2024年度 中央環境審議会地球環境部会低炭素社会実行計画フォローアップ専門委員会(第2回) 議事録
開催日時
令和6年9月18日(水) 16時30分~18時30分
開催場所
WEBによる開催
議事録
地球温暖化対策課長
ただいまより、2024年度中央環境審議会地球環境部会カーボンニュートラル行動計画フォローアップ専門委員会の第2回を開催いたします。
本日は、ご多忙のところをご出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は、地球温暖化対策課長をしております吉野です。よろしくお願いします。
本日は、オンラインで実施させていただきます。委員の皆様のお名前は資料2の委員名簿をご確認ください。本日は、伏見委員が都合により欠席となっております。また、本日は関係府省庁も参加していただいておりますが、公正取引委員会は欠席となっております。
審議は公開とさせていただき、YouTubeで同時配信いたします。通信環境の負荷低減のため、ご発言の際を除きましてカメラをオフ、マイクはミュートでお願いいたします。
それでは、以降の進行は大塚委員長にお願いいたします。
大塚委員長
それでは、議事に入ります。
まずは議題1といたしまして、「政府実行計画の改定に向けた論点について」ご議論をいただきます。事務局より、資料について説明をいただいた後でご審議いただくことといたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
地球温暖化対策課長
資料2「政府実行計画の改定に向けて」でございます。
後ほどスライドでも資料をご説明しますが、現在、政府におきましては、我が国の排出削減目標NDCの策定と、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論が進められているところでございます。そういった中で、政府実行計画につきましても見直しをしていきたいと考えており、本日は、それに向けてご意見をいただきたいと思いまして開催させていただく次第でございます。
本日ご意見をいただきまして政府実行計画の改定作業を進めてまいりたいと考えています。この後は、地球温暖化対策計画の見直し作業のスケジュールと合わせまして改定案の作成やパブコメといった手続を進めてまいりたいと考えております。
それでは、資料に沿って説明させていただきます。
まず、4ページをお願いします。こちらは現行の政府実行計画の概要となっておりまして、温室効果ガスの総排出量は2030年度までに50%削減を目標といたしまして、その目標達成に向けた太陽光発電の導入目標と幾つかの指標を設けて取り組んでいるところでございます。
次、お願いします。これまでの足元の進捗状況ということで、4月に開催しました専門委員会でもご報告をしております。1点だけ、太陽光発電の導入目標について、進捗が足元20.7%となっておりまして、4月の時点では、設置可能な建築物の50%以上に太陽光発電を設置するという目標について、その50%を100%として、導入割合を40.6%という形で記載しておりましたが、他の項目との並びで分かりにくいということで、足元20.7%までたどり着いているという意味で、こういう記載をしています。
5ページ、6ページについては、4月にご報告させていただいた進捗状況でございます。政府全体の温室効果ガス排出量に関しましては、21年度から少し増えてしまっておりますが、全体としては23.2%の減まで来ているというところでございます。その他の項目の進捗状況につきましてはご覧のとおりでございます。
7ページは各省庁の実施計画の達成状況ということで、細かいですが参考としてつけております。
8ページは政府全体の温室効果ガス排出量の推移でございます。今申し上げたとおり、2022年度につきましては23.2%の減ということで、こちらは2013年比となっております。前年度から比べますと、燃料使用による排出量は減少したものの、施設の電気使用に伴う排出量が増加しており、再エネの調達率が悪化し排出係数が上昇して、それに伴って電気使用に伴う排出量が増加してしまっていると、直近はそういう状況でございます。
続きまして9ページになります。現在、50%削減ということで取り組んでいるところですが、船舶・航空機、東日本大震災関係の廃棄物の焼却については、現行計画では排出削減目標の対象外ということにしております。その理由について、船舶・航空機の使用に関しては、右下に例ということで幾つか記載をしておりますが、救護や治安維持、漁業の取締り等の分野の船舶や航空機ということで、更新時の効率改善というのは期待できますが、排出量を左右する出動回数や行動距離といったものを制御するのは、なかなか困難だというところでございます。東日本大震災関係の廃棄物の焼却については、災害への対応ということでやっておりまして、廃棄物の処分量や性状を制御するというのはなかなか困難だということで、外れているところでございます。現状、目標対象の排出量と対象外になっている排出量の内訳につきましては、ここに示しているとおりでございます。
続きまして、10ページ、11ページについては、現在対象外になっている船舶と航空分野について、国全体では、温対計画の中で脱炭素化が位置づけられているところでございます。それぞれ、省エネ型の船舶等、船そのものの技術開発や導入といったものが対策の中身として書かれています。11ページは航空分野ですが、運航方式の改善やSAFの導入促進等が対策の中身で、国全体の取組としては、こういったメニューで取り組んでいるというのがご参考です。
12ページは、東日本大震災関係の廃棄物処理に伴う排出について、震災後、国が直轄で被災地に仮設の焼却施設を設置いたしまして、一番多いときでは12の仮設施設がありましたが、現状は4つの施設が稼働しています。浪江町、双葉町、大熊町で稼働しており、現状、復興に向けた取組は進んでいますが、帰還困難区域における除染や家屋解体を伴う廃棄物の焼却はまだ続いております。ただ、いずれにしても、その処理が終われば排出量はゼロになることが見込まれているところでございます。帰還困難区域のうち特定帰還居住区域、いわゆる特定復興再生拠点区域に続いて住民の帰還を目指すという区域ですが、こちらについては2020年代をかけて避難指示解除の取組を進めていくことになっており、昨年末から大熊町、双葉町、今年に入って浪江町、富岡町で除染が始まっており、取組が進められているところです。引き続き、廃棄物の処理は続いていくということで、下にグラフがありますが、廃棄物の組成等、その時々の断面での排出量が異なりますので凸凹しているという状況です。ただ、この分野でも対象となる廃棄物の排出量の把握を行いつつ、何ができるか検討していきたいと考えてございます。
13ページ、太陽光発電に関して、昨年から「公共部門等の脱炭素化に関する関係府省庁連絡会議」を設置させていただき、府省庁ごとに容量ベースの導入目標を設定しています。各省の導入目標と現状の導入量を示しています。現時点で件数ベース、kWベースの目標を達成していない府省庁において、整備計画を作成いただきまして、環境省のホームページで公表しているところでございます。政府全体で、導入目標としては57MWになっていますが、現状、整備計画において導入計画を具体的に示されているのは約200kWということで、この整備計画のさらなる具体化、精緻化というのが今後必要になってくるというところでございます。
14ページ、PPAモデルを活用した導入目標の検討について、政府部門で太陽光発電をしっかり導入していく必要がありますが、予算の確保や確保した予算の中での優先順位が課題となっており、初期費用がかからない形でのいわゆるPPAモデルによる導入を何とか進めていけないかなと考えておりまして、環境省でも3月には政府施設への導入の手引きを作っています。ただ、現状政府施設でPPAモデルの活動実績はございません。その取組を進めるために最初の事例を何とか出したいというところで、環境省でもどういう形でできるかというのを検討しているところです。一方で、施設の規模が小さい、土日の閉庁施設が多くて電力需要がない期間があるといったことがありますと、調達コストはどうしても高くなってしまいますので、複数の施設を同時にパッケージにして事業化するということでスケールメリットを確保しながら調達コストを低減させていけないかということが課題となってくるかと思いまして、環境省の施設だけということではなくて、他の関係省庁にも協力を呼びかけさせていただきながら何とか検討していけないかと思っています。
15ページ、建築物における省エネ対策について、現行の目標では、新築建築物は原則ZEB Oriented相当以上ということで、2030年度までに平均でZEB Ready相当になることを目指すこととしており、現状、ZEB相当の事例でいいますと、下に書いてあるようなものが挙げられるということでございます。これは前回もご紹介したとおり、令和9年度からの環境省の新庁舎におきましてもZEB Readyを何とか達成したということでございます。建築物の対策は業務部門の大きなウェイトを占めるものでありまして、公共・民間で新築・既築の改修ともに課題となっています。環境省でも、予算事業によって新築、改修ともに支援を行っておりますし、省エネ改修については、これまでの支援事業で得た知見をまとめて、ホームページでPRするなどしております。これからなかなか大変なところですけれども、制度的な枠組みとしては、政府施設に関しては環境配慮契約法、国交省の官庁営繕が策定しております官庁施設の環境保全基準などがありまして、民間を含めて建築物の省エネ法というものがあると思っています。環境配慮契約法におきましては、基本的な考え方として、新築時には原則として建築物のZEB化、再生可能エネルギーの導入を図ること、既存建築物の改修時には、改修による省エネ効果等を踏まえて必要に応じZEB化を見据えた中長期的な改修計画を検討すること、建築物のライフサイクルの全般においての脱炭素化を図るための取組を各種進めていくということが基本的な考え方になっておりまして、それを進めるに当たり、建築物の設計、維持管理、それから改修といった各段階におきまして、ライフサイクルで効果的・有機的にそれらが連携して新築、既築ともに温室効果ガスの排出削減に対する相乗効果を発揮していくことが大事だと考えてございます。
現状、環境配慮契約法でもいろいろな取組は検討をしておりまして、今年の8月1日にも検討会を開催しておりますけれども、その中では、環境配慮契約のさらなる実施率の向上のための施策、方策ですとか、発注者向けの省エネ、脱炭素対策の情報提供をしっかり充実させていくといったことも検討されているところでございます。また、こちらの資料には書いておりませんけれども、国交省の官庁施設の環境保全基準の中でも、前回の政府実行計画の改定を受けて、新築の場合はZEB Oriented以上にすることなどを盛り込んでおりますので、国交省の官庁営繕部との今後より一層の連携ですとか、あとは建築物省エネ法との連携といったものもしっかりと考えていく必要があると思ってございます。
16ページのところは参考ですけれども、政府の施設ということではなくて、これはあくまで国全体としてですが、2030年度以降に新築される建築物についてはZEB基準の水準の省エネ性能を確保するということ。ここで言うZEB基準の水準の省エネ性能というのは何かといいますと、下に小さい字で書いてありますが、一次エネルギー消費量が30%または40%削減ということで、言ってみればOriented相当ということになっております。国においては率先して、既に新築に関しては今の足元からOriented相当以上にしていこうということにしているということでございます。ストックについては政府についての目標はございませんが、温対計画では2050年にストック平均でZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保ということで、こちらも、要はZEB Orientedですけれども、ストック平均でそれを目指すということになっているということでございます。
続きまして17ページです。昨今、新聞報道でも庁舎の役所の建物の中の執務環境が悪い、要は暑いということで報道もありましたけれども、その室温管理について今どうなっているかということでございます。現行の政府実行計画では、庁舎内における適切な室温管理ということで、冷房の場合は28度程度、暖房の場合は19度程度を図るということになってございます。一方で、環境省の熱中症対策も適応策の一環として取り組んでおりますが、適切な温度設定にするように呼びかけておりまして、しっかりクーラー、エアコンも使いましょうという形でも呼びかけています。スライドの右下の夏季の省エネルギーの取組について、エネ庁が中心になっておられる会議ですが、毎年、民間に対して呼びかけている省エネ対策の中では、昔は28度を目安とした運用ということで呼びかけていましたが、直近の呼びかけは、適切な温度管理で、健康第一に温度は柔軟に設定という形になっております。最近の話で言いますと、右上で、快適で安全な執務環境の確保についてということで、内閣人事局、人事院から各省庁に対して通知が出ていまして、設定温度にこだわることなく、職員が快適で安全に勤務ができるように設備を運用せよということになっております。こうした実情を踏まえまして、省エネ対策を念頭に置きつつも柔軟な室温管理とするということが大事なのではないかなと考えてございます。
続きまして、18ページです。こちらは専門委員会でもESCO事業の活用についてご指摘があったところでございまして、ESCO事業については環境配慮契約法の基本方針においても基本的事項ということで位置づけられています。表につけているのは、一般社団法人のESCO・エネルギーマネジメント推進協議会のサイトに全部で350程度の事例が載っていますが、その中から一部抜粋しております。省庁については経産省の1例のみということで、自治体については3つ載せておりますけれども、約60程度の例が載っているということでございます。環境配慮契約法上では省エネルギー改修事業としてESCOに位置づけられておりますが、ESCO事業自体は光熱水費の削減額等で事業費を賄う仕組みになっておりますので、事業が成立するためには一定以上のエネルギーの削減余地、それから光熱水費の額というのが必要になりますということで、成立しない場合も多いというのが現状になっておりまして、現状、環境配慮契約法の考え方としては、改修についてはESCO事業またはESCO事業以外の省エネ・脱炭素化に資する改修事業としながら、改修計画の検討に当たっては、当該施設の特性、エネルギー消費量等々を踏まえて総合的な観点から何をするか選択するということになっております。1つだけ経産省の例を載せさせていただいておりますけれども、より具体的にこのホームページに載っている中身を簡単に紹介しますと、例えば換気設備は時間帯で自動制御だったものを、室温によって制御するような形にするとか、あとは、外機用の送風機について、空調機の立ち上げ時間帯の運転を停止することで外気による負荷を低減するといった取組を進められておりまして、これらによって一次エネルギー消費量を1.6%削減したということで、事例として紹介されております。ESCOも、設備更新型のESCOや、一括発注方式についても検討をするということになっておりまして、最近では排出削減量を保障するパフォーマンス契約という形態もあって環境配慮契約法の解説資料には言及されております。こうした様々な形態があることに留意して、メリットやリスク、それぞれを検討しながら建築物のエネルギー使用実態等に即した改修を進めてZEB化に向かっていくことが重要と考えてございます。
19ページですが、こちらは電動車の導入割合の推移であります。ストックで100%という目標に向かって、足元は33.5%ということになっています。一層の取組が必要ですが、実態を見ますと、1つは、これまでもご指摘も受けていますし、我々としてもリース方式の知見というのをもっと広げていくとよいのではないかと思っておりまして、各省庁の実態を見ますと、リース方式の割合は大体10%ぐらいとなっています。その中で総務省が一番割合が高く74%、環境省が47%、法務省さんが39%となっていまして、政府全体としては10%となっています。環境省の場合は、実際に保有している電動車が114台で、リースは181台ということなので、リースのほうが多くなっています。電動車のほうが、価格が高いのでリース方式が採用される傾向にあるのではないかと思っています。契約の切り替えのタイミング等もありますが、リース方式の知見の共有は引き続きしていきたいと思ってございます。
20ページです。共同調達について、専門委員会では各省がそれぞれ物品を調達するのではなくて、例えば環境省でまとめて調達することでコストダウンを図れないかというご指摘を受けております。調べてみますと、霞が関の中でグループが幾つか作られておりまして、例えば表を載せておりますような形で、コピー用紙とかガソリン等々の物品について共同で調達しているような例があるということであります。環境省は建物が近いところでグループを作ってやっているということもありますし、もっと多岐にわたる省庁にまたがってやっているということも事例としてはございます。例えば、LEDなどを念頭に置いて考えていければと思っていますが、LEDの交換は器具の取り替え含めての契約というのが基本でして、単なる物品調達とは異なるものですから、単なる物品調達以外での共同調達の例というのが事例としてはないのかというところで、会計的に会計の事務上どうなのかというところを、中でも相談をしているところでございます。
次、21ページ以降は、電力の関係でございます。環境配慮契約法の枠組みの下で取組が進められており、つい最近も電力専門委員会の第2回が開催されたところでございまして、そちらでの資料を使わせていただいております。21ページは、まず2030年度に向けた取組ということで、電力の排出係数のしきい値の引き下げと再エネ電力比率の引き上げというところについてピックアップしてございます。しきい値の引き上げにつきましては、2030年度のエネルギーミックスと整合した排出係数が0.25というところで、これに向けて電力会社の係数のばらつきなども組み込んで、2030年度の契約に適用する配置係数のしきい値は0.31㎏-CO2/kWhにするという方向性が決められております。0.6kg-CO2/kWhというのが現状のしきい値です。来年度の契約に使用する排出係数しきい値としては、これまで0.31 kg-CO2/kWhに向けて下げていくという中で、予定どおり0.52 kg-CO2/kWhに引き下げるということでお諮りして、そういった方向性になっているということでございます。下半分のところは再エネ電力比率の引き上げですけれども、令和5年の契約から最低限の再エネ電力比率35%ということで仕様書等に明記すると決めておりますけれども、最低限の再エネ電力比率につきましては、令和7年度の契約においては40%に引き上げるということで方向性が決まっているというところでございます。
次22ページですが、再エネ電力の普及促進に向けた取組について、基本的には再エネ電力の各電気事業者の提供しているメニューも含めて情報を集約して提供するといったようなことが基本で書いてございますけれども、下の半分に書いてありますのは、再エネ電力メニューや調達者向けの契約管理情報の提供等をホームページで行うということでありまして、再エネ電力メニューの具体的な情報としてメニューの名称や供給区域、再エネ電源の概要等に加えて、再エネ電力メニューに係る詳細なホームページも提供するなど、あとは、調達者向けの契約関連情報(仕様書等)の事例収集・整備、ひな形の作成、そういったことも考えていこうということになっております。一番下に書いてありますのは、先ほど申しましたようなPPAモデルの活用について積極的に検討・導入を推奨ということで、この導入が政府においても始まってきた場合に、環境配慮契約法上どうやって位置づけていくかということも含めて検討していくということでございます。
