中央環境審議会 自然環境部会(第47回)議事録

開催日時

令和5年8月24日(木)14:00~16:00

開催方式

AP 虎ノ門 C 会議室・WEB 会議システム併用

出席者

武内 和彦   部会長
小泉 透    委員 
勢一 智子   委員
髙村 典子   委員 
中村 太士   委員 
藤田 香    委員
愛甲 哲也   臨時委員 
石井 実    臨時委員
江崎 貴久   臨時委員 
大沼 あゆみ  臨時委員 
交告 尚史   臨時委員 
佐藤 哲也   臨時委員
関 智子    臨時委員
中静 透    臨時委員
西澤 敬二   臨時委員 
橋本 禅    臨時委員 
日向野 義幸  臨時委員 
広井 良典   臨時委員 
広田 純一   臨時委員
深町 加津枝  臨時委員
水田 拓    臨時委員 
山野 博哉   臨時委員
山本 清龍   臨時委員
湯本 貴和   臨時委員

議事録

午後2時00分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。
 本日は、お忙しい中、本部会にご出席いただきありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員・臨時委員27名のうち、ウェブ会議システムでの参加を含め24名のご参加をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。
 本日の会議運営についてご説明いたします。本部会の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますのでご了承ください。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク・ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。部会長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、部会長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投影し、進行させていただきますので、お送りした資料は必要に応じお手元でご参照いただきますようお願いいたします。傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの中央環境審議会自然環境部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
 この夏、人事異動により多くの環境省幹部が交代いたしました。本日出席で新たに着任した幹部につきましてご紹介させていただきます。
 自然環境局長の白石です。
○自然環境局長 白石でございます。よろしくお願いします。
○司会 大臣官房審議官の堀上です。
○大臣官房審議官 よろしくお願いします。
○司会 総務課長の松下です。
○総務課長 よろしくお願いいたします。
○司会 自然環境計画課長の則久です。
○自然環境計画課長 よろしくお願いします。
○司会 国立公園課長の番匠です。
○国立公園課長 よろしくお願いします。
○司会 国立公園利用推進室長の水谷です。
○国立公園利用推進室長 よろしくお願いします。
○司会 鳥獣保護管理室長の宇賀神です。
○鳥獣保護管理室長 よろしくお願いします。
○司会 どうぞよろしくお願いいたします。
 ここで、白石自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 改めまして、7月1日付で自然環境局長を拝命いたしました白石と申します。本日はご多用のところ、本会議に、今日お越しいただいた皆様、それからウェブでご参加の皆様、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。また、日頃より、皆様におかれましては、自然環境行政にご理解、ご協力をいただいておりますこと、改めて御礼を申し上げたいと思っております。
 さて、前回の部会でご審議を賜りました生物多様性の国家戦略、こちらにつきましては、3月に改定をいたしておりまして、2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの実現を国内目標として位置づけております。このネイチャーポジティブの実現につきましては、生物多様性を保全して、持続可能に活動する行動が選択される経済とか社会、こういったものを構築する必要がございまして、今年度はその達成に向けて新しいスタートを切る非常に重要な年、言わばネイチャーポジティブの経済の実現の元年というべきような年でございます。
 この2030年のネイチャーポジティブ実現に向けて、重要な取組の一つとして、30by30やOECM推進のための自然共生サイトの認定制度を、今年の4月から開始してございます。現在、今年度の前期の申請につきまして審査を進めてございますけれども、各地から多種多様な申請が届いておりまして、その観点からもネイチャーポジティブに向けた社会からの期待、こういったものが当初の想定よりも速いペースで高まってきているのかなという実感を持っております。
 それから、来月9月の中頃だと聞いていますが、現在、国際的にディスクロージャーのネイチャー版というんですか、そちらの基準でございますTNFD、こちらのレポートが公表されるという予定だと聞いております。企業がネイチャーポジティブに取り組むためのインセンティブとか伴走支援への期待というものが、我々のところにもいろいろな企業様がお越しになるときにもそういう話題になることが非常に多い、そういう実感がございます。こういう社会的な状況、経済状況も踏まえて、自然共生サイト等の民間主体の取組をさらに促進するため、法制度の検討を進めていくことやインセンティブを付与するための具体的な仕組みを確立することが非常に重要だというふうに考えてございます。
 こういった背景を踏まえまして、本日の議題として三つ審議案件、それから三つの報告事項がございます。特に審議案件の一つ目につきましては、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の設置についてでございます。ネイチャーポジティブの実現に向けて、民間等の活動促進に関して法制化も視野に入れた審議を行う場を設けるべく、本小委員会の設置につきましてご審議をお願いしたいというふうに考えてございます。それから、その他2件の審議案件は、審議に一区切りがついた二つの小委員会の廃止についてご審議をお願いしたいというものでございます。それから、ご報告事項として、自然環境保全調査、それから国立公園の魅力向上に関するご報告をいたしたいと思っております。
 限られた時間で多くの議題がございますけれども、本日も忌憚のないご意見、ご指導、ご鞭撻をお願いしたいというふうに考えてございます。
 以上です。よろしくお願いします。
○司会 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 部会長の武内でございます。少し時間が空きましたけれども、この自然環境部会ということで、今日は新しい小委員会の設置も含めて、皆さんにご審議いただくということになっております。
 今、白石局長からも話がありましたように、かなり生物多様性の話というのは難しいというような意識で、皆さん敬遠していたことが多かったと思うんですけれども、ネイチャーポジティブという非常にポジティブな言葉が定着して、経済界も随分この問題に関心を寄せるようになっております。従来ですと気候変動の議論が中心だったんですけれども、それと併せて生物多様性の問題について、皆さん関心を持っておられるということで、大変いい傾向ではないかと思いますので、そういう意味でいろんなステークホルダーを巻き込んだ形でこの議論を進めていければいいなというふうに思っております。
 私も、実は経団連の十倉会長の下で、2030年生物多様性実現実行会議というようなものの副座長をやらせていただいておりまして、まさに経済界の声を直接伺うことができるわけでありますけれども、本当に、私は、TCFDでもう大変だから、TNFDなんていうのはとんでもないというふうに言われるのかなと思ったら、逆にぜひやりたいという意見が非常に強くなって、それは非常にいい傾向だなというふうに思っております。
 そういうことで、今日、皆さんにいろいろとご議論いただきますけれども、そういうこの生物多様性の分野がかなり社会的に定着しているという状況の中で、皆さんにご議論いただくということで、そういう観点からの様々なご意見をいただければ大変ありがたいというふうに思います。じゃあ、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の部会でございますけれども、YouTubeのチャンネルにおいてライブ配信していますので、報道関係者や一般の方もご覧になっておられます。会議録は、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開をすることになっております。議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開するということにさせていただきたいと思いますので、ご了承いただければ幸いでございます。また、会議資料についても公開ということになります。
 本日は、審議時間が限られていることから、時間内にご発言いただかなかった質問等については、後日文書にて質問・回答とさせていただく場合がございますので、あらかじめご了承いただきたいと思います。
 それでは、最初の議題、今、私が申し上げたことと非常に関連があるんですが、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の設置についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○自然環境計画課長 自然環境計画課長の則久でございます。
 まず、資料1-1をご覧ください。本年8月17日付で、西村大臣から中央環境審議会、高村会長に諮問が出されております。自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき講ずべき措置についてということでございます。この背景等につきましては、冒頭の白石局長のご挨拶にもございましたので、ちょっと割愛させていただきますけども、資料1-2をご覧いただきますれば、同日付で、中央環境審議会、高村会長から武内自然環境部会長のほうに付議がなされております。
