自然環境・生物多様性

新たな世界自然遺産候補地の考え方に係る懇談会 | 第4回議事録

平成24年12月3日

  • 林野庁(櫻井) 定刻になりましたので、ただいまより第4回新たな世界自然遺産候補地の考え方に係る懇談会を開催させていただきます。
    私は、本日、進行を担当いたします林野庁森林整備部の櫻井と申します。宜しくお願いいたします。
    なお、取材によるカメラ撮影につきましては冒頭のみとさせていただきます。議事に入りましたら取材のための撮影はご遠慮ください。
    本日は7名の委員にご出席をいただいております。今回、ご紹介につきましては、お手元にお配りいたしました出席者名簿及び座席表をご覧いただくことで代えさせていただきます。
    なお、橋本委員から、ご都合によりご欠席とのご連絡をいただいております。
    また、本日はゲストスピーカーにもご出席をいただいておりますので、ご紹介をさせていただきます。座席表と共にご覧ください。
    座席奥の方から、文部科学省大臣官房国際課国際協力政策室、浅井室長でございます。
    お隣、同じ文部科学省国際統括官付、堀尾ユネスコ協力官にもご出席いただいてございます。なお、座席表につきまして、間違いがございました。お詫びして訂正させていただきます。
    続きまして、自然環境研究センター、米田研究主幹でございます。
    産業技術総合研究所地質調査総合センター地質標本館、渡辺企画運営グループ長でございます。
    また、関係する省庁として、外務省、農林水産省、水産庁、文化庁からもオブザーバーとしてご出席をいただいております。
    環境省、林野庁の出席者につきましては、お配りした出席者名簿及び座席表をご覧ください。
    ここからは、議事の進行は岩槻座長にお願いしたいと思います。
    カメラ撮影につきましては、ここまでとなりますので、これ以降の撮影はお控えください。
    それでは、岩槻座長、宜しくお願いいたします。
  • 岩槻座長 岩槻です。今日も沢山のお話を伺うことになっていますので、余り時間が延びないように、議事の進行についてはご協力をお願いします。
    最初に、資料についてチェックをお願いします。
  • 林野庁(櫻井) お配りしている資料について確認をさせていただきます。
    議事次第と、その次に資料一覧、そのあと座席表がございまして、そのあと委員名簿、出席者名簿がございます。それ以降の資料につきまして、まず、資料1として世界自然遺産地域における成果と今後求められる保全管理について論点整理(案)でございます。また、この資料1の参考資料として、前回の第3回の懇談会で配付いたしました論点整理の素案との新旧対照表をつけてございます。続いて、A4縦の資料2は後ほど吉田委員からご説明していただく資料と、あわせて資料2の参考資料として1部で参考[1]から参考④まで入ってございますが、こちらは第1回懇談会から第3回懇談会までに配付いたしました参考資料と同じものになっております。続いて、資料3は後ほど米田研究主幹からご説明いただく資料でございます。続いて、資料4はA4横の資料ですが、後ほど文部科学省さんからユネスコエコパークについてご説明いただく資料になります。続いて、A4縦の資料5は後ほど小泉委員からジオパークについてご説明をいただく際の資料でございます。続いて、資料6はA4の横になりますが、環境省から説明させていただく取組についての資料です。その次が資料7、同じくA4の横でございますが、こちらは林野庁から取組について説明させていただく資料でございます。資料8はA3の横を折り込んだ資料になります。あと、あわせて参考資料として第3回懇談会の概要をつけております。パンフレットにつきましては、文部科学省さんから日本ユネスコ国内委員会の「ユネスコエコパーク」、それから環境省で作成しております「日本の国立公園」のパンフレットをつけてございます。
    以上でございます。足りない資料などがございましたら、今でも結構ですし、また、後ほどでも結構ですので、事務局にお伝えいただければ幸いです。宜しくお願いいたします。
  • 岩槻座長 それでは、議事次第に従って早速議事に入らせていただきますが、今日の最初の議題(1)は世界自然遺産地域における成果と今後求められる保全管理についてということで、これは前回、議事要録についてご議論いただいて、その後も委員とのやりとりで修正をしていただいたものが原案としてつくられておりますけれども、まず最初にこの案について事務局からご説明をお願いします。
  • 林野庁(大沼) 林野庁の大沼と申します。これから説明させていただきます。座って説明させていただきます。
    前回の懇談会で、それまでの議論を踏まえまして事務局で取りまとめた論点整理の素案を提示させていただきました。そして、第3回懇談会でご議論いただき、また、その後、委員からいただいた意見をもとに論点を整理したものが資料1でございます。前回の素案から変更点を新旧対照表としてまとめたものが資料1の参考になります。変更点がございましたので、こちらの新旧対照表で説明させていただきます。
    右側が前回提示させていただいたもの、左側が議論及び意見等を反映して取りまとめた現時点での案、資料1となっております。
    まず、論点整理の冒頭の柱書きの最後の部分になりますけれども、吉田委員から、「生物多様性条約COP10で採択された愛知目標11で保護地域の目標に関するものについて、世界遺産がどのように位置づけられるのかという視点も重要」とのご指摘をいただきました。1ページの真ん中から下の部分になりますけれども、「世界遺産の意味について、国際協力を通じて遺産を保護するという世界遺産条約(「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)の目的を踏まえ、また、ユネスコの理念を想起し、これからの日本における世界自然遺産のあり方を検討することが重要である。また、世界自然遺産の適切な管理を通して、愛知目標11に掲げる、生物多様性と生態系サービスにとって特別に重要な地域の保全管理に関することも期待される。」と修正いたしました。
    2ページ目、1の保全管理上の成果についてですけれども、前回、文末に括弧書きとしていた部分を本文中に溶け込ませて整理いたしました。
    次のページの上のところになります。世界自然遺産地域における保全管理の取組につきまして、前回、大河内委員から、「保全管理の成果についてはできているところとできていないところがあるので、相互にベストプラクティスを学ぶというプロセスを記述すべきではないか」とのご意見をいただきました。そこで、「他の世界自然遺産地域においてグッドプラクティスとして共有されることで相互に活かされるものであり、また、自然環境の保全管理に関する有効な事例として、世界自然遺産地域以外においても参考となるものである。」と変更しております。
    2の今後求められる保全管理の全般につきましては、橋本委員から、対象の明確化、文言の適正化等につきましてご指摘をいただきましたので、ご指摘を踏まえて修正をいたしております。
    次のページになりますが、「(2)保全管理に関する個別事項[1]保全管理体制」と変更した部分ですが、吉田委員から「基本的考え方の部分について主体がわかりにくい。地域連絡会議、科学委員会の前に保護管理としての基本的考え方がわかるようにタイトルをつけたほうが良い」とのご指摘をいただきましたので、タイトル等変更いたしました。
    地域連絡会議に期待される役割の2つ目のポツについてですけれども、前回の懇談会でのレビューの中での議論を踏まえまして、「地域連絡会議を構成する行政機関・団体等は、この合意形成の結果導き出された対応策や保護担保措置である保護区内の制限の必要性や内容について、地域住民や利用者に、正確且つわかり易く説明する必要がある。」と追加いたしました。
    その下の管理内容及び役割分担の明確化ですが、吉田委員の屋久島のレビューの中でご指摘がありましたので、「各自然遺産地域において策定されている管理計画を適切に実施していくためには、管理内容と役割分担を明確にすることが有効である。例えば、小笠原諸島では、管理計画の下位計画となる「小笠原諸島生態系保全アクションプラン」において実施すべき管理内容と役割分担を具体的に整理し、これを踏まえて関係機関が連携し対策を進めている。このような取組は他の遺産地域においても参考となるものである。」を挿入いたしました。
    次のページになります。科学委員会に期待される役割に関して、大河内委員、敷田委員から、「科学委員会に期待される役割の部分で、科学委員会は助言機関であることから、最善の方策を導き出すのではなく、豊富な選択肢の提案や科学的根拠に基づく将来予測の提出などが重要な仕事である」とのご意見をいただきました。ご指摘の内容を科学委員会に期待される役割の2行目に、「科学委員会は、遺産地域について、助言を求められた課題へ対応することに加え、最新の知見を有し、最も危機意識を持って問題を察知し、管理主体が最善の方策を導き出すことができるよう科学的知見に基づく豊富な方策の選択肢や将来予測を提示することが重要である。」としました。
    その下になりますが、前回、立澤委員から、「日本の世界自然遺産地域の比較をもっと積極的に行い、科学委員会で各地域の情報を持ち帰り、お互いブラッシュアップし、ある程度標準を作っていかなければならない」とのご指摘をいただきましたので、「加えて、各地域の科学委員会間で情報を共有し、各地域の保全管理をブラッシュアップすることが求められる。」と追加いたしました。
    その次の行につきまして、敷田委員から表現の修正のご提案がございましたので、「世界自然遺産地域の保全管理は、自然科学的側面のみならず、地域の社会・経済的側面も含めて検討していくことも重要である。」と訂正いたしました。
    そのページの下から次のページにかけてですけれども、前回の懇談会で、太田委員、大河内委員、橋本委員から、「地域密着型の研究者の役割を考慮すべき、情報の共有、発信されるベースが必要、地元に対して科学的知見を正確にわかり易く伝えることが重要、そのためには、ガイドやインタープリターの存在が必要」などご指摘をいただきました。そこで修正させていただきまして、「世界自然遺産地域の保全管理に当たっては、世界自然遺産地域の顕著で普遍的な価値や、科学委員会の意見を踏まえて行われる順応的管理等の取組について、ガイドやインタープリターを通じて地域住民や利用者にわかり易く説明し、世界遺産に対する認識の向上を図ることも必要である。そのために、知床財団のように管理に継続的に関与する実務者のいる地元民間団体や、ガイドやインタープリターの科学的知見の向上を手助けする地域に根ざした研究者の関与が重要である。」を新たにつけ加えました。
    次のページ中ほどの自然環境保全に関する事項のモニタリングの最初のポツにつきましては、前回、大河内委員から、「モニタリングは地域密着型の研究者の役割が大きい」とのご指摘がございましたので、「多様な主体が参画し、適切な役割分担が示されたモニタリング計画を策定すること、各分野の専門家や地域密着型の有識者、地域住民等が連携してモニタリングに取り組むこと、モニタリング結果等に関する情報を共有し、公開する仕組みを作ることが効果的である。」と修正いたしました。
    2つ目のポツですが、中静委員から、「気候変動の影響は顕在化していないまでも、今後重大な注意が必要」とのご指摘をいただきました。また、敷田委員から、「自然環境の状態、利用の状態、管理方策実施の状態を年次報告書などでモニタリングすることや現場管理を自然環境と利用のデータに基づいて進めることの重要性も含めてはどうか」とのご指摘をいただきました。ご指摘を踏まえまして、「モニタリングの実施に当たっては、自然環境の状態や気候変動が遺産価値に及ぼす影響、来訪者による遺産地域の利用状況等、管理に必要となる多様な視点を取り入れるとともに、保全管理の実施状況についても把握することが重要である。」を追加いたしました。
    その下の世界自然遺産地域周辺も含めた広範囲の保全についての検討につきまして、吉田委員の屋久島のレビューに基づきまして、「知床で実施されている遺産地域の隣接地域まで含めたエゾシカの個体群管理のように、遺産地域だけでなく、緩衝地帯的な役割が期待されるその周辺地域を含めた保全管理方法を検討する必要がある。」と具体例をつけて記述いたしました。
    次のページの上になりますが、「世界自然遺産地域周辺の保全については、農林水産業との共存及びそれに関する地元の理解を得ることが前提となる。」の部分につきましては、同ページ下からの「○資源利用との関係」というところに移動するとともに具体例をつけ加えました。
    地域経済への影響に関する事項の観光の部分ですけれども、意味が明確になるよう修正いたしました。
    8ページ目になりますけれども、ブランドマネジメントにつきましては、前回提示させていただいた冒頭の2つの文章を明確化の観点で修正して1つにまとめさせていただきました。
