日時
平成20年7月7日(月) 13:30~15:10
場所
金融庁共用会議室-3
出席者
- 委員
- 大和田 紘一 熊本県立大学環境共生学部教授
- 近藤 健雄 日本大学理工学部海洋建築工学科教授
- 小野 勇一 北九州市立自然史・歴史博物館館長
- 進士 五十八 東京農業大学地域環境科学部造園科学科教授
- 辻井 達一 財団法人北海道環境財団理事長
- 辻本 哲郎 名古屋大学大学院工学研究科教授
- 広田 純一 岩手大学農学部農林環境科学科教授
- 吉田 正人 江戸川大学社会学部ライフデザイン学科教授
- 鷲谷 いづみ 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
- 主務省庁
- 環境省、農林水産省、国土交通省から関係課室長等出席
議事
会議は公開で行われた。(傍聴者約8名)
議題1 自然再生基本方針の見直しついて
環境省より、資料1~3に沿って、自然再生基本方針の見直しについて説明がなされた。
委員からの主な意見は次のとおり。
- 全体として陸上に関連する部分が多く、海を入れた論議が必要である。里地・里山のほかに里海という概念もあり、海のことを別立てするなど、もう少し記述すべき。
- 浅海域と里山の問題は、それぞれ原因が異なるので区別して記載すべき。また、人間活動の縮小により劣化した二次的自然環境を取り戻すという書きぶりを分かりやすくすべき。
- 人為的インパクトについては、里地・里山、海の問題、都市化の問題と様々である。これが経済活動によるものなのか、人口増加によるものなのかを分析していくことが必要。自然再生を行うに当たり、破壊のプロセスの逆のプロセスがたどれるか疑問である。この点についても、整理、反映して欲しい。
- 自然再生は地域再生でもあり、かつ地域文化との係わりで実施されていくことが重要である。この点についてきちんと記述すべき。
- 火入れや池さらいなどがあったからこそ生育・生息してこられた種が少なくなく、これらの行為を生活文化の観点から書いてある箇所について、生物多様性の維持に必須であるということを書き込む必要がある。
- 全国的・広域的な視点に基づく自然再生の推進について、検討を進めるだけではなく、目標を立てて計画的に自然再生を行うことが重要。特に浅海域では、地域の自発的取組だけでは難しいことが多く、国、地方公共団体、関係者が一同に会して自然再生協議会を立ち上げて対応すべき事例も見受けられる。
- 自然再生の実施に当たっての拠点となり、かつ、環境学習ができる施設が有効な場合があり、環境学習プログラムに加え、この点を盛り込むべき。
- 地域産業と連携した取組の推進とあるが、農村地域では高齢化や人口減少の進展に伴い、維持管理を容易にするためにコンクリート水路を整備している例も問題としてある。また、農業については、産業としての面だけでなく、地域の生業としてとらえることが重要。
- 国の支援については、骨子案に記載されているが、中でも協議会の立ち上げ前後に必要となる、コーディネーターの行動費、専門家の旅費などの支援が重要。自然再生の候補地について、当事者しか自然再生を知らない状況もあり、国が自然再生の候補地を選定するための調査を実施ことがよいのではないか。
- 自然再生の目標としては、自然と共生する社会を実現するということがあり、その理念と、具体の計画を分けて整理すべき。
自然再生は生物的自然の部分的な再生ではなく、人も自然の一部であり、人間再生につながり、人間教育や地域の再生を通じ社会全体を変えていくものである。 - 少し手を入れれば復元できる都市地域の自然環境も想定できることから、国が都市型の自然再生モデルを示すことが必要。
- 食生活の話をすれば環境問題に行き着く。人口の多い都市部の意識を変えれば状況も変わる。国民の環境意識の高まりが重要である。その一つの取組例がビオトープであるが、維持管理が問題。つくることがイベントに終わっているケースもある。
計画論としては、特に戦後の、機械力を使った開発による自然のポテンシャルを無視した土地利用が問題。土地利用計画の考え方を改善していく必要がある。 - 農林水産業について、10~20年後に後継者がどれだけいるのか。肝心の管理をどれだけの人が担えるのかを念頭に入れて考えていくことが必要。
- 国土形成計画で記述内容との連携も必要。