南極地域への渡航に関する手続き

観光の現状と課題

 南極地域(南緯60度以南の地域)での観光は1960年代から行われており、1990年代後半までは年間6,000~7,000人程度が南極地域を訪れていました。2000年頃を境に観光客数は急増し、コロナ禍には一時減少したものの、近年はさらに南極地域への観光客数は上昇しており、2025年現在では年間約12万人近い観光客、冒険旅行者などが訪れるとともに、観光の形態が多様化しています。
 南極観光は、航空機を使用するもの、船舶を使用するものの2つに大別されます。航空機による旅行には南米やオーストラリア等から発着する観光飛行と、内陸のキャンプに滞在して南極点や観測基地などを訪問する観光等があります。また、船舶による観光は、船で宿泊しながら航海を続け、目的地に着くと船外機のついたゴムボートで上陸し、観測基地を訪問するものや、ペンギンやアザラシといった南極地域の動物を観察するもの等があります。
 南極観光には航空機や船舶を使ったさまざまな観光ルートが用意されていますが、南極地域は自然環境が厳しいだけに、現地での状況を十分に理解した上で観光することが重要です。1979年には南極観光に出た航空機が氷河の上に墜落、2007年11月には観光客船が氷山と衝突、沈没するといった事故が発生しています。このような事故がどこの国の領土でもない南極地域で起きた場合、沈没船の引き揚げや乗客救助活動などが迅速に行われないおそれがあるだけでなく、船体の破損による重油流出などによる環境汚染も懸念されることから、安全対策とともに環境面でも十分な配慮が必要となります。また、こうした事故が、南極地域の自然環境に深刻な影響を及ぼすだけでなく各国の南極観測活動の支障になることも懸念されます。
 南極観光は、科学的調査活動の場としての南極地域の価値や南極環境に悪影響を与えないように責任を持って活動されなければならず、本来守られるべき南極環境や科学調査の場が観光活動によって悪影響を受けることは避けなければなりません。しかし、南極観光が南極地域に対する一般人の意識向上や環境学習の機会を提供しているのも事実ですので、南極観光に際しては、南極地域のもつ原生的な自然環境の保護に対する意識を高く持ち、南極観光のルールやマナーの周知・啓発を心がけることにより野生動植物の生息・生育に影響を与えないよう配慮することが大切です。

確認申請・届出の手続きの流れ

 南極地域に、観光等を目的に訪問するための手続きには、「届出」と南極地域活動計画の「確認申請」があります。
 南極地域の環境の保護に関する法律に基づき、南極地域に観光に行かれる方、研究に行かれる方、探検旅行に行かれる方等、南極地域での活動を予定されている日本人と、日本に在住する外国人の方は、訪問前に手続きを済ませてください。
 南極地域においては、活動による環境への影響を予測・評価する、環境大臣の「確認」を受けた活動しか行うことができません。このための「確認申請」が必要となりますが、日本以外の南極条約締約国において、「確認」に相当する手続きを終えている場合には、日本において二重に「確認」する必要はなく、「届出」をすることになります。現在、多くの南極観光ツアーは外国にて「確認」に相当する手続きを終えているため、そのツアーに参加する日本人の方は「届出」を提出することになります。(観光ツアーであっても、外国で「確認」に相当する手続きを終えていないものや、研究・探検旅行などは日本で「確認申請」が必要です。)

観光ツアーで訪れる方

 南極地域でしか見られない景色や生き物を見るため、また、南極地域でしかできない経験をするため等の様々な形態の観光ツアーが提供されています。その中でも多いのが、南米のアルゼンチンやチリから出発する大型船に乗るクルーズや飛行機による移動とクルーズを組み合わせたもので、南極半島や南極地域の島々に上陸するタイプの観光です。これらの観光ツアーのほとんどはアメリカやアルゼンチンなどの旅行業者により企画されており、日本の旅行会社に申し込んだ場合でも現地ツアーに参加する形態になっています。

(1)日本の事業者が実施する活動に参加する方
 南極地域において、日本の事業者が行う観光活動又は科学的調査活動に参加する場合には、当該活動が環境大臣の確認を受けたものであることを示す行為者証が活動の代表者(主宰者)から交付されます。当該活動の参加者は、本証を必ず携帯してください。

(2)外国の事業者が実施する活動に参加する方
 南極地域において、外国の事業者が実施する観光活動又は科学的調査活動に参加する場合には、当該活動の参加者は、活動内容等を記載した届出書を事前に環境大臣へ提出してください。
 「届出書」の記入方法及び提出先は、南極地域活動の届出書及び記入の方法を参照してください。届出は南極大陸に上陸するか否かに関わらず、南極地域で活動する場合は必要となります。届出書は個人が作成しなくてはなりません*。
 ※観光ツアーに参加する場合には旅行代理店がツアー参加者の届出についてとりまとめを行うケースがあります。

