法令・告示・通達

水俣病総合対策費補助金等交付要綱

公布日:平成4年04月30日
環保業227号

[改定]
平成13年3月26日 環保企315号

 (通則)

第一条 水俣病総合対策費補助金及び公害医療研究費補助金(以下「補助金」と総称する。)については、予算の範囲内において交付するものとし、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三〇年法律第一七九号。以下「法」という。)及び同法施行令(昭和三〇年政令第二五五号。以下「施行令」という。)の規定によるほか、この交付要綱の定めるところによる。

 (交付の目的)

第二条 この補助金は、水俣病発生地域において、過去に通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性がある者に対し、健康診査等を実施するとともに、水俣病にもみられる四肢末梢優位の感覚障害を有すると認められる者に対して療養費、はり・きゅう施術費及び療養手当を支給し、並びに水俣病にもみられる神経症状を有すると認められる者(四肢末梢優位の感覚障害を有すると認められる者を除く。)に対してはり・きゅう施術・温泉療養費等を支給することにより、当該地域における健康上の問題の軽減・解消を図ること並びに公害に係る疾病等について医療の研究を行うことにより、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四八年法律第一一一号。以下「補償法」という。)及び旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法(昭和四四年法律第九〇号。以下「旧救済法」という。)の規定に基づく水俣病の認定事務を円滑に行うことを目的とする。

 (交付の対象事業)

第三条 この補助金の交付の対象となる事業(以下「補助事業」という。)は、次の各号に掲げる事業とする。

  1.  一 健康管理事業
       新潟県、熊本県及び鹿児島県が、水俣病発生地域において、通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性がある者に健康診査等の健康管理を行う事業
  2.  二 医療事業
       新潟県、熊本県及び鹿児島県が、水俣病発生地域において、水俣病にもみられる四肢末梢優位の感覚障害を有すると認められる者を対象に、療養費、はり・きゅう施術費及び療養手当を支給し、並びに水俣病にもみられる神経症状を有すると認められる者(四肢末梢優位の感覚障害を有すると認められる者を除く。)に対してはり・きゅう施術・温泉療養費等を支給する事業
  3.  三 申請者医療事業
       新潟県、熊本県、鹿児島県及び新潟市が旧救済法及び補償法による水俣病認定申請者を対象に次に掲げる研究治療費等を支給する事業(以下「申請者医療事業」という。)
    1.   (一) 別表一の研究治療費支給事業実施基準に定める研究治療費
    2.   (二) 研究治療手当、離島手当、精密検診手当、研究治療介護手当、はり、きゅう、マッサージ施術費
  4.  四 公害医療事業
       公害に係る疾病の医学上の研究(以下「公害医療事業」という。)

2 前項第一号及び第二号の事業の実施に関して必要な細目は、環境省総合環境政策局環境保健部長が別に定める実施要領によるものとする。

3 第一項第三号の事業の実施に関して必要な細目は別表一の研究治療費支給事業実施基準によるものとする。

 (交付額の算定方法)

第四条 この補助金の交付額は、前条第一項各号に掲げる事業に要する経費について、別表二の水俣病総合対策費補助金等算定基準(以下「算定基準」という。)により算定した額とする。ただし、第一〇条第三号の規定による補助事業の変更があった場合には、当該申請に基づき環境大臣(以下「大臣」という。)が承認した額とする。

 (交付申請の手続)

第五条 補助事業を実施する者(以下「補助事業者」という。)は、補助金の交付を受けようとするときは、様式一による申請書を毎年度二月一〇日までに大臣に提出しなければならない。

 (変更申請の手続)

第六条 補助事業者は、補助金の交付決定後の事情の変更により申請の内容を変更して交付額の変更申請を行う場合には、様式二による申請書を速やかに大臣に提出しなければならない。

 (標準処理期間)

第七条 環境大臣は、第五条又は第六条に定める交付申請書が到達した日から起算して原則として一ケ月以内に交付の決定を行うものとする。

 (交付決定の通知)