 その上で、続きまして、資料1-3をご覧ください。これを専門的にご議論いただくために、この自然環境部会の中に自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の設置について、本日はこれをお諮りしたいと思っております。中央環境審議会の議事運営規則第8条第1項の規定に基づきまして、次のとおり決定するということの案でございまして、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会を置くと。この小委員会は、自然再興(ネイチャーポジティブ)の実現に向けて、民間等の活動促進につき講ずべき措置を審議する。三つ目としてございますけども、この小委員会に属すべき委員、臨時、または専門委員は、部会長が指名をするということになっておりまして、最後、小委員会の決議は部会長の同意を得て自然環境部会の決議とすることができるという案となっております。
 これに関しまして、背景につきまして、7月4日に実施をいたしましたOECMの設定・管理の推進に関する検討会、それから30by30に係る経済的インセンティブ等検討会でございますが、こちらで中間取りまとめをしたものがございますので、背景についてご説明したいと思います。
○自然環境計画課課長補佐 環境省の小林です。よろしくお願いいたします。
 私から、資料1-4に基づきまして、この小委員会を設置させていただきたい、その背景についてご説明したいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、1ページ目をご覧いただければと思います。きっかけはOECMです。環境省では、令和2年度からこのOECMについて有識者とともに検討を進めてまいりました。資料1-4の参考に、検討会の委員の名簿も載せておりますので後ほどご覧いただければと思います。
 続いて、ページ2、ご覧いただければと思います。まず、日本におけるOECMとはどんなものか、目指すべき姿は何かを考えました。OECMの設定を通じて目指すべき国土・社会の姿としてここに掲げている項目がございます。例えば、保護地域とOECMによる生態系ネットワークの形成、企業やNGOの価値の向上、OECMが地域の多様な主体の連携・協働のプラットフォームとして、地域の資産としても認知されていくような、そういう社会の実現のためにOECMをぜひ進めていきたいと考えておりました。そして、この日本におけるOECM、どんなところがあるのだろうかと考えていったときに、里地里山、水源の森、都市の自然など、比較的人々の身近な自然とか当たり前に感じるような自然、そして、民間企業の方々や地域の方々が主体的に取り組んでいるところも、こういったOECMに非常に親和性があるのではないかという議論をまず行っていました。
 続いて、3ページ目をご覧ください。一方で、日本の場合、国立公園といった保護地域の中でも、民間の方々が非常に頑張って取り組んでおられる地域は多数存在しております。そういったことを踏まえて、では、まずは民間の取組がなされている区域を保護地域内外問わず自然共生サイトとして認定していこうと。そして、その認定した後に、保護地域との重複を除いた区域をOECMとして登録していこうというような仕組みを考えました。ここに図があるように、自然共生サイトは、まず保護地域内外に問わず民間主体の取組区域を捉えていくと。そして、認定した後に、保護地域外のところはOECMになっていくと、そういう形で考えています。
 この自然共生サイト、どんなものかというのを簡単にご説明します。
 ページ4をご覧ください。まず、基準を考えました。それが令和3年度です。IUCNが出しているガイドラインやMethodologyを参考にしながら、自然共生サイトを認定するための基準を、検討会を踏まえながら考えていきました。大きく四つ、境界、ガバナンス、生物多様性の価値、管理による保全効果。もっと細かくありますが、ざっくり大きく四つであると。この基準をつくった上で、じゃあ、実際にそれがワークするかどうか、それを令和4年度、昨年度にトライアル、試行を実施しました。全部で56サイト実際に試行してみたと。それによってチューニングを行いながら、今年度いよいよ本格運用を開始したところでございます。
 続いて、ページ5をご覧ください。じゃあ、具体的にどんな場所があるかというと、これは昨年度のトライアルの写真を幾つか持ってきました。56サイトのうちの六つです。例えば、製紙会社さんが持っているような広大な森林、それから、都市の中の屋上のビルの緑地、それから、保育園の園庭の中でのビオトープ、それから工場の周りの緑地帯、それから、こちらはワインのブドウ畑の管理として、ここが草原的な管理がなされていて希少種も宝庫に見られるような場所、それから、アマモ場を造成しているような海の森。このように、非常に多種多様な自然環境、生態系タイプ、それから、管理者というか実施者、取組をなされる方も様々なタイプがあるということがあります。
 続いて、ページ6ですが、こういったのを自然共生サイトとして今年度から開始しました。ちょうど昨日まで前期分の審査委員会を実施しておりまして、今、その審査を踏まえて、結果公表に向けて手続を進めていこうとしている、ちょうどそういった段階です。そして、今年中に100サイト以上の認定を目指していきたいと、そういったスタートを、ローンチを切ったところでございます。
 続いて、7ページ目です。一方で、このネイチャーポジティブ、冒頭にありましたように、COP15で新たな世界目標ができて、いわゆるネイチャーポジティブの概念が掲げられて、そして、生物多様性国家戦略も、このネイチャーポジティブを実現するために閣議決定されたところでございます。そういった意味では、この自然共生サイトの認定制度を開始したところではございましたが、やはりこのネイチャーポジティブの実現に向けては、より一層さらなる高みを目指した制度に改良していくというか、目指していくことがやはり重要だろうと考えております。
 続いて、8ページをご覧ください。といいますのも、やはり自然共生サイトの運用をしながら、まだまだ課題が多いなと感じております。例えば、現状の運用している自然共生サイトでは、、申請時点で生物多様性の価値基準に合致するような場所を捉えていきますが、例えば、現状では管理放棄されているような場所、そういった生態系を回復させていくような取組、それから、これから新たに緑地を造成、創出していくような活動もネイチャーポジティブには必要なのではないかと。こういった取組を後押ししていきたい。それから、どのような活動がよいのか、そういう望ましい管理の在り方を示していくことも重要だと。当然、順応的管理が重要ですが、多様な方々が参画していく仕組みにしていきたいので、どういうふうにやればいいのか目安は示していきたい。それから、里地里山、都市の緑地といったことで進めていくためには、農水省さん、国交省さんといった関係省庁との連携をより一層深めていくことも重要であると考えております。そして、自然共生サイトの取組を通じて、地域活性化とか課題解決へ貢献を向けていたりとか、先ほどありましたような、TNFDとか、そういった開示にも対応できるような仕組みとして、信頼性をより一層確保していったりとか、それから手続の改善を簡素化とか、そういうことに対応できるようにしていきたいと思っています。そういった意味で、これらの課題に制度的に対応するために、中環審において法制化を視野に入れた検討をぜひ進めさせていただきたいと思いまして、今般、小委員会の設置をご審議いただきたいと考えております。
 以下は参考になっておりますが、資料1-3の、先ほど課長の則久からありましたように、お認めいただけましたら、小委員会の委員については部会長の指名によって決定させていただければと思っております。時間の関係もありますので、残りの観点は参考として後ほどご覧いただければと思います。インセンティブ、見える化、国の制度に基づくOECM、OECMの世界の情勢を参考で載せております。
 すみません、私からは、説明、以上です。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、今、説明のございました自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の設置についてということで、何かこの件に関してご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。会場におられる委員の方は名札を立てていただきたいと思います。それから、オンラインでご参加の方はチャットに記載をしていただければ、私のほうから改めて指名をさせていただきたいと思います。
 以上でございますが、それじゃあ、山本委員、お願いします。
○山本(清)委員 東京大学の山本です。ご説明ありがとうございました。
 資料の最後の1-4の3ページについて質問をします。自然共生サイトに認定する場合に、保護地域の内外を問わずというところがよく分かりませんでした。聞き漏らしたかもしれませんが、自然共生サイト、保護地域外で認定することで守られた自然の面積を増やしていくというのであればよく分かりますが、すでに保護地域に指定されている場所であっても認定することになった経緯を教えてください。この点は、応募する企業やその他の方々にとってもモチベーションを明確にする上で重要と思いまして、どうしてそのような手続きを踏もうとしているのか、経緯とか事情、理由があれば教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いします。
○武内部会長 それじゃあ、今のご質問にお答えをお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 山本先生、ありがとうございます。
 保護地域内で自然共生サイト認定を取り組んでいきたい背景や理由について説明いたします。
 面積を広げていくというのもすごく重要なんですが、質の向上、いわゆる生態系とか生物多様性の質のレベルをどんどん上げていきたいなと考えております。そういった意味では、この保護地域の中でも民間主体の取組を自然共生サイトとして認定していくことで、保護地域の管理の部分のレベルアップであったりとか、それに伴って生物多様性とか自然の保全の質の部分も上げていきたいということも考えまして、保護地域の中でも取組を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○山本(清)委員 どうもありがとうございました。どういうメリットがあるとするのか、制度的にどういうふうに支援できるか、といったことはこれからだろうと思いますが、今の説明で状況がよく分かりました。ありがとうございました。
