させていただきまして、もし漏れがあるようであれば、またご指摘いただければと思います。
 まず一つ目、国が認定する上での法的な効果、社会的にどういう効力があるのかと、そういった点でございますけれども、こちらについては先生ご指摘のとおり、基本的にはほかの法律の特例、それは自然公園法であったりそういった許可行為を一定程度外していくような話。また保護増殖事業などみなし認定、そういったものを法的なダイレクトな効果として考えているのはそちらになります。
 その意味では、この法律の中での効果という意味で言えば、国がそれを認めてそういう活動である、ネイチャーポジティブにつながっていくような活動であるということを認めて、それをある程度公表していくといいますか、ちょっと言い方はよくないのかもしれませんがお墨つき的なものが、この法律に限った上で考えていくという意味では、主要なポイントになってくるかと思います。
 そして2点目でございますけれども、活動に重きを置く、自然共生サイトの考え方との相違という点かと思います。場所の共生サイトにおいてはご指摘のとおり自然の状態、その場所の自然の状態を見ていくと、そういう制度として考えているところでございますけれども、今回のものについては、当然自然の優れた場所における活動というのもあるでしょうし、そうではなくてこれから回復、創出していくようなそういったものも含んでということになりますので、そういう意味で場所がこうでなければならないという要件というのとは、ちょっと違ってくるだろうと思います。
 その後、審査基準の話というのもありましたので、併せてご回答させていただきますと、その中で審査基準というのは恐らく違ってくるだろうと思っていまして、現状ある生物多様性があってそれを守り育てていくようなタイプのものと、今はないんだけれどもこれから回復させていくようなもの、そういったものについては審査基準というのは当然違ってくるものだと思ってございます。
 前者については、その土地における生態系の状況をある程度類型化をしていきまして、例えば森林で、森林の中でも天然のものもあれば人工林、森林施業をしているようなところ、様々なバリエーションがあろうかと思います。そういった中で、カテゴリー分けをしていきながらその中で必要になってくるような、ネイチャーポジティブにつながっていくような生態系、生物多様性の状況を良くしていくような、そういったものを基準として書いていくと。そういったことを考えてございます。これはもう、自然共生サイトのいろんな議論を踏まえながら、考えていくということになろうかと思います。
 他方で、これからということにつきましては、少し自然共生サイトの経験だけではできない部分が多々あろうかと思います。ここについてはどういう基準ということに関して、今の時点でこうだというのをなかなか申し上げづらいところがあるんですけれども、いずれにしましてもその活動の内容を見て、その間で活動を行うことによってどう回復していくのか、その辺なかなか定量的というよりはかなり定性的なものになるんだと思いますけども、そういったものを見ていく、そういう評価になっていくんだろうと思ってございます。これは基準と併せてのご説明をさせていただきました。
 そしてあと、活動主体や大企業でありNPOでありというところについて、当然やれることの差というのは当然あろうかと思います。なんですけども、基本的にはその基準の中で、その場所の状態であり、何をやっていくのか。それを見て場所の保全管理につながっているようなものをさらによくしていくようなもの、そういったものを見ていくということでございますので、基本的にはその主体によって基準が違うということでは想定はせずやっていくんだろうと思ってございます。
 そしてあと認定の数、そういったもののイメージということでございますけれども、基本的には自然共生サイト、122という数があるわけですけれども、それから増やしていくと。そういった規模感でございまして、なかなか幾つというところは申し上げづらいところがあるんですけれども、イメージ的には数百ですかね、当然数百もかなり千に近い数百からの幅はあるわけですが、そういうものを年間受け付けていくということでございますので、当然審査の効率化といいますか、アウトソーシングとかそういったものを含めて考えなきゃいけない、そういうものだと思ってございます。
 そして、そこを担保していく仕組みということにつきましてですけれども、これは様々な認定制度の中でも見られているものと思いますけれども、基本的には定期的にその報告をしてもらうようなことというのは一つ考えてございます。これは、どれぐらいの頻度かというのはまたちょっと議論は必要だと思いますけれども、その中で元々の目標に対してどういう状況になっているのかというのを把握していくと。それに基づいて、目標ではこういうことをやると言っていたんだけれどもそういう活動が行われていないという場合については、個別にお伺いをしていく。報告徴収とかそういった手段を使ってお伺いをしていくと。それによって上手くいっていないものというのを抽出していくと。そういったことを考えているところでございます。
 その上で、もうこれはなかなか無理だなと。改善が見込めないという状況であれば、認定の取消しといったそういったプロセスに進んでいこうかと思います。
 認定の取消しについてもご質問いただいていましたので併せて回答いたしますと、こちらについても基本的には取消しの基準というもの、基本的に計画の中でどういう活動するかというのを書いていただいているわけですので、それに従って活動が進められているかで、当然不可抗力によってそれがなかなか難しかった部分というのは当然あろうかと思います。そういったものについては当然、だから取消しということはならないわけですけれども、いずれにしましてもその活動の申請をしていただいて認定をした活動に沿って進められているかどうか、そこを中心に見ていくということになろうかと思っています。
 取消しの手続については、当然行政手続法に従ってプロセスを進めていくということになろうかと思いますけれども、本当に今回は民間の自発的な活動を支援していくと、促進していくというスキームですので、基本的にはなるべく頑張っていただくという方向でやっていくということだと思いますけれども、一方で国際的にOECMに登録していくと、それとの兼ね合いで見ていかないとという部分もありますので、そこはバランスをしっかり考えながら進めていかなきゃいけないと、そのように考えているところでございます。
 そしてあと、年数を区切るのかということについては、こちらについても、当然特例もありますので、作ったら作りっ放しというわけにはいかないと思ってございます。自然共生サイトが現行5年で運用しているということですので、その辺も参考にしながらですけれども、運用していくことを想定しているというところでございます。
 そして、場所の正確さであるとか、また場所が半分になってしまったような場合、そういったものの取扱いというところでございます。場所の正確さということについて言うと、一つありますのは国際的にOECMに登録していくということを考えると、ある程度GISデータも含めてどの場所でどういう活動の中でとかを把握していくという、そういう要請というのがございますので、ある程度当然確定されると。そういったところは必要になってくるんだろうと思ってございます。
 他方で、例えば半分になってしまった、地権者の同意が得られなくて半分なってしまったと、そういったケースについては結構ケース・バイ・ケースかなと思っていまして、半分になることによってその活動が目的としていたものが達成できないような場合というのは、なかなか厳しいのかもしれませんけれども、小さくはなったんだけどもその中ではしっかりやっていけるということであれば、それは必ずしも何か取消しとかそういったところにはならず、当然変更、場所は面積としては把握していかなきゃいけないので、そういった情報は教えていただく必要があろうかと思いますけれども、そのように考えてございます。
 そしてあと最後、土地所有者の協定制度についてのご質問でございます。こちらは、まだ法律的にはまだまだ詰めなきゃいけないところが多々ございますけれども、イメージしているのは、自然公園法の中の風景地保護協定という、これ公園管理者、国立公園であれば国であり、国定公園であれば都道府県と土地所有者と活動している団体の三者で協定を結んでいくようなそういう仕組みでございまして、そういった仕組みを参考にしながら、基本はその土地所有者と活動する団体ということになろうかと思いますけども、それに今回の場合どこまで市町村も入っていただくのか、認定する国も入るのかですとか、その辺を今後詰めて考えていきたいと思っているところでございます。
 ご質問を多くいただいたので、十分答え切れているかどうかちょっと不安なところもございますけど、取りあえずは以上です。
○石井委員長 勢一委員、いかがですか。
