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エコツーリズム推進法

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1.西表島ではどのようにエコツーリズムに取り組んでいるのですか?

地域概要

西表島は沖縄県竹富町に位置する面積約290㎢、人口約2,400人の島です。アクセスはほぼ航路に限られており、東部の大原港、西部の上原港を通じて、石垣島や竹富町の他の島と結ばれています。島の大部分は亜熱帯の常緑広葉樹林に覆われています。豊富な雨量によって河川水系が発達しており、多くの滝や渓流が見られ、河口部には日本最大規模のマングローブ林もみられます。豊かな自然環境と独特の地史を反映して、イリオモテヤマネコをはじめとする数多くの希少種や固有種が生息・生育しており、2021年7月に同じ南西諸島の奄美大島、徳之島、沖縄島北部とともに「生物多様性」の登録基準で世界自然遺産に登録されました。海岸部や周辺海域には自然海岸やリーフが発達したサンゴ礁が各所に見られ、美しい景観を織りなしています。このような環境の中でひとの暮らしが営まれており、節祭や豊年祭などの伝統行事をはじめ、自然と密接に関わった独特の文化が色濃く残っています。


現状と課題

西表島においては、こうした豊かな自然を活かした観光産業が盛んに行われており、主要な産業となっています。観光の形態は、大型バスや動力船等で比較的大きなフィールドを利用する周遊型観光と、カヌーやトレッキング、海域でのアクティビティといった自然体験型観光(ガイドやインストラクターを伴う場合が多い)の大きく2種類に分けられます。近年の動向としては、周遊型観光はやや減少傾向にあるのに対し、自然体験型観光の増加が顕著であり、連動してガイド事業者数も急激に増加しています。石垣島から日帰りで訪れる観光旅行者が多く、西表島での宿泊率は約22%(平成27年度)にとどまっています。

一方で、西表島の観光には、自然環境や住民生活への影響といった課題も生じています。島全体のレベルでは、多数の観光旅行者の来訪により、定期船や水道といったインフラへの負荷や、観光旅行者のマナーの問題、イリオモテヤマネコの交通事故の増加といった課題が見られます。また、特に自然体験型観光については、ガイド事業者に関する課題やフィールドに関する課題が生じています。西表島では自然体験型観光の増加に伴いガイド事業者が急激に増加しており、その中には利用者の安全確保や自然環境への配慮等の認識が不十分と思われる者もいると指摘されています。また、ガイド事業者を統括する組織がなく、情報共有や連携が不足しています。利用フィールドについては、自然体験型観光のフィールド利用者数の増加を背景に、一部のフィールドでは過剰利用状態となっており、自然環境の劣化や利用者の快適性の低下が起きていると考えられます。また、並行して新たなフィールドにおける利用が無秩序に拡散、拡大しています。西表島の観光に伴う課題については、世界自然遺産登録時の要請事項としても指摘されており、観光客の訪問レベルを管理する仕組みづくりなどが求められています。このように、西表島においては適正な観光管理の下での自然環境に配慮した持続可能な観光への変革を行っていく必要があります。


取組

平成28年11月に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議」の下に西表島の適正な保全・管理を推進するための検討や関係機関の連絡・調整を行う会議体として「西表島部会」が設置され、観光を含めて世界自然遺産登録に関わる様々な課題への対応について議論が行われてきました。令和2年1月には、西表島部会において、西表島の持続的な観光利用を進めるための観光管理の基本方針をとりまとめた「持続可能な西表島のための来訪者管理基本計画」(以下、「来訪者管理計画」とする)が策定されました。来訪者管理計画の中では、西表島全体の観光管理の考え方として、入域観光客数の急激な増加を抑制するとともに観光に伴う影響を最小化するため、指標と基準値(年間及び1日あたりの入域観光客数の基準値等)を定め、モニタリングを実施しながら順応的に対策を講じていくことがうたわれています。また、それらを実現していくための基本方針や取組についても記載されています。

西表島の観光管理に関連する取組として、ガイド事業者に関する課題に対しては、令和2年4月に竹富町観光案内人条例が施行されており、西表島等で活動するガイド事業者の免許制度により、観光ガイドの質の向上やルール遵守の徹底に向けた取組が進みつつあります。その他、観光管理の取組を進めていくための資金を確保するため、西表島を訪問する観光利用者から入域料などとして資金を集める仕組みについても検討が進められているところです。また、地域住民が中心となって西表島の課題を解決し、西表島の動植物を守り伝統文化・営みを将来に伝えていくため、令和3年11月に一般財団法人「西表財団」が設立されており、関連する各種制度の運用・事業実施の支援等を担う組織となることが期待されています。これらの取組は、来訪者管理計画にも位置付けられています。

