2025年度 中央環境審議会地球環境部会低炭素社会実行計画フォローアップ専門委員会(第1回) 議事録
開催日時
令和7年6月18日(水)13時00分~15時00分
開催場所
WEBによる開催
議事録
地球温暖化対策課長
ただいまから、2025年度中央環境審議会地球環境部会カーボンニュートラル行動計画フォローアップ専門委員会の第1回を開催いたします。
本日はご多忙のところ、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日はオンラインにて実施させていただいております。
委員の皆様のお名前は、資料1の委員名簿をご確認いただければと思います。本日は齋藤委員がご都合によりご欠席となっております。
また、本日は関係府省庁の皆様にも参加していただいておりますけれども、公正取引委員会、消費者庁はご都合により欠席ということでございます。
本日の審議は公開とさせていただきまして、YouTubeで同時配信をいたします。通信環境の負荷低減のため、ご発言の際を除きまして、カメラはオフ、マイクはミュートにてお願いいたします。
それでは、ここで委員長から一言ご挨拶をいただきます。
大塚委員長、よろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい、どうも恐れ入ります。一言ご挨拶申し上げさせていただきたいと思います。
本日はカーボンニュートラルの行動計画フォローアップ専門委員会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
昨年9月の委員会では、政府実行計画の改定に向けた論点につきまして、ご議論いただきました。その結果を踏まえまして、本年2月に政府実行計画が閣議決定されております。
新しい計画では、温室効果ガスを2013年度比で2035年度に65%、2040年度に79%削減するという目標が位置づけられております。また、削減目標の達成に向けまして、個別の取組について新たな目標が設定されているなどしております。
4月には、2023年度の我が国の温室効果ガスの排出・吸収量が公表されておりまして、基準年である2013年度以降で最も低い値約10億1,700万トンとなりました。
一方、2050年のネットゼロの実現は決して容易なものではございません。政府自身が自らの温室効果ガスの削減に一層率先して取り組んで、地方自治体、事業者、国民等の積極的な取組を促すことが重要でございます。しかし、これは目標との関係でかなり厳しい状況が続いていると言わざるを得ません。
本日は、2023年度の政府の取組実績をフォローアップいただきます。PDCAをしっかり回すという観点から、各府省庁の取組状況についてご議論いただきまして、ご質問いただければ大変ありがたく思います。
委員の皆様におかれましては、政府におけるさらなる取組が進みますよう、積極的なインプットをお願いいたします。また、各府省庁におかれましては、本日の審議結果を今後の計画の実施及び点検につなげてください。環境省におかれましては、しっかりとリーダーシップを発揮して、各府省庁の取組を引っ張っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上で私の挨拶を終わらせていただきます。
地球温暖化対策課長
どうもありがとうございました。
それでは、以降の進行につきましては大塚委員長にお願いいたします。
大塚委員長
それでは、議事に入りたいと思います。
本日は、2023年度における政府実行計画の実施状況につきましてご議論いただきます。
事務局から資料について説明をいただいた後、ご審議いただくことといたします。時間も限られておりますので、効率的に審議を進められればと考えております。
では、資料2から4につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
地球温暖化対策課長
申し遅れましたけれども、私、地球温暖化対策課長をしております吉野でございます。
では、私のほうから資料2から4につきましてご説明をいたします。
まず資料2でございますが、目次がありまして、本日の目次はこのような形になっております。
2ページのところは、本年の2月に閣議決定をいたしました新しい政府実行計画の概要ございます。
これまで、2030年度の目標を設定しておりました前計画がありましたけれども、今回2035年度の目標、2040年度の目標ということで、それぞれ65%、79%という削減目標を設定いたしまして、太陽光発電の導入等々につきまして取組を強化して各項目盛り込んでございます。例えば、太陽光発電につきましては、2040年までに設置可能な建築物の100%、乗せられるところは全部乗せようという目標であったり、ペロブスカイト太陽電池を率先導入するという目標、建築物についてもライフサイクル全体を通じて対策に努めるといったようなこと、それから、電力調達につきましては、2040年度には調達電力の80%以上を脱炭素電源由来の電力とするということ、その他、いろいろ新しい項目も含めて盛り込んでいるところでございます。
3ページ目は、前の政府実行計画の概要でございます。本日は2023年度のフォローアップということですので、この旧計画に即した取組が対象ということになってございます。
4ページになります。政府実行計画の実施状況の点検につきましては温対法にも書いてありますし、政府実行計画の中にも、点検結果を取りまとめて、各府省庁の参加の下で、中央環境審議会の意見を聞いて、その意見と併せて地球温暖化対策推進本部の幹事会、これは政府の幹事会ですけれども、そこに報告するということとしております。
毎年、幹事会に報告しておりますけれども、今年の幹事会は夏頃を予定しておりますので、今日のご審議をいただきまして、そちらの幹事会のほうにつなげていきたいと思ってございます。
下半分に書いてございますのは、調査内容の最適化ということであります。
毎年度、政府実行計画のフォローアップ、各府省庁さんにご協力いただきまして、大変膨大な調査にご協力いただいているところでありますが、なかなか負担が大きいという面もございましたので、関係省庁の連絡会議におきまして、調査の実効性の確保と負担の軽減を両立するという観点で調査項目を見直すことにしてございます。
一つ目の矢印のところに書いてありますのは、まず複数年に一度の調査とする項目を幾つか設定をするということで、あとは進捗状況の点検にあまり活用されていない項目につきましては削減すると。一方で、例えば省エネ診断の関係でいいますと、これまでその対策の提案を受けた件数などを報告いただいていたのですけれども、件数自体にはあまり意味はないのかなということでやめることとし、一方で、具体的にどうしたのかというようなことは個別にヒアリングを行わせていただくこととしたいと思っています。
一方で、例えばフロンの関係ですとか、新しい調査対象、調査項目を設ける部分もございます。
こういった形でメリハリをつけた形で実施をさせていただきたいと思ってございます。
続きまして、6ページになりますけれども、政府全体の温室効果ガスの総排出量の推移ということでございます。
2023年度の排出量は約174万トンということで、2013年度比でいきますと21%減少しているということ、ただ一方で、燃料使用による排出量は減少しているけれども、電気使用に伴う排出量は増加をしてしまいましたので、前年度比では3%増加してしまっているということでございます。
これは昨年度もそうでありましたけれども、再エネ調達率が減少してしまいまして、それに伴って電気の使用に伴う排出係数が増加したということによる影響が大きいと考えてございます。
8ページは、施設の単位面積当たりの電気使用量ということで参考的につけさせていただいていますけれども、下半分のところのグレーのところを見ていただくと、床面積が少しずつ増えているということでございます。そういった中でも、単位面積当たりの電気使用量というのは13年度比でも11%減っており、前年、2022年度から比べても少し減っているということなので、全体の床面積、行政組織が増えたりとかということがありますけれども、単位面積当たりの電気使用量は減っているということになります。
それから9ページ燃料使用量につきましても、単位面積当たりのものを出していますけれども、同じような傾向は維持しているということでございます。
10ページは公用車ですけれども、公用車の燃料使用量は前年度と比べて少し増えてしまっており、台数も、2013年度比でいいますと28%増えてしまっているということなんですけれども、1台当たりの燃料使用量は45%減っているということでございます。
11ページは削減目標対象外の排出量になります。東日本大震災関係の廃棄物焼却に伴う排出であったり、あと船舶とか航空機の使用に伴うものといったものは対象外ではありますけれども、排出量自体は把握をしているということでございます。
廃棄物焼却の関係は環境省の所管ですけれども、帰還困難区域における除染等を行っているところでありまして、今、まだ復興の取組は道半ばですけれども、対象となる廃棄物の処理が終わればゼロになっていくということは見込んでいるということでございます。
12ページ、13ページは、府省庁ごとの排出量を記載してございます。
14ページは、府省庁ごとの割合でございます。
次、16ページにいきますけれども、政府実行計画で数値目標を設定している項目についての進捗でございます。温室効果ガスの総排出量は先ほど申し上げたとおりになっておりまして、太陽光発電につきましては、設置可能な建築物の50%以上に設置をするというところですけれども、21.6%まで今行っているということ。それから建築物の建築につきましては、新築建築物は原則ZEB Oriented相当にするといったようなこと等が盛り込まれているところでございますけれども、ZEBシリーズにつきましても、これは後で中身についてはもうちょっと詳しい資料をつけておりますけれども、着実にZEBシリーズも増えてきているということでございます。
17ページのところは、公用車ですとかLEDについて載っておりますけれども、2030年度までにストック100%ということでありますが、それぞれ40%弱ぐらいまで、今、到達しているということでございます。
電力調達につきましては、60%以上が2030年度までの目標ということですけれども、前年度よりは少し落ちてしまいまして、今19%ということでございます。
それぞれの項目につきまして、少し詳しめのスライドを載せておりますのが18ページ以降ですけれども、18ページのところは太陽光発電についてでございます。
太陽光発電につきましては、政府実行計画に基づく件数ベースの目標に加えまして、公共部門脱炭素化の連絡会議におきまして、容量ベースの導入目標を府省ごとに設定してございます。
こちらは第6次のエネルギー基本計画を策定したときのエネルギーミックスを実現するために、太陽光発電につきましては、2030年までに103から117GWを導入するという見通しの下に計画をつくっておりまして、そのうち公共部門で6GWということになっていたものですから、連絡会議で議論しまして、政府部門につきましては、この右の下のグラフの一番右のところにありますけれども、57.6MWということで、GWにしますと0.06GWということですけれども、こういう目標を定めまして、役所ごとに取り組んでいるということでございます。
各府省、このそれぞれの目標実現のための太陽光発電整備計画をつくるということになっていまして、昨年の4月に策定をして、毎年度見直すということにしております。
一方で、府省ごとにやっているのですけれども、導入目標に対する政府全体の進捗は、件数ベースで先ほどありましたとおり21%で、設備容量ベースでは3%ということで、まだまだの状況ということでございます。
ポテンシャルについても調査はしておりますので、そういったポテンシャルがあるよといったところにつきましては、それぞれ、各府省庁においてしっかりと取組を進めていく必要があるということでございます。
19ページですけれども、検討状況ということで、なかなか厳しい状況にある中で導入計画を具体化していく必要があるわけなんですけれども、我々の中でもいろいろ議論しまして、ポテンシャルがあっても具体的にそこに実際にどれぐらい入るのかとか、経済性はどうなのかとか、そういうところをしっかりと詰めていく必要があるということで、そのためには、構造計算書とか、電力の需要量のデータとか、そういう幾つか鍵となる書類があるのではないかということでございまして、まず昨年度、環境省のほうでそういった書類の保有状況を施設ごとに調査いたしました。その施設をグループに分けてみましたのが、この下半分に書いてある表になっております。
グループの①と②の辺りは、ここは構造計算書もちゃんとそろっているということで、こういったところから具体的にその事業性をしっかりと精査していくべきではないかと考えております。我々としても、来年度の予算要求で、こういったところの事業者の調査をするための必要な予算を要求したいと考えておりまして、今、中で議論をしているところでございます。
あと、もう一つの方向性といたしましては、やはり初期費用が不要な形でのいわゆるPPA方式の活用といったことをぜひ進めていきたいということで、これは以前から申し上げているところですけれども、環境省のほうで、所沢にあります環境調査研修所、これはポテンシャルで言いますと100kWぐらいのところなんですけれども、ここで事業化を検討いたしました。しかしながらこれでも事業規模が小さくて、調達コストの現状を大きく上回る結果となってしまい事業化に至らなかったということで、今年度、より大きなポテンシャルを有する施設であったり、複数施設をまとめて規模を確保するといったようなことをやっていく必要があると思ってございます。ここはぜひ、PPA方式自体は世の中的にはもういろんなところでやられているところですので、何とか政府の施設でやっていきたいと考えているところでございます。
22ページについて、ZEB化の状況でございます。
2022年度以降に設計・建築・竣工した新築建築物におけるZEBシリーズの内訳が以下のとおりということになってございます。
こちら、目標は新築建築物、原則ZEB Oriented相当で、2030年度までに平均でZEB Ready相当になることを目指すということになっており、事例としてはここにあるとおりなんですけれども、実際に新築建築物の分母が幾つあって、その中でのZEBシリーズが幾つなのかというのをしっかり分母分子を精査する必要があるかなと思っています。これまでのフォローアップ調査では、なかなか分母の部分がはっきりしないということがありましたので、今年度の調査からは、必ずしも一次エネルギーの消費量が不明な場合でも、BEI、これは設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割ったものですけれども、BEIの値はそれぞれ持っているだろうということで、そういったものを回答していただくことで、より精緻に分母分子をそろえていきたいと考えてございます。
23ページが電動車になっていますけれども、こちらが40%弱というところまでいっているということであります。まだ一層の取組が必要ということですけれども、いずれにしてもその新規の導入や更新時において電動車の導入を徹底するということが必要でありますので、そこはしっかりと各府省にも呼びかけてまいりたいと思います。
26ページがLED照明になっておりまして、こちらも40%弱ということですけれども、蛍光ランプの製造輸入が2027年末に廃止されるということになりますので、それ以降の照明の交換に際しては必然的にLEDになっていくということにはなろうかと思いますけれども、いずれにしても新築改修時において計画的にLEDを導入していくといったことが必要かなというふうに考えてございます。
30ページが再エネ電力調達の導入状況ということでありまして、2023年度実績はその前の年から少し減ってしまったということであります。
再エネ電力の調達がうまくいかなかったということで、各府省も苦労されてはいるんですけれども、環境省の中でもうまくいかなかったというケースがありまして、その例をここに書いてございます。
このケースにおきましては、2023年度の電力供給契約で、いわゆる環境配慮契約法に基づく裾切り方式でやろうということでやったんですけれども、1回、2回、3回とやりましてうまくいかず、結局再エネ比率の低い電力を調達することになってしまったというところございます。
こういったようなことがありましたので、何とか今の枠組みの中でうまくいくというようなことができないのかということを、しっかりと追求していかなくてはならないというふうに思っておりまして、例えば、環境省の中でも数年前は幾つかの施設をまとめて共同で入札にかけて、規模を確保して、うまく再エネ電力を調達しているようなこともやっておりましたので、それが数年たつとまたばらばらにそれぞれのところがやっているみたいな実態もあったりしまして、そういったところをしっかりもう一回見直して改善していくことができないかと思っております。
32ページのところは、環境配慮契約法に基づく電力調達の検討状況でございます。
現状の環境配慮契約法に基づく方式としては、排出係数の値であったり、未利用エネルギーの活用状況であったり、再エネの導入状況、こういったものに点数をつけまして、さらに加点要素もあり、点数をつけて、一定の点数に満たないところは入札に参加できないということで、裾切り方式を採用しているということになります。その状況としては以下のとおりということで、まず令和7年度の電力調達については排出係数の閾値については0.52ということで、要はこれを超える排出係数の電気事業者は、排出係数の点数が0点ということで入札に参加できないということで運用しているということ、それから調達電力に占める最低限の再エネ比率割合は40%にすると。これは2030年度に60%ということになりますので、それに向けて段階的に引き上げているということでございます。
制度的にはそういうことになっておりまして、あとは入札するときに再エネ電力メニューにどんなものがあるかというのをしっかりと情報提供しようということで、環境省のホームページで各電気事業者さんのメニューを紹介しているというところ、それから総合評価方式につきましては、各委員の皆様からもご指摘を受けておりますけれども、令和7年度以降、総合評価落札方式の導入に向けた検討というのを始めていくということになってございます。
何枚かは電力専門委員会の資料をつけさせていただいておりまして、38ページ以降が、数値目標を含まない具体の項目ということでございます。
まずは、38ページのところは用紙類の使用量ということで少しずつ減っていますということ。
それから39ページのところが廃棄物・可燃物・プラスチックごみの量ということで、こちらもちょっとずつは減っているということになっています。
40ページのところは、省エネ診断の実施状況ということで、省エネ診断の実施件数自体は今後ともフォローアップはさせていただきますけれども、具体的にその省エネ診断を受けて提案された対策としてどんなことをやったかといったことを聞いておりまして、ここにある程度、全部ではありませんけれども、まとめさせていただいております。
44ページ以降が、全体的な公共部門の脱炭素化に関する取組についての最近の動向の紹介でございます。
44ページのところは、全府省庁に入っていただきまして連絡会議を設置しておりまして、これまで約半年に一度ぐらいのペースで開催しており、直近の第3回と第4回の概要をここに記載しております。
政府保有施設についての目標を設定して、太陽光発電整備計画のさらなる具体化をお願いするといったようなことですとか、国交省の官庁営繕部さんからでZEBの事例集を紹介していただいたりとか、最新の有用な情報を共有するといったようなことを含めてやらせていただいております。
それから第4回のところは、先ほど太陽光のところで申し上げましたけれども、必要となる構造計算書の書類の保有状況等を精査することが大事じゃないかということなので、そういったことをやっていこうということをまとめさせていただいたりとか、あと、ここにはちょっと書いておりませんけれども、これはまた官庁営繕部さんのほうから、建築物のLCAにつきまして試行的にやっていくということを発表いただいたといったようなこともやっております。
45ページに各府省庁の実施計画の策定と書いてありますけれども、政府実行計画を改定いたしますと、府省庁ごとに実施計画を策定していただくことになっておりまして、今、各府省庁さんにその策定をしていただいている最中でございます。
環境省におきましては、参考資料3としてもつけていますけれども、ここに書いてありますような案を、今、作っている最中でございまして、これをまた精査して、夏の温対本部の幹事会に向けてまとめていくということで考えております。
環境省の実施計画は、政府全体の目標と比べても意欲的なものを設定しておりまして、例えば温室効果ガスの排出量につきましても、これは電力調達が2030年までに100%を目指すということで設定をしておりますので、電力使用に伴う排出量はゼロということを前提に、2030年度までに88%減というのを前計画のときに設定をしておりまして、そこから燃料使用に伴う分をこれまでのトレンド線を引っ張ってこのような形で設定をしているということでございます。