23ページが総合評価落札方式の導入を視野に適切な契約方式の検討をしていくという動きとなっております。フォローアップ専門委員会でもご指摘をいただいておりますけれども、現状の裾切りの係数を決めて、その後、価格で決めるといったような方式でいいのだろうかということで、総合評価落札方式になれば価格面ですとか排出係数を含めた技術面を総合的に評価することになりますので、現在の裾切り方式では契約に至らないような、やや価格は高いけれども配置係数はよりよいものへの切替えを進めていけるのではないかということでご指摘をいただいているところでありまして、実際、環境配慮契約法の枠組みの下でも、契約、排出係数の低減と再エネ導入拡大を図る観点から、総合評価落札方式の導入に向けた検討というものを進めていこうという議論がなされているところでございます。
24ページはフロンの話でございます。政府というよりは規制の全体像ということであります。代替フロンの温室効果が高いということで、自然冷媒への切替え等が進められていますけれども、例えば新設や更新機器については自然冷媒の機器への転換や漏洩監視システムの導入、既にある機器については使用中の漏洩量の削減や機器を廃棄するときの回収を徹底するといったことを進める必要があります。フロン法に基づく機器の管理について、廃棄物の世界でいう電子マニフェストみたいなものですが、フロンがどれぐらい入っていて、どれぐらい漏れているのか、デジタルを活用して追っていくというようなシステムを導入してはどうかという話もありますので、政府実行計画上のフロン対策はあまり書かれていないので、そういったところも現行の制度に合わせて強化していく必要があるのではないかということでございます。
25ページがScope3排出量についてであります。専門委員会でもご指摘をいただいております。Scope3の算定につきましては、企業の環境経営の分野で世界的にも進められている話でありまして、こういった中で、政府としても率先して取り組んではどうかというようなご指摘がございます。民間では、国際サステナビリティの基準審議会においてScope3の開示の義務化を確定しており、金融庁の金融審議会のワーキングでは今年の3月から、その義務化に向けてどうしようか、有価証券報告書等でどう扱っていこうかという議論が進められている状況です。民間におきましては、まずはプライム市場の上場企業から段階的に導入ということで検討が進められておりますが、政府自身も、投資家の目線がどうという形ではないですけれども、自らの排出の実態について、ガバナンスを効かせるという意味で取り組む価値はあるのかなということで、ただ、政府ではどういった部分が実際の算定になじむのかというところを、まず、環境省のほうで対象カテゴリーや算定方法について考えていきたいと思ってございます。
26ページが、グリーン購入法の基本方針におけるカーボンフットプリント等に係る取組というところで、前回の専門委員会でもこれに近い内容をご紹介しておりますけれども、カーボンフットプリントを算定した製品等についてグリーン購入法でも積極的に扱っていくという取組が進んでいます。これはご紹介でございます。
27ページについて、独立行政法人等における計画策定に関する取組というところで、独法については、政府の実行計画に準じた形で計画を策定していただいて、それに基づく取組を推進しているという実態でございます。冒頭、政府施設での太陽光の導入に向けて取り組んでいるということでありますけれども、公共部門の一環として独立行政法人においても目標設定をしていただいて、導入を進めていただきたいということで、関係府省庁連絡会議でも方針を決めさせていただき、今後、ポテンシャルの調査を実施してその先につなげていきたいと取り組んでいるところでございます。
28ページ以降は、ネットゼロに向けた最新動向ということで、これはどちらかというと政府実行計画というよりは政府全体の動きということで簡単にご紹介させていただきたいと思います。
まず、29ページですが、次期NDCにおけるタイムライン・国内動向ということで、冒頭、次期NDCの策定作業や温対計画の見直しに向けた議論が進められていると申し上げましたが、こちらの見直しの議論は、今年の6月から中環審と産構審の合同審議会で議論が始まっておりまして、ここにありますように、次期NDCに関しては2025年に35年目標、2030年に2040年目標の提出が奨励されており、時期的には2025年の2月までに提出することが求められているということでございます。そういう中で、GXの動き等々もある中でエネルギー基本計画の議論も進められておりますし、温対計画の見直しの議論も始まっているというところであります。一番下のほうに、GX2040ビジョンというのが書いてありますが、こちらも官邸のGXの実行会議で策定に向けて議論が進められているところでございます。
30ページについて、これはGX実行会議の資料を引用しておりますけれども、5月からGX2040ビジョンに向けた検討がスタートしておりまして、それと並行してエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の見直しの議論が進められているところです。こちらの議論を並行して進めて、それぞれGX2040ビジョンにもそのエッセンスをインプットしていくというような形で検討が進められているところでございます。
31ページのところは次世代型太陽電池の導入拡大に向けてということですけれども、いわゆるペロブスカイトについて、こちらはエネ庁において官民協議会を立ち上げられておりまして、戦略策定に向けて議論は続けられているという動きでございます。31ページにありますように、昨年末のGXの分野別投資戦略の中でも、公共部門における導入目標の先行した検討や率先導入といったようなことが位置づけられているところであります。具体的には32ページになりますけれども、環境省におきましては、特に需要の創出に向けて経産省と連携して以下の取組を進めるということで、まずは政府施設における屋根、壁面のポテンシャル調査を行って導入目標の検討につなげていくということ。政府実行計画のフォローアップ調査は毎年秋から冬にかけて実施しておりますが、今年の調査の中でぜひ行いたいと考えております。また、②は自治体を含む需要家向けの導入補助事業を検討していくということで、来年度の予算に向けて検討していきたいということでございます。③については適切な廃棄・リサイクルルールの検討ということで、普通のシリコン型の太陽光パネルのリサイクルについての制度化に向けた議論が先週から審議会でも動き出しておりまして、これにペロブスカイトが乗ってくるかというのはまた別の話ですが、いずれにしても適切なルールを検討していくということでございます。
33ページですが、こちらも前回4月の専門委員会でもご紹介させていただきましたけれども、いわゆるGX価値と言われているもので、排出の削減の実績量ですとか排出削減貢献量という言葉がありますけれども、例えば、削減実績量については自社内で実際に自社が排出量を削減した施策を反映した形で製造した製品単位の排出削減を削減実績量と呼んでおりまして、あとは自社外での削減ということで、例えば自社が提供した省エネ型の製品とか、そういったソリューションによって社会全体で創出された削減量といったものを削減貢献量としてカウントし、表現していこうという取組が進んでおります。そういったものを積極的に調達していこうという方向で議論が進められているということでありまして、経産省でも研究会を開催されていて、その中で、環境省もオブザーバーとして参加しておりましたけれども、政府実行計画におきましてGX製品の率先・積極調達を位置づけるということが期待されております。
グリーン購入法の中でも、例えばGX製品の中でもグリーンスチールなどについてどうやって位置づけていくかという議論がされている状況でございます。
そして、最後のパート3について、論点整理というところでありまして、35ページは、これまで今年と昨年2か年にかけて先生方からいただいたご意見をまとめさせていただいているというところでございます。取組に対する主な意見として、逐一は読み上げませんけれども、それぞれの分野でこういうことをやったらどうかと、いろいろご提言もいただいているところでございます。今まで、こうしたご意見をいただきつつ、足元の現状の取組としては前半にご紹介をしたところまで行っていて、今後の取組としては今ご紹介をさせていただいたところです。
最後のページになりますが、改定に向けた論点ということで、主な論点は以下のとおりということで書いております。まず、計画全体に関わる事項としては、計画期間をどうするか。それから削減目標について、国全体についても新たなNDCという中で、政府実行計画の目標をどうするか。それから、今は対象外になっている分野についてどうやって扱っていくか。こういったことが1つ論点であります。
再生可能エネルギーの最大限の活用に関しては、太陽光発電の導入目標、その先はどうするか。ペロブスカイトについてどうやって位置づけるか。建築物における取組としては新築建築物についての目標はありますけれども、これをどうしていくか。既存建築物はどうやって対策を強化していくか。フロンの関係で空調設備における冷媒の漏洩量の削減に向けた取組、庁舎内の適切な室温管理、燃料の使用に伴う排出削減対策をどうするか、そういったことが論点としてあろうかと思っております。
財やサービスの購入・使用に当たっての取組ということで、共同調達の実施や自然冷媒機器の率先導入、こちらは省内の空調というよりはコンビニ等が一緒に入っている場合の冷凍のショーケース等が念頭にありますけれども、そういったものの率先導入、フロンの使用機器管理のデジタル化、廃棄時の冷媒回収の徹底、再エネ電力の調達率についてどうするか、GX製品とか先端技術の率先調達についてどうするか。その他といたしましてはScope3の把握についてどうするか。独立行政法人における取組についてもしっかり位置づけるべきじゃないか、といった形で論点としては挙げられるかというふうに思ってございます。
長くなりましたけれども、冒頭の私のほうからの説明は以上になります。どうぞご意見のほうをよろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
それでは、ただいまご説明がございました内容について、ご質問、ご意見などがございましたらご発言をお願いいたします。ご発言になる方は挙手ボタンを押してお持ちください。私から順番に指名させていただきます。
本日は、私以外に8名の委員がご参加ですので、前半、後半に分けて、まず4名ほどにご意見をいただきまして当局から回答をいただくという時間を取りたいと思っております。
いかがでしょうか。では、秋元委員、お願いします。
秋元委員
すみません、最初うまくマイクが入らなくて申し訳ございませんでした。
ありがとうございます。大変よく理解できるようになりました。
改めてですけれども、建築はリードタイムが長いので、計画・建設した建物が50年、100年と存続していくことになりますので、可能な限り取り得る最高の技術を取り入れていただきたいと考えています。具体的には、断熱・日射遮蔽とか、建物の形状とか、ファサードの工夫であるとか、高効率の設備を導入するということになるかと思います。これまでの意見や論点にも挙げていただいていますけれども、ZEB等、そういったものの設計ガイドであるとか、事例集を整えた上で活用するということが大事かと思います。
それと、ESCO事業、エネルギー・サービス・カンパニーの話が出てきましたけれども、事業として、ビジネスとしてESCOを導入するというのももちろんあるかと思いますが、コミッショニングという考え方が重要だと考えています。建築物の持っているポテンシャルを正しく発揮するためのコミッショニングというのを定期的に行うということが大事であろうかと思います。
建物の室内の環境についての説明がございました。熱中症、感染症、ウェルネス等、それが重要だということですが、知的生産性向上というような観点もあるかと思います。公共の建物で働いている方は皆さん大変優れていらっしゃると思いますが、その仕事がさらに効率よく進むように温度設定とか室内の環境を整えるということは大事だと思いますし、ここでは触れられていませんが、ABWという、アクティビティ・ベースド・ワーキングというような考え方を実現するオフィスデザインも最近は民間で複数出てきています。これは、作業に合わせて自分の好む場所を選ぶことができるようなオフィスのデザインですけれども、そういったことも検討の余地があるかなと思っています。
冷媒フロンのキガリ改正の話がございました。もちろん、段階的な削減や使用機器廃棄時の冷媒回収、保管、再利用は大事なのですが、直接的な大気への影響に加えまして、漏洩した状態で設備機器が運転すると能力が低下しているというようなことにもなるので、そういったことも考える必要があるかと思います。
最後に、サーキュラーエコノミーのことで、古い建物、ストックの対応が大事ですけれども、取り壊して新しく新築するという選択肢のほかに、改修して使い続けるということもあり得るのかなと思いました。
GX製品について触れられましたが、建材の中でも木材もそうですし、粘土鋼材とかリサイクルコンクリートとか、いろいろな選択肢が出てきていますので、それも検討の余地があると考えています。
以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、醍醐委員、お願いします。
醍醐委員
何かマイクの調子が今日よくないみたいなので、うまいこと聞こえていたらいいのですが、私から数点ご質問並びにコメントをさせていただけたらと思います。
CO2が減ってきたのかというところが一番大事だとは思うのですが、その中で、熱のところが減る方策というのが見えにくいというところは1つあろうかと思っています。また、そういう意味では熱に対して電力はある程度方策として自然エネルギー、再生可能エネルギーにシフトしていくというのが見える中で、まだあまり流通はしていないわけですけれども、カーボンニュートラル燃料みたいなものが、例えば水素が流通してくることによって、生産されマーケットに上市されていくと、そういったものにシフトしていくということが1つ考え得るのかですけども、その辺りの熱の需要に対しての方策というのは何らかの計画を持っておくべきではないかなというふうに考える次第です。
また、再生可能エネルギーのほうについても、調達もしかり、また自分たちで太陽光発電設備を設置していくという方策もしかり、非常にできることは全方面でやっていただいているようにも見受けます。
ただ、自分たちで設置していくほうで、政府といっても様々な形態の活動がありますでしょうから、必ずしも太陽光発電に限って導入を計画するのでなくてもいいのかなと。そのほかの再生可能エネルギーであっても設置の可能性があるならば、そういったことも検討していってもいいのかとも考えた次第です。
また、本日のお話を聞いていてすごく思ったのが、もちろん政府の活動としてカーボンニュートラルに近づけていくというのは1つ当然ながら重要な目的である一方、例えばGX製品を優先的に買っていくような取組なんていうのも最後のほうでご紹介していただいていましたけども、ある種、政府が先進的なGX製品の市場に先鞭をつけるというか、そういったことも政府のこの計画の中で、社会全体を減らしていって結局政府の活動が減っていくということだと思いますので、そういう意味では、自分たちが調達をシフトしていくだけではなく、社会全体をどうシフトしていくかというところにも寄与する計画というのが1つ可能性としてすごく見えてきたのかなというふうに本日のお話を伺っていて思いました。
そういう意味で、2050年のあるべき姿みたいなのを目指していくというところが非常に重要なのだろうと思って、その中で建築物並びに自動車に関してはストックベースでもイメージをされていらっしゃっていて、先ほど秋元委員からのご指摘もあったように、特に建築物なんていうのは非常に足の長い、寿命の長いものになりますので、そういう意味では、そこに向かってどうしていくのか。必ずしも断熱性が悪いから建て替えましょうというわけではなくて、既設のものに関してもいろいろと方策があるように、本日ご説明も伺っておりますので、それで結構かと思うのですが、2050年にどういう状態になっていたいのかというのが1つかなと。
それともう1つは、自動車の場合リースというようなお話もございました。また、再生可能エネルギーの調達もそうなのかもしれませんけども、政府が、例えば政府としての排出が減っていったのはいいけども、その結果としてお隣の排出が増えたのでは社会全体としてはゼロサムなわけですね。なので、先ほどのGX製品の市場開拓ではないですけども、社会全体として減っていって、その結果、政府もちゃんと排出が減っていっていると、そういう仕組みというか、そういう取組を優先しないと、政府は調達できたからいいけども、逆に民間企業が調達できなくなりましたということがないようにというのは少し気をつけるべき点かなと思いながら聞いておりました。
そのほか、あと少しだけですけど、Scope3を把握していくというところは非常に重要かなと思って聞いていました。本学もRace to Zeroに参画をしていく中でScope3の把握を目指しているところですけども、なかなかそれが難しいのも実感を持って分かっているところなのですが、ぜひともScope3の把握とともにScope3をどう減らすかというところを考えていくと、今申し上げたような社会全体としてというところにもつながっていくのかなとも思った次第です。
以上になります。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございます。
では、川本委員お願いします。
川本委員
川本です。
では、私からは3つの領域について意見、質問ということで述べさせていただきます。
まず1つは、論点の中の一番上の四角ですけれども、その中の削減目標の現状対象外となっている船舶・航空機、それから震災関係の廃棄物焼却の扱いということに関してなんですけれども、たまたま福島の焼却施設を中心としたアドバイザリーの関係でデータを見ている立場なのですけれども、今日の資料の中にもありました廃棄物の焼却は全体2022年度で89万トンの中の20万トン弱ですので、比率としては船舶よりも小さいわけですけれども、焼却には不向きなもの、例えば水分が多いだとか土砂混じりといったようなことで、重油を使ったりした助燃というものをある程度、施設にもよりますけれども恒常的にやっていたりします。そういう燃料起因のCO2排出がどうしても多くなるというところがあるというのが、これは1つのコメントになりますけれども、いずれにしても、ご説明の中にありましたように、長くこれから続くものでもないところでありますので、震災関係の汚染廃棄物、除染廃棄物の処理ということではこのまま推移していくのはやむを得ないかなというふうに思っています。
