法令・告示・通達
国立公園及び国定公園の許可、届出等の取扱要領の廃止について
環自計86・環自国18012
第一章 総則
(通則)
第一
国立公園に係る自然公園法(昭和三二年法律第一六一号。以下「法」という。)第一七条第一項に規定する特別地域(特別保護地区を除く。以下同じ。)、第一八条第一項に規定する特別保護地区、第一八条の二第一項に規定する海中公園地区又は第二〇条第一項に規定する普通地域内において行う行為に関する許可、届出、報告、違反行為に対する措置又は損失補償等に関しては、法、自然公園法施行令(昭和三二年政令第二九八号。以下「令」という。)及び自然公園法施行規則(昭和三二年厚生省令第四一号。以下「規則」という。)の規定によるもののほか、この要領の定めるところによる。
第二章 許可
第一節 一般的事項
(許可申請書の様式)
第二
規則第一〇条第一項の規定による申請書は、別記様式第一によるものとする。
(許可申請内容の事前指導)
第三
許可申請に関し相談を受けたときは、申請に係る行為の内容及び申請書の内容が法、令、規則及び本要領に照らし適切なものとなるよう指導に努めるものとする。なお、指導に際しては、行政手続法(平成五年法律第八八号)第三二条から第三六条までの規定に留意するものとする。
(許可申請書の審査等)
第四
- 一 自然保護事務所長は、申請書が提出されたときは、当該申請書について不備又は不足するものがないことを確認し、不備又は不足するものがある場合には相当の期間を定め、申請者に補正させた上で、申請書が提出された日(申請書の不備又は不足について補正を求めた場合にあっては、当該補正がなされた日)から起算して原則として一月以内に、次の各号に掲げる事項について審査し、その内容が自然保護事務所長の専決処理に関する訓令に定める専決事項に該当するものにあっては自ら処理し、その他のものにあっては別に定める様式による調書を添えて国立公園課長に送付するものとする。
- (一) 公園計画との関係
- (二) 行為地及び行為地周辺の状況
- (三) 施行方法の適否
- (四) 風致景観又は行為地周辺の環境に及ぼす影響
- (五) 許否に関する意見及び許可する場合の条件
- (六) 他法令による処分の状況
- (七) 土地所有者の諾否
- (八) その他許否の判断に必要な事項
- 二 申請書に不備又は不足するものがある場合に行う補正の要求は、補正に要する相当の期間を定めて行うものとする。
なお、相当の期間を経過しても申請書の不備等が補正されない場合にあっては、速やかに行政手続法第七条の規定に沿って申請を拒否する処分を行うものとする。 - 三 自然保護事務所長は、申請書の提出があった後、規則第一〇条第四項の規定により同条第三項各号に掲げる事項を記載した書類の提出を求めた場合は、一の規定中「申請書」を「規則第一〇条第三項各号に掲げる事項を記載した書類」と読み替えて、一の規定を適用する。
- 四 本庁においては、自然保護事務所長から申請書の送付を受けた日から起算して原則として一月以内に処理するものとする。ただし、申請書の内容の不備その他の事由により指導を要する場合は、この限りでない。
(許可に関する審査基準)
第五
- 一 許可申請の許可の適否の審査に当たっては、規則第一一条に規定する許可基準、同条第三〇項の規定に基づき環境庁長官が定める許可基準の特例のほか、同条各項に規定する基準の内容を地域の自然的、社会的条件に応じて具体化した国立公園管理計画(「国立公園管理計画作成要領について」(昭和五五年七月二一日付け環自保第三三一号自然保護局長通知)に基づき定められた国立公園管理計画をいう。)の風致景観の管理に関する事項の許可、届出等取扱方針(三において「取扱方針」という。)によるものとする。
- 二 規則第一一条に規定する基準の解釈及び運用に当たっては、別途通知する「自然公園法の行為許可の基準の細部解釈及び運用方法について」において定める細部解釈及び運用方法(三において「細部解釈等」という。)によるものとする。
- 三 取扱方針及び細部解釈等は、行政手続法第五条第一項に規定する審査基準として取り扱うこととし、これらについては、同条第三項の規定により、自然保護事務所において備付けその他の適当な方法により公にするものとする。
(申請の拒否又は不許可処分に当たっての理由の提示)
第六
許可申請に対し申請の拒否又は不許可の処分を行う場合には、行政手続法第八条の規定により、処分の内容を通知する書面(以下「指令書」という。)にその理由を記載するものとする。