それから、追加的に、必ずしも政府実行計画に数値目標がないものにつきましても、常時監視システムも含めてフロンの関係ですとか、あとごみにつきまして、プラごみを2030年度までに30%削減して、残りにつきましても有効利用率100%を目指すといったようなことをぜひ盛り込みたいと思って、今、調整をしているところでございます。
46ページがペロブスカイトの関係でございまして、政府実行計画におきましても、政府施設における導入目標の検討ということを記載してございます。
こちらは、エネ庁さんでやられておりますペロブスカイト官民協議会のほうでも、供給側と需要側と双方取り組んでいこうよということになっておりまして、その中で需要側を特に環境省のほうでも力を入れてやっていこうということであります。
それで、まず、昨年度行いましたのは、昨年度のフォローアップ調査の中で、政府保有施設の設置に適した屋根や壁面の面積についての調査をさせていただきまして、一定の条件の下で試算した結果を公表したというところでございます。
細かい結果は次のページに書いてあるんですけれども、まずは太陽光、従来型のシリコンの太陽光発電が乗らないような大波スレート屋根とかテント式の屋根を対象に、屋根についてはそう絞りまして、あとは外壁につきましても建具の面積を除いたようなことを一定の式を基に算定しまして、北側に相当する面積を除くといったような形で算定をして出していただいています。
ただ、壁面における施工方法ですとか、そういったものがまだできていないということもありますので、そういった状況も見ながら、政府部門における導入目標については検討していきたいと思ってございます。
48ページが、建築物の環境配慮契約に関する検討状況ということで、こちらも環境配慮契約法の下での動きということですけれども、建築物のライフサイクル全般における脱炭素化というところで、これまでは維持管理のところを中心的に取り組んできたところかと思いますけれども、設計段階であるとか、あと改修の段階におきましても、ZEBの実現に向けた改修計画を検討するということを求めているとかという、そういったことで主体の取組を評価しているというところでございます。
49ページは、建築物ライフサイクルカーボン削減に向けた取組ということで、こちらは国交省さんのほうで、今、検討会も立ち上げて、環境省も入って議論を始めたところですけれども、建築物のライフサイクルカーボンの算定、公表の制度について、今、制度化に向けた議論が開始されているというところ。
50ページは、これと呼応しまして、政府実行計画でも建築物のライフサイクル全体を通じた排出削減に努めるということを記載したところでございまして、今年度は官庁営繕部さんのほうで、直轄事業の中で試行的にその算定を行うといったようなことを打ち出しておられるということでございます。
51ページは、GX製品の市場創造ということですけれども、いわゆるグリーンスチールですとか、排出削減に向けて一定の投資が必要で、それによって生み出されたGX製品等の市場創造、しっかりと需要側で支えるということのために、公共調達というのは一つの重要な施策と思っておりますけれども、グリーン購入法基本方針の昨年度の見直しの中で、GX製品であるグリーンスチールについて位置づけ、より高い環境性能に基づく基準ということで基準値1に位置づけたということでございます。
52ページは、GX製品の需要ということでありますが、これ国ではありませんが、東海市さんのほうで、オフィス家具、什器、ロッカー、オフィスシステムの収納ということでありますけれども、グリーンスチールを使ったそういったものを導入したというところで、これは紹介でございます。
54ページが一番最後になりますけれども、こちらは23年度の実施状況のまとめと今後の取組ということでございまして、実施状況につきましては、先ほどのスライドにも入っておりますけれども、2023年度比で21%の減少でありますけれども前年度比では増加している、2年連続で増加してしまっているという状況で、再エネ調達の減少の影響が大きいのではないかということなので、そこの再エネ調達の課題を整理して取組を強化する必要があるということ。それから、その他の目標についても十分とは言えない状況であるということ、そういったことを状況の認識としては書かせていただいていまして、今後の取組といたしましては、特に以下の点に重点的に取り組むということでまとめて幾つか書いておりますけれども、まずはやはりこの再エネ電力の調達につきまして、環境配慮契約法に基づく取組をしっかりと運用していくということ。一方で、なかなかうまくいかないという事例も出てきておりますので、そういった、何でうまくいかなかったのかというところをしっかりと整理をして、それを踏まえて運用の見直しを含めて取り組んでいくということを書かせていただいております。
それから、太陽光発電につきましては、先ほど事業性の調査をしっかりやるということと、あとPPA方式を活用していくことを主に申し上げましたけれども、そういったことをしっかりとやっていきたいということ。
建築物の省エネ対策については、新築建築物についてはもちろんZEB化に向けてということでありますし、既存の建築物についての対策というのは、ロットとしては大きいわけなので、そちらもしっかりと取り組んでいくと。改修時には中長期的・段階的なZRB実現に向けた計画を検討するというところをしっかりと進めていきたいと思っております。
あと、一番最後は電動車やLED照明について、更新時や改修・移転時の導入を徹底していくということでございます。
そういったことでまとめさせていただいております。
あと、後ろは参考として基礎排出係数に関するデータをつけておりますが、説明は割愛いたします。
以上が資料2の説明になっておりまして、資料3ですけれども、資料3は、今、概要ということでご説明いたしましたけれども、大変細かいデータ集になっておりまして、これをいつも会議にはかけておりますけれども、詳細については割愛をさせていただきます。
次は資料4ですけれども、2023年度の独立行政法人等における取組状況ということでございます。
独立行政法人等は独立行政法人と特殊法人と国立大学法人、それから大学共同利用機関法人ということですけれども、政府に準じた計画の策定と取組を促していくというところでありますので、所管府省庁を通じてフォローアップをさせていただいております。
独立行政法人に関しても太陽光発電に関する計画の策定状況ですとか導入実績をまとめさせていただいたということでありますし、あとは、昨年度、これは初めてですけれども、太陽光発電のポテンシャル調査をさせていただきました。これは全てやっていくとなかなか大変なので、大きなところですけれども、初めてさせていただきまして、その結果をまとめているということでございます。
計画の、2ポツのところは結果ということで、策定状況につきまして内訳はこういったことになっております。表1にまとめております。
それから、太陽光発電の導入目標の策定状況ですとか、導入実績につきましても、表2と3ということでまとめてございます。
導入ポテンシャルについては、37万kWのポテンシャルということで、370MWということですけれども、こういったことで各府省庁さんにもご協力いただきまして出しているということですので、今後こういった調査結果を基に、導入目標の設定に向けて取り組んでいただきたいと考えてございます。
ということで、資料2から4までについての説明は以上でございます。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
それでは、私のほうから順にご指名をさせていただきますので、ただいまご説明のありました内容につきまして、ご質問、ご意見などがございましたらご発言をお願いしたいと思います。
4名の委員ごとに事務局から回答いただく時間を取りたいと思っております。
では、まず秋元委員、お願いいたします。
秋元委員
はい、秋元でございます。すみません、ちょっと回線というかパソコンが不調で手間取ってしまいました。
ありがとうございました。大変分かりやすくご紹介いただいたと思うんですけれども、やはり2035年度、40年度の新たな目標達成のために、いろいろな全方位的な対策が必要であるということを改めて認識いたしました。
それで、資料の中にも書かれていますけれども、例えば建築物については、新築の対策に加えてストックの性能向上が必須であるというふうに思われます。それでも、建築がテーラーメイド的な側面も持っているので、政府の関連する建築物についてオールマイティーな回答というのはなかなかないと思うんですけれども、それでも、資料の中にありましたとおり、ZEB化がうまくいっている事例がありますので、そういったところで、優良事例でなぜうまくできたのかとかいうことをしっかりとサーベイしていただいて、さらにその運用時のチェックとかコミッショニングを通じて、ほかの建築の計画にうまく展開することができることを探っていくということが必要であるというふうに思います。
ただ、やはりコストをかければ実現するということではあんまりうまくないと、コストとCO2削減の見合いについても議論が必要だと思っております。
それと、再エネ電力の調達のことが話題になってございますが、そのほかの化石燃料の調達のときに行われるようなスポット契約ではなくて、中長期的な供給契約の手法というようなものも検討していっていただく必要があるのではないかなというふうに思います。
あとは、フロンガスについて新たに調査対象に加えるということになっておりますけれども、やはりその報告義務のある1,000トン以上のもの以外からのスローリークも含めたフロンガスの対策というのが、これも大変重要であると思いますので、これをどのように把握する、あるいはしっかり管理できるかというところに注力するということも求められると思います。
以上でございます。ありがとうございます。
大塚委員長
はい、どうもありがとうございました。
では次に、川本委員、お願いします。
川本委員
はい、川本です。私からは四つほどコメント、意見、質問を交えてしたいと思います。
まず、スライドで言うと2枚目の政府実行計画の概要の範囲ですけれども、上の囲みの3項目の3点目に、意見を聞きつつフォローアップを行い、着実にPDCAを実施と、こういうふうに記載があるんですけれども、ちょっと細かい点に立ち入っていくかもしれないんですが、PDCAを実施というところで終わるというのは、他の項目と何か記述の仕方が違うようにも思います。PDCAというのは何か手段ではないかなと思うので、PDCAを行うことで、削減計画を見直すとか、取組を強化するとか、そちらのほうに行って完結するんだろうと思うので、PDCAを実施するというので止めていいのかどうか、ちょっとこの3項目の記述のバランスからいって、ちょっと私としては違和感を覚えるということでコメントします。
それから、2番目の再生エネルギーの取組のところで太陽光発電と建築物建築ですけども、建築物のほうはライフサイクル的な物事として廃棄段階を含むと記載があるんですけれども、太陽光発電も既存のもの、それから今後の普及が期待されるペロブスカイトのそのタイプとか、相当程度のいわゆる物が投入されるわけなので、廃棄というのは大変重要な問題になっていきます。
それはそれで別途どこかに環境省として当然やっているわけでしょうけれども、一つの文書の中でのバランスというんでしょうか、目配せをしているという意味でも、ちょっと太陽光発電のほうにも廃棄に関しても目配せをしているというようなことで記載をされたほうがいいのかなというふうに思います。
それから3点目ですが、これは18枚目の個別のグラフになる、太陽光の先々の見通しということですが、件数ベースに比べて設備容量ベースの目標との乖離が大変大きいというのがこれを見て分かるんですけれども、これを踏まえてどうするというのが書かれていないようにも思いますので、この辺り、現状の把握、認識と今後の進め方についての補足をお願いできればと思います。
それから4点目、最後ですが、51枚目の、かなり先のGXのところで、地方自治体のグリーンスチールに焦点を絞った調達ということで51と52ですね。これは2枚目の実行計画の概要の中にもGX製品に率先調達というのがあったわけなんですけれども、特にグリーンスチールということに話を限定すると、溶鉱炉での水素を使った還元処理といったようなことが多分もう最終段階としては必須のことになってくると思うんですが、これはまだ研究開発段階だというのが私の理解です。現状はそれ以外の因子を含めて、グリーンでというようなことかと思うんですけれども、現状でもそうでしょうし、今後水素での還元というようなことになってくると、恐らくコストとしては相当なコスト高になっていくと思うんですね。ですから、今回というのか、今日の趣旨からすると、何となくコスト度外視というような印象もあるんですけれども、現実的にはコスト度外視はなかなか、政府ならともかく、地方自治体にとっては大変重要な現実項目なので、コストとのバランスというのをどういうふうにお考えになっているのか、ある程度コストがかかってもというのは当然あるところまではいいと思うんですが、どの辺りが一つのバランス点になるのか、その辺のお考えもお聞きしたいと思います。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、須山委員、お願いします。
須山委員
はい、須山でございます。ありがとうございます。
細かいご説明、ありがとうございました。
一つ一つ具体的な事柄を回していっていただいて、すごく広いたくさんの事象の中から、いろいろな条件下の中からということでご苦労されていることと思います。
それを踏まえてのご質問になりますけれども、3点ほど質問させていただきたいと思います。
スライドの16枚目の2023年度の進捗で、太陽光発電、また建築物の建築というところ、この辺りが特に気になるところかなと思うんですけれども、委員長からも最初のところでPDCAをしっかり回すという観点で私どものほうでという話がございましたし、先ほど、川本委員からもPDCAという言葉についてお話がございましたけれども、やはり太陽光発電が50%以上、100%以上という目標を掲げていて、21.6%と。実際に工夫をして導入しようとされたけれどもいろいろコスト等の問題があって事業化に至らなかったという話がありました。こちらが設置可能な建築物であって、試行的に試されて駄目だったということになりますと、すごく短絡的なんですけれども、ちょっと既に100%は難しくなってしまったのかなというふうに思ったところです。
そうしますと、PDCAということで、こういった事情があって、費用対効果として費用がかかりすぎると、そのほかの問題もあって実現に至らないということが分かってきたものがあるんだと思うんですけれども、どこかの段階でこの100というのをどう考えるのか。さっきもちょっとお話がありましたけど、コスト度外視でも100にするということは恐らくないと思いますので、そうしましたら、今の段階ではここまでです。そうすると、この100という数字が変わってくるというときに、実際にそこに向かって着実に進んでいけているのかというところを私どものほうに見せていただいて、それに対してご意見を差し上げるという形にしていかないと、100%のまま、21.6%のままで本当にこのまま実現できるんですかというところでちょっと話が止まってしまうかなと思いますので、そちらについて今後見直し等のご予定があるのか伺いたいと思います。
建築物の建築、その下の項目にございますけれども、ここも2030年度までに新築建築物の平均でZEB Ready相当を目指すということになっているんですが、さっき分母の話もあったのでそういう話なのかなと思ったんですけれども、実際には新築建築物が今何件あって、そのうちの何件が今のお書きいただいている状況に当たるのかというところの対比を教えていただければなと思いました。もしお分かりでしたらお願いいたします。
あと同じように、予定を立てていただいて、それに対して進捗を確認させていただく、また、意見を差し上げさせていただくということの観点から言うと、スライドの54のところでまとめと今後の取組ということでご紹介いただいた中で、今後の取組のところで、総合評価方式の導入を進めていくということでしたけれども、こちらは、今年度は何をこのためにして、例えば来年度契約にはもう導入できるような形になるのか、もしくは仕様書等を変えるとかで、今年度いっぱいかかるので、来年度の契約にはちょっと間に合わない、来年度、2027年度契約からになりますという話なのか、ちょっとスケジュール感も併せて教えていただければと思いました。
あと一番最後の電動車、LED照明の各府省庁ごとの導入予定を定めていくというふうに考えてらっしゃるということですけれども、こちらも導入予定を確定させるのは今年度中にご予定されているのかということをちょっと伺いたいと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。
では、醍醐委員、お願いします。
醍醐委員
はい。そうしましたら私のほうからも幾つか大きな点と、幾つか細かい点についてコメント、ご質問をさせていただきたいと思います。
まず一つは、非常にできることをよくやっていただいていて、いろいろと進んでいるなという印象でもあります。例えば、その調査の方法について、少し調査対象の各府省庁の負担があまり大きくならないような工夫なんていうところは非常に望ましい工夫であろうというふうに感じた次第です。
それと、あとはやっていくこととしては最後の23年度のまとめと評価のところの今後の取組のところで、項目出しとしてはすごくよく整理されているなと思っていて、一つは調達に関するところ、それからもう一つ、太陽光パネルの設置も含めたような再エネの導入に関するところ、それから建物に関するところ、最後少し大きな点ではないかもしれませんが自動車・LEDに関するところ。ただ、これらの中で大きく違う観点が一つあって、一つは、調達に関するところは、場合によっては今年0%でも来年100%に変更し得るんですよね。ただ、そのほかのところは年々努力をしていかないと、積み上げていかないと、このストックに係るようなところなので、今年電動車0台が来年100%になりますということはきっとないので、そういう意味では、これらはやっぱり積み上げていかなきゃいけないところという、そういう大きな性質の違いというのがこの二つ、調達とそれ以外のところではあるだろうというふうに考えています。
それで、今回の結果からしますと、昨年度と同様に、少し再エネの調達のところがうまくいかなかったというようなところが今回の論点かなとも思っています。
ただ、再エネのマーケットがほかの政策によってうまいこと実行できて、それで政府としては少し調達がうまいこといかなかったけども全体としてはうまいこといっているんだという話なのか、今後その調達を増やしていくのに、もっともっとマーケットの中で再エネの量を増やしていけば政府も調達できるようになるのか、その辺りをどういうふうに見通していくのかというのが一つ大きな論点なのではないかなと感じた次第です。
それと、あともう一つの目標達成に関して言えば、やはり関係府省庁間での連携、特には情報の共有だったり、グッドプラクティスの共有だったりだと思うんですけど、その辺りが非常に重要かなと感じる次第です。
というのも、各府省庁間での排出量の違いというのは大きなところから小さなところまであるので、例えばその効果の大きそうなところに関しては、例えば環境省だと30年で88%までいくんだということであれば、その調達のノウハウを持ったような方が、向こうの調達に関与するのかどうか分かりませんけども、人材によるところも大きいような気もするので、そういった辺り、連絡会議だけではなくて、もう少し踏み込んだ連携みたいなことができれば実効性が出てくるのかなとも感じた次第です。
それとあとは少し細かい点になっていきますけども、一つは公用車の燃費の話ですね。10ページのところですけども、1台当たりの燃料使用量が減ったんだというのは、それはそれで確かにいいんですけど、ただ、例えば公用車自体の稼働率が減っているのであれば、そもそも台数を減らせたんじゃないですかということにもつながりかねないので、少しその辺りは要因分析が必要かなと思ったのが一つ。
それからもう一つ細かい話になるかもしれませんけども、先ほどの川本先生からのご指摘もあったように、建物については、廃棄のところについても考慮するような形で記述があるというところではございますけど、ただ、49ページ目の建築物のライフサイクルカーボンの話ですね、ここで今の建築業界でのライフサイクルカーボンのアカウンティングの仕組みなんかを見ていますと、ともすると使用済みになった後の回収した後、どれだけそのリサイクルができそうかなんていうところが評価の外に置かれているような枠組みにも見えますので、その辺りはよくご検討いただいて、作るときはいいんだけど将来に多くのごみを残しましたということにならないような評価にぜひともしていただければいいんじゃないかなと、そういうふうなことを考えた次第です。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。
私からも一言だけ発言させていただきます。
政府の全体の排出量との関係で、再エネの調達及び太陽光の屋根上のものが一番基礎になっていると思いますけれども、見込みを立てて検討していくことが必要になると思いますが、現在、再エネの調達に関してはこの裾切り方式から総合評価落札方式のほうに変更していくことをお考えいただいていて、これは大変結構なことだと思っていますけども、これだけで十分なのかという問題が出てきてしまうと考えられます。2035年に65%削減ということを考えると、これだけで十分なのかという問題が恐らく出てくるんだろうと思います。
