日時
平成18年9月19日(火) 14:00~17:00
場所
飯野第5会議室(飯野ビル8F)
出席者
- 委員
- 池谷 奉文 (財)日本生態系協会会長
- 小野 勇一 北九州市立自然史・歴史博物館館長
- 近藤 健雄 日本大学理工学部海洋建築工学科教授
- 進士 五十八 東京農業大学地域環境科学部造園科学科教授
- 鈴木 和夫 日本大学生物資源科学部教授
- 辻井 達一 (財)北海道環境財団理事長(会長)
- 広田 純一 岩手大学農学部農林環境科学科教授
- 吉田 正人 江戸川大学社会学部ライフデザイン学科教授
- 鷲谷 いづみ 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
- 和田 恵次 奈良女子大学理学部生物科学科教授
- 主務省庁
- 環境省、農林水産省、国土交通省から関係課室長等出席
議事
会議は公開で行われた(傍聴者約10名)
議題1 自然再生事業の推進に向けた取り組み状況について
環境省より資料1に沿って、昨年より新たに設置された自然再生協議会とその取組概要について説明がなされた。
委員からの主な発言は以下のとおり。
- 自然再生推進法に基づく事業のメリットとデメリットを明確にすべきであり、これは例えば各省庁の予算要求に大事な働きをする側面を持つことになるのではないか。
- 自然を保全することのベネフィットは、簡単に金銭換算出来るものではない。人間の存在にとってプラスであるという議論をしておかなければ、これから困るのではないか。
議事2 専門家会議の考え方について
事務局より資料2に沿って助言の手法や専門家会議のあり方について説明がなされた。
委員からの主な発言は以下のとおり。
- 本来、国が実施計画に対し助言をする場合において専門家会議を開催し意見を聴く仕組みとなっているが、従来の運用どおり、助言の有無に関わらず専門家会議で検討の機会があればよいと思う。
議事3 自然再生事業実施計画について
各省より資料3,4に沿って全体構想と各実施計画の概要の説明がなされた。
委員からの主な意見は次のとおり。
- 達古武地域自然再生事業実施計画について
- 達古武地域について、約40年かけて成立した現在のカラマツ人工林全てを自然林に再生するのではなく、森林施業の変遷も考慮し、リファレンスサイトとして過去からの道のりを継続する場所を一部残してはどうか。
- 天然力を活かした森林再生の実験はとても意義があるが、この中で有効な種子散布者の知見が必要である。
- 間伐等で生じるカラマツ材は貴重な資源なので、有効利用を検討されたい。
- 民有地における取組を支援する仕組みがあればよい。
- 茅沼地区旧川復元実施計画について
- 失われるものに対し、得られる効果を明確に示すことが必要である。
- 土砂流入対策実施計画〔久著呂川〕について
- 自然再生というよりはある種防災事業的な面があり、当面の工事により自然再生的でない景観となるかもしれないが、河床低下を抑えることは自然再生のために必要。技術的にも難しい事業だが頑張ってほしい。
- 土砂流入対策(沈砂池)実施計画(雪裡・幌呂地域)について
- 土砂流入対策(沈砂池)実施計画(南標茶地域)について
- 沈砂池は機能を満たすだけでなく景観的配慮が必要ではないか。
- 課題への対症療法ではなくトータルに自然を見ることが重要。
- 沈砂池は湿原への土砂流出という負荷をかけないためのものだが、湿原に負荷をかけないというのが持続可能なのかどうか気になるところ。
- 共通事項
- プロジェクトにかけるコストや時間を示すと同時に多面的に評価することが国民の理解を得るためにも必要。
- 農業自体を環境保全型とすることが第一であり、それに向けた働きかけが必要である。また、農業者が自然再生活動に参加できる環境を整えることも大事である。
- 低生産性の農地をもとの湿地に戻す場合、これをグリーンツーリズムに活用できる場とするなど、農家にもメリットがある再生手法を検討していく必要がある。
本実施計画に対して議事概要及び議事録を公表することで、専門家会議の意見を実施者や関係協議会に伝え事業の参考にしていただくこととなった。
議事4 その他
その他の意見として委員から以下の発言があった。
- 自然再生事業とは持続可能な社会をどうつくるかということ。いかに土地を公有地化していくかが国際的な流れ。諸外国では数百、数千ヘクタールの自然再生を計画している。真剣に日本をどうするかを考えた自然再生を進めてほしい。