日時
平成17年6月10日(金)15:00~17:05
場所
経済産業省別館 1028会議室
出席者
- 委員
- 池谷 奉文 財団法人日本生態系協会会長
- 大和田紘一 熊本県立大学環境共生学部教授
- 進士 五十八 東京農業大学長
- 鈴木 和夫 日本大学生物資源科学部教授
- 辻井 達一 財団法人北海道環境財団理事長 (委員長)
- 辻本 哲郎 名古屋大学大学院工学研究科教授
- 吉田 正人 江戸川大学社会学部環境デザイン学科助教授
- 主務省庁
- (環境省、農林水産省、国土交通省)から関係課室長他が出席
議事
会議は公開で行われた。(傍聴者約10名)
議題1 「自然再生事業の推進に向けた取組状況について」
事務局より、自然再生協議会の設置状況と概要について説明があり、あわせて、農林水産省、国土交通省、環境省より代表的な自然再生協議会の取組事例(神於山、荒川太郎右衛門、釧路湿原、上サロベツ)について紹介がなされた。
委員からの主な発言は、以下のとおり。
- 国土全体について
- これまでの縦割り行政の枠を打ち破った国土のグランドデザインが必要。
- 自然再生はやりやすいところをやるのもいいが、国土全体の自然環境計画の大枠というものが必要。
- 対象地域の考え方について
- 自然再生事業を行う地域に隣接して存在し、自然再生対象地域に影響を与えるおそれのある既存の公共事業については、合わせて検討を進めていくことが重要。
- 生態系として機能させるためには、1000haを超えるくらい広範囲で自然再生を行うべき。
- 流域全体での河川と農地の役割分担を考える場合、農地にも河川機能があり、農地として使いつつ河川の役割も果たすという考え方もある点に留意が必要。
- 食糧問題や水資源問題を意識しつつ、将来のシナリオを描きながら休耕地等の自然再生を考えていく必要。
- 集水域等、上流域だけでなく海も含めた下流の生態系も考慮すべき。
- その地域らしい自然風景の再現という視点も重要。
- 時間軸について
- 常に人為的働きかけが必要ということにならないよう、自然のサイクルを踏まえての持続可能性も考えた上で、長期・短期の目標設定を行うべき。
- 全体的な進め方について
- 自然再生が始まったばかりの現時点では、良い流れを止めないよう、専門家は矛盾について批判するよりも、良い点を見つけるようにした方がよい。試行錯誤してもらうことが重要。
議題2 専門家会議開催の考え方について
事務局より助言にあたっての手続き、専門家会議の開催頻度及び時期について説明を行った。
委員からの主な発言は、以下のとおり。
- 実施計画については専門家会議の前にまとめてではなく、実施者から送付があった時点で、主務大臣としての助言の予定とともに、委員に時間的余裕をもって事前送付願いたい。
- 専門家会議で実施計画の適否を議論するには、国土全体の自然環境のあり方、枠組みについてのマスタープランが必要ではないか。
- 実際に自然再生プロジェクトをやっているリーダーが集まって経験交流しながら思想的、技術的なものを学び合える機会を作ることが大事。
- 各協議会には専門家が参加しているので、この専門家会議において同じ議論を繰り返す必要はないが、視点の漏れ等がないかについて確認することはあるかもしれない。
- 専門家会議は、審査の場というよりも、さまざまな自然再生事業があることを認識した上で、総じて何を目指していくのかの議論ができる場にしたい。
- 法律制定の経緯をふまえると、専門家会議は最後のチェック機関であり、不適切な計画はチェックしなければならない。
議題3 樫原湿原地区自然再生事業実施計画について
事務局より実施計画の概要並びに自然再生推進法及び基本方針に照らし助言は不要との考えについて説明。最初の実施計画であることも踏まえ、第2回専門家会議(6月20日)で追加の意見聴取を行うこととなった。
委員からの主な発言は、以下のとおり。
- 希少種である植物の除去に当たっては、一般の人の誤解を招かないよう解説板を設置したり、説明を行ったりするなどの注意が必要。
- 県全体でどうしてこの湿原が大事なのか説明できるようにしてほしい。