自然環境・生物多様性
第65次南極地域観測隊同行日記12
幕後2:アムンゼン湾とトッテン氷河
2024年3月14日(木)
みなさまこんにちは。
お元気にしていますか?
南極観測船しらせは先日、トッテン氷河沖での観測を終えて北上を開始しました。
これから再び暴風圏を抜け、オーストラリアへ向かいます。
さて以前も軽く触れましたが、南極地域観測隊の調査は昭和基地周辺だけで行われるわけではありません。
今回は復路、特にアムンゼン湾とトッテン氷河の様子をお伝えしたいと思います。
<アムンゼン湾沖に停泊するしらせ>
アムンゼン湾は昭和基地から東におよそ500kmの地点にある調査ポイントです。
ここでは船の上からの調査の他に、観測機器のあるリーセル・ラルセン山付近などに上陸して調査やメンテナンスが行われました。
<アムンゼン湾の山々>
リーセル・ラルセン山をはじめ、アムンゼン湾の山々は非常に鋭い稜線が特徴的でした。これはラングホブデやスカルブスネスの露岩帯では見かけなかった山の形です。
<地衣類>
また雪鳥沢などでは見かけなかった形の地衣類が生息しているなど、昭和基地周辺とは異なる景観・環境を感じることができました。
<トッテン氷河>
トッテン氷河はさらに東へずっと進み、昭和基地周辺から東におよそ3,000kmにある氷河および調査ポイントです。
ここでは上陸せず、船での海洋観測が行われました。
<投入されるROV>
海洋観測は複数の調査チームで実施しており、海中や海氷の調査や、地形の調査、海底の生物調査などが行われていました。写真は海底の生物調査に使用されたROV(無人潜水機)です。調査中のROVから海中の様子を一部見ることができましたが、南極の海底は私が思っている以上に複雑な生態系があるように見えました。
これらの結果はそれぞれ詳細に分析され、南極の海の環境を知るための一助となっていくことでしょう。
<夕焼けのトッテン氷河に半月が昇る>
復路の調査ポイントは、南極地域観測隊の内容によっては私たちが訪れることができない場合もあります。
それに、このトッテン氷河沖を離れるともう定着氷域や流氷域に戻ることはありません。
そのため南極自然保護官は景観や環境をできるだけ記録していました。