自然環境・生物多様性

第65次南極地域観測隊同行日記2

幕間:船と時計と昭和基地

2023年12月22日(金)

南極観測船しらせは南極の昭和基地に向けて西に舵をきりました。沈む太陽を追いかけながら、日夜を問わず進み続けます。
さて日本国内だとあまり実感がありませんが、地球規模で西に移動を続けると何が起きるでしょうか。

そうです。時差です。

日本と南極(昭和基地)との時差は6時間あります。飛行機であれば到着してから時計を修正すればよいのですが、こちらは船。一定の経線をまたぐ毎に1時間ずつ時計を合わせていかなければなりません。
腕時計であれば時刻の修正はピンを巻くだけなので簡単ですが、パソコンやスマートフォンは一筋縄ではいきません。タイムゾーンで合わせる必要があるため、今いる場所と経度が近い国を探さなければなりません。

さあ大変です。南極観測船しらせは海のど真ん中。もちろんインターネットは繋がりません。あやふやな世界地図を頭に浮かべながらそれらしい場所を選んでいきます。「オーストリアより1時間西の国はどこだ?」「タイより1時間西の国はどこだ……?」こうして多いときは毎日、時刻帯合わせを行っていました。
そして先日、ついに昭和基地と同じ時刻帯に入りました。スマートフォンのタイムゾーンはマダガスカルのアンタナナリボを示しています。

……昭和基地ってマダガスカルと近い経度なんですね。ずいぶんと遠いところに来たなと改めて思いました。



                            

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