私の言いたいのは、船舶の比率が高いということで、海上での警備とか治安維持の関係でというのは、これはよく分かるのですけれども、ただ、船に関しては再生可能エネルギー、水素なのかアンモニアなのか分かりませんけれども、そういった新技術を活用したものも出てきていると思われますので、そういうものに変えていくことは、これは努力の仕方としてはやらなければいけないのではないかというふうには思います。船舶が全体の7割ぐらいを占めている状況ですので、その辺りは意見として申し上げたいと思います。
それから2つ目ですけれども、再生可能エネルギーの最大限の活用ということで太陽光発電導入が図られているところですけれども、再生可能エネルギーの最大の弱点は変動が大きいということです。それを補うものとして、蓄電池といったものの活用を上手に図っていくというのが、蓄電のための設備の活用をどう進めてうまく活用していくというのが1つの考えどころかなというふうには思います。また、太陽光発電などはかなり変動が大きいものですけれども、例えば廃棄物発電ですとかバイオマス発電といったものになりますと、これも変動はありますけども、太陽光に比べれば大分定常的な発電というものをやっていくことができますので、立地の問題ですね。隣接立地といったようなことが必要になりますけれども、かなり大きな視点でのプランニングというのが必要になりますけれども、連携的活用というようなものも考えに入れて進めていく必要があるのではないかなと思います。
それから、最後3点目ですけれども、四角四つの中の2つ目のポツですけれども、フロンの関係でのご説明がありました。フロン使用、その中でフロン使用機器管理のデジタル化というところで書いてあるところ、これは質問になりますけれども、危機管理ということで、目視による機器点検、それからメンテナンス履歴の記録といったもの、アナログ的な対応からデジタル技術の活用というのがあって、この字面だけを追えばそうは思うのですけれども、ちょっと前まで実験室でフロンを使っていた機器の管理をしていた立場からすると、目視による機器点検とか、こういったものをデジタル活用とは、具体的に何をしていくのだろうと思います。1つはフロンですので、計測ですね、これが同時に行われないと漏れみたいなものはなかなか的確に把握していくことは難しいと思いますので、単にデジタル技術の活用というのだけではなくて、具体的にどういう技術を使ってこれを進めていくかということをお伺いしたいと思いまして、これが最後の質問ということで終わりたいと思います。
以上です。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございました。
では、森口委員、お願いします。
森口委員
ありがとうございます。森口でございます。
国立環境研究所国立研究開発法人、独立行政法人でございまして、自ら政府実行計画に準じた計画策定に求められますように携わってまいりました経験も含めて申し上げたいと思います。
論点多分六つぐらいにわたるかと思いますが、なるべく手短に申し上げたいと思います。なるべく他の委員が既にご指摘のあったことは繰り返さないようにしたいとは思いますが、ただ1つ、秋元委員、醍醐委員とおっしゃっていましたけども、特に政府の実行計画と対象になるのは、いわゆるオフィス部門というか、建物に関わるところが非常に大きいかなと思います。
そういう意味で、どうしてもライフタイムが長いという中で、新築の機会というのは非常に少ないと思いますので、リノベーションでありますとか、運用の中で変えていくところ、照明などもそうだと思いますけれども、そういったところが非常に重要かなと思いますので、そのことを改めて強調させていただきたいと思います。
2番目は環境配慮契約法で、これは2点ありまして、まず1点は、電力の調達におきましては、ぜひ総合評価方式の定量的な総合評価方式を導入いただけないかなと思っております。ある種の、何といいますか、最低ライン排出係数は少なくとも、これよりは小さくしなければいけないという考え方は維持した上で、その下であればある種のカーボンプライシングがかかったような状況の中で、カーボンの価格と電力そのものの価格を総合的に評価して、一番安さとCO2の排出係数のバランスのいいものが総合評価で落札されるような、そういう仕組みができますと、これは非常にいろんな多くの産業者の中での競争というのが働きやすくなるのではないかなと思います。私ども自身の機関の電力調達でそういうことができないかということを考えましたけども、現行の法律の中ではかなり厳しいのではないかということを伺っておりましたので、その辺りはぜひ検討いただければと思います。環境配慮契約法、恐らく、例えば建て替えであるとか庁舎に関わる資材調達などについてもそういったところが出てくるかなと思います。ぜひそういった辺りは国が率先していただけるとありがたいなと思っています。
3点目は、若干関係いたしますけれども、GX製品というお話がございました。政府が旗を立ててしっかりやっていくということは分かりやすい例だと思いますけど、従前からグリーン購入、グリーン調達という仕組みがあるので、それとどう違うのか、どこが新しいのかといった辺りを、これは質問にもなるかと思いますけれども、その辺りを少し教えていただければなと思っております。
それから、4番目としまして、電力以外の燃料も重要であろうと。熱の話もございましたし、それから船舶・航空機という話がございましたけど、特にいわゆるSAFですよね。バイオ燃料がいいのかどうかという話もあるかと思いますけども、船舶・航空のある種必要なサービス量といいますか、使用量そのものは維持しなくてはいけないとしても、より排出係数の少ない燃料に変えていくということについては余地があると理解しておりますので、そういう意味では取組対象にしていただく可能性はあるのではないかなと思っております。
それから、5点目は情報提供のお話がございました。関係各省、今日多数ご出席かと思いますけども、なかなかこの分野で具体的にどういう取組をしていけばいいのか、あるいは、どういう契約方法が可能なのかというと、これはなかなか難解なところがありますので、そういう意味でもぜひ情報提供といいますか、研修というような言い方だと失礼になってしまうかもしれませんけども、各省のこの問題の担当者に対して十分な情報共有でありますとか、取組を進めるための相互啓発的なところも進めていただけるといいかなと思います。
最後は一番難しい、本質的になるかもしれませんけれども、現行の先ほどの環境配慮契約法の中で、限られた予算の中で最適化をするということは重要かと思いますけれども、どうしても財源がないとできないところはあろうかと思います。非常に今、国家財政が厳しい中で財務当局のご理解を得るということは難しいかとは思いますけれども、予算がないからできませんという国が言ってしまうと、民間企業はついていただきにくいかなと思いますので、そういったところで、非常に財政が厳しい中でも、気候変動対策ということが重要事であれ、そういったところにしっかりと投資をしていかないと将来なかなか立ち行かなくなるということのそういう考え方につきましても、ぜひ国のほうでリードしていただければありがたいなと思っております。
多岐にわたりましたけど、以上6点でございます。
大塚委員長
では、4人からありましたので、事務局のほうからご回答をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
地球温暖化対策課長
事務局でございます。
いろいろご指摘ありがとうございます。まず、幾つか分野があると思いますけども、建築物の関係で、秋元委員とか森口委員からご指摘がありまして、リードタイムが長いのでできることは可能な限りしっかり最初からやりましょうといったようなことでございます。それはおっしゃるとおりでありまして、新築のときの機会は少ないので、改修といいますか、リノベーションなど運用の中でというところで何とかできないかというところは本当にご指摘のとおりだと思っています。実際、いろいろと口頭で申し上げましたが、資料をつけていなくて恐縮なのですが、環境配慮契約法の中の建築物の契約に関しても、口頭で最初の説明のときに申し上げたような形でいろいろ取組は進めようとしておりまして、とりわけ、我々環境省だけでできることというのも限られますし、官庁営繕さんとの連携というところが大変重要になってくるかなと思いますので、我々はふだんから官庁営繕さんとコミュニケーションを取らせていただいていますけれども、最後の森口委員の研修みたいなことも含めて、情報提供みたいなことも含めて、より一層連携をして、あとは関係府省庁連絡会議の場もありますので、そういうところもぜひ活用して、さらに深掘ったことをやっていきたいなと思っております。
それから、対象外になっている分野の話がございます。これは川本委員からだったのですけれども、今、対象外になっているところの扱い、福島の焼却についてはおっしゃるとおりの話で、重油を使った助燃がどうしても多くなるとか、そういう実態はございます。廃棄物の焼却自体は必ず必要になってくることになってしまいますので、そういった中で何ができるかというところは現場のほうにもしっかり伝えつつ、現場のほうも努力はしませんとは言ってはおりませんので、何らかの形で努力はしていきたいと言っていますので、引き続き取組は検討していきたいと思っています。
それから、船舶・航空機の話ですとか、燃料対策の話があったかと思います。燃料対策、特に施設の中でやれることは民間と基本的には同じなのですけれども、高効率な給湯器への切替えですとか、電化とか、そういったところが今取れる手段ですけれども、将来的にはカーボンニュートラルなガス等への燃料転換というのも選択肢に入ってくるかと思いますし、あとは船舶とか航空機や燃料も、世の中的にはSAFとか水素、アンモニアの技術というのもご指摘がありましたけれども、そういったことで開発は進んでいるというのは事実ですので、そういったものへの切替えというのはどういうタイミングでやっていけるかというのは、開発動向とか、そういうところを見ながらにはなりますけれども、関係省庁とよく相談させていただきたいなと思っております。
それから、GXの製品の関係とか、市場を自分たちで調達していくだけじゃなくて、社会全体、市場全体の削減につなげていけるようにという視点が大事だというようなご指摘、醍醐委員からもありました。そこはおっしゃるとおりだと思っていまして、ペロブスカイトもそうなのですけれども、ペロブスカイトやGX、いわゆるグリーンスチールとか、そういったものを含めまして、新しい技術について政府の制度として公共部門で率先して調達をして市場を支えていくというような取組が、トランジションにおいては必要だと思っておりまして、こういったことをしっかり支えることで社会全体に広がっていって、社会全体の排出削減につながっていくというような視点、そこはしっかりと持ちながらやっていきたいなと思っております。
それから、電力の調達に関してのご意見が森口先生からもありました。こちらは以前からもご指摘いただいていますし、今日も環境配慮契約法の専門委員会でのご議論についてはご紹介をしましたけれども、具体的にどういう形で検討していくかというところは、電力の専門委員会、それはそれでありますけれども、今日いただいたご意見なんかもしっかりとお伝えをさせていただいて検討に活かしていきたいと思っております。
それから、あとはフロンの関係でご質問がありましたので、川本委員からですね、フロンの担当のほうからお答えをいたします。
環境省
フロン対策室の井関と申します。
川本先生から、デジタル技術を活用した方法の内容についてご質問をいただきました。この内容は2つございまして、1つは、フロン排出抑制法で業務用エアコンですとか業務用の冷蔵冷凍機器につきましては定期的な点検をすることということが求められておりまして、その点検の方法についてということが1点と、2点目は、点検ですとか、その後に修理をしたですとか、そういったメンテナンスの履歴も記録をすることが法律上求められておりまして、そのメンテナンス履歴の記録の方法の2点でございます。
1点目の点検のほうは、従来は人の目で、目視で漏洩がないか、結露していないかということを確認していたのですけれども、近年は機器メーカーのほうで最初から漏洩があれば管理者のほうにアラートが出るような漏洩監視システムというものがもう最初からビルトインされているタイプの製品が出てきておりまして、これに対応する形で法令のほうも改正をいたしまして、点検の方法は目視でも、あるいはそういった漏洩監視システムを導入している場合には、もう目視による点検はせずにシステムの導入をもって点検に替えることができるという制度改正をしてございますので、そのほうがより早い段階で漏洩も発見できますので、そうしたデジタル技術の活用を広めていく必要があるというのが1点目でございまして、2点目の履歴の記録につきましては、いつ点検をしましたですとか、いつ追加で冷媒を充填しましたというものを、これまでは紙で、手書きで記録をしていたのですけれども、そうしたものを機器ごとに管理するのも大変ですので、ある種データベースのような形でRAMSと通称で呼んでいるんですけれども、オンライン、データベースで管理するシステムも10年前の法改正で作りましたが、なかなかこれが、コストがかかるということもあって、まだ世の中には広まっていないということでございますので、こうした点検の方法ですとか、記録の管理とこの漏洩の早期発見、あるいは機器管理コストの軽減のために率先して政府から広げていけたらということで記載させていただいております。
以上でございます。
地球温暖化対策課長
前半については以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、中上委員、お願いします。
中上委員
皆さんからもう既に的確なご指摘が出ていますので、私は違った観点から申し上げたいと思いますけれども、とにかく年々役所のプレゼン内容がよくなってきて分かりやすくなりましたことだけは評価したいと思います。皆さん大変だと思います。ご苦労さまです。
幾つか質問と意見を申し上げたいと思いますけど、最初に、対象外になっているのは昔からそういう枠外扱いをしてきたわけですけども、これは諸外国ではどうなっているのでしょうか。海外と整合的に対象が決まっているのか、日本だけなのか、そういうものがもし分かれば教えていただきたいということです。
それから、ZEBについてですけれども、昔ZEBの研究会や勉強会を経産省で始めたときには海外の事例を幾つか参考にしながら議論したわけですけども、そのときに、再エネの利用、オンサイトなのかオフサイトなのかといって、オフサイトも含めて海外では議論していたような記憶があります。だから、当該の施設だけで全部需給を賄うというような形でのZEBというのももちろん大事ですけれども、再生可能の手当をサイト外でやるというのもあると思うのですけど、こういう点についてはどうなのでしょうか。役所の場合には立場によってそれができるところとできないところとあると思いますけど、そういう発想もあってもいいのか。そうなると、太陽光だけではなくて、比較的中規模クラス、大規模クラスの地熱の利用だとかなんてことも全く視野外にはならなくて幅が広がってくると思いますので、そういう観点からの議論もあったほうがいいのかなと1つ思いました。
それから、今日は秋元先生がいらっしゃいますのでお聞きしたいのですけど、今、ストックの話がありましたけど、ストックの場合には違ってくるかもしれませんが、新築の場合はエンボディドカーボンという発想が研究会としてデータが大分国交省のほうで積み上がってきていると思うのですけども、そういう発想も、これからもし新規の施設が建ってくるとするならば、作るときにどのぐらいかかるのかという話も議論の視野に入れてきてもいいのではないかと私は個人的に思いましたけど、その辺はいかがでしょうかということです。
それから、ESCOについてはいろいろ明示的に書き込んでいただいてありがとうございます。ESCOを日本に導入したのは、ちょうど私がその勉強会を経産省から頼まれてやって20年ちょっと超えるわけですけども、なかなか日本でESCOが活発に動けなかったのには、1つは、中央省庁が率先してモデル的にESCOというのをなかなか示すことができなかったものですから、伸びが諸外国に比べて落ちてしまったわけでありますけれども、そういう意味では国環研さんは、今日、森内先生がいらっしゃいますけども、国環研は非常に早い時期にESCOに取り組んでいただいて、非常に初期の頃はモデル的な事業として評価されました。唯一、経産省の建物だけはESCOで対応させていただいたのですけれども、残念ながら国の建物についてはほとんど手がつけられなかった。今また脚光を浴びるのはいいことなのですけど、なかなか難しいのは、ESCOの場合には難しい省エネも優しい省エネも合わせて最大限省エネをかせぐというところにメリットがあるわけでして、今まであまりやってこないと、クリームスキミングといいまして非常にやりやすい、一見経済性が高いといいますか、見方によれば、そういうものだけが処理されてしまって、さらに難しい省エネを導入しようとするとコストが高くなってしまい見合わなくなってしまうというのがあるものですから、それで日本のESCOが、ある意味ではもう後手を踏んでしまったというところがあるかもしれませんので、その辺は頭に置いておいていただいて、例えばLEDなんていうのは確実に省エネがかせげるわけですから、これをやるときに、一緒にそのほかの省エネも取り込んでできるような形での省エネの診断とESCO事業みたいなもので結びつけていただけるといいなと思いました。
あと、もう1つは離れるかもしれませんけれども、ご案内のように、IPCCの最新のレポートでは、省エネというのを3段階ぐらいに分けまして、アボイド・シフト・インプルーブメントと言いますけども、我々がよく議論して検討するのは、このインプルーブメントというか、技術的改善のところに焦点が当たりがちですけども、アボイド・シフトというのは、要するに基本的にエネルギーとの付き合い方を考え直しましょうというところに戻ってやりなさいということ。フランスなどでは日本の夏のクールビズに対してはものすごく成功事例だと評価されて、そういう意味では環境省が先鞭をつけて、世界的にも大変評価されているというのがあります。
これとは違うかもしれませんが、省庁がみんな集まってくるところに意味があるのだと思うのですけども、照度基準が明る過ぎるのではないかというのは前々から専門家の間ではちらちら議論されていたのですが、大体普通ですと、細かい作業をするのでも350ルクスぐらいあれば十分なのですが、日本の設計のデファクト・スタンダードは750ルクスあるものですから、設計で引き渡すときに照度が劣化するものですから、1,000ルクスぐらいで設計してしまうというのが結構いいと言われるビルほどそうなっていまして、めちゃくちゃ明るいわけで。これほどの照度は要らないわけで、それをまず少なくとも500ルクスから300ルクスぐらいに下げてしまえば、最初から相当な省エネが図れるわけで、その上でLEDを入れるという、こういう手順を踏むべきだという典型的な例だと思うのですけども。そういう意味で、ぜひ照度の見直しということを省庁間で一緒になってやっていただき、もしそれが新しいスタンダードとしてブレークダウンできれば、非常に社会的な大きなインパクトがあると思いますので、そういう機会にも、政府の実行計画の中で着目して進んでいただければと思います。
散漫になったかもしれませんけど、私からの意見です。どうも大変ご苦労さまでした。
大塚委員長
はい。どうもいつも大変博学な話をしていただいてありがとうございました。
では、吉田委員、お願いします。
吉田委員
それでは、私から2つ質問、コメントをお願いいたしたいと思います。