○勢一委員 ご回答ありがとうございました。恐らくこれから制度の詳細を詰めるということで、まだ決まっていないところもあろうかと思います。今のお答えを伺って、一つの、同一の認定で全てを含めるというのは、相当に制度的に難易度が高いような印象を受けました。これから活動を促進するものとOECMのレベルまで行くものというのは相当差があるというところなので、この辺りは今後ご検討をいただければと思います。
 例えば自治会主体の小さな活動の認定と、国際的に活動する大手企業の認定が同じ認定であったときには、国際的な評価が変わってしまうような懸念もありますので、ぜひ丁寧にご検討いただきたいと思います。
 あと併せて、数がかなり多くなる想定ということですので、アウトソーシングをするとしても最終的には環境省が法的な認定制度を運用するわけですので、組織体制の充実も必要かと思いますので、こちらもぜひご検討いただければと思います。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございました。
 では続きまして、中静委員お願いします。
○中静委員 ありがとうございます。二つです。
 一つは、ページで言うと答申案のほうの8ページなんですけど、活動計画の策定主体という文章です。これは書き方の問題なのかもしれないとは思うんですが、都道府県のことが全く書いていないんですけど、例えば県有地で主体的にやることはないのかなとか、すべて市町村に下ろしてやるのかなとかというのが、ちょっと気になりました。
 それからもう一点は、12ページから13ページにかけての活動の評価というところです。今は生物多様性的な価値としては低いけれども、それを回復させるというようなことを入れていただくのは本当にいいことだと思うんですけど、そうなると問題になるのは、そういう土地をオフセットとして使う可能性ですとか、それから企業に貢献証書を出すといったときに、ウオッシング的な使い方をされないのかというところが気になるところです。その辺が文章の中には全く書かれていないんですけど、方針としてどういうふうに考えていったらいいのかという点、以上2点です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 それでは事務局のほう、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 中静先生、ありがとうございます。
 1点目の、策定主体のところについて、確かに都道府県と明示的に書いてはいないんですけども、地方公共団体、都道府県も市町村も、自らがプレーヤーとして計画策定主体になることは想定していまして、それはこの民間等の「等」の中に全て含めてしまっています。これが、1枚目の32行目で、企業、団体、個人、地方公共団体で、ここも都道府県も市町村も含めて民間等というふうに丸めてしまっていて、確かに自治体が分かりにくいですが、一応プレーヤーとしては考えております。
 オフセットとかある意味グリーンウォッシュ的なご懸念、ありがとうございます。こちらは、例えば書き方がもしかしたら弱いのかもしれないんですけども、8ページ目の34、35、36とか、9ページの1、2、3、4、5辺りもそうなんですけれども、ここが主に新たな造成とか回復を想定しているんですが、例えば里山だった場所を回復して造成するときには、周辺地域との関係に係る過去の経緯とか、回復・創出目標の根拠となる過去の生態系の状況などを踏まえて、ちゃんとポジティブになる活動なのかというところで、安易に例えば大規模に開発してちょっとだけ植栽しました、これは違うよねということを、ちょっと気をつけなきゃいけないよねというのと、9ページの最初のほうですけども、活動範囲が非常に限定されていて、何でそこがいいんでしょうかというときに、周辺とかを含めて地域の生物多様性保全に貢献しているネットワークとかバッファーとか、あとは希少種が、非常にいるんですよとか、そういったところで狭くても何か意義があるよねというところとかを見ていったりとか、あとは造ったビオトープで何となく種が見つかりました、いましたということだけで喜ぶのではなくて、そこがちゃんと自然繁殖しているかとか、定着しているかということで、機能しているかどうかも見るということがポイントだろうと。なのでこういったところで目標の立て方とか、活動内容とか、あと継続性で見ていくときに、グリーンウォッシュじゃないかとかって批判にならないような留意は必要じゃないかというふうには考えているところです。
 一旦以上です。
○中静委員 最後の点なんですけど、周辺地域と書くと、恐らく例えば、東京都でつくったのを北海道で回復するみたいな話とかというのは、周辺地域の概念に入らないんじゃないかなという気がするんですね。だからその辺をちょっと僕は心配します。
○自然環境計画課課長補佐 分かりました。ありがとうございます。
○石井委員長 よろしいでしょうか。それでは、西澤委員お願いします。
○西澤委員 ありがとうございます。西澤でございます。
 まずは短期間で答申案をまとめていただきまして、また我々経済界の要望も反映していただきまして、心より御礼を申し上げます。
 それでは、私から3点、お願いしたいと思います。
 まず1点目ですけれども、13ページの13行目、人的・資金的支援の強化ですが、ここに記載されておりますことが実現されていけば、支援策としてはすばらしい内容だと感じましたけれども、今後はさらに税制優遇ですとかあるいは予算措置などにも踏み込んだ支援策の検討というものをぜひお願いしたいと思います。
 2点目は、同じくこの13ページ36行目の手続です。9月にTNFD提言が公開されまして、今経済界では情報開示にチャレンジする企業が非常に増えてきております。したがってこの手続につきましても、このTNFD提言との整合性を取ることで、申請業務の効率化ですとか、あるいは活動の実効性を高められるというふうに思っておりますので、そのような観点での記載をこの項目でもお願いしたいというふうに思います。
 最後に3点目ですけれども、10ページの23行目、地方公共団体との連携に関連しまして、これ単純なお願いでございます。我々民間としても、今後この地方公共団体の皆様との連携をさらに深めてまいりたいと考えておりますが、実は先日私どもの会員企業がある県の人工林につきまして、県と民間が連携して自然共生サイトを目指しましょうという、そういったご提案をさせていただきましたけれども、県からは人工林は自然共生サイトの対象にはなりませんというようなことで、否定的な反応がございました。このときにはしっかり説明しまして何とかご理解をいただいたようですけれども、今後もこういった理解不足によって誤った誘導が行われないかというふうに感じましたので、ぜひ改めて地方公共団体の皆様へのさらなる周知徹底というものをよろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○石井委員長 ありがとうございました。
 事務局、何かございますか。よろしいですか。
 では続きまして、オンラインで藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。藤田です。
 今回の法制化は、国際的な評価を得るための法制化ということを考えますと、今西澤委員からもありましたように、特に企業にとってはやはり、TNFD開示を考えたときにこの質をちゃんと担保して見える化するということと、それから企業がこれに取り組むためのインセンティブというのがとても重要になるというふうに思っています。そういう点から見ると、2、3点指摘したいことがあります。1点目は(3)の質の担保というところで、簡易的なモニタリングでちゃんと向上しているかを見える化していきましょうと。ここについても、虫に着目したモニタリングを今検討していますというふうにお聞きしたんですが、やはりモニタリングの手法も例えばTNFDなどで推奨されているような国際標準的なもの、それを書くことが企業にとっても国際的にしっかりやっているということの証左になるようなモニタリングを示していただければと思います。
 例えばその一つとして、環境DNAもあるでしょうし、例えば環境DNAであれば今ISO化というものも進んでいます。日本からもこの分野は非常に先進的だということで評価をされているので、そういうふうに国際的にある程度TNFDのツールなどにも出ているようなもので、水をくむだけで簡便にできる方法なので、例えば市民によるそういう調査を国の予算措置等で支援していただくというようなことがあってもいいんではないかというのが、指摘の1点です。