○武内部会長 それでは、次に、江崎委員、お願いします。
○江崎委員 この設置については非常にいいかなと思っておりまして、ありがとうございます。その背景についてのご説明を踏まえて、全体的な視点だけでなく、やっぱりもう少し意識的に海の部分も見ていただけたらありがたいなと思っております。資料まで直していただく必要はないと思いますけれども、やはり私は海にいることが多くて漁業を見ていると、やはり漁獲が減っており、ネイチャーポジティブはまさに産業と直結している部分があって、回復を願っていますが、どうしても回復に転換するまでの間、やはり、最近、海業とも言われますように、違った形で資源を活用する形になってきています。そうすると、今まで取るということが主体だった漁業が、守るとか生物多様性に向けた取り組みとして関連してくると思います。省庁連携について書いてある部分があるので、もう少し海のところにも意識を持っていただき、特に水産行政や経済につながっていくとありがたいです。お願いいたします。
○武内部会長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
○自然環境計画課課長補佐 江崎先生、ありがとうございます。 
おっしゃるとおり海の部分、取組を進めていきたいなと考えております。確かに現状だとどうしてもトライアルとか民間の方々の取組は、陸のほうが多いという現状がございます。海のほう、土地の権利関係とか、所有関係とか、なかなか複雑で、今、そこを関係省庁と整理を進めているところです。そういった意味ではそこら辺の制度的な部分を含めて、関係省庁ともしっかり連携しながら、今少し遅れてしまっていますが、海の取組も後押しできるようにしていきたいなと思っております。ありがとうございます。
○武内部会長 今のことに関連して、私、生物多様性の地域戦略の座長をやったことがあるんだけど、海はどうやってやったらいいのかって、よく分かんないって言うんだよ。30by30の30がね、陸は分かるでしょ、保護区域があって。だから、その海域の言わばOECM的な指定というのをどうやったらいいのかというの、やっぱりそれはちゃんと環境省が具体的に示した方がいいと思うんだよね。国家戦略ではどうしているの、海は。海の3割というのはどうなっているの。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 生物多様性戦略推進室の松永といいます。今年の4月から着任しておりますが、国家戦略の中で海の保全に関しては、30by30ロードマップの中でもありますけれども、一応既存の法律の枠組みの中で13.何%という形で、今、保全が担保されているところではあります。今後、やっぱり30%まで、かなりのギャップがあるというところですので、当然OECMという部分は期待するところですし、ちょっとまだ議論が十分ではないところではありますけれども、関係省庁ですとか、あとは内部の検討も含めて進めていければというふうに思っております。
 すみません、ちょっとしっかりとした答えになっていませんが。
○武内部会長 もう少し、実際にどういうふうな作業をするとどこまでの範囲になるのかとかね、そのときに、言わばOECM的に使いながら自然を守っていくというのは、具体的にどういう活動になるのかとかね、そういうことがちょっとまだはっきりしていないと思うんだよね。だから、そこはぜひ。
○江崎委員 いいですか。
 漁業では、共同漁業権とか区画漁業権があって管理されている区域があるので、もしかしたら漁業者は嫌がるかも分からないけど、本来自分たちでそこを守っているはずだと思うんですね。そういう範囲というのを考えていくと、もしかしたらいいのかなと考えますね。あと、デジタルでも、今ちょっと結構アップできたりするところがあるので、民間の活動として私たちも今始めているのは、ポイントを決めてモニタリングして、そこで見つけた生物をどんどん投稿していくとか、まずはそういうところのノウハウもあると思うので、1回そういうのを整理してみるというのも、その小委員会とかでも、ノウハウも考えていただくといいかもしれないと思います。
○自然環境計画課長 ありがとうございます。ちょっと海のOECMの関係につきまして、先ほど説明を省略いたしました。資料1-4の11ページに少し簡単ではございますが書いてございまして、対応すべき課題の中ほどのところ、国の制度等に基づくOECMというところで海域とございますけども、海域につきましては、関係省庁が連携し、持続可能な産業活動が結果として生物多様性の保全に貢献している広域をOECMとすることを検討していると。該当する場所の整理を進めていくことが重要であると。
 それに対して、今後の方向性として、重要海域など既存の科学的根拠や海洋資源利用などの状況を基に、この候補の海域を抽出して、関係省庁や専門家の意見等を聞きながら該当箇所の整理を行っていこうということで考えているところで、これ実際難しいのは、本当に部会長おっしゃるとおりで、そのとおりで、陸域に比べて海をどうしていくかという部分、課題は多いと思っておりますが、いずれにしても2030年までに30%海というのは、これは目標でございますので、ここはしっかりとやっていきたいと思っております。
○武内部会長 これ、ちょっと世界ってどうなっているのかね。そういうところもちょっと視野に入れながら。
○自然環境計画課長 はい。
○武内部会長 陸域は、分母と分子がはっきりしているわけですよ。海域はその両方ともはっきりしてないという。それで今のね、何か入会権みたいなやつとかというのが分子になるのかもしれないけど、分母が大体どこまでなのかというのが、そういうことも含めて陸域と違う何か難しさがあると思うので、そこをやっぱりはっきりさせておかないと、陸はどんどんうまくいって進むけどね、企業の森とか。海のほうは何となく中途半端なままで終わってしまうということにならないように、ぜひお願いしたいと思います。ということで、検討してください。
 それでは、愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。愛甲です。
 三つありまして、一つは、今、企業等の話、結構企業等というふうに書いてあるのでその中に含まれているとは思うんですが、自分のことも含めて言いますと、学校等の法人ですね、そういうところとか、あと自治体等に対しても自然共生サイトになるような場所を持っているところもありますし、現にうちの大学も申請させていただきましたけど、実際に結構学内で調整するときに、一体何のメリットがあるんだということを結構上のほうに言われまして、それでも理解を得て申請させていただいていますけど、そういった団体等へのサポートというのも、この新しくつくる小委員会の中で議論していただけると助かりますというのが一つ、コメント。
 それからもう一つは、現状の保護地域等の話、先ほど山本さんからもありましたけど、それの拡張の話も30by30の話の中ではあったはずですが、そこにおいても指定されている、候補としてなっている場所で、いま一つ地元のほうで盛り上がっていないというような状況もあったりして、その辺のサポート、これは自然共生サイトの話とはちょっと離れて公園の話になりますけどしていただきたいということ。
 それから、もう一つは、ポテンシャルが実際にはあるんだけど、所有者の意向でなかなかそういう話にはなっていない場所というのもあって、北海道の審議会のほうでそういうのを担当していたときに実際にあったんですけど、鳥獣保護区だったと思いますけど、それを指定するときに、隣接している場所を企業さんが持っていらして、今は指定したくないということで同意が得られなくて指定できなかったけど、ほぼ同じような形質を持っている土地でつながっていると、土地所有者が違ってと。そういう場所も本当は積極的にお願いをして、そういう場所をできるだけ候補として挙げておいて、ポテンシャルのある場所を見つけていって、今の仕組みはどうしてもやっぱり立候補で手を挙げていただいたところをどんどん指定していくということだと思うんですけど、それだけではなくてやらなければいけない場所というのもあるはずで、そっちも考えいただきたいという。その三つ、コメントです。
○武内部会長 ありがとうございます。
 何かございますか、事務局から。
○自然環境計画課課長補佐 愛甲先生、ありがとうございます。
まず、北海道大学として試行にも参加いただいたことを御礼申し上げます。
 一つ目でいただいた、インセンティブとかメリットの部分についてです。インセンティブとかメリットというのは非常に多く声をいただいております。こちらについて、現状でも、このインセンティブの検討会をやっておりまして、そこでも議論を深めていきたいと、一つ支援証明書とか有識者の派遣であったりとか、そういうのを伴走支援もサポートしていきたいなと思っております。
 また、ポテンシャルの部分については、これから生物多様性の見える化のようなシステムをつくっていきたいとなと思っていまして、そういったデータを活用しながら、こんな場所がすごく重要だよというものを示していくような仕組みも併せて考えていきたいと思っております。
 以上です。
○武内部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、オンラインでご参加の委員の方、お待たせいたしました。
 最初、中村委員、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。北大の中村です。
 2点なんですが、1点目が、資料の8ページに、今回の小委員会をつくることは、もちろん賛成です。それで、その小委員会で議論する中身について、認定制度と書いてあるところに劣化地の回復や新たに緑を創出するような活動も後押しすると書いてあるんですが、そうすると、そもそも認定する段階では、劣化した状態のものも認定するように感じてしまうんですけど。この小委員会でどこまでやるのかな、これはどちらかというと自然再生的な内容だと思うんですが、この辺も含めてこれを認定制度にどうやって取り込んでいくのか、ロジックが分からなかったので教えていただきたいと思います。
 一方で、この前の昆明・モントリオールのときに劣化地の30%を復元するみたいな、そんな目標もあったと思うので、それと関連しているのかどうかも教えてください。