まず、太陽光の導入の話ですが、今回、政府施設で、壁面、屋根のポテンシャル調査をするというお話でしたけれども、そこをもうちょっと詳しく教えていただきたくて、つまり、どういうことかといいますと、ペロブスカイトのような技術の話と、壁面とか屋根にやるという技術の入れ方のお話が混じっているかなという気がしました。要は、ペロブスカイトのような国産の技術を、リーダーシップを持ってやっていくというのは全く素晴らしいことだと思っているのですけど、CO2を減らすという意味ではペロブスカイトだとどのくらいの効率でとか、そういうところまで考慮されているのかということですね。また同時に、政府施設で太陽光を入れた場合の利用の話です。中で全量利用することを前提としているのか、余剰分を外部に売ることを想定しているのかということです。もし外に売電するということでしたら本当に売れるのかということです。例えば、南面とか屋根に乗せてしまうと、もしかしたらピークに重なって売れなくなるかもしれないけれども、東面、西面に建材一体型とかペロブスカイトでやると、ちょうど供給が少ない時間帯で高く売れるかもしれないとか、その辺をかなりきちんと見てポテンシャルを評価する必要があるかなと感じましたので、その辺りについて教えていただければと思います。
2つ目は、これはコメントに近いですけれども、Scope3について、環境省から先陣を切ってやるというお話で、非常に素晴らしい取組だと思っています。これに関しては、ただ、完璧にやらなくてもいいかなと僕自身は思っていまして、要は、仮に、脱炭素というのが実現するときに、生産者の取組と需要側の取組という場合にするときに、多分ニュートラルを目指すというときには生産者の取組が圧倒的に大きいと思います。10%、20%減らすというときにはScope3で得られた結果で活動量を少し控えめにするということの意味が出てくるのですけど、カーボンニュートラル、ゼロカーボンを目指すときには、生産者への気づきを持たせることが大事で、そのためには全ての事業者がScope3をきちんと全て計算するというのはあまり意味があるとは思えないと考えております。なので、環境省がScope3を計算するときにも、ある意味完璧を求めなくてもいいというふうに考えているということです。事業者さんがやるときの参考になるということが一番大事かなと思っています。2つ目はコメントです。
以上です。
大塚委員長
須山委員、お願いします。
須山委員
須山です。カメラのほうがトラブルでオンにできなくて申し訳ありません。このまま話させていただきます。ありがとうございます。
いろいろとご意見がありまして、重なるところもあるかと思うのですけれども、スライド5枚目のところで、温室効果ガス排出量23.2%減少ということですが、この辺りいろいろ係数のことですとか、また証書のことですとかありますので、実際の削減がどういう数字になっているのかというところも合わせて知っていく必要があるのかなと思いました。これは意見になります。いろいろな取組がオントラックであるというふうに評価されていて、本当にいろいろな難しい中で取組をされ、実際に数字も上がっているというところがございますので、オントラックと言えるのだろうなと思う反面で、実際にこの先の見通しをどういうふうに立てていらっしゃるのか、実際に2030年という計画期間で達成できる取組として評価されていらっしゃるのかというとちょっと分かりにくいかなと思っております。そういったロードマップ的なものも併せて、今後見直すときには出していただくようにお考えいただければなと思っております。
また、幾つかありますけれども、その中で、LEDのことですとか、先ほどほかの委員の先生もおっしゃっていらっしゃいましたが、予算がありますのでなかなかすぐにはできない。ただ、それを言ってしまうと取組が結局進まないことにはなってしまいますので、「耐用年数がどこにあるのか、その機器を替えるのにいくら必要なのか、そのことを全部含めて実際の計画期間でどう達成していくのか、今はそのどこの段階にあるのか」というところも併せて見えるようにして取組を進めていただければと考えております。
あと、質問になりますけれども、スライド25のところでScope3の「把握をしていく」というお話だったのですが、もう少し詳しく、どういったスケジュールでどういったことをされていくご予定なのか、というところを教えていただければと存じます。
幾つかばらけてしまいましたが、以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、齋藤委員、お願いします。
齋藤委員
齋藤です。ご説明ありがとうございます。実行計画よくわかりました。
大体皆さんに質問等をしていただいたのですが、まず、再エネのところですが、PPAモデルとかを活用してうまく使っていく、あるいは導入を増やしていくことは非常によいことだと思います。ぜひご検討いただければと思います。一方で、これから再エネ導入量がかなり増えてくると思うのですが、そのときに、需要側でDRなどをきちんとやっていかないと、再エネ導入制限が多発することがないように、ぜひ、政府のほうでもDR導入の事例などを見せていただくと良いと思います。
それから、ESCO事業の話等がありましたけれども、他の委員からエネルギーの有効利用という観点から熱利用が非常に重要だというお話がありましたが、そのとおりで、長年熱利用技術の研究を進めてきている中で,熱がどのように使われているのかよく見えないし、実はエアコンなども、実際に建物に導入されてしまうと、どのぐらいの効率で動いているかもよく分からないというのが現状です。BEMSのようなDXの技術の導入を増やすことが必要だと思っております。コストがかかるのですが、機器単体の性能向上も限界に近づいてきているので、これらを通じてトータルのシステムとしてエネルギーの有効利用を進めていく必要があります。ぜひその辺もご検討いただければいいと思っていますし、ちょうど内閣府のSIPなどでもこのようなことをやっていますので、今後ご検討いただければと思います。
それから、冷媒の話も随分出てきましたが、専門なので少しお話をさせていただくと、冷媒の監視システムを非常に期待しておりまして、導入を進めていただければいいと思っております。冷媒の監視システムを導入していくと、冷媒漏洩で機械がどれだけ性能が低下してくるかもわかるはずなので、冷媒漏洩量だけではなく機器性能低下の状況もよく見えてくると思いますので、導入を進めていただければいいなと思っております。
それから、先ほど自然冷媒への転換ということで、コンビニなどを考えられているという話でしたけども、自然冷媒だけではなくて、政府ではグリーン冷媒導入の検討を進めています。NEDOでも検討しており,間もなく次世代の低GWP冷媒が出てくると思いますので、空調等も含めてそういうのを積極的に導入していただきたいですし、冷媒転換への数値目標も出していただくと、今後の取り組みが明確になっていくかと思います。
以上となります。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、私からも一言だけ申し上げますが、ほとんど重なってしまっておりますが、2点ほどお伺いしたかったのは、1つは、2021年度から2022年度が少し増えてしまっていますので、これはコロナ禍が明けたことが関係していると思いますけれども、ここの要因分析をお聞きする必要がありますし、先ほど須山委員がおっしゃったことと関係しますけれども、これで、この後に減っていくことに関してどういう見込みになっているかということをもう少し具体的に言っていただくことが結構大事なのかなと思いました。吉野さんが先ほどすごく力強くいろいろおっしゃってくださいましたけど、ここのところが一番、国民が気になってしまうことかもしれないので、説明していただけるとありがたいかなと思ったところです。
それから、Scope3について、先ほど吉田委員がおっしゃってくださったように、私も、あまり細かく対応しても、完璧なものでなくてもいいのかなと思っていますけれども、民間に対して模範になるようなことをぜひやっていただけると。民間との関係では、温対法のSHK制度などとも関係しますけれども、重要になってくると思いますので、そのモデルを作っていただくということが非常に大事なのかなと思ってございます。
あと、新築建築物に関して2030年度までに平均でZEB Ready相当にするという目標は、ここで見ていると、かなり高い目標ということになると思いますが、実現可能性に関しては若干大変かということで、そこは頑張るということだと思いますが、もし何かコメントしていただけるとありがたいです。お願いします。
私からはその2点ですが、以上のご質問に関して、ご意見に関して、何かご回答いただければありがたいです。
地球温暖化対策課長
ありがとうございました。
ご質問がいろいろありましたが、最初のほうから行きますと、中上委員から諸外国ではどうなっているのかというお話がございました。今、手元にデータがないので、把握できればまとめたいと思います。
それから、オンサイトを含めてという話はどうなっているのかというご指摘がありまして、これ自体は、特段排除はしていないということではあると思いますけれども、契約ということが必要になってくると思うので、結局、PPAの形でできるのかどうなのかというところにつながってくるかと思いますので、まずは実績を作っていくというところからしっかり取り組んでいければなと思っています。
それから、エンボディドカーボンのお話がございまして、これも、おっしゃるとおり、建築物関係のカーボンだと、いわゆるZEBを進めていくと、オペレーショナルカーボンということで供用段階でのCO2は減っているということですけれども、エンボディドとか、あとは最初の建築時の資材の調達とか、そういうところも含めてのアップフロントの部分のカーボンに着目してそこを減らしていこうという考え方は欧州を中心に既にもう制度化をされているといったようなお話も聞いていますし、国交省のほうでもLCC02、ライフサイクルのCO2に着目してゼロカーボン推進会議というので算定ツールなども試行案をまとめられたりしておりますので、そこに我々も参加をしておりますけれども、そういった建築物の分野でのライフサイクルCO2の削減に向けたまずは算定、それからそれをいかに削減していくかというような方向性というのは今後広まっていくのではないかと思っていますし、政府の中でも率先した取組というのは今後検討していく段階には来るのかなと思っております。
それから、インプルーブメント、新しい技術を導入していくとか、そういうところは、すぐに、これをやりますという感じでは言えないですけれども、いろいろな海外の動向とか状況とか、先進的な取組とかというところはしっかりと情報として仕入れていきたいなと思います。
それから、照度のお話がございまして、こちらは、実際、例えば労働安全衛生法の世界の中でどうなっているかというのは今つぶさには把握していませんけれども、温度設定に関しても基本的にはそちらとの連動というところがある世界なので、そちらに今出ているのを含めて、一度調べてみたいなと思ってございます。
それから、吉田委員からペロブスカイトについての調査の関係で、もうちょっと具体的にというお話がありました。ただ、今は物が市場に製品化としてされているわけでもなくて、実際発電効率がどうなのかとか、あとは施工方法はどうなのかというところが、まだ分からないような状況だというのが前提の中で、まずは壁面がどれぐらい設置できるということになればできるかというところで、建物が四方あったとすると、北面以外の部分にどれぐらいスペースがあるかみたいなところでの調査を当面はまずは予定をしているというところです。実際、それを基にどういう形で削減目標につなげていけるのかというところは、実際データも集めてみてどういう形にするかというのはまた検討していきたいと思っています。それから、あと基本的には売電ということではなくて、基本的には自家消費が念頭になるのかなと私は思っています。どれぐらいの供給量があるかというところにもよると思いますので、そういったことを見ながらということにはなろうかと思っています。
それから、Scope3の関係は、吉田委員と大塚委員長からもありましたけれども、完璧にやらなくてよいというお話で、また、Scope3のスケジュールについても須山委員からありましたけれども、正直、今の段階で、いつまでにScope3のこのカテゴリーについて出しますというところは申し上げられないので、そこは恐縮ですけれども、実際のデータがどんなデータか、会計課などが持っているのか、といった探索から始めないといけないので、完璧にやるというのは多分そもそも難しいかなとは思ってはおりますけれども、できるだけ、民間でこれだけScope3の算定だということで動きが広まっている中で、国としても率先した取組ということで着手していきたいと思っているという状況です。
それから、須山委員と大塚委員長から、昨年足元の直近の排出が増えて、この先どうしていくかというところがございました。政府全体の排出量はオントラックだということで言っているのは事実ですけれども、政府の部分は実際増えてしまっているのは確かなので、そこのところはしっかり受け止めて、対策は着実に油断することなく、国としてもオントラックと言っているからといってもう特段このままでいいよねということではなくて、オントラックで46%の目標に向けて削減していく、それ自体もかなり相当な厳しい目標だというふうには認識しているので、できる限りの対策を講じていくというスタンスは変わらないというところであります。実際の削減量はどうなっているのかという話ですが、4月の段階の専門委員会のときには、参考資料として、調整の排出量ではなくて基礎排出係数のデータも出しておりまして、それによりますと、前年比では減っていまして、2013年度比から見ても19.2%の減少ということで、2030年に向けて直線的にはどうかというところはあるのですけれども、着実に減っているというのはデータとしても出ているのかなということでございます。
それから、齋藤委員から再エネの今後導入が増えていくとDRなども大事なのではないかということでありました。いわゆる出力制御対策全般に関してはエネ庁でパッケージをまとめておられて、その中でDRなども入っておりますけれども、環境省としても、需要側からの出力制御対策としての取組を何かできないかと思っていまして、例えば、再エネの余剰電力が昼間にありそれを積極的に活用していけないか、そういったことを国民運動的にやっていけないのか、そういったことは考えているというところでありまして、いずれにしても、DRの取組自体はこれから政府としても進めていかなければならない分野だとは認識しております。
それから、熱の対策とか、BEMSですね。それぞれの単体の機器では限界があるので、DX技術の導入をということで齋藤委員からありました。こちらは既にBEMSの活用自体は政府の取組としても位置づけられているところでありますし、実際環境省の新庁舎でもBEMSによるエネルギー管理というのは入れていくことで取り組んでおりますので、引き続き、フロン等も含めてDX技術の導入というのは進めていきたいと思ってございます。
後半については以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
あと時間が10分ほどございますが、もしまだご質問があれば、ご回答に対してさらにご疑問が出てきたということがございましたら、いかがでしょうか。
では、秋元委員、お願いします。
秋元委員
手短にご質問させてください。
齋藤委員からもお話があってお答えもいただいていますし、あと川本委員からの質問に対してのお答えもありましたが、フロンの冷媒の漏洩監視システムのルールができて導入されて、実際どのぐらいフロンの漏洩量が減っているのかというような数字はありますでしょうか。
というのも、聞くところによると、数千万トンですか、ずっと漏洩しているような、あるいは大気に放出されているようなお話をいろいろなところで聞くものですから、どのくらい効果があるのかというようなことが分かれば教えていただきたいと思います。
以上です。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
他にはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
では、回答をお願いいたします。
環境省
フロン対策室でございます。ご質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり今年間で2,000万トンぐらいCO2換算で漏洩がありますが、それが全体にどれほど効くかというところは試算できていないですけれども、個別の機器について申し上げますと、エアコンとか冷蔵機器が冷えなくなるのは、大体冷媒が半分とか6割ぐらい漏れた段階で初めて、「あれ、何か調子が悪いな」と、システムをつけていない場合には初めてその段階で分かるのですけれども、システムを入れていれば、大体3割ぐらい漏れた段階で、機能としては冷えてはいるのですけれども、冷媒が結構漏れていますよというのが早い段階で分かるというのは個別の機器別では確認できているところでございます。それで全体が半分になりますと断言はできないですけれども、入れている場合と入れていない場合と比べて、相当の量の冷媒の漏洩量の削減につながるのではないかと期待をしているところでございます。
以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございます。よろしいでしょうか。
秋元委員
ありがとうございます。
あまり効果が如実に表れないということであれば、さらなる何か対策が必要なのかなと思ってご質問しました。ありがとうございました。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございました。
中上委員、どうぞ。
中上委員
皆さんご存じだと思いますけど、ESCOというのは基本的にはイニシャルコストは全部事業者が負担して、ランニングコストの浮いた分で改修していくというのが基本的なモデルですから、先ほどの財源問題からすれば、役所としては別に特別に財源を用意しなくてもできるというのが非常に大きなメリットだということで、アメリカなどでは官公庁をはじめとしてESCOがものすごく普及したわけですけれども、その辺は皆さんご存じだと思いますけど、少し補足しておきたいと思います。ありがとうございます。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございます。よろしいですか。
ありがとうございます。そうしましたら、続きまして議題2「その他」について、事務局からお願いいたします。
地球温暖化対策課長
本日は活発なご議論、またご意見、ありがとうございました。
その他ということでは特にございませんけれども、本日いただきましたご意見を基に政府実行計画の改定作業を進めてまいりたいと思います。
冒頭で申しましたとおり、地球温暖化対策計画等の見直しの作業も進められておりますので、こうしたことと並行して政府において責任を持ってプロセスを進めさせていただきたいと思っております。
以上です。
大塚委員長
ありがとうございます。
では、最後に事務局から連絡事項などがございましたらお願いいたします。
地球温暖化対策課長
本日はありがとうございました。議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、後日、委員の皆様にご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
