自然環境・生物多様性

第65次南極地域観測隊同行日記12

おわりに:3月のオーロラとフリーマントル入港

2024年3月19日(火)

みなさまこんにちは。
お元気にしていますか?
 
南極観測船しらせは、3月18日にオーストリアのフリーマントルに入港しました。



                 <フリーマントルに接岸するしらせ>

オーストラリアは今夏の終わり。気温は25℃になります。ほんの10日前まではマイナス10℃の氷海にいて、ほんの5日前にはオーロラに送り出されていたのが信じられないくらいです。


          
               <夕焼けのトッテン氷河沖とコウテイペンギン>



                     <3月のオーロラ>

南極観測船しらせはこれから日本に向けて航海を続けますが、南極地域観測隊や私たち同行者は飛行機で帰ることになります。
そのためこの、第65次南極地域観測隊の同行日記も今回が最終回となります。
 
この同行日記は「その8:南極における環境省活動の普及啓発」として行っておりました。
普段なかなか触れることができない日本の南極活動、その中でもさらに知られることが少ない環境省の活動ですが、その内容が少しでも伝わったなら幸いです。
 
そして私の南極での業務もこれにて完了となります。
 
完走した感想ではありませんが、この四ヶ月は忘れがたいものになりました。
私にとっておそらくこれが最初で最後の南極で、もしかしたら人生最後の冒険かもしれず、それゆえに眼前に広がる氷海も遠くに望む氷河と露岩も、走るペンギンも寝転ぶアザラシも、それだけの思いを込めた特別なものでした。
そしてそれはきっと南極に限らず、私が今まで自然保護官(レンジャー)として赴任したサンゴ礁も最北の不凍湖も流氷の海も、これから赴任するどこかも、同じように誰かにとって特別な思いを乗せた場所なのでしょう。
赴任してそこに住むようになると、慣れてしまいそこにある景色も生物も「普通」のものに感じてしまうことがあります。そんな時この四ヶ月を思い出して、誰かにとっての特別な場所であり続けるよう自然保護官として勤めていけたらと、思いを新たにしました。



                   <朝焼けのオーストラリア沖>

最後になりますが、南極へ私たちを無事に届けてくれた南極観測船しらせのみなさま、共に南極ですごした第65次・第64次の南極地域観測隊および同行者のみなさまに感謝を、
今まさに南極で昭和基地を守っている第65次南極地域観測隊の越冬隊のみなさまにエールを、
そしてここまで読んでくれたあなたに感謝して、この同行日記の筆をおこうと思います。