 次に、(5)のインセンティブですね。これやはり支援証明書、貢献証書を今、支援証明書と呼んでいますけども、これもらうだけなの、企業にとってこれを取り組むときのインセンティブを考えたときに、取得するだけなのというところがやはり、ちょっともう一歩踏み込んでほしいなと思っていて、もちろん取引とかそこまでこれで行くのかどうか、そこの制度設計はまた別の委員会でもやっていらっしゃるとは思うんですが、例えば気候変動と生物多様性のシナジーがあると言われているブルーカーボンについても、現状では例えば温対法の削減のGXリーグでは使えないわけですよね。せめて、気候変動対策にも貢献できるこのブルーカーボンを例えばそういうものにも入れ込んでいくとか、そんなことも考えていただきたいですし、あとそれからやはり、サプライチェーンの本業じゃないところで生物多様性を増やすだけだと、やっぱり国際的にTNFDにはなかなか書けないと思うんですよね。特に本業に関係ない場所でOECM認定を受けることを考えると、国内で実施した方法を自分たちのサプライチェーンの海外でも何か展開できるような仕組みが必要だと考えます。例えばそのOECM登録地で実施した生物多様性の質の向上、見える化の手法とか、それからそういうところの人材育成を自社のサプライチェーンの上流の地域でのOECM認定取得に活用していくということがあるとよいです。人的支援だったりあるいは資金的な支援だったりするかもしれません。それならTNFDのチャンス、機会創出のところに書けると思うんですよね。
 なので、そのように国際展開の促進につなげることも、今回の法制化で進めていただくと、企業にとってもすごく取り組みやすいと思います。
 私からは以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょう。特によろしいですか。ありがとうございます。
 そうしましたら会場のほうですけれども、佐藤委員お願いします。
○佐藤委員 Green Connection TOKYOの佐藤です。ご説明ありがとうございました。
 私からは大きく3点ございます。
 まず中間支援について、今日小林さんのご説明の最初のほうで、民間等の活動を促進する意義という中に、場所に紐付いた活動計画に着目とありました。過去から現在だけではなくて、未来もネイチャーポジティブに進めていくという視点が非常に必要だということを強調して言っていただきました。その点で言いますと、この中間支援、伴走支援というのがますます重要になると思います。答申の9ページでも中間支援について書いていただいています。
 私たちは緑の中間支援組織として、民間として中間支援を行っている団体です。実際に自然共生サイト認定についても、自治体や市民団体、企業、大学などいろいろな主体からご相談を受けていますので、まさに今回中間支援という項目を設けていただいたのはありがたいと思っています。
 ご説明の資料の中ですと、(3)の活動の継続性及び質の担保への対応策が記載されていますが、まさにこの継続性や質の担保をしっかりと保持していくために、中間支援の役割が大きくクローズアップされてくると思います。
 一方で、答申案の9ページでは、中間支援についてまとめて記載いただいていますが、中間支援組織の目的や役割を明確化していく必要があると思います。例えば、6、7行目ぐらいですと、地域連携保全活動支援センターが連携・協力のあっせんや知識を有する者の紹介をしていますよとあります。次のページも、公的な支援センターに限らずに、民間団体との連携も含めて中間支援組織の拡充が必要だとあります。そのほか先進的モデル事業の展開という記載もあります。これらの協力・あっせんや紹介はマッチングに当たりますが、中間支援組織の役割というのはそれだけではありません。中間支援組織の役割、目的割の明確化が必要といった内容も、答申の中で整理いただけたらと思います。
 では自然環境保全を進めていく中間支援組織の役割は何かということですが、私たちは現場で3つの方針を持って進めています。一つ目は自然環境をしっかりと保全していく役割です。自然共生サイトで言えばしっかり調査をして保全計画を進めていくということです。
 そして普及啓発を通して自然環境の価値を内外に知らしめる。
 さらに保全活動、つまりアクションを起こしていく。今申し上げた調査、普及啓発、保全活動というのは、全て地域の方々や専門家とのパートナーシップで進めていく。その伴走支援をしていくというのが中間支援組織の役割です。
 二つ目の中間支援組織の役割は、人材育成です。人材育成の目的は、行動する人をどんどん創出していくということです。環境教育のスキーム、つまり、「気づく」「学ぶ」「行動する」という三つのスキームに沿って私たちは人材育成を進めています。人材育成のスキームもしっかり整理して、詰めていく必要があります。
 三つ目はプラットフォームとしての役割です。ネットワークを作って、様々な主体をつないだり、マッチングをしていくということです。
 OECMの検討会の中で、自治体がリーダーシップを取ってその地域全体を俯瞰して、どのように自然共生サイトを認定させていくのかを検討すべきという議論がありましたが、自治体だけではなかなか難しいと思います。中間支援組織が官民連携のプラットフォームとして、ステークホルダーと調整しながら全体の方向を示す役割を果たしていけると理想的です。
 質問ですが、中間支援組織について、この後、具体的な仕組みづくりがどこまで想定されているのか、お聞きしたいと思います。
 2点目の質問ですが、自然共生サイトは連結性が重要と言われています。この連結性の重要性を担保するための方策が、答申案の中でどこに当たるのかについて、教えていただけたらと思います。
 なお連結性という点では、Green Connection TOKYOでは、東京都と市、企業、大学等と連携しまして、国分寺崖線という東京都にある30キロの崖線緑地でネットワークづくりをしています。このたび、上流部分にあたる日立製作所とICU(国際基督教大学)が認定を受けました。3年前からネットワーキングとフォローアップをすすめてきた成果と考えています。
 このような連結性を担保するには、行政界も超えますし、部局も超えますし、また大学、企業、市民団体など様々な主体との連携が必要になってきます。3点目の質問として、その連結性について、今回の答申案の中でどのように記載され、促進していくのかについて教えてください。
 また連結性に関連して例えば屋敷林や農地や玉川上水のような用水など、環境がセットであることの重要性もあります。そのような視点も盛り込んでいくべきです。次に、国際的な認証ということで、国外の情報や国同士の連携なども非常に重要と思います。また自然共生サイトを取得した団体等が、国際的な認証だということでプライドを持って進めていけるよう国内の情報を国外に発信する、国外の情報を関係団体に伝える、といったやり取りが、未来に向けてさらに重要になると思います。この点についてお考えや方策がありましたらお聞きしたいと思います。
 
○石井委員長 ありがとうございました。
 3点ありましたけれども、事務局いかがでしょう。
○自然環境計画課課長補佐 佐藤先生、ありがとうございます。
 忘れないうちに、まず連結性の話、いただいた2点目についてです。確かに答申案はちょっと分かりにくかった部分があったかと思います。一応どこに書いているかというと、一つは8ページ、資料1-2の8ページ目の活動計画の策定主体で、スポット的なところでは民間が取り組んでいくというところで、スポット的になっちゃうんですけど、市町村が実施する意味では、10行目辺りから、多様な主体と連携する上では面的な生物多様性保全の推進という意味で、こういう面的という意味ではまず一つ使っているのが、いわゆる生態系のネットワークとか連結性の部分を意識しています。
 あとは先ほど1点目にいただいた中間支援のところもそうなんですけども、この9ページ目の30行目辺りで、要は各活動主体による個別の取組というのはスポット的に出てくるところも多いとは思ってはいるんですけど、そういったときにこの生態系のネットワークを形成するって意味で、中間支援の組織がハブとなって、周辺地域との活動をつなげていくことがこの連結性ネットワークの構築にもつながるんじゃないかという形で、現状入れているというところではあります。現状ではこんな記載になっています。
 3点目、国際的な発信の部分についてはおっしゃるとおりで、例えば答申案で言うと、10ページ目で17行目から活動内容の見える化というところで、この活動の状況とかアクションの中身というのを見せていくということで、これをご指摘いただいたように更新しながら、どのような活動になっているかというのを国内外に発信するような仕組みというのをつくっていくことが必要なんじゃないかというふうには考えています。
 中間支援について、1点目いただいた目的とか役割の辺り、今この答申の中は少しざっくりし過ぎているというご指摘と受け止めましたので、もう少し書き下せないかどうか検討したいと思います。ありがとうございます。
○佐藤委員 ありがとうございます。連携という言葉はよく使われていますが、「連結」、「結ぶ」という言葉があると良いと思います。自然共生サイトはいまのところ点として認定されますので、ほかのサイトや緑地と面として連携、連結して緑地をつなげていくという考え方を定着させていけたらと思います。
 例えば、東京駅の周りでも幾つかの認定サイトがありますが、それら点としてのサイトを、エリアとして連結した緑地として見せていけると良いと思います。連結させていくことが何かメリットになったり、例えば環境省から特に重要だ、ここの事例は非常に良いといった差別化ができていくと良いと思います。なかなか皆さん気づかない点ですので、これについてはより一層強調いただけるとありがたいと思います。