研究や探検旅行など南極地域における活動を企画・実施する日本の事業者
 乗員が南極大陸に上陸するか否かにかかわらず、全ての観光活動(例:クルーズツアー、遊覧飛行)及び科学的調査活動について確認申請が必要となります。活動内容等を記載した南極地域活動計画書を作成の上、事前に環境大臣の確認を受けてください。
 
「確認申請」は、上陸の有無にかかわらず、南極地域で行う全ての計画で必要です。手続きは南極地域にて実施する活動の代表者(主宰者)が行います。南極地域において実施を予定する計画が環境に及ぼす影響を審査するため、南極地域にて実施したい研究や探検などの計画があれば、環境省に前もって相談してください。南極地域で活動を行う際には環境大臣が発行する行為者証を携帯する必要があります。

※いずれの場合も、ご不明な内容があれば、以下までお問い合わせください。
 環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室
 電話:03-5521-8273
 e-mail : antarctic※env.go.jp
 (送信の際は、※を@に置き換えてください。)

南極地域活動の届出書及び記入の方法

・届出書の記入方法につきましては環境省自然環境局発行の南極パンフレットPDF(2.24MB)7ページ目をご参照下さい。
・併せて以下の記載例もご参照下さい。
・届出書の記入様式 に1人1枚記入後、下記住所まで郵送でお送りください。(届出書は様式第一)
・届出書は以下からダウンロードできます。
 南極地域の環境の保護に関する法律申請書様式
 
部署:環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室
住所:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館26階
電話:03-5521-8273


手続きに関する問い合わせ
日本からすでに南極に上陸する観光ツアー等を申し込んでいる場合、記載事項の詳細については、旅行代理店又はクルーズ会社等に確認してください。

 

届出書記載例


 

南極訪問者のための手引き

 南極地域での活動は南極条約体系と総称される1959年の南極条約及び関連協定に従う必要があります。この条約では、南極地域を平和と科学の地域であると定めています。
1991 年、南極条約協議国は「環境保護に関する南極条約議定書」を採択し、その中で南極地域を自然保護区域に指定しています。この議定書では環境に関する原則、南極環境とこれに従属し関連する生態系の包括的な保護に関する手続き及び義務を規定しています。協議国は、この議定書が発効するまでの期間においても、国内法に則り、可能な限り、議定書の規定を適切に適用すべきであることに合意しました※1。
 この環境保護議定書は、南極条約地域での政府の活動はもちろんのこと、観光や非政府活動についても適用されます。この議定書は、これらの活動が南極環境や科学的及び芸術的価値に悪影響を与えないことを確保するよう意図しています。
 この「南極訪問者のための手引き」は、全ての訪問者が南極条約及び環境保護議定書について知り、その規定を遵守することを意図しています。訪問者はまた、南極活動に適用される国内法などの規則に従う必要があります。

※1:環境保護議定書は1998 年に発効しました。日本国内の担保法は「南極地域の環境の保護に関する法律」です。
    南極地域訪問に関するガイドラインを見る(準備中)

南極地域の野生生物の保護

活動にあたっては、次の点に注意してください。
・海上又は陸上において、野生生物を驚かしたり、邪魔したりするような方法で航空機、船舶、小型船舶等の交通手段を使用しないこと。
・鳥類又はアザラシ類に餌を与えたり、触れたりしないこと。また、鳥類又はアザラシ類の行動に影響を与えるような方法で近づいたり、写真撮影をしたりしないこと。動物の繁殖期や羽が生え変わる期間は特に注意する必要があります。
・植物を傷つけないこと。
例:コケ類又は地衣類で広く覆われた場所を歩いたり、車両で通ったり、着陸したりして損傷を与えないようにすること。
・銃や爆発物を使用しないこと。騒音はできるだけ抑え、野生生物を驚かさないようにすること。
・南極にもともと生息・生育していない動植物を持ち込まないこと(例:家禽、ペットの犬や猫、観葉植物)。
 ※2:日本において許可証を発行する国内当局は環境省です

保護地区の尊重

 南極特別保護地区は、環境上、科学上、歴史上、芸術上の、又は原生地域としての顕著な価値を有する地区として、南極地域に指定される地区です。これらの地区には、許可なく立ち入ることはできません。
 活動の際は、次の点に注意してください。
  • 特別保護地区に立ち入る場合は、国内当局(環境省)が発行する許可証に従うこと。
  • 特別保護地区の位置や、そこでできる活動・立ち入りのルールを事前に確認すること。
  • 決められた制限や規則を必ず守ること。
  • 史跡や記念物、関連する人工物を傷つけたり、持ち帰ったり、壊したりしないこと。
 ※2026年6月現在で77か所の特別保護地区が指定されており、第48回南極条約協議国会議で新たに採択された2地区を加えると、79か所になる予定です。