第八条 大臣は、前二条の規定による申請書の提出があったときは審査のうえ交付決定を行い、様式三による補助金交付決定通知書を補助事業者に送付するものとする。

 (申請の取下げ)

第九条 補助事業者は、前条の交付の決定の内容又は次条によりこれに付された条件に不服がある場合において、法第九条第一項の規定による補助金の交付の申請を取り下げようとするときは、交付の決定の通知において大臣が定める期日までに、その理由を付した書面をもって、大臣に申し出なければならない。

 (交付の条件)

第一〇条 この補助金の交付の決定には次の条件が付されるものとする。

  1.  一 補助事業者は補助事業の一部を他の者に実施させる場合は、この要綱の各条項を内容とする実施に関する契約を締結し、大臣に届出なければならない。
  2.  二 補助事業者は補助事業を遂行するため、売買、請負その他の契約をする場合は、一般の競争に付さなければならない。ただし、補助事業の運営上、一般の競争に付することが困難又は不適当である場合は、指名競争に付し、又は随意契約をすることができる。
  3.  三 別表三に掲げる区分ごとに事業に要する経費の配分の変更(それぞれの配分額のいずれか低い額の一〇%以内の変更を除く。)をする場合においては、様式四による申請書を提出して、大臣の承認を受けなければならない。
       ただし、別表三に掲げる健康管理事業の区分及び医療事業の区分ごとに要する経費と申請者医療事業の区分及び公害医療事業の区分ごとに要する経費との間においては、当該経費の配分の変更をすることができない。
  4.  四 補助事業の内容の変更(軽微な変更を除く。)をする場合には、様式四による申請書を提出して、大臣の承認を受けなければならない。
  5.  五 補助事業を中止し、又は廃止する場合には、様式五による申請書を提出して、大臣の承認を受けなければならない。
  6.  六 補助事業が予定の期間内に完了しない場合又は補助事業の遂行が困難となった場合は、様式六により速やかに大臣に報告し、その指示を受けなければならない。
  7.  七 特許権若しくは実用新案権を得ることによって相当の収益が新たに生ずると認められる場合、又は第一三条の規定による補助金の額の確定後当該事業の対象から除外すべき事由が生じた場合は、交付した補助金の全部又は一部の金額を国に納付させることがある。

 (状況報告)

第一一条 補助事業者は、補助事業の遂行及び支出状況について大臣の要求があったときは、速やかに状況報告書を長官に提出しなければならない。

 (実績報告)

第一二条 補助事業者は当該年度の事業が完了したときは、翌年度六月末日(第一〇条第五号により補助事業の中止又は廃止の承認を受けたときは、その承認を受けた日から起算して一か月以内)までに、様式七による実績報告書を大臣に提出しなければならない。

 (補助金額の確定通知)

第一三条 大臣は、前条の報告を受けた場合には実績報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、その報告に係る補助事業の実施結果が補助金の交付の決定の内容(第一〇条第四号に基づく承認をした場合は、この承認された内容)及びこれに付した条件に適合すると認められたときは、実績報告書の受理後、原則として二〇日以内に補助金額を確定し、通知するものとする。

2 大臣は補助事業者に交付すべき補助金の額を確定した場合において、既にその額を超える補助金が交付されているときは、その超える部分の補助金の返還を命ずる。

3 前項の補助金の返還期限は、当該命令のなされた日から二〇日以内とし、期限内に納付がない場合は、未納に係る金額に対して、その未納に係る期間に応じて年一〇・五パーセントの割合で計算した延滞金を徴するものとする。

 (交付決定の取消等)