(許可に際しての条件)
第七
法第一九条の規定による条件は、付された条件が履行されない場合は、法第二一条の規定による原状回復命令等あるいは法第五〇条の規定による罰則が適用され得ることから、具体的かつわかりやすい表現を用い、原則として別表に掲げる例文によるものとする。
(各種行為の主従の判断)
第八
工作物を新築しようとする際に木竹の伐採、土地の形状変更等を伴う場合など、許可申請の内容に、法第一七条第三項各号、第一八条第三項各号及び第一八条の二第三項各号に掲げる行為のうち複数の行為が含まれている場合であって、行為の主従の判断が可能なものにあっては、主たる行為を許可対象行為とし、その他の行為は関連行為として申請書にその旨明記させるものとする。ただし、次に掲げる場合及び主たる行為以外の行為として申請されている内容が、主たる行為に伴って通常必要とされる行為の範囲を超えると判断される場合には、それぞれの行為を許可対象行為とする。
- (一) 工作物の新築のための敷地を造成するために水面を埋め立てる場合には、水面の埋立及び工作物の新築として取り扱うものとする。
- (二) その高さが一三メートル以上であり、かつ、容易に移転し、又は除却することができない構造の鉄塔(やぐら)を設けてボーリングを行う場合は、工作物の新築及び土石の採取として取り扱うものとする。
(相関連した諸行為の取扱い)
第九
地質調査ボーリングとダム等の建設、発電所建設と送電線架設、温泉ボーリングと給湯管布設等一定の計画に基づいて行う相関連した諸行為については、あらかじめ当該計画の概要を当初の許可申請書に添付させ、計画全体につきその適否を判定することにより、当初の申請に係る行為とその後の申請に係る行為に対する処分が矛盾しないよう措置するものとする。
(許可後における内容の変更手続き)
第一〇
規則第一〇条第一項第一号から第六号までに規定する申請内容又は法第一九条の規定による条件により確定された工事の着手若しくは完了の日の内容を、当該許可を受けた後に変更しようとする場合は、新たな申請を行わせるものとする。
なお、この場合においては許可申請書の備考欄に、既に許可を受けたものの変更である旨、当該許可処分の日付及び番号並びに許可に付された条件、その他必要な事項を記載させるものとする。
ただし、第一号に掲げる事項の変更については、申請者が同一人である場合に限り当該事項を届け出ることによって足りるものとする。
第二節 令附則の法定受託事務に係る事項
(都道府県からの送付された許可申請書の審査等)
第一一
自然保護事務所長は、都道府県知事から令附則第五項の規定による都道府県知事の経由に係る許可申請書の送付を受けたときは、申請書の送付を受けた日から起算して原則として一月以内に、第四の一各号に掲げる事項について審査し、その内容が、自然保護事務所長の専決処理に関する訓令に定める専決事項に該当するものにあっては、自ら処理し、その他のものにあっては別に定める様式による調書を添えて国立公園課長に送付するものとする。
(処分権限のまたがる行為の取扱い)
第一二
- 一 国立公園の特別地域又は海中公園地区内において行われる相関連する行為であって、その許可の権限が環境庁長官にあるものと、令附則第三項の規定により都道府県知事にあるものについて、一の申請書により許可の申請が行われ、都道府県知事から当該申請書の送付を受けたときは、都道府県知事の権限に係る行為について環境庁長官は処分を行うことができないことから、当該行為に係る部分を申請内容から除外するよう申請者に補正の指示を行うものとする。
- 二 令附則第三項第一号の規定により都道府県知事が行う事務に係る行為の区分については、次に掲げる事項に留意するものとする。
- (一) 工作物の「高さ」とは、地上に露出する部分の最高部と最低部との差(建築物にあっては建築基準法第二条第三号に規定する「建築設備」を含めて算定する。)をいうものとし、「水平投影面積」とは、当該工作物の占める空間の水平投影面積をいうものとする。
なお、道路にあっては、「高さ」は横断図の測点ごとの最高の法肩と最低の法尻の差のうち最大のものをいい、また、「水平投影面積」は路肩から路肩までの部分(側溝が接する場合にはこれを含む。)を算定するものとする(別添「工作物の高さ及び水平投影面積の測定例」参照)。 - (二) 「住宅」とは、もっぱら日常生活の本拠として利用するために設置される建築物(居住の用に供する部分が延べ面積の二分の一以上である併用住宅を含む。)をいうものとするが、分譲又は貸付けを目的とした集合住宅、会社等の設置する従業員宿舎は「住宅」に含まないものとする。