 また、国際的な認証だということが一般の方にはなかなか分かりづらいかもしれません。国際的なつながりについても、記載いただけたらありがたく思います。ありがとうございました。
○石井委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 では続きまして、オンラインに参ります。森田委員、お願いします。
○森田委員 森林総合研究所の森田です。この答申案、いろいろまとめるのが大変だったと思います。どうもありがとうございます。コメントもいろいろ反映していただき、感謝しております。
 3点ほど、コメントをさせていただきたいと思います。
 一つ目なのですけれども、ネイチャーポジティブを達成する上で、この自然共生サイトの認定というのは一つの通過点だと思っています。その中でこの大きなゴールというのが、前のときも多分コメントしたのだと思うのですけれども、ネイチャーポジティブはそもそも気候変動などいろいろな取組を統合してやらないとできないのですが、この中で生態系回復をするというのが、日本国内でどういったところにどの規模で必要となっているかといった危機感が伝わるようなものがもう少しあると、このいろいろな取組を幅広くやらなくてはいけないということが伝わるかなと思いました。個々の取組、先ほど連結性などの話がありましたが、個々の取組を行うだけでなくて、国としてどういった面で、どのレベルでの生態系回復をすることを目標としているか、そして自然共生サイトの認定の話がどうつながっていくのかという、何かビジョンみたいなものが初めに書いてあると、少し取り組むインセンティブにつながるのではないかなと思いました。
 2点目なのですけれども、いろいろなステークホルダーが出てきていますけれども、それぞれがいろいろなところで連携が必要で、省庁間の連携、自治体、企業、いろいろな連携が必要となるのですが、それぞれが何をすればよいのか、もう少しどういった責任を持ってどういったことをやってほしいかみたいなところも伝わってくるといいなと思いました。
 例えば、環境省のほうで、いろいろなステークホルダーの連携などを管轄して、責任を持って連携を促進するような取組をしていくのかなど、そうであればもう少しそういったことも書いてあると分かりやすいのかなと思いました。ステークホルダーがどの段階でどう関わっていくのかというのが、もう少し分かりやすく、そしてそれぞれの役割がどういうふうになっていくのかというのが分かると、例えば企業の人だったり、自治体の人たちそれぞれが、読んだときにも分かりやすいかなというふうに思います。
 3点目なのですけれども、経済的インセンティブに関してで、今回はお墨つきをあげるということだったんですけれども、お墨つきも初めの100以上の、初めに認定された人たちというのはそれぞれこういうふうに認定されたんだということで結構メリットを感じるのだと思うのですが、だんだん増えてくると、だんだんそのお墨つき、あるいは価値というものもあまりなくなってしまう部分もあるのかもしれないので、経済的インセンティブとの兼ね合わせというのはすごく重要になってくると思います。
 金融の観点でもどんどん今議論が進んでいて、サステナブルな金融商品に関してもいろいろなものが生まれてきていたり、あとはグリーン共同債など地方レベルの取組、グリーンな取組に支援をするような、サステナブル金融商品なども出てきたりしている中で、今後このような取組のいろいろな支援につながるようなものとうまくマッチングさせることが必要です。あとは森林などであったら、もう既に炭素の関係でいろいろな経済的インセンティブなどがありましたけれども、そういうものともうまくリンクさせながら、ネイチャーポジティブにする取組に、どういった経済的インセンティブのアプローチがあるかといった、うまくマッチングさせるようなことをしたり、これらの情報をアップデートして共有していったりしてあげるということが今後重要になるのではないかなと思いました。
 以上、コメントさせていただきます。
○石井委員長 ありがとうございます。コメントということですけど、よろしいですね。
 では、会場に戻ります。小泉委員、お願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。小泉です。
 1回目のコメントを反映していただきまして、どうもありがとうございます。
 私が今回のこの自然共生サイト、企業的な活動を行っている場所、私の専門でいきますと農林水産業が行われている場所も対象になっているということで、いわゆる自然配慮型の農林水産業とか、持続可能な農林水産業というのが、その成果として、自然共生サイトというご褒美に認定されていくというような仕組みになって、土地を所有している人とか、希望が湧いてくるんだろうなというふうに理解をしているところなんですが、答申案の4ページの11行から12行にかけて、陸域が大半を占めており、沿岸域での取組が相対的に少なかったというふうになっているんですが、これの理由を少し考えていただきたいと思います。
 エリア・ベースとかそれから活動計画におけるステークホルダーの調整とか、陸域は具体的なイメージとして湧くんですが、沿岸域における特殊性というのがこの答申案の中に反映されているのであろうかというところが心配としてありました。恐らく既に水産庁辺りから様々にコメントが出てきていると思うんですけれども、少し沿岸域寄りの記述も必要なのではないかなというふうに感じたところです。
 それから2点目が、これから自然共生サイトの数が増えていくに従って、既に国ではないんですけど民間ベースの認証制度とか認定制度に該当しているところというのが出てくると思います。私の関係でいきますと森林認証制度というのを民間団体が行っているものがありまして、かなりの面積になっております。こういったところが今後こういう自然共生サイトの対象になり得るのか、既に認定を受けているからということで対象外になるのか、これは質問です。
 それからモニタリングです。簡便なモニタリングでというそれはよく分かるんですが、やはりモニタリングとして必要なのは、指標ですね。どの点をモニタリングしたかという指標をあらかじめ決めておくということが大事で、恐らく数が多くなっていくと、もっと大事になってくるのはこういう調査をして客観的なデータを得ましたということと同時に、それを活動主体が自己評価し、その評価結果を環境省がさらに評価するというような仕組みのほうがいいと思います。
 ということで、方法の簡便化も大事ですけれども、自己評価システムというのを取り入れてはどうかというふうに感じました。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局、質問もありました。よろしくお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 小泉委員、ありがとうございます。質問のほうにまずお答えしたいと思います。
 民間の既存の認証制度についてご質問いただきました。自然共生サイトの運用をやっていく中でも、全ての認証制度ではないんですけど、幾つかの認証制度との連携であったりというのをトライしてきました。例えばABINC認証とかSEGES認定という都市の中の緑地についてですね。これを結構施行のときからいろいろ試しながらやっていて、なかなか全て取っていれば一括でオーケーというふうにはなかなか生物多様性の特に観点から、それはやり過ぎかなということで、一つ一つ中身を見ているような形にはなっています。
 一方でこの認定制度の中で、後期の中から一緒にやっていきましょうというのをABINCと協定を結んだりとかをしている中で、ご質問いただいたように既存の認定制度、認証制度を取っているのでも対象外ですよとか、関係ありませんというのではなく、一緒に効率的、効果的な運用ができるような、またそれぞれの特徴をうまく生かしながらやっていけるような形でつくっていきたいというふうには思っておりますし、これまでもそういうふうな形でうまく進められるようにはトライしてるという、そういう状況でございます。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、広田委員お願いします。
○広田委員 ありがとうございます。私からは3点、質問も含めて申し上げたいと思います。
 第1点は、現在進めている自然共生サイトは、ボトムアップ的に認定というやり方をされているのですが、一方でトップダウン的な視点も必要かなという気がしています。この委員会の中でも出ていたと思うのですが、やはり国として、この辺りは自然共生サイトとして設定していくのが必要だろうというようなエリアというのは、考えられると思うのです。例えば、既存の自然公園に接続している里地里山のエリアであるとかですね。そういった検討が別のところでされているのかどうか、という質問です。
