自然環境・生物多様性

特別保護地区を訪れる皆さんへ ~非意図的侵入防止の観点からの御協力のお願い~

環境省自然環境局国立公園課

 今回の改正は、国立・国定公園の特別保護地区において、人間が意図的に動植物を放つ行為を禁止するものです。これにより、特別保護地区における外来生物の持ち込みや、在来種の国内移動への対策の大きな一歩が踏み出せたことは事実ですが、環境省では、これだけでは決して十分とは考えていません。
 それは、登山者の靴にくっついていた外部の植物の種子や小動物の卵が特別保護地区で落とされる、特別保護地区内で行われる工事用の物資や器材に混ざって侵入するといったケースが多々あるからです。このように人間の意思にかかわらず、持ち込まれるケースを「非意図的な侵入」と呼んでいます。非意図的に侵入したと思われる動植物による被害も各地で確認されています。
 このため、国立・国定公園の特別保護地区を利用される皆さん、工事や営業などを行っている事業者の皆さんには、非意図的な侵入による被害を防止するため、是非、次の取組について御協力をお願い申しあげます。

[1] 特別保護地区に入る前には、水洗いなどにより靴についた泥を良く落とすこと。
 尾瀬では本来生育していなかったオオバコなど平野部の植物が侵入しており、関係者の手により、毎年、オオバコなどの除去作業が実施されています。これは、登山道(木道)沿いにのみ侵入が確認されていることから、登山者の靴にくっついて入ってきた種子が落ちて、育ったものと考えられます。
 貴重な生態系を有する特別保護地区に入る際には、皆さんが履いている登山靴や作業靴に泥がくっついていないかどうか確かめ、ついている際には、水洗いするなどして泥とともに種子をよく落としてから入るようにしましょう。
 特に、靴の手入れをあまりせずにあちこちに出かけている方。要注意です。使う都度の日々の手入れ、これが登山口での負担を少なくし、靴も長持ちさせるポイントです。
[2] 工事用資材や器材などには、動植物が混入していないものを使用すること。
 厳正に保護されている特別保護地区内でも様々な工事が行われることがあります。この工事に用いるスコップ、重機などの器材に付着している土にも多くの植物の種子や小動物が含まれています。また、資材として持ち込まれる菰(こも)や筵(むしろ)の中にも、外国の植物の種子が含まれていることがあるようです。器材に土が付いている場合は、事前によく洗い落とすこと、資材に混入している可能性がある場合は、混入のおそれのないものを利用するなどの配慮をお願いいたします。
 また、工事の発注者の皆さんは、発注時にもこのことについての念押しをお願いします。

※ これらのことは、国立・国定公園の特別保護地区だけに限りません。特別保護地区以外の特別地域をはじめ、貴重な自然環境を有している地域では、常に心がけていくことが必要です。