- (三) 「仮工作物」とは、その構造が、容易に移転し、又は除却することができるもの(自力で移動することができない廃車等を単に地上に置いて食堂等の施設として使用している場合を含む。)であって、かつ、設置期間が三年を超えない工作物をいうものとする。
なお、「許可を受けた行為に必要な工事用の仮工作物」の新築、改築又は増築は規則第一二条第六号の規定により許可を要しない行為としているが、当該仮工作物は直接工事に関わる工作物をいうものとし、資材を他の場所から搬入するための仮索道等はこれに含まないものとする。 - (四) 同一敷地内に数個の工作物をそれぞれ独立して設置する場合には、その行為が一括して申請された場合においても、個々の工作物がそれぞれ令附則第三項第一号イに定める規模を超えないものであれば、知事権限に係る行為として取り扱うものとする。
- (五) 「土石を採取すること」とは、温泉ボーリング、地質調査ボーリング等も含め、土石を採取して行為地外に持ち出す行為をいい、「土地の形状を変更すること」とは行為後において行為地内における土石の総量が減少しない行為をいうものとする。
なお、規則第一二条第一九号の規定により許可を要しないこととされている「土地の形状を変更するおそれのない範囲内で土石を採取すること」とは、小石を拾う程度の行為をいうものとする。 - (六) 標識、案内板、広告塔、遭難慰霊碑、銅像等の工作物は、「広告物その他これに類する物」として取り扱うものとする。
- (一) 工作物の「高さ」とは、地上に露出する部分の最高部と最低部との差(建築物にあっては建築基準法第二条第三号に規定する「建築設備」を含めて算定する。)をいうものとし、「水平投影面積」とは、当該工作物の占める空間の水平投影面積をいうものとする。
第三章 届出
第一節 一般的事項
(特別地域等に関する届出書の様式)
第一三
規則第一五条の二の規定による届出書は、別記様式第二によるものとする。
(特別地域等に関する届出の処理)
第一四
自然保護事務所長は、法第一七条第六項、第七項若しくは第八項、第一八条第六項若しくは第七項又は第一八条の二第六項若しくは第七項の規定による届出書が提出されたときは、当該届出書について不備又は不足するものがないことを確認し、不備又は不足するものがある場合には届出者に補正させるものとする。
(普通地域内における行為の届出書の様式)
第一五
規則第一三条の四の規定による届出書は、別記様式第三によるものとする。
(普通地域内における行為の届出内容の事前指導)
第一六
普通地域内における行為の届出に関し相談を受けたときは、届出に係る行為の内容及び届出書の内容が、法、令、規則及び本要領に照らし適切なものとなるよう指導に努めるものとする。なお、指導に際しては、行政手続法第三二条から第三六条までの規定に留意するものとする。
(普通地域内における行為の届出書の受理等)
第一七
- 一 自然保護事務所長は、普通地域内における行為の届出書が提出されたときは、当該届出書について不備又は不足するものがないことを確認し、不備又は不足するものがある場合には届出者に補正させた上で、当該届出書を受理するものとする。
なお、この受理した日をもって法第二〇条第三項に規定する「届出があつた日」又は同条第五項に規定する「届出をした日」と取扱うものとする。 - 二 自然保護事務所長は、受理した届出書について、次の各号に掲げる事項について審査し、法第二〇条第二項の規定により禁止、制限又は必要な措置を命ずる必要があると認められるとき又は二〇ヘクタールを超える水面の埋立てに係る届出であるときは、(三)から(五)までについての意見を付し、速やかに当該届出書を国立公園課長に送付するものとする。
- (一) 公園計画との関係
- (二) 行為地及び行為地周辺の状況
- (三) 施行方法の適否
- (四) 公園の風景又は行為地周辺の環境に及ぼす影響
- (五) 禁止、制限又は必要な措置に関する意見
- (六) 他法令による処分の状況
- (七) 土地所有者の諾否
- (八) その他届出に係る措置の判断に必要な事項
- 三 上記の送付は、届出書を受理した日から起算して一五日以内に行うものとする。
(普通地域内における行為の措置命令等)
第一八
- 一 法第二〇条第二項の規定により禁止、制限又は必要な措置を命ずる処分を行おうとする場合には、行政手続法第二九条から第三一条までの規定により、弁明の機会を付与するものとし、処分に当たっては、行政手続法第一四条の規定により指令書にその理由を記載するものとする。