    次のページ、中ほどになりますが、前回の懇談会で小泉委員から、「世界遺産はもともと人類にとって素晴らしいものを保存することが始まりで、そのことが忘れられているので、もっと意識したほうが良い」とのご意見をいただきました。効果的な対応方針を地域住民も含めて共通認識とする必要があるとして、「これらが世界自然遺産の価値の維持だけでなく地域の長期的な利益に繋がることを地域住民も含め共通の認識としておく必要がある。」と追加記述しました。
    次の部分ですが、オーバーユース問題への対応策につきまして、敷田委員から、「現場管理を自然環境と利用のデータに基づいて進めるべき」とのご意見、また、鹿児島県の則久課長から、「施設整備の偏重が観光客増加を助長する」とのご指摘がありました。そこで、「周辺地域の観光資源を活用した利用の分散化、木道等の遺産を保護するための施設整備、日々の現場管理における対応など、負のインパクトに対する対策に取り組む必要がある。その際、施設整備に偏重すると観光客の増加を助長しオーバーユース問題を深刻化させる恐れもあることから、科学的知見に基づき、施設整備と利用の制御のバランスに留意して対応する必要がある。」と整理いたしました。
    以上でございます。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。これまで3回に亘って既存の4つの世界自然遺産の管理の状況を調査(survey)して、それについて議論をした論点の整理をしていただいたということですけれども、この前、提示していただいたのから少し修正が入っているわけですが、この修正がいいかどうかということまで含めて何か議論がありましたら、どうぞご発言ください。
  • 吉田委員 (2)の[2]の自然環境保全に関する事項の2つ目の丸の「世界自然遺産地域周辺も含めた広範囲の保全」についての検討の部分ですが、ここには広範囲に移動する動物のことが書いてありますが、外来種対策についても入れた方が良いと思いますので、「知床で実施されている遺産地域の周辺地域まで含めたエゾシカの個体群管理や、東京港からの航路も含めた広範囲な管理計画を適用している小笠原諸島の外来種対策のように」という形で外来種対策のことも加えていただけたらと思います。
  • 敷田委員 科学委員会に期待される役割のページ、3枚目の前面の修正を入れていただいたところです。「最も危機意識を持って問題を察知し、管理主体が最善の方策を導き出すことができるよう」にと記述を改めていただきましたが、このときの管理主体は具体的に何を想定して管理主体という言葉を使っていらっしゃいますか。確認をしたいのでお願いします。
  • 岩槻座長 事務局の方からお願いできますか。
  • 林野庁(大沼) 国とか地方自治体とか、それから地域の委員会も含めて考えております。
  • 敷田委員 そうすると、みんなでしましょうみたいにして非常に曖昧なことになるので、この使い方をするのでしたら、具体的に管理主体としてどういうふうな想定をするのか、もしくはこの取りまとめ全体の文脈からいきますと、管理主体を例えば科学委員会だけに託すとか、国だけに託すのではなしに、地域の関係者の知恵や知見を上手く利用してというよりも、参加を促して、そこでより高度な管理を実現していくという趣旨が妥当なように思うので、それが正確に表現をされた方がよろしいかと思いますが、可能でしょうか。
  • 林野庁(大沼) 可能だと思いますので、ご趣旨に沿って修正させていただきたいと思います。
  • 敷田委員 ありがとうございます。
  • 小泉委員 最後のページの表側の下のほうに、負のインパクトの話が出ています。その中で、登山道の侵食が問題になっているわけですが、問題があるからといって、すぐに木道を作って対応すると、色々問題を起こすことがあります。ですから、その前に、登山道の侵食に関する基礎的な研究をするということを入れていただいて、それから様子を見ていくということが必要ではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょう。
  • 林野庁(大沼) 項目が3つになっているんですけれども、工夫をさせていただきたいと考えております。
  • 敷田委員 先ほどの管理主体の同じページの一番下ですが、これも修正をしていただいたところですけれども、「・世界自然遺産地域の保全管理に当たっては」からの文章です。この内容でいきますと、ガイドやインタープリターを通じて説明を関係者にすることで認識の向上を図るという設定になっています。しかし、恐らく自然遺産地域を使う主な利用者、観光客は、理解をするためにこの地域に来ているのではなしに、むしろ楽しみたいために来ている。それから、一般住民の方も、恐らく日々学習をしたいといって生活しているのではなしに、ごく普通に生活をしています。以上を考えますと、先ほど管理主体という言葉が出てきましたが、むしろこの関係者が具体的に世界遺産を今後どのように保全管理、利用していこうかという方針やビジョンを利用者や関係者に示すということの方が妥当だと思います。今後の管理を考えるのであれば正確な表現だと思いますので、他の委員の皆様の賛同が得られれば修正をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  • 岩槻座長 そういうことでよろしいでしょうか。
    他は宜しいでしょうか。それほど本質的な内容ではなくて、表現上の問題などについて幾つかコメントをいただきましたけれども、それぞれ、より完全な表現のほうが良いに決まっていますので、もう少し事務局のほうでご検討いただいて、ご修正いただいて、修正のあり方については、私が相談させていただいて見せていただくということでお任せいただいて宜しいでしょうか。
    それでは、修正してでき上がったものを、次回また見ていただくということで、これでこの件については、この論点整理をこの懇談会の意思にさせていただきたいと思います。
    2つ目の議題は世界自然遺産登録に係る国際的な動向についてということです。初めから何度も言っていますように、この懇談会は世界自然遺産の候補地を選定するというのではなくて、新たに世界自然遺産登録を目的とする地域を検討する場合に何を考えるべきかという、今の論点整理のようなことを中心に考えていくということが私達の仕事です。次の第5回目の懇談会で、この考え方について色々ご意見を伺うことになるんですけれども、その議論をするに当たって色々な情報を得るために、まず、世界自然遺産登録に係る国際的な動向について近年どういうことが動いているかについて一番お詳しいのは世界遺産を大学での研究対象にもしておられる吉田委員なので、まず、吉田委員からご説明をいただきます。それに続いて自然遺産の国際的な委員会などに非常によく出席をして色々な情報を見ていただいている自然環境研究センターの米田研究主幹にも、その後ご説明をいただいて、お2人からのご説明をいただいた上で、少し議論をさせていただけたらと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
    まず、吉田委員から、これまで何度か配っていただいた資料も含めてご説明をいただけたらと思います。宜しくお願いします。
  • 吉田委員 お時間をいただきまして、ありがとうございます。筑波大学の大学院で世界遺産専攻という、日本では唯一、世界中でも5つぐらいしかない専攻で、自然遺産を教えております吉田と申します。IUCN日本委員会では、世界遺産条約40周年に対して意見を出させていただきました。10分ほどお時間をいただいて、それについて説明させていただきます。
    まず、世界遺産条約のうち、世界遺産リストの現状です。世界遺産リストに掲載された遺産は、962ございまして、自然遺産と複合遺産はそのうち217でございます。文化遺産745のうち、約半数の376はヨーロッパにあり、文化遺産はかなりヨーロッパに偏在しています。自然遺産はそこまでいっておらず、アジア・太平洋やアフリカにも多いのですが、こういった状況が20年ほど前から問題視されました。94年にはグローバルストラテジーを採択して、世界遺産リストの信頼性を保ちつつ均衡のとれたリストにしていこうという動きが出始めたわけです。自然遺産に関して、これが顕著になったのは2000年ぐらいからで、自然遺産についても暫定リストに入っていなければ審査しないことになりました。2004年にはIUCNが世界遺産委員会からの委嘱を受けてまとめた「自然遺産、複合遺産を信頼性のあるリストとするための優先順位」が公表されました。
    この過程で、IUCNは、自然遺産は250~300程度の数で、世界の代表的な遺産はまとめられると言っておりました。
    一方、世界遺産委員会はそういう現状にございません。このグラフをご覧いただきたいのですが、2007年から2012年まで世界遺産委員会の中で、諮問機関、具体的にはIUCNとICOMOSが登録を勧告した通りそのまま登録されたものが青、まだ準備ができていないなどの理由で登録延期した方が良いという評価だったのに、世界遺産委員会の中で覆されて登録されたものが赤です。2010年から赤が増え、2011年には50%以上になっています。2011年の世界委員会でIUCNは、「これは開発途上国へ配慮してのことかもしれないが、開発途上国に対する「Poisoned Gift(毒入りの贈り物)」である。」と述べました。登録準備ができていないうちに世界遺産リストに入ってしまうわけですから、数年後には危機遺産になってしまう可能性が高いという評価をしたわけです。2007年からグラフを書いたのは、実は日本が石見銀山で先鞭をつけてしまったからです。
    もう1つの大きな問題は、危機遺産リストです。危機遺産リストは、ユネスコやICOMOSが条約案の中に、危機にある文化遺産を国際協力で守るため国際的な支援を必要とするショートリストを入れたものが発端ですので、危機遺産リストのほうが世界遺産リストより先に出されたアイデアです。しかし、危機リストが上手く活用されず、不名誉なリストと考え活用を拒む例が増えております。タンザニアのセレンゲティ国立公園の場合は、2011年の世界遺産委員会でセレンゲティ国立公園を横断する道路について、タンザニア政府が計画を変更することで危機遺産リストを免れたため、危機遺産リストが有効に役立ちました。一方、ロシアのコミ原生林のように金の採掘のため、遺産地域の境界線を変更してしまうということがあり、IUCNが危機遺産リスト掲載を提案しましたが、遺産委員会でのロビーイングを通じて、危機遺産リストに入らないようにするということが行われました。今年の世界遺産委員会では、IUCNが危機遺産にすべきという提言したコミ原生林、ピトンズ・マネジメント・エリア、ケニアのツルカナ湖、カメルーンのジャー野生生物保護区の4カ所すべてが否決されてしまいました。
    そして、この危機遺産を保護するために使われるべき世界遺産基金は、1980年代ぐらいまでは国際協力に80%ほど使われておりましたが、2011年から2012年度の予算を見ますと国際協力は10%に減少し、そのうち危機遺産救済に使われているのは1.2%まで減少しています。その代わり増えておりますのが諮問機関への委託で、その3分の2は新規案件の調査に使われています。さらに、昨年、米国がユネスコへの資金拠出を停止したため、世界遺産基金はさらに20%減少して、非常に危機的な状況にございます。危機遺産を救済するために作ったはずの基金が、新しい遺産を増やすための調査費としてほとんど費やされているという現状です。
    このような現状の中でIUCNは、どういった生態系が自然遺産のギャップとして残っていて、今後どういったものを優先して登録して行くべきかという報告を出しています。まず、世界的な自然遺産・複合遺産の数を見ると旧北区は多くて、オセアニア区、オーストラリア区、南極区などは少ない。しかし面積を見ると、2004年と2012年で随分違っております。オセアニア区にはパパハナウモクアケアというハワイの海洋保護区、フェニックス諸島というキリバスの海洋保護区、それから、2004年のときには海の面積を入れておりませんでしたのでオーストラリアのグレート・バリア・リーフ、これらを入れるとギャップはかなり埋まっています。熱帯アジア区は、数は少なくはないんですが、面積を見ると非常に少ないという状況にございます。
    バイオームを見ますと、2004年のときにはツンドラ・極地、温帯草原、熱帯・温帯荒原、砂漠、湖沼系は少ないと言われていました。しかし、2012年度現在、大きな保護区の中に2つバイオームが入っていれば、それを2つと数えるやり方で数えてみますと、ツンドラ・極地、温帯草原、砂漠等は少ないのですが、湖沼や熱帯草原などはまあまああるということが分かりました。
    海域の自然遺産は非常に少ないと言われていたのですが、現在は先ほどの2つの大きな保護区が増えましたので、世界遺産の面積の52%が(海洋)保護区になっております。但し、南極を除く世界の陸地面積の12%程度が保護地域であり、その8%程度が世界遺産になっているのに対して、海の場合には、海洋面積の2.3%しか保護地域になっておりません。その代わり、そのうちの18%は世界遺産になっております。世界遺産の海洋面積は広いのですが、海の保護地域自体の面積が少ないので、海域についてはもっと増やしていく必要があります。