 それから、北海道の企業のOECMの申請にちょっと関わったときに、その内容は生物多様性だけではなくて生態系サービスも書いてあったんですね。例えば、昨今のこの気候変動を考えると、こういう地域の指定をするときに、TCFDとTNFDがあるように、CO2の固定みたいなことについても評価して。例えば、この認定制度に入れていくとか、そういう生態系サービスみたいなところはどういう形で考えているのか、その辺を教えてください。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 どうぞ、事務局から。
○自然環境計画課課長補佐 中村先生、ありがとうございます。 
まず1点目です。ご質問いただいた生態系の回復をするような、そういった取組もぜひ後押ししていきたいと考えているので、こういったところも認定していくような仕組みはどうかというのは考えております。具体的にはまた小委員会でぜひ議論していきたいと思っているんですが、そういった意味では、認定した時点ではOECMとは呼べないかもしれないんですけども、取組としては、ぜひ国内としては認定していって、回復させていって、しっかり質を担保した上でOECM登録するような、そういった流れもぜひ考えていきたいなというふうに思っているところです。こちらについては、おっしゃるとおり、昆明・モントリオールのターゲット2の劣化地の30by30というのも意識しながら考えていければというふうに思っております。この辺りも具体的にはぜひ小委員会で議論を進めていきたいなとは思っております。
 そして、2点目でございます。おっしゃるとおり、現状のこの認定制度は生物多様性の価値にフォーカスを当てておりますが、生態系サービスについても記載項目はあって、そういったところを任意ですが書いていただいたりしております。地域の様々な課題とか他分野との連携という意味では、おっしゃっていただいたような、どれくらい、炭素固定しているんだろうとか、水源関与にどれくらい寄与しているんだとか、そういった部分での生態系サービスの効果についても、どのように一緒にセットになって評価できるかというのもぜひ検討ができればなというふうには考えているところです。
○中村委員 ありがとうございました。
○武内部会長 それでは、次に藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。藤田です。
 私からも2点あります。既に今年度認定が始まっているというご説明でしたけれども、この認定されるための生物多様性の基準というのは、この法制化のためのこの委員会が立ち上がったからといって基準は恐らく変わらないと思うんですが、認定地域全体の生物多様性の状況を評価できるのかどうかということです。既にもう認定を受けたりとか、あるいは、昨年度認定相当といったところでも、調べてみると全体として、生物多様性に重要な土地かどうかというのって入っているのかなと思っていて。何でかというと、環境DNA等、東北大学のプロジェクトで調べてみたところ、確かに絶滅危惧種はいるんだけれども、全体で見ると外来種がすごく多かったりとか、少し問題があるんじゃないのというところがあったということを聞いたんですね。その地域全体が基準の一つでも満たせば認定地となっているのであれば、そこ全体のエリアが本当に生物多様性に重要な土地というふうに判定していいのかどうかです。そこは小委員会ができたからといって基準を見直すわけじゃないんだと思うんですけど、土地全体をどう評価するのかということを教えていただきたいのが1点。
 2点目は、これは開示のときに重要になってくると思うんですけど、その地域の生物多様性の見える化とか定量評価ってするのかどうかです。日本はこれだけの認定地がありますという数値目標は達成できるかもしれませんけど、その認定したエリア全体の生物多様性の見える化とか、全体として生物多様性がこれだけ向上したとか。あるいは企業が取り組みをしたことで、認定されたエリアでこれだけ生物多様性向上に寄与しましたって言えるようなものになるのか、ただ単に認定を受けましたということだけになるのか。法制化によってこのあたりが変わってくるのか、お伺いしたいと思います。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それじゃあ、どうぞ。
○自然環境計画課課長補佐 藤田先生、ありがとうございます。
 まず、1点目についてです。今後小委員会でぜひご議論いただきたいと考えておりますが、先ほど中村先生からもご質問いただいたように、今後、制度化を考えるときには、ネイチャーポジティブに向けた取組かどうかというところに、より視点を、力点を置いて認定していくことが重要なんじゃないかなと考えております。そういった意味では、現状の自然共生サイトの認定基準と必ずしも全部が一致というわけではないかもしれないんですけど、より取組にフォーカスして判定していきたいと思っています。一方で、生物多様性の状態はどうなのかといったときについては、現状のこの自然共生サイトの認定基準の、生物多様性の価値基準を踏まえて整理していきたいと思っています。
 そういった中で、おっしゃるとおり、今、申請エリアの中で価値、どれかが合致するような形では見てはいるんですけども、エリア全体としてどうなのかとか、先ほどおっしゃっていただいたような外来種のような危機がないかどうかというところを踏まえながら審査は行っております。そういった意味では、そういう何か一部分だけ見て、ほかのところが実は全体で悪かったから認定してしまったということがないようなことは気をつけながら運用はしているところです。
 2点目についてでございます。今動かしている自然共生サイトもそうですが、認定しました、はい、終了ということではなくて、認定をきっかけにより活動を促進していくような、そういう未来志向の制度にしていきたいと思っています。そういった意味では、非常にモニタリングの部分とかを含めて、取組をどんどん記録していくとか、それによってどうなったかというのを、どこまでこれは評価できるかという視点を、これから我々も考えなきゃいけないところではございますが、後押ししていって、企業の取組を促進するような制度にしていきたいと、そんなふうに考えております。
 以上です。
○藤田委員 ありがとうございます。
○武内部会長 それでは、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 橋本です。ありがとうございます。
 質問とコメントがあります。質問のほうは、自然共生サイトに認められた土地のうち、保護地域外を除外した区域は、確実にOECMに登録されるのかということです。つまり、国際データベースに登録する際に何か別のプロセスがあるのかということですね。恐らくIUCNのステップなどを基につくられているので、ここの接続は大丈夫なのだと思うんですけれど、入念につくり過ぎるがあまり国内の認定の仕組みが複雑になり過ぎてしまうというのも若干懸念しています。なので、国際的に認められる手続が十分反映されているかというのをちょっと確認したいということです。
 もう一つはコメントです。今、少しモニタリングの話が出たんですが、長期的な安定性の確保、OECMがとても重要になると考えています。やっぱり民有地の登録なので、いろんな事情でOECMとして、自然共生サイトとして続けられないというものが相次ぐと、結局いろんなOECMの登録や除外手続などで非常に手続が煩雑になって、非常に行政コストが上がってしまうんじゃないのかということを懸念しています。だから、この長期的な安定性をどうやって確保するのかというのが、あるいはそれを担保するというか、それと併せたモニタリングの確保というのがとても重要だというふうに考えています。
 あと、もう一つは、これも安定性の確保と関連するんですけれど、やっぱりインセンティブですね。これは、恐らく民間企業、あるいは民間組織ですね、様々な組織でやると思うんですけれど、どういうインセンティブが明確に与えられるのか、幾つかこれは検討のプロセスで案が検討されていると思います。国内的なインセンティブ、あるいはTNFDとも絡めた国際的なインセンティブというのは、アイデアは出されていたと思うんですけど、本当にこれが確実に動くようになるのかというのを、やや懸念しておりまして、ここのインセンティブの確保の確実性というものをぜひとも高めていただきたいというのが意見でございます。
 ひとまず、質問についてはお答えいただけないでしょうか。
○武内部会長 どうぞ。
○自然環境計画課課長補佐 橋本先生、ありがとうございます。
 では、1点の質問についてお答えいたします。今、動かしている自然共生サイトの制度については、認定したところは保護地域を除外して、OECMに登録するようなプロセスを考えています。というのも、このOECMに該当するかどうかという国際的な、特にIUCNが考えている考え方、基準に基づいてこの自然共生サイトの認定基準をつくっているところもあります。そういったことで、この自然共生サイトの認定地が、認定ということであれば、国際的な考え方、基準に合致しているものというふうにみなせると。そういった中では、ちゃんと海外的にも説明できるとか、信頼性の確保という意味で、なぜそこが認定されたのかというのを説明できる部分を、我々環境省は用意していきたいなというふうには考えているところです。
 コメントについてはありがとうございます。いただいたコメントを踏まえて検討していきたいと思っております。
○橋本委員 すみません、ありがとうございます。基本的にじゃあ、国際データベースに登録する際に追加的な審査はないということでいいんですかね。
○自然環境計画課課長補佐 はい。今のところ、そういったふうに考えております。
○橋本委員 分かりました。ありがとうございます。
○武内部会長 まだほかに、勢一委員、水田委員、広井委員、大沼委員という発言のご希望がございます。少し時間は押しているんですけれども、そこまでの方にはご発言をいただこうと思いますので、それから後に何かご意見がある方については、恐縮ですけれども、別途文書でご提出いただき、事務局からそれについて回答するという形にさせていただきたいと思います。
 少し時間が押していますので、質問はできるだけ、あるいはご意見はできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
 それでは、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