大塚委員長
それでは、本日はこれで閉会いたします。長時間にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。
ただいまより、2024年度中央環境審議会地球環境部会カーボンニュートラル行動計画フォローアップ専門委員会の第2回を開催いたします。
本日は、ご多忙のところをご出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は、地球温暖化対策課長をしております吉野です。よろしくお願いします。
本日は、オンラインで実施させていただきます。委員の皆様のお名前は資料2の委員名簿をご確認ください。本日は、伏見委員が都合により欠席となっております。また、本日は関係府省庁も参加していただいておりますが、公正取引委員会は欠席となっております。
審議は公開とさせていただき、YouTubeで同時配信いたします。通信環境の負荷低減のため、ご発言の際を除きましてカメラをオフ、マイクはミュートでお願いいたします。
それでは、以降の進行は大塚委員長にお願いいたします。
大塚委員長
それでは、議事に入ります。
まずは議題1といたしまして、「政府実行計画の改定に向けた論点について」ご議論をいただきます。事務局より、資料について説明をいただいた後でご審議いただくことといたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
地球温暖化対策課長
資料2「政府実行計画の改定に向けて」でございます。
後ほどスライドでも資料をご説明しますが、現在、政府におきましては、我が国の排出削減目標NDCの策定と、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論が進められているところでございます。そういった中で、政府実行計画につきましても見直しをしていきたいと考えており、本日は、それに向けてご意見をいただきたいと思いまして開催させていただく次第でございます。
本日ご意見をいただきまして政府実行計画の改定作業を進めてまいりたいと考えています。この後は、地球温暖化対策計画の見直し作業のスケジュールと合わせまして改定案の作成やパブコメといった手続を進めてまいりたいと考えております。
それでは、資料に沿って説明させていただきます。
まず、4ページをお願いします。こちらは現行の政府実行計画の概要となっておりまして、温室効果ガスの総排出量は2030年度までに50%削減を目標といたしまして、その目標達成に向けた太陽光発電の導入目標と幾つかの指標を設けて取り組んでいるところでございます。
次、お願いします。これまでの足元の進捗状況ということで、4月に開催しました専門委員会でもご報告をしております。1点だけ、太陽光発電の導入目標について、進捗が足元20.7%となっておりまして、4月の時点では、設置可能な建築物の50%以上に太陽光発電を設置するという目標について、その50%を100%として、導入割合を40.6%という形で記載しておりましたが、他の項目との並びで分かりにくいということで、足元20.7%までたどり着いているという意味で、こういう記載をしています。
5ページ、6ページについては、4月にご報告させていただいた進捗状況でございます。政府全体の温室効果ガス排出量に関しましては、21年度から少し増えてしまっておりますが、全体としては23.2%の減まで来ているというところでございます。その他の項目の進捗状況につきましてはご覧のとおりでございます。
7ページは各省庁の実施計画の達成状況ということで、細かいですが参考としてつけております。
8ページは政府全体の温室効果ガス排出量の推移でございます。今申し上げたとおり、2022年度につきましては23.2%の減ということで、こちらは2013年比となっております。前年度から比べますと、燃料使用による排出量は減少したものの、施設の電気使用に伴う排出量が増加しており、再エネの調達率が悪化し排出係数が上昇して、それに伴って電気使用に伴う排出量が増加してしまっていると、直近はそういう状況でございます。
続きまして9ページになります。現在、50%削減ということで取り組んでいるところですが、船舶・航空機、東日本大震災関係の廃棄物の焼却については、現行計画では排出削減目標の対象外ということにしております。その理由について、船舶・航空機の使用に関しては、右下に例ということで幾つか記載をしておりますが、救護や治安維持、漁業の取締り等の分野の船舶や航空機ということで、更新時の効率改善というのは期待できますが、排出量を左右する出動回数や行動距離といったものを制御するのは、なかなか困難だというところでございます。東日本大震災関係の廃棄物の焼却については、災害への対応ということでやっておりまして、廃棄物の処分量や性状を制御するというのはなかなか困難だということで、外れているところでございます。現状、目標対象の排出量と対象外になっている排出量の内訳につきましては、ここに示しているとおりでございます。
続きまして、10ページ、11ページについては、現在対象外になっている船舶と航空分野について、国全体では、温対計画の中で脱炭素化が位置づけられているところでございます。それぞれ、省エネ型の船舶等、船そのものの技術開発や導入といったものが対策の中身として書かれています。11ページは航空分野ですが、運航方式の改善やSAFの導入促進等が対策の中身で、国全体の取組としては、こういったメニューで取り組んでいるというのがご参考です。
12ページは、東日本大震災関係の廃棄物処理に伴う排出について、震災後、国が直轄で被災地に仮設の焼却施設を設置いたしまして、一番多いときでは12の仮設施設がありましたが、現状は4つの施設が稼働しています。浪江町、双葉町、大熊町で稼働しており、現状、復興に向けた取組は進んでいますが、帰還困難区域における除染や家屋解体を伴う廃棄物の焼却はまだ続いております。ただ、いずれにしても、その処理が終われば排出量はゼロになることが見込まれているところでございます。帰還困難区域のうち特定帰還居住区域、いわゆる特定復興再生拠点区域に続いて住民の帰還を目指すという区域ですが、こちらについては2020年代をかけて避難指示解除の取組を進めていくことになっており、昨年末から大熊町、双葉町、今年に入って浪江町、富岡町で除染が始まっており、取組が進められているところです。引き続き、廃棄物の処理は続いていくということで、下にグラフがありますが、廃棄物の組成等、その時々の断面での排出量が異なりますので凸凹しているという状況です。ただ、この分野でも対象となる廃棄物の排出量の把握を行いつつ、何ができるか検討していきたいと考えてございます。
13ページ、太陽光発電に関して、昨年から「公共部門等の脱炭素化に関する関係府省庁連絡会議」を設置させていただき、府省庁ごとに容量ベースの導入目標を設定しています。各省の導入目標と現状の導入量を示しています。現時点で件数ベース、kWベースの目標を達成していない府省庁において、整備計画を作成いただきまして、環境省のホームページで公表しているところでございます。政府全体で、導入目標としては57MWになっていますが、現状、整備計画において導入計画を具体的に示されているのは約200kWということで、この整備計画のさらなる具体化、精緻化というのが今後必要になってくるというところでございます。
14ページ、PPAモデルを活用した導入目標の検討について、政府部門で太陽光発電をしっかり導入していく必要がありますが、予算の確保や確保した予算の中での優先順位が課題となっており、初期費用がかからない形でのいわゆるPPAモデルによる導入を何とか進めていけないかなと考えておりまして、環境省でも3月には政府施設への導入の手引きを作っています。ただ、現状政府施設でPPAモデルの活動実績はございません。その取組を進めるために最初の事例を何とか出したいというところで、環境省でもどういう形でできるかというのを検討しているところです。一方で、施設の規模が小さい、土日の閉庁施設が多くて電力需要がない期間があるといったことがありますと、調達コストはどうしても高くなってしまいますので、複数の施設を同時にパッケージにして事業化するということでスケールメリットを確保しながら調達コストを低減させていけないかということが課題となってくるかと思いまして、環境省の施設だけということではなくて、他の関係省庁にも協力を呼びかけさせていただきながら何とか検討していけないかと思っています。
15ページ、建築物における省エネ対策について、現行の目標では、新築建築物は原則ZEB Oriented相当以上ということで、2030年度までに平均でZEB Ready相当になることを目指すこととしており、現状、ZEB相当の事例でいいますと、下に書いてあるようなものが挙げられるということでございます。これは前回もご紹介したとおり、令和9年度からの環境省の新庁舎におきましてもZEB Readyを何とか達成したということでございます。建築物の対策は業務部門の大きなウェイトを占めるものでありまして、公共・民間で新築・既築の改修ともに課題となっています。環境省でも、予算事業によって新築、改修ともに支援を行っておりますし、省エネ改修については、これまでの支援事業で得た知見をまとめて、ホームページでPRするなどしております。これからなかなか大変なところですけれども、制度的な枠組みとしては、政府施設に関しては環境配慮契約法、国交省の官庁営繕が策定しております官庁施設の環境保全基準などがありまして、民間を含めて建築物の省エネ法というものがあると思っています。環境配慮契約法におきましては、基本的な考え方として、新築時には原則として建築物のZEB化、再生可能エネルギーの導入を図ること、既存建築物の改修時には、改修による省エネ効果等を踏まえて必要に応じZEB化を見据えた中長期的な改修計画を検討すること、建築物のライフサイクルの全般においての脱炭素化を図るための取組を各種進めていくということが基本的な考え方になっておりまして、それを進めるに当たり、建築物の設計、維持管理、それから改修といった各段階におきまして、ライフサイクルで効果的・有機的にそれらが連携して新築、既築ともに温室効果ガスの排出削減に対する相乗効果を発揮していくことが大事だと考えてございます。
現状、環境配慮契約法でもいろいろな取組は検討をしておりまして、今年の8月1日にも検討会を開催しておりますけれども、その中では、環境配慮契約のさらなる実施率の向上のための施策、方策ですとか、発注者向けの省エネ、脱炭素対策の情報提供をしっかり充実させていくといったことも検討されているところでございます。また、こちらの資料には書いておりませんけれども、国交省の官庁施設の環境保全基準の中でも、前回の政府実行計画の改定を受けて、新築の場合はZEB Oriented以上にすることなどを盛り込んでおりますので、国交省の官庁営繕部との今後より一層の連携ですとか、あとは建築物省エネ法との連携といったものもしっかりと考えていく必要があると思ってございます。
16ページのところは参考ですけれども、政府の施設ということではなくて、これはあくまで国全体としてですが、2030年度以降に新築される建築物についてはZEB基準の水準の省エネ性能を確保するということ。ここで言うZEB基準の水準の省エネ性能というのは何かといいますと、下に小さい字で書いてありますが、一次エネルギー消費量が30%または40%削減ということで、言ってみればOriented相当ということになっております。国においては率先して、既に新築に関しては今の足元からOriented相当以上にしていこうということにしているということでございます。ストックについては政府についての目標はございませんが、温対計画では2050年にストック平均でZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保ということで、こちらも、要はZEB Orientedですけれども、ストック平均でそれを目指すということになっているということでございます。
続きまして17ページです。昨今、新聞報道でも庁舎の役所の建物の中の執務環境が悪い、要は暑いということで報道もありましたけれども、その室温管理について今どうなっているかということでございます。現行の政府実行計画では、庁舎内における適切な室温管理ということで、冷房の場合は28度程度、暖房の場合は19度程度を図るということになってございます。一方で、環境省の熱中症対策も適応策の一環として取り組んでおりますが、適切な温度設定にするように呼びかけておりまして、しっかりクーラー、エアコンも使いましょうという形でも呼びかけています。スライドの右下の夏季の省エネルギーの取組について、エネ庁が中心になっておられる会議ですが、毎年、民間に対して呼びかけている省エネ対策の中では、昔は28度を目安とした運用ということで呼びかけていましたが、直近の呼びかけは、適切な温度管理で、健康第一に温度は柔軟に設定という形になっております。最近の話で言いますと、右上で、快適で安全な執務環境の確保についてということで、内閣人事局、人事院から各省庁に対して通知が出ていまして、設定温度にこだわることなく、職員が快適で安全に勤務ができるように設備を運用せよということになっております。こうした実情を踏まえまして、省エネ対策を念頭に置きつつも柔軟な室温管理とするということが大事なのではないかなと考えてございます。
続きまして、18ページです。こちらは専門委員会でもESCO事業の活用についてご指摘があったところでございまして、ESCO事業については環境配慮契約法の基本方針においても基本的事項ということで位置づけられています。表につけているのは、一般社団法人のESCO・エネルギーマネジメント推進協議会のサイトに全部で350程度の事例が載っていますが、その中から一部抜粋しております。省庁については経産省の1例のみということで、自治体については3つ載せておりますけれども、約60程度の例が載っているということでございます。環境配慮契約法上では省エネルギー改修事業としてESCOに位置づけられておりますが、ESCO事業自体は光熱水費の削減額等で事業費を賄う仕組みになっておりますので、事業が成立するためには一定以上のエネルギーの削減余地、それから光熱水費の額というのが必要になりますということで、成立しない場合も多いというのが現状になっておりまして、現状、環境配慮契約法の考え方としては、改修についてはESCO事業またはESCO事業以外の省エネ・脱炭素化に資する改修事業としながら、改修計画の検討に当たっては、当該施設の特性、エネルギー消費量等々を踏まえて総合的な観点から何をするか選択するということになっております。1つだけ経産省の例を載せさせていただいておりますけれども、より具体的にこのホームページに載っている中身を簡単に紹介しますと、例えば換気設備は時間帯で自動制御だったものを、室温によって制御するような形にするとか、あとは、外機用の送風機について、空調機の立ち上げ時間帯の運転を停止することで外気による負荷を低減するといった取組を進められておりまして、これらによって一次エネルギー消費量を1.6%削減したということで、事例として紹介されております。ESCOも、設備更新型のESCOや、一括発注方式についても検討をするということになっておりまして、最近では排出削減量を保障するパフォーマンス契約という形態もあって環境配慮契約法の解説資料には言及されております。こうした様々な形態があることに留意して、メリットやリスク、それぞれを検討しながら建築物のエネルギー使用実態等に即した改修を進めてZEB化に向かっていくことが重要と考えてございます。
19ページですが、こちらは電動車の導入割合の推移であります。ストックで100%という目標に向かって、足元は33.5%ということになっています。一層の取組が必要ですが、実態を見ますと、1つは、これまでもご指摘も受けていますし、我々としてもリース方式の知見というのをもっと広げていくとよいのではないかと思っておりまして、各省庁の実態を見ますと、リース方式の割合は大体10%ぐらいとなっています。その中で総務省が一番割合が高く74%、環境省が47%、法務省さんが39%となっていまして、政府全体としては10%となっています。環境省の場合は、実際に保有している電動車が114台で、リースは181台ということなので、リースのほうが多くなっています。電動車のほうが、価格が高いのでリース方式が採用される傾向にあるのではないかと思っています。契約の切り替えのタイミング等もありますが、リース方式の知見の共有は引き続きしていきたいと思ってございます。
20ページです。共同調達について、専門委員会では各省がそれぞれ物品を調達するのではなくて、例えば環境省でまとめて調達することでコストダウンを図れないかというご指摘を受けております。調べてみますと、霞が関の中でグループが幾つか作られておりまして、例えば表を載せておりますような形で、コピー用紙とかガソリン等々の物品について共同で調達しているような例があるということであります。環境省は建物が近いところでグループを作ってやっているということもありますし、もっと多岐にわたる省庁にまたがってやっているということも事例としてはございます。例えば、LEDなどを念頭に置いて考えていければと思っていますが、LEDの交換は器具の取り替え含めての契約というのが基本でして、単なる物品調達とは異なるものですから、単なる物品調達以外での共同調達の例というのが事例としてはないのかというところで、会計的に会計の事務上どうなのかというところを、中でも相談をしているところでございます。
次、21ページ以降は、電力の関係でございます。環境配慮契約法の枠組みの下で取組が進められており、つい最近も電力専門委員会の第2回が開催されたところでございまして、そちらでの資料を使わせていただいております。21ページは、まず2030年度に向けた取組ということで、電力の排出係数のしきい値の引き下げと再エネ電力比率の引き上げというところについてピックアップしてございます。しきい値の引き上げにつきましては、2030年度のエネルギーミックスと整合した排出係数が0.25というところで、これに向けて電力会社の係数のばらつきなども組み込んで、2030年度の契約に適用する配置係数のしきい値は0.31㎏-CO2/kWhにするという方向性が決められております。0.6kg-CO2/kWhというのが現状のしきい値です。来年度の契約に使用する排出係数しきい値としては、これまで0.31 kg-CO2/kWhに向けて下げていくという中で、予定どおり0.52 kg-CO2/kWhに引き下げるということでお諮りして、そういった方向性になっているということでございます。下半分のところは再エネ電力比率の引き上げですけれども、令和5年の契約から最低限の再エネ電力比率35%ということで仕様書等に明記すると決めておりますけれども、最低限の再エネ電力比率につきましては、令和7年度の契約においては40%に引き上げるということで方向性が決まっているというところでございます。
次22ページですが、再エネ電力の普及促進に向けた取組について、基本的には再エネ電力の各電気事業者の提供しているメニューも含めて情報を集約して提供するといったようなことが基本で書いてございますけれども、下の半分に書いてありますのは、再エネ電力メニューや調達者向けの契約管理情報の提供等をホームページで行うということでありまして、再エネ電力メニューの具体的な情報としてメニューの名称や供給区域、再エネ電源の概要等に加えて、再エネ電力メニューに係る詳細なホームページも提供するなど、あとは、調達者向けの契約関連情報(仕様書等)の事例収集・整備、ひな形の作成、そういったことも考えていこうということになっております。一番下に書いてありますのは、先ほど申しましたようなPPAモデルの活用について積極的に検討・導入を推奨ということで、この導入が政府においても始まってきた場合に、環境配慮契約法上どうやって位置づけていくかということも含めて検討していくということでございます。
