環境省における契約手続(工事関連を除く)の概要

平成19年3月
環境省大臣官房会計課

はじめに

 環境省の業務を受注いただいている企業、公益法人、NPO等の皆様方におかれては、日頃から環境行政の推進についてご協力、ご尽力いただき、誠にありがとうございます。
 昨年来、政府においては、公共調達の適正化を図るため、随意契約の見直し等を進めてきたところであり、本年1月26日には、各府省が「随意契約見直し計画」を改定し、ホームページ等で公表しています。
 環境省においても、同計画で「随意契約によることが真にやむを得ないものを除き、競争入札に移行することはもちろん、それが困難なものでも、極力企画競争・公募を行うこととした。」と記載しています。
https://www.env.go.jp/kanbo/chotatsu/zuikeiminaosi/index.html参照
 このような公共調達の適正化を実現していくため、環境省においては、「総合評価落札方式」による一般競争入札や「参加者確認公募方式」による随意契約の手続を整備するとともに、契約実務の改善を図っていくこととしています。
 以下では、環境省における今後の契約手続の概要をご説明いたしますので、ご参考にしてください。
 なお、以下の説明は、主として物品、役務等の調達に関する契約手続に関するものであり、工事、測量、建設コンサルタント等の公共工事関係業務の契約手続については、異なる手続が適用されることがありますので、ご注意ください。
 また、いわゆる競争的資金等による技術開発事業やモデル事業等の実施に当たり、事業実施者を公募し、審査を経て選定した上で、委託契約や請負契約を締結する場合があります。この場合、この環境本省の『調達情報』欄とは別の『公募情報』欄等で募集を行い、それぞれの募集要領に従って事業実施者の選定及び契約手続が行われることがありますので、ご注意ください。

(注)環境省の契約実務の改善については、学識経験者、実務家等による研究会の報告が出されていますので、ご参照ください。

1.契約手続の類型

(1)一般競争入札

[1]最低価格落札方式

 入札において最も低い価格を提示した者を落札者として契約締結を行う手続です。政府が締結する契約の原則的手続になります。
 この手続については、これまでと同様の方法により実施していく予定ですが、契約実務上では、仕様書の精緻化等、入札者が適切な入札及び業務執行が行えるよう、改善に努めていくこととしています。

[2]総合評価落札方式

 入札において、価格入札のみならず事業者の専門的知識、技術及び創意等(以下「技術等」という。)を提示する提案書の提出を求め、価格と技術等の総合評価により落札者を定めて契約を締結する方式です。
 総合評価落札方式の入札手続はこちら
 総合評価落札方式の入札は、現時点では、工事関連を除くと、研究開発、調査及び広報の業務並びにコンピューター関連調達に適用できることになっています。

(2)随意契約

[1]競争的手続を経ない随意契約

 政府全体として競争入札に付さずに契約を締結する随意契約が多すぎるのではないか、ということで、前述の「随意契約見直し計画」が策定されました。
 政府において競争的な手続を経ない随意契約がやむを得ない例示としては、次のようなものとされており(平成18年8月25日付け財務大臣通知)、環境省でも、この例示を踏まえて、競争的手続を経ない随意契約の削減に努めていくこととしています。

○競争的手続を経ない随意契約がやむを得ない例
  • 1)契約の相手方が法令等の規定により明確に特定されるもの
    • (イ)法令の規定により、契約の相手方が一に定められているもの
    • (ロ)条約等の国際的取決めにより、契約の相手方が一に定められているもの
    • (ハ)閣議決定による国家的プロジェクトにおいて、当該閣議決定により、その実施者が明示されているもの
    • (ニ)地方公共団体との取決めにより、契約の相手方が一に定められているもの
  • 2)当該場所でなければ行政事務を行うことが不可能であることから場所が限定され、供給者が一に特定される賃貸借契約(当該契約に付随する契約を含む。)
  • 3)法律案の印刷等
  • 4)その他
    • (イ)電気、ガス若しくは水又は電話に係る役務について、供給又は提供を受けるもの(提供を行うことが可能な業者が一の場合に限る。)
    • (ロ)郵便に関する料金(信書に係るものであって料金を後納するもの。)
    • (ハ)再販売価格が維持されている場合及び供給元が一の場合における出版元等からの書籍の購入
    • (ニ)美術館等における美術品及び工芸品等の購入
    • (ホ)行政目的を達成するために不可欠な特定の情報について当該情報を提供することが可能な者から提供を受けるもの

*以上の例に準ずるものについては、同様に取扱うものとする。

[2]参加者確認公募を経た随意契約

 前述の平成18年8月の財務大臣通知では、『公募は、従来、研究開発等を委託する場合等に特殊な技術又は設備等が不可欠であるとして、発注者の判断により、特定の者と契約していたようなものについて、当該技術又は設備等を有している者が、他にいる場合がないとは言い切れないことから、必要な技術又は設備等を明示したうえで参加者を募るものである。』とし、これまで競争的手続を経ずに随意契約していたような調達案件について、他に契約相手になりうる者がいないことを確認するための『公募』を行うよう求めています。

 このため環境省では、これを「参加者確認公募」と名付けて、手続の整備を行いました。
 参加者確認公募の手続はこちら
 公募を行った結果、やはり1者しか契約相手となるべき者がいないと確認できた場合は、その者と随意契約を締結することになります。
 参加者確認公募は、「公募」とは言うものの、「他に契約相手がいないことを確認するために」行うものであることから、事業者の皆様が公示をご覧になっても、応募できる場合はとても少ないことと思います。このような手続の趣旨をご理解いただきますようお願い申し上げます。