- 二 実地の調査をする必要があるとき、弁明の機会の付与に時間を要するときその他届出を受理した日から三〇日以内に法第二〇条第二項の処分を行うことができない合理的な理由があるときは、法第二〇条第四項の規定に基づき同条第二項の規定による命令を行うことができる期間を延長することとし、その旨及び延長する理由を別記様式第四により届出者に通知するものとする。
(普通地域内における行為の届出に係る着手制限期間の短縮)
第一九
法第二〇条第六項の規定により、同条第五項に規定する着手制限期間を短縮しようとする場合は、別記様式第五により届出者に通知するものとする。
(普通地域内における各種行為の主従の判断)
第二〇
普通地域内における各種行為の主従の判断については、第八に規定するところによるものとする。
(特別地域と普通地域にまたがる行為の取扱い)
第二一
- 一 普通地域内において届出を要する行為が特別地域、特別保護地区又は海中公園地区内で許可を要する行為と同一の者により一体的に行われる場合には、普通地域内行為届出書を特別地域等内の許可申請書と合わせて提出し、許可申請書の添付図面等中に届出に係る行為の内容を示させることにより、届出書の添付図面等を規則第一五条の三第三項の規定により省略させることができる。
- 二 自然保護事務所長は、普通地域内の行為に対して禁止、制限又は必要な措置を命ずる処分を行う必要があるか否かを、特別地域等内の行為の許可申請の審査と同時に行う必要があると認めるときは、第一八の二の規定の例により、法第二〇条第二項の規定による命令を行うことができる期間を延長するものとする。
第二節 令附則の法定受託事務に係る事項
(都道府県知事からの届出の進達等)
第二二
- 一 都道府県知事が令附則第五項の規定により経由の事務を行う場合にあっては、都道府県(都道府県の条例において市町村を経由機関としている場合にあっては当該市町村)が届出書を受理した日をもって法第二〇条第三項に規定する「届出があつた日」又は同条第五項に規定する「届出をした日」と取扱うものとする。
- 二 自然保護事務所長は、都道府県知事から普通地域内の行為についての届出書の送付を受けたときは、第一七の二各号に掲げる事項について審査し、法第二〇条第二項の規定により禁止、制限又は必要な措置を命ずる必要があると認められるとき又は二〇ヘクタールを超える水面の埋立てに係る届出であるときは、第一七の二(三)から(五)までについての意見を付し、速やかに当該届出書を国立公園課長に送付するものとする。
(受理及び処分の権限のまたがる行為の取扱い)
第二三
国立公園の普通地域内において行われる相関連する行為であって、その届出の受理又は法第二〇条第二項の規定による命令等の権限が環境庁長官にあるものと、令附則第三項の規定により都道府県知事にあるものについて、一の届出書により届出が行われ、都道府県知事から当該届出書の送付を受けたときは、都道府県知事の権限に係る行為について環境庁長官は受理等を行うことができないことから、当該行為に係る部分を届出内容から除外するよう届出者に補正の指示を行うものとする。
第四章 国の機関が行う行為の取扱い
(国の機関が行う行為に対する準用)
第二四
法第四〇条の規定により国の機関が行う行為に係る協議は、第二章第二から第一〇までに定めるところに準じ、通知は第三章第一三から第一六まで及び第二〇に定めるところに準じて取り扱うものとする。
(国の機関からの協議に係る知事への意見照会)
第二五
- 一 自然保護事務所長は、国の機関から法第四〇条第一項の規定による環境庁長官への協議が行われた場合に当該協議の同意に先立って自然保護事務所長から都道府県知事に対する意見照会を行う必要がある旨の申出が当該都道府県知事からあった場合、個々の協議の受理後、当該都道府県知事に意見照会を行うものとする。
- 二 自然保護事務所長は、一の意見照会をした協議に係る同意書の写しを当該都道府県知事に送付するものとする。
(普通地域内における行為の通知書の受理)
第二六
自然保護事務所長は、法第四〇条第三項の規定により、法第二〇条第一項の規定による届出の例による通知があった場合には、当該通知書について不備又は不足するものがないことを確認し、不備又は不足するものがある場合には補正させた上で、受理するものとする。
(普通地域内における国の機関の行為に対する協議の要求)
第二七