23ページが総合評価落札方式の導入を視野に適切な契約方式の検討をしていくという動きとなっております。フォローアップ専門委員会でもご指摘をいただいておりますけれども、現状の裾切りの係数を決めて、その後、価格で決めるといったような方式でいいのだろうかということで、総合評価落札方式になれば価格面ですとか排出係数を含めた技術面を総合的に評価することになりますので、現在の裾切り方式では契約に至らないような、やや価格は高いけれども配置係数はよりよいものへの切替えを進めていけるのではないかということでご指摘をいただいているところでありまして、実際、環境配慮契約法の枠組みの下でも、契約、排出係数の低減と再エネ導入拡大を図る観点から、総合評価落札方式の導入に向けた検討というものを進めていこうという議論がなされているところでございます。
24ページはフロンの話でございます。政府というよりは規制の全体像ということであります。代替フロンの温室効果が高いということで、自然冷媒への切替え等が進められていますけれども、例えば新設や更新機器については自然冷媒の機器への転換や漏洩監視システムの導入、既にある機器については使用中の漏洩量の削減や機器を廃棄するときの回収を徹底するといったことを進める必要があります。フロン法に基づく機器の管理について、廃棄物の世界でいう電子マニフェストみたいなものですが、フロンがどれぐらい入っていて、どれぐらい漏れているのか、デジタルを活用して追っていくというようなシステムを導入してはどうかという話もありますので、政府実行計画上のフロン対策はあまり書かれていないので、そういったところも現行の制度に合わせて強化していく必要があるのではないかということでございます。
25ページがScope3排出量についてであります。専門委員会でもご指摘をいただいております。Scope3の算定につきましては、企業の環境経営の分野で世界的にも進められている話でありまして、こういった中で、政府としても率先して取り組んではどうかというようなご指摘がございます。民間では、国際サステナビリティの基準審議会においてScope3の開示の義務化を確定しており、金融庁の金融審議会のワーキングでは今年の3月から、その義務化に向けてどうしようか、有価証券報告書等でどう扱っていこうかという議論が進められている状況です。民間におきましては、まずはプライム市場の上場企業から段階的に導入ということで検討が進められておりますが、政府自身も、投資家の目線がどうという形ではないですけれども、自らの排出の実態について、ガバナンスを効かせるという意味で取り組む価値はあるのかなということで、ただ、政府ではどういった部分が実際の算定になじむのかというところを、まず、環境省のほうで対象カテゴリーや算定方法について考えていきたいと思ってございます。
26ページが、グリーン購入法の基本方針におけるカーボンフットプリント等に係る取組というところで、前回の専門委員会でもこれに近い内容をご紹介しておりますけれども、カーボンフットプリントを算定した製品等についてグリーン購入法でも積極的に扱っていくという取組が進んでいます。これはご紹介でございます。
27ページについて、独立行政法人等における計画策定に関する取組というところで、独法については、政府の実行計画に準じた形で計画を策定していただいて、それに基づく取組を推進しているという実態でございます。冒頭、政府施設での太陽光の導入に向けて取り組んでいるということでありますけれども、公共部門の一環として独立行政法人においても目標設定をしていただいて、導入を進めていただきたいということで、関係府省庁連絡会議でも方針を決めさせていただき、今後、ポテンシャルの調査を実施してその先につなげていきたいと取り組んでいるところでございます。
28ページ以降は、ネットゼロに向けた最新動向ということで、これはどちらかというと政府実行計画というよりは政府全体の動きということで簡単にご紹介させていただきたいと思います。
まず、29ページですが、次期NDCにおけるタイムライン・国内動向ということで、冒頭、次期NDCの策定作業や温対計画の見直しに向けた議論が進められていると申し上げましたが、こちらの見直しの議論は、今年の6月から中環審と産構審の合同審議会で議論が始まっておりまして、ここにありますように、次期NDCに関しては2025年に35年目標、2030年に2040年目標の提出が奨励されており、時期的には2025年の2月までに提出することが求められているということでございます。そういう中で、GXの動き等々もある中でエネルギー基本計画の議論も進められておりますし、温対計画の見直しの議論も始まっているというところであります。一番下のほうに、GX2040ビジョンというのが書いてありますが、こちらも官邸のGXの実行会議で策定に向けて議論が進められているところでございます。
30ページについて、これはGX実行会議の資料を引用しておりますけれども、5月からGX2040ビジョンに向けた検討がスタートしておりまして、それと並行してエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の見直しの議論が進められているところです。こちらの議論を並行して進めて、それぞれGX2040ビジョンにもそのエッセンスをインプットしていくというような形で検討が進められているところでございます。
31ページのところは次世代型太陽電池の導入拡大に向けてということですけれども、いわゆるペロブスカイトについて、こちらはエネ庁において官民協議会を立ち上げられておりまして、戦略策定に向けて議論は続けられているという動きでございます。31ページにありますように、昨年末のGXの分野別投資戦略の中でも、公共部門における導入目標の先行した検討や率先導入といったようなことが位置づけられているところであります。具体的には32ページになりますけれども、環境省におきましては、特に需要の創出に向けて経産省と連携して以下の取組を進めるということで、まずは政府施設における屋根、壁面のポテンシャル調査を行って導入目標の検討につなげていくということ。政府実行計画のフォローアップ調査は毎年秋から冬にかけて実施しておりますが、今年の調査の中でぜひ行いたいと考えております。また、②は自治体を含む需要家向けの導入補助事業を検討していくということで、来年度の予算に向けて検討していきたいということでございます。③については適切な廃棄・リサイクルルールの検討ということで、普通のシリコン型の太陽光パネルのリサイクルについての制度化に向けた議論が先週から審議会でも動き出しておりまして、これにペロブスカイトが乗ってくるかというのはまた別の話ですが、いずれにしても適切なルールを検討していくということでございます。
33ページですが、こちらも前回4月の専門委員会でもご紹介させていただきましたけれども、いわゆるGX価値と言われているもので、排出の削減の実績量ですとか排出削減貢献量という言葉がありますけれども、例えば、削減実績量については自社内で実際に自社が排出量を削減した施策を反映した形で製造した製品単位の排出削減を削減実績量と呼んでおりまして、あとは自社外での削減ということで、例えば自社が提供した省エネ型の製品とか、そういったソリューションによって社会全体で創出された削減量といったものを削減貢献量としてカウントし、表現していこうという取組が進んでおります。そういったものを積極的に調達していこうという方向で議論が進められているということでありまして、経産省でも研究会を開催されていて、その中で、環境省もオブザーバーとして参加しておりましたけれども、政府実行計画におきましてGX製品の率先・積極調達を位置づけるということが期待されております。
グリーン購入法の中でも、例えばGX製品の中でもグリーンスチールなどについてどうやって位置づけていくかという議論がされている状況でございます。
そして、最後のパート3について、論点整理というところでありまして、35ページは、これまで今年と昨年2か年にかけて先生方からいただいたご意見をまとめさせていただいているというところでございます。取組に対する主な意見として、逐一は読み上げませんけれども、それぞれの分野でこういうことをやったらどうかと、いろいろご提言もいただいているところでございます。今まで、こうしたご意見をいただきつつ、足元の現状の取組としては前半にご紹介をしたところまで行っていて、今後の取組としては今ご紹介をさせていただいたところです。
最後のページになりますが、改定に向けた論点ということで、主な論点は以下のとおりということで書いております。まず、計画全体に関わる事項としては、計画期間をどうするか。それから削減目標について、国全体についても新たなNDCという中で、政府実行計画の目標をどうするか。それから、今は対象外になっている分野についてどうやって扱っていくか。こういったことが1つ論点であります。
再生可能エネルギーの最大限の活用に関しては、太陽光発電の導入目標、その先はどうするか。ペロブスカイトについてどうやって位置づけるか。建築物における取組としては新築建築物についての目標はありますけれども、これをどうしていくか。既存建築物はどうやって対策を強化していくか。フロンの関係で空調設備における冷媒の漏洩量の削減に向けた取組、庁舎内の適切な室温管理、燃料の使用に伴う排出削減対策をどうするか、そういったことが論点としてあろうかと思っております。
財やサービスの購入・使用に当たっての取組ということで、共同調達の実施や自然冷媒機器の率先導入、こちらは省内の空調というよりはコンビニ等が一緒に入っている場合の冷凍のショーケース等が念頭にありますけれども、そういったものの率先導入、フロンの使用機器管理のデジタル化、廃棄時の冷媒回収の徹底、再エネ電力の調達率についてどうするか、GX製品とか先端技術の率先調達についてどうするか。その他といたしましてはScope3の把握についてどうするか。独立行政法人における取組についてもしっかり位置づけるべきじゃないか、といった形で論点としては挙げられるかというふうに思ってございます。
長くなりましたけれども、冒頭の私のほうからの説明は以上になります。どうぞご意見のほうをよろしくお願いいたします。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
それでは、ただいまご説明がございました内容について、ご質問、ご意見などがございましたらご発言をお願いいたします。ご発言になる方は挙手ボタンを押してお持ちください。私から順番に指名させていただきます。
本日は、私以外に8名の委員がご参加ですので、前半、後半に分けて、まず4名ほどにご意見をいただきまして当局から回答をいただくという時間を取りたいと思っております。
いかがでしょうか。では、秋元委員、お願いします。
秋元委員
すみません、最初うまくマイクが入らなくて申し訳ございませんでした。
ありがとうございます。大変よく理解できるようになりました。
改めてですけれども、建築はリードタイムが長いので、計画・建設した建物が50年、100年と存続していくことになりますので、可能な限り取り得る最高の技術を取り入れていただきたいと考えています。具体的には、断熱・日射遮蔽とか、建物の形状とか、ファサードの工夫であるとか、高効率の設備を導入するということになるかと思います。これまでの意見や論点にも挙げていただいていますけれども、ZEB等、そういったものの設計ガイドであるとか、事例集を整えた上で活用するということが大事かと思います。
それと、ESCO事業、エネルギー・サービス・カンパニーの話が出てきましたけれども、事業として、ビジネスとしてESCOを導入するというのももちろんあるかと思いますが、コミッショニングという考え方が重要だと考えています。建築物の持っているポテンシャルを正しく発揮するためのコミッショニングというのを定期的に行うということが大事であろうかと思います。
建物の室内の環境についての説明がございました。熱中症、感染症、ウェルネス等、それが重要だということですが、知的生産性向上というような観点もあるかと思います。公共の建物で働いている方は皆さん大変優れていらっしゃると思いますが、その仕事がさらに効率よく進むように温度設定とか室内の環境を整えるということは大事だと思いますし、ここでは触れられていませんが、ABWという、アクティビティ・ベースド・ワーキングというような考え方を実現するオフィスデザインも最近は民間で複数出てきています。これは、作業に合わせて自分の好む場所を選ぶことができるようなオフィスのデザインですけれども、そういったことも検討の余地があるかなと思っています。
冷媒フロンのキガリ改正の話がございました。もちろん、段階的な削減や使用機器廃棄時の冷媒回収、保管、再利用は大事なのですが、直接的な大気への影響に加えまして、漏洩した状態で設備機器が運転すると能力が低下しているというようなことにもなるので、そういったことも考える必要があるかと思います。
最後に、サーキュラーエコノミーのことで、古い建物、ストックの対応が大事ですけれども、取り壊して新しく新築するという選択肢のほかに、改修して使い続けるということもあり得るのかなと思いました。
GX製品について触れられましたが、建材の中でも木材もそうですし、粘土鋼材とかリサイクルコンクリートとか、いろいろな選択肢が出てきていますので、それも検討の余地があると考えています。
以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、醍醐委員、お願いします。
醍醐委員
何かマイクの調子が今日よくないみたいなので、うまいこと聞こえていたらいいのですが、私から数点ご質問並びにコメントをさせていただけたらと思います。
CO2が減ってきたのかというところが一番大事だとは思うのですが、その中で、熱のところが減る方策というのが見えにくいというところは1つあろうかと思っています。また、そういう意味では熱に対して電力はある程度方策として自然エネルギー、再生可能エネルギーにシフトしていくというのが見える中で、まだあまり流通はしていないわけですけれども、カーボンニュートラル燃料みたいなものが、例えば水素が流通してくることによって、生産されマーケットに上市されていくと、そういったものにシフトしていくということが1つ考え得るのかですけども、その辺りの熱の需要に対しての方策というのは何らかの計画を持っておくべきではないかなというふうに考える次第です。
また、再生可能エネルギーのほうについても、調達もしかり、また自分たちで太陽光発電設備を設置していくという方策もしかり、非常にできることは全方面でやっていただいているようにも見受けます。
ただ、自分たちで設置していくほうで、政府といっても様々な形態の活動がありますでしょうから、必ずしも太陽光発電に限って導入を計画するのでなくてもいいのかなと。そのほかの再生可能エネルギーであっても設置の可能性があるならば、そういったことも検討していってもいいのかとも考えた次第です。
また、本日のお話を聞いていてすごく思ったのが、もちろん政府の活動としてカーボンニュートラルに近づけていくというのは1つ当然ながら重要な目的である一方、例えばGX製品を優先的に買っていくような取組なんていうのも最後のほうでご紹介していただいていましたけども、ある種、政府が先進的なGX製品の市場に先鞭をつけるというか、そういったことも政府のこの計画の中で、社会全体を減らしていって結局政府の活動が減っていくということだと思いますので、そういう意味では、自分たちが調達をシフトしていくだけではなく、社会全体をどうシフトしていくかというところにも寄与する計画というのが1つ可能性としてすごく見えてきたのかなというふうに本日のお話を伺っていて思いました。
そういう意味で、2050年のあるべき姿みたいなのを目指していくというところが非常に重要なのだろうと思って、その中で建築物並びに自動車に関してはストックベースでもイメージをされていらっしゃっていて、先ほど秋元委員からのご指摘もあったように、特に建築物なんていうのは非常に足の長い、寿命の長いものになりますので、そういう意味では、そこに向かってどうしていくのか。必ずしも断熱性が悪いから建て替えましょうというわけではなくて、既設のものに関してもいろいろと方策があるように、本日ご説明も伺っておりますので、それで結構かと思うのですが、2050年にどういう状態になっていたいのかというのが1つかなと。
それともう1つは、自動車の場合リースというようなお話もございました。また、再生可能エネルギーの調達もそうなのかもしれませんけども、政府が、例えば政府としての排出が減っていったのはいいけども、その結果としてお隣の排出が増えたのでは社会全体としてはゼロサムなわけですね。なので、先ほどのGX製品の市場開拓ではないですけども、社会全体として減っていって、その結果、政府もちゃんと排出が減っていっていると、そういう仕組みというか、そういう取組を優先しないと、政府は調達できたからいいけども、逆に民間企業が調達できなくなりましたということがないようにというのは少し気をつけるべき点かなと思いながら聞いておりました。
そのほか、あと少しだけですけど、Scope3を把握していくというところは非常に重要かなと思って聞いていました。本学もRace to Zeroに参画をしていく中でScope3の把握を目指しているところですけども、なかなかそれが難しいのも実感を持って分かっているところなのですが、ぜひともScope3の把握とともにScope3をどう減らすかというところを考えていくと、今申し上げたような社会全体としてというところにもつながっていくのかなとも思った次第です。
以上になります。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございます。
では、川本委員お願いします。
川本委員
川本です。
では、私からは3つの領域について意見、質問ということで述べさせていただきます。
まず1つは、論点の中の一番上の四角ですけれども、その中の削減目標の現状対象外となっている船舶・航空機、それから震災関係の廃棄物焼却の扱いということに関してなんですけれども、たまたま福島の焼却施設を中心としたアドバイザリーの関係でデータを見ている立場なのですけれども、今日の資料の中にもありました廃棄物の焼却は全体2022年度で89万トンの中の20万トン弱ですので、比率としては船舶よりも小さいわけですけれども、焼却には不向きなもの、例えば水分が多いだとか土砂混じりといったようなことで、重油を使ったりした助燃というものをある程度、施設にもよりますけれども恒常的にやっていたりします。そういう燃料起因のCO2排出がどうしても多くなるというところがあるというのが、これは1つのコメントになりますけれども、いずれにしても、ご説明の中にありましたように、長くこれから続くものでもないところでありますので、震災関係の汚染廃棄物、除染廃棄物の処理ということではこのまま推移していくのはやむを得ないかなというふうに思っています。