 さらに言えば、国土の30%を確保しようと思うと、ボトムアップだけではやっぱりちょっと足りないのかなという気もします。その辺りの戦略があるのであれば、お聞かせいただければと思います。
 それから2点目が、他のG7諸国では、どういう手法を取っておられるのかという点です。ヨーロッパは農地・森林が広範に広がっていますから、そこを加えていかないと30%に達しないと思うのです。例えば農地で言うと、EUの共通農業政策の下で、生態系に配慮した農業や農地管理を、既に補助金と抱き合わせでやっていますから、そのうちのレベルの高いところを、ざくっと自然共生サイトというか、OECMにしていくというようなやり方を採っているのではないかという気もします。仮にそうであるとすると、日本でも、そういう既存の他省庁の施策で実施しているエリアを、自然共生サイトにしていくやり方もあり得るのかなと思います。もし何か情報があれば教えていただければと思います。
 それから最後、3点目ですね。これはほかの委員の方も指摘されていましたが、国民運動というのは非常に重要だと思っています。というのも、行政でも民間でも、あるいは地域でも、こういう活動に熱心な方はいらっしゃるんですが、例えば自治体で言えば他の部署とか、民間企業なら本社とかが、十分に理解していないと、熱心な人たちのせっかくの活動がしぼんでしまう可能性があります。地域でも同じことです。そうならないためには、これは国として取り組むべき非常に重要な施策だという、何かお墨つきというか、後押しをするような雰囲気をつくっていくのが重要だと思います。具体的なやり方はこれからでしょうけれども、その辺りの重要性を、この答申の中に、もう少し強調して盛り込んでもいいのかなという気がしました。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございました。
 質問もありましたので、事務局お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 広田委員、ありがとうございます。
 ご質問いただいたまず、ボトムアップではなくトップダウン的に、国としてどういうふうに戦略的にというご質問だったと思います。今現在、それにお答えできる検討しているものとして、生物多様性の見える化というものをできないかというのを、今検討を進めています。それはまさに広田委員がおっしゃっていただいたように、現状の保護地域の状況であったりとか、それから生物多様性の保全上効果的な場所がどんなところか、そういったところを可視化することで、自治体が、例えば戦略をつくるときにどんなところを優先的にやったほうがいいか、企業でたくさん土地を持っているときにどこから進めたほうがいいかというのも示すようなことができるような、まさにそういう見える化できるようなものを用意できないかというのを今検討を進めているところでございます。まだ出来上がっていないので、そういうのは進めているというお答えになってしまうんですけど、考えております。
 また2点目、30by30の達成に向けてどういうふうな形かというふうな進め方、ロードマップのことだと思っております。現状、30by30の達成に向けては、保護地域の拡張、それからOECMの設定で進めていくと。OECMが鍵になると。今OECMの中でも今検討が進められているのが、この自然共生サイトという民間の取組を進めていくのを、やはりこのTNFDとか企業の動きの速さを含めて先行してやっているところですが、OECMに該当するのは何かとか、保護地域の拡張といったところができるかというのを総合的に考えてやっていくのかなと思っています。
 この辺りはまだ、じゃあどれぐらいでというのはなかなかないんですけども、そういうふうに進めていきたいなというふうに思っているところです。
 また、ほかの国のところともそんなに頻繁にというわけではないですが、年に何か国際的なワークショップとかで意見交換をしています。まだほかの国もどういうふうに進めていくか、結構手探りのところが多いのかなというのは、会話している中で印象がありますが、日本と同じように農林水産業の部分を進めていきたいねというふうに考えている国もあったりとかするので、そういったところとは情報交換とかしながら進めていきたいなと思っています。
 あと最後にいただいた雰囲気づくりとか、そういったところおっしゃるとおりで、普及啓発的な部分で重要だと思いますので、いろいろ考えていきたいなと思っております。
 以上です。
○石井委員長 よろしいですか。
○広田委員 はい。
○石井委員長 それではオンラインに参ります。一ノ瀬委員、お願いします。
○一ノ瀬委員 ありがとうございます。慶應義塾大学の一ノ瀬でございます。前回出席できませんで、大変失礼しました。
 私からは2点ほどお願いといいますか、指摘させていただきたいと思います。
 答申のほうの文を改めて読ませていただいていて、一つが生物多様性地域戦略についての記載、今回今の答申案の中で3か所出てくるんですけれども、ただ最初に出てくるのが8ページですかね。結構後ろのほうなんですね。一方で文章全体としては5ページの辺りから、(4)関係する分野・施策との連携についてという形でいろいろな施策が出てくるんですけど、肝心な地域戦略が出てこないというようなこともありますので、ちょっとできればもっと前のところで言及していただくのがいいのかなというふうに感じました。
 あとそれに併せて関連するって意味では、ほかの省庁の計画等も6ページの括弧の2個目の生物多様性に関連する云々というところに出てくるんですけど、多分関連する計画としては緑の基本計画も書いておいていただいたほうがいいのかなというふうには思ったところです。これが1点目です。
 2点目は、今回基本的には自然共生サイトというのはボトムアップで提案が出てくるものだと思うんですけれども、例えば今答申案の5ページ、活動内容というところに、例えば生態系のタイプが様々だとか土地利用が様々というような話が出てきます。本来であれば、自然共生サイトのそれぞれの主体の活動というのは、そこの自然環境を踏まえたものになるんだと思うんですけれども、それが今、なかなかこの答申案の中にはないなということに気がつきまして。一方で国家戦略の中で、ランドスケープアプローチという言葉を記載いただいておりまして、そういう意味では、やはりランドスケープアプローチというような用語を入れていただいたほうが、そこに合った管理の方法だったりとか自然環境の在り方を考えていただくことになるのではないかなというふうに考えたところです。
 以上、2点です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局、よろしいですか。
 では続きまして、浅野委員お願いします。
○浅野委員 10ページの地方公共団体との連携のところですけれども、この2段目のところに、地域の生物多様性保全に係る基本的な計画である生物多様性地域戦略に基づきということで、地方公共団体の役割は重要であり、基礎自治体において生物多様性地域戦略の策定が進むことが望まれるというふうに書いてあるんですが、これ4月現在だったと思うんですけれども、地域戦略がつくられているところが都道府県は47、指定政令都市は20全部かと思いますが、それを除く市町村ではたしか145ということで、全体の8%だったと思うんですね。平成20年に生物多様性基本法が施行されてからもう15年ぐらいたって、8%というところで、この地域戦略をつくらない自治体がどの程度この計画認定の中で役割を果たせるのかというところが、役割を果たしてもらわなきゃいけないんですけれども、地域戦略がないところがなかなか地域戦略をつくらないままでこの計画認定の新しい制度にどれだけ積極的に役割を果たせるのかということになってくると、やっぱり非常に疑問なところがありまして。やはり生物多様性の地域戦略をなぜつくれないのか、地方自治体が。やっぱりそこについてはこの中に言及するということではなく、しっかりと検討していただきたいなと思っております。
 そういう意味で、先ほど大企業のインセンティブのことが議論になっていましたけれども、地方自治体にとって生物多様性を積極的に取り組むことがどういうインセンティブがあるのかというのが、やはりまだ見えてこない自治体が非常に多いのではないのかなと思います。ですからそういう意味で、30by30を実現するために積極的役割を地方自治体に果たしてもらわなきゃいけない。地方公共団体に果たしてもらわなきゃいけないというところで、生物多様性についての取組を、誘導していくようなしっかりとしたものを示していかないと、なかなかここに書いてあるような地方公共団体、自治体が重要な役割を果たし切れないのかなという思いがございましたので、その点を指摘させていただきました。
○石井委員長 ありがとうございます。
 今の点、いかがですか。よろしいですか。
 それでは、角谷委員お願いします。
○角谷委員 よろしくお願いします。私からは1点だけ、コメントです。