西表島の持続可能な観光を実現するためには、上記の様な取組に加えて、エコツーリズムの理念の下で自然体験型観光のフィールドに関する課題に対応したルール作りや資源の保護・育成等の取組を推進していく必要があります。

そのような状況を踏まえて、西表島において豊かで貴重な自然環境が保全され、また適切に利用されることで、広く地域振興にも貢献するエコツーリズムを実現することを目的として、令和元年10月に「竹富町西表島エコツーリズム推進協議会」(以下「推進協議会」とする)が立ち上げられました。推進協議会では、「適正利用とエコツーリズム推進体制構築に向けた検討会」をはじめとしたそれまでの検討成果を引き継ぎ、観光管理の仕組みや利用ルール等について様々な主体の参加の下で検討を行ってきました。こうした経緯を踏まえて、西表島における適正な観光管理および持続可能な観光の実現のため、エコツーリズム推進法に基づく全体構想を策定いたします。

なお、この「西表島エコツーリズム推進全体構想」においては、西表島の世界遺産地域を含む利用フィールドについて利用のルールを定めるほか、一部のフィールドについては、特定自然観光資源に指定して立入制限の仕組みを設けることにより、利用者数(訪問レベル)の管理を行うこととしています。本全体構想に基づく観光客の利用コントロールの仕組みは、世界自然遺産登録に伴う要請事項に対応するための保護管理体制の核となることが期待されています。


主なツアープログラム

1. カヌー・カヤック

カヌー・カヤック

西表島には大小様々な河川があり、景観や生息・生育する動植物も多様です。カヌー、カヤックに乗って自然の中で体を動かしながらそれらを体験・観察することができます。

また、シーカヤックでは海上に出て南国の海や砂浜の景観を楽しむことができます。


2. スタンドアップパドル(SUP)

スタンドアップパドル(SUP)

マングローブの発達した河川や波の静かな海などで、スタンドアップパドル(SUP)に乗ってゆったりと景観などを楽しむことができます。


3. 釣り

釣り

西表島周辺では、黒潮の流れに近い海やマングローブを流れる河川など、多様な環境で釣りを楽しむことができます。


4. 沢遊び・キャニオニング

沢遊び・キャニオニング

小さな滝や岩場など変化に富んだ景観を持つ西表島の渓流で、水遊びや川下りなどを楽しむことができます。


5. 遊覧船・ボートクルーズ

遊覧船・ボートクルーズ

西表島には国内有数の規模、種数のマングローブ林が成立しています。仲間川、浦内川、仲良川などの比較的大きな河川では、動力船に乗って船上から解説を聞きながら、誰でも容易にマングローブの観察や風景鑑賞を楽しむことができます。


6. トレッキング

トレッキング

西表島には希少種や固有種を含む様々な動植物が生息・生育しており、トレッキングを行いながらこれらの生物をより間近に観察することができます。また、自然度の高い渓流や滝など魅力的な景観を楽しむことができます。


7. 洞窟体験・ケイビング

洞窟体験・ケイビング

西表島には、石灰岩質の地盤に天然の洞窟が成立しており、洞窟の雰囲気や生物観察などを行うことができます。


8. 自然・生き物観察

自然・生き物観察

西表島には亜熱帯林、渓流、マングローブ、サンゴ礁の海など様々なタイプの自然環境がみられ、希少種や固有種を含む様々な動植物が生息・生育しており、これらの自然や生き物の観察を楽しむことができます。


9. ホタルツアー

ホタルツアー

西表島では、春季に森林で乱舞するヤエヤマヒメボタルを見ることができます。


10. サガリバナツアー

サガリバナツアー

西表島の河川沿いにはサガリバナが生育しているところも多くあります。そのような河川では、早朝に落下したサガリバナの花が水面に浮かぶ景色を見ることができます。


11. 星空ツアー

星空ツアー

西表島は竹富町内の離島や石垣島(西表石垣国立公園内)とともに星空保護区に指定されており、夜になれば満天の星空を眺めることができます。


12. 文化・歴史ツアー

文化・歴史ツアー

西表島には節祭や豊年祭などの祭事をはじめとして、自然環境と密接に結びついた特徴的な文化が残っており、それらの中には見学・体験できるものもあります。また、過去の歴史を伝える遺構もみられます。


13. シュノーケル

シュノーケル

推進地域の海域は透明度が高く、発達したサンゴ礁が多くみられ、生物も豊富に生息しています。それらの織り成す海中景観を観察しながら、シュノーケルを楽しむことができます。


14. ダイビング

ダイビング

推進地域の海域は透明度が高く、発達したサンゴ礁が多くみられ、生物も豊富に生息しています。それらの織り成す海中景観を観察しながら、ダイビングを楽しむことができます。


>>2.西表島のエコツーリズム推進全体構想はどのようなものですか?