 小委員会の設置については異存ありません。私も質問もあったのですが、先ほど橋本委員の質問とほぼ同趣旨でしたので、質問については追加ではさせていただきません。若干コメントだけさせていただければと思います。
 先行して自然共生サイトの試行をしていただいていて、意欲的な取組自体はすばらしいと思っています。ただ、この自然共生サイトで保護地内外を問わず認定という部分、先ほどご説明もありましたけれども、個人的には極めて日本的な仕組みだなと感じています。なかなか国際的には保護区域内を民間に委ねるということはあまりないと思いますので、この辺り、日本的な仕組みを考える必要があるのかもしれません。
 他方で、30by30など国際的約束の国家目標としては、国家全体のビジョン、国土全体を見据えたビジョンということになりますので、どこまで民間のインセンティブを優先していくかというところはほかの方針との調整が非常に重要であろうと思います。そういう意味では、法制化の仕組みが重要だとは思うのですけれども、なかなか今年度本格運用を開始した認定制度と、それを前提とした議論になるのかどうか、この辺りはなかなか悩ましいなと思ってお話を伺っておりました。
 インセンティブ付与については、ほかの会議体で議論というお話もありましたので、小委員会のミッションをある程度明確化しておくということが最初の時点で必要ではないかと感じております。
 また、これもご意見がありましたけれども、法定の保護区域等の整理・調整というところも併せて検討する必要があろうかと思います。今後の拡張を含めて、これから実現すればOECMへの登録との調整が必要になろうかと思いますので、この辺りの整理も事前にお願いできればと思います。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 よろしいですか。
 それでは、次、水田委員、お願いします。
○水田委員 水田です。よろしくお願いします。
 小委員会の設置に関してなんですけども、この後、生物多様性国家戦略の小委員会の廃止について議論があると思うんですけれども、ここで、この小委員会の廃止について考える必要はないかと思いますけれども、少なくともそのゴールが何かということは明確にしたほうがいいのではないかと思います。国家戦略の場合は、国家戦略が策定されればそれがゴールだということが明確だと思うんですけれども、少なくとも今回のこの小委員会のタイトルだけを見ると、何がゴールかというのが明確には分からないということなので、この時点でゴールを設定したほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
○武内部会長 よろしいですよね。了解しました。
 それじゃあ、広井委員、お願いします。
○広井委員 ありがとうございます。広井です。
 1点コメントです。これは生物多様性国家戦略の委員会でも発言させていただいていた論点なんですが、OECMのところで鎮守の森というのも一定注目していただきたいということです。神社、お寺ということですけども、神社、お寺がそれぞれ8万か所ぐらい日本にありまして、コンビニの数が6万ぐらいですから、それよりも大きい、多いものが全国にくまなく分布していて、境内だけではなくて、山が神様、ご神体であったり。これはやはり文化という点、日本の伝統文化ということで国際的にも発信していける、ジブリ映画などとも通じる、そういう性格も持っていると思いますし、いわゆる機械論的な自然観とは異なる自然観というような意味でも意義があると思います。これについては、社叢学会というのがあって、鎮守の森に関する学際的な学会の、京大名誉教授の森本先生が自然共生サイトの何か関連の委員会にも関与されているというのを伺ったことがありますので、既にいろいろ議論はなされているとは思いますけど、留意点として一つ注目いただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、大沼委員、お願いします。
○大沼委員 ありがとうございます。私から1点コメントと簡単な細かい質問をさせていただきます。
 資料1-4の8ページで、先ほどご説明のありました、今後ネイチャーポジティブというものを実現する上で、劣化地の回復とか新たに緑を創出するような活動など、こういったことが書かれているわけですけれども、これは当然30by30という目標と整合的になるのじゃないかと思うのですけれども、こういった数値目標というのを一元的に出す場合、やっぱり気をつけなければならないのは、ディストーション(歪み)といいますか、そういったものが出てきてしまうということなんですね。つまり、例えば30by30という目標というのは、非常に意義あるものだと思うのですけれども、面積というものを目標としているということで、どうしてもそれを満たすために面積というものを最優先してしまうんではないかという危惧というものがあるんですね。一方で、面積という点ではそれほど大きくないんだけれど、非常に重要な生物多様性の価値を持つようなところもあるわけですね。ですので、今後、こうしたネイチャーポジティブという政策を考えていくとき、生物多様性価値と、いわゆるこの面積というもののトレードオフというバッティングが起きる可能性もありますので、そのときにどのような形でそれを解決していくかということも考えていっていただきたいなというのが私のコメントです。
 それから、非常に細かいのですけれども、質問ですが、その下のところで、金融や資本側から求められる開示への対応に活用できる仕組みというのが書かれてありますけれども、この資料では、別のところでは企業という言葉を使って、ここで資本という言葉を使っているんですけれども、ちょっと経済学の立場からするとちょっと細かいので恐縮ですけれども、やっぱり資本というのはこうした文脈では使わないですね。やっぱりここは企業という形にしたほうがよいと思います。あわせて、先ほどからコメントもありましたように、例えば地方自治体とか、それから研究機関、大学などから求められる開示というものも付加するような形にされたほうがいいんじゃないかと思います。
 以上です。
○武内部会長 よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。具体的な中身についてのご質問、ご意見だったと思いますが、改めまして、この小委員会ですね、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の設置について、原案どおり自然環境部会として決定することについて、ご異議はございませんでしょうか。
(異議なし)
○武内部会長 ありがとうございます。それでは、本件については適当と認めることといたします。なお、小委員会の委員の指名は、部会長、私に一任させていただき、決まり次第皆様にも事務局を通じてお知らせをさせていただきたいと思います。
 それでは、次の議題、遺伝子組換え生物等専門委員会の廃止についてと、それからもう一つ、生物多様性国家戦略小委員会の廃止について、事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 資料2-1、中央環境審議会自然環境部会小委員会・専門委員会の廃止について(案)をご説明いたします。
 まず、遺伝子組換え生物等専門委員会についてでございます。この専門委員会は遺伝子組換え生物等に係る国内外の動向を踏まえつつ、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律の施行状況等に関する事項について調査及び検討を行うものとして平成27年8月に設置されました。その後、平成31年2月までに検討会を含めて7回開催をしまして、同法の施行状況及び同法の規制対象外とされた生物の取扱い等について取りまとめが行われました。これにより審議に一区切りがついたため廃止とするものでございます。
 続きまして、生物多様性国家戦略小委員会についてご説明いたします。この小委員会は、生物多様性基本法第11条に規定をします生物多様性国家戦略の案の検討を行うものとして、令和3年8月に設置されました。具体的には生物多様性基本法第11条に規定をしております生物多様性国家戦略の変更の案の検討の行うということで、本年の3月までに7回開催されまして、生物多様性国家戦略2023-2030(案)を取りまとめ、この戦略は本年3月に閣議決定されたところでございます。これにより、審議に区切りがついたため廃止とするものでございます。
 以上、二つの会議の廃止につきまして、ご審議をお願いいたします。
○武内部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明に対しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。先ほどと同じように、会場にご参加の方は名札を立てる、それからオンラインでご参加の方はチャットに記載をするということでお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
○武内部会長 それでは、特段、ご質問、ご意見についてないということでございますので、まず遺伝子組換え生物等専門委員会の廃止についてお諮りをしたいと思います。
 これについて、ご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○武内部会長 それでは、本件については適当と認めることにさせていただきます。
 次に、生物多様性国家戦略小委員会の廃止についてお諮りをしたいと思います。
 これについて、このまま異議なしということで認めてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武内部会長 ありがとうございます。
 それでは、この件についても適当と認めることにさせていただきます。
 それでは、続いて報告事項に進ませていただきます。まず、三つの報告事項について事務局より説明、そして、最後にまとめて質疑応答とさせていただきたいと思います。
 それでは、一つ目の報告事項として、自然環境保全基礎調査マスタープランの策定について説明をお願いいたします。
○生物多様性センター長 生物多様性センター長の松本でございます。説明させていただきます。
 自然環境保全法に基づきまして、1973年の自然環境保全基礎調査の開始から50年の節目を今年迎えます。それに先立って、昨年度、自然環境保全基礎調査のマスタープランを策定し、この5月に発表いたしました。本日、資料4-1の1ページ目にお示しした三つの内容について報告させていただきます。