    以上のことから、世界遺産リストのギャップになっているものはどこか考えますと、まず、日本に5つある生物地理区分の中で、琉球諸島区には、自然遺産は1つもありません。奄美・琉球諸島は、WWFのエコリージョンとかCIのホットスポットなどすべてに当てはまり、自然遺産のギャップになっています。次に、沿岸・海洋自然遺産地域については、先ほど申し上げたとおり全体的に保護地域面積が少ないので、IUCNとしても歓迎である。それから、2つの国以上にまたがった国境を越えた世界遺産は世界に16件ありますが、アジアには2つ、インドとバングラデシュの間、ロシアとモンゴルの間にあるが、東アジアには難しい政治情勢もありますが、一つもありません。最後に、国内的にはクライテリア(viii)(地形・地質)の基準に当てはまっているものは1つもない。これについては新しく登録する、或いは現在既に登録されている遺産に、このクライテリアを追加することも必要になってくるのではないかと思います。
    最後に、IUCN日本委員会として40周年にどんな提言をしたかを、ちょっとだけ申し上げたいと思います。世界遺産リストは信頼性が損なわれる状態になり、危機遺産にはお金も労力も回らない。これを解決するには、世界遺産リストの掲載をしばらく停止して、まずは危機遺産の救済に全力を注ぐ。新規遺産を登録するのは2年に1回でいいんじゃないか。IUCNやICOMOSの条約の草案を見ても、2年に1回以上更新すると書いてあります。最初は数が少なかったから毎年登録していたのですが、今後は2年に1回にして、通常の遺産委員会は保全状態とか危機遺産の検討に時間を割いた方が良いのではないかと考えます。また、すべての候補地が世界遺産になれるわけではありませんので、それを補完するような地域的・国内的なリスト、例えば地域的なものとしてはEUにNatura2000とかASEANにASEAN Heritage Parkという制度がございますが、こういったものについても検討していく必要があるのではないかと考えます。
    この図には、ピラミッドのトップに世界自然遺産が書いてあります。顕著な普遍的価値が認められるものは自然遺産にできるが、それ以外の地域的な代表性、国内的な代表性を持ったものについてはラムサール登録湿地、エコパーク、ジオパーク、或いは先ほど申し上げたEUのNatura2000のような地域的な制度によってフォローしていくという方法もあると思います。
    また、危機遺産リストへの登録が各加盟国に避けられているのですが、危機遺産リストという名称は誤解を招くため、国際協力プライオリティリストなどと変更した方が良いのではないかと思います。これは条約変更が必要なので、かなり大変だと思いますが、少なくとも遺産基金の安定収入を増やして、50%以上は国際協力に支出するということにした方が良いのではないかと思います。
    愛知目標11には、単に面積目標だけではなく、生態学的に良く連結された保護地域とか、或いは生物多様性、生態系サービスにとって重要な場所を保護地域にするということが書かれています。世界遺産条約の世界遺産だけが飛び抜けて他のものと違っているというのではなくて、世界遺産を1つのモデル、フラッグシップとして、他の国内的な保護地域などとコリドーなどで繋いでいって、保護地域を周辺の里山などの陸域、海域の景観の中に総合化していくという保護地域のあり方が望まれるべきだと思いますし、愛知目標11で求められているものだと思います。ユネスコの生物圏保存地域(Biosphere Reserves)のエコパークのゾーニングには、核心地域、緩衝地帯、移行地帯がございますが、世界遺産には移行地帯に当たる部分はありません。しかし、1992年にIUCNとユネスコが主催したワークショップの中で、移行地帯を世界遺産管理地域として位置づけるべきだという提案が既に20年前になされています。それを実現したのは小笠原諸島が一番最初です。
    小笠原諸島は陸域にバッファゾーンを作ることが難しくなったため、一般的なバッファゾーンよりも広い世界遺産地域の17倍の地域、しかも、東京港からの航路まで含んだ地域を世界遺産管理地域と呼んで、管理計画を適用するというやり方をいたしました。こういったやり方は、これから世界遺産地域における持続可能な発展を考える上で必要になってくるのではないかと思います。文化遺産の場合は、世界遺産都市の中に人が住んでいて、持続可能な発展を考えていく地域があります。しかし、自然遺産の場合は、核心地域では原生的な自然をきちっと守る、その周辺地域に生態系サービスが維持されるように、持続可能な発展を図っていくことが必要だと思います。屋久島の場合は、バッファゾーンさえない状態ですが、例えば世界遺産周辺の国立公園や森林生態系保護地域はバッファゾーンにする、全島を世界遺産管理地域にするという方法で、管理計画の適用範囲を広げることによって、今年の世界遺産条約40周年のテーマである持続可能な発展が実現されるのではないかと思います。
    お時間をいただきまして、ありがとうございました。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。質問やコメントは米田研究主幹のお話を伺ってから一緒にしたいと思いますので、覚えておいてください。米田さん、宜しくお願いします。
  • 米田研究主幹(自然環境研究センター) 自然環境研究センターの米田です。私は97年ぐらいから世界遺産条約の委員会等に出席して、環境省、林野庁等の日本の自然遺産の推薦にも関わってきたというところから、どちらかというと技術的な、戦略的な視点からIUCNの評価がどのように変わってきたかというような視点で少しお話をさせていただきたいと思っています。
    これはIUCNの評価のプロセスですけれども、IUCNは条約の本文に自然遺産に関する諮問機関として明記されている機関ですので、IUCNの見方を理解しておくことが非常に重要になってくるということです。ここでIUCN Programme on Protected Areasと書いてありますが、保護地域のプログラムが担当していたんですけれども、最近、担当者の数が増えて、今は世界遺産のプログラムが独立するようになっています。
    少し細かいスライドで申しわけないのですが、IUCNが世界自然遺産について最初にリストを示したことがあります。それが1982年で、そのとき219地域が世界自然遺産としてふさわしい可能性があるというリストを作っています。その後はそういう具体的な地名の入ったリストがなかったのですが、先ほど吉田委員のお話にありましたけれども、94年にグローバルストラテジーができまして、なるべくバランスのとれた数の多い世界遺産一覧表リストにしたいということで、今欠けているのはどこなのかを諮問機関に調べてほしいという依頼を世界遺産委員会が出しました。それが2000年です。それから、文化遺産についてはICOMOS、自然遺産についてはIUCNが作業をして、当時、IUCNの担当者の数はそれほど多くありませんので、WCMCという研究機関に協力を得て、当時のリストにあった世界自然遺産を、どこがギャップかという解析を行いました。その結果が2002年ぐらいから報告され始めて、最終的にまとめられたのが2004年になります。先ほど吉田委員のお話にもありました2004年にIUCNとして世界自然遺産がこれからどこを優先的に指定していくべきかという、戦略ペーパーと俗称で読んでいるものが出されました。当時2005年に作業指針の比較的大きな変更が行われて、顕著な普遍的価値(OUV)を記述した顕著な普遍的価値の宣言と呼ばれるSOUVを登録されたときに作成して、それを決議として採択するというシステムに変わりました。その後からの推薦ですので、実際には2007年に登録された遺産からですけれども、そういうものが行われるようになりました。つまり、OUVという価値を非常に重要視する、それをもとに管理を進めていくという姿勢がここで明確化されてきたわけです。そうすると、OUVとは一体何なのか、クライテリアがそれぞれ持っている言葉がありますけれども、その言葉の意味は一体何なのかという議論が出てきて、そういう専門家会合等が行われて、戦略ペーパーとOUVとあわせたものが2006年に報告され、さらに事例報告がまとめられた。つまり2004年の戦略ペーパーがすべての大もとになって、そのままの方針で進んできて2008年にIUCNが推薦書作成マニュアルを作りました。さらに、それが委員会等で報告されますと、文化遺産の方も併せてということになって、現在はIUCNではなくて、世界遺産センターから推薦書作成マニュアルが作られるようになったといういきさつがあります。その間にIUCNの出してきた戦略ペーパーとか考え方が最終的な推薦マニュアルにも大きく反映されるようになっています。
    これが今申し上げました経緯です。
    戦略ペーパーの中のギャップ解析ですが、それぞれのクライテリアについて検討してはいるんですけれども、例えばクライテリア(vii)、景観とか美的要素については、このときでも明確な姿勢を打ち出すことができていませんで、事例ごとに評価されるというもので、国際的な合意基準はないと結論しています。それから、クライテリア(viii)、地形・地質についても2004年のペーパーでは余り検討ができていませんで、その翌年にテーマ報告書という形で別の報告が出ています。この2004年のペーパーではクライテリア(ix)とか(x)、生態系とか生物多様性の価値についてのギャップ解析が主になっています。
    この絵は、最近あちらこちらでかなり目にする絵になっているんですけれども、今現在の推薦書作成マニュアルにも書かれているものです。この絵が一番最初に出てきたのが、2004年のWCMCのギャップ解析の報告で、世界遺産はピラミッドの頂点であるという考え方を大きく打ち出した最初の報告だったわけです。戦略ペーパーで注目すべきことは、IUCNの自然遺産に対する考え方として、もちろんOUVがあることが大原則である。それから、生態系や生息地の代表リストではない。グローバルストラテジーでは代表性のあるバランスのとれた信頼性のある世界遺産の一覧表リストということを謳っているんですけれども、代表性のあるというのは必ずしもすべての生態系や生息地の代表という意味ではないんだ。それは、エコパークといいますか、当時はBiosphere Reservesですけれども、Biosphere Reservesの考え方であって、Biosphere Reservesはここに位置するんですけれども、世界遺産はその中でもさらに優れたものでなければいけない。だから、こういう生息地や生態系の代表リストではないんだということ。それから、ここでちょっとグローバルストラテジーに反するような、グローバルストラテジーの考え方を解説する形の原則を打ち出しているんですけれども、その価値は世界中に均等に分布しているわけではないので地域間のバランスは存在しない。それから、遺産の数には限りがある。先ほど吉田委員がおっしゃられたように、このときの戦略ペーパーでは300という数字を出していますけれども、価値のあるものは当然数に限りがあるんだと述べています。
    さらに、実際にIUCNは、ここではUdvardyの生物地理区分を使っているのですが、そのUdvardyの生物地理区分で見ると、世界中にもう既に2004年の時点でかなりバランス良く遺産は存在している、ギャップは実は余り大きくはないのだということを言っています。このUdvardyのバイオームを使ってギャップ解析をして、草原とか湖沼とかツンドラ、寒い方の砂漠であるとか、そういうところがギャップであると言って、このとき既にもう遺産が多いものとして島嶼混合系が出ています。このときの報告で20の優先地域を出していて、そのうち7地域を残して他の13地域についてはもう既に遺産に登録されているか、或いは今検討中という状況になっています。
    これは先ほど吉田委員のお話にもありましたので飛ばしていきます。
    このときの勧告として言われていることが、2005年から自然遺産の暫定リストに載っていないと推薦できないことになりましたので、暫定リストを作りなさい。それから、シリアルの推薦とかトランスバウンダリーの国境を越えた推薦を推進しましょう。これは、ベスト・オブ・ザ・ベストとよく言いますけれども、同じようなものが幾つも出てくることは頂点の世界遺産としては相応しくないということで、なるべく似たようなものを合わせてしまって数を減らしたいという意向が背景にあるわけです。それから、他の取組の活用ということで、先ほどのピラミッドの頂点の1つ下の部分、Biosphere Reservesであるとかラムサール条約であるとかジオパークとか、そういうものを活用しましょう、そういうものによって国際的な知名度を上げることによって世界遺産まではいかなくても満足する場所がもっと増えるんじゃないか、それによって保全が進むのではないかということを言っているわけです。既に登録されている遺産地域の管理の改善、向上、充実が非常に重要だということを言っています。