- 一 自然保護事務所長は、受理した通知書について、第一七の二各号に掲げる事項について審査し、法第四〇条第四項の規定により国の機関に協議を求める必要があると認められるとき又は二〇ヘクタールを超える水面の埋立てに係るものであるときは、第一七の二(三)から(五)までについての意見を付し、速やかに当該通知書を国立公園課長に送付するものとする。
- 二 上記の送付は、通知書を受理した日から起算して一五日以内に行うものとする。
第五章 報告
第一節 一般的事項
(申請の拒否に関する報告)
第二八
自然保護事務所長は、申請を拒否する処分を行った場合は、当該申請書の写しに申請を拒否した理由を添えて速やかに自然保護局長に報告するものとする。
(自然保護事務所長の処理件数の報告)
第二九
自然保護事務所長は、国立公園に係る法第一七条第三項、第一八条第三項又は第一八条の二第三項の規定による許可、第一七条第六項、第七項若しくは第八項、第一八条第六項若しくは第七項又は第一八条の二第六項若しくは第七項の規定による届出の受理、第四〇条第一項の規定による協議及び第四〇条第三項の規定による通知の受理に関し、前年度分の処理件数を毎年五月末日までに自然保護局長に報告するものとする。
第二節 令附則の法定受託事務に係る事項
(自然保護事務所長の法定受託事務に係る処理件数の報告)
第三〇
自然保護事務所長は、令附則第四項の規定に基づく報告があったときは、当該報告のうち法第一七条第三項又は第一八条の二第三項の規定による許可及び不許可、法第二〇条第一項の規定による届出の受理、同条第二項の規定による命令並びに法第二一条の規定による命令の件数について集計し、前年度分の処理件数を毎年五月末日までに自然保護局長に報告するものとする。
第六章 違反行為
第一節 一般的事項
(違反行為の予防及び発見)
第三一
自然保護事務所長は、許可又は届出に関して次に掲げる方法により違反行為の予防及び発見に努めるものとする。
- (一) 関係地方公共団体と連携して公園内及び周辺地域の住民、事業者等に対し、法令の趣旨及び規定の内容を機会あるごとに周知させること。
- (二) 公園の区域図及び公園計画図を常に整理し、関係者の求めに応じ随時供覧できるよう備えること。
- (三) 巡視を励行すること。
- (四) 申請者又は届出者に対し、許可処分を受ける前又は着手制限期間の経過前に行為に着手しないよう指導すること。
- (五) 条件を付して許可された行為又は制限され若しくは必要な措置を命ぜられた行為については、当該条件又は制限若しくは措置命令の履行を監督すること。
(違反行為に対する措置)
第三二
自然保護事務所長は、許可又は届出に関して違反行為を発見したときは、次に掲げる措置を講ずるものとする。
- (一) 違反行為の中止を勧告すること。
- (二) 自然保護事務所長は、国立公園に係る違反行為に関する違反事実をできる限り正確に把握し、当該違反行為の概要、原状回復その他必要な措置に関する意見等を別記様式第五により速やかに自然保護局長に報告し、その指示に従うこと。
ただし、次に掲げる要件に該当する違反行為である場合は、自然保護局長の指示によらず、自然保護事務所長が所要の措置を講じるものとし、当該違反行為の概要及び措置状況について、別記様式第五により速やかに自然保護局長に報告すること。- イ 当該違反行為が、第五に規定する許可に関する審査基準に適合するものであって、法第二一条に基づく原状回復その他必要な措置を命じる必要がないと認められること。
- ロ 当該違反行為が、自然保護事務所長の専決処理に関する訓令に定める専決事項に該当するものであること。
- ハ 当該違反行為が、行為者の故意により行われたものでないこと。
- (三) 違反行為の態様が悪質である等、特に必要があると認める場合は、刑事訴訟法(昭和二三年法律第一三一号)第二三九条及び第二四一条の規定により告発の手続きをとること。なお、告発に当たっては、あらかじめ司法当局と調整を行うとともに、自然保護局長に連絡すること。
- (四) 違反行為が他の法令の規定による違反行為と重複するときは、速やかに当該法令に係る関係行政庁に連絡すること。
- (五) 行為の中止を勧告した時点で、当該違反行為により災害の発生の可能性があると認められる場合には、早急に災害防止のための応急措置がとられるよう取り計らうこと。
(違反行為に対する原状回復命令等)
第三三