もう一つ、屋根上太陽光に関してもあまり進んでいませんが、これはペロブスカイトを入れることによって、ある程度見込みが立つのかという辺りをぜひご説明いただいて、その上で無理、まだ不十分であれば、何らかの新しい対策を考えていかなくちゃいけないのではないかということを申し上げておきたいと思います。
では、今の各委員からの発言を踏まえて、事務局からコメントをお願いいたします。
地球温暖化対策課長
ありがとうございました。
まず、秋元委員のほうからZEB化のことで、ZEB化のうまくいっている事例をしっかり分析して、他に展開する必要があるのではないかということ、それはご指摘のとおりだと思っておりますので、ZEB化の事例は営繕部さんのほうでも事例集をまとめていただいたりして、それを共有したりとかはしているのですけれども、もうちょっと突っ込んだ形でできないかということはしっかりと模索していきたいと思ってございます。
それから、再エネ電力の調達については、スポット契約ではなくて中長期の契約もということなのですけれども、今は役所の契約自体は単年度ごとにということになっていますので、そこが法律上、そうできるのかどうかというところも含めて検証が必要かと思ってございます。
フロンにつきましては小さいものを含めて把握してということでありますが、細かい資料はこの概要には載せていませんけれども、細かいところも含めて把握はしております。漏えいを減らすとか、回収をしっかりやるとか、そういったところは法律に基づく義務もありますので、しっかりとそこはやっていく必要があるということはもちろん思っております。
それから川本委員のほうからPDCAの実施というところの記載について、そこは手段じゃないかということでありまして、おっしゃる趣旨はよく分かっております。もちろん、PDCAは、Plan、Do、Check、Actionですから、チェックをして、何でうまくいかなかったのかということをしっかりとチェックをして、それを元に次の行動に移していくというのがアクションなので、先ほどおっしゃっていたような削減計画を見直すとか、取組を強化するといったことはアクションの中に含まれていると我々としては思っているということでございます。
それから太陽光発電についての廃棄の関係でございます。確かに記述は実行計画の中にはなかったりしますので、計画自体はもう決定しているのですけれども、一方で、太陽光パネルのリサイクルについては、今、環境省のほうでもエネ庁さんと一緒に法制化に向けて検討はしているというところではありますので、そういう動向も見ながら、廃棄の際の目配せとしてどういったことができるのかについては考えていきたいと思います。
それから、太陽光発電について、特に容量ベースはどうするのかということ、須山委員からも件数ベースでの話でしたが100%というのはなかなか難しいんじゃないかというようなご指摘もありました。
件数ベースは「設置可能な」となっておりますけど、こちらは、例えばその積雪量とか日当たり等の立地環境ですとか、空きスペースの面積とか、耐震性等の複数の設問の中からその設置可能性を評価しておりまして、設置可能性が高いというのがA、Bというのが設置可能性は高いけれども懸念事項があるといったようなことなんですけれども、Cは何らかの理由で難しいということで分けて回答いただいていまして、AまたはBというところになったものを設置可能として扱っているということであります。それがポテンシャルになっているということなのですけれども、懸念事項ありというのが評価でいうとBということもあるので、すんなりというものばかりではないというのは確かですけれども、ある程度やっぱり見立て上はいけるんじゃないかというところを挙げてはいただいております。そういう意味で言うと、経済性の評価というのはなかなか併せてはできていないというところはありますけれども、そこは設置可能性が高いというところで線引きをして目標を設定しているので、それに向けてまずは努力をしていく必要があると思っています。
容量に関しての乖離ということですが、そこはもう本当におっしゃるとおりでありまして、では何をやるかというところは、19ページのところではご説明したのですけれども、方向性としては、大きくは我々のほうでも二つあるかなと思っていまして、ポテンシャルはあって載せられるところはこれまでも載せているけれども、ポテンシャルがあって実際いけるのか、実際載るのか、経済性はどうなのかというところを見極める必要があるのですけれども、職員が構造計算書などを見て、うーんとうなっていてもなかなか進まないので、やはりそこは、例えば事業者等にも入ってもらって事業性を評価していく必要があるのではないか、導入の可能性を具体的にしていくというようなことが必要ではないかというのが一つ。あとはやはり初期費用が不要な形でのPPAというのができないのかというところであります。この二つの方面をぜひ追求していきたいと思っています。
ただ、ここにも書いてあるんですけども、PPAの関係でも環境省の施設だけだと小さくて相手にされないみたいなところがありまして、それをどこまで広げるか、あとは役所の垣根を越えて広げるかいうところはぜひ模索していきたいと思っているところでございます。そうした中で、政府施設で例がないということもありまして、まずはその環境省のほうでしっかり例を作っていきたいと思っているところであります。
グリーンスチールについてグリーン購入法の基本方針に位置づけたということなのですが、コストとのバランスについてご指摘がありました。グリーンスチール自体は必ずしもその水素還元施設だけでもないわけですけれども、その製造の過程で排出削減に取り組んだものについて、鉄鋼連盟がガイドラインを作られておりますけれども、それに即した形で一定のマスバランス方式でCO2排出削減の効果を寄せて、グリーンスチールということで世に出していると認識しております。もちろんコストはかかっているというところで、グリーンスチール自体の価格も従来品に比べても高くなっているとは思いますけれども、そこはもちろんコスト度外視ということにはなりませんので、そこはバランスを見ながらということになろうかと思っています。
グリーン購入法は、自治体ではなくて、国と独立行政法人に義務がかかっている法律ですので、自治体はそれに準じてということになります。環境を配慮した製品を積極的に購入していこうということであるのですけれども、毎年の購入ということで契約が必要なので、その調達に当たっては当然価格はどうかというところも役所としては見ているということです。
それから、須山委員から、建築物のZEB化の状況に関しまして、実際新しいものは何件あるのかというところでご質問がございました。
こちらは件数は申し上げていなかったのですが、件数は2022年度以降に設計・建築・竣工した新築建築物のうち13件がZEBシリーズとなっています。22ページで、13件はZEBシリーズとなっておりまして、全体の分母、新築建築物は何件あったかということで言いますと、これは86件ありましたということでございます。ですので、残りの73件は、フォローアップの調査ではZEB Oriented相当未満ということで分類をされています。
ただ、その73件の多くが基準、設計一次エネルギー消費量というのは不明ということで、省エネ性能を把握できないということになっておりまして、どうやってZEB化の率を判断したらいいかなということで、今年度実施するフォローアップ調査からは、基準一次エネルギー消費量、設計一次エネルギー消費量が不明な場合には、BEIまたはBEIm、モデル建物の値ですけれども、そういったものを回答していただくことにしまして、これまで不明ということであった建築物についてもその省エネ性能を把握していくような形にしていきたいと考えております。
総合評価落札方式の検討の状況ですけれども、資料で言いますと36ページになりまして、総合評価と言いつつ、現行の裾切り方式の考え方みたいなことは活用していけないかということは書いてありまして、ここに書いたような形でその検討はしていくと。今年の3月に開催した第3回の環境配慮契約法に基づく電力専門委員会から検討を開始しているということなのですけれども、いつの契約から切り替えるかといったようなところのスケジュール感までは、現段階では申し上げられないということでして、引き続き議論をして、いろんな関係者の意見も聞きながらということになろうかと思います。
それから、LEDとか電動車の導入予定ということでありまして、こちらは、少し説明は飛ばしましたけれども、例えば、25ページに、電動車の導入予定ということで、各府省これだけの値にしていくとかというようなことがあったり、それからLED照明についても同じような形でデータもあります。
ただ、昨年もそうだった部分があるのですけれども、2030年度に100%にしなくてはいけないのですけれども、目標自体が100になっていないところもあります。代替可能な場合ということなのですが、そこは考え方が徹底されていない面もありまして、精査をしながらということではあるのですけれども、いずれにしても各府省庁でこういう形で導入予定というのは立ててはいただいています。
ただ、全体的に目標に向けて、100に向けてある程度線形にこう引いているようなところもあるとは思いますので、具体的なその改修とか更新とか、そういうタイミングを捉えて、より具体的な計画を立てていただく必要はあるのかなというところでございます。
それから、醍醐委員から再エネの調達についてのご意見、ご質問で、ほかのPVとか、そういったもの、積み上げのものとは性格が違うのではないかということと、あとは再エネを増やしていけば調達できるようになるのかといったご指摘がありました。
こちらは必ずしも一対一で対応するわけではないと思いますが、例えば自治体でメガソーラーなんかも地域で環境への影響とか、その懸念が高まっているような事例もあって、再エネの立地を抑制するような条例もできているような状況でありますので、地域共生型の再エネというのもなかなか厳しい状況にはあるというところではございます。そういった中で、地域の合意形成を図りながら進めていくという形と、あとは住宅・建築物の屋根の上というのは一つ進めていきやすいところではあると思っていますので、そういったところを中心に国としても進めているというところでございます。
ただ一方で、データセンターの話とかもあって、電力需要量が伸びていくということが見込まれている中で、脱炭素電源の取り合いというようなことも一つ懸念されるところではありますので、国全体の導入の推進ということとセットで進めていく必要があるのかなと思ってございます。
調達のノウハウを各府省にという御指摘もありましたが、そこは正直、環境省のほうで再エネの電力調達がすごく長けているかというと、実際うまくいかなかった例というのもご紹介しましたけれども、各府省に派遣してというところまではなかなかいかない、環境省もそういった人材という意味ではなかなか厳しいかなと思っているのが正直なところです。先ほど共同調達についてお話ししましたが、再エネ調達のガイドというのも環境省のほうでまとめて公表したりしていまして、その中で共同調達ですとか、リバースオークションという形で、これは少額随契による調達に限るのですけれども、そういった事例も示したりしていますので、そうしたことを含めて追求したいと思います。先ほど申し上げましたように、環境省でも、共同調達に関してかつてはうまくいっていたこともありましたので、そこをちゃんともう一回やっていきたいというところがあります。
それから、公用車の1台当たりが減ったのはいいけれども、ということでご指摘がありましたが、稼働率がどこまでかというところまで正直把握できていないのですけれども、ただ、台数自体は増えており、稼働率が減っていて台数が増えているけれども、何かそれをうまく統合できるのかというと、それは個々の場所で車を使っておりますので、稼働率を増やして、50%が2台だったのを1台でできるのかというと、なかなかそこはうまくできない部分もあるかなと思います。いずれにしても、無駄な導入はしていないはずですので、その分析はちょっと難しい面があるというのが正直なところでございます。
それから、建築物LCAの関係で廃棄とかリサイクルの関係の評価もしっかりとやるべきだということでありまして、こちらはまさに国交省さんの検討会のほうで議論を行っていまして、リサイクル材を活用した場合の評価をどうやって出すかということも議論になっていますので、我々としてもそういったことがしっかり評価されるようにインプットしていきたいと思っております。
それから、大塚先生から最後に、ペロブスカイトの導入でPVの目標達成は見込めるのでしょうかというご指摘がありました。
こちらは、PVは供給・需要面から双方を支援していくということなのですけれども、まず2030年度の目標達成の関係でいいますと、目標を設定したときにこのペロブスカイトの話というのはまだなかったので、基本的には2030年度の目標についてはペロブスカイト抜きで達成していくべきものと思ってございます。
ただ一方で、今後、ペロブスカイトの供給体制も整っていくとか、壁についての施工方法もしっかりできていくとか、そういう形で広がっていくことも想定されますので、そういったところは状況を見ていく必要があるとは思っています。
いずれにしても、今の段階では2030年度目標は基本的にはペロブスカイト抜きで達成すべきものと思ってございます。
すみません、長くなりましたが、以上でございます。
大塚委員長
はい。ご丁寧にお答えいただきましてありがとうございました。
では、後半に移りたいと思います。後半はまず中村委員からお願いいたします。
中村委員
ありがとうございます。先のご意見と重複するところもあるかと思いますが、私のほうからも3点ほどコメントさせていただきます。
まずは6ページ目についてですけど、委員長から冒頭にもありました、2030年、2040年の目標は非常に野心的で高いものでありますので、建物自身ですとか設備機器が長寿命化しているところも考慮しますと、なるべく早い段階で対策ですとか実装することが重要だということで、この点はこれまでにも、多くご意見があったかと思いますが、再度この点に触れておきたいと思います。
目標達成に向けては、非常にハードルが高いということで、まずは改修計画などをしっかり立てていただくことだと思いますけど、5年、10年というのはあっという間ですので、どこかで政府一丸となってテコ入れのようなものも必要ではないかと感じました。
その点で、16ページ、17ページに目標の達成度合いということで出ておりますが、資料3の87ページ以降に各府省庁の取組状況、そちらのほうも確認させていただきまして、取組が進んでいるところとそうでないところが散見しているなということで、同じ省庁内でも、本庁と地方の部局において、例えば電動車の導入状況ですとか、あとはLED化、そういったところにも差が見られているという状況かなと思いました。
今後の導入目標などを見据えますと、ピンポイントで見ても、なぜ進まないのか、困難なのか、今後の計画はといったことも将来的には細かく確認を要することではないかと思いました。この点は先ほど課長のほうからも点検という意味で補足いただいたかと思います。
続いて2点目ですが、新築でのZEBについては、先ほど秋元委員のほうからもありましたけど、優良事例を共有していただいて、ますます推進していただくということと、もう一点重要なのは、やはりパイが大きい既存物件に関してだと思いますので、既存の改修については48ページのほうだと思いますけど、改修時のZEB化ですとか、高効率機器の導入、更新などで率先して進めていただきたいと。
すみません、戻っていただいて、45ページのほうですかね。環境省の実施計画案のところで、既存建築物の取組が示されていまして、国全体でいくと、2050年にはストック平均でZEB水準という、そういう大きな目標もあるわけですので、ここは民間だけでなく、政府のほうでも力を入れて取り組んでいただきたいと思いますので、各府省庁の実施計画のほうにもぜひ既存のZEB化などを組み込んでいただければと思いました。
また、この点でいきますと、環境配慮契約、こちらに関連するところでは、温対計画でも触れられているESCOの活用などもあると思います。過去にもそちらのほうはご説明いただいていたかとは思いますけど、今回の資料では触れられていませんが、改修を進める一つの手段として、契約自体が長期になってしまうということもいろいろ課題もあるかと思いますけど、公共建築から活用事例などを積極的に出すべきではないかと思いました。
3点目は、フロンの排出抑制に係る取組について、代替フロンに関しては、漏えい防止の点に加えて、回収と再生の点も非常に重要だと考えておりまして、45ページのほうに、こちら、事前にご説明いただいたときから追記を、フロンの回収という点を追記いただいたかと思います。ありがとうございます。
フロンの抑制法の施行から徐々に回収率が上がってきているとは伺っていますけど、まだ4割程度はなかったと思います。これから建築物においてもホールライフカーボンという考え方が導入されるところでもございますので、回収、再生の点でも機器の改修の際にはぜひ省庁の建物のほうから逃すことなく取り組んでいただければと思います。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。恐れ入ります。
そうしましたら、根村委員、お願いします。
根村委員
ご説明ありがとうございます。NACSの根村でございます。
私のほうからは2点伺わせていただきます。
まず1点目が、40ページにございました省エネ診断のところなんですけれども、2023年度は30件実施されたということが書かれておりまして、それまでにも2,978件の診断が行われたというように書かれております。
これはそれなりの結果が出ている、あるいは見込みがあるということだと思うんですけれども、今後どれぐらいこの省エネ診断を行い、それによって削減量の見込みがどれぐらい発生するのか、また、それはどこかに数字化されているのかということをちょっと聞き逃してしまっただけかもしれないんですが、教えていただけますとありがたいと思います。
それから、47ページのほう、シートの18にもあったんですけれども、太陽光発電のところで、予定されている数字と乖離があるというところで、ペロブスカイトの導入はまだ当時は計画に考えられていなかったというようなお話が座長の大塚先生からのご質問のお答えの中であったかと思うんですけれども、この太陽光発電とかの再エネに関しましては、発電だけでよいのかというところを非常に疑問に感じまして、発電設備の建築、稼働から廃棄までといったライフサイクル全体で負担は生じていないのかの確認もされているのかも教えていただきたいと思います。
以上2点、よろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。
そうしましたら次に、森口委員、どうぞよろしくお願いいたします。
森口委員
はい。すみません。ちょっと入るのが遅れまして失礼しました。
私からもちょっと総論的なところを最初に申し上げて、その後幾つか各論についてコメントさせていただきたいと思います。
2枚目に、これ、川本委員からもPDCAということについてコメントもございましたけども、それ以前にこのフォローアップのこの会議そのもの、私も最初から参加させていただいておりまして、今回退任されて中村委員に交代されましたが、中上委員がいつも最初の頃に比べると本当にデータが充実してきたということをおっしゃっていて、私も本当にそのように感じております。
一方で、ちょっと事前のご説明のときにもおっしゃっていた、やっぱりその各府省庁のほうでデータを集められるのは非常に大変で、そのデータを集めること自身がちょっと何となくこのフォローアップの目的というか、ちょっときつい言い方になって恐縮なんですけども、自己目的化してしまっていて、そこだけでちょっと力尽きてしまって、その結果をどう生かしていくのかというところになかなか手が回り切っていない部分があるんではないかなという感じがいたしました。
これは年に1回ですし、最後の取りまとめ、座長に一任しますということは、多分今日も儀式として後であると思うんですけれども、我々もここで言った切り、また1年先までなかなかちょっと思い出せずにいくというのは、ちょっと我々自身の反省も含めてなんですけども、せっかくこういう貴重な機会があるので、その後フォローアップして、どこがよくなったのかということを、ぜひ1年後に、去年こういう指摘があって、ここをこうやってここは済みましたという、そういうご報告をぜひ聞きたいなと思っておりまして、それが真のPDCAということではないかなというふうに感じております。
各論に参りまして、まず政府実行計画の、何といいますか、タイムラインというか、時間の感覚で言うと、先ほど中村委員もご指摘されたことの繰り返しになるんですけれども、2月18日に新しい温対計画なり、NDCなりが決まり、政府実行計画も改定されたと思うんですけども、よく2030年以降の直線的削減なのか、上に凸なのか、下に凸なのかという議論もありますけども、どうも実はこの2030年以前の、2030年に向けたところも今ちょっと直線には乗っていなくて、やや上に凸的な、後で相当頑張らないと追いつかないという状況になっているかなと思います。