第一四条 大臣は、第一〇条第五号の申請があった場合又は次に掲げる場合には、補助金の交付決定の全部若しくは一部を取り消し、又は変更することができる。

  1.  一 補助事業者が、法、施行令、本要綱又は法、施行令若しくは本要綱に基づく大臣の処分若しくは指示に違反した場合
  2.  二 補助事業者が、補助金を補助事業以外の用途に使用した場合
  3.  三 補助事業者が、補助事業に関して不正、怠慢、その他不適当な行為をした場合
  4.  四 交付の決定後生じた事情の変更等により、補助事業の全部若しくは一部を継続する必要がなくなった場合

2 大臣は、前項の取消しをした場合において、既に当該取消しに係る部分に対する補助金が交付されているときは、期限を付して当該補助金の全部又は一部の返還を命ずる。

3 大臣は、前項の返還を命ずる場合には、その命令に係る補助金の受領の日から納付の日までの期間に応じて、年一〇・九五パーセントの割合で計算した加算金の納付を合わせて命ずるものとする。

4 第二項に基づく補助金の返還及び前項の加算金の納付については、前条第三項の規定を準用する。

 (財産の管理等)

第一五条 補助事業者は、補助対象経費(補助事業を他の団体に実施させた場合における対応経費を含む。)により取得し、又は効用の増加した財産(以下「取得財産等」という。)については、事業の完了後においても善良な管理者の注意をもって管理し、補助金交付の目的に従って、その効率的運営を図らなければならない。

2 取得財産等を処分することにより、収入があり、又はあると見込まれるときは、その収入の全部又は一部を国に納付させることがある。

 (財産の処分の制限)

第一六条 取得財産等のうち施行令第一三条第四号の規定により、大臣が定める機械及び重要な器具は取得価格又は効用の増加価格が五〇万円を超える機械及び重要な器具とする。

2 法第二二条に定める財産の処分を制限する期間は、補助金交付の目的及び減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四〇年大蔵省令第一五号)を勘案して、大臣が別に定める期間とする。

3 補助事業者は、前項の規定により定められた期間中において、処分を制限された取得財産等を処分しようとするときは、あらかじめ大臣の承認を受けなければならない。

4 前条第二項の規定は、前項の承認をする場合において準用する。

 (補助金の経理)

第一七条 補助事業者は、補助事業についての収支簿を備え、他の経理と区分して補助事業の収入額及び支出額を記載し、補助金の使途を明らかにしておかなければならない。

2 補助事業者は、前項の支出額について、その支出内容を証する書類を整備して前項の収支簿とともに補助事業の完了の日の属する年度の終了後五年間保存しなければならない。

 (補助金調書)

第一八条 補助事業者は、当該補助事業に係る歳入歳出の予算書並びに決算書における計上科目及び科目別計上金額を明らかにした様式八による調書を作成しておかなければならない。

 (その他)

第一九条 特別の事情により第四条、第五条、第六条及び第一二条に定める算定方法、手続によることができない場合には、あらかじめ大臣の承認を受けてその定めるところによるものとする。


別表
   研究治療費支給事業実施基準

 (目的)

第一条 この実施基準は、水俣病認定申請者の治療に要した経費の一部を支給すること(以下「研究治療費支給事業」という。)により、水俣病認定申請者の病状の変化を把握することを目的とする。

 (対象者)

第二条 研究治療費支給事業の対象者(以下「対象者」という。)は、水俣病認定申請者のうち補助事業者が次のいずれかに該当していると認めた者とする。

  1.  一 要観察者等(認定審査の結果保留となっている者)
  2.  二 認定申請後一年(旧法第九条第一項に定める状態にある者については六月)以上を経過し、かつ、指定地域等に五年以上居住していた者(前号に該当する者を除く。)

 (適用除外)

第三条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、研究治療費を支給しない。

  1.  一 対象者が前条各号に規定する要件に該当しないことが判明した場合
  2.  二 研究治療費の不正受給があった場合
  3.  三 その他補助事業者が環境大臣の同意を得て、適当と認める場合

 (研究治療費の支給)