 各国の活動を促進するための方策の推進というところに関わって、答申案の本文で言いますと13ページの人的・資金的支援の強化の部分に関わるかなと思いますけれども、先ほどトップダウンの観点が必要ってお話ありましたけれども、例えば今回の枠組みの中で、生物多様性保全したりとか、あるいは生態系再生するといったような必要性がもう既に認識されているんだけれども、手が及んでいない。そういう場の、ニーズのある場のリストと言いますか、見える化のようなものが必要だという観点を入れていただくといいかなというふうに思っています。
 例えば、国や自治体の戦略、あるいは計画の中で重要だということが認識されているんだけれども、様々制約があってまだ取組をされていないとか、あるいは先ほどから議論ありますけれども、TNFDの文脈では、例えば国内に生産拠点とか事業所があるような場合、企業を念頭に置いても例えば自社の土地じゃない場所で自然資本との接点を持っているとかそういったときに、単独ではやり切れないけど大事な場所が分かっているといったことは結構あると思いますので、そういう場所を積極的に見せていって、例えば場所のマッチングに使うとかそういうことが重要になってくると思いますので、その観点を入れていただけるといいかなと思いました。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。これもコメントでよろしいですね。ありがとうございます。
 では、オンラインに参ります。山野委員、お願いします。
○山野委員 ご説明ありがとうございます。非常によくまとまってきたと思います。
 それで、すみません、ちょっと基本的なところで、前回質問すべきだったと今思っているんですけど、確認させていただきたいことがあります。それは今回のスコープとして劣化地再生への貢献というのがあって、それは非常にいいことだと思うんですね。ただそうなってくると、時間スケールといいますか、いつ開発行為が行われたかとかどこまでの昔とかあるいは最近のものまで対象にするのみたいな話が出てくるかと思いまして。
 例えば最近ですとソーラーパネルを置いたりとか、そういったところでソーラーシェアリングを始めたりとか、そういうすごく開発行為とほぼ同時に行われるようなものもあるかと思うんですね。それで一体どれぐらいの時間スケールのものを再生とみなすといいますか、そこのところはいかがお考えでしょうか。すみません、基本的なところで恐縮ですけど、教えていただければと思います。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 ご質問です。よろしくお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 山野委員、ありがとうございます。現状の時間スケールについては、まだここです、この何年ですというのはまだ決まっておりません。これから検討をと思っております。
 おっしゃるとおり、時間スケール的に見ていっても何でしょう、かなり昔まで遡れば、ほぼ全て何かしら開発されたというふうになってしまうところで成り立っている自然が日本の場合多いと思うんですけど、その辺り、じゃあいつぐらいから考えていくべきか、生態系の回復とかについては考えるかというのは、ぜひそこは少しこちらも案を示しながら、皆様とご指摘いただきながら考えていければというふうに思っておりました。
 すみません、現状ではまだ決まっておりません。
○山野委員 ありがとうございました。
○石井委員長 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、深町委員、オンラインでよろしくお願いします。
○深町委員 ありがとうございます。すみません、ちょっと途中から参加したので、重なる部分もあるかもしれませんが。
 まず、自然共生サイトで選定された事例を見ていますと、かなり面積、いわゆる個人のレベルから大きな森林が一体となったところなど、様々だというふうに思います。モニタリングの中で書いてあるのは生態系のタイプだとか目標の活動というようなところに沿ってということですけれども、やはり選定の基準とかも含めてなんですが、確かにいろんな事例が集まるものも大事ですが、ある程度面積ですとかその場所の管理者がどういう状況なのかって、継続性ということで、慎重に見ながらやっていくということも、今後必要になるんじゃないかなというふうに感じているところです。
 モニタリングもやはり面積ですとかタイプだけではなくて、状況によってきめ細やかに、やり方とかも違うと思いますし、でも簡便なというところだけではなくて、そういうところはしっかりとした科学的なバックグラウンドに基づいて分かりやすくお伝えして、それができるような形で支援していくというような、そういうふうなことを改めて強調してお願いしたいなというふうに思っているところです。
 それから、この前選定された一つの場所でのシンポジウムがあって、環境省の方と一緒に参加したんですけれども、やはり一般の方にとって身近にある、例えば水田だとか、山のつながりがあるネットワークがあるような場所を大事な自然共生サイトとして考えていきたいけれども、いろんな土地所有がどうなっているかとか複数の人たちが関わっているような生態系をどうまとめて自然共生サイトとしていくかというようなところで、どうしたらいいんでしょうかというようなご質問受けたりしました。実は実際に大事な場所というのは一つの所有者、一人の所有者だとか、一つの組織の所有者というよりは、それをもうちょっとネットワークの話もありましたけれども、まとめたような形でできるというのが大変大事だと思います。そういったところでは地方自治体、特に市町村レベルでのいろんな協力が大事になると思いますので、地域戦略の話もありましたけれども、ぜひとも地方自治体の方々がこの仕組みにうまく協力していただけるようなことをもっともっと考えていけるといいなというふうに思いました。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。コメントだと思いますがよろしいでしょうか。
 中村委員、いかがでしょうか。
○中村委員 ありがとうございます。
 ちょっとまだ整理ができていないんですが、最後のほうに、公物の管理区域と重複している場合は、申請前に各土地所有者・公物の管理者と調整することが重要と書いてあって、本文も見てみると、それに近いようなことが書いてあります。イメージとしては国有林とか、例えば河川なんかも今後気候変動関係で随分掘削といって、河道容量を大きくしなくちゃいけない事業がどんどん進みます。109水系で進められていくんですね。そのときに、例えば湿地を造成するとかそういうことは十分あり得て、国有林の場合も例えば人工林をある程度自然林に変えていくといったような、そんな活動も考えられると思うんですが、この調整というのはどういう形で具体的に考えておられるのか。それは例えば活動したいNGOとか、もしくは企業がどうやってアプローチしていけばいいのかが、今のところちょっと見えなかったので、もしその辺の具体的な調整という意味を教えていただければありがたいです。よろしくお願いします。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 中村委員、ありがとうございます。
 ここでは、例えばなんですけども、活動をしている区域が、例えば国有地を借りていたりとか、活動している、例えば自社で持っているような区域が河川区域とかに重なっていたりとか、そういう公物の区域と重なっていたりとか、借りてやっているというのもあると思います。そういったときに、ネイチャーポジティブの活動を立てたときに、その活動の目標だったり内容が土地の国有地の先ほどおっしゃっていただいたような方針であったりとか、公物のそこの場所での管理の方針とか今後の予定と、齟齬がないかどうかとか、そういったところを事前に確認していただくということを想定しています。
 具体的にはそこで今後、具体的な計画が立てられていれば、公物管理の計画が立てられていれば、そことの方針と違いがないか、もしくは今後そういうことをやっていく予定であれば、何か問題がないかということを事前に担当、現場同士で確認していただくことで、その後の活動がスムーズに進められるだろうと。前回の小委員会でも山野委員からもありましたように、コンフリクトというか事前に何かバッティングが起きて進みたいことが進めなくならないようにするためにも、事前に現場同士の調整、各種計画との調和というのをここで図っていくという意味での調整というふうに書いております。
 お答えになっていますでしょうか。
○中村委員 はい、ありがとうございます。そこはよく分かりました。
 できれば、後のほうで何かおっしゃっていたとおり、環境省だけじゃなくて国土交通省や農水省とも共同で何か法制的なものを考えておられると言っておられたと思うので、一般の人たちにとって公的なそういう国の機関のアプローチしやすい窓口があると、非常にやりやすいと思うんですよね。