残り時間が2030年に向けて、決して2030年がゴールではなくて、その先がより大事だと思いますけども、そういう意味で言いますと、やはり今かなり加速をしないとなかなか、粛々とやっていることは大事なんですけども、なかなかそれだけでは進まないかなという感じがしております。
それで、この後、ちょっと電力の各論について申し上げたいと思います。
再エネの調達というか、電力排出係数の小さいものの調達が難しくて、結果的になかなかいい数字が出ないと、これは状況、よく分かります。
一方で、何といいますか、うまく低い排出係数の、あるいは再生可能エネルギーの電力を調達できたとしても、結局、前も申し上げていますが、ゼロサムゲームですので、全体のその供給量が増えない限りは、役所が取った分だけそれだけほかのところが取れないということですので、ここのフォローアップ会議にかけられる数字は、見かけ上よくなりますけれども、必ずしも本質的ではないと思いますし、そういう意味では、自己調達努力ですね、今日PPAのお話もありましたけれども、そういったことにぜひ力を入れていただければなと思います。
ほかの省のフォローアップなどもケアさせていただきますけども、なかなか市場で調達できないので、自社というか自分たちの業界で積極的に発言をして、それを業界の中で売買するというような、そういうことに取り組んでおられる業界もおられますし、政府は決してそういうことをやってはいけないということではないと思いますので、今PPA、オフサイトも含めてお考えになっているのか、あるいは自己託送みたいな世界まで行くとかえって難しいのかもしれませんけども、やっぱりこれまでの調達ということを少し超えたことをやらないと、なかなか政府自らが低炭素の電力を調達していくということの姿勢としては、ややもう上限に達しているのではないかなという気がいたしますので、その辺り、ぜひよろしくお願いいたします。
10枚目に公用車の話がありまして、ちょっとほかの委員からも既にご指摘があったんですけども、これはやはり要因分析をちゃんとしなきゃいけないかなと思います。
たまたま先週、中国での交通関係の国際学会に出ておりまして、そのときちょっと自分でデータを作っていたんですけども、国全体の統計で見てもコロナの影響がすごく大きくて、2020年、2021年って旅客輸送量って激減しているんですよね。かなりはっきり減っています。もちろん、コロナがあっても役所の仕事が止まったわけではないので、簡単には減らないと思いますが、今日もそうですけども、オンライン会議も増えておりますので、そういう意味では、影響がどのぐらいあるのかというようなことを見ませんと、単にやりました、2022年、2023年は回復傾向にあると、多分そういったところの影響もあると思いますので、少しその辺りの要因分析をする必要があるのかなという感じがいたしました。
それから、LEDとか照明の話ですとか、太陽光等の導入に関してですけども、LEDの導入実績も拝見しておりますと、さっき言った残りの年限から言うと相当厳しい。
一方で、省庁別を拝見すると、トータルで見ると、27枚目を拝見いたしますと、防衛省さんの辺りは、28枚目のほうがいいですかね、台数が非常に多いので、防衛省さんがここで10ポイントぐらい改善されたということが全体に対しても効いてくるということなので、こういう非常に多くの台数を持っておられるところの改善ということが全体に効いてくるということもよく分かりましたので、その辺り、ぜひ影響の大きいところに働きかけなどをしていただけるとありがたいかなと思いました。
ちなみに、太陽光に関して、率先実行という意味では、私は3月で退任いたしましたけども、国立環境研究所というところにおりましたが、日本、中国、韓国の3か国の国立環境研究所の所長会議というのがありまして、去年は韓国のインチョンで、韓国の研究所に行ったんですけども、壁面に太陽光発電がもうしっかり張られておりまして、どうやってそういう予算がついたのかというところまで聞いて、分からなかったので、非常に分かりやすい率先実行の例でございましたので、ぜひ、なかなか政府の今の調達のルールでいうと難しいところがあろうかと思いますけども、国民に対しては分かりやすくアピールするということも含めて、その辺り、進めていただければなと思います。
最後に環境配慮契約法のところについて、既に少し出ておりましたし、また、事前にも少しお話をさせていただきました。それから、環境配慮契約法の電気のところについても委員会を作っておられるということを拝見しておりまして、資料なども拝見しておるんですけども、現状では恐らくその点数方式といいますか、いろいろ脱炭素であるとか、再生可能エネルギー電力であれば点数が高くなる仕組みだと思いますけども、先ほどのグリーンスチールの話も含めて、ちょっとこれは一足飛びにそこまでいくには非常に難しいとは思うんですけども、いよいよ日本でもカーボンプライシングが実現するということで、キャップ・アンド・トレード的なものではなくて、いわゆる本当のプライシング、カーボンのプライシングということで、電力であり鉄鋼であり、炭素排出量に応じた価格が含んだ上での価格ということで一番安くなるようなものが調達できるような仕組み、そういう形での総合評価というよりは、本当にもうはっきりプライシングを入れてしまうということまで、場合によってはあり得るのではないかなと思いますし、そういったことをやることによって市場が非常に変わってくる部分もあるかなと思いますので、ぜひ、ちょっと先鋭的過ぎるかもしれませんけども、総合評価ということの中でそういったところまでお考えいただければありがたいなと思います。
長くなりましたけど、以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、吉田委員、お願いします。
吉田委員
それでは、私から最初の2ページ、3ページの辺りを取っかかりとしてお話をしたいと思います。
政府実行計画の新と旧がありまして、要は今回ずっと長年この実行計画に基づいての推計報告がなされているという、当たり前のことをちょっと今さら確認、思ったということです。
要するに、政府の温室効果ガスの排出量の多くは電力が占められていて、その電力の係数は結局電力会社に依存してしまうので、何というか、どこを頑張ればいいのかというのがあまり、何のためにこれをやっているんだろうというふうに少し思い始めていたところだったんですけど、こうやって明確な実行計画というのがあって、これに基づいてやっているという分かりやすい結果、論理だなという、改めて確認しました。
その中で、そうですね、ここに書いてある旧実行計画では、廃棄物とか紙類とか、ごみの例とかをかなり詳細に推計されていたところだと思います。
それで新しいほうの実行計画を見ると、その辺が割と非公開、カーボンニュートラルに向けてかなり明確的になっているのかなという。恐らく来年度の報告ではそういったごみとか紙類の統計がなくなってくるのかなというふうにちょっと予測しておりますけれども、その中で感じたのはフロンだとか、何というか、強度の強いものとか、あるいは再エネというポテンシャルの大きいものについて、それは今年もご報告があって、非常にそこは政府自身が力を入れるということでよい報告がされていたと思います。課題を含めてですね、PPAとかの、はい。
来年度に向けての話になっちゃうんですけど、これを見ると、ライフサイクル評価とかカーボンフットプリントとかScope3という、そういうキーワードが結構目立ちまして、これをどうやって取り込んでいくのかということを、少し展望をお聞きしたいなと思います。
要するにこれは、ほかの民間の業界団体さんも一部がScope3を推計したということでやられている一方で、非常に多くの業界団体さんが苦労してなかなか実行できないという。
私としては正直、全ての事業者さんが真面目にやるというのは、少し労力的にも実行的でもないと思っています。欧州のようにデジタルパスポートのような、ああいうインフラが整ってくれば非常に効率的にできるんでしょうけど、現状では多分簡易に推計するというのと、正確にというのは両立しないというふうになってくるので、その辺をどこで折り合いをつけるかということを、何というか、ここでの政府の実行計画で注目されると思うんですね。政府がこういうふうに評価を出しているのかということを。なので、その辺の来年、このScope3の推計の展望についてお伺いしたいと思います。可能な限りで結構です。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、一通り、委員の先生方のご発言はこれで終わったと思いますけど、それではまた課長のほうから、吉野課長のほうからコメントをお願いできればありがたいです。よろしくお願いします。
地球温暖化対策課長
まずは中村委員のほうから、資料3の細かいデータのほうにも言及いただきながら、同じ役所でも本省と地方で差があるのではないかといったご指摘がありました。
そこは本当におっしゃるとおりだなと思っています。ただ、ちょっとそこまで分析の手が回っていないところもあります。ただ、本当に本省と地方で差があるとすると、うまくいっていないほうは何でうまくいっていないのとか、そういうところを、多分役所共通のところもあるかもしれませんし、それぞれの役所ごとに違った理由があるというのもあるかもしれませんので、そういったところは各府省庁でしっかりと分析していただいて、それでこういうところはどうなっているんだとか、ここはやっぱり全府省庁で統一的にやってもらう必要があるんじゃないかとか、そういう声を吸い上げて、環境省のほうでそれを例えば制度所管のところと議論するとか、そういう流れにしていくのが理想だとは思ってございます。
それから、既存の建築物のZEB化というところはもちろん重要だということで認識しておりますので、各省の実施計画におきましても、政府実行計画にも書いておりますので、しっかりと位置づけていただきたいと思っています。
それから、ESCOについて言及がありまして、確かに、すみません、今回の資料には言及はありませんでしたけれども、政府実行計画の本体のほうには、これまでの中上委員からのご指摘も踏まえまして、建築物におけるエネルギー対策の徹底のところで、ESCOも検討するということは初めて実行計画にも位置づけたというところでありますので、事例がちょっとでも増えていくようなことで取り組んでいければと思ってございます。
それから、フロンの回収、再生のところも大事だということでご指摘がありまして、こちらも建築物のLCAの中でもライフサイクルカーボンと言いながらも、カーボンの中にはそのCO2換算をした温室効果ガス、フロンも含むということで国交省さんのほうでも検討が進められていると認識していますので、そういったところがしっかりと反映されるように、環境省としても議論に参加していきたいと思っております。
それから、根村委員から、省エネ診断の今後の予定といったようなことのご質問がありました。
ここは、申し訳ございませんが、結果については報告をしてもらっているのですけれども、これからどれだけやりますかみたいな予定までは、各省からもいただいてはいませんので、予定として挙げられるのかということも難しいかもしれませんし、なかなかすぐその結果をまとめるというのは難しいのですが、省エネ診断をやっていただければ、コストが安いほうから提案をいただけるようなところもあると思いますし、ちょっとした運用のところで、実際の削減につながるような対策も意外とあったりすると思いますので、そこはしっかり、省エネ診断の有効性、ここはうまくいった、これだけのことでこれだけ減ったといったところは出していければと思ってございます。
それから、再エネの関係で、恐らく太陽光発電の関係で、発電だけでいいのかとかということのご指摘があったのですが、これは多分、例えば再エネ設備についてLCA的な製造段階とか廃棄段階含めての評価というのはどうなんだというご指摘かなと思います。その点は、普通のシリコンであれば海外製のものが多いということで、なかなかデータもないということなので、ライフサイクルでの評価というのは現状得られるデータではなかなか難しいというのが正直なところでございますが、いずれにしても、少なくともしっかり国内で廃棄までしっかり見るとか、そういうところはやっていく必要があるのかなというところでございます。
それから、森口委員から、毎回、1年に1回言ったきりになってしまっているというご指摘がありまして、確かに今回の資料も、去年こういうご指摘があってそれに対してこうしましたみたいな形での、必ずしもそういう対応にはなっていないのですけれども、これまでも、例えば床面積が実際どうなっているのかとか、そういうご指摘もあったかと思いますし、燃料の部分の熱ですね、熱のところはどうするのかというようなことでいろいろご指摘いただいたこともありました。そこも政府実行計画には書いてはありますし、去年の専門委員会でまとめていただいた中では、熱についても、庁舎等の建築物における燃料を使用する設備について、脱炭素化された電力による電化を進め、電化が困難な設備について使用する燃料をカーボンニュートラルな燃料へ転換することを検討するといったようなことで、今後の取組としてまとめていただいています。
ただ、ちょっと今回は、燃料のところはなかなか、もちろん電化というのは当然やっていくのですけれども、カーボンニュートラル燃料みたいなところがまだちょっと先が見えていないというようなこともありますので、当面の重点的な項目としては、電力調達と太陽光と建築物対策だろうということでまとめさせていただいたところです。
これまで省エネ診断についても、実際に改善提案を受けて、診断結果がどうで、どういうふうに活かしたのかといったご指摘もありましたので、今回、具体的な事例をお示ししました。そういったこともやらせていただいてはおります。
それから、再エネに関して、ゼロサムゲームだということで、これまでの契約を超えたようなところの新しい抜本的なことをやらないといけないのではないかというご指摘がありました。
そこはおっしゃるとおりでありまして、もちろんPPAということを追求していくということもありますし、あと、オフサイトも含めて考えていいのかということでありましたけれども、そこは全く排除するつもりはありませんので、オフサイトの形でもできれば、そこは追求していくべきと思っています。それに限らず、本当にいろんな形で、これまでの発想の延長ではないところも含めていろいろアイデアを出していく必要はあるかなと思いますので、そのあたりはまた委員の皆様方のアイデアもいただければありがたいと思ってございます。
それから、旅客の輸送の関係の分析というご指摘がありましたが、この点は公用車の燃料使用量はデータを取っていますけれども、出張の関係では、例えば電車とか飛行機とか、その辺りのデータというのは現状ないところでございます。吉田委員からもLCAとかScope3の関係でどうするのかというご指摘がありました。Scope3の関係は今、バリューチェーンの排出について算定をしていただいて、排出削減計画を立てていただくようなモデル事業を環境省でもやっていまして、それで個社の支援もやっていますし、その業界の支援もやっています。
例えば、昨年度でいうと建築プレハブ協会も採択をして、その業界の中でデータをどうやって扱うかということについての業界ガイドラインを作っていただくなど、そうしたルールづくりにも取り組んでいただいたりということをやっています。
まずは、二次データの使い勝手をよくするということもありますし、しっかりと一次データを取ることが削減努力につながるということだと思っていますので、そこは両面あるということなのですけれども、いずれにしてもScope3だとか、LCAだとかというところがまだまだ世の中的には途上かなというふうに思っていまして、我々もただひたすら算定してくださいというつもりはなくて、算定することで、ホットスポットと言っていますけれども、どこが減らしやすいかみたいなところの当たりをつけることができ、しっかり削減につながっていって、ということが一番重要かなと思っていますので、そうしたことに業界別にまずは取り組んでいただいたりといったことを進めさせていただいております。
実は、正直なところ、政府自らは民間には呼びかけているものの、すごく遅れていますので、今回その政府実行計画にも盛り込みましたけれども、正直、例えば環境省のScope3って何なのかと言えば、調達する物品の関係と、あとは職員の通勤の関係と、あとごみの廃棄に関わるようなところ、そういったところが主なところかなとは思うので、そういったところまず算定ができないのかということは模索しているところであります。
それからカーボンフットプリントについては、グリーン購入法の基本方針にも幾つかの物品につきましては、基準値にそこを考慮するということで位置づけていますし、組織単位でScope3を算定するのと同様、CFPは製品単位ということになりますが、いずれにしてもバリューチェーンの各段階に分解して、そこのどこが削減につなげていけるのかというところの当たりをつける作業ということだと思っていますので、CFP、カーボンフットプリントも、モデル事業で算定の支援をやっていますけれども、もっともっと事例を作っていく必要があるかと思いますので、そこをまず中心にやらせていただいているというところであります。
それから、森口委員からカーボンプライシングのご指摘がありまして、炭素排出量に応じた価格で評価できないのかといったようなことがありまして、どういう制度でやるかというのは難しいのかなと思うのですが、やはりGX-ETS、排出量取引制度が来年度から入るということと、あとは化石燃料賦課金も2028年度から入っていくということなので、まさにそれは炭素の排出に応じた賦課金ということですので、世の中的にはそういうことでカーボンプライシングが進んでいくということにはなっています。そういう状況を見ながら、自然と調達の中でもそういったことは反映されていく社会にはなっていくのではないかと思っています。
それから、日中韓の会議の中で、韓国とおっしゃっていましたか、中国でしたか、壁面についていたよということで、率先実行をというご指摘がありました。この点は環境省の新庁舎、令和9年度には移転することになっているのですけれども、国の庁舎で初となる建材一体型の太陽光発電設備を導入するということで、西側の壁面、ちょっと狭いほうなのですけれども、15.6kWの壁面太陽光を入れるということにはなっています。こちらも若干コスト的には普通のパネルより高いのですけれども、やりたいと思っています。
それから吉田委員から、ごみとか紙の関係がこれまでの、前計画の資料にはあったけれどもということでありました。今回の2ページにつけている実行計画の概要はちょっと新しめのところを中心に記載していますので、必ずしも廃棄物とか紙ということが書いていないのですけれども、それら項目については実行計画の本体にはしっかりとこれまでどおり入っていますので、取組はしっかりとそれはそれでやっていくとことになります。
ただ一方で、調査の合理化ということをご報告しましたけれども、毎年ということではなくて、複数年に一度にするとか、データを取ることに関してはそういうことになるかなと思っています。いずれにせよ、ごみ削減などの取組は引き続き必要と思ってございます。
以上になります。
大塚委員長
はい、大変丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。
もう時間がほとんどなくなっておりますが、よろしいでしょうか。もしどうしても追加でコメントいただく方がいらっしゃいましたら、お一人ぐらいと思いますが、よろしいですか。
では、それでは時間となりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきます。
最後に事務局から一言お願いいたします。
地球温暖化対策課長
はい、本日もいろいろご意見、ありがとうございました。
私も、今、課長になって2年ぐらい経つのですけれども、排出量が増えてしまっていて、どうしたものかというふうに本当に日々悩んでいるところであります。何でうまくいかなかったのかとか、何でうまくいったのかというところをつぶさに分析する必要があるかなと思って日々取り組んでいるという中で、特に今回は重点としてやはり再エネの調達と太陽光発電の導入拡大、その方向性としては事業性の詳細の調査ということと、PPAの追求といったところ、それから、建築物の特に既存建築物をどうするかというところ、そこはストック対策が課題だというところが重点としては挙げられると思っておりますので、最後のまとめに入れさせていただいたというところでございます。
ということですので、今回のまとめをしっかりと政府の幹事会のほうにも報告をして、PDCAと口で言うのは簡単ですけれども、しっかりとまたアクションにつなげていくようなことで努力していきたいと考えてございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、最後に事務局から連絡事項などがございましたらお願いいたします。
地球温暖化対策課長
はい、本日は活発なご議論をありがとうございました。
議事録につきましては事務局で取りまとめを行いまして、後日、委員の皆様にご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
これまで、YouTubeで配信していたということで議事録は必ずしもホームページに載せ切れていなかったところがありまして、大変申し訳ございませんでした。議事録につきましてはしっかりとホームページに載せていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。長時間にわたりご議論いただきましてありがとうございました。失礼いたします。