    これが最近よく出てくるOUVの3本柱ですが、顕著な普遍的価値はクライテリアだけではなくて完全性と保全管理がすべて3本揃わないと顕著な普遍的価値にはならないんだということです。この考え方自体は前からあったのですが、これは特に最近強調されるようになってきました。先ほどの2005年の作業指針の改定のときに、今までは完全性と価値の2本柱のように書かれていたのですが、そこの完全性から保護管理が分かれて3本柱になったわけです。
    これはその後の2006年の報告等で出てきたクライテリアの本来の文章ではなくて解説の部分です。(vii)という部分について、自然現象については、例えば一番高い山については比較的客観的に評価ができるけれども、自然美についてはかなり主観的になるということで、これをどう判断するかは、今まで既に登録されているものと比較して判断する。さらに、これについてはガイダンスを作りますと言っていて、このときからずっと現在もこのガイダンスは作成が続いているという状況です。
    クライテリア(viii)については、2005年のテーマ報告書によって4つの区分が示されました。
    クライテリア(ix)については、これはもう科学的な知識によって価値が証明されていくものであるということで、テーマ報告を参考にしてくださいという表現になっています。ここにテーマ報告を羅列したのですが、この化石とか地質学とかカルスト地形はクライテリアの(viii)に関するテーマ報告で、ここはクライテリア(ix)の話ですから、この辺はここに入れるのは妥当ではなかったかもしれません。
    クライテリア(x)については、生物の多様性ということで、このIUCNのレッドリスト、その他色々なリストがありますので、そういうものと比較して選んでいってくださいという助言になっています。
    今どういう課題を考えているかということは、今現在のホームページに載っている課題になりますと、やはり保全と管理がまず第一であると言えます。2番目として、まださらに欠けている部分があれば、それを推薦して保護していきましょうということになります。それから、最近は地域社会との関係が非常に強く言われるようになってきて、持続可能な開発と世界自然遺産ということが語られるようになってきています。そのためには、当然広いパートナーシップが必要だということになるわけです。
    それから、現在進行中のテーマ研究としては、実は生物多様性のテーマ研究が以前に出ているのですが、今それの改訂作業が進められているということです。それから、先ほどのクライテリア(vii)のガイダンスもずっと作業が続いていて、今年中に出ると言われているんですけれども、今のところまだ出ていない状況です。海域のギャップ解析も、先ほどおっしゃられたように海域が今増えてきていますので、今度ギャップ解析を行うということで、今作業中で、これも来年、報告が出ると言われています。
    推薦の評価について、評価がすごく不透明であるという意見があって、最近はかなり開けてきています。IUCNのホームページでNominationsというところをクリックすると、来年どこの遺産が出てくるかというリストが見えます。そのリストについて、専門家の方が自分はここについて詳しいので、それの評価者をやりたいということをメールで連絡すると向こうからアプローチがあって、デスクトップの文章だけの評価をする人になる可能性があるということになっています。オープンです。
    それから、管理状況についてのモニタリングについても、これは専門家でなくても、あそこの遺産地域の管理にこういう問題があるということをIUCNに伝えたいと思ったら、このモニタリングというページに書類がありますので、この書類をダウンロードして、それに記入してここへ送れば、それがIUCNにとって参考資料になるという形になっていて、かなりオープンになってきているというのが現状です。
    もうちょっとだけ言わせてください。戦略的な視点という意味で、IUCNの評価は今までどれだけ安定したものなのかも含めて、年に1回の審議になったのが2003年ですけれども、それから10年間に推薦が122あったのですが、それの結果の検討をしました。青が自然遺産の推薦の数ですけれども、推薦の数自体はこの10年間で若干減少傾向にあります。この122件の中には、最初の推薦だけではなくて2回目以降で、1度登録延期になって、また出してというものもあるのですが、当然、2回目、3回目となれば登録される可能性は高くなっていくということはありますけれども、最初の段階では半分以下しか登録を推薦する勧告はないということです。
    IUCNの評価は、これは青が登録を薦める勧告です。紫がもう駄目です、価値がありませんという勧告です。年によって変化はあるんですけれども、パーセントでいうと大体30%から40%ぐらいが薦めるという勧告になっています。比較的安定しているのではないかと思います。それから、この情報照会の勧告は、審議の回数が減ってからは数が減っています。あとは、これが先ほど言いました価値がないので駄目ですという勧告ですが、それに対して委員会の決議でその通り決議したのは2003年だけで、それ以降は、もう駄目ですという決議をされてしまうと、もう1度出せませんので、ほとんど撤回という形で取り下げてしまって逃げるということをやるようになってきています。このIUCNの勧告と決議との差が一番顕著に出たのがこの2010年以降ですけれども、2010年でIUCNの勧告は駄目であるというものがほとんどなくなってしまって、かなりの数が登録されてしまった。上と下を比べたときに違いが大きく出てくるのは2010年以降となってきます。
    地域を見ますと、先ほどもありましたアジア・太平洋と欧州・北米という地域の自然遺産がすごく多いんですけれども、推薦の数も、実際に記載がオーケーになる数も多い。推薦した数の中でIUCNが登録を1回目に認めたパーセントを見ますと、アジアは他の地域よりもちょっと高いんですね。アジアは比較的優等生だということが言えるかもしれません。欧州・北米については、数は多いんですけれども、この数が多いのはアメリカとカナダが過去に登録したものが多いんですけれども、最近はヨーロッパの方の推薦が多いので、成績としては余り良くないということになっています。
    クライテリア別に見ますと、特にはっきりした傾向はないのですが、ただ、クライテリア(vii)に関しては、2006年、2007年以降、少し認められる割合が増えているのかなという感じがします。最初の評価でクライテリア(vii)が認められる割合が最近少し増えているということです。これは10年分の平均です。それに対して、先ほどのこれを見ると(viii)が少し少ないようにも見えるのですが、初めての評価の部分だけを10年分平均するとそれほど変わらない。クライテリア(vii)が若干増えてきたというところがあります。
    以上です。時間がかかって済みませんでした。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。
    お2人から最近の動向だとかその背景について詳しくご説明いただいたのですが、質問かコメントか、或いは積極的なご意見とかありましたら、どうぞご発言ください。
  • 小泉委員 まず吉田さんの方に伺いたいんですけど、世界リストのギャップで海洋と陸上で52%、48%と数字が出ていましたけれども、これがちょっと良くわからないので、もうちょっと説明していただけますか。
  • 吉田委員 これは2012年時点の世界自然遺産、複合遺産の面積が海洋と陸上で52対48になっているということを示しております。数ではなくて面積です。
  • 小泉委員 実際問題として海とか海岸は非常に少ないですよね。世界遺産に登録される海岸あたりは極めて少ないと思うんですけど、この面積が広いというのはどういう事情によるんでしょうか。
  • 吉田委員 自然遺産、複合遺産全体の面積は270万m2ぐらいだったと思うんですけれども、トップ3でほとんどを占めているんですね。キリバスのフェニックス諸島が40万m2、パパハナウモクアケアが35万m2、グレート・バリア・リーフも同じく34万m2ぐらい、大きなものがどんと3つあるのでかなりの面積を占めているということで、地球全体の海洋の代表をしているかというと、抜けているところは沢山あると思います。
  • 小泉委員 分かりました。ありがとうございます。
  • 太田委員 お話の途中でUdvardyのバイオームという概念が出てきて、ここの資料にはないんですけど、推薦書を幾つか見ているとUdvardyから入っていく推薦書は結構あります。ただ、生物地理学を専門にする側からするとUdvardyの生物地理区分はかなりもう時代遅れで、例えば今問題になっている琉球列島を見ると、中琉球は旧北区系で、南琉球はインド・マレー系なんて、正直言ってびっくりするようなことが書いてあるんですけど、これはまだ今後もクライテリアの選択その他において影響力を持ち続けるんでしょうか、見通しで結構なので教えてください。
  • 米田研究主幹(自然環境研究センター) クライテリアの選択等への影響というよりは、比較をするための材料、ツールでしかないと思っていただいていいと思うんですね。これが絶対であるとか、IUCNはこれを絶対視しているということは全然なくて、これに問題があるということは彼らも十分承知しているんですけれども、とりあえず何か1つ共通のものがなければいけない。特に動物地理区分と植物地理区分が若干違うところがあって、それを上手くというのか、いい加減にというのか、混ぜたものがこのUdvardyの提案です。これはもともとBiosphere Reservesのためにつくられたと聞いています。ですので、あくまで目安、ツールとして使っていけばよいので、例えば今度の琉球などでも、これをかなり無視して、こういう考え方で我々はこういうふうにやったと説明すればいいのかなと思っています。
  • 太田委員 特に縛られるものではないんですか。
  • 米田研究主幹(自然環境研究センター) 縛られるものではないです。ただ、先ほどの戦略ペーパーでも、まだこれを使っていくということは言っています。使い道はあると言っています。
  • 太田委員 そう割り切ってやるにしても、多少なりとも正確性がないと色々問題が出てくるんじゃないかとちょっと心配ではありますね。
  • 大河内委員 お答えいただくのはどちらの方でも結構ですが、IUCNが最近認めるに当たって完全性であるとか、さらに保全体制とか、ある意味でだんだんハードルが上がっている部分があると思うんですけど、そのことと先ほど出てきているようにIUCNの勧告に従わないで決定するということと強い関係があるような気がしないでもないんですけど、その辺のところはいかがでしょう。
  • 吉田委員 米田さんと同じ意見かどうか分かりませんけれども、ICOMOSにしてもIUCNにしても厳格に評価しようとするわけです。そうすると世界遺産委員会では、グローバルストラテジーという立場からすると、開発途上国とかアラブ諸国には世界遺産数が少ないから、そんなに厳しくやったらますますバランスが悪くなるから、少し甘く見てと言うと言葉が良くないかもしれませんが、そういう判断をする傾向があると思います。
  • 小泉委員 審査をIUCNがずっとやってきていると思うんですけれども、IUCNは基本的には生物学者の集まりだと思います。その辺で、クライテリア(viii)はまだ非常に少ないわけですけれども、どうしてもそういう分野は落ちる傾向があると思うのですが、どういういきさつでIUCNに行って、審査を専らIUCNでやっているという理由と、他に広げるという話はないのかお聞きしたい。
  • 吉田委員 これは条約ができていく歴史的経緯の問題です。自然遺産については、1965年にラッセル・トレインというIUCNの関係者でもあるし、アメリカのホワイトハウスの諮問委員でもあった方が世界遺産トラストを提案したのが下敷きになっています。それに基づいて世界遺産条約案の自然遺産の部分を起草した団体がIUCNです。ICOMOSやICCROMもそういう経緯です。条約を起草した団体が条文に入っているということです。ただ、生物学者が中心というのは正しくはございません。地質学者ももちろん入っておりますし、現在の自然遺産を担当しているディレクターのティム・バッドマンは地質の方の担当者です。
  • 岩槻座長 小泉さんのもう1つの質問のそれを改めようという議論は全然なくて、そのままでいいという判断かというのはどうですか。
  • 吉田委員 これも米田さんにも聞いていただいたらと思いますが、これは世界遺産条約の条文に書かれていますので、変わらないと思います。国際条約という性格上、加盟国が主(あるじ)ですが、締約国会議で登録を決めることにしなかったんです。締約国会議で決めれば必ず各国代表の意見で決まってしまう。だから、専門家による世界遺産委員会をわざわざ政府間委員会としてつくったのに、そちらの方にも外交官が出てきて、うちの遺産を入れてくれということになると、わざわざ別にした意味がなくなってしまっている。むしろ世界遺産委員会の方が問題なんじゃないかと思います。
  • 岩槻座長 米田さん、今のでよろしいですか。