 その辺が見えていないと、できる団体とか企業はできるんでしょうけど、なかなか敷居が高いというか、どうアプローチしていいか分からないということもあり得ると思うので、環境省だけじゃなくて、土地を持っている国有林野とか、あとは河川の水局とか、そういったところが積極的にそういった情報を提供してくれるといいなというふうに思いました。
 これは後のほうはコメントです。よろしくお願いします。
○石井委員長 ありがとうございました。
 これで、私を除いてなんですけれど全ての委員からご意見を伺いました。すばらしいことに前回と違ってもう少し時間がありまして、2、3また質問を受けられると思います。
 それでは、まずオンラインの藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 ありがとうございます。
 今皆さんの意見を聞いていて、私も地方自治体、先ほど企業のことを申し上げましたけど、地方自治体にとってやっぱり生物多様性に取り組むインセンティブが見えにくいというのは、私もずっと思っていて、どうしたらいいんだろうといろいろ自分なりにも考えたりしてきたんですけど、聞いていて今思ったのが、自然資本、生物多様性の維持を例えばグリーンボンド発行に結びつけられないのかなというふうに思いました。
 最近熊本市が半導体工場の関係もあったと思うんですけど、グリーンボンドを発行しましたよね。資金使途には水の保全が入っています。水が豊かな自治体がそれを守ることでグリーンボンドを発行した例です。皆さん、自然資本が提供する生態系サービス、つまりフローに注目しますが、そもそも半導体工場が進出できたのは水という自然資本のストックがあったから。自然資本のストックが多いこと、そのストックを維持する自治体に何か金融的なインセンティブがあるとすごくいいんじゃないかというふうにちょっと思いまして。
 例えば今グリーンボンドって再エネとかそういうものが多いです。適格性評価のセカンドオピニオンというとやっぱり再エネで評価されているところが多いんですが、例えばそこに生物多様性のOECMの認定を受けるような事業を盛り込めないか。地域によっては水の保全事業、あるいは地域によっては森林の植林事業、あるいは谷津田再生とか漁業資源を守る認証取得の事業などがありますが、自治体のそうした取り組みがOECM認定取得や支援証明書の取得につながり、その活動がグリーンボンドを発行してESG投資につながるという風にできないかと思います。金融のお金が流れる形につなげるというのは、どうなんでしょうというふうに思いました。
 なので、ここの連携のところに農水省とか、国交省とかいろいろ、もちろんいろんな省庁のことが書いてありますけど、ぜひ金融というものもご検討はされているのかどうかということをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○生物多様性主流化室長 生物多様性主流化室長、浜島でございます。
 藤田委員、コメントありがとうございます。金融に関しましては、当省で言いますと環境金融推進室というところがございまして、そちらでグリーンボンドのガイドライン等を発行しているところでございます。ご指摘の自治体によるボンドの発行はできないかというところに関しては、案件形成がうまくできるかどうか、対象になりそうな自治体とも具体の多分案件形成に向けての相談というのが必要になってくるというところかなと思っておりますが、非常に重要な観点と思います。
 ちなみに当室、主流化室のほうでもう一つ行っているものがございますのは、自治体様の先ほどより出ていますインセンティブとか、メリット、モチベーションにつながるような自然共生サイトとか今回の活動認定の意義というところだと思いますが、今行っておりますのは、自治体なり地域の自然資本の価値を、例えば貨幣価値のような形で見える化をする。これ自体は昔から行われていることだと思いますけども、これをどのように自治体の地域戦略なり、あるいは地域の金融機関とのコミュニケーションに使っていくかと。こういうことのモデル事業を実は3地域ほどで行っております。こちらも出てくる成果も生かしながら、法制度のほうに進めていきたいと思っております。
○石井委員長 よろしいでしょうか。
○藤田委員 ありがとうございます。
○石井委員長 ありがとうございます。
 それでは、勢一委員お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。私も何点かコメントをさせていただければと思います。
 先ほどから何人かの委員からご指摘がある地方公共団体との関係で、私も非常に重要だと思っています。他方で地域戦略が策定されていないようなところで、そのような連携がうまくできるのかというご指摘もありました。それはそのとおりだと思うのですが、法的には生物多様性基本法の13条で地域戦略については規定があるのですけれども、努力義務にとどまっていますので、策定しないことが悪ではないということは、法律上はございます。
 むしろ策定する必要性があるかを各団体が判断するということなのですが、策定が進んでいないかなり大きな理由の一つとして、生物多様性の戦略の難易度が高いということがあります。
 小規模な団体には技術職員が非常に少ないというところもありますし、ネイチャーポジティブというような、さらに難易度が上がった国家戦略ができている下で、そもそも意味のある地域戦略がつくれないというのが、特に小規模な団体を中心とした現状になっていると私は把握しております。
 また、生態系というのは、各市町村の区域で切れるわけではありませんので、シームレスにつながってるところで、各団体が地域戦略をつくれば何とかなるのかというと、むしろサイトとしては分断される懸念もあります。
 そういうことを考えますと、恐らく自然共生サイトも既にそうだと思いますし、今後この新たな認定制度で認定していくようなサイトや活動も、恐らく市町村の区域を超えるというようなことになりますので、むしろ単独の策定をお勧めするよりは、生態系としてつながっている団体が共同で、場合によっては都道府県と複数市町村が共同で策定をしていくというのを後押しするのが望ましいかと思います。
 これは環境省の策定の手引きでも共同策定が推奨されていますので、むしろこちらのほうを後押しすると。地方自治体からすると生物多様性は非常に難しいけれども、人口減少が進んでいって地域の中で居住地域が減っていく。さらに耕作放棄地が増えていく。それに伴って、災害が多発していくというような状況はありますから、整備の一環として自治体の職員では手が回らないところに、企業や市民の活動が入ってくるというのはウェルカムだと思います。そうした基盤整備をしていただくところ、具体的にこの法律でどのような手当ができるかまでは難易度が高いですけれども、考えていただくのがよろしいかなと思いました。
 2点目としましては、先ほど風景地保護制度を活用して支援をすると。協定の支援をするというご説明をいただいて、それはスキームとしてはよろしいと思っています。活動主体と土地所有者が協定を結んで、その協定を認定、認可するというような仕組みですので、そういう意味では土地所有者を巻き込むことができる。そういう点で、また土地所有者には税制上の特例措置がつくのが自然公園法の規定ですから、検討中の制度でもそこまでできれば土地所有者としては協力しやすいということになろうかと思います。
 ただ現状で風景地保護制度は、事例が少ないところですので、どういうところの難易度が高いのかは分析をしていただいて、活用してもらうといいのかなと思いました。特に荒廃地向けの認定制度には、これは有効かなと感じたところです。
 最後もう一点、補足的ですけれども、他省との連携、非常に私も重要だと前回もコメントさせていただきました。報道によると、国交省は都市緑地の整備についての認証制度を入れるような話を耳にしました。こういうところとうまく連携ができるのか、もしかしたらすでに遅くてできないのかよく分からないですけれども、可能な範囲でご検討いただければと思います。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局ありますか。お願いします。
○大臣官房環境経済課市場メカニズム室長 すみません、1点だけなんですが、風景地保護協定について申し上げましたけども、風景地保護協定そのものを活用するというよりは、これを参考にしながら制度を検討するという趣旨で申し上げたというのが1点でございます。
 あともう一点、他省庁との連携については同時並行で、まちづくりGXについての検討を国交省さんのほうで進めておられますので、しっかり連携していきたいと思ってございます。
 以上です。
○石井委員長 よろしいでしょうか。
 では、佐藤委員お願いします。
○佐藤委員 私から3点です。
 今、勢一委員のほうからも省庁連携等のお話がありましたが、国交省との連携というのはどのように図られているのかをお聞きしたいと思います。