法第二一条の規定により原状回復等を命ずる場合には、行政手続法第二九条から第三一条までの規定により、弁明の機会を付与するものとし、処分に当たっては、行政手続法第一四条の規定により指令書にその理由を記載するものとする。
第二節 令附則の法定受託事務に係る事項
(都道府県知事の権限に係る違反処理)
第三四
自然保護事務所長は、令附則第三項の規定により都道府県知事が行う事務に係る行為の違反を発見したときは、直ちに当該都道府県に連絡すること。
(処分権限の異なる違反行為の取扱い)
第三五
自然保護事務所長は、違反行為の内容が相関連するものであって、当該行為に対する法第一七条及び第一八条の二の規定による許可、第二〇条の規定による届出又は二一条の規定による命令の権限が、環境庁長官にあるものと令附則第三項の規定により都道府県知事にあるものに分かれる場合、環境庁長官及び都道府県知事はそれぞれの権限に属する違反行為についてのみ命令を行うこととなることから、それぞれの行う違反処理の内容に齟齬が生じないよう関係都道府県と密接に連絡調整を行うこと。
第七章 立入検査
(職員による立入検査等)
第三六
- 一 自然保護事務所長は、法第二二条第二項の規定による立入り、検査又は調査を管下の職員に行わせる必要があると認めるときは、当該職員に対し、立入り、検査又は調査の実施を指示する環境庁長官の指示書を交付すること。
- 二 当該職員は、立入り、検査又は調査を行う場合は、法第二二条第三項に規定する身分を示す証明書とともに一の指示書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第八章 損失補償
第一節 一般的事項
(損失補償請求書の送付)
第三七
自然保護事務所長は、法第三五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)に規定する環境庁長官に対する損失補償請求書(環境庁長官の処分又は環境庁職員の行為に係るものに限る。)の提出を受けたときは、次の各号に掲げる事項及び資料からなる詳細な調書を添えて、国立公園課長に送付するものとする。
- (一) 損失補償請求の原因となった行為許可申請書等及び指令書の写し
- (二) 損失補償請求に至るまでの経緯
- (三) 請求理由及び請求額の当否に関する意見並びにこれを証する資料
- (四) その他補償額決定上参考となる事項及び資料
第二節 令附則の法定受託事務に係る事項
(損失補償に係る資料の提出の要求)
第三八
- 一 自然保護事務所長は、法第三五条第一項に規定する環境庁長官に対する損失補償請求書(令附則の法定受託事務に係るものに限る。)の提出を受けたときは、損失補償請求書が提出された旨及び当該損失補償に係る都道府県知事の処分について自然保護局長に報告を行うものとする。
- 二 自然保護局長は、自然保護事務所長から前項の報告がなされた場合は、当該都道府県知事に対し、自然保護事務所長を経由して第三五各号に掲げる資料を提出するよう要求するものとする。
第九章 書類の交付等
第一節 一般的事項
(不許可処分等に係る指令書の交付の取扱い)
第三九
次に掲げる許可申請の拒否、不許可、禁止、原状回復命令等の処分に係る指令書の交付に当たっては、処分の内容を名あて人に確実に伝達するとともに、処分のあったことを知った日を明確にするため、当該指令書を直接名あて人に交付の上、捺印のある受領書を受ける、又は配達証明扱いで郵送することにより交付することとする。
- (一) 法第一七条第三項の規定による許可申請に対する拒否又は不許可の処分
- (二) 法第一八条第三項の規定による許可申請に対する拒否又は不許可の処分
- (三) 法第一八条の二第三項の規定による許可申請に対する拒否又は不許可の処分
- (四) 法第二〇条第二項の規定による普通地域における行為の禁止、制限等の処分及び同条第四項の規定による同条第三項の期間の延長の処分
第二節 令附則の法定受託事務に係る事項
(指令書の写しの送付)
第四〇
自然保護事務所長は、令附則第五項の規定による都道府県知事の経由に係る許可申請書について処分がされた場合には、当該処分に係る指令書の写しを当該都道府県知事に送付するものとする。
附則
- 1 この取扱要領は、平一二年四月一日から実施する。
- 2 「国立公園及び国定公園の許可、届出等取扱要領」(平成六年九月三〇日付け環自計第一七三号、環自国第五四一号、環境庁自然保護局長通知)及び「国立公園及び国定公園の許可、届出等取扱要領について」(平成六年九月三〇日付け環自計第一七三―一号、環自国第五三九号、環境庁自然保護局計画課長、国立公園課長通知)は廃止する。