ただいまから、2025年度中央環境審議会地球環境部会カーボンニュートラル行動計画フォローアップ専門委員会の第1回を開催いたします。
本日はご多忙のところ、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日はオンラインにて実施させていただいております。
委員の皆様のお名前は、資料1の委員名簿をご確認いただければと思います。本日は齋藤委員がご都合によりご欠席となっております。
また、本日は関係府省庁の皆様にも参加していただいておりますけれども、公正取引委員会、消費者庁はご都合により欠席ということでございます。
本日の審議は公開とさせていただきまして、YouTubeで同時配信をいたします。通信環境の負荷低減のため、ご発言の際を除きまして、カメラはオフ、マイクはミュートにてお願いいたします。
それでは、ここで委員長から一言ご挨拶をいただきます。
大塚委員長、よろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい、どうも恐れ入ります。一言ご挨拶申し上げさせていただきたいと思います。
本日はカーボンニュートラルの行動計画フォローアップ専門委員会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
昨年9月の委員会では、政府実行計画の改定に向けた論点につきまして、ご議論いただきました。その結果を踏まえまして、本年2月に政府実行計画が閣議決定されております。
新しい計画では、温室効果ガスを2013年度比で2035年度に65%、2040年度に79%削減するという目標が位置づけられております。また、削減目標の達成に向けまして、個別の取組について新たな目標が設定されているなどしております。
4月には、2023年度の我が国の温室効果ガスの排出・吸収量が公表されておりまして、基準年である2013年度以降で最も低い値約10億1,700万トンとなりました。
一方、2050年のネットゼロの実現は決して容易なものではございません。政府自身が自らの温室効果ガスの削減に一層率先して取り組んで、地方自治体、事業者、国民等の積極的な取組を促すことが重要でございます。しかし、これは目標との関係でかなり厳しい状況が続いていると言わざるを得ません。
本日は、2023年度の政府の取組実績をフォローアップいただきます。PDCAをしっかり回すという観点から、各府省庁の取組状況についてご議論いただきまして、ご質問いただければ大変ありがたく思います。
委員の皆様におかれましては、政府におけるさらなる取組が進みますよう、積極的なインプットをお願いいたします。また、各府省庁におかれましては、本日の審議結果を今後の計画の実施及び点検につなげてください。環境省におかれましては、しっかりとリーダーシップを発揮して、各府省庁の取組を引っ張っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上で私の挨拶を終わらせていただきます。
地球温暖化対策課長
どうもありがとうございました。
それでは、以降の進行につきましては大塚委員長にお願いいたします。
大塚委員長
それでは、議事に入りたいと思います。
本日は、2023年度における政府実行計画の実施状況につきましてご議論いただきます。
事務局から資料について説明をいただいた後、ご審議いただくことといたします。時間も限られておりますので、効率的に審議を進められればと考えております。
では、資料2から4につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
地球温暖化対策課長
申し遅れましたけれども、私、地球温暖化対策課長をしております吉野でございます。
では、私のほうから資料2から4につきましてご説明をいたします。
まず資料2でございますが、目次がありまして、本日の目次はこのような形になっております。
2ページのところは、本年の2月に閣議決定をいたしました新しい政府実行計画の概要ございます。
これまで、2030年度の目標を設定しておりました前計画がありましたけれども、今回2035年度の目標、2040年度の目標ということで、それぞれ65%、79%という削減目標を設定いたしまして、太陽光発電の導入等々につきまして取組を強化して各項目盛り込んでございます。例えば、太陽光発電につきましては、2040年までに設置可能な建築物の100%、乗せられるところは全部乗せようという目標であったり、ペロブスカイト太陽電池を率先導入するという目標、建築物についてもライフサイクル全体を通じて対策に努めるといったようなこと、それから、電力調達につきましては、2040年度には調達電力の80%以上を脱炭素電源由来の電力とするということ、その他、いろいろ新しい項目も含めて盛り込んでいるところでございます。
3ページ目は、前の政府実行計画の概要でございます。本日は2023年度のフォローアップということですので、この旧計画に即した取組が対象ということになってございます。
4ページになります。政府実行計画の実施状況の点検につきましては温対法にも書いてありますし、政府実行計画の中にも、点検結果を取りまとめて、各府省庁の参加の下で、中央環境審議会の意見を聞いて、その意見と併せて地球温暖化対策推進本部の幹事会、これは政府の幹事会ですけれども、そこに報告するということとしております。
毎年、幹事会に報告しておりますけれども、今年の幹事会は夏頃を予定しておりますので、今日のご審議をいただきまして、そちらの幹事会のほうにつなげていきたいと思ってございます。
下半分に書いてございますのは、調査内容の最適化ということであります。
毎年度、政府実行計画のフォローアップ、各府省庁さんにご協力いただきまして、大変膨大な調査にご協力いただいているところでありますが、なかなか負担が大きいという面もございましたので、関係省庁の連絡会議におきまして、調査の実効性の確保と負担の軽減を両立するという観点で調査項目を見直すことにしてございます。
一つ目の矢印のところに書いてありますのは、まず複数年に一度の調査とする項目を幾つか設定をするということで、あとは進捗状況の点検にあまり活用されていない項目につきましては削減すると。一方で、例えば省エネ診断の関係でいいますと、これまでその対策の提案を受けた件数などを報告いただいていたのですけれども、件数自体にはあまり意味はないのかなということでやめることとし、一方で、具体的にどうしたのかというようなことは個別にヒアリングを行わせていただくこととしたいと思っています。
一方で、例えばフロンの関係ですとか、新しい調査対象、調査項目を設ける部分もございます。
こういった形でメリハリをつけた形で実施をさせていただきたいと思ってございます。
続きまして、6ページになりますけれども、政府全体の温室効果ガスの総排出量の推移ということでございます。
2023年度の排出量は約174万トンということで、2013年度比でいきますと21%減少しているということ、ただ一方で、燃料使用による排出量は減少しているけれども、電気使用に伴う排出量は増加をしてしまいましたので、前年度比では3%増加してしまっているということでございます。
これは昨年度もそうでありましたけれども、再エネ調達率が減少してしまいまして、それに伴って電気の使用に伴う排出係数が増加したということによる影響が大きいと考えてございます。
8ページは、施設の単位面積当たりの電気使用量ということで参考的につけさせていただいていますけれども、下半分のところのグレーのところを見ていただくと、床面積が少しずつ増えているということでございます。そういった中でも、単位面積当たりの電気使用量というのは13年度比でも11%減っており、前年、2022年度から比べても少し減っているということなので、全体の床面積、行政組織が増えたりとかということがありますけれども、単位面積当たりの電気使用量は減っているということになります。
それから9ページ燃料使用量につきましても、単位面積当たりのものを出していますけれども、同じような傾向は維持しているということでございます。
10ページは公用車ですけれども、公用車の燃料使用量は前年度と比べて少し増えてしまっており、台数も、2013年度比でいいますと28%増えてしまっているということなんですけれども、1台当たりの燃料使用量は45%減っているということでございます。
11ページは削減目標対象外の排出量になります。東日本大震災関係の廃棄物焼却に伴う排出であったり、あと船舶とか航空機の使用に伴うものといったものは対象外ではありますけれども、排出量自体は把握をしているということでございます。
廃棄物焼却の関係は環境省の所管ですけれども、帰還困難区域における除染等を行っているところでありまして、今、まだ復興の取組は道半ばですけれども、対象となる廃棄物の処理が終わればゼロになっていくということは見込んでいるということでございます。
12ページ、13ページは、府省庁ごとの排出量を記載してございます。
14ページは、府省庁ごとの割合でございます。
次、16ページにいきますけれども、政府実行計画で数値目標を設定している項目についての進捗でございます。温室効果ガスの総排出量は先ほど申し上げたとおりになっておりまして、太陽光発電につきましては、設置可能な建築物の50%以上に設置をするというところですけれども、21.6%まで今行っているということ。それから建築物の建築につきましては、新築建築物は原則ZEB Oriented相当にするといったようなこと等が盛り込まれているところでございますけれども、ZEBシリーズにつきましても、これは後で中身についてはもうちょっと詳しい資料をつけておりますけれども、着実にZEBシリーズも増えてきているということでございます。
17ページのところは、公用車ですとかLEDについて載っておりますけれども、2030年度までにストック100%ということでありますが、それぞれ40%弱ぐらいまで、今、到達しているということでございます。
電力調達につきましては、60%以上が2030年度までの目標ということですけれども、前年度よりは少し落ちてしまいまして、今19%ということでございます。
それぞれの項目につきまして、少し詳しめのスライドを載せておりますのが18ページ以降ですけれども、18ページのところは太陽光発電についてでございます。
太陽光発電につきましては、政府実行計画に基づく件数ベースの目標に加えまして、公共部門脱炭素化の連絡会議におきまして、容量ベースの導入目標を府省ごとに設定してございます。
こちらは第6次のエネルギー基本計画を策定したときのエネルギーミックスを実現するために、太陽光発電につきましては、2030年までに103から117GWを導入するという見通しの下に計画をつくっておりまして、そのうち公共部門で6GWということになっていたものですから、連絡会議で議論しまして、政府部門につきましては、この右の下のグラフの一番右のところにありますけれども、57.6MWということで、GWにしますと0.06GWということですけれども、こういう目標を定めまして、役所ごとに取り組んでいるということでございます。
各府省、このそれぞれの目標実現のための太陽光発電整備計画をつくるということになっていまして、昨年の4月に策定をして、毎年度見直すということにしております。
一方で、府省ごとにやっているのですけれども、導入目標に対する政府全体の進捗は、件数ベースで先ほどありましたとおり21%で、設備容量ベースでは3%ということで、まだまだの状況ということでございます。
ポテンシャルについても調査はしておりますので、そういったポテンシャルがあるよといったところにつきましては、それぞれ、各府省庁においてしっかりと取組を進めていく必要があるということでございます。
19ページですけれども、検討状況ということで、なかなか厳しい状況にある中で導入計画を具体化していく必要があるわけなんですけれども、我々の中でもいろいろ議論しまして、ポテンシャルがあっても具体的にそこに実際にどれぐらい入るのかとか、経済性はどうなのかとか、そういうところをしっかりと詰めていく必要があるということで、そのためには、構造計算書とか、電力の需要量のデータとか、そういう幾つか鍵となる書類があるのではないかということでございまして、まず昨年度、環境省のほうでそういった書類の保有状況を施設ごとに調査いたしました。その施設をグループに分けてみましたのが、この下半分に書いてある表になっております。
グループの①と②の辺りは、ここは構造計算書もちゃんとそろっているということで、こういったところから具体的にその事業性をしっかりと精査していくべきではないかと考えております。我々としても、来年度の予算要求で、こういったところの事業者の調査をするための必要な予算を要求したいと考えておりまして、今、中で議論をしているところでございます。
あと、もう一つの方向性といたしましては、やはり初期費用が不要な形でのいわゆるPPA方式の活用といったことをぜひ進めていきたいということで、これは以前から申し上げているところですけれども、環境省のほうで、所沢にあります環境調査研修所、これはポテンシャルで言いますと100kWぐらいのところなんですけれども、ここで事業化を検討いたしました。しかしながらこれでも事業規模が小さくて、調達コストの現状を大きく上回る結果となってしまい事業化に至らなかったということで、今年度、より大きなポテンシャルを有する施設であったり、複数施設をまとめて規模を確保するといったようなことをやっていく必要があると思ってございます。ここはぜひ、PPA方式自体は世の中的にはもういろんなところでやられているところですので、何とか政府の施設でやっていきたいと考えているところでございます。
22ページについて、ZEB化の状況でございます。
2022年度以降に設計・建築・竣工した新築建築物におけるZEBシリーズの内訳が以下のとおりということになってございます。
こちら、目標は新築建築物、原則ZEB Oriented相当で、2030年度までに平均でZEB Ready相当になることを目指すということになっており、事例としてはここにあるとおりなんですけれども、実際に新築建築物の分母が幾つあって、その中でのZEBシリーズが幾つなのかというのをしっかり分母分子を精査する必要があるかなと思っています。これまでのフォローアップ調査では、なかなか分母の部分がはっきりしないということがありましたので、今年度の調査からは、必ずしも一次エネルギーの消費量が不明な場合でも、BEI、これは設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割ったものですけれども、BEIの値はそれぞれ持っているだろうということで、そういったものを回答していただくことで、より精緻に分母分子をそろえていきたいと考えてございます。
23ページが電動車になっていますけれども、こちらが40%弱というところまでいっているということであります。まだ一層の取組が必要ということですけれども、いずれにしてもその新規の導入や更新時において電動車の導入を徹底するということが必要でありますので、そこはしっかりと各府省にも呼びかけてまいりたいと思います。
26ページがLED照明になっておりまして、こちらも40%弱ということですけれども、蛍光ランプの製造輸入が2027年末に廃止されるということになりますので、それ以降の照明の交換に際しては必然的にLEDになっていくということにはなろうかと思いますけれども、いずれにしても新築改修時において計画的にLEDを導入していくといったことが必要かなというふうに考えてございます。
30ページが再エネ電力調達の導入状況ということでありまして、2023年度実績はその前の年から少し減ってしまったということであります。
再エネ電力の調達がうまくいかなかったということで、各府省も苦労されてはいるんですけれども、環境省の中でもうまくいかなかったというケースがありまして、その例をここに書いてございます。
このケースにおきましては、2023年度の電力供給契約で、いわゆる環境配慮契約法に基づく裾切り方式でやろうということでやったんですけれども、1回、2回、3回とやりましてうまくいかず、結局再エネ比率の低い電力を調達することになってしまったというところございます。
こういったようなことがありましたので、何とか今の枠組みの中でうまくいくというようなことができないのかということを、しっかりと追求していかなくてはならないというふうに思っておりまして、例えば、環境省の中でも数年前は幾つかの施設をまとめて共同で入札にかけて、規模を確保して、うまく再エネ電力を調達しているようなこともやっておりましたので、それが数年たつとまたばらばらにそれぞれのところがやっているみたいな実態もあったりしまして、そういったところをしっかりもう一回見直して改善していくことができないかと思っております。
32ページのところは、環境配慮契約法に基づく電力調達の検討状況でございます。
現状の環境配慮契約法に基づく方式としては、排出係数の値であったり、未利用エネルギーの活用状況であったり、再エネの導入状況、こういったものに点数をつけまして、さらに加点要素もあり、点数をつけて、一定の点数に満たないところは入札に参加できないということで、裾切り方式を採用しているということになります。その状況としては以下のとおりということで、まず令和7年度の電力調達については排出係数の閾値については0.52ということで、要はこれを超える排出係数の電気事業者は、排出係数の点数が0点ということで入札に参加できないということで運用しているということ、それから調達電力に占める最低限の再エネ比率割合は40%にすると。これは2030年度に60%ということになりますので、それに向けて段階的に引き上げているということでございます。
制度的にはそういうことになっておりまして、あとは入札するときに再エネ電力メニューにどんなものがあるかというのをしっかりと情報提供しようということで、環境省のホームページで各電気事業者さんのメニューを紹介しているというところ、それから総合評価方式につきましては、各委員の皆様からもご指摘を受けておりますけれども、令和7年度以降、総合評価落札方式の導入に向けた検討というのを始めていくということになってございます。
何枚かは電力専門委員会の資料をつけさせていただいておりまして、38ページ以降が、数値目標を含まない具体の項目ということでございます。
まずは、38ページのところは用紙類の使用量ということで少しずつ減っていますということ。
それから39ページのところが廃棄物・可燃物・プラスチックごみの量ということで、こちらもちょっとずつは減っているということになっています。
40ページのところは、省エネ診断の実施状況ということで、省エネ診断の実施件数自体は今後ともフォローアップはさせていただきますけれども、具体的にその省エネ診断を受けて提案された対策としてどんなことをやったかといったことを聞いておりまして、ここにある程度、全部ではありませんけれども、まとめさせていただいております。
44ページ以降が、全体的な公共部門の脱炭素化に関する取組についての最近の動向の紹介でございます。
44ページのところは、全府省庁に入っていただきまして連絡会議を設置しておりまして、これまで約半年に一度ぐらいのペースで開催しており、直近の第3回と第4回の概要をここに記載しております。
政府保有施設についての目標を設定して、太陽光発電整備計画のさらなる具体化をお願いするといったようなことですとか、国交省の官庁営繕部さんからでZEBの事例集を紹介していただいたりとか、最新の有用な情報を共有するといったようなことを含めてやらせていただいております。
それから第4回のところは、先ほど太陽光のところで申し上げましたけれども、必要となる構造計算書の書類の保有状況等を精査することが大事じゃないかということなので、そういったことをやっていこうということをまとめさせていただいたりとか、あと、ここにはちょっと書いておりませんけれども、これはまた官庁営繕部さんのほうから、建築物のLCAにつきまして試行的にやっていくということを発表いただいたといったようなこともやっております。
45ページに各府省庁の実施計画の策定と書いてありますけれども、政府実行計画を改定いたしますと、府省庁ごとに実施計画を策定していただくことになっておりまして、今、各府省庁さんにその策定をしていただいている最中でございます。
環境省におきましては、参考資料3としてもつけていますけれども、ここに書いてありますような案を、今、作っている最中でございまして、これをまた精査して、夏の温対本部の幹事会に向けてまとめていくということで考えております。
環境省の実施計画は、政府全体の目標と比べても意欲的なものを設定しておりまして、例えば温室効果ガスの排出量につきましても、これは電力調達が2030年までに100%を目指すということで設定をしておりますので、電力使用に伴う排出量はゼロということを前提に、2030年度までに88%減というのを前計画のときに設定をしておりまして、そこから燃料使用に伴う分をこれまでのトレンド線を引っ張ってこのような形で設定をしているということでございます。
それから、追加的に、必ずしも政府実行計画に数値目標がないものにつきましても、常時監視システムも含めてフロンの関係ですとか、あとごみにつきまして、プラごみを2030年度までに30%削減して、残りにつきましても有効利用率100%を目指すといったようなことをぜひ盛り込みたいと思って、今、調整をしているところでございます。