  • 米田研究主幹(自然環境研究センター) もちろんそうだと思うんですけれども、1つ追加するとすれば、IUCNの評価について外部評価をするという動きもあるんですね。今までにそういう報告がされて、やはり地質の部分が弱いという指摘がされたりとかがあって、IUCN自身もそこの部分はすごく自覚していて、正確な名称は忘れてしまったのですが、国際的な地学研究の人達(IUGS、IAG)と協力をして地形・地質のものについては専門家の評価を受けるという形で、仲間を増やすことによってその部分をクリアしようとしているということだと思います。
  • 敷田委員 私が良く理解できていないのかもしれませんが、先ほどのお2人の説明であると、2010年と2007年と時期は違いますが、傾向が示されて説明がありましたが、グローバルストラテジーは1994年ですので、時間の差があると思うのですが、2007年、もしくは2010年以降にこうした具体的な顕著な変化が出てきたというのは何か理由があるのでしょうか。
    それともう1つ、それに対する実際に審査をしていらっしゃる側のバッククラッシュというか反対の動きはありますかということをお聞きしたいのですが、お願いします。
  • 吉田委員 1994年のグローバルストラテジーのときは、大きなアンバランスは文化遺産の方で言われていたと思います。自然遺産にも問題はありましたが、自然遺産については、先ほど米田さんからお話がありましたように、地域別、国別でバランスを取らなければいけないというものではなく、むしろバイオームとか、そういった形で代表性がちゃんと取れているかという方が大事だということになっています。従って、自然遺産が1つもない国があっても別におかしくはないのですが、あくまでも国際条約ですので、加盟国からすれば、どうしてこの地域は少ないんだとかいう話になるのだと思います。
  • 米田研究主幹(自然環境研究センター) 私の方から1つ個人的な見解を言わせていただくと、グローバルストラテジーによってなるべく委員国になる国の数を増やそうということがあって、委員国の任期を自発的に6年間から4年間に短縮することが行われるようになりました。そうすると、そもそも21カ国の委員国で6年任期で7カ国ずつ回していって、常に14カ国は前からの続きで、新しい委員国は7カ国だけというのが条約に書かれた仕組みだったのですが、それを自発的に短縮してしまったが故に、委員国が半分入れかわるという事態が起きてきたんですね。さらに、世界遺産条約は最初の頃はよくサロンと言われたのですが、かなりサロン的な、顔の良く知れた専門家が比較的多い委員会であったんですけれども、委員会に出てくる委員国の幅がすごく広がって色々な国が入るようになってきたということと、それと同時に専門家が余り出てこなくて、むしろ外交官が出てくる国も増えてきたというような変化があったと思います。それが、結果として自発的に任期を短くしたということが出てきて、実際に半分入れかわる状況になってきたのが、ちょうど2007年、08年ぐらいからという形になります。
  • 中静委員 教えていただきたいのですが、世界遺産基金の運用の方法はどういうふうになっているんですか。例えばここのグラフで国際協力が減っているというのは、国際協力以外にも使えるような仕組みになっているのですか。
  • 吉田委員 世界遺産基金の支出の優先順位は、緊急な災害対策などにありますが、世界遺産登録の準備にも使えるようになっています。ですから、途上国から遺産登録の準備のため、世界遺産基金から支援がほしいと言えば出せるようになってます。
  • 中静委員 そういうのは国際協力には当たらないわけですか。
  • 吉田委員 どれを国際協力と見るかなんですけど。
  • 中静委員 それが良くわからない。
  • 吉田委員 このグラフは遺産委員会に出された資料です。実際のところ危機遺産救済のための国際協力ではなくて、新規登録のための調査費は諮問機関への委託に含まれています。
  • 岩槻座長 大分時間が押してきていますので、一応皆さん1つずつは質問されたので、これぐらいで次の話題へ移らせていただいてよろしいでしょうか。
    お2人の報告、どうもありがとうございました。
    次の議題は、ここでもたびたび話題になっていますように、この懇談会は世界自然遺産を考える懇談会ですけれども、世界自然遺産はそれだけで個別に取り上げるべきではなくて、それに関連するようなさまざまな保全地域の考え方がある。そういうものについても一緒に考えるべきではないかということで、今日は世界自然遺産と同様に保全地域に関わる国際的な制度として、まずユネスコのエコパーク、これは正式にお役所的に言いますとBiosphere Reservesですけれども、それからジオパークと2つ、こういう制度の考え方について、まずご説明いただくということを準備していただいています。ユネスコのエコパーク(Biosphere Reserves)については文科省の方がお世話をされているので、国際協力政策室の浅井室長にご説明をいただきますし、ジオパークの方は懇談会委員の小泉委員がジオパークの日本国内委員会の委員もしていらっしゃいますので、小泉委員からご説明いただいて、ジオパークについては産総研の渡辺グループ長が随分色々ご努力されていますので、質問のところで必要なことがあれば、渡辺さんからもまたご意見をいただきます。まず、それぞれそういうご説明をいただいて、その後、事務局から、先ほどの吉田さんの話の最後にラムサールも出てきましたけれども、ここにはラムサールの準備はされていませんので、そういうことにも言及していただきながら、事務局からもご説明をいただいて総合的に質疑応答、討論をやっていただけたらと思っています。
    それではまず、エコパーク(Biosphere Reserves)について浅井室長からお願いいたします。
  • 浅井室長(文部科学省) パワーポイントは使いません。配付した資料4を使って、時間も余りありませんので、詳しい説明はできないと思っておりますので、簡単に説明させていただきます。岩槻先生がいる前で私が説明するのもちょっとはばかられますが。
    文部科学省で国際協力政策室というのは特にユネスコを担当しているわけではありませんけれども、併任がかかっておりまして、国際統括官のところでユネスコ全体を統括しています。そこで併任の仕事という形でユネスコ関係の仕事を手伝わせていただいております。ユネスコエコパークにつきましては、資料4で簡単に説明させていただきます。今、岩槻座長から御紹介がありましたけど、ユネスコエコパークというのは、簡単にいうと略称で、できるだけ一般の方々にも馴染んでいただける名前をということで、平成22年1月に日本ユネスコ国内委員会でユネスコエコパークと呼んでいきましょうと決めて、今、ユネスコエコパークと呼んでいます。英語名称は、そこの括弧の中にありますように「Biosphere Reserves」で、これは日本語では「生物圏保存地域」という堅苦しい名前なので、ユネスコエコパークという略称で呼ぶことにしております。これはユネスコの中の1つの事業でございまして、ユネスコの自然科学の事業にMABとそこに書いていますが、ユネスコ人間と生物圏計画(Man and Biosphere Program)がありまして、その中でこのBRがございます。MABは1971年から始まったもので、既にBRの概念は世界自然遺産とほぼ並行するわけで、74年にこのBRの概念が出て参りまして、実際にMABの中でこのBRが登録されていくのが76年からとなります。
    世界遺産との違いが何かということになるんですけれども、自然を守っていくという原則は全く同じでございますけれども、ユネスコエコパークのほうは生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)が目的となっております。そこに図がありますけれども、違いは、核心と緩衝地域、コアとバッファは自然遺産と同じですけど、そのさらに外側にトランジションゾーン、トランジションエリアがございます。移行地域と書いてあります。ここを持っているというのは仕組み的に一番大きな違いでございます。ここは実際に人が住んでいる、生活している地域も入りますし、そういった地域社会の中で、実際に人が生活を営み、そこの中で経済的活動を営むという地域がトランジションエリアでございます。こうした自然の保護に関係しましても、この移行地域で経済発展を図る地域をしっかりと決めているというところがございます。この経済発展を図る地域から得られた、例えば利益を緩衝地域、或いは核心地域の保護に活かしていく生活を行っていく地域が移行地域ということでございます。
    ユネスコエコパークの機能ということで、これも定義的に3つ示してあります。先ほどから言いましたように保存機能で、特に生物多様性の保全を目的としておりますし、経済と社会の発展、今言ったように移行地域が主に使われるところでございます。3番目が学術的研究支援で、こうした貴重な生物資源、或いは生態系保存ということで学術的な1つの大きな研究エリアを考えることで、この事業が成り立っております。
    次をめくっていただきますと、日本も現在ユネスコエコパークが5カ所登録されております。もう既に皆様ご存じのように、そこにあります屋久島、大台ケ原・大峰山、白山、志賀高原の4カ所が1980年登録でございます。5カ所目が今年の夏に登録されました宮崎県の綾地域でございます。
    このユネスコエコパークの制度自体も変遷がありまして、世界遺産も今お話がありましたように色々と中が変わっていって、グローバルストラテジーですとか色々入っていますけれども、ユネスコエコパークも成立当初からこの仕組み自体も大きく変わっております。1980年に日本で4カ所登録されておりますけれども、これが簡単に言うと古い登録地域、綾が新しい登録地域と言葉では言えるんですけれども、どこがどう違うのかとなりますと、先ほど申し上げた移行地域について、古い登録地には移行地域が入っていない。世界自然遺産と同じように核心地域と緩衝地域だけのユネスコエコパークがかなりまだ存在します。日本にあります最初の1980年登録の4カ所はこの古い状態での登録のままでありまして、綾が移行地域を含んだ今現在のユネスコエコパークの形態に沿う指定となってございます。
    これは、1980年は私もまだその時には関係していませんし、しっかりと残っている文献もないので、ある程度の想像も入るわけですけれども、ユネスコエコパークの事業が、学術的な研究支援、或いは保存機能という1と3がかなり大きなウエートを占めていて、経済と社会の発展というところが最初には余り焦点が当たらなかったということがございます。1995年にセビリア戦略が採択されまして、そこの中で、最初から目的があるんだから、この経済と社会の発展について、もう少ししっかりとMABで考えようということで、移行地域をしっかり設けて、そこでの経済活動もMABの中で、このBiosphereの活動の中で評価をすることをきちっとしましょうということになりまして、移行地域がセビリア戦略以来、非常に重視されてきているという状況がございます。
    現在、ユネスコエコパークの推進に係る体制としましては、これは自然遺産と違って条約ではありません。先ほど言いましたようにユネスコの1つの事業でございますので、法的な縛り、拘束は余りないわけです。ただ、保護する、守るということについては1つの規定がございますので、日本国内ではそうした国立公園の保護法等、或いは自然の色々な保護の規定の中にのっとった保護を行っております。条約ではないということで強制的な縛りはそれよりも緩いと言えると思います。
    現在は、このユネスコエコパークにつきましては、各国の国内委員会からの推薦に基づき、ユネスコで審議をして決定する。この審議は、MABの中に国際調整理事会が設けられておりまして、その理事会の中で審査を行って登録の可否を決めていくという方法をとっております。
    次のページは国内の体制で、これは非常に幾つものステークホルダーが絡んでややこしくなっておりますが、設置形態は、これはエリアでございますので、日本国内の地方の自治体が一番最初のところに当然入ってきます。大きく言いますと、世界遺産については関係省庁連絡会がございますけれども、ユネスコエコパークは、日本ユネスコ国内委員会の事務局が統括的に見ているという形がございます。環境省、或いは林野庁等々と協力をしながら、この事業を進めていくという形をとっているところでございます。
    日本ユネスコ国内委員会の中にMAB計画分科会を設けておりまして、その分科会の先生方が中心となって国内のMAB・ユネスコエコパークの事業を見ているということでございます。
    生物圏保存地域審査基準を3枚目につけておりますけれども、こちらは、ユネスコの登録基準に基づいて、MAB計画分科会が、ユネスコへの推薦が妥当かどうかの審査基準として策定したものです。そんなに詳細なものではないかもしれませんけれども、ユネスコエコパークの目的、審査基準、ゾーニングについて等々を定めています。これに沿ってこのユネスコエコパークについて関心のある自治体等と協力をしながら、実際にユネスコエコパークの申請を行いたいという自治体があれば、MAB計画委員会の先生方と相談をしつつ、自治体の意向に沿って申請書を自治体が作成して、それを国内委員会でチェックをしてユネスコに申請するというふうに手続を行っているところでございます。その際には、当然そのエリアの中で関係する環境省や林野庁、或いは場合によっては水産庁等関係省庁及び専門家の意見等を聞きながら申請書を作成していくという方法をとっております。
