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FAQs(よくある質問)

「生物多様性の観点から重要度の高い海域」に関してよくある質問とその応えを以下にまとめました。

Q1 「生物多様性の観点から重要度の高い海域」とならなかった場所は、重要ではないということですか?

いいえ。「生物多様性の観点から重要度の高い海域」の抽出は、生物多様性の観点から重要度の高い海域を明らかにし、予防的視点から効果的な保全を進め、もって海洋生物多様性の保全の推進と持続可能な利用に資することを目的として行ったものです。

ですから、あくまで保全施策を効果的に進めるという観点で抽出しているのであって、生物多様性の観点から重要度の高い海域とならなかった場所が「重要ではない」という意味ではありません。

Q2 沿岸や海底の地形・地質が特異な場所は保全上重要と思われますが、生物多様性の観点から重要度の高い海域になっていますか?

いいえ。海域の抽出は、「海洋生物多様性の保全の推進と持続可能な利用に資する」という目的のもと、「生態学的・生物学的な観点」から行うようにしています(原則①)。このため、生物学的・生態学的な観点から基準を設け(抽出基準)、これに当てはまる海域を特定して抽出しています。

ですから、生物の生息・生育場所としての重要性を判断するために地形や海流等の物理環境を考慮している場合はありますが、どれほど特異な地形であっても、それを直接の理由として生物多様性の観点から重要度の高い海域にはしていません。

Q3 既に国立公園や採捕禁止区域などの保護地域が設定されている海域は保全上重要と思われますが、生物多様性の観点から重要度の高い海域になっていますか?

いいえ。生物多様性の観点から重要度の高い海域は「生態学的・生物学的な観点」から抽出するものであり、社会的、経済的、文化的な重要性は考慮しないことにしています(原則①)。このため、生態学的・生物学的な観点から基準を設け(抽出基準)、各基準の要素を示す生物の分布等のデータに基づいて抽出しています。

たしかに、国立公園などの保護地域の存在は何らかの重要性を示唆していますが、保護地域の設定そのものは社会的な営為であり、直接に生物学的・生態学的な重要性を示すものとは扱っていません。

Q4 開発計画が決まっているなど近い将来に確実に失われる場所は保全上重要と思われますが、生物多様性の観点から重要度の高い海域になっていますか?

いいえ。生物多様性の観点から重要度の高い海域は「生態学的・生物学的な観点」から抽出するものであり、重要性の判断にあたり人為的な負荷要因や消滅等の危機の程度は考慮しないようにしています(原則①)。

たしかに、生物多様性の観点から重要度の高い海域は海洋の生物多様性の保全を目的としていますが、生態学的・生物学的の観点からの基礎資料であって、保全施策の対象とすべき場所を直接示すためものではありません。

Q5 たまたま根拠となる情報・データがなくても、抽出基準に該当することが明白な場所は生物多様性の観点から重要度の高い海域としてよいのではないでしょうか?

いいえ。生物多様性の観点から重要度の高い海域は「科学的・客観的に抽出する」もので、抽出作業は「科学的データ」によるとしています(原則②)。このため、客観的な基準を設けた上で、各基準の要素を示す科学的なデータを収集し、これらをもとに一定の方法で解析することによって重要な場所を抽出しています(解析手法)。

たしかに、抽出基準に該当すると思われる場所はあるかもしれませんが、残念ながら根拠となるデータが入手できないことがあり、こうした場合には抽出されていません(Q6もご参照ください)。

Q6 そもそも海の生物多様性に関する科学的データは少ないと思われますが、重要な海域を見落とさないために手当てをしていますか?

はい。まず、入手可能なデータを用いた解析により、グリッド単位で重要な場所を特定し、それを機械的に括った区域線案を作成しました。それに対して、多数の専門家(学術研究団体に所属しているなどにより専門的能力を有すると認められる者)から意見を収集し、それに基づき修正を行うことによってデータの不足を補うようにしました。なお、今後の知見の充実を踏まえ、10年度程度を目途に見直しを行うものとしています。

Q7 抽出基準の要素(特定の種の分布限界や繁殖域・産卵域、絶滅危惧種の生息地、藻場・干潟など生産性の高い場所、自然海岸など)を示すデータがあれば、その場所は生物多様性の観点から重要度の高い海域として抽出されますか?

いいえ。生物多様性の観点から重要度の高い海域は「保全施策に活用しやすい形で抽出する」ものであって(原則③)、抽出基準に該当するのは相対的に重要性の高い海域に限るものとしています。このため解析手法を検討し、これら各基準への適合性の高さや非代替性の高さの観点から重要性が高いと評価された海域を抽出しています(解析手法)。

例えば、ウミガメの産卵場所である、絶滅危惧種の生息場所である、藻場・干潟があるなど、抽出基準の要素が存在する場所はありますが、それだけでは「重要性が高い」と評価されず、したがって抽出していない場合があります。

Q8 生物多様性の観点から重要度の高い海域として抽出されたことによって、その区域内で人間活動が制限されるのですか?あるいは生物多様性の観点から重要度の高い海域とされたその場所が、そのまま保護地域になるのでしょうか?

いいえ。たしかに「生物多様性の観点から重要度の高い海域」は海洋生物多様性の保全を目的とし、海洋保護区の設定などの保全施策の基礎資料となることが期待されていますが、抽出した区域がそのまま規制等を含む海洋保護区などの保全施策を行う対象になるものではありません(原則③)。今後は、この基礎資料(生物多様性の観点から重要度の高い海域)を踏まえ、社会的・経済的事情等を勘案して、保全や管理などの施策を進めていくことが想定されます。

Q9 生物多様性の観点から重要度の高い海域は、今後見直しなどが行われるのでしょうか?

はい。生物の分布情報などの海洋環境の変化が想定されることや知見の充実を踏まえ、10年後程度を目処として見直しを行うこととしています。その際には生物の分布情報のデータなど、あらゆる方面からのデータの提供などを呼びかけ、見直しのための資料としたいと考えています。