46ページがペロブスカイトの関係でございまして、政府実行計画におきましても、政府施設における導入目標の検討ということを記載してございます。
こちらは、エネ庁さんでやられておりますペロブスカイト官民協議会のほうでも、供給側と需要側と双方取り組んでいこうよということになっておりまして、その中で需要側を特に環境省のほうでも力を入れてやっていこうということであります。
それで、まず、昨年度行いましたのは、昨年度のフォローアップ調査の中で、政府保有施設の設置に適した屋根や壁面の面積についての調査をさせていただきまして、一定の条件の下で試算した結果を公表したというところでございます。
細かい結果は次のページに書いてあるんですけれども、まずは太陽光、従来型のシリコンの太陽光発電が乗らないような大波スレート屋根とかテント式の屋根を対象に、屋根についてはそう絞りまして、あとは外壁につきましても建具の面積を除いたようなことを一定の式を基に算定しまして、北側に相当する面積を除くといったような形で算定をして出していただいています。
ただ、壁面における施工方法ですとか、そういったものがまだできていないということもありますので、そういった状況も見ながら、政府部門における導入目標については検討していきたいと思ってございます。
48ページが、建築物の環境配慮契約に関する検討状況ということで、こちらも環境配慮契約法の下での動きということですけれども、建築物のライフサイクル全般における脱炭素化というところで、これまでは維持管理のところを中心的に取り組んできたところかと思いますけれども、設計段階であるとか、あと改修の段階におきましても、ZEBの実現に向けた改修計画を検討するということを求めているとかという、そういったことで主体の取組を評価しているというところでございます。
49ページは、建築物ライフサイクルカーボン削減に向けた取組ということで、こちらは国交省さんのほうで、今、検討会も立ち上げて、環境省も入って議論を始めたところですけれども、建築物のライフサイクルカーボンの算定、公表の制度について、今、制度化に向けた議論が開始されているというところ。
50ページは、これと呼応しまして、政府実行計画でも建築物のライフサイクル全体を通じた排出削減に努めるということを記載したところでございまして、今年度は官庁営繕部さんのほうで、直轄事業の中で試行的にその算定を行うといったようなことを打ち出しておられるということでございます。
51ページは、GX製品の市場創造ということですけれども、いわゆるグリーンスチールですとか、排出削減に向けて一定の投資が必要で、それによって生み出されたGX製品等の市場創造、しっかりと需要側で支えるということのために、公共調達というのは一つの重要な施策と思っておりますけれども、グリーン購入法基本方針の昨年度の見直しの中で、GX製品であるグリーンスチールについて位置づけ、より高い環境性能に基づく基準ということで基準値1に位置づけたということでございます。
52ページは、GX製品の需要ということでありますが、これ国ではありませんが、東海市さんのほうで、オフィス家具、什器、ロッカー、オフィスシステムの収納ということでありますけれども、グリーンスチールを使ったそういったものを導入したというところで、これは紹介でございます。
54ページが一番最後になりますけれども、こちらは23年度の実施状況のまとめと今後の取組ということでございまして、実施状況につきましては、先ほどのスライドにも入っておりますけれども、2023年度比で21%の減少でありますけれども前年度比では増加している、2年連続で増加してしまっているという状況で、再エネ調達の減少の影響が大きいのではないかということなので、そこの再エネ調達の課題を整理して取組を強化する必要があるということ。それから、その他の目標についても十分とは言えない状況であるということ、そういったことを状況の認識としては書かせていただいていまして、今後の取組といたしましては、特に以下の点に重点的に取り組むということでまとめて幾つか書いておりますけれども、まずはやはりこの再エネ電力の調達につきまして、環境配慮契約法に基づく取組をしっかりと運用していくということ。一方で、なかなかうまくいかないという事例も出てきておりますので、そういった、何でうまくいかなかったのかというところをしっかりと整理をして、それを踏まえて運用の見直しを含めて取り組んでいくということを書かせていただいております。
それから、太陽光発電につきましては、先ほど事業性の調査をしっかりやるということと、あとPPA方式を活用していくことを主に申し上げましたけれども、そういったことをしっかりとやっていきたいということ。
建築物の省エネ対策については、新築建築物についてはもちろんZEB化に向けてということでありますし、既存の建築物についての対策というのは、ロットとしては大きいわけなので、そちらもしっかりと取り組んでいくと。改修時には中長期的・段階的なZRB実現に向けた計画を検討するというところをしっかりと進めていきたいと思っております。
あと、一番最後は電動車やLED照明について、更新時や改修・移転時の導入を徹底していくということでございます。
そういったことでまとめさせていただいております。
あと、後ろは参考として基礎排出係数に関するデータをつけておりますが、説明は割愛いたします。
以上が資料2の説明になっておりまして、資料3ですけれども、資料3は、今、概要ということでご説明いたしましたけれども、大変細かいデータ集になっておりまして、これをいつも会議にはかけておりますけれども、詳細については割愛をさせていただきます。
次は資料4ですけれども、2023年度の独立行政法人等における取組状況ということでございます。
独立行政法人等は独立行政法人と特殊法人と国立大学法人、それから大学共同利用機関法人ということですけれども、政府に準じた計画の策定と取組を促していくというところでありますので、所管府省庁を通じてフォローアップをさせていただいております。
独立行政法人に関しても太陽光発電に関する計画の策定状況ですとか導入実績をまとめさせていただいたということでありますし、あとは、昨年度、これは初めてですけれども、太陽光発電のポテンシャル調査をさせていただきました。これは全てやっていくとなかなか大変なので、大きなところですけれども、初めてさせていただきまして、その結果をまとめているということでございます。
計画の、2ポツのところは結果ということで、策定状況につきまして内訳はこういったことになっております。表1にまとめております。
それから、太陽光発電の導入目標の策定状況ですとか、導入実績につきましても、表2と3ということでまとめてございます。
導入ポテンシャルについては、37万kWのポテンシャルということで、370MWということですけれども、こういったことで各府省庁さんにもご協力いただきまして出しているということですので、今後こういった調査結果を基に、導入目標の設定に向けて取り組んでいただきたいと考えてございます。
ということで、資料2から4までについての説明は以上でございます。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
それでは、私のほうから順にご指名をさせていただきますので、ただいまご説明のありました内容につきまして、ご質問、ご意見などがございましたらご発言をお願いしたいと思います。
4名の委員ごとに事務局から回答いただく時間を取りたいと思っております。
では、まず秋元委員、お願いいたします。
秋元委員
はい、秋元でございます。すみません、ちょっと回線というかパソコンが不調で手間取ってしまいました。
ありがとうございました。大変分かりやすくご紹介いただいたと思うんですけれども、やはり2035年度、40年度の新たな目標達成のために、いろいろな全方位的な対策が必要であるということを改めて認識いたしました。
それで、資料の中にも書かれていますけれども、例えば建築物については、新築の対策に加えてストックの性能向上が必須であるというふうに思われます。それでも、建築がテーラーメイド的な側面も持っているので、政府の関連する建築物についてオールマイティーな回答というのはなかなかないと思うんですけれども、それでも、資料の中にありましたとおり、ZEB化がうまくいっている事例がありますので、そういったところで、優良事例でなぜうまくできたのかとかいうことをしっかりとサーベイしていただいて、さらにその運用時のチェックとかコミッショニングを通じて、ほかの建築の計画にうまく展開することができることを探っていくということが必要であるというふうに思います。
ただ、やはりコストをかければ実現するということではあんまりうまくないと、コストとCO2削減の見合いについても議論が必要だと思っております。
それと、再エネ電力の調達のことが話題になってございますが、そのほかの化石燃料の調達のときに行われるようなスポット契約ではなくて、中長期的な供給契約の手法というようなものも検討していっていただく必要があるのではないかなというふうに思います。
あとは、フロンガスについて新たに調査対象に加えるということになっておりますけれども、やはりその報告義務のある1,000トン以上のもの以外からのスローリークも含めたフロンガスの対策というのが、これも大変重要であると思いますので、これをどのように把握する、あるいはしっかり管理できるかというところに注力するということも求められると思います。
以上でございます。ありがとうございます。
大塚委員長
はい、どうもありがとうございました。
では次に、川本委員、お願いします。
川本委員
はい、川本です。私からは四つほどコメント、意見、質問を交えてしたいと思います。
まず、スライドで言うと2枚目の政府実行計画の概要の範囲ですけれども、上の囲みの3項目の3点目に、意見を聞きつつフォローアップを行い、着実にPDCAを実施と、こういうふうに記載があるんですけれども、ちょっと細かい点に立ち入っていくかもしれないんですが、PDCAを実施というところで終わるというのは、他の項目と何か記述の仕方が違うようにも思います。PDCAというのは何か手段ではないかなと思うので、PDCAを行うことで、削減計画を見直すとか、取組を強化するとか、そちらのほうに行って完結するんだろうと思うので、PDCAを実施するというので止めていいのかどうか、ちょっとこの3項目の記述のバランスからいって、ちょっと私としては違和感を覚えるということでコメントします。
それから、2番目の再生エネルギーの取組のところで太陽光発電と建築物建築ですけども、建築物のほうはライフサイクル的な物事として廃棄段階を含むと記載があるんですけれども、太陽光発電も既存のもの、それから今後の普及が期待されるペロブスカイトのそのタイプとか、相当程度のいわゆる物が投入されるわけなので、廃棄というのは大変重要な問題になっていきます。
それはそれで別途どこかに環境省として当然やっているわけでしょうけれども、一つの文書の中でのバランスというんでしょうか、目配せをしているという意味でも、ちょっと太陽光発電のほうにも廃棄に関しても目配せをしているというようなことで記載をされたほうがいいのかなというふうに思います。
それから3点目ですが、これは18枚目の個別のグラフになる、太陽光の先々の見通しということですが、件数ベースに比べて設備容量ベースの目標との乖離が大変大きいというのがこれを見て分かるんですけれども、これを踏まえてどうするというのが書かれていないようにも思いますので、この辺り、現状の把握、認識と今後の進め方についての補足をお願いできればと思います。
それから4点目、最後ですが、51枚目の、かなり先のGXのところで、地方自治体のグリーンスチールに焦点を絞った調達ということで51と52ですね。これは2枚目の実行計画の概要の中にもGX製品に率先調達というのがあったわけなんですけれども、特にグリーンスチールということに話を限定すると、溶鉱炉での水素を使った還元処理といったようなことが多分もう最終段階としては必須のことになってくると思うんですが、これはまだ研究開発段階だというのが私の理解です。現状はそれ以外の因子を含めて、グリーンでというようなことかと思うんですけれども、現状でもそうでしょうし、今後水素での還元というようなことになってくると、恐らくコストとしては相当なコスト高になっていくと思うんですね。ですから、今回というのか、今日の趣旨からすると、何となくコスト度外視というような印象もあるんですけれども、現実的にはコスト度外視はなかなか、政府ならともかく、地方自治体にとっては大変重要な現実項目なので、コストとのバランスというのをどういうふうにお考えになっているのか、ある程度コストがかかってもというのは当然あるところまではいいと思うんですが、どの辺りが一つのバランス点になるのか、その辺のお考えもお聞きしたいと思います。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、須山委員、お願いします。
須山委員
はい、須山でございます。ありがとうございます。
細かいご説明、ありがとうございました。
一つ一つ具体的な事柄を回していっていただいて、すごく広いたくさんの事象の中から、いろいろな条件下の中からということでご苦労されていることと思います。
それを踏まえてのご質問になりますけれども、3点ほど質問させていただきたいと思います。
スライドの16枚目の2023年度の進捗で、太陽光発電、また建築物の建築というところ、この辺りが特に気になるところかなと思うんですけれども、委員長からも最初のところでPDCAをしっかり回すという観点で私どものほうでという話がございましたし、先ほど、川本委員からもPDCAという言葉についてお話がございましたけれども、やはり太陽光発電が50%以上、100%以上という目標を掲げていて、21.6%と。実際に工夫をして導入しようとされたけれどもいろいろコスト等の問題があって事業化に至らなかったという話がありました。こちらが設置可能な建築物であって、試行的に試されて駄目だったということになりますと、すごく短絡的なんですけれども、ちょっと既に100%は難しくなってしまったのかなというふうに思ったところです。
そうしますと、PDCAということで、こういった事情があって、費用対効果として費用がかかりすぎると、そのほかの問題もあって実現に至らないということが分かってきたものがあるんだと思うんですけれども、どこかの段階でこの100というのをどう考えるのか。さっきもちょっとお話がありましたけど、コスト度外視でも100にするということは恐らくないと思いますので、そうしましたら、今の段階ではここまでです。そうすると、この100という数字が変わってくるというときに、実際にそこに向かって着実に進んでいけているのかというところを私どものほうに見せていただいて、それに対してご意見を差し上げるという形にしていかないと、100%のまま、21.6%のままで本当にこのまま実現できるんですかというところでちょっと話が止まってしまうかなと思いますので、そちらについて今後見直し等のご予定があるのか伺いたいと思います。
建築物の建築、その下の項目にございますけれども、ここも2030年度までに新築建築物の平均でZEB Ready相当を目指すということになっているんですが、さっき分母の話もあったのでそういう話なのかなと思ったんですけれども、実際には新築建築物が今何件あって、そのうちの何件が今のお書きいただいている状況に当たるのかというところの対比を教えていただければなと思いました。もしお分かりでしたらお願いいたします。
あと同じように、予定を立てていただいて、それに対して進捗を確認させていただく、また、意見を差し上げさせていただくということの観点から言うと、スライドの54のところでまとめと今後の取組ということでご紹介いただいた中で、今後の取組のところで、総合評価方式の導入を進めていくということでしたけれども、こちらは、今年度は何をこのためにして、例えば来年度契約にはもう導入できるような形になるのか、もしくは仕様書等を変えるとかで、今年度いっぱいかかるので、来年度の契約にはちょっと間に合わない、来年度、2027年度契約からになりますという話なのか、ちょっとスケジュール感も併せて教えていただければと思いました。
あと一番最後の電動車、LED照明の各府省庁ごとの導入予定を定めていくというふうに考えてらっしゃるということですけれども、こちらも導入予定を確定させるのは今年度中にご予定されているのかということをちょっと伺いたいと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。
では、醍醐委員、お願いします。
醍醐委員
はい。そうしましたら私のほうからも幾つか大きな点と、幾つか細かい点についてコメント、ご質問をさせていただきたいと思います。
まず一つは、非常にできることをよくやっていただいていて、いろいろと進んでいるなという印象でもあります。例えば、その調査の方法について、少し調査対象の各府省庁の負担があまり大きくならないような工夫なんていうところは非常に望ましい工夫であろうというふうに感じた次第です。
それと、あとはやっていくこととしては最後の23年度のまとめと評価のところの今後の取組のところで、項目出しとしてはすごくよく整理されているなと思っていて、一つは調達に関するところ、それからもう一つ、太陽光パネルの設置も含めたような再エネの導入に関するところ、それから建物に関するところ、最後少し大きな点ではないかもしれませんが自動車・LEDに関するところ。ただ、これらの中で大きく違う観点が一つあって、一つは、調達に関するところは、場合によっては今年0%でも来年100%に変更し得るんですよね。ただ、そのほかのところは年々努力をしていかないと、積み上げていかないと、このストックに係るようなところなので、今年電動車0台が来年100%になりますということはきっとないので、そういう意味では、これらはやっぱり積み上げていかなきゃいけないところという、そういう大きな性質の違いというのがこの二つ、調達とそれ以外のところではあるだろうというふうに考えています。
それで、今回の結果からしますと、昨年度と同様に、少し再エネの調達のところがうまくいかなかったというようなところが今回の論点かなとも思っています。
ただ、再エネのマーケットがほかの政策によってうまいこと実行できて、それで政府としては少し調達がうまいこといかなかったけども全体としてはうまいこといっているんだという話なのか、今後その調達を増やしていくのに、もっともっとマーケットの中で再エネの量を増やしていけば政府も調達できるようになるのか、その辺りをどういうふうに見通していくのかというのが一つ大きな論点なのではないかなと感じた次第です。
それと、あともう一つの目標達成に関して言えば、やはり関係府省庁間での連携、特には情報の共有だったり、グッドプラクティスの共有だったりだと思うんですけど、その辺りが非常に重要かなと感じる次第です。
というのも、各府省庁間での排出量の違いというのは大きなところから小さなところまであるので、例えばその効果の大きそうなところに関しては、例えば環境省だと30年で88%までいくんだということであれば、その調達のノウハウを持ったような方が、向こうの調達に関与するのかどうか分かりませんけども、人材によるところも大きいような気もするので、そういった辺り、連絡会議だけではなくて、もう少し踏み込んだ連携みたいなことができれば実効性が出てくるのかなとも感じた次第です。
それとあとは少し細かい点になっていきますけども、一つは公用車の燃費の話ですね。10ページのところですけども、1台当たりの燃料使用量が減ったんだというのは、それはそれで確かにいいんですけど、ただ、例えば公用車自体の稼働率が減っているのであれば、そもそも台数を減らせたんじゃないですかということにもつながりかねないので、少しその辺りは要因分析が必要かなと思ったのが一つ。
それからもう一つ細かい話になるかもしれませんけども、先ほどの川本先生からのご指摘もあったように、建物については、廃棄のところについても考慮するような形で記述があるというところではございますけど、ただ、49ページ目の建築物のライフサイクルカーボンの話ですね、ここで今の建築業界でのライフサイクルカーボンのアカウンティングの仕組みなんかを見ていますと、ともすると使用済みになった後の回収した後、どれだけそのリサイクルができそうかなんていうところが評価の外に置かれているような枠組みにも見えますので、その辺りはよくご検討いただいて、作るときはいいんだけど将来に多くのごみを残しましたということにならないような評価にぜひともしていただければいいんじゃないかなと、そういうふうなことを考えた次第です。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。
私からも一言だけ発言させていただきます。
政府の全体の排出量との関係で、再エネの調達及び太陽光の屋根上のものが一番基礎になっていると思いますけれども、見込みを立てて検討していくことが必要になると思いますが、現在、再エネの調達に関してはこの裾切り方式から総合評価落札方式のほうに変更していくことをお考えいただいていて、これは大変結構なことだと思っていますけども、これだけで十分なのかという問題が出てきてしまうと考えられます。2035年に65%削減ということを考えると、これだけで十分なのかという問題が恐らく出てくるんだろうと思います。