 2ページ目にいきまして、自然環境保全基礎調査のマスタープランと総合解析、背景と経緯、枠組みでございます。基礎調査は、自然環境保全法に基づき日本の自然環境の現状と変化の把握を目的に、全国悉皆的な調査を実施して、自然環境、生物多様性施策の推進のために必要な基礎資料を整備しております。ただ、この50年の間に日本の社会構造が大きく変化をしてきたことを受けまして、科学的な基盤情報の役割を維持しつつ、直面している様々な課題の同時解決、それからネイチャーポジティプの実現に向けまして、中長期的な視点から今後の基礎調査の実施方針や調査の計画を定めたものでございます。あわせて、附属資料として、生物多様性情報の相互利用・共有化を推進するため、データの取扱いを示した道しるべとなるガイドラインを作成いたしました。そして、もう一つ併せて、モニタリングサイト1000も基礎調査の一環として実施しておりますが、そういった多様性センターや環境省で実施をしている調査の他、それ以外の他機関の調査データも援用しまして、総合解析を実施するための方針を策定しております。
 策定に当たって、各分野の専門家、専門知見を有する有識者で構成する基本方針の検討会を設置し、その下にマスタープランを検討する計画部会、それから総合解析方針を検討する解析部会を設置して、同時並行的に議論を進めました。同検討会、それから計画部会の座長には本審議会の委員も務めております中静先生、それから解析方針部会の座長に関しては、同じく中村委員に担っていただきました。検討に当たってのポイントを、資料に枠組みとして示していますが、二つの部会を同時に開催しまして、その結果を双方向で、それぞれマスタープランの内容、それから解析テーマの選定などに反映する工夫をするとともに、今年度から3年間で実施する総合解析において、その結果に基づき、必要なデータギャップであったり調査のニーズに関してマスタープランの中間評価等でフィードバックをするという形にしております。構成等については、お示しした資料を参考にいただければと思います。
 3ページ目、お願いします。
 ここからは、基礎調査マスタープランのポイントです。全体構成、背景、概要は先ほどお示ししたとおりですが、その在り方について、資料の真ん中のほうにある基礎調査の役割、設計の考え方のところをご覧いただきたいのですが、役割としては、まず自然環境の現状把握、それから情報基盤の整備というこれまでの重要な役割を再確認しつつ、社会・政策課題にしっかりと対応するための情報提供の役割、そして、これらの自然環境情報を、政策策定それから意思決定につないでいくインターフェースとしての役割、これらの3つの役割を担っていくという認識の基で、下に示した調査設計の考え方を整理しています。
 そして、特に解析の部分においては、基礎調査の枠組みの中では、将来予測や高度な解析等、自然環境の状態等の評価まではなかなか難しいというところで、例えば推進費ですね、それからJBOなど、他の総合的な評価の取組への下地としての情報の整備・提供になるよう、念頭に置きながら留意して調査設計をすることとしています。
 次のページをお願いします。
 こちらは、マスタープランの概要をもう少し網羅的に示したものです。ポイントといたしましては、従来の調査項目を様々な観点から優先度づけ、最適化を図ったこと、そして従来の幅広い現状把握を目的としつつも、社会情勢やニーズの変化に応じて実現性の高い調査設計を目指しました。また、今までどおりの調査項目の設定、優先度だけではなくて、新たに新機軸の調査を設定してございます。調査成果の情報発信のところでは、先ほど少し触れましたが、生物多様性情報の取扱いの指標となりますガイドラインを策定しまして、オープンデータ化の推進、それから情報提供の基盤・体制の相互利活用の強化を目指すことを記載しています。
 次5ページ目、お願いします。
 こちら、あわせてスケジュール案、あくまで計画ですが、設定しております。こちらに関しては、検討会においてニーズや利用実績、他機関の調査との類似性等から見直しを行いまして、優先度づけと最適化を図りました。このように、種の分布の調査(左側の①と書いてあるところです。)、それから生態系の把握をする調査、そして生物多様性情報収集調査と大きく三つのカテゴリーで調査スケジュール案を設定してございます。進捗状況、見直しを図る目的で5年目を目処に中間評価を行いまして、最終9年目、10年目に取りまとめによる総括と成果活用レビューを行い次期計画への反映を図ることとしています。先ほどご説明した総合解析を今年度から開始しますので、中間評価のときにその結果のフィードバックも図るという建て付けになっております。
 次、お願いします。
 同時並行的に国家戦略2023-2030の策定に向けた検討が進んでおりましたので、昨年度末に閣議決定し、公表された国家戦略において状態目標や行動目標の指標にも、これらの成果を活用、もしくは活用していく予定として位置づけてございます。
 次、7ページ目お願いします。
 先ほど、基礎調査マスタープランの附属資料として作成したと説明しました自然環境調査に係る生物多様性情報の整備と発信のガイドラインについてまとめたものでございます。ポイントは、多様性センターで実施する基礎調査等の様々な調査は、裾野が広くステークホルダーも多い中で、調査で取得される生物多様性情報に関して、オープンデータの原則や共通のデータ記述フォーマットの基本的な考え方を示したものでございます。今後、各主体で蓄積されている生物多様性情報の横断的な利用がますます望まれる状況の中で、今回の検討会でも、公開されているデータをまとめて利用するのがなかなか難しい、困難という意見であったり、自治体担当者や一般のユーザーの方から、より使いやすいようなデータにしてほしい、利用しやすい取りまとめが必要であるというご意見をいただきまして、多様性センターの調査で得られる生物多様性情報に係るデータの取扱いの考え方を整理するものとして作成したものでございます。
 次、お願いします。
 自然環境保全基礎調査の総合解析について簡単にご紹介します。こちら、今年度から3年計画で実施し既に取組を進めておりますが、その方針としては、50年間の基礎調査の成果をベースに、他の自然・社会学的な調査データも援用し総合的に解析しまして、今の日本全体の自然環境の現状や変化、傾向を分かりやすく示して取りまとめることを目指します。また、先ほども説明したとおり、その成果をしっかりとJBOや、もしくは関連する推進費等の研究プロジェクトにもインプットを図っていくという考えでございます。基本的な考え方は大きく二つありまして、まずは日本の自然環境と現状と変化を示すこと。これは最近把握された情報、50年間に蓄積されてきたもの、他機関調査から援用データを活用し、図グラフや模式図等の形で分かりやすく示すというものでございます。そして、もう一つは、自然環境保全基礎調査のデータの利活用の可能性を広げるという二つの目的を設定しております。
 最後のページは、総合解析のアウトプットイメージについてございます。先ほど説明した基本的な方針を受けまして、左側の解析テーマ案の点線枠組みのところですが、解析の枠組みとして四つのカテゴリー、Aの生物多様性の状態、Bの危機の要因・影響の状況、これは多様性国家戦略の四つの危機に合わせています。そして、Cの対策・取組の状況、Dの対策に係る検証と分析という類型化を図りました。アウトプットの活用先としては、一般向けの資料、政策決定者向けの資料というところで、これらの解析結果について地図やグラフ等で一般にも分かりやすく、そして政策決定者向けにも使いやすく示すことを想定しています。基となったデータ、もしくは二次加工データについてデータベースを作成して、情報提供システム、もしくはネット通じて提供していくことも想定しています。
 最後に、簡単にまとめさせていただきますと、基礎調査マスタープランに基づき、ニーズを踏まえた実効性のある調査を今後とも実施していくとともに、総合解析方針に基づいて3年間の総合解析を実施しまして基盤となる生物多様性情報を整備し、それらから使いやすい情報発信とデータ提供に、引き続き努めてまいる所存ということでご報告事項でございます。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、次の報告事項に移らせていただきたいと思います。国立公園のブランドプロミスについてと、宿舎事業を中心とした国立公園利用拠点の面的魅力向上に向けた取組方針の策定について、この二つについて事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 国立公園課の山崎と申します。国立公園満喫プロジェクトの進捗状況について、2件まとめてご報告させていただきます。
 2016年に満喫プロジェクトを開始しまして7年経過したところですけれども、現在、改正した自然公園法の運用も含めまして、国立公園34全体への水平展開を順次進めているところでございます。このような中で、国立公園のブランディングを強化するために、今般、国立公園のブランドプロミスというものを定めましたのでご報告いたします。
 ブランドプロミスというのは、国立公園が国立公園を訪れる人や、それから国立公園の地域全体に対しても約束することですけれども、感動的な自然風景、サステナビリティへの共感、自然と人々の物語を知るアクティビティ、感動体験を支える施設とサービスというこの4点を国立公園のブランドプロミスとして定めました。今後、国立公園の管理運営に関わる関係者が共通の理解として持ちながら、連携して管理運営を進めてまいりたいと思っております。このブランドプロミスを実現し続けるためのブランディング活動というものも、この下に9点定めております。こういったことに環境省が地域と関係者と一緒に取り組んでいくということを今般整理し、発信、ブランディングにも活用しつつ、環境省の職員にもインナーブランディングという形で周知していきたいと思っております。
 次に、国立公園における滞在体験の魅力向上について、取組状況をご報告させていただきます。
 昨年、インバウンドが本格的に再開したことを踏まえまして、国立公園満喫プロジェクトの新たな、さらなる展開としまして、民間の提案、知見を活用しながら国立公園の利用拠点の面的な魅力向上に取り組む、その中で、美しい自然の中での感動体験を柱とした滞在型・高付加価値観光の推進を図るための取組を進めてまいりました。具体的な事例としてモデル事業を実施して、その具体事例の創出に取り組みたいと思っております。
