自然環境・生物多様性

平成20年度第1回自然再生推進会議議事概要

日時

平成20年10月23日(木) 14:00~15:10

場所

中央合同庁舎5号館6階共用第8会議室

出席者

  • 環境省自然環境局長
  • 農林水産省大臣官房技術総括審議官
  • (代理:環境バイオマス政策課地球環境対策室長)
  • 農林水産省農村振興局長(代理:整備部農地資源課長)
  • 農林水産省林野庁次長(代理:森林整備部計画課長)
  • 国土交通省総合政策局長(代理:環境政策課国土環境政策企画官)
  • 国土交通省都市・地域整備局長(代理:公園緑地・景観課緑地環境室長)
  • 国土交通省河川局長(代理:河川環境課課長補佐)
  • 国土交通省港湾局長(代理:国際・環境課長)
  • 文部科学省生涯学習政策局長(代理:社会教育課地域・学校支援推進室室長補佐)
  • 環境省自然環境局自然環境計画課長

議事

会議は公開で行われた。(傍聴者18名)

議題1:自然再生基本方針変更(案)について

事務局より、自然再生基本方針変更(案)について説明・確認を行った。

議題2:今後の自然再生の取組について

事務局より、自然再生推進法に基づく自然再生の取組状況等について説明を行った。今後の自然再生の取組について推進会議出席者からの主な発言は以下のとおり。

(農林水産省大臣官房)
 自然再生を含む生物多様性の維持・保全について、指標化の取組をスタートさせるなど取り組んでいるところである。今後、2010年に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて、これらの農林水産分野における取組について情報発信に努めたい。

(農林水産省農村振興局)
 農村振興局としては、近年、二次的自然の保全に力点を置いた施策を展開している。農地・水・環境保全向上対策が全国1万7千地域で取り組まれており、その中で水田、農業用水を中心として、周辺地域も含めて生物の保全に取り組んでいる。また、その他生態系保全のための事業もあり、阿蘇や伊豆沼においてはNPOに対する助成も実施しているところである。
 今後とも、これら支援制度の情報提供に努めたい。

(農林水産省林野庁)
 今回の基本方針の変更において、二次的自然の再生が明記されたことは画期的と考えている。森林施策においては、二次林の維持管理という課題がある一方で、奥地水源地では自然度の高い森林の保全という状況の異なる課題があり、森林管理の目標像として、どのような選択をすべきか悩ましい状況にある。
 COP10に向けて、林野庁としても専門家の意見を伺いながら、考え方の整理を進めるとともに、関係各省との情報の共有化を進めて参りたい。

(国土交通省総合政策局)
 自然再生については、今回の基本方針の変更等を踏まえしっかり対応して参りたい。COP10が2年後に迫る中、各地域の自然再生の取組について、国際的な情報発信も考えながら進めていくことが必要と考えている。

(国土交通省都市・地域整備局)
 都市地域においては、開発と残された自然の保全との調整を図るという施策展開の中、緑地や自然環境の保全の重要性が高まっており、その支援が必要となっている。
 自治体の取組として、名古屋市では、300平方メートル以上の敷地を有する建築物について、10~20%の緑化を義務づける条例を10月31日に全国で初めて施行することとなっており、また、川崎市では傾斜地の緑地について、保全上の観点からランク付けを行い、土地所有者と協議しながら特別緑地保全地区への指定を進めている。
 今後は、都市部局のみならず、農地や森林など関係部局と一層の連携を図りつつ取組を推進することが重要と考えている。

(国土交通省河川局)
 河川局では、平成9年の河川法改正において治水・利水と併せて、環境の観点からの川づくりを進めることとしており、多自然型川づくり、水辺の国勢調査等の取組を進めてきたところ。さらに、平成18年には、全ての川づくりの基本として多自然川づくりを位置づけたところである。
 河川環境の中にも、カワラノギク等のように氾濫、かく乱の中で生息・生育する植物があり、二次的自然の観点は重要である。
 今後、各河川の特徴にあった取組を進め、国際的情報発信も視野に入れて参りたい。

(国土交通省港湾局)
 港湾行政の中でも、自然環境への配慮は重要性を増してきている。これまでにも、護岸を生物の住みやすい環境にすることや、航路浚渫で発生する土砂を用いた干潟や浅場づくり、NPOと連携した藻場づくり等に取り組んできている。自然再生推進法の枠組みで進める取組で協力できるものがあれば協力して参りたい。

(文部科学省生涯学習政策局)
 基本方針にも盛り込まれているが、学校教育や社会教育の中で、協議会との連携をいかに図るかが課題と考えている。学校教育においては、持続発展教育(ESD)の調査やモデル的な体験事業を実施しており、自然再生事業地の活用や、環境教育の指導者養成において、各省庁と連携して取り組んで参りたい。また、社会教育においても、来年度、市町村レベルで各種団体等とのネットワークを構築するためのモデル事業を要求しているところである。
 学校教育、社会教育両面で、自然再生についての理解を進めるよう取り組んで参りたい。

(環境省自然環境局)
 自然再生については、新・生物多様性国家戦略を契機に本格的な取組が始まり、第三次生物多様性国家戦略でも更なる推進を図ることとしている。2010年の名古屋市でのCOP10の開催決定、また、本年6月には生物多様性基本法の制定があり、自然再生の推進とあわせ、今後、関係各省の御協力をお願いしたい。
 自然再生の取組状況を見ると、現状では首都圏近辺での取組が多いなど地域的な偏在が見られる状況にある。新たに自然再生を検討している人達が実際の取組現場を見て、活動の参考として学習する効果も大きいことから、全国各地域に取組が広がるよう支援をお願いしたい。
 最後に、2010年のCOP10まで2年を切ったところであるが、わが国の取組については、制度面で国際的評価が高い一方、各地域の取組がしっかり展開していることを政府を挙げてアピールすることが必要となっている。自然再生をはじめとした各地域の取組について、各省連携の中でC0P10でのアピールを進めていきたい。