科学研究の尊重・安全対策

 ほかの科学研究、施設及び設備に影響を与えないでください。
 南極地域の科学施設及び支援施設を訪問する場合は、事前に許可を取得し、到着の24~時間から72時間前までに科学施設及び支援施設に対して確認の連絡を行ってください。また、訪問に関する関連規則を必ず遵守してください。
 科学機器や標識柱の妨害・持ち去りを行わないでください。実験・研究地点、野外調査・キャンプ、補給品などを荒らす行為も禁止されています

南極地域を原生状態のままに

 南極地域は地球上でも最大級の原生的な環境を有しており、これまで大規模な人間活動の影響をほとんど受けていません。この貴重な環境をこれから先も守り続けていくことが重要です。この貴重な自然環境を守るため、南極では以下の点に気を付けてください。
 
・ごみや残飯を地面に捨てないでください。屋外での焼却は禁止されています。
・湖や小川を乱したり、汚染したりしないでください。
・岩石や建物に落書きしたり、名前を刻んだりすることは厳禁です。
・岩石、骨、卵、化石、建物の一部や内部の物品を含む生物・地質標本、人工物などを記念品として採集したり、持ち帰ったりすることは禁止されています。
・建物については、使用中・放棄・無人・緊急避難用であるかに関わらず、外観を損なったり破損したりしないでください。

よくある質問

Q1.どのような場合に、どのような手続きが必要ですか?
A.南極地域の環境の保護に関する法律により、南極地域(南緯60度以南の地域)に行くときに行う全ての活動について、「届出」又は「確認申請」という手続きが必要です。本ウェブサイトの「確認申請・届出の手続きの流れ」
をご確認ください。ご自身の行う活動がどちらの手続きにあたるかご不明な場合には環境省の担当者までご相談ください。
(連絡先はQ11を参照)

Q2.南極地域に上陸しない場合も届出書は必要ですか?
A.南極地域の島嶼部を含め、上陸しない場合でも届出書の提出が必要です。 

Q3.確認申請書や届出書の様式はどこから入手できますか?
A.南極地域の環境の保護に関する法律申請書様式から入手可能です。
確認申請書の様式は様式第一の二となります。(確認申請書の記入については環境省担当者に相談のうえ進めてください。連絡先はQ11を参照。)届出書の様式は様式第一となります。
 
Q4.届出書はどこに提出(送付)すればいいですか?
A.以下の住所に送付してください。
 〒100−8975
 東京都千代田区霞が関1−2−2 26階
 環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室 
 
Q5.届出書はツアーに参加する人全員で1枚提出すればいいですか?
A.届出書は全員で1枚ではなく、1人1枚必要です。

Q6.当該南極地域活動…(以下省略)の欄には何を書けばいいですか?
A.ツアーを主催する会社等が南極地域での活動(クルーズ、遊覧飛行等)について南極条約協議国のいずれかに申請をしているはずですので、そのツアーの許可を出した「国」と「機関」を書いてください。詳細な情報は旅行代理店に確認してください。国名だけが記載されていたり全く無関係の国名が記載されていたりする等の間違いがよくあるのでご注意ください。
 
Q7.南極地域活動で緯度経度の情報がわからない場所があるのですが、どうしたらいいですか?
A.緯度経度については旅行代理店にご確認いただくか、パンフレット等に掲載されているクルーズの航路を印刷、添付する等してご提出ください。北緯と南緯を書き間違えて提出される書類が稀にありますのでご注意ください。

Q8.船舶名や航空機名、船籍や便名の調べ方を教えてください。
A.これらの情報については旅行代理店に確認してください。船舶名にツアー主催者名を記載してしまう、船籍の間違いや空欄のままの提出が稀にありますのでご注意ください。
 
Q9.届出書を出したら何か連絡はありますか?
A.届出書を提出いただき、問題なく受理された場合、届出者への連絡はありませんが、内容に不明な点等がある場合、連絡させていただくことがございます。また、受理の証明となるものも発行いたしません。

Q10.現地まで行ってからツアー参加を決めて申し込みをする予定なので、届出書を出すのが直前になりますが、どうすればいいですか?
A.海外で、ツアー参加を決めた時点で届出書を作成し、環境省まで提出してください。直前の提出になりますが、記入内容は環境省とメールでやりとりをし、書類に不備がないよう調整してください。メールアドレスはantarctic※env.go.jpとなります。
(送信の際は、※を@に置き換えてください。)

 Q11.インターネットでの提出は受け付けていますか?
A.メールでの提出を受け付けています。メールに届出書を添付して提出してください。メールアドレスは、antarctic※env.go.jpです。
(送信の際は、※を@に置き換えてください。)

南極地域における観光及び非政府活動を企画し実行する者のための手引き

日本語版(244KB)

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