自然環境・生物多様性

平成17年度第1回自然再生推進会議議事概要

日時

平成17年7月 4日(月)11:00~12:20

場所

経済産業省別館 944会議室

出席者

  • 小野寺 浩  環境省自然環境局長
  • 坂野 雅敏 農林水産省大臣官房技術総括審議官
  • 南部 明弘 農林水産省農村振興局長(代理)整備部長
  • 黒木 幾雄 農林水産省林野庁次長
  • 田中 潤兒 農林水産省水産庁次長(代理)漁港漁場整備部長
  • 丸山 博   国土交通省総合政策局長
  • 竹歳 誠   国土交通省都市・地域整備局長
  • 坪香 伸   国土交通省河川局長(代理)河川環境課長
  • 鬼頭 平三 国土交通省港湾局長
  • 三浦 春政 文部科学省生涯学習政策局長(代理)社会教育課長

議事

会議は公開で行われた。(傍聴者約20名)

議題1 自然再生事業の推進に向けた取組状況について

 事務局より、協議会の設置状況と概要について、第1回自然再生専門家会議と第2回自然再生専門家会議の内容、及び、自然再生事業の進捗状況の公表について説明を行った。

  • 上記の説明に対する推進会議メンバーからの意見、質問等は無く、了承された。

議題2 推進会議及び専門家会議開催の考え方について

 事務局より、助言にあたっての手続きと両会議の開催頻度等について説明を行った。 

  • 上記の説明に対する推進会議メンバーからの意見、質問等は無く、了承された。

議題3 自然再生事業における連携の取組について

 事務局より、地方ブロック会議について説明。また、国土交通省河川局より釧路湿原自然再生事業の連携事例について発表があった。
 連携事例の発表を受けての発言は、以下のとおり。

  • (環境省)釧路の場合、協議会の構成員は117名にもなり、しばしば意見がぶつかり合う。これは推進法の可能性でもあり、難しいところでもある。釧路は規模が大きく、施策が多様でモデル的な事例といえる。従来の公共事業は確立した技術体系が前提だが、自然再生事業では技術をどう使うのか検討しなければならない。また、目標水準をどこに設定するのかが問題で、当面の目標を設定し、一つ一つ取り組んでいくというプロセスを避けて通れない。
  • (国土交通省港湾局)実施計画について個別パートの調整はどのように行うのか。
  • (国土交通省河川局)協議会で全体を見渡して調整することになるが、ある程度個別パート毎になるのはやむをえないのではないか。出来るところからやっていき、協議会を通じて関連するものがあれば連携することになる。
  • (環境省)全体構想をまとめ個別に行くというのが本来だが、それでは細かいところで問題が発生し前に進まないこともある。協議会では議論を重ねつつ、考え方の整理を進める工夫が必要。
  • (国土交通省港湾局)釧路の場合いろいろな原因が重なっているが、パーツパーツを足し合わせることでより効果が出ればよいと考える。全体としての合意をとることは確かに釧路の場合は難しいと思う。
  • (環境省)情報公開、参加型の協議会での議論はある意味効率が悪い。時間もかかるし手戻りもある。しかし、いつまでもまとまらないことはなく、どこか落ち着くべき所で合意形成はなされるものだという実感はある。
  • (国土交通省河川局)釧路の場合、事業を行いながらモニタリングし、他との関連をみながらやることになる。実施計画を作ったからいいというものでなく、常に見直していくことが必要と考える。周辺地域の人々の合意形成は、長い間事業を行う中で重要。地域の意見を聞く場を設定し、意見交換の中で物事を決めていく必要がある。
  • (国土交通省都市・地域整備局)滋賀県の琵琶湖で内湖の再生を行いたいと相談を受けている。河川なのか公園なのか、農水なのか難しいところ。専門家会議の中でもあった国土全体のビジョンについて、各個の事業が出てくることによる盛り上がりを待つのか、環境省が率先して何か実施する考えがあるのか、意見を伺いたい。
  • (環境省)人口の動態予測をみると全体の人口は減るが、都市の人口は増え、山間部は減り、国土の使い方が変わっていくことになる。一方、都市住民の欲求として、遊びにいく場所でも質の高い環境が求められている。再生、修復が快適さにつながっていくのではないか。関係省庁間で議論し国土の経営をどうしていくのか検討していきたい。
  • (国土交通省総合政策局)自然再生で何をどう再生するのか、方法が確立されてない中で連携していくことは意義深い。今国会で国土総合開発法を国土形成法に変えて審議しているところ。その中で自然再生についても位置づけられれば良いと考える。
     国土交通省の公共事業については、個別の計画を統合した社会資本整備重点計画という形で、成果目標を設定することになった。人口が減っていく中で、放置される自然をどうしていくか、どのような影響が 出るか。一方、災害が多く発生する中で、災害を防ぐ観点から、自然再生をどうしていくか考えていく必要がある。
  • (農林水産省農村振興局)事業は、各地区ごとに個性を持っている。事業には受益と負担の関係がある。釧路の場合は、先に公共事業が実施されているが、今後実施計画の策定において、どう参加者の合意形成を図っていくか、自然再生の目標をどこにおくかが課題である。また、サロベツについても現在地区調査の段階である。自然再生について参加者の合意を取りつつ実施計画にフィードバックしていくことが最重要である。
  • (林野庁)森林再生は、いろいろな地域で行われている。森林は全く放っておいて良いものではなく、手を入れていかないといけない部分がある。釧路の事例では、湿原に隣接する国有林230haにおいて森林の再生について検討中。
  • (水産庁)水産基盤整備を通じて藻場や干潟の再生を行っているが難しいところがある。いろいろな人が関与してそこの自然を監視していくことは重要。合意形成は難しい。早く自然再生しなければならない中、合意形成を待つにも限度があるので、できるところからやっていく方法を検討していく必要があると考える。
  • (文部科学省生涯学習政策局)環境教育の観点から参加している。自然再生というのは永久に続く仕事。継続的に関心を持ち続けられる環境教育の推進に努力したい。
  • (環境省)多く出揃った個別の事例を整理し、現実の解決策を1つ1つ並べて体系的に整理しなおすことが必要かもしれない。先ほどのお話にもあった国土形成法に期待している。協力は惜しまないので今日の内容も考慮いただきたいと思う。
     環境省も環境基本計画や生物多様性国家戦略の改訂がある。他の全体計画の中でも自然再生について考えていきたい。