  もう一つが、日本全国を見ましても自然共生サイトは認定122か所なんですが、かなり地域格差があると思います。例えば東京都では16サイトと多いですが、例えば東北全体では二つのサイトしかありません。実際に東北には自然共生サイトになり得るべきところが多々あると思います。国からのトップダウンや自治体のリーダーシップで牽引しつつ、民間との連携を進めていけるとよいと思っております。
 3点目ですが、環境省と東京都環境局のほうで、生物多様性に配慮した緑化の推進に向けた全国初の制度連携ということで9月にプレスリリースされていました。東京都の環境局で進めています江戸のみどり登録緑地制度と、自然共生サイトの認定制度との連携です。これは一つ自治体のほうで進めていただけるリーダーシップの例と思います。これがほかの自治体にも横展開をしていくことができないか。また、こういった案件を環境省でもどんどん取り上げてPRをしていただけるとよいのではと思いましたので、何かコメントなどありましたらお願いします。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局は何かございますでしょうか。
○自然環境計画課課長補佐 佐藤委員、ありがとうございます。
 国の省庁連携については、先ほどの山本から申し上げたとおり、特に国交省さんの都市の緑地の認証制度をご検討されているということで、これは事務レベルでかなり連携だったり相談しながら進めているところで、今おっしゃっていただいたように昆明・モントリオールであったり、ネイチャーポジティブという形で、国交省さん、農水省さんはじめ、非常に生物多様性にご関心を持っていただいて一緒に進められるすごく機運が高まってきていると思っていますので、引き続き連携強化していきたいというのがまず1点です。
 もう一つ、自治体さんの制度との連携ということで、ありがとうございます。江戸のみどり登録緑地で東京都と連携協定を結んで一緒にやっていこうと。それ以外で最近この自然共生サイトをやって、亀山市さんがそれを参考に独自の認定制度を、亀山の生物多様性の自然共生サイト版みたいなのをやっていただけて、そういうふうに自治体に少しずつ、全て一気に進めるのは難しいんですけど進んでいくようなところもあるので、そういう事例とかを共有しながらまずできるところから進めていくというふうにしていければとまず考えているところです。
 以上です。
○佐藤委員 ありがとうございます。ぜひそういった先進的な取組などを分かりやすく伝えていったり、自治体の職員向けの(自然共生サイトの)説明パンフレットも必要ではと思います。国の取組が、区市町村レベルまできちんと浸透していくような取組、手続を進めていっていただけたらと思います。ありがとうございました。
○石井委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、続けて角谷委員、お願いします。
○角谷委員 角谷です。
 私からは1点だけですけれども、先ほど想定している規模が数百というお話がありましたけども、私のほうは例えば数千ぐらいなのかなというイメージでおりましたので、何かそういったイメージが共有できるような、例えば30by30のロードマップがありますけれども、そのどれぐらいの部分をこの取り組みで達成する必要があるのかということからバックキャストして、数がいいのか面積がいいのかという議論もあると思いますけれども、そういう共通の目標や全体像が共有できるような観点があるといいかなと思いました。
 以上です。
○石井委員長 ありがとうございます。
 事務局、何かありますか。よろしいですか。
 それでは皆さん、ほかは言い残したことはありますか。では土屋委員よろしくお願いします。
○土屋委員 土屋です。実は第3回の委員会のときに最後に言おうかなと思っていた、質問しようかと思っていたんですけども、ちょっと今日時間があるようなので、これ今質問してしまいます。
 ここで一つの答申ができるわけですよね。その後、法制化を考えられているんだと思うのですが、法制化はゴールではなくて、これから先いろんな検討をしていかなくちゃいけないと思うんですけれども、今日の議論の中でもいわゆる自然共生サイトについては、もう検討会でもかなり検討してきたわけで、かなり具体的になっているけれども、もう片方の劣化しているところをどうするかについては、検討の程度がまだ低くて、これについては、この後法制化が行われてその中に入ったとしても、その後、何らかの形で検討する場がなければ駄目だと思うんですね。その辺のところの今後のスケジュールについてどう考えられているのか。
 もっと言ってしまうと、それも含めて全体でこの制度が整ったとしても、それはまだ、試行錯誤でやっていかなくてはいけないような部分が非常に多い制度だと思います。そうするとそれをずっとフォローをしていくような、フォローアップしていくような何らかの第三者的な組織が必要なんじゃないか。これ当然、環境省さんは環境省さんとしてやるとしても、第三者的な組織も必要だと思っています。それが中環審の中の小委員会の中でできるのか、検討会がその後変わっていくのか、もしくは別のものができるのか。恐らく審査組織はずっと続くと思うのですが、それとちょっと別の、制度全体を考える組織が必要なんじゃないかという気もしています。今違う質問をいろいろ言いましたけど、そういう今後のスケジュールについて、今の時点で何かご説明できることがあればしていただければと思います。
○石井委員長 ありがとうございます。
 よろしくお願いします。
○大臣官房環境経済課市場メカニズム室長 土屋先生、ありがとうございます。
 当然まだ未来のことなので、なかなか確定的に何か申し上げられるわけではないんですけれども、現在答申の検討をいただいて、パブリックコメントを行って年明けに答申をいただくというのがこれまでの想定した流れでございまして、その答申を受けまして次の通常国会に法案を出していくと、そういった方向で考えているところでございます。
 当然その法案、どういうタイミングで成立するかというのはございますけれども、こういった形の制度が出来上がったとすると、じゃあどういう基準でやっていくんだ。ご指摘のとおり特に劣化地再生の部分についてどういう基準をつくっていくのかというところについては、しっかり議論をしていかなきゃいけないと思ってございます。
 それについて、どういう場でやっていくかというのは、まだ断定的には申し上げられないんですけど、一つは当然この委員会を継続して開催して、その中で基準についてのご議論もいただきつつ、また基準については多分この小委員会にかけるとしても、その前にもう少し整理をしなきゃいけない部分というのもあるんだろうと思ってございます。そういった中でこの基準というものについての議論というのは、深めていきたいと思っているところでございます。
 進捗状況についてというところについてもご質問ございまして、基本的には法律について大体附則に見直し規定といいますか施行後5年とか、標準的には5年というのは多いと思いますけれどもそういう見直しというものを入れていくということになってございます。
 基本的にはそういった中でどういう施行状況になっているかというのはしっかり点検をしていくという必要がございまして、そこはどういう場で行うかは当然まだ今の場では申し上げられないですけれども、いずれにしましてもどういう進捗なのか、初期の予想とどう一緒なのか違うのか、成果が上げられたかどうか、そういったところについて点検といいますか評価をしていくということになってくるのかなと思っています。これは以前の想定の話でございますけれども、そのように考えてございます。
 以上です。
○石井委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、ほかはいいですね。本日は本当に活発にたくさんのご意見を伺いました。これを整理するのは、環境省のほうは大変かもしれませんけれど、時間がかなりタイトなのでよろしくお願いしたいと思います。
 質疑応答は、ここで切らせていただきますけれども、冒頭にありましたように後日また文書等で質問回答いただければと思います。回答期限については後で事務局のほうからお示しください。
 答申案につきましては、ただいまいただきましたご意見を踏まえて、事務局と私、委員長のほうで相談して修正した上で、パブリックコメントの意見公募手続に進んでいければというふうに考えております。修正した答申案につきましては、もちろん事前に事務局から委員の皆様方にお送りさせていただくということにさせていただきます。
 次の議事はその他ですけれども、事務局何かございますか。
では特にないようですので、これで全ての議題を終了しました。進行を事務局にお返しいたします。
○司会 石井委員長、議事進行ありがとうございました。
 委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきましてありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の委員会を終了いたします。
 次回は来年1月23日の午後1時30分から開催を予定しております。本日はありがとうございました。
午前11時48分 閉会