別表
項目
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条件例文
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行為の事例
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留意事項
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一般的事項
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/ | / |
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(1)
期間の限定
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○○を行うことができる期間は、(許可(同意)の日/△年△月△日)から△年△月△日までとすること。
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(2)
支障木の処理
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ア 支障木の伐採は、必要最小限とすること。
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行為に伴い伐採される支障木がある場合に用いる。
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イ 支障木のうち移植可能なものは、○○に移植すること。
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(例)
支障木の伐採は、必要最小限とするとともに、移植可能なものは......
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(3)
施行上の注意
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ア 工事の施行に当たっては、○○の(谷/海)側に編柵を設ける等の措置を講じて土石を崩落させないこと。
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イ 工事の施行に当たっては、(汚濁防止膜/沈澱池)を設置する等の措置を講じて周辺(水/海)域に(土砂及び濁水/濁水)を流出させないこと。
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河川、湖沼又は海に、土砂、濁水等が流出するおそれがある場合に用いる。
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ウ 工事に携わる作業員等工事関係者に対しては、植物の採取、野生動物の捕獲、ごみの投棄等風致の保護上好ましくない行為を行うことのないよう作業員心得を作成し、これを遵守させること。
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工作物の新築等
他
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多数の作業員が、工事現場及びその周辺に出入りするような工事を伴う場合に用いる。
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(4)
工作物等の意匠
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ウ ○○の色彩は、
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(5)
残土、廃材の処理
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(残土/既存○○の撤去に伴う廃材)は、
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(例)
残土は、申請書添付「△△図」記載の位置において風致の保護上支障のないよう処理するとともに、当該□□には、張芝、種子吹付等により......