    これは、ユネスコの1つの事業でございますけれども、今現在、国内でどういうところがどういう関心があるかといいますと、1つの地域振興といいますか、経済発展との両立を考えると、地域振興ということで自治体がこれに目を向けてユネスコエコパークに登録を進めようという動きが幾つか見られるということが今の状況でございます。
    簡単ですが、以上であります。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。質問は、またもう少し待っていただくことにして、ジオパークのほうを小泉委員からお願いします。
  • 小泉委員 小泉でございます。ジオパークについて簡単にご説明します。
    まず、ジオパークとは何かですけど、一番分かりやすいのが、ここに書いたように世界遺産の地形・地質版だという説明が一番分かりやすいので、ここで言っています。どういうクライテリアか。科学的に見て貴重な地形・地質や景観として美しい地形・地質を生かした「大地の公園」と言っています。特に大事なことは、地球や自然の歴史を体感できることが重要だということで、それが始まりです。
    この中には文化景観や植生も含みまして、要するにジオの地形や地質をベースにして成立した植生とかもみんな含むのですけれども、従って、かつて一時、地質公園とか世界地質遺産と訳されたことがあり、まだそういうのがあるんですけれども、対象は地質だけではありません。地形とか人間の働きかけによって生まれた棚田、或いは考古学、歴史遺跡のような文化景観、或いは特異な地形・地質の上に成立した生態系や植生なども含む非常に広い概念です。「大地の公園」とか「大地の遺産」とか「地球遺産」とか訳しているケースが多いわけです。
    これが雲仙の棚田ですけれども、雲仙は世界ジオパークになっていますけれども、そこの棚田が評価の対象になりました。これが1つです。
    それから、地質が基盤となって生じた植物群落も対象になっていまして、これはジオパークになっていないのですが、例えば四国の東赤石山に、かんらん岩の岩体がありまして、ここに特殊な植物が出てきたりします。こういったものもジオパークの対象になります。
    これは南アルプスの北岳の山頂部ですけれども、右下にキタダケソウがあるのですが、それが出てくるのは、ここの石灰岩の部分だけです。植物の分布は非常に密接に関わりがありまして、こういった砂岩や泥岩のところはなくて、これは山頂部で、こういった玄武岩とか石灰岩とかができているんですけれども、そこにこれが出てくる。そういった意味で、ジオと植生が非常に関わっているという事例になります。
    ジオパークの活動ですが、1990年代にドイツの地質学者が提案しています。さっきから出ていましたけれども、地形・地質は大事ですけれども、まだ世界遺産になかなかならないというのがありまして、そういうことから2001年にユネスコの非公式プロジェクトに提案されます。これはどういうことかというと、地質学者がよく野外でエクスカーションをやるわけですけれども、そういった場合に市民レベルで非常に関心が高くて評判もよろしいので、普及のためにもうちょっと何とかならないかということで、こういった提案がされています。詳しくはまた渡辺さんがもしかしたら紹介されるかもしれないんですけれども、世界遺産と同じで、ヨーロッパから始まったものですから先行したんですけれども、中国がそれにすぐ入りまして、最初の60カ所ぐらいがあっという間に世界ジオパークになったということで、ちょっと問題があるんですけれども、それが始まりでした。ヨーロッパ30、中国30くらいの形で動いたんですけれども、その後、日本では日本地質学会が「日本の地質百選」を選ぶ活動を始めまして、やっとこれが軌道に乗ってきました。いきさつがあって、窓口は文部科学省ではなくて経済産業省の産業総合研究所地質部門で産総研、元の地質調査所が窓口になっています。
    2008年に日本ジオパーク委員会は発足したわけです。ここに書いてある幾つかの学会と何人かの地球科学に関わる専門家が集まって発足しました。委員長は尾池さんという京大の総長だった人です。
    世界ジオパークの登録申請に向けて早速始めるのですが、今2段階になっておりまして、日本ジオパークが先にあります。これはユネスコの世界遺産の暫定リストに当たりそうですけれども、申請するのは自治体であったり、県であったり、市であったりするということになります。それをもとにして審査して世界遺産に行くことになるんですけれども、まずは日本ジオパークになってもらって、それからいいところを世界ジオパークに推薦するという形になります。2008年はここに書いたように5カ所から申請がありまして、上の3つが(国内審査を)通りました。あとの2つは順次通っていくことになるんですけれども、手順としてはこういった2段階を踏んでいます。
    2009年に(世界ジオパークの)申請が認められたということです。
    最初の日本ジオパークはさっきの3カ所の他、山陰海岸、室戸、阿蘇、隠岐とかこういったところ、全部で9カ所が認められました。国立公園とかなり重なっているんですけれども、最初の年だったものですから、こちらの審査するほうがはっきり基準がまだ定まっていないところがあって、広さからいえば山陰海岸は3県にまたがりますし、非常に狭いところもあったりします。
    その後、毎年審査を続けていまして、2011年現在で20カ所になって、ここに出したような図になります。このうち赤で記したのが世界ジオパークになっています。
    今年になって伊豆半島以下5カ所が通りまして、今全部で25カ所となりました。
    ジオパークと世界遺産の違いですが、ここに書いてあるとおり世界遺産は「優れた自然や文化遺産を人類全体の遺産として保護することが目的」であります。
    そのきっかけは、これは吉田さんの話に出ますが、エジプトのアブシンベル神殿がアスワンハイダムに埋没してしまうので、それを救おうという、そこが始まりだということです。それから、「いいものは世界遺産として保存しよう」に変わってきたといういきさつがあると思います。
    これがアブシンベル神殿です。
    ジオパークは、「地形・地質や特異な生態系などを保全するとともに、それを研究や教育に生かし、さらにはツーリズムを通じて地域の持続的な発展に寄与することが目的」となります。だから、世界遺産とは随分目的が違っています。さっきのエコパークに少し共通するところがあると思いますけれども、地域の持続的な発展とか経済的なところをちゃんとやりなさいという方向ですね。
    ですから、単に優れた自然があるだけではジオパークにしてくれません。色々な条件がつくのですが、地域の地形・地質や生態などについて解説できる科学者が必要だということです。これはどういうことかというと、石や地形は何も言ってくれないんですね。生き物は人間に近いところがあるので、それなりのことを我々は読み取ることができるんですけれども、そういうことは石は全然言ってくれませんので、誰かが解説しなくちゃいけないということです。ここにちょっと書き過ぎですけど、世界遺産は成因についての詳しい説明は要求しない。例えば地球で唯一の素晴らしいもの、自然美、地形・地質、生態系、種の多様性という基準で選んでいると思うのですが、地域の独自性、或いは個性的なものを優先していて、解説は必要ないということですね。
    ジオパークに必要なことは非常に沢山ありまして、例えば自然観察路の整備や適切な案内板を設置してくださいということがあります。これはないと駄目です。ガイドブックを出してください。ガイドつきのジオツアーをやってください。博物館などの施設が必要です。さらに、ガイドの養成や全体の運営を行う組織が必要です。地場産業などによる地域振興も必要です。いろんな条件がありまして、これをクリアしないとジオパークに認めてもらえません。さっき言ったように、多少不備でも日本ジオパークのほうは、これから努力してくださいということもあって認めることがありますけれども、世界ジオパークに関しては、こういうのが全部整っていないと推薦はいたしませんということです。さっきの世界遺産と同じように、少し多くなり過ぎたというのがあるせいか、今年から急に審査が厳しくなったようで、隠岐の島が世界ジオパークに日本から推薦されて、まず通るだろうと思っていたのですが保留ですね。拒否じゃないんですけれども、何かもうちょっとちゃんとしないと駄目ですということがついていて、初めて世界ジオパークが認められなかったということが起きたわけですけれども、どこも同じような事情のようで、ちょっと難しくなっているのが実態です。
    あとは、余り時間がないですからぼんぼん紹介していきます。糸魚川ジオパークが日本で最初の世界ジオパークになりましたけれども、ここに書いたように博物館が幾つもありました。これはヒスイの原石ですけれども、こんなのがあったりしています。
    非常に沢山のジオサイトがありまして、ここに書きましたように、どっと並ぶような、氷河地形まで入るような広いジオパークになります。
    これはヒスイ峡ですね。これは地滑り地ですね。月不見池というところです。こういった滝があるんですけれども、こういう滝も、滝がきれいだということだけじゃなくて、なぜここに滝ができたかということを必ず説明する必要が出てきます。ここにマグマが貫入してきて、さっきの岩を焼いて、ああいう固い岩ができて滝ができたというようなことを必ず説明します。
    こういうのは石灰岩の事例ですけれども、ここに植物が出てきますね。
    これはマイコミ平というところの石灰岩地ですけれども、そこのドリーネに高山植物がおりてくるという話が出てきます。これも評価された点ですね。
    こういうのはパスしていきます。
    日本列島はジオパーク候補の宝庫であります。地質が複雑であり、隆起しつつあり、侵食の激しい山地、活発な火山活動、海に囲まれ、南北に伸びる日本列島は島国という自然の特性を反映して、ここに書いたように非常に素晴らしい景観が目白押しであります。そういうことで幾つかぽっぽぽっぽ紹介していきますけれども、こんなような候補地が沢山あるんですね。これはまだなっていないところばかりですけれども、こんなのは海岸に出てくるものです。これは四国のあたりです。
    これは柱状節理ですね。
    こういった感じです。
    これは山陰のジオパークになっているところですけれども、扇ノ山のそばの滝ですね。それから、こんな柱状節理を削って滝ができているちょっと珍しいケースもあります。これは南紀州でまだジオパークになっていません。これからなろうとしているようですけれども、こういった非常に特異な地質現象があるということです。
    日本の場合、古生代と中生代の境目が色々あって地球史を体感するには非常にいい場所がいっぱいあるものですから、候補はいっぱいあるんですね。ジオパーク委員会としては、恐らく世界全体としてユネスコの正式のプロジェクトになってほしいと希望しているところですけれども、なかなか認められないので、今非公式のままになっているという事情です。
    あとは、渡辺さんがもし補足があったらしていただけますか。
  • 渡辺企画運営グループ長(産業技術総合研究所) 産業技術総合研究所の渡辺です。二言ほど。
    最初に小泉先生が、世界遺産の地質・地形版とおっしゃったのですが、どちらかというとBiosphere Reservesの地質・地形版というのが近いと思います。研究、教育、地域の持続的な開発に資するというところがジオパークでも重視されます。なので、最近の審査では、特に自然の価値そのものだけでなくて、いかにそういう持続的な発展を可能にするような運営ができているかとか、いかに国際的なネットワークに積極的に参加するかというところが審査の重要なポイントになっています。
    以上です。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。それでは、事務局から、この件について、環境省から先にご説明をお願いします。
  • 環境省(高橋) 環境省国立公園課の高橋啓介です。資料6をご覧ください。こちらに沿いましてユネスコエコパーク、ジオパーク、ラムサール条約湿地に関連する環境省の取組をご紹介させていただきます。
    お手元に参考のために国立公園のパンフレットも配付させていただいておりますので、こちらは適宜ご参照ください。
    まず、ユネスコエコパークは、生物多様性保全上重要な地域や、教育、研修、観光などの利用もできる地域が含まれており、国内では国立公園と重なっている地域が多いです。そのため、ユネスコエコパークの保護担保措置となる国立公園の適切な保護管理を通じて、コアエリアを中心に価値の保全が図られています。今後とも、生物多様性保全の観点からユネスコエコパークの推進に環境省として協力していきます。