 これまで、検討会を開催しまして、今後の取組方針を取りまとめたところでございます。重要なところとしましては、国立公園の利用の高付加価値化に向けた方向性として、国立公園の魅力的な自然環境を基盤として、その土地の生活・文化・歴史を踏まえて、本物の価値に基づく感動や学びの体験を提供していく。それによって、利用者に自己の内面の変化を起こしていくという方向性と、また、関係者が地域に対しても自然環境に対しても持続可能で責任ある観光をやっていくといったような姿勢を関係者で共有して、保護と利用の好循環を具体的につくり出していくということを目指していく、こういった方向性を定めました。
 8月4日に取組方針に基づき具体の事業を進めるモデル公園を3公園選定して公表をしております。十和田八幡平、中部山岳、大山隠岐になりますけれども、今後これらの公園で具体的な事業を進めていくことになります。
 次のページの対象公園の概要については説明を割愛させていただきます。
 これから具体的にどのような事業を進めるかについて、今回選定した三つの対象公園で、この公園の利用の高付加価値化に向けた基本構想というものの検討を進めてまいります。基本構想については、民間提案を募集するとともに、地域でどのように推進していくかという枠組みについても併せて検討してまいりたいと思っております。この検討を通じて、地域での体制の構築状況や、国立公園としての滞在型高付加価値観光を進めるポテンシャルの観点などから、集中的に取り組む利用拠点を一、二か所選定して、2024年度からさらに集中的な取組を進めたいと思います。
 下にその具体的な取組のイメージがありますが、民間提案による高付加価値な宿泊施設の整備をしつつ、地域が連携して自然体験アクティビティを宿泊施設で提供していくとか、宿泊施設自体が自然環境保全に貢献をしていくとか、併せて周りの利用環境に対する維持管理などにも取り組んでいくと、こういった形で面的な魅力向上をパッケージで行っていくようなこと、これを官民連携で進めてまいりたいというふうに思っております。
 私からの説明は以上でございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま報告がございました三つの件について、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、小泉委員、お願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。小泉です。
 自然環境保全基礎調査について質問させていただきます。資料の3ページですけれども、私、自然環境保全基礎調査のデータは大変頻繁に利用させていただきまして、これからもっと拡充していっていただけるとよいと思っています。報告内容には異論ありませんが、3ページ目の利用のところ、一般から企業になっていますけれど、この実態が把握されているか、質問させていただきたいと思います。インターネット上でデータや報告書を公開しているわけですから、利用状況というのは日々更新されていると思います。総アクセス数だけではなくて、どんなデータが頻繁に閲覧されているかというようなことも分かると思います。今日の報告では、データを提供する側のお話が多かったと思いますが、例えば国土数値情報のように、簡単なアンケートをつけるだけでどんな分野の人がどんな目的でデータを利用しているかというようなことまで把握できると思います。EBPMというような文言も入っておりましたので、もう少し利用の実態を把握することによって提供するエビデンスの質の向上を図れるというようなふうにつなげていけるのではないかと思います。利用の実態を把握されているかどうか、教えていただけますでしょうか。
○武内部会長 それじゃあ、利用の実態のことについて。
○生物多様性センター長 まず、実際に調査データを利用いただいているというところ、ありがとうございます。
 ご質問の利用実態を把握しているかという点に関しまして、いろいろなアプローチ、ツールで把握に努めております。小泉委員からもコメントありましたように、J-IBIS(生物多様性情報システム)というのを構築しておりまして、先ほど説明しました自然環境保全基礎調査の結果をはじめ、調査データをインターネット上で提供しております。モニ1000も同じですが、そのときに簡単なアンケートをやっていただいた上でダウンロードするような仕組みでして、どういう利用、大枠の利用情報にはなりますが、利用者の属性、民間なのか企業なのかといった情報や利用目的などを把握しています。
 それから、もう一つは、このマスタープランの策定に当たりまして、ネット上での利用状況把握調査、それから、自治体や民間団体、有識者として実は何人かの委員の方にもヒアリングをしまして、どういう利用状況なのかを把握しております。ただ、ご指摘がありましたとおり、今のネット上で状況把握のツールもどんどん進展しておりますので、引き続きご助言いただいたいろいろなツールを使いながら利用状況を把握し、またユーザー目線、利用目線というところは、今回、特に重視してマスタープランの検討においても意図しましたので、そこは引き続き把握をしながら中間評価、適切な実施につなげていきたいと考えております。
○小泉委員 ありがとうございます。
○武内部会長 それでは、愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。
 自然環境保全基礎調査の調査スケジュール案のところについて主に、ちょっと質問というかコメントをさせていただきたいと思いますが、今後、このマスタープランに応じて実施する調査の予定について理解できたんですけど、この中に残念ながら自然景観に関することが入っていないというのがちょっと個人的には残念に思っております。会議の検討をされている過程の資料を見ますと、いろいろとこれまでの調査項目について整理をされていて、そこに自然景観については確かにあまり大きな変化もないし、地形・地質が中心だということでそういう評価をされているんですが、ただ、特に国立公園について言えば2034年に100周年を迎えるわけで、それを迎えて景観がどのように変化したかというのを把握しておかなくていいのかというのはちょっと思ったりするところですし、先ほどご説明があったような滞在空間の魅力向上とか、そういう人為的な変化も国立公園の中ではいい方向に、いい空間を生み出そうとしていろいろせっかくやっていらっしゃるところなので、それも含めて景観についての記録とかをきちんと取っておくということもそれはそれで重要なことだと思い、次の10年にやらないとしても、またその後にでもこの自然景観に関することは、できれば何らかの形で、この自然環境保全基礎調査の枠に収まらないようなものかもしれないと思いますので、自然公園、国立公園のほうでやるにしろ、何かそういうことは環境省としては検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
○武内部会長 ありがとうございました。
 事務局から何かございますか。
○生物多様性センター長 ご指摘、ご意見、ありがとうございます。
 二つポイントとして、自然景観、地形・地質の部分に関しましては、愛甲委員のご指摘のとおり、実は基礎調査の対象範疇でありまして、今回の10年のスケジュール案の中では、メインの調査対象には入っておりませんが、検討過程でのレビューの中で、与件という形で各調査の留意事項というところを整理いたしました。その中で、この10年間での対象にはしていないという整理になっているのですが、ご指摘のとおり基礎調査の枠組み、それからその枠組み以外も含めて、引き続き景観の重要性という観点について、いただいたご意見を参考にさせていただければと思っております。
 また、二つ目として、中間取りまとめ、最後の10年目の取りまとめというところでは、その重要性の観点から、次の10年の設計のときにどう組み込む必要性があるかというところも引き続き検討してまいりたいと思っております。
○武内部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、次に、髙村委員、お願いします。
○髙村委員 ありがとうございます。
 自然環境保全基礎調査のスケジュール案、5ページのところなんですけれども、生態系調査の中に淡水域といいますか、湖沼ですとか湿地ですとか池の調査が入っていないので、何十年か前かにやっていただいているはずなんですが、かなり年数もたっていますし、特に池の場合は生物多様性の保全上、非常に重要なんですが、なかなかどことも把握していないと。特に農水さんとの関係で管理できないと言う理由でその数がどんどん減っているという状況もございますので、何とかこれは入れていただきたいなというのが希望です。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 どうぞ。
○生物多様性センター長 私の説明が少し舌足らずで、大変申し訳ありません。
 資料5ページ目にありますスケジュール案の下の方の米印に、本プランで実施する考え方において、優先的に調査実施を検討するとした項目のみをこのスケジュール案では示しておりますというのが1点。実は、先ほどご指摘いただいた陸水域、河川、湖沼に係る調査項目に関しましてもレビューの上、それに基づき、次の10年の中で優先的に実施するかどうかを検討してこのスケジュール案を設定しているのですが、河川、それから湖沼に関しましては、国交省の河川水辺の国勢調査だったり農水省の関連調査等々もあることを踏まえ、そちらのほうの調査で把握できるデータがまずあると。ただ、これまで基礎調査で把握してきた項目等には、基礎調査ならではのオリジナルな項目もありますので、そういったものに関しまして他機関や他項目の調査成果を活用しながら、③にあります生物多様性情報収集調査の中で補完的にやっていくという立てつけで考えております。優先的に何々調査として何年間やるという設計の形では、次の10年間の中で対象とは示してございませんが、他機関等の調査成果を把握・援用しながら、必要なところを生物多様性情報収集調査の中で補完をしていくという形で言えば、河川。・湖沼に係る項目の一部もこの10年の中で検討対象に含めて考えてございます。そういったところを、マスタープランの本体本文とは別に、与件という形で附属資料に書いてございます。スケジュール案で示している以外の対象項目について、先ほどありました景観に関しましても併せてですが整理させていただき公表してございます。