[3]企画競争を経た随意契約

 前述の平成18年8月の財務大臣通知では、『企画競争とは、複数の者に企画書等の提出を求め、その内容について審査を行う方法をいう。』とされており、環境省でもこの企画競争方式による手続を整備して、多くの調達案件に適用しています。
 企画競争の手続はこちら
 総合評価落札方式の入札と企画競争方式は、事業者が提案書、企画書を作成する点(=事業者の技術等を評価して契約相手を決める)では類似していますが、前者は、入札価格と提案書を総合評価して落札者を決める、後者は、予算額をあらかじめ示した上で、その予算額の範囲内で優秀な企画書を提出した者を選定して随意契約を行う、という点で違いがあります。
 総合評価落札方式の入札の仕組みが整備されたため、企画競争方式はこれを補完するものと位置付けられます。したがって、研究開発、調査及び広報の業務並びにコンピューター関連調達については、原則として総合評価落札方式による入札によることになりますが、これらの業務であっても、例えば入札のための仕様書の具体化が困難など、入札により難い事情があるときは、企画競争方式を適用することがあります。また、上記4種類以外の業務であって、事業者の技術等を評価して契約相手を選定する必要がある場合は、企画競争方式を適用することになります。

2.契約手続に係る留意事項

(1)契約期間と契約更新

 政府予算が単年度主義であることから、政府が締結する契約は、原則として年度単位で契約が行われます。ただし、予算上、国庫債務負担行為が認められたもの(例えば、機器のリース契約)については、複数年度にまたがる契約を締結することができます。
 環境省の予算においては、国庫債務負担行為が認められているものはまだ少ない状況ですが、今後、必要なものについては複数年度契約ができるよう予算上の措置をしていく予定です。
 一方、環境省が調達する業務の中には、単年度毎に契約を締結するとしても、それにより毎年度契約相手が変わるのでは、目的とする成果を上げることができず、あるいは経費が余計にかかってしまうようなものもあります。このような場合には、契約は単年度毎に締結するとしても、その契約相手の選定に当たっては、事業者に複数年度にわたる企画提案を求め、その結果選定された契約相手と複数年度、契約を更新する、という方法を取ることがあります。
 総合評価落札方式の入札や企画競争において、複数年度にわたる提案書や企画書の作成を求める場合がありますが、このような趣旨で行っていますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
 ただし、複数年度にわたる企画提案が採択された場合でも、次年度以降に所要の予算措置が行われないなどの事態が生ずると、次年度の契約を締結することはできません。また、次年度において契約を継続するかどうかは、前年度の業務の成果を評価して判断することになります。いずれにしても、複数年度にわたる企画提案が採択されても、必ず次年度以降の契約締結が保証されるものではないことにご留意願います。

(2)低入札価格問題

 随意契約の見直しに伴い、環境省においても一般競争入札を多数実施しています。これに伴い、予定価格に対して著しく低い価格で入札が行われたため、その者によっては当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると疑われる例が少なからず発生しています。
 この場合、最低価格で入札した者を落札者とする決定を保留し、契約内容に適合した履行がされないおそれがあるかどうかについて、環境省において調査を行い、おそれがあると認められた場合には、所要の手続を経て次順位の入札者を落札者とすることになります。
 環境省では、予定価格が1,000万円を超える請負業務について最低入札価格が予定価格の6割未満の額となった場合に、この低入札価格調査を行うこととしており、総合評価落札方式の入札を実施する場合も同様です。低入札価格調査では、当該入札者に、その価格で応札した理由、経費内訳書、手持ち業務の状況、財務状況等について資料を作成していただき、ヒアリングを実施することになります。
 このように低入札価格調査は、その入札者に新たな負担がかかるとともに請負業務の開始が遅れるなど、入札者にとっても、環境省にとっても、好ましい事態ではありません。低入札価格調査をできるだけ避けるためには、環境省において業務仕様書の作成や予定価格の設定を的確に行うことはもとより、事業者におかれても、必要な人件費を計上しないなどの無理な入札価格の設定は避け、業務内容に応じた適正な価格での入札をお願いします。
 環境省の業務発注の基本的姿勢は、民間の優れた知識、技術、経験等を活用することによって優秀な業務成果を得て、環境政策を推進することであり、優秀な成果に対しては正当な対価を支払うべきものと考えています。そして、環境に関する技術や知識が経済社会において正当に評価され、ビジネスとして成り立つことが持続可能な経済社会の形成につながると考えています。このような見地からも、価格ばかりでなく事業者の技術や創意等を評価して契約相手を選定する総合評価落札方式の入札や企画競争方式の適用を拡大しています。
 事業者におかれても、「安かろう、悪かろう」の価格競争ではなく、素晴らしい技術や知識を積極的に取得し、それらに正当な価格を付けて競争に臨まれるようお願いします。

(3)再委任の制限、その他

 政府が行う調達契約は、上述のような契約相手選定手続を経て行われることから、そうして選定された契約相手方が受注業務を一括して第三者に再委任することは禁止されています。また、一部の業務を再委任する場合には、環境省の承認を得て行う必要がありますので、ご留意ください。
 さらに、『公共調達の適正化』が社会的に注目されている関係上、国会等からの要請に応じて、環境省の契約相手方となられた皆様方に関する情報を収集する必要が生ずる場合があります。このような場合に、環境省から情報提供をお願いすることがありますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

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