    ラムサール条約は国際的に重要な湿地とそこに生息・生育する動植物の保全と賢明な利用を進めるための条約で、我が国はこの条約に基づき、国立公園や国指定鳥獣保護区等を保護担保措置として、現在46カ所をラムサール条約湿地として登録しております。
    続きましてジオパークです。国立公園は、重要な地形・地質についても優れた自然風景地を構成する要素として評価をして指定しております。そのため、現在ジオパークになっている地域、またはジオパークの候補となっている地域が国立公園と重なっている地域が多いです。そうしたことから、全国の国立公園において、ジオパークの取組と連携し、自然の保護と適切な利用の推進への取組を進めており、具体的には、そこの下に[1]から④番で掲げておりますとおり、まず、地形・地質的に重要な地域を国立公園として保全、ビジターセンターや標識といった施設整備を通じてジオパークの推進、火山や地質をテーマにした環境学習とか自然観察会を開催、ジオパーク登録に向けた支援として、ジオパークの審査などの対応も行っております。
    1枚めくっていただきまして2ページになりますけれども、現在、日本には5カ所の世界ジオパークとその5カ所の世界ジオパークを含む25カ所の日本ジオパークが指定されております。そのうち16カ所が国立公園と、5カ所が国定公園と重なっていて、多くの地域が国立・国定公園に重なっているということです。この中で先ほど申し上げたような取組を進めておりますけれども、本日は島原半島ジオパークを例にとりまして国立公園の施策をご紹介させていただきたいと存じます。
    3ページに入ります。まず、地形・地質の重要な地域の保全の推進ということですけれども、国立公園で地形・地質上重要な地域を保護しています。この地図をご覧になっていただくと、青い線で囲まれた地域が島原半島ジオパークのエリアになります。こちらは市の区域が全部含まれていて広い範囲になっておりますけれども、その中心の核心部分が国立公園として保全されております。特に重要な地点としましては、平成2年の噴火によってできた平成新山を雲仙の国立公園の核心地域として特別保護地区に指定して保護を図っております。眉山とか雲仙地獄も重要なジオサイトになっておりますが、こういったところを保護していることになります。
    4ページをご説明いたします。続いて施設整備になりますが、まず、ビジターセンターや標識の整備としまして、平成新山の歩道です。こちらは島原ジオパークの非常に重要な地域になりますけれども、島原ジオパーク推進協議会と相談をしながら、平成新山の警戒区域として規制されていたルートを環境省が整備をして、今年の5月11日に開通しております。この歩道では、有明海の大パノラマの眺望に加えて平成新山そのものとか火山の関係の風穴など、生きている火山を間近に楽しむことができるようなコースを設定しております。こういったコース設定やジオパークに関連する標識整備をして、地域振興の起爆剤としての役割を期待しているところです。
    また、島原半島にはビジターセンター等2つの施設を環境省が整備しております。1つが平成新山ネイチャーセンター、もう1つは雲仙お山の情報館になります。こういった施設の中で、実際に普賢岳の災害の状況を保存したり、火山の歴史や雲仙温泉の歴史などを紹介しております。
    6ページに入ります。こういった先ほど申し上げたビジターセンター等で実際にジオパークに関連する火山、地質をテーマにした展示を行ったりジオツアーの開催等を行っているところです。
    最後に7ページになりますけれども、雲仙天草国立公園雲仙地域で世界ジオパーク登録へのサポートとして、世界ジオパークネットワークから島原半島に調査に来た際に現場の環境省のレンジャーが説明を行いまして、特に国立公園の制度等できちんとジオサイトが保護されていることを説明しております。島原半島が世界ジオパークに認定される際には、この環境省と地方自治体との連携体制が非常に高く評価されたと聞いております。
    さらに、登録に際してだけではなくて、実際にジオパーク推進協議会の中で環境省の現場のレンジャーが参加しましてジオパークの取組の推進をしておりますし、また、今年の5月に雲仙でジオパーク国際ユネスコ会議が開催されておりますけれども、こういった国際会議の運営にも協力をさせていただいているところです。
    こういった形で国立公園の施策とジオパークの取組を連携してこれまでも取組を進めておりまして、また、さらに今後この取組を充実させていきたいと考えているところです。
    ありがとうございます。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。引き続き林野庁からお願いいたします。
  • 林野庁(鈴木) 林野庁経営企画課、鈴木と申します。資料はお手元の7でございます。私からはユネスコエコパーク、ジオパークなどの適切な維持保全に関連しまして、国有林野の管理経営に関する方針、保護制度、また、事例といたしまして綾ユネスコエコパークでの国有林の取組についてご説明させていただきたいと思います。
    1枚めくっていただきまして、国有林では管理経営に関する基本方針といたしまして、公益的機能の維持増進を旨とする方針の下で管理経営を実施することとしてございます。具体的には、個々の国有林野をご覧のように[1]から[5]にあるように重視すべき機能に応じて5つのタイプに区分いたしまして、その公益的機能を十分に発揮できるよう、それぞれの地域の自然特性を勘案しつつ、適切に森林の維持保全を進めているところであります。
    次の2ページでございます。また、国有林では、先駆的な自然環境の保全制度といたしまして保護林制度を設けてございます。具体的には原生的な森林生態系を厳正に保存する森林生態系保護地域、また、特殊な地形・地質の保護を図る特定地理等保護林など、目的に応じまして7種類の保護林を設定して厳格な保護管理を実施しているところでございます。現在、国有林の12%に当たる91万5000haを設定しているところでございます。こういった保護林制度につきましては、ユネスコエコパーク、ジオパークなどの地域の適切な維持・管理を制度的に担保するものと考えているところであります。
    次に3ページでございます。さらに、野生動植物の生息・生育域、移動経路を確保することにより、個体群の交流を促進し、生物多様性の保全を確保するため「緑の回廊」を設定しているところであります。国有林の約8%の59万2000haを設定しているところであります。
    次に、4ページに事例としまして綾エコパークでの国有林の取組を紹介させていただきたいと思います。国有林では、平成16年より綾の照葉樹林プロジェクトを展開しているところであります。本プロジェクトは、九州森林管理局から関係機関へ呼びかけを行いまして、国有林、民有林合わせて約9500haの区域におきまして、綾町を始めとする5者により協定を締結いたしまして、協働により、1つには原生的な照葉樹林の保護、2つ目には照葉樹林の復元活動などを継続して実施していくプロジェクトでございます。綾ユネスコエコパークの核心地域及び緩衝地域における中核的な取組となっているところであります。
    具体的にプロジェクトの取組についてご紹介したいと思います。5ページをお開きいただきたいと思います。プロジェクトでは、将来の森林の姿を見据えまして、1つは保護エリア、濃い緑色の部分、2つ目には復元エリア、薄い緑の部分、それから3つ目の持続的利用を行うエリア、青とピンクのこの3つに区分いたしましてさまざまな取組を行っているところでございます。
    次の6ページをめくっていただきまして、まず保護エリアでございますけれども、原生的な照葉樹林がまとまって存在している区域でありまして、保護林を設定しているところであります。特にエリアの南側には1000haを超える原生的な照葉樹林が広がっておりまして、綾森林生態系保護地域として保護を図っているところであります。綾ユネスコエコパークにおける核心地域となっているところでございます。保護林につきましては、5年に1度モニタリング調査を実施いたしまして、そのデータをもとに有識者による検討委員会の指摘もいただきながら保護管理を行っているところであります。
    2つ目の復元エリアでございますけれども、まず、「綾川上流緑の回廊」の設定を行ったところであります。さらに、照葉樹林への復元を図るために人工林の間伐などを行っております。これまで6年間で除伐88ha、間伐265haを実施したところであります。これらの作業に当たりましては、ボランティアの皆様方の参加もいただきながら進めているところであります。
    次に7ページ、最後でございますけど、持続的な利用を図るエリアにおきましては、1つには森林環境教育、森林セラピー、レクリエーションとしての利用を進めているところであります。また、環境に配慮しながら適正な間伐などを実施いたしまして、持続的に林産物の供給が可能となるような森づくりを進めているところであります。これらの取組とあわせまして保護林等のモニタリング調査などの調査を行っておりまして、各種取組の改善・見直しに反映するなど順応的な対策を進めているところであります。
    それから、広報、普及としまして、ウェブサイトの充実、関係機関と連携したシンポジウムの実施などに取り組んでおります。
    以上のように、国有林では綾の照葉樹林プロジェクトの取組を通じまして、関係機関と連携しながら、エコパークの理念と合致した自然と共生する地域づくり、また、地域の振興の貢献に努めているところであります。
    以上でございます。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。今それぞれご説明いただいたんですけれども、エコパーク、ジオパーク、世界遺産との比較対照表を事務局で資料8にまとめていただいているんですけれども、これの説明をお願いいたします。
  • 林野庁(櫻井) 私から資料8について説明させていただきます。A3の横の資料になります。広げてご覧ください。
    座長からご説明がありましたとおり、この後、ご議論いただく際のご参考としてユネスコエコパーク、世界自然遺産、世界ジオパークの3つの制度を比較した表を作っております。細かい説明につきましては、これまで説明いただいた内容と重複いたしますので省略しますが、まず目的、登録・認定の基準、その手続、その次がその登録認定を行う機関、その下がその事務局、その次が今世界全体で登録・認定されている件数を記載しております。世界自然遺産の欄については自然遺産と複合遺産の合計件数を記載しております。それからそれぞれの制度の開始年、その下に記載しているのが、これらの資料を作るに当たって参考としましたガイドライン等の原文、仮訳を掲載しているURLでございます。それから、こちらの表の中で「経済発展」と「経済開発」という言葉が混ざっておりますが、こちらは原文の英語ではどちらも「economic development」でございまして、ジオパークの欄では日本ジオパーク委員会で作成されている仮訳に合わせる形で「経済開発」という言葉になってございます。
    裏をめくっていただきますと、裏面は国内の取組状況を記載してございます。左側の表の上の欄は現在の国内の登録されている地域、件数でございます。その下の欄については、国の取組ということで、生物多様性国家戦略2012-2020に記載されております国の主な取組を挙げさせていただいております。右側の図については、現在の登録地を図で示しているものになります。
    以上でございます。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございます。色々ご説明を伺ったんですけれども、予定の時間が今回も来てしまって申しわけないんですけれども、少しだけ議論の時間を延長させていただきたいと思いますので、ご協力をお願いします。
    色々ご説明いただいたんですけれども、この委員会はあくまで自然遺産を考える委員会であって、それぞれのエコパークとかジオパークはもっとこうしなさいというような話はここでやるべきことではありませんので、そういうお話を踏まえて、自然遺産をこれから考えていく上に、こういう他のシステムとどういうふうにコラボしていくか、或いは仕分けをしていくかについて、しばしの時間ご議論をいただきたいと思いますけれども、どうぞ宜しくお願いいたします。どなたからでも。
  • 吉田委員 小泉先生に質問というふうな感じなんですけれども、ユネスコエコパークと世界自然遺産の関係は、ユネスコの中でも随分色々議論され、IUCNも議論して、この間、9月に韓国でありました世界自然保護会議の中でも80以上がオーバーラップしていて、ユネスコエコパークの方はトランジションゾーンがあるので、そういったものを生かして持続的な開発の方はそちらでやるというふうな、うまく役割分担ができるような、しかも、重ねていったらどうかという議論だと思います。ジオパークの方はお話を伺うと、そういう持続的な利用も入っていて、どちらかというとユネスコエコパークのトランジションエリアに近いものが入っています。私も世界ジオパークと世界自然遺産がどれだけ重なっているか数を数えたことがないのですが、実際重なっていてうまく役割分担している例があれば教えていただきたいと思います。