 ご意見を参考にさせていただきます。
○武内部会長 それでは次に、石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
 私も自然環境保全基礎調査のマスタープランについて、一つはコメントで、一つは質問です。私も関わってきましたし、またユーザーでもあるので、この50年間の解析に当たって検討していただきたいと思うことがございます。
 ご存じのように、遺伝子情報の解析によって分類学の体系は大きく変化してきました。具体的に言えば、今まで1種だと考えられていたものが複数種含まれていたということや、もちろん新種の発見もあります。そんなことを考えますと、変化の解析にとても期待している一方で、種の対応づけがかなり難しいのではないかと思っているのですが、ユーザーにとって使いやすいものになるようにご配慮いただければと思います。これがコメントです。
 もう一つなんですけれど、メッシュデータでデータを示していただいていると思うんですけども、測地系が変わったと聞いたことがあります。日本の測地系から世界標準の測地系に変わったというようなことなんですけれども、この辺のご対応をどうされるかについてご質問したいと思います。
 以上、よろしくお願いします。
○武内部会長 ありがとうございます。
 質問のほうをお答えいただけますか。
○生物多様性センター長 日本標準のほうから世界標準に変わった測地系に対応して、データの変換を考慮しながらデータの取りまとめ、公表をする設計、もしくは留意事項として整理をさせていただいております。ご指摘の点、大変重要なご指摘ですので、調査の実施、それから成果の取りまとめに当たって、引き続き留意をして実施してまいりたいと存じます。
○武内部会長 ありがとうございます。
 それでは、深町委員、お願いします。
○深町委員 ありがとうございます。
 自然環境保全基礎調査なんですけれども、小泉委員がおっしゃっていたんですが、誰がどのように利用しているか、どういう方がどういうふうに利用してどういう成果が得られたとかという結果を、義務ではないんですけども任意でも環境省にそういった情報がうまく集まって、リスト化されるだとか紹介されるといいなと思います。その辺りについてはどうかというのをお聞きしたいです。あともう一つ、私自身が京都府のレッドデータブックに関わったことがあるんですが、都道府県レベルでの話とはなるものの、いろいろなレッドデータブックのまとめ方があり、結構独自な面白い視点でまとめたり記述したりする部分が含まれていたりするなと思ったことがあります。国レベルのものをやるときに、そういった都道府県のやっていることの情報収集だとか、あるいはお互いの情報共有が重要で、そのあたりがどうなっているかお聞きしたいと思います。
○武内部会長 いかがですか。
○生物多様性センター長 ご指摘ありがとうございます。
 利用の属性データの把握だけではなくて、具体的にどう利用しているかというところまで把握をしてフィードバックをする、大変重要なご指摘と思います。特に、ご質問の二点目にも関係する、自治体の利用ニーズの把握に関しましては、未だ不十分な部分がありますが、二つほどご紹介する取組を通じてこれから進めていきたいと考えております。
 実は、多様性センターでは、CHM(クリアリングハウスメカニズム)という仕組みを構築しており、生物多様性情報に係るメタデータ、情報源情報の検索ラベルみたいな情報を集めております。自治体で実施する関連調査等の取組に関するそういった情報について提供いただいて、ネット上のシステムにアップをして利用実態を把握・検索できるという取組です。ただ、若干そこは未だデータが少ないので、引き続き拡充が必要だと思っております。
 もう一つは、多様性センターでは、全国の自治体の地環研とか自然史博物館を結ぶNORNACという自然系調査研究機関連絡会議の事務局を運営しております。そちらの中で、自治体でどういった調査を実施しデータを利活用しているか、それから基礎調査やモニ1000の成果データをどういった目的や内容で利用しているかというアンケートを通じて把握しながら、意見交換、情報共有してございます。こちらは全国網羅的な自治体や機関の参画を得ていない任意の枠組みではございますが、オンラインで会議ができるようになった状況等も踏まえて、そういった情報共有の場と利用実態把握の場として、引き続き、拡充・運営強化していきたいと考えております。
 ご意見、大変ありがとうございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 あと二人、広井委員と広田委員からの質問がございますので、口頭でのご質問、ご意見についてはそこまでとさせていただきたいと思います。それ以外については、恐縮でございますが文書で質疑応答ということにさせていただきたいと思います。
 それでは、広井委員。
○広井委員 ありがとうございます。
 国立公園のブランディングとかの面的魅力向上について、一つコメントさせていただければと思います。
 利用者目線からのコメントみたいになるんですが、先日、たまたまなんですが国立公園で阿寒とか釧路、根室方面を訪問する機会があったのですけども、非常に強く感じましたのが、車といいますかマイカーがないと非常にアクセスや移動が難しいということを割と強く感じました。ちょっと具体的に言いますと、阿寒バスという地元のバス会社があるんですけど、例えば釧路駅から阿寒に行こうと思った場合、本数が非常に少ないというのがあったり、日本語のみで英語、中国語とかなくて、それから普通の路線バスですので何々小学校前みたいなところに止まったりして割と時間もかかって、要するにできるだけ車を前提としなくても公共交通でできるだけ行けるようにという、この点にもう少し留意があってもいいのかなというふうに思いました。そういう方向を進めることは脱炭素とかそういうことにも一定寄与する部分もあると思いますので、宿舎事業と並んでそういう公共交通といいますか、車でなくともという、そこら辺りも多少意識いただければありがたく思います。
 以上です。ありがとうございました。
○武内部会長 ありがとうございます。
 よろしいですか。
○事務局 参考にさせていただきます。
○武内部会長 それでは、広田委員、お願いいたします。
○広田委員 ありがとうございます。
 度々言及されている宿舎についてなんですけど、これは山小屋とかキャンプ場も含まれると理解してよろしいんでしょうかという質問です。最近いろんな山小屋に行く機会があるのですが、経営が大変であったりとか、あるいはキャンプ場のトイレの問題であるとか、それこそ魅力のある自然体験をするには基本的な環境がまだまだ整ってないなという印象を持っています。ここでおっしゃる宿舎等についてはそういうものも含まれるかどうかということが一つ。
 それから、もう一つが、様々な取組をなされるのはすごくいいことだと思うんですけども、ともすると、よかれと思った整備が実は自然風景を壊すということもよくあるように感じています。そういう意味では、この基本方針のところで自然環境の保全というのが共通認識として持つようにと書かれていますが、先ほど愛甲先生の質問にもあったんですけど、本当は自然環境と自然風景の両輪でいくほうが国立公園らしいなという気がしています。これはちょっとコメントみたいなものです。以上です。
○武内部会長 よろしいですか。
○事務局 じゃあ、手短に。2点目のコメントについてはありがとうございました。
 1点目について、今回のモデル事業の対象としてはキャンプ場は考えておりません。この事業の取組方針の趣旨からしても、いわゆるホテルや旅館といったある程度の建物を想定しているところです。山小屋についても、検討会の中でもいろいろご指摘をいただいているところで、高付加価値化の必要性についてご指摘いただいていますが、国立公園の全体の利用、管理の観点から、取組が必要という認識はございますが、今回のモデル事業では一定の宿泊施設というのを想定して進めたいというふうに思っているところです。
○広田委員 では、山小屋は含まないということですね。
○事務局 現時点では山小屋を排除していないので今後モデル地域ごとに検討を進める中で、例えば中部山岳国立公園もモデル地域に入っておりますので、山小屋を対象とする可能性はゼロではないとは思いますが、今後の基本構想の検討次第ということになろうかと思います。
○広田委員 分かりました。ぜひ山小屋は含めていただければと思います。本当にそこに泊まることが感動的な自然体験につながる重要な施設だと思いますので、これは意見です。
○事務局 ありがとうございました。
○武内部会長 それでは、大分時間も押しておりますので、これにて議題を終了させていただきたいと思います。
 それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。どうぞ。
○司会 武内部会長、議事進行ありがとうございました。
 委員の皆様におかれましては、ご審議をいただきましてありがとうございました。
 閉会に当たり、堀上審議官より一言ご挨拶申し上げます。
○大臣官房審議官 本日はご審議ありがとうございました。
 今日、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会、この設置を決定いただきましたので、これに向けて準備をしていきたいと思います。
 冒頭、武内部会長からネイチャーポジティブというポジティブな言葉が定着してきているということと、いろいろなステークホルダーを巻き込むことが重要というお話がありました。そういったことを踏まえて、新しい制度をつくっていく必要があると考えておりますし、各委員から今日お話がありました海域の検討ですとか、あるいはメリット、インセンティブ、それから劣化地の再生の考え方、そういったところを念頭に、新しい小委員会の検討に際しての準備を十分進めていきたいと思っております。
 そのほか、今日、自然環境保全基礎調査、あるいは国立公園のご報告をいたしましたが、新しい国家戦略に沿って自然環境の保全の施策をどんどん進めていきたいと思っておりますので、委員の皆様には引き続きご指導、ご鞭撻いただければ大変ありがたいです。
 本日は誠にありがとうございました。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 これにて終了ということにさせていただきます。
○司会 以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。
午後3時42分 閉会