生物多様性地域戦略

【地域の担当者用】こちらのページは主に官公庁・自治体職員や研究者向け情報です。

生物多様性基本法では、都道府県及び市町村は生物多様性地域戦略の策定に努めることとされています。地方公共団体が生物多様性地域戦略を策定する際に参考となる基本的な情報を紹介します。

生物多様性地域戦略とは

 生物多様性地域戦略は、生物多様性基本法に基づき地方公共団体が策定する、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画です。生物多様性基本法では、「都道府県及び市町村は、単独又は共同して(中略)生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画(生物多様性地域戦略)を定めるよう努めなければならない」と規定されています(第13条)。
 「生物多様性地域戦略策定の手引き」は、生物多様性基本法が平成20年に施行され、生物多様性地域戦略の策定が地方公共団体の努力義務として位置づけられたことから、地方公共団体向けマニュアルとして平成21年9月に作成されました。その後、平成22年3月に生物多様性国家戦略2010が策定されたことを受けて、平成22年5月に小幅な改訂を行いました。
 平成24年9月に、生物多様性に関する新たな国際目標である愛知目標の達成などを目指して生物多様性国家戦略2012-2020が策定されたことなどを踏まえ、平成26年3月末に、内容を全面的に改めた「生物多様性地域戦略策定の手引き(改定版)を作成しました。
 そして今般、令和4年12月に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえた生物多様性国家戦略2023-2030が策定されたことから、再度内容を全面的に改めた「生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)」を作成しました。
 〇 生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)(本文)[PDF][Word
 〇 生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)(ひながた)[PDF][Word
 〇 生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)(指標カタログ)[PDF][Excel

 令和5年度には、全国13の地域へ地域戦略の策定・改定に関する技術的支援を実施しました。このノウハウ等をもとに、「生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)概要」を作成しましたので、あわせてご活用ください。
 〇 生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)概要版[PDF

(参考)
 生物多様性地域戦略策定の手引き(平成26年度版)[PDF

他の関連計画との総合策定

 現在地域戦略を策定している地方公共団体のうち、およそ4割は、他の関連する計画と統合策定されています。このため、統合策定のメリットなどやいくつかの統合策定パターンを示した資料を作成しましたので、統合策定をご検討の際にはぜひご活用ください。

 他の関連計画との統合策定[PDF

生物多様性地域戦略データベース

各地方公共団体の地域戦略の基本情報のほか、記載事項をとりまとめたもので、戦略策定自治体数のグラフや地域戦略毎のカルテの抽出、注目する特徴の検索等に活用できるデータベースです。

 データベース項目一覧[PDF
    データベース項目の説明[PDF
 生物多様性地域戦略データベース(令和7年1月1日時点)[Excel
 (策定済自治体数:225(47都道府県・178市区町村))

 

生物多様性地域戦略のレビュー(平成29年4月)

 都道府県・市区町村により策定された生物多様性地域戦略について文献調査を行い、特徴や傾向を分析しました。また、このうち11市区町にインタビューを行い、策定に至った経緯や、地域戦略の策定・実施時の困難点、地域ごとに工夫されている点等についてとりまとめました。さらに、これらを基に、新たに地域戦略を策定いただく際の参考となるよう、策定を促進するにはどうしたらよいか、地域の利益関心と地域戦略をつなぐにはどうしたらよいか、という視点から考察を試みました。
 なお、結果や考察につきましては環境省の判断に基づくものであり、各地方公共団体の考えを反映したものではありません。

 生物多様性地域戦略レビュー(調査結果、考察)[PDF
 レビュー巻末資料(調査項目、基準等)[PDF

生物多様性保全に対する地方自治体への国際的な期待の高まり

 生物多様性保全に対する地方自治体への期待は、2008年の生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)での国際市長会議2010年のCOP10での国際自治体会議を経て高まり、COP10での「都市と地方自治体の生物多様性に関する行動計画(2011-2020)」の承認につながりました。国際自治体会議はその後もCOPに併せて開催されており、特に「生物多様性の主流化」や「資源動員」への地方自治体の貢献が注目され、COP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施強化に向けても、地方自治体の役割は重視されています。

■エジンバラ・プロセス
 新たな世界目標を含むCOP15での決定において、世界の自治体からの意見を反映させるために、スコットランド政府が主催し、各国の自治体や団体が参加し、進めている一連の取組です。ウェールズ政府、英国環境・食糧・農村地域省、イクレイ、そして「愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合」(2016年に愛知県が世界の広域自治体と設立)等が共催しています。COP10で承認された「都市と地方自治体の生物多様性に関する行動計画(2011-2020)」の後継計画として、エジンバラ・プロセスでは新たに「更新版地方政府・都市・その他地方自治体のための生物多様性に関する行動計画」の案と地方自治体等の参画に関する勧告案を提示しており、カナダ・モントリオールで開催されたCOP15において採択されました。

■エジンバラ宣言
 エジンバラ・プロセスを通じて世界の自治体からの意見を宣言としてまとめた文書で、2020年8月31日に公開されました。この宣言は、COP15やその準備会合で締約国に提示し、「ポスト2020生物多様性枠組」において自治体がより大きな役割を果たし、生物多様性の保全と再生に貢献することを目指すと表明したものです。世界中の自治体等からの賛同署名を募り、日本国内では、愛知県から生物多様性自治体ネットワークを通じて全国の自治体に呼びかけるなどした結果、54の地方公共団体が署名を行い、日本の署名数が最多となりました。

エジンバラ宣言(英語版)
エジンバラ宣言(日本語版)
エジンバラ宣言に署名した日本の自治体

■COP15で採択された決定事項(政府、都市及びその他の地方自治体の関与)
 昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施を支援することを意図して、2022年12月19日に「15/12.昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施を強化するための、サブナショナル政府、都市及びその他の地方自治体の関与」が採択されました。本項においては、条約の実施に当たっては自治体が重要な役割を果たすことを認識し、自治体の関与を促進するものとしています。付属書の定める「生物多様性のためのサブナショナル政府、都市及びその他の地方自治体に関する行動計画」においては、自治体の参加を促すための活動として、生物多様性地域戦略の策定を推奨することや能力開発・技術移転の取組の実施の支援等が示され、政府だけでなく自治体も含めた活動展開がなされるべきとされています。

1512.昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施を強化するための、サブナショナル政府、都市及びその他の地方自治体の関与(英語版)
1512.昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施を強化するための、サブナショナル政府、都市及びその他の地方自治体の関与(日本語版(愛知県・イクレイ日本作成))

お問合せ

生物多様性地域戦略に関するご質問は、以下のご連絡先までお問い合わせください。
環境省 自然環境局自然環境計画課 地域ネイチャーポジティブ推進室
電話:03-5521-8343