もう一つ、屋根上太陽光に関してもあまり進んでいませんが、これはペロブスカイトを入れることによって、ある程度見込みが立つのかという辺りをぜひご説明いただいて、その上で無理、まだ不十分であれば、何らかの新しい対策を考えていかなくちゃいけないのではないかということを申し上げておきたいと思います。
では、今の各委員からの発言を踏まえて、事務局からコメントをお願いいたします。
地球温暖化対策課長
ありがとうございました。
まず、秋元委員のほうからZEB化のことで、ZEB化のうまくいっている事例をしっかり分析して、他に展開する必要があるのではないかということ、それはご指摘のとおりだと思っておりますので、ZEB化の事例は営繕部さんのほうでも事例集をまとめていただいたりして、それを共有したりとかはしているのですけれども、もうちょっと突っ込んだ形でできないかということはしっかりと模索していきたいと思ってございます。
それから、再エネ電力の調達については、スポット契約ではなくて中長期の契約もということなのですけれども、今は役所の契約自体は単年度ごとにということになっていますので、そこが法律上、そうできるのかどうかというところも含めて検証が必要かと思ってございます。
フロンにつきましては小さいものを含めて把握してということでありますが、細かい資料はこの概要には載せていませんけれども、細かいところも含めて把握はしております。漏えいを減らすとか、回収をしっかりやるとか、そういったところは法律に基づく義務もありますので、しっかりとそこはやっていく必要があるということはもちろん思っております。
それから川本委員のほうからPDCAの実施というところの記載について、そこは手段じゃないかということでありまして、おっしゃる趣旨はよく分かっております。もちろん、PDCAは、Plan、Do、Check、Actionですから、チェックをして、何でうまくいかなかったのかということをしっかりとチェックをして、それを元に次の行動に移していくというのがアクションなので、先ほどおっしゃっていたような削減計画を見直すとか、取組を強化するといったことはアクションの中に含まれていると我々としては思っているということでございます。
それから太陽光発電についての廃棄の関係でございます。確かに記述は実行計画の中にはなかったりしますので、計画自体はもう決定しているのですけれども、一方で、太陽光パネルのリサイクルについては、今、環境省のほうでもエネ庁さんと一緒に法制化に向けて検討はしているというところではありますので、そういう動向も見ながら、廃棄の際の目配せとしてどういったことができるのかについては考えていきたいと思います。
それから、太陽光発電について、特に容量ベースはどうするのかということ、須山委員からも件数ベースでの話でしたが100%というのはなかなか難しいんじゃないかというようなご指摘もありました。
件数ベースは「設置可能な」となっておりますけど、こちらは、例えばその積雪量とか日当たり等の立地環境ですとか、空きスペースの面積とか、耐震性等の複数の設問の中からその設置可能性を評価しておりまして、設置可能性が高いというのがA、Bというのが設置可能性は高いけれども懸念事項があるといったようなことなんですけれども、Cは何らかの理由で難しいということで分けて回答いただいていまして、AまたはBというところになったものを設置可能として扱っているということであります。それがポテンシャルになっているということなのですけれども、懸念事項ありというのが評価でいうとBということもあるので、すんなりというものばかりではないというのは確かですけれども、ある程度やっぱり見立て上はいけるんじゃないかというところを挙げてはいただいております。そういう意味で言うと、経済性の評価というのはなかなか併せてはできていないというところはありますけれども、そこは設置可能性が高いというところで線引きをして目標を設定しているので、それに向けてまずは努力をしていく必要があると思っています。
容量に関しての乖離ということですが、そこはもう本当におっしゃるとおりでありまして、では何をやるかというところは、19ページのところではご説明したのですけれども、方向性としては、大きくは我々のほうでも二つあるかなと思っていまして、ポテンシャルはあって載せられるところはこれまでも載せているけれども、ポテンシャルがあって実際いけるのか、実際載るのか、経済性はどうなのかというところを見極める必要があるのですけれども、職員が構造計算書などを見て、うーんとうなっていてもなかなか進まないので、やはりそこは、例えば事業者等にも入ってもらって事業性を評価していく必要があるのではないか、導入の可能性を具体的にしていくというようなことが必要ではないかというのが一つ。あとはやはり初期費用が不要な形でのPPAというのができないのかというところであります。この二つの方面をぜひ追求していきたいと思っています。
ただ、ここにも書いてあるんですけども、PPAの関係でも環境省の施設だけだと小さくて相手にされないみたいなところがありまして、それをどこまで広げるか、あとは役所の垣根を越えて広げるかいうところはぜひ模索していきたいと思っているところでございます。そうした中で、政府施設で例がないということもありまして、まずはその環境省のほうでしっかり例を作っていきたいと思っているところであります。
グリーンスチールについてグリーン購入法の基本方針に位置づけたということなのですが、コストとのバランスについてご指摘がありました。グリーンスチール自体は必ずしもその水素還元施設だけでもないわけですけれども、その製造の過程で排出削減に取り組んだものについて、鉄鋼連盟がガイドラインを作られておりますけれども、それに即した形で一定のマスバランス方式でCO2排出削減の効果を寄せて、グリーンスチールということで世に出していると認識しております。もちろんコストはかかっているというところで、グリーンスチール自体の価格も従来品に比べても高くなっているとは思いますけれども、そこはもちろんコスト度外視ということにはなりませんので、そこはバランスを見ながらということになろうかと思っています。
グリーン購入法は、自治体ではなくて、国と独立行政法人に義務がかかっている法律ですので、自治体はそれに準じてということになります。環境を配慮した製品を積極的に購入していこうということであるのですけれども、毎年の購入ということで契約が必要なので、その調達に当たっては当然価格はどうかというところも役所としては見ているということです。
それから、須山委員から、建築物のZEB化の状況に関しまして、実際新しいものは何件あるのかというところでご質問がございました。
こちらは件数は申し上げていなかったのですが、件数は2022年度以降に設計・建築・竣工した新築建築物のうち13件がZEBシリーズとなっています。22ページで、13件はZEBシリーズとなっておりまして、全体の分母、新築建築物は何件あったかということで言いますと、これは86件ありましたということでございます。ですので、残りの73件は、フォローアップの調査ではZEB Oriented相当未満ということで分類をされています。
ただ、その73件の多くが基準、設計一次エネルギー消費量というのは不明ということで、省エネ性能を把握できないということになっておりまして、どうやってZEB化の率を判断したらいいかなということで、今年度実施するフォローアップ調査からは、基準一次エネルギー消費量、設計一次エネルギー消費量が不明な場合には、BEIまたはBEIm、モデル建物の値ですけれども、そういったものを回答していただくことにしまして、これまで不明ということであった建築物についてもその省エネ性能を把握していくような形にしていきたいと考えております。
総合評価落札方式の検討の状況ですけれども、資料で言いますと36ページになりまして、総合評価と言いつつ、現行の裾切り方式の考え方みたいなことは活用していけないかということは書いてありまして、ここに書いたような形でその検討はしていくと。今年の3月に開催した第3回の環境配慮契約法に基づく電力専門委員会から検討を開始しているということなのですけれども、いつの契約から切り替えるかといったようなところのスケジュール感までは、現段階では申し上げられないということでして、引き続き議論をして、いろんな関係者の意見も聞きながらということになろうかと思います。
それから、LEDとか電動車の導入予定ということでありまして、こちらは、少し説明は飛ばしましたけれども、例えば、25ページに、電動車の導入予定ということで、各府省これだけの値にしていくとかというようなことがあったり、それからLED照明についても同じような形でデータもあります。
ただ、昨年もそうだった部分があるのですけれども、2030年度に100%にしなくてはいけないのですけれども、目標自体が100になっていないところもあります。代替可能な場合ということなのですが、そこは考え方が徹底されていない面もありまして、精査をしながらということではあるのですけれども、いずれにしても各府省庁でこういう形で導入予定というのは立ててはいただいています。
ただ、全体的に目標に向けて、100に向けてある程度線形にこう引いているようなところもあるとは思いますので、具体的なその改修とか更新とか、そういうタイミングを捉えて、より具体的な計画を立てていただく必要はあるのかなというところでございます。
それから、醍醐委員から再エネの調達についてのご意見、ご質問で、ほかのPVとか、そういったもの、積み上げのものとは性格が違うのではないかということと、あとは再エネを増やしていけば調達できるようになるのかといったご指摘がありました。
こちらは必ずしも一対一で対応するわけではないと思いますが、例えば自治体でメガソーラーなんかも地域で環境への影響とか、その懸念が高まっているような事例もあって、再エネの立地を抑制するような条例もできているような状況でありますので、地域共生型の再エネというのもなかなか厳しい状況にはあるというところではございます。そういった中で、地域の合意形成を図りながら進めていくという形と、あとは住宅・建築物の屋根の上というのは一つ進めていきやすいところではあると思っていますので、そういったところを中心に国としても進めているというところでございます。
ただ一方で、データセンターの話とかもあって、電力需要量が伸びていくということが見込まれている中で、脱炭素電源の取り合いというようなことも一つ懸念されるところではありますので、国全体の導入の推進ということとセットで進めていく必要があるのかなと思ってございます。
調達のノウハウを各府省にという御指摘もありましたが、そこは正直、環境省のほうで再エネの電力調達がすごく長けているかというと、実際うまくいかなかった例というのもご紹介しましたけれども、各府省に派遣してというところまではなかなかいかない、環境省もそういった人材という意味ではなかなか厳しいかなと思っているのが正直なところです。先ほど共同調達についてお話ししましたが、再エネ調達のガイドというのも環境省のほうでまとめて公表したりしていまして、その中で共同調達ですとか、リバースオークションという形で、これは少額随契による調達に限るのですけれども、そういった事例も示したりしていますので、そうしたことを含めて追求したいと思います。先ほど申し上げましたように、環境省でも、共同調達に関してかつてはうまくいっていたこともありましたので、そこをちゃんともう一回やっていきたいというところがあります。
それから、公用車の1台当たりが減ったのはいいけれども、ということでご指摘がありましたが、稼働率がどこまでかというところまで正直把握できていないのですけれども、ただ、台数自体は増えており、稼働率が減っていて台数が増えているけれども、何かそれをうまく統合できるのかというと、それは個々の場所で車を使っておりますので、稼働率を増やして、50%が2台だったのを1台でできるのかというと、なかなかそこはうまくできない部分もあるかなと思います。いずれにしても、無駄な導入はしていないはずですので、その分析はちょっと難しい面があるというのが正直なところでございます。
それから、建築物LCAの関係で廃棄とかリサイクルの関係の評価もしっかりとやるべきだということでありまして、こちらはまさに国交省さんの検討会のほうで議論を行っていまして、リサイクル材を活用した場合の評価をどうやって出すかということも議論になっていますので、我々としてもそういったことがしっかり評価されるようにインプットしていきたいと思っております。
それから、大塚先生から最後に、ペロブスカイトの導入でPVの目標達成は見込めるのでしょうかというご指摘がありました。
こちらは、PVは供給・需要面から双方を支援していくということなのですけれども、まず2030年度の目標達成の関係でいいますと、目標を設定したときにこのペロブスカイトの話というのはまだなかったので、基本的には2030年度の目標についてはペロブスカイト抜きで達成していくべきものと思ってございます。
ただ一方で、今後、ペロブスカイトの供給体制も整っていくとか、壁についての施工方法もしっかりできていくとか、そういう形で広がっていくことも想定されますので、そういったところは状況を見ていく必要があるとは思っています。
いずれにしても、今の段階では2030年度目標は基本的にはペロブスカイト抜きで達成すべきものと思ってございます。
すみません、長くなりましたが、以上でございます。
大塚委員長
はい。ご丁寧にお答えいただきましてありがとうございました。
では、後半に移りたいと思います。後半はまず中村委員からお願いいたします。
中村委員
ありがとうございます。先のご意見と重複するところもあるかと思いますが、私のほうからも3点ほどコメントさせていただきます。
まずは6ページ目についてですけど、委員長から冒頭にもありました、2030年、2040年の目標は非常に野心的で高いものでありますので、建物自身ですとか設備機器が長寿命化しているところも考慮しますと、なるべく早い段階で対策ですとか実装することが重要だということで、この点はこれまでにも、多くご意見があったかと思いますが、再度この点に触れておきたいと思います。
目標達成に向けては、非常にハードルが高いということで、まずは改修計画などをしっかり立てていただくことだと思いますけど、5年、10年というのはあっという間ですので、どこかで政府一丸となってテコ入れのようなものも必要ではないかと感じました。
その点で、16ページ、17ページに目標の達成度合いということで出ておりますが、資料3の87ページ以降に各府省庁の取組状況、そちらのほうも確認させていただきまして、取組が進んでいるところとそうでないところが散見しているなということで、同じ省庁内でも、本庁と地方の部局において、例えば電動車の導入状況ですとか、あとはLED化、そういったところにも差が見られているという状況かなと思いました。
今後の導入目標などを見据えますと、ピンポイントで見ても、なぜ進まないのか、困難なのか、今後の計画はといったことも将来的には細かく確認を要することではないかと思いました。この点は先ほど課長のほうからも点検という意味で補足いただいたかと思います。
続いて2点目ですが、新築でのZEBについては、先ほど秋元委員のほうからもありましたけど、優良事例を共有していただいて、ますます推進していただくということと、もう一点重要なのは、やはりパイが大きい既存物件に関してだと思いますので、既存の改修については48ページのほうだと思いますけど、改修時のZEB化ですとか、高効率機器の導入、更新などで率先して進めていただきたいと。
すみません、戻っていただいて、45ページのほうですかね。環境省の実施計画案のところで、既存建築物の取組が示されていまして、国全体でいくと、2050年にはストック平均でZEB水準という、そういう大きな目標もあるわけですので、ここは民間だけでなく、政府のほうでも力を入れて取り組んでいただきたいと思いますので、各府省庁の実施計画のほうにもぜひ既存のZEB化などを組み込んでいただければと思いました。
また、この点でいきますと、環境配慮契約、こちらに関連するところでは、温対計画でも触れられているESCOの活用などもあると思います。過去にもそちらのほうはご説明いただいていたかとは思いますけど、今回の資料では触れられていませんが、改修を進める一つの手段として、契約自体が長期になってしまうということもいろいろ課題もあるかと思いますけど、公共建築から活用事例などを積極的に出すべきではないかと思いました。
3点目は、フロンの排出抑制に係る取組について、代替フロンに関しては、漏えい防止の点に加えて、回収と再生の点も非常に重要だと考えておりまして、45ページのほうに、こちら、事前にご説明いただいたときから追記を、フロンの回収という点を追記いただいたかと思います。ありがとうございます。
フロンの抑制法の施行から徐々に回収率が上がってきているとは伺っていますけど、まだ4割程度はなかったと思います。これから建築物においてもホールライフカーボンという考え方が導入されるところでもございますので、回収、再生の点でも機器の改修の際にはぜひ省庁の建物のほうから逃すことなく取り組んでいただければと思います。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。恐れ入ります。
そうしましたら、根村委員、お願いします。
根村委員
ご説明ありがとうございます。NACSの根村でございます。
私のほうからは2点伺わせていただきます。
まず1点目が、40ページにございました省エネ診断のところなんですけれども、2023年度は30件実施されたということが書かれておりまして、それまでにも2,978件の診断が行われたというように書かれております。
これはそれなりの結果が出ている、あるいは見込みがあるということだと思うんですけれども、今後どれぐらいこの省エネ診断を行い、それによって削減量の見込みがどれぐらい発生するのか、また、それはどこかに数字化されているのかということをちょっと聞き逃してしまっただけかもしれないんですが、教えていただけますとありがたいと思います。
それから、47ページのほう、シートの18にもあったんですけれども、太陽光発電のところで、予定されている数字と乖離があるというところで、ペロブスカイトの導入はまだ当時は計画に考えられていなかったというようなお話が座長の大塚先生からのご質問のお答えの中であったかと思うんですけれども、この太陽光発電とかの再エネに関しましては、発電だけでよいのかというところを非常に疑問に感じまして、発電設備の建築、稼働から廃棄までといったライフサイクル全体で負担は生じていないのかの確認もされているのかも教えていただきたいと思います。
以上2点、よろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい、ありがとうございます。
そうしましたら次に、森口委員、どうぞよろしくお願いいたします。
森口委員
はい。すみません。ちょっと入るのが遅れまして失礼しました。
私からもちょっと総論的なところを最初に申し上げて、その後幾つか各論についてコメントさせていただきたいと思います。
2枚目に、これ、川本委員からもPDCAということについてコメントもございましたけども、それ以前にこのフォローアップのこの会議そのもの、私も最初から参加させていただいておりまして、今回退任されて中村委員に交代されましたが、中上委員がいつも最初の頃に比べると本当にデータが充実してきたということをおっしゃっていて、私も本当にそのように感じております。
一方で、ちょっと事前のご説明のときにもおっしゃっていた、やっぱりその各府省庁のほうでデータを集められるのは非常に大変で、そのデータを集めること自身がちょっと何となくこのフォローアップの目的というか、ちょっときつい言い方になって恐縮なんですけども、自己目的化してしまっていて、そこだけでちょっと力尽きてしまって、その結果をどう生かしていくのかというところになかなか手が回り切っていない部分があるんではないかなという感じがいたしました。
これは年に1回ですし、最後の取りまとめ、座長に一任しますということは、多分今日も儀式として後であると思うんですけれども、我々もここで言った切り、また1年先までなかなかちょっと思い出せずにいくというのは、ちょっと我々自身の反省も含めてなんですけども、せっかくこういう貴重な機会があるので、その後フォローアップして、どこがよくなったのかということを、ぜひ1年後に、去年こういう指摘があって、ここをこうやってここは済みましたという、そういうご報告をぜひ聞きたいなと思っておりまして、それが真のPDCAということではないかなというふうに感じております。
各論に参りまして、まず政府実行計画の、何といいますか、タイムラインというか、時間の感覚で言うと、先ほど中村委員もご指摘されたことの繰り返しになるんですけれども、2月18日に新しい温対計画なり、NDCなりが決まり、政府実行計画も改定されたと思うんですけども、よく2030年以降の直線的削減なのか、上に凸なのか、下に凸なのかという議論もありますけども、どうも実はこの2030年以前の、2030年に向けたところも今ちょっと直線には乗っていなくて、やや上に凸的な、後で相当頑張らないと追いつかないという状況になっているかなと思います。
残り時間が2030年に向けて、決して2030年がゴールではなくて、その先がより大事だと思いますけども、そういう意味で言いますと、やはり今かなり加速をしないとなかなか、粛々とやっていることは大事なんですけども、なかなかそれだけでは進まないかなという感じがしております。