私の言いたいのは、船舶の比率が高いということで、海上での警備とか治安維持の関係でというのは、これはよく分かるのですけれども、ただ、船に関しては再生可能エネルギー、水素なのかアンモニアなのか分かりませんけれども、そういった新技術を活用したものも出てきていると思われますので、そういうものに変えていくことは、これは努力の仕方としてはやらなければいけないのではないかというふうには思います。船舶が全体の7割ぐらいを占めている状況ですので、その辺りは意見として申し上げたいと思います。
それから2つ目ですけれども、再生可能エネルギーの最大限の活用ということで太陽光発電導入が図られているところですけれども、再生可能エネルギーの最大の弱点は変動が大きいということです。それを補うものとして、蓄電池といったものの活用を上手に図っていくというのが、蓄電のための設備の活用をどう進めてうまく活用していくというのが1つの考えどころかなというふうには思います。また、太陽光発電などはかなり変動が大きいものですけれども、例えば廃棄物発電ですとかバイオマス発電といったものになりますと、これも変動はありますけども、太陽光に比べれば大分定常的な発電というものをやっていくことができますので、立地の問題ですね。隣接立地といったようなことが必要になりますけれども、かなり大きな視点でのプランニングというのが必要になりますけれども、連携的活用というようなものも考えに入れて進めていく必要があるのではないかなと思います。
それから、最後3点目ですけれども、四角四つの中の2つ目のポツですけれども、フロンの関係でのご説明がありました。フロン使用、その中でフロン使用機器管理のデジタル化というところで書いてあるところ、これは質問になりますけれども、危機管理ということで、目視による機器点検、それからメンテナンス履歴の記録といったもの、アナログ的な対応からデジタル技術の活用というのがあって、この字面だけを追えばそうは思うのですけれども、ちょっと前まで実験室でフロンを使っていた機器の管理をしていた立場からすると、目視による機器点検とか、こういったものをデジタル活用とは、具体的に何をしていくのだろうと思います。1つはフロンですので、計測ですね、これが同時に行われないと漏れみたいなものはなかなか的確に把握していくことは難しいと思いますので、単にデジタル技術の活用というのだけではなくて、具体的にどういう技術を使ってこれを進めていくかということをお伺いしたいと思いまして、これが最後の質問ということで終わりたいと思います。
以上です。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございました。
では、森口委員、お願いします。
森口委員
ありがとうございます。森口でございます。
国立環境研究所国立研究開発法人、独立行政法人でございまして、自ら政府実行計画に準じた計画策定に求められますように携わってまいりました経験も含めて申し上げたいと思います。
論点多分六つぐらいにわたるかと思いますが、なるべく手短に申し上げたいと思います。なるべく他の委員が既にご指摘のあったことは繰り返さないようにしたいとは思いますが、ただ1つ、秋元委員、醍醐委員とおっしゃっていましたけども、特に政府の実行計画と対象になるのは、いわゆるオフィス部門というか、建物に関わるところが非常に大きいかなと思います。
そういう意味で、どうしてもライフタイムが長いという中で、新築の機会というのは非常に少ないと思いますので、リノベーションでありますとか、運用の中で変えていくところ、照明などもそうだと思いますけれども、そういったところが非常に重要かなと思いますので、そのことを改めて強調させていただきたいと思います。
2番目は環境配慮契約法で、これは2点ありまして、まず1点は、電力の調達におきましては、ぜひ総合評価方式の定量的な総合評価方式を導入いただけないかなと思っております。ある種の、何といいますか、最低ライン排出係数は少なくとも、これよりは小さくしなければいけないという考え方は維持した上で、その下であればある種のカーボンプライシングがかかったような状況の中で、カーボンの価格と電力そのものの価格を総合的に評価して、一番安さとCO2の排出係数のバランスのいいものが総合評価で落札されるような、そういう仕組みができますと、これは非常にいろんな多くの産業者の中での競争というのが働きやすくなるのではないかなと思います。私ども自身の機関の電力調達でそういうことができないかということを考えましたけども、現行の法律の中ではかなり厳しいのではないかということを伺っておりましたので、その辺りはぜひ検討いただければと思います。環境配慮契約法、恐らく、例えば建て替えであるとか庁舎に関わる資材調達などについてもそういったところが出てくるかなと思います。ぜひそういった辺りは国が率先していただけるとありがたいなと思っています。
3点目は、若干関係いたしますけれども、GX製品というお話がございました。政府が旗を立ててしっかりやっていくということは分かりやすい例だと思いますけど、従前からグリーン購入、グリーン調達という仕組みがあるので、それとどう違うのか、どこが新しいのかといった辺りを、これは質問にもなるかと思いますけれども、その辺りを少し教えていただければなと思っております。
それから、4番目としまして、電力以外の燃料も重要であろうと。熱の話もございましたし、それから船舶・航空機という話がございましたけど、特にいわゆるSAFですよね。バイオ燃料がいいのかどうかという話もあるかと思いますけども、船舶・航空のある種必要なサービス量といいますか、使用量そのものは維持しなくてはいけないとしても、より排出係数の少ない燃料に変えていくということについては余地があると理解しておりますので、そういう意味では取組対象にしていただく可能性はあるのではないかなと思っております。
それから、5点目は情報提供のお話がございました。関係各省、今日多数ご出席かと思いますけども、なかなかこの分野で具体的にどういう取組をしていけばいいのか、あるいは、どういう契約方法が可能なのかというと、これはなかなか難解なところがありますので、そういう意味でもぜひ情報提供といいますか、研修というような言い方だと失礼になってしまうかもしれませんけども、各省のこの問題の担当者に対して十分な情報共有でありますとか、取組を進めるための相互啓発的なところも進めていただけるといいかなと思います。
最後は一番難しい、本質的になるかもしれませんけれども、現行の先ほどの環境配慮契約法の中で、限られた予算の中で最適化をするということは重要かと思いますけれども、どうしても財源がないとできないところはあろうかと思います。非常に今、国家財政が厳しい中で財務当局のご理解を得るということは難しいかとは思いますけれども、予算がないからできませんという国が言ってしまうと、民間企業はついていただきにくいかなと思いますので、そういったところで、非常に財政が厳しい中でも、気候変動対策ということが重要事であれ、そういったところにしっかりと投資をしていかないと将来なかなか立ち行かなくなるということのそういう考え方につきましても、ぜひ国のほうでリードしていただければありがたいなと思っております。
多岐にわたりましたけど、以上6点でございます。
大塚委員長
では、4人からありましたので、事務局のほうからご回答をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
地球温暖化対策課長
事務局でございます。
いろいろご指摘ありがとうございます。まず、幾つか分野があると思いますけども、建築物の関係で、秋元委員とか森口委員からご指摘がありまして、リードタイムが長いのでできることは可能な限りしっかり最初からやりましょうといったようなことでございます。それはおっしゃるとおりでありまして、新築のときの機会は少ないので、改修といいますか、リノベーションなど運用の中でというところで何とかできないかというところは本当にご指摘のとおりだと思っています。実際、いろいろと口頭で申し上げましたが、資料をつけていなくて恐縮なのですが、環境配慮契約法の中の建築物の契約に関しても、口頭で最初の説明のときに申し上げたような形でいろいろ取組は進めようとしておりまして、とりわけ、我々環境省だけでできることというのも限られますし、官庁営繕さんとの連携というところが大変重要になってくるかなと思いますので、我々はふだんから官庁営繕さんとコミュニケーションを取らせていただいていますけれども、最後の森口委員の研修みたいなことも含めて、情報提供みたいなことも含めて、より一層連携をして、あとは関係府省庁連絡会議の場もありますので、そういうところもぜひ活用して、さらに深掘ったことをやっていきたいなと思っております。
それから、対象外になっている分野の話がございます。これは川本委員からだったのですけれども、今、対象外になっているところの扱い、福島の焼却についてはおっしゃるとおりの話で、重油を使った助燃がどうしても多くなるとか、そういう実態はございます。廃棄物の焼却自体は必ず必要になってくることになってしまいますので、そういった中で何ができるかというところは現場のほうにもしっかり伝えつつ、現場のほうも努力はしませんとは言ってはおりませんので、何らかの形で努力はしていきたいと言っていますので、引き続き取組は検討していきたいと思っています。
それから、船舶・航空機の話ですとか、燃料対策の話があったかと思います。燃料対策、特に施設の中でやれることは民間と基本的には同じなのですけれども、高効率な給湯器への切替えですとか、電化とか、そういったところが今取れる手段ですけれども、将来的にはカーボンニュートラルなガス等への燃料転換というのも選択肢に入ってくるかと思いますし、あとは船舶とか航空機や燃料も、世の中的にはSAFとか水素、アンモニアの技術というのもご指摘がありましたけれども、そういったことで開発は進んでいるというのは事実ですので、そういったものへの切替えというのはどういうタイミングでやっていけるかというのは、開発動向とか、そういうところを見ながらにはなりますけれども、関係省庁とよく相談させていただきたいなと思っております。
それから、GXの製品の関係とか、市場を自分たちで調達していくだけじゃなくて、社会全体、市場全体の削減につなげていけるようにという視点が大事だというようなご指摘、醍醐委員からもありました。そこはおっしゃるとおりだと思っていまして、ペロブスカイトもそうなのですけれども、ペロブスカイトやGX、いわゆるグリーンスチールとか、そういったものを含めまして、新しい技術について政府の制度として公共部門で率先して調達をして市場を支えていくというような取組が、トランジションにおいては必要だと思っておりまして、こういったことをしっかり支えることで社会全体に広がっていって、社会全体の排出削減につながっていくというような視点、そこはしっかりと持ちながらやっていきたいなと思っております。
それから、電力の調達に関してのご意見が森口先生からもありました。こちらは以前からもご指摘いただいていますし、今日も環境配慮契約法の専門委員会でのご議論についてはご紹介をしましたけれども、具体的にどういう形で検討していくかというところは、電力の専門委員会、それはそれでありますけれども、今日いただいたご意見なんかもしっかりとお伝えをさせていただいて検討に活かしていきたいと思っております。
それから、あとはフロンの関係でご質問がありましたので、川本委員からですね、フロンの担当のほうからお答えをいたします。
環境省
フロン対策室の井関と申します。
川本先生から、デジタル技術を活用した方法の内容についてご質問をいただきました。この内容は2つございまして、1つは、フロン排出抑制法で業務用エアコンですとか業務用の冷蔵冷凍機器につきましては定期的な点検をすることということが求められておりまして、その点検の方法についてということが1点と、2点目は、点検ですとか、その後に修理をしたですとか、そういったメンテナンスの履歴も記録をすることが法律上求められておりまして、そのメンテナンス履歴の記録の方法の2点でございます。
1点目の点検のほうは、従来は人の目で、目視で漏洩がないか、結露していないかということを確認していたのですけれども、近年は機器メーカーのほうで最初から漏洩があれば管理者のほうにアラートが出るような漏洩監視システムというものがもう最初からビルトインされているタイプの製品が出てきておりまして、これに対応する形で法令のほうも改正をいたしまして、点検の方法は目視でも、あるいはそういった漏洩監視システムを導入している場合には、もう目視による点検はせずにシステムの導入をもって点検に替えることができるという制度改正をしてございますので、そのほうがより早い段階で漏洩も発見できますので、そうしたデジタル技術の活用を広めていく必要があるというのが1点目でございまして、2点目の履歴の記録につきましては、いつ点検をしましたですとか、いつ追加で冷媒を充填しましたというものを、これまでは紙で、手書きで記録をしていたのですけれども、そうしたものを機器ごとに管理するのも大変ですので、ある種データベースのような形でRAMSと通称で呼んでいるんですけれども、オンライン、データベースで管理するシステムも10年前の法改正で作りましたが、なかなかこれが、コストがかかるということもあって、まだ世の中には広まっていないということでございますので、こうした点検の方法ですとか、記録の管理とこの漏洩の早期発見、あるいは機器管理コストの軽減のために率先して政府から広げていけたらということで記載させていただいております。
以上でございます。
地球温暖化対策課長
前半については以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、中上委員、お願いします。
中上委員
皆さんからもう既に的確なご指摘が出ていますので、私は違った観点から申し上げたいと思いますけれども、とにかく年々役所のプレゼン内容がよくなってきて分かりやすくなりましたことだけは評価したいと思います。皆さん大変だと思います。ご苦労さまです。
幾つか質問と意見を申し上げたいと思いますけど、最初に、対象外になっているのは昔からそういう枠外扱いをしてきたわけですけども、これは諸外国ではどうなっているのでしょうか。海外と整合的に対象が決まっているのか、日本だけなのか、そういうものがもし分かれば教えていただきたいということです。
それから、ZEBについてですけれども、昔ZEBの研究会や勉強会を経産省で始めたときには海外の事例を幾つか参考にしながら議論したわけですけども、そのときに、再エネの利用、オンサイトなのかオフサイトなのかといって、オフサイトも含めて海外では議論していたような記憶があります。だから、当該の施設だけで全部需給を賄うというような形でのZEBというのももちろん大事ですけれども、再生可能の手当をサイト外でやるというのもあると思うのですけど、こういう点についてはどうなのでしょうか。役所の場合には立場によってそれができるところとできないところとあると思いますけど、そういう発想もあってもいいのか。そうなると、太陽光だけではなくて、比較的中規模クラス、大規模クラスの地熱の利用だとかなんてことも全く視野外にはならなくて幅が広がってくると思いますので、そういう観点からの議論もあったほうがいいのかなと1つ思いました。
それから、今日は秋元先生がいらっしゃいますのでお聞きしたいのですけど、今、ストックの話がありましたけど、ストックの場合には違ってくるかもしれませんが、新築の場合はエンボディドカーボンという発想が研究会としてデータが大分国交省のほうで積み上がってきていると思うのですけども、そういう発想も、これからもし新規の施設が建ってくるとするならば、作るときにどのぐらいかかるのかという話も議論の視野に入れてきてもいいのではないかと私は個人的に思いましたけど、その辺はいかがでしょうかということです。
それから、ESCOについてはいろいろ明示的に書き込んでいただいてありがとうございます。ESCOを日本に導入したのは、ちょうど私がその勉強会を経産省から頼まれてやって20年ちょっと超えるわけですけども、なかなか日本でESCOが活発に動けなかったのには、1つは、中央省庁が率先してモデル的にESCOというのをなかなか示すことができなかったものですから、伸びが諸外国に比べて落ちてしまったわけでありますけれども、そういう意味では国環研さんは、今日、森内先生がいらっしゃいますけども、国環研は非常に早い時期にESCOに取り組んでいただいて、非常に初期の頃はモデル的な事業として評価されました。唯一、経産省の建物だけはESCOで対応させていただいたのですけれども、残念ながら国の建物についてはほとんど手がつけられなかった。今また脚光を浴びるのはいいことなのですけど、なかなか難しいのは、ESCOの場合には難しい省エネも優しい省エネも合わせて最大限省エネをかせぐというところにメリットがあるわけでして、今まであまりやってこないと、クリームスキミングといいまして非常にやりやすい、一見経済性が高いといいますか、見方によれば、そういうものだけが処理されてしまって、さらに難しい省エネを導入しようとするとコストが高くなってしまい見合わなくなってしまうというのがあるものですから、それで日本のESCOが、ある意味ではもう後手を踏んでしまったというところがあるかもしれませんので、その辺は頭に置いておいていただいて、例えばLEDなんていうのは確実に省エネがかせげるわけですから、これをやるときに、一緒にそのほかの省エネも取り込んでできるような形での省エネの診断とESCO事業みたいなもので結びつけていただけるといいなと思いました。
あと、もう1つは離れるかもしれませんけれども、ご案内のように、IPCCの最新のレポートでは、省エネというのを3段階ぐらいに分けまして、アボイド・シフト・インプルーブメントと言いますけども、我々がよく議論して検討するのは、このインプルーブメントというか、技術的改善のところに焦点が当たりがちですけども、アボイド・シフトというのは、要するに基本的にエネルギーとの付き合い方を考え直しましょうというところに戻ってやりなさいということ。フランスなどでは日本の夏のクールビズに対してはものすごく成功事例だと評価されて、そういう意味では環境省が先鞭をつけて、世界的にも大変評価されているというのがあります。
これとは違うかもしれませんが、省庁がみんな集まってくるところに意味があるのだと思うのですけども、照度基準が明る過ぎるのではないかというのは前々から専門家の間ではちらちら議論されていたのですが、大体普通ですと、細かい作業をするのでも350ルクスぐらいあれば十分なのですが、日本の設計のデファクト・スタンダードは750ルクスあるものですから、設計で引き渡すときに照度が劣化するものですから、1,000ルクスぐらいで設計してしまうというのが結構いいと言われるビルほどそうなっていまして、めちゃくちゃ明るいわけで。これほどの照度は要らないわけで、それをまず少なくとも500ルクスから300ルクスぐらいに下げてしまえば、最初から相当な省エネが図れるわけで、その上でLEDを入れるという、こういう手順を踏むべきだという典型的な例だと思うのですけども。そういう意味で、ぜひ照度の見直しということを省庁間で一緒になってやっていただき、もしそれが新しいスタンダードとしてブレークダウンできれば、非常に社会的な大きなインパクトがあると思いますので、そういう機会にも、政府の実行計画の中で着目して進んでいただければと思います。
散漫になったかもしれませんけど、私からの意見です。どうも大変ご苦労さまでした。
大塚委員長
はい。どうもいつも大変博学な話をしていただいてありがとうございました。
では、吉田委員、お願いします。
吉田委員
それでは、私から2つ質問、コメントをお願いいたしたいと思います。
