法令・告示・通達

公害防止管理者等の配置について

公布日:昭和47年08月25日
47保局391号

通商産業省公害保安局長から業界団体の長あて

 昨年6月に公布、施行された「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に基づき、来る9月10日から、特定工場においては公害防止統括者、公害防止管理者等の選任義務が生ずることとなり、公害防止管理者制度は実質的に発足することになります。
 公害防止管理者の選任方法、資格等に関する法の解釈については、すでに46年10月15日付都道府県知事宛通達「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の施行について」がだされており、また公害防止管理者等の届出方法等制度の発足に必要な事項については別添の都道府県知事に対する通達により明らかにされているが、このような法の解釈のほかに、公害防止管理者等の工場内における配置方法等公害防止組織のあり方についても、ある程度、考え方を統一しておくことは、各企業が本制度を実施していく上で参考になると思います。
 このため公害防止管理者等の配置方法等について、下記のような考え方をとりまとめました。ついては貴協会の会員各社に対しその内容の周知徹底を図り、工場内の公害防止組織の整備について万全を期するようお願いします。

1 本制度の目的

  特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(以下「法」という。)の目的は、特定工場の公害防止に関する業務を統括する公害防止統括者、公害防止に関する技術的、専門的知識・技能を有する公害防止管理者等の選任を義務付け、これらの者を中心とする公害防止組織を整備することにより、工場において自主的に日々の公害防止活動を行なうことができるような体制をつくりあげることにある。
  したがつて、この目的を達成するためには、単に必要数の有資格者を確保するだけでは不十分であり、公害防止管理者等が企業内組織においてその職務を十分果たし得るような適切な配置を行なうことが必要であり、さらに公害防止管理者等を中心とする工場全体の公害防止のための体制を整備することが必要である。
  なお、工場における公害防止組織の機能を十分発揮させるためには、企業全体としての公害防止体制を確立することが必要であり、本法の直接の対象とはなつていないが、本社においても工場の公害防止組織に対応する組織を整備し、工場の公害防止組織に対する指導体制を確立することが望ましい。

2 公害防止管理者等の配置方法に関する考え方

  1.  (1) 本法の目的は、工場全体の公害防止のための組織を整備することにあるが、公害防止統括者、公害防止管理者等は公害防止組織の中心となるものであり、この意味で、公害防止管理者等の適切な配置を行なうことは、上記のような法の目的に沿つた公害防止組織を整備するうえで極めて重要である。
  2.  (2) 公害防止管理者等の選任の方法としては、大別すれば、公害防止管理者等を生産ラインに配置するいわゆるライン型と環境管理課等のスタツフ部門に配置するいわゆるスタツフ型とがある。
       いずれの型をとるかは、業種、業態、各企業の組織の実態に応じて決定すべきであり、一律に決定することは適切でないが、それぞれの型を採用した場合には、次のような点に配慮することが必要である。
  3.  (3) ライン型の場合には、工場の生産規模が大きく、多数の生産部門が存するようなときは、必要数の有資格者を確保することが困難であること、公害防止管理者等の異動の場合の届出事務が繁雑になること等から、すべてのラインに公害防止管理者等を配置することが容易でない。そのため公害防止管理者等を主要なラインのみに配置し、その他のラインの公害防止の業務についても管理させる場合が多くなることが予想される。しかし、このような場合には、企業内の職務と本法上の職務との間にくい違いが生ずることとなり、他のラインに関する公害防止の業務を十分管理することができるかどうかという問題が残る。
       したがつて、ライン型をとる場合には、できるだけばい煙発生施設等を有するすべてのラインに公害防止管理者を配置することが望ましく、すべてのラインに配置することが困難な場合には、公害防止に関する社内規程等により公害防止管理者等がその職務を十分果たし得るよう措置することが必要である。
       なお、環境管理課、公害防止課等の公害防止に関するスタツフ部門があるにもかかわらずライン型をとる場合には、両部門の間で十分調整が行なわれるよう配慮することが必要であろう。
  4.  (4) 公害防止管理者等をスタツフ部門に配置する場合には、生産ライン部門との連絡調整が十分に行なわれるよう配慮することが重要である。このため、具体的には、スタツフ部門の職務および権限を社内規程等により明確にするとともに、生産ライン部門については、操業基準等において公害防止のための措置を明示しておくことが必要であり、できれば生産ライン部門においても公害防止に関する担当者を定めておく等の措置を講ずることが望ましい。
  5.  (5) 公害防止管理者等がその職務を十分に果たすことができるようにするためには、上記いずれの選任方法をとるとしても、企業の管理組織と本法に基づく公害防止組織が十分に整合性を保ち得るよう配慮することが重要である。なお、この場合、環境管理課等の公害防止のための企業内組織がすでに整備されている場合においては、このような企業内組織の機能を十分活用する方向で検討を行なうことが望ましい。

3 公害防止管理者等の職務および権限等

  公害防止管理者等の職務については、法により規定されているが、公害防止組織がその機能を十分発揮し得るようにするためには、なお、次のような点に配慮することが望ましい。

  1.  (1) 社内規定においても、公害防止管理者等の職務および権限を明らかにし、あわせて公害防止組織全体について、企業内における位置づけを明確にしておくこと。
  2.  (2) 公害防止管理者等の職務の内容を確実に実施し得るような公害防止に関する操業基準を作成しておくこと。