それで、この後、ちょっと電力の各論について申し上げたいと思います。
再エネの調達というか、電力排出係数の小さいものの調達が難しくて、結果的になかなかいい数字が出ないと、これは状況、よく分かります。
一方で、何といいますか、うまく低い排出係数の、あるいは再生可能エネルギーの電力を調達できたとしても、結局、前も申し上げていますが、ゼロサムゲームですので、全体のその供給量が増えない限りは、役所が取った分だけそれだけほかのところが取れないということですので、ここのフォローアップ会議にかけられる数字は、見かけ上よくなりますけれども、必ずしも本質的ではないと思いますし、そういう意味では、自己調達努力ですね、今日PPAのお話もありましたけれども、そういったことにぜひ力を入れていただければなと思います。
ほかの省のフォローアップなどもケアさせていただきますけども、なかなか市場で調達できないので、自社というか自分たちの業界で積極的に発言をして、それを業界の中で売買するというような、そういうことに取り組んでおられる業界もおられますし、政府は決してそういうことをやってはいけないということではないと思いますので、今PPA、オフサイトも含めてお考えになっているのか、あるいは自己託送みたいな世界まで行くとかえって難しいのかもしれませんけども、やっぱりこれまでの調達ということを少し超えたことをやらないと、なかなか政府自らが低炭素の電力を調達していくということの姿勢としては、ややもう上限に達しているのではないかなという気がいたしますので、その辺り、ぜひよろしくお願いいたします。
10枚目に公用車の話がありまして、ちょっとほかの委員からも既にご指摘があったんですけども、これはやはり要因分析をちゃんとしなきゃいけないかなと思います。
たまたま先週、中国での交通関係の国際学会に出ておりまして、そのときちょっと自分でデータを作っていたんですけども、国全体の統計で見てもコロナの影響がすごく大きくて、2020年、2021年って旅客輸送量って激減しているんですよね。かなりはっきり減っています。もちろん、コロナがあっても役所の仕事が止まったわけではないので、簡単には減らないと思いますが、今日もそうですけども、オンライン会議も増えておりますので、そういう意味では、影響がどのぐらいあるのかというようなことを見ませんと、単にやりました、2022年、2023年は回復傾向にあると、多分そういったところの影響もあると思いますので、少しその辺りの要因分析をする必要があるのかなという感じがいたしました。
それから、LEDとか照明の話ですとか、太陽光等の導入に関してですけども、LEDの導入実績も拝見しておりますと、さっき言った残りの年限から言うと相当厳しい。
一方で、省庁別を拝見すると、トータルで見ると、27枚目を拝見いたしますと、防衛省さんの辺りは、28枚目のほうがいいですかね、台数が非常に多いので、防衛省さんがここで10ポイントぐらい改善されたということが全体に対しても効いてくるということなので、こういう非常に多くの台数を持っておられるところの改善ということが全体に効いてくるということもよく分かりましたので、その辺り、ぜひ影響の大きいところに働きかけなどをしていただけるとありがたいかなと思いました。
ちなみに、太陽光に関して、率先実行という意味では、私は3月で退任いたしましたけども、国立環境研究所というところにおりましたが、日本、中国、韓国の3か国の国立環境研究所の所長会議というのがありまして、去年は韓国のインチョンで、韓国の研究所に行ったんですけども、壁面に太陽光発電がもうしっかり張られておりまして、どうやってそういう予算がついたのかというところまで聞いて、分からなかったので、非常に分かりやすい率先実行の例でございましたので、ぜひ、なかなか政府の今の調達のルールでいうと難しいところがあろうかと思いますけども、国民に対しては分かりやすくアピールするということも含めて、その辺り、進めていただければなと思います。
最後に環境配慮契約法のところについて、既に少し出ておりましたし、また、事前にも少しお話をさせていただきました。それから、環境配慮契約法の電気のところについても委員会を作っておられるということを拝見しておりまして、資料なども拝見しておるんですけども、現状では恐らくその点数方式といいますか、いろいろ脱炭素であるとか、再生可能エネルギー電力であれば点数が高くなる仕組みだと思いますけども、先ほどのグリーンスチールの話も含めて、ちょっとこれは一足飛びにそこまでいくには非常に難しいとは思うんですけども、いよいよ日本でもカーボンプライシングが実現するということで、キャップ・アンド・トレード的なものではなくて、いわゆる本当のプライシング、カーボンのプライシングということで、電力であり鉄鋼であり、炭素排出量に応じた価格が含んだ上での価格ということで一番安くなるようなものが調達できるような仕組み、そういう形での総合評価というよりは、本当にもうはっきりプライシングを入れてしまうということまで、場合によってはあり得るのではないかなと思いますし、そういったことをやることによって市場が非常に変わってくる部分もあるかなと思いますので、ぜひ、ちょっと先鋭的過ぎるかもしれませんけども、総合評価ということの中でそういったところまでお考えいただければありがたいなと思います。
長くなりましたけど、以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、吉田委員、お願いします。
吉田委員
それでは、私から最初の2ページ、3ページの辺りを取っかかりとしてお話をしたいと思います。
政府実行計画の新と旧がありまして、要は今回ずっと長年この実行計画に基づいての推計報告がなされているという、当たり前のことをちょっと今さら確認、思ったということです。
要するに、政府の温室効果ガスの排出量の多くは電力が占められていて、その電力の係数は結局電力会社に依存してしまうので、何というか、どこを頑張ればいいのかというのがあまり、何のためにこれをやっているんだろうというふうに少し思い始めていたところだったんですけど、こうやって明確な実行計画というのがあって、これに基づいてやっているという分かりやすい結果、論理だなという、改めて確認しました。
その中で、そうですね、ここに書いてある旧実行計画では、廃棄物とか紙類とか、ごみの例とかをかなり詳細に推計されていたところだと思います。
それで新しいほうの実行計画を見ると、その辺が割と非公開、カーボンニュートラルに向けてかなり明確的になっているのかなという。恐らく来年度の報告ではそういったごみとか紙類の統計がなくなってくるのかなというふうにちょっと予測しておりますけれども、その中で感じたのはフロンだとか、何というか、強度の強いものとか、あるいは再エネというポテンシャルの大きいものについて、それは今年もご報告があって、非常にそこは政府自身が力を入れるということでよい報告がされていたと思います。課題を含めてですね、PPAとかの、はい。
来年度に向けての話になっちゃうんですけど、これを見ると、ライフサイクル評価とかカーボンフットプリントとかScope3という、そういうキーワードが結構目立ちまして、これをどうやって取り込んでいくのかということを、少し展望をお聞きしたいなと思います。
要するにこれは、ほかの民間の業界団体さんも一部がScope3を推計したということでやられている一方で、非常に多くの業界団体さんが苦労してなかなか実行できないという。
私としては正直、全ての事業者さんが真面目にやるというのは、少し労力的にも実行的でもないと思っています。欧州のようにデジタルパスポートのような、ああいうインフラが整ってくれば非常に効率的にできるんでしょうけど、現状では多分簡易に推計するというのと、正確にというのは両立しないというふうになってくるので、その辺をどこで折り合いをつけるかということを、何というか、ここでの政府の実行計画で注目されると思うんですね。政府がこういうふうに評価を出しているのかということを。なので、その辺の来年、このScope3の推計の展望についてお伺いしたいと思います。可能な限りで結構です。
以上です。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、一通り、委員の先生方のご発言はこれで終わったと思いますけど、それではまた課長のほうから、吉野課長のほうからコメントをお願いできればありがたいです。よろしくお願いします。
地球温暖化対策課長
まずは中村委員のほうから、資料3の細かいデータのほうにも言及いただきながら、同じ役所でも本省と地方で差があるのではないかといったご指摘がありました。
そこは本当におっしゃるとおりだなと思っています。ただ、ちょっとそこまで分析の手が回っていないところもあります。ただ、本当に本省と地方で差があるとすると、うまくいっていないほうは何でうまくいっていないのとか、そういうところを、多分役所共通のところもあるかもしれませんし、それぞれの役所ごとに違った理由があるというのもあるかもしれませんので、そういったところは各府省庁でしっかりと分析していただいて、それでこういうところはどうなっているんだとか、ここはやっぱり全府省庁で統一的にやってもらう必要があるんじゃないかとか、そういう声を吸い上げて、環境省のほうでそれを例えば制度所管のところと議論するとか、そういう流れにしていくのが理想だとは思ってございます。
それから、既存の建築物のZEB化というところはもちろん重要だということで認識しておりますので、各省の実施計画におきましても、政府実行計画にも書いておりますので、しっかりと位置づけていただきたいと思っています。
それから、ESCOについて言及がありまして、確かに、すみません、今回の資料には言及はありませんでしたけれども、政府実行計画の本体のほうには、これまでの中上委員からのご指摘も踏まえまして、建築物におけるエネルギー対策の徹底のところで、ESCOも検討するということは初めて実行計画にも位置づけたというところでありますので、事例がちょっとでも増えていくようなことで取り組んでいければと思ってございます。
それから、フロンの回収、再生のところも大事だということでご指摘がありまして、こちらも建築物のLCAの中でもライフサイクルカーボンと言いながらも、カーボンの中にはそのCO2換算をした温室効果ガス、フロンも含むということで国交省さんのほうでも検討が進められていると認識していますので、そういったところがしっかりと反映されるように、環境省としても議論に参加していきたいと思っております。
それから、根村委員から、省エネ診断の今後の予定といったようなことのご質問がありました。
ここは、申し訳ございませんが、結果については報告をしてもらっているのですけれども、これからどれだけやりますかみたいな予定までは、各省からもいただいてはいませんので、予定として挙げられるのかということも難しいかもしれませんし、なかなかすぐその結果をまとめるというのは難しいのですが、省エネ診断をやっていただければ、コストが安いほうから提案をいただけるようなところもあると思いますし、ちょっとした運用のところで、実際の削減につながるような対策も意外とあったりすると思いますので、そこはしっかり、省エネ診断の有効性、ここはうまくいった、これだけのことでこれだけ減ったといったところは出していければと思ってございます。
それから、再エネの関係で、恐らく太陽光発電の関係で、発電だけでいいのかとかということのご指摘があったのですが、これは多分、例えば再エネ設備についてLCA的な製造段階とか廃棄段階含めての評価というのはどうなんだというご指摘かなと思います。その点は、普通のシリコンであれば海外製のものが多いということで、なかなかデータもないということなので、ライフサイクルでの評価というのは現状得られるデータではなかなか難しいというのが正直なところでございますが、いずれにしても、少なくともしっかり国内で廃棄までしっかり見るとか、そういうところはやっていく必要があるのかなというところでございます。
それから、森口委員から、毎回、1年に1回言ったきりになってしまっているというご指摘がありまして、確かに今回の資料も、去年こういうご指摘があってそれに対してこうしましたみたいな形での、必ずしもそういう対応にはなっていないのですけれども、これまでも、例えば床面積が実際どうなっているのかとか、そういうご指摘もあったかと思いますし、燃料の部分の熱ですね、熱のところはどうするのかというようなことでいろいろご指摘いただいたこともありました。そこも政府実行計画には書いてはありますし、去年の専門委員会でまとめていただいた中では、熱についても、庁舎等の建築物における燃料を使用する設備について、脱炭素化された電力による電化を進め、電化が困難な設備について使用する燃料をカーボンニュートラルな燃料へ転換することを検討するといったようなことで、今後の取組としてまとめていただいています。
ただ、ちょっと今回は、燃料のところはなかなか、もちろん電化というのは当然やっていくのですけれども、カーボンニュートラル燃料みたいなところがまだちょっと先が見えていないというようなこともありますので、当面の重点的な項目としては、電力調達と太陽光と建築物対策だろうということでまとめさせていただいたところです。
これまで省エネ診断についても、実際に改善提案を受けて、診断結果がどうで、どういうふうに活かしたのかといったご指摘もありましたので、今回、具体的な事例をお示ししました。そういったこともやらせていただいてはおります。
それから、再エネに関して、ゼロサムゲームだということで、これまでの契約を超えたようなところの新しい抜本的なことをやらないといけないのではないかというご指摘がありました。
そこはおっしゃるとおりでありまして、もちろんPPAということを追求していくということもありますし、あと、オフサイトも含めて考えていいのかということでありましたけれども、そこは全く排除するつもりはありませんので、オフサイトの形でもできれば、そこは追求していくべきと思っています。それに限らず、本当にいろんな形で、これまでの発想の延長ではないところも含めていろいろアイデアを出していく必要はあるかなと思いますので、そのあたりはまた委員の皆様方のアイデアもいただければありがたいと思ってございます。
それから、旅客の輸送の関係の分析というご指摘がありましたが、この点は公用車の燃料使用量はデータを取っていますけれども、出張の関係では、例えば電車とか飛行機とか、その辺りのデータというのは現状ないところでございます。吉田委員からもLCAとかScope3の関係でどうするのかというご指摘がありました。Scope3の関係は今、バリューチェーンの排出について算定をしていただいて、排出削減計画を立てていただくようなモデル事業を環境省でもやっていまして、それで個社の支援もやっていますし、その業界の支援もやっています。
例えば、昨年度でいうと建築プレハブ協会も採択をして、その業界の中でデータをどうやって扱うかということについての業界ガイドラインを作っていただくなど、そうしたルールづくりにも取り組んでいただいたりということをやっています。
まずは、二次データの使い勝手をよくするということもありますし、しっかりと一次データを取ることが削減努力につながるということだと思っていますので、そこは両面あるということなのですけれども、いずれにしてもScope3だとか、LCAだとかというところがまだまだ世の中的には途上かなというふうに思っていまして、我々もただひたすら算定してくださいというつもりはなくて、算定することで、ホットスポットと言っていますけれども、どこが減らしやすいかみたいなところの当たりをつけることができ、しっかり削減につながっていって、ということが一番重要かなと思っていますので、そうしたことに業界別にまずは取り組んでいただいたりといったことを進めさせていただいております。
実は、正直なところ、政府自らは民間には呼びかけているものの、すごく遅れていますので、今回その政府実行計画にも盛り込みましたけれども、正直、例えば環境省のScope3って何なのかと言えば、調達する物品の関係と、あとは職員の通勤の関係と、あとごみの廃棄に関わるようなところ、そういったところが主なところかなとは思うので、そういったところまず算定ができないのかということは模索しているところであります。
それからカーボンフットプリントについては、グリーン購入法の基本方針にも幾つかの物品につきましては、基準値にそこを考慮するということで位置づけていますし、組織単位でScope3を算定するのと同様、CFPは製品単位ということになりますが、いずれにしてもバリューチェーンの各段階に分解して、そこのどこが削減につなげていけるのかというところの当たりをつける作業ということだと思っていますので、CFP、カーボンフットプリントも、モデル事業で算定の支援をやっていますけれども、もっともっと事例を作っていく必要があるかと思いますので、そこをまず中心にやらせていただいているというところであります。
それから、森口委員からカーボンプライシングのご指摘がありまして、炭素排出量に応じた価格で評価できないのかといったようなことがありまして、どういう制度でやるかというのは難しいのかなと思うのですが、やはりGX-ETS、排出量取引制度が来年度から入るということと、あとは化石燃料賦課金も2028年度から入っていくということなので、まさにそれは炭素の排出に応じた賦課金ということですので、世の中的にはそういうことでカーボンプライシングが進んでいくということにはなっています。そういう状況を見ながら、自然と調達の中でもそういったことは反映されていく社会にはなっていくのではないかと思っています。
それから、日中韓の会議の中で、韓国とおっしゃっていましたか、中国でしたか、壁面についていたよということで、率先実行をというご指摘がありました。この点は環境省の新庁舎、令和9年度には移転することになっているのですけれども、国の庁舎で初となる建材一体型の太陽光発電設備を導入するということで、西側の壁面、ちょっと狭いほうなのですけれども、15.6kWの壁面太陽光を入れるということにはなっています。こちらも若干コスト的には普通のパネルより高いのですけれども、やりたいと思っています。
それから吉田委員から、ごみとか紙の関係がこれまでの、前計画の資料にはあったけれどもということでありました。今回の2ページにつけている実行計画の概要はちょっと新しめのところを中心に記載していますので、必ずしも廃棄物とか紙ということが書いていないのですけれども、それら項目については実行計画の本体にはしっかりとこれまでどおり入っていますので、取組はしっかりとそれはそれでやっていくとことになります。
ただ一方で、調査の合理化ということをご報告しましたけれども、毎年ということではなくて、複数年に一度にするとか、データを取ることに関してはそういうことになるかなと思っています。いずれにせよ、ごみ削減などの取組は引き続き必要と思ってございます。
以上になります。
大塚委員長
はい、大変丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。
もう時間がほとんどなくなっておりますが、よろしいでしょうか。もしどうしても追加でコメントいただく方がいらっしゃいましたら、お一人ぐらいと思いますが、よろしいですか。
では、それでは時間となりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきます。
最後に事務局から一言お願いいたします。
地球温暖化対策課長
はい、本日もいろいろご意見、ありがとうございました。
私も、今、課長になって2年ぐらい経つのですけれども、排出量が増えてしまっていて、どうしたものかというふうに本当に日々悩んでいるところであります。何でうまくいかなかったのかとか、何でうまくいったのかというところをつぶさに分析する必要があるかなと思って日々取り組んでいるという中で、特に今回は重点としてやはり再エネの調達と太陽光発電の導入拡大、その方向性としては事業性の詳細の調査ということと、PPAの追求といったところ、それから、建築物の特に既存建築物をどうするかというところ、そこはストック対策が課題だというところが重点としては挙げられると思っておりますので、最後のまとめに入れさせていただいたというところでございます。
ということですので、今回のまとめをしっかりと政府の幹事会のほうにも報告をして、PDCAと口で言うのは簡単ですけれども、しっかりとまたアクションにつなげていくようなことで努力していきたいと考えてございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
大塚委員長
はい、ありがとうございました。
では、最後に事務局から連絡事項などがございましたらお願いいたします。
地球温暖化対策課長
はい、本日は活発なご議論をありがとうございました。
議事録につきましては事務局で取りまとめを行いまして、後日、委員の皆様にご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
これまで、YouTubeで配信していたということで議事録は必ずしもホームページに載せ切れていなかったところがありまして、大変申し訳ございませんでした。議事録につきましてはしっかりとホームページに載せていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。長時間にわたりご議論いただきましてありがとうございました。失礼いたします。