  • 小泉委員 それは渡辺さんの方がいいですね。すみません。
  • 渡辺企画運営グループ長(産業技術総合研究所) ご指摘のとおり世界遺産と重なっているところは結構あります。特に中国ですと、世界遺産の部分もジオパークに指定するんだけど、そこは人を入れない。その周りの部分をジオパークとして活用している例は結構あるようです。世界遺産とジオパークの関わりは、ジオパークがまだ正式なプログラムではないので、余り公的な場所でそんなにまだ議論されていないのではないかと思っています。
  • 堀尾協力官(文部科学省) そこについて、ジオパークがユネスコの正式プログラムにという議論がこの間の秋のユネスコの執行委員会でも出まして、そこはプログラムの重複がないように今後整理していくことになっております。
  • 中静委員 大変情報が多くて質問は沢山あるんですけど、質問じゃなくて、例えばジオパークがユネスコの事業になるかどうかというのもあるんですけど、エコパークは1976年から2012年まで1つも指定がなかったわけですよね。だから、そういうことを考えて、例えばユネスコですと文科省になるかもしれませんし、それぞれの具体的な管理とか保護担保ということになると環境省だったり林野庁だったりすることになると思うんですけど、今後それぞれの省庁さんでどういうふうな方針で考えておられるかをお話しいただけるとありがたいと思います。
  • 岩槻座長 文科省からまず。
  • 浅井室長(文部科学省) ユネスコエコパークのほうからいきますけれども、ユネスコエコパークについては、私どもの考えは、あくまでも地元本位という考えで今おりまして、自治体等、或いは地元が是非うちの地域はユネスコエコパークになりたいという相談があれば、それに乗っていくという方針でございます。上からといいますか、うちの方で幾つに増やす云々という形の計画は今持っておりませんけれども、国内でそういう声が上がるならば、そこで検討を始める。といいますのも、これはさっきから色々出ている持続ということを考えますと、地元が運営で積極的にずっと関わっていってもらわないと継続が難しいということもありますので、そこは一番重視しなければいけないと思っております。あくまでも政府からといいますか、役所のほうから押しつける云々ではなくて、地元からの声が上がってきたら、そこを助けていくという方針ですので、特に幾つ創る云々という形のものは持っていないということを申し上げます。
  • 岩槻座長 環境省、林野庁からも何かご発言いただけますか。
  • 環境省(亀澤) ユネスコエコパークに関しては文科省さんの所管となっていますけれども、実際の保護担保措置としては国立公園が中心になっておりますので、そういう意味では文科省さんと協力をして、地元の要望を踏まえて積極的に環境省としても対応していきたいと考えています。
  • 岩槻座長 その意味では、林野庁さんも場所の所有権者ということで。
  • 林野庁(大沼) 幾つかご相談いただいているものもありますので、協力できるところについて協力していくという立場で進めております。
  • 中静委員 例えば環境省さんだと保護担保措置としては積極的にこれを利用して保護地域を増やしていくという方針ではないということですか。地元で声が上がらなければ、これを利用した保護担保としてのエコパークをどんどん促進していくという感じではないということですか。
  • 岩槻座長 そのことに関しては、ここの自然遺産の議論の中で、例えば面積が小さかったりして自然遺産には難しいかもしれないけど。
  • 中静委員 そういう方針をお聞きしたいと思います。
  • 岩槻座長 そういうことはここで議論してもいいことなんですよね。よろしいですか。さらに議論を進めていただいたらいいと思います。
    ジオパークに関しては、今確かにまだユネスコの正規のものにはなっていないわけですけれども、依然としてユネスコの、しかも生態部門の事業にしようという進め方ですか。もしそうなったとしますと、今は産総研ですから経産省ですけれども、それは形式的には文科省の所管になるわけですよね。
  • 浅井室長(文部科学省) ジオパークについては、ユネスコの中では生態ではなくて、ユネスコも地質の部門を持っていまして、ユネスコの事業になるとそこが担当することになると思います。ユネスコの中でもIGCP(International Geoscience Program:地質科学国際研究計画)という地質の方の計画を持ってはおるんですけれども、いかんせん今のところでは、そういった政府間事業云々というのは、地質関係ではユネスコの公式部門は今はないという状況です。ですから、ユネスコの中で担当する部署は生態の部署とはまた別の部署になると思います。
  • 岩槻座長 そしたら、地質の部署になれば、日本はどの省庁が対応することになるんですか。
  • 浅井室長(文部科学省) ユネスコの中に入ってくれば、恐らく仕組みとして、文科省の国内委員会という形に変わってくる可能性がありますけれども、各国がどういう扱いをするかは、また各国内で協議をすることになると思います。窓口は国内委員会がなるとしても、実際に日本国内でどういう扱いになるかは、日本国内で決定できる形だと思います。
  • 堀尾協力官(文部科学省) 先ほどのユネスコの執行委員会でもその点はかなり議論になりまして、現在、この資料8にありますが、承認機関が世界ジオパークネットワークになっております。そういったところでユネスコの正式プログラムになったときに、ユネスコ事務局や承認の手続は世界ジオパークネットワーク会合という現在の仕組みとどういう関係にあるのかも整理をしないといけないということで、これからユネスコも整理をしていく予定になっておりますので、そのあたりを含めて今後議論になると思います。
  • 岩槻座長 中静委員の質問の中には、それを国内でどう対応するかということがあったと思うんですけれども、世界遺産の場合には世界遺産委員会で、窓口は外務省かもしらんけれども、実際は自然遺産の場合は環境省、林野庁が主として担当していいただいているということですけれども、ジオパークやエコパークは、条約じゃないですから外務省はコミットしなくていいわけですよね。だけども、文科省が主管をして他の省庁の協力を仰がれる。先ほどの環境省、林野庁のご発言も、それができたら保全には努力をするという話でしたけれども、形としてはこれからもそうなるわけですね。
  • 堀尾協力官(文部科学省) ユネスコエコパークは、仰られたようにここしばらく停滞していて、ユネスコ国内委員会にMAB計画分科会を持っており、そこでずっと議論してきております。今回もう1度活性化をしようとするときには、当然のことながら国立公園や国有林との関係もございますので、そこは環境省さんと林野庁さんとも協力をしながら進めていこうということで、現在、既に1980年に登録されたところの移行地域の設定を議論しているのですが、そこにも環境省さん、林野庁さんも地域事務所の担当官の方に来ていただいて議論を進めているところです。ジオパークにつきましては、今のところまだそこまでコミットした形にはなっておりませんので、また、産総研さんが事務局になって国内でのジオパークの活性化を図ってきていただいておりますので、そこは今後、それぞれのプログラムを国内で関係者が混乱しないようにうまく推進していくためにどういった形が良いのか、関係者で相談させていただきたいと思います。
  • 岩槻座長 形の上のことはそういうことなんですけれども、その他。
  • 敷田委員 質問ではなくコメントに近いものですけれども、3点述べさせていただきます。
    1つは、今特にジオパークの説明を聞いて考えたのですけれども、高度な利用がこれから基本になる可能性が非常に高いということです。登録されるものは、今までの実績や過去の培ってきたものが評価されますが、実際、登録以降は、10年、20年、30年と、そこからの利用、保全が課題になってきます。そういう点で、これからどういう風にそこが利用されていくのか、管理されていくのかということを、この登録の際に地域単位で考慮してもらうことが必要だと思います。その際には、利用するにも、ただ見るのではなしに、例えば付加価値の高い利用が必要です。エコツアーやジオツアー、ガイド施設、ガイド養成はそれを可能にします。特にこの点においては先進国に分類される日本でやるのですから、そこにある知的資産や科学的蓄積をフルに利用できる体制がそこにセットされる必要があると思います。それが1点目です。
    一方、世界自然遺産が立地しているのは、複数地域にまたがっていても、あくまでも1つの「地域」です。例えばMABのように地域への利益が還元される仕組みを組み込むことは、でき上がってしまってからでは仕組みづくりはなかなか進みませんし、事前の登録の際にこういうことが評価をされる、きちんと整理をされていくことが必要になると思います。
    3点目ですけれども、今の2つを実際的にやっていく、特に利用と保全を両立させていくためには、別々にこれを進めるのではなしに、恐らくそれが上手く調整できるプラットホームのようなものが必要になってくると思います。これは知床地域や今日ご紹介があった綾町の協働体制が参考になると思います。事前の登録の際に地元、関係者にこうした仕組みを考えていただく選定プロセスが必要になってくると思います。
    以上、意見です。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。もう終わりにする時間が迫ってきました。今、どうしてもというご発言なら、どうぞ。
  • 吉田委員 今日は世界自然遺産だけじゃなくてユネスコエコパーク、ジオパーク、それからラムサールから、国立公園から、あらゆる保護地域制度についてレビューされた。こういう機会は珍しいと思うんですけれども、考えてみれば、愛知目標の11を達成するためには、こういうことを常々国の中でやっていなくちゃいけない。今日、中静委員の質問に対しても、各省はちょっと腰が引けているというか、お互いに譲り合ってというか、そういう感じだったんですけれども、お互いに協力し合って進めていかないと愛知ターゲット11は達成できない。提案ですけれども、ここは世界自然遺産の話をするんですけれども、ターゲット11コミッティーのような連絡組織をつくって、お互いに持っている制度をうまく使ってターゲット11を実現する、或いは繋げていくことを常々やっていないと、今話している世界自然遺産も、その中でどういう位置を占めるかがはっきりしてこないんじゃないかと思います。
  • 岩槻座長 実はそういうことも申し上げようと思ったんですけれども、この委員会はあくまで自然遺産を考える委員会ですけれども、今日いただいた情報をもとにして、5回目は、今、吉田さんがおっしゃったようなことも含めて議論させていただいて、この委員会として何かそういうことを提言できるなら提言してもいいでしょうし、まとまらなかったらそういうことで終わってもいいと思います。いずれにしても、今日はもう時間が来ておりますので、ジオパーク、エコパークについて色々ご説明をいただきましてありがとうございました。
    議題のもう1つ、その他があります。その他というのは、要するに次どうするかという話ですけれども、事務局から説明をお願いいたします。
  • 林野庁(櫻井) 私から第5回目の懇談会について簡単にご説明させていただきます。
    まず、第5回目の懇談会では、本日、論点整理についてご議論いただいて、またご意見をいただきましたので、この後、岩槻座長と調整をさせていただきまして、その報告をさせていただきます。
    その後、この懇談会につきましては、世界自然遺産候補地を選定することを目的としているのではなくて、新たに世界遺産登録を目指す地域を検討する場合に、どういう考え方で整理するのが良いのかということを目的にさせていただいている懇談会でございます。最終回の第5回では、この考え方について委員の先生方からご意見をいただくことを予定してございます。また、これまでご議論いただきました内容、本日、論点整理で議論いただいた内容も踏まえまして、懇談会全体のまとめの文章を作成いただく予定でございますので、この点についてご説明をさせていただきます。宜しくお願いいたします。
  • 岩槻座長 どうもありがとうございました。いつものことで時間が大分延長してしまいましたけれども、次回にそういうことでまとめるということで、宜しくご協力をお願いいたします。
    それでは、これで今日は終わりにさせていただくということで、マイクを事務局へお返しします。
  • 林野庁(櫻井) 岩槻座長、ありがとうございました。次回の第5回につきましては、1月29日火曜日、10時から12時を予定しておりますので、宜しくお願いいたします。
    本日の議事はこれで終了いたします。長時間にわたりご議論いただきましてありがとうございました。

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