環境影響評価法第52条第2項により適用除外の対象となる発電設備設置等の事業の実施について

 環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)第52条第2項による環境影響評価手続の適用除外の対象となる、東日本大震災により原形に復旧することが不可能となった自社の発電設備の電気供給量を補うために、東京電力が、当該発電設備に係る発電所以外の場所で行う発電設備の設置等の事業は、以下のように行われることとする旨、平成23年4月4日付で経済産業省、環境省両省において確認しました。

(1) 適用除外の対象となる事業の範囲

 適用除外の対象となる事業の範囲は、東日本大震災の影響により原形に復旧することが不可能となった自社の発電設備の電気供給力を補うために、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が、当該発電設備に係る発電所以外の場所で行う発電設備の設置等の事業(以下「災害復旧のための発電設備設置事業」という。)であって、以下の要件をいずれも満たすものとして復旧計画(同社の防災業務計画に基づき、東日本大震災に関して定められる復旧計画をいい、以下単に「復旧計画」という。)に定められるものとする。

[1] 発電設備の設置場所に関する要件
 東京電力の供給区域内に従来から存在する同社の発電所の敷地内で行われる事業
[2] 事業実施期間に関する要件
 東日本大震災の発生の日から3年程度以内に発電設備の供用を開始する予定の事業として、同日から1年以内に東京電力の定める復旧計画に定められる事業

 なお、地震の発生の日の時点において、環境影響評価の手続中であった事業についても、上記の要件を満たす限りにおいては、適用除外の対象となる事業の範囲に含まれる。

※具体的な供給力として評価できるかにより判断。
 具体的には、運転開始又は試運転期間であって発電設備が安定した供給力として見込めるようになることを「供用を開始する」と判断する。

(2) 復旧計画の策定

 東京電力が復旧計画を策定するに当たっては、実施しようとする災害復旧のための発電設備設置事業のうち、環境影響評価法の第二種事業又は対象事業に当たるものの内容(設置する発電設備の原動力の種類、出力、配置計画の概要等)を明らかにすることとする。実施しようとする災害復旧のための発電設備設置事業の内容に変更・追加が生じた場合には、その都度、復旧計画を改定することとする。

(3) 災害復旧のための発電設備設置事業の実施に当たって講じられるべき措置

 防災上の観点から緊急に事業を行う必要のあるものについて適用除外にするという法第52条第2項の規定の趣旨に鑑みれば、適用除外の対象となる事業であっても、法の趣旨に則った可能な限りの措置が講じられるべきであることから、経済産業省は、東京電力に対し、災害復旧のための発電設備設置事業の実施に当たって以下の措置が講じられるよう、指導することとする。

[1] 復旧計画の送付、公表等
 東京電力は、復旧計画を策定又は改定したときは、同計画中の災害復旧のための発電設備設置事業に係る部分を公表するとともに、経済産業大臣及び関係地方公共団体の長に対し送付する。また、経済産業大臣は、当該計画の送付を受けたときは、環境大臣に当該計画の写しを速やかに送付する。
[2] 環境影響を最小化するための配慮
 東京電力は、当該事業の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の発電設備の供用に伴って生ずる影響を含む。以下単に「環境影響」という。)について可能な限り詳細な予測を行った上で、当該事業による環境影響を最小化するための実行可能な最大限の配慮を行う。
[3] 関係地方公共団体・住民に対する説明等
 東京電力は、事業の実施前に(災害復旧の観点から、事業着手の緊急性が著しく高い場合については、事業開始後速やかに)事業の内容、発電設備の供用方法の方針、予測される環境影響、講ずる予定の環境保全措置等について、関係地方公共団体及びその地域の住民に対する説明及び意見聴取等を行うことにより、当該事業に関して関係地方公共団体及び住民からの理解が最大限得られるよう努める。
[4] 事業実施中及び供用開始後に実施する環境保全措置
 東京電力は、事業の実施中及び供用開始後においては、その環境影響について継続的に調査を行うとともにその調査結果を公表することとする。また、調査の結果、環境影響を低減させるための措置を講ずる必要があると考えられる場合には、一日における供用時間を短縮する等、然るべき措置を講ずる。
[5] 東京電力の電力系統全体から発生する環境影響を低減させるための措置
 災害復旧のための発電設備設置事業に一定の進展が見られた場合には、東京電力は、環境影響のより大きな発電設備から優先的に運転を停止する等の措置を講じることにより、同社の電力系統全体から発生する環境影響が、東日本大震災発生前の水準まで、可能な限り速やかに低減するよう努める。
[6] 環境保全措置の公表
 東京電力は、[4]又は[5]に基づく環境保全措置を講じた場合には、講じた措置の内容に関する積極的な公表を行うことにより、関係地方公共団体及び住民の理解の醸成に努める。

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