(□□には、「土捨場」「残土処理場」等申請書に用いられている名称を記載する。)
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(6)
工作物等の撤去
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ア 当該○○は、△年△月△日までに撤去すること。
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(例)
当該○○は、△年△月△日までに撤去し、跡地は、風致の保護上支障のないよう整理するとともに、当該地域に生育する......
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イ 当該○○が、腐朽又は破損した場合、若しくは必要がなくなった場合には直ちに撤去すること。
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ウ 工事に伴う仮工作物は、行為完了後直ちに撤去すること。
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(7)
跡地の整理
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○○跡地は、風致の保護上支障のないよう整理すること。
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(例)
○○跡地は、風致の保護上支障のないよう整理するとともに、当該地域に生育する......
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(8)
緑化
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ア ○○には、
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(例文は各項目を参照のこと。)
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イ ○○には、当該地域に生育する植物と同種の植物により緑化を行うこととし、緑化工の施行に当たっては(工事の施行/土石の採取)に伴い切り取られる(表土/表土及び植物)を使用すること。
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1 行為が、自然公園法施行規則第11条第1項第2号のイ又はロに掲げるような自然環境保全上特に重要な地域において行われる場合であって、表土等を緑化工に使用する必要がある場合に用いる。
2 ア―2参照のこと。
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ウ モルタル吹付の前面には、ロックネット等を設置したうえ、つる性植物を植栽し、緑化すること。
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工作物の新築等
他
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通常の緑化工では法面の崩壊が防止できないため、やむを得ずモルタル吹付を許可する場合であって、風致の保護上前面を植物により隠ぺいする必要がある場合に用いる。
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(9)
維持管理
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○○の入り口には、当該道路の目的を明記した標識を掲出する等、一般車の乗り入れを制限する措置を講ずること。
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林道、工事用道路等への一般車の乗り入れにより、風致の保護上著しい支障が生ずると予想される場合に用いる。
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(10)
分譲地等の造成
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(11)
報告
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ア ○○の進捗状況について、天然色写真を添え、××ごとに、△△に報告すること。
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イ 行為完了後、(第○項及び第○項/前○項)の履行状況について、天然色写真を添え、△△に報告すること。
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※ 参考事項
分譲地内における別荘等の建築についての留意事項
あなたが購入した分譲地は、国立公園の特別地域内であるので、自然公園法第17条第3項各号列記の行為を行うに当たっては、環境庁長官(又は○○知事)の許可を受けなければなりません。また、分譲地に建築物を新築する場合には、下記の事項に従った方法で行われなければ自然公園法による許可を受けられませんので、注意願います。
記
- 1 保存緑地とされた土地には、工作物を設置しないこと。
- 2 建築物は2階建て以下とし、その高さは10m以下とすること。
- 3 敷地面積(敷地内に保存緑地とされた土地を含む場合は当該保存緑地の面積を除いた面積。以下同じ。)は、1区画1,000m2以上とし、建築物は、原則として1区画1棟とすること。
- 4 建築物の水平投影面積の敷地面積に対する割合は、20%以下とすること。
- 5 建築物に係る土地の地形勾配は、30%以下とすること。
- 6 建築物の水平投影外周線は、道路及び隣地境界より5m以上離すこと。
- 7 建築物の水平投影面積は、2,000m2以下とすること。
- 8 建築物の屋根の形は、陸屋根を避けて勾配屋根とすること。
- 9 建築物の外部の色彩は、原色を避けて周囲の自然と調和を図ったものとすること。〔別添〕
工作物の高さ及び水平投影面積の測定例
道路