まず、太陽光の導入の話ですが、今回、政府施設で、壁面、屋根のポテンシャル調査をするというお話でしたけれども、そこをもうちょっと詳しく教えていただきたくて、つまり、どういうことかといいますと、ペロブスカイトのような技術の話と、壁面とか屋根にやるという技術の入れ方のお話が混じっているかなという気がしました。要は、ペロブスカイトのような国産の技術を、リーダーシップを持ってやっていくというのは全く素晴らしいことだと思っているのですけど、CO2を減らすという意味ではペロブスカイトだとどのくらいの効率でとか、そういうところまで考慮されているのかということですね。また同時に、政府施設で太陽光を入れた場合の利用の話です。中で全量利用することを前提としているのか、余剰分を外部に売ることを想定しているのかということです。もし外に売電するということでしたら本当に売れるのかということです。例えば、南面とか屋根に乗せてしまうと、もしかしたらピークに重なって売れなくなるかもしれないけれども、東面、西面に建材一体型とかペロブスカイトでやると、ちょうど供給が少ない時間帯で高く売れるかもしれないとか、その辺をかなりきちんと見てポテンシャルを評価する必要があるかなと感じましたので、その辺りについて教えていただければと思います。
2つ目は、これはコメントに近いですけれども、Scope3について、環境省から先陣を切ってやるというお話で、非常に素晴らしい取組だと思っています。これに関しては、ただ、完璧にやらなくてもいいかなと僕自身は思っていまして、要は、仮に、脱炭素というのが実現するときに、生産者の取組と需要側の取組という場合にするときに、多分ニュートラルを目指すというときには生産者の取組が圧倒的に大きいと思います。10%、20%減らすというときにはScope3で得られた結果で活動量を少し控えめにするということの意味が出てくるのですけど、カーボンニュートラル、ゼロカーボンを目指すときには、生産者への気づきを持たせることが大事で、そのためには全ての事業者がScope3をきちんと全て計算するというのはあまり意味があるとは思えないと考えております。なので、環境省がScope3を計算するときにも、ある意味完璧を求めなくてもいいというふうに考えているということです。事業者さんがやるときの参考になるということが一番大事かなと思っています。2つ目はコメントです。
以上です。
大塚委員長
須山委員、お願いします。
須山委員
須山です。カメラのほうがトラブルでオンにできなくて申し訳ありません。このまま話させていただきます。ありがとうございます。
いろいろとご意見がありまして、重なるところもあるかと思うのですけれども、スライド5枚目のところで、温室効果ガス排出量23.2%減少ということですが、この辺りいろいろ係数のことですとか、また証書のことですとかありますので、実際の削減がどういう数字になっているのかというところも合わせて知っていく必要があるのかなと思いました。これは意見になります。いろいろな取組がオントラックであるというふうに評価されていて、本当にいろいろな難しい中で取組をされ、実際に数字も上がっているというところがございますので、オントラックと言えるのだろうなと思う反面で、実際にこの先の見通しをどういうふうに立てていらっしゃるのか、実際に2030年という計画期間で達成できる取組として評価されていらっしゃるのかというとちょっと分かりにくいかなと思っております。そういったロードマップ的なものも併せて、今後見直すときには出していただくようにお考えいただければなと思っております。
また、幾つかありますけれども、その中で、LEDのことですとか、先ほどほかの委員の先生もおっしゃっていらっしゃいましたが、予算がありますのでなかなかすぐにはできない。ただ、それを言ってしまうと取組が結局進まないことにはなってしまいますので、「耐用年数がどこにあるのか、その機器を替えるのにいくら必要なのか、そのことを全部含めて実際の計画期間でどう達成していくのか、今はそのどこの段階にあるのか」というところも併せて見えるようにして取組を進めていただければと考えております。
あと、質問になりますけれども、スライド25のところでScope3の「把握をしていく」というお話だったのですが、もう少し詳しく、どういったスケジュールでどういったことをされていくご予定なのか、というところを教えていただければと存じます。
幾つかばらけてしまいましたが、以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、齋藤委員、お願いします。
齋藤委員
齋藤です。ご説明ありがとうございます。実行計画よくわかりました。
大体皆さんに質問等をしていただいたのですが、まず、再エネのところですが、PPAモデルとかを活用してうまく使っていく、あるいは導入を増やしていくことは非常によいことだと思います。ぜひご検討いただければと思います。一方で、これから再エネ導入量がかなり増えてくると思うのですが、そのときに、需要側でDRなどをきちんとやっていかないと、再エネ導入制限が多発することがないように、ぜひ、政府のほうでもDR導入の事例などを見せていただくと良いと思います。
それから、ESCO事業の話等がありましたけれども、他の委員からエネルギーの有効利用という観点から熱利用が非常に重要だというお話がありましたが、そのとおりで、長年熱利用技術の研究を進めてきている中で,熱がどのように使われているのかよく見えないし、実はエアコンなども、実際に建物に導入されてしまうと、どのぐらいの効率で動いているかもよく分からないというのが現状です。BEMSのようなDXの技術の導入を増やすことが必要だと思っております。コストがかかるのですが、機器単体の性能向上も限界に近づいてきているので、これらを通じてトータルのシステムとしてエネルギーの有効利用を進めていく必要があります。ぜひその辺もご検討いただければいいと思っていますし、ちょうど内閣府のSIPなどでもこのようなことをやっていますので、今後ご検討いただければと思います。
それから、冷媒の話も随分出てきましたが、専門なので少しお話をさせていただくと、冷媒の監視システムを非常に期待しておりまして、導入を進めていただければいいと思っております。冷媒の監視システムを導入していくと、冷媒漏洩で機械がどれだけ性能が低下してくるかもわかるはずなので、冷媒漏洩量だけではなく機器性能低下の状況もよく見えてくると思いますので、導入を進めていただければいいなと思っております。
それから、先ほど自然冷媒への転換ということで、コンビニなどを考えられているという話でしたけども、自然冷媒だけではなくて、政府ではグリーン冷媒導入の検討を進めています。NEDOでも検討しており,間もなく次世代の低GWP冷媒が出てくると思いますので、空調等も含めてそういうのを積極的に導入していただきたいですし、冷媒転換への数値目標も出していただくと、今後の取り組みが明確になっていくかと思います。
以上となります。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
では、私からも一言だけ申し上げますが、ほとんど重なってしまっておりますが、2点ほどお伺いしたかったのは、1つは、2021年度から2022年度が少し増えてしまっていますので、これはコロナ禍が明けたことが関係していると思いますけれども、ここの要因分析をお聞きする必要がありますし、先ほど須山委員がおっしゃったことと関係しますけれども、これで、この後に減っていくことに関してどういう見込みになっているかということをもう少し具体的に言っていただくことが結構大事なのかなと思いました。吉野さんが先ほどすごく力強くいろいろおっしゃってくださいましたけど、ここのところが一番、国民が気になってしまうことかもしれないので、説明していただけるとありがたいかなと思ったところです。
それから、Scope3について、先ほど吉田委員がおっしゃってくださったように、私も、あまり細かく対応しても、完璧なものでなくてもいいのかなと思っていますけれども、民間に対して模範になるようなことをぜひやっていただけると。民間との関係では、温対法のSHK制度などとも関係しますけれども、重要になってくると思いますので、そのモデルを作っていただくということが非常に大事なのかなと思ってございます。
あと、新築建築物に関して2030年度までに平均でZEB Ready相当にするという目標は、ここで見ていると、かなり高い目標ということになると思いますが、実現可能性に関しては若干大変かということで、そこは頑張るということだと思いますが、もし何かコメントしていただけるとありがたいです。お願いします。
私からはその2点ですが、以上のご質問に関して、ご意見に関して、何かご回答いただければありがたいです。
地球温暖化対策課長
ありがとうございました。
ご質問がいろいろありましたが、最初のほうから行きますと、中上委員から諸外国ではどうなっているのかというお話がございました。今、手元にデータがないので、把握できればまとめたいと思います。
それから、オンサイトを含めてという話はどうなっているのかというご指摘がありまして、これ自体は、特段排除はしていないということではあると思いますけれども、契約ということが必要になってくると思うので、結局、PPAの形でできるのかどうなのかというところにつながってくるかと思いますので、まずは実績を作っていくというところからしっかり取り組んでいければなと思っています。
それから、エンボディドカーボンのお話がございまして、これも、おっしゃるとおり、建築物関係のカーボンだと、いわゆるZEBを進めていくと、オペレーショナルカーボンということで供用段階でのCO2は減っているということですけれども、エンボディドとか、あとは最初の建築時の資材の調達とか、そういうところも含めてのアップフロントの部分のカーボンに着目してそこを減らしていこうという考え方は欧州を中心に既にもう制度化をされているといったようなお話も聞いていますし、国交省のほうでもLCC02、ライフサイクルのCO2に着目してゼロカーボン推進会議というので算定ツールなども試行案をまとめられたりしておりますので、そこに我々も参加をしておりますけれども、そういった建築物の分野でのライフサイクルCO2の削減に向けたまずは算定、それからそれをいかに削減していくかというような方向性というのは今後広まっていくのではないかと思っていますし、政府の中でも率先した取組というのは今後検討していく段階には来るのかなと思っております。
それから、インプルーブメント、新しい技術を導入していくとか、そういうところは、すぐに、これをやりますという感じでは言えないですけれども、いろいろな海外の動向とか状況とか、先進的な取組とかというところはしっかりと情報として仕入れていきたいなと思います。
それから、照度のお話がございまして、こちらは、実際、例えば労働安全衛生法の世界の中でどうなっているかというのは今つぶさには把握していませんけれども、温度設定に関しても基本的にはそちらとの連動というところがある世界なので、そちらに今出ているのを含めて、一度調べてみたいなと思ってございます。
それから、吉田委員からペロブスカイトについての調査の関係で、もうちょっと具体的にというお話がありました。ただ、今は物が市場に製品化としてされているわけでもなくて、実際発電効率がどうなのかとか、あとは施工方法はどうなのかというところが、まだ分からないような状況だというのが前提の中で、まずは壁面がどれぐらい設置できるということになればできるかというところで、建物が四方あったとすると、北面以外の部分にどれぐらいスペースがあるかみたいなところでの調査を当面はまずは予定をしているというところです。実際、それを基にどういう形で削減目標につなげていけるのかというところは、実際データも集めてみてどういう形にするかというのはまた検討していきたいと思っています。それから、あと基本的には売電ということではなくて、基本的には自家消費が念頭になるのかなと私は思っています。どれぐらいの供給量があるかというところにもよると思いますので、そういったことを見ながらということにはなろうかと思っています。
それから、Scope3の関係は、吉田委員と大塚委員長からもありましたけれども、完璧にやらなくてよいというお話で、また、Scope3のスケジュールについても須山委員からありましたけれども、正直、今の段階で、いつまでにScope3のこのカテゴリーについて出しますというところは申し上げられないので、そこは恐縮ですけれども、実際のデータがどんなデータか、会計課などが持っているのか、といった探索から始めないといけないので、完璧にやるというのは多分そもそも難しいかなとは思ってはおりますけれども、できるだけ、民間でこれだけScope3の算定だということで動きが広まっている中で、国としても率先した取組ということで着手していきたいと思っているという状況です。
それから、須山委員と大塚委員長から、昨年足元の直近の排出が増えて、この先どうしていくかというところがございました。政府全体の排出量はオントラックだということで言っているのは事実ですけれども、政府の部分は実際増えてしまっているのは確かなので、そこのところはしっかり受け止めて、対策は着実に油断することなく、国としてもオントラックと言っているからといってもう特段このままでいいよねということではなくて、オントラックで46%の目標に向けて削減していく、それ自体もかなり相当な厳しい目標だというふうには認識しているので、できる限りの対策を講じていくというスタンスは変わらないというところであります。実際の削減量はどうなっているのかという話ですが、4月の段階の専門委員会のときには、参考資料として、調整の排出量ではなくて基礎排出係数のデータも出しておりまして、それによりますと、前年比では減っていまして、2013年度比から見ても19.2%の減少ということで、2030年に向けて直線的にはどうかというところはあるのですけれども、着実に減っているというのはデータとしても出ているのかなということでございます。
それから、齋藤委員から再エネの今後導入が増えていくとDRなども大事なのではないかということでありました。いわゆる出力制御対策全般に関してはエネ庁でパッケージをまとめておられて、その中でDRなども入っておりますけれども、環境省としても、需要側からの出力制御対策としての取組を何かできないかと思っていまして、例えば、再エネの余剰電力が昼間にありそれを積極的に活用していけないか、そういったことを国民運動的にやっていけないのか、そういったことは考えているというところでありまして、いずれにしても、DRの取組自体はこれから政府としても進めていかなければならない分野だとは認識しております。
それから、熱の対策とか、BEMSですね。それぞれの単体の機器では限界があるので、DX技術の導入をということで齋藤委員からありました。こちらは既にBEMSの活用自体は政府の取組としても位置づけられているところでありますし、実際環境省の新庁舎でもBEMSによるエネルギー管理というのは入れていくことで取り組んでおりますので、引き続き、フロン等も含めてDX技術の導入というのは進めていきたいと思ってございます。
後半については以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
あと時間が10分ほどございますが、もしまだご質問があれば、ご回答に対してさらにご疑問が出てきたということがございましたら、いかがでしょうか。
では、秋元委員、お願いします。
秋元委員
手短にご質問させてください。
齋藤委員からもお話があってお答えもいただいていますし、あと川本委員からの質問に対してのお答えもありましたが、フロンの冷媒の漏洩監視システムのルールができて導入されて、実際どのぐらいフロンの漏洩量が減っているのかというような数字はありますでしょうか。
というのも、聞くところによると、数千万トンですか、ずっと漏洩しているような、あるいは大気に放出されているようなお話をいろいろなところで聞くものですから、どのくらい効果があるのかというようなことが分かれば教えていただきたいと思います。
以上です。
大塚委員長
はい。ありがとうございました。
他にはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
では、回答をお願いいたします。
環境省
フロン対策室でございます。ご質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり今年間で2,000万トンぐらいCO2換算で漏洩がありますが、それが全体にどれほど効くかというところは試算できていないですけれども、個別の機器について申し上げますと、エアコンとか冷蔵機器が冷えなくなるのは、大体冷媒が半分とか6割ぐらい漏れた段階で初めて、「あれ、何か調子が悪いな」と、システムをつけていない場合には初めてその段階で分かるのですけれども、システムを入れていれば、大体3割ぐらい漏れた段階で、機能としては冷えてはいるのですけれども、冷媒が結構漏れていますよというのが早い段階で分かるというのは個別の機器別では確認できているところでございます。それで全体が半分になりますと断言はできないですけれども、入れている場合と入れていない場合と比べて、相当の量の冷媒の漏洩量の削減につながるのではないかと期待をしているところでございます。
以上でございます。
大塚委員長
はい。ありがとうございます。よろしいでしょうか。
秋元委員
ありがとうございます。
あまり効果が如実に表れないということであれば、さらなる何か対策が必要なのかなと思ってご質問しました。ありがとうございました。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございました。
中上委員、どうぞ。
中上委員
皆さんご存じだと思いますけど、ESCOというのは基本的にはイニシャルコストは全部事業者が負担して、ランニングコストの浮いた分で改修していくというのが基本的なモデルですから、先ほどの財源問題からすれば、役所としては別に特別に財源を用意しなくてもできるというのが非常に大きなメリットだということで、アメリカなどでは官公庁をはじめとしてESCOがものすごく普及したわけですけれども、その辺は皆さんご存じだと思いますけど、少し補足しておきたいと思います。ありがとうございます。
大塚委員長
はい。どうもありがとうございます。よろしいですか。
ありがとうございます。そうしましたら、続きまして議題2「その他」について、事務局からお願いいたします。
地球温暖化対策課長
本日は活発なご議論、またご意見、ありがとうございました。
その他ということでは特にございませんけれども、本日いただきましたご意見を基に政府実行計画の改定作業を進めてまいりたいと思います。
冒頭で申しましたとおり、地球温暖化対策計画等の見直しの作業も進められておりますので、こうしたことと並行して政府において責任を持ってプロセスを進めさせていただきたいと思っております。
以上です。
大塚委員長
ありがとうございます。
では、最後に事務局から連絡事項などがございましたらお願いいたします。
地球温暖化対策課長
本日はありがとうございました。議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、後日、委員の皆様にご確認をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
大塚委員長
それでは、本日はこれで閉会いたします。長時間にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。