第四条 研究治療費支給事業の実施は、原則として、対象者(国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)の規定による被保険者、健康保険法(大正一一年法律第七〇号)、船員保険法(昭和一四年法律第七三号)、国家公務員等共済組合法(昭和三三年法律第一二八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三七年法律第一五二号)又は私立学校教職員共済組合法(昭和二八年法律第二四五号)の規定による被保険者又は被扶養者、老人保健法(昭和五七年法律第八〇号)の規定により医療を受けている者及び介護保険法(平成九年法律第一二三号)の規定による要介護者又は要支援者に限る。)が医療機関(健康保険法に規定する指定訪問看護事業者又は介護保険法に規定する指定居宅サービス事業者を含む。)又は薬局(以下「医療機関」という。)において当該申請者医療事業に係る疾病に関連して医療保険各法、老人保健法又は介護保険法の規定による療養を受けたときに、その者に対し、当該療養に要した費用の額を限度として研究治療費を支給することにより行うものとする。

2 医療機関等が対象者に代わって、その者に支給されるべき研究治療費を補助事業者に対し請求してきた場合には、当該補助事業者は前項の規定にかかわらず、当該医療機関等に対し当該研究治療費を支給することができる。

3 第一項の研究治療費の額は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年厚生省告示第五四号)」、「入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年厚生省告示第二三七号)」、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成六年厚生省告示第二九六号)」、「老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(平成六年厚生省告示第七二号)」、「老人入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年厚生省告示第二五三号)、「老人訪問看護療養費に係る指定老人訪問看護の費用の額の算定に関する基準(平成四年厚生省告示第二九号)」、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成一二年厚生省告示第一九号)」、及び「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成一二年厚生省告示第二一号)」により算出した額の合計額から医療保険各法、老人保健法又は介護保険法の規定による療養に関する給付に関し保険者が負担すべき額を控除した額(老人保健法の規定による療養を受けた対象者については、同法の規定による一部負担金、標準負担額及び基本利用料に相当する額)とする。

 (その他)

第五条 その他研究治療費支給事業の実施に関し必要な事項は、大臣が定めるものとする。

   水俣病総合対策費補助金等算定基準

 水俣病総合対策費補助金等交付要綱第四条の規定による補助金の交付額は、次により算定するものとする。

  1. 一 別表三の第二欄の種目ごとに、第三欄に定める基準額と第四欄に定める対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。
  2. 二 一により選定された額と第一欄に定める区分ごとの総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に第五欄に掲げる補助率を乗ずる。ただし、算出された額に一、〇〇〇円未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとする。
  3. 三 二により算出された額の合計額を交付額とする。

1区分
2種目
3基準額
4対象経費
5補助率
健康管理事業
1 健康診査事業費
(1) 健康診査通知等事務費
  環境大臣と協議して承認を得た額
 健康診査事業を行うために必要な賃金、報償費、旅費、需用費(消耗品費、光熱水費、印刷製本費)、役務費(通信運搬費、工事請負費)、委託料、使用料及び賃借料、検診料、備品費、負担金
2分の1
(2) 健康診査記録集計費
  次により算定した額の合計額
  1.  ア 問診表
       環境大臣と協議して承認を得た額
  2.  イ 検診結果登録、集計
       環境大臣と協議して承認を得た額
(3) 健康診査費
  次により算定した額の合計額
  1.  ア 重点実施地区
    1.   (ア) 基本項目
      1.    A 全項目を実施する場合 13,670円×受診人員
      2.    B 老人保健法に基づき実施される健康診査の結果を活用する場合 7,030円×受診人員
    2.   (イ) 選別実施項目
          2,950円×受診人員
  2.  イ 重点実施地区以外
       6,640円×受診人員
       (老人保健法に基づき実施される健康診査の結果を活用する者を除く。)
(4) 健康診査後の指導
  環境大臣と協議して承認を得た額
(5) 健康診査結果集計・解析還元体制整備費
  環境大臣と協議して承認を得た額
2 健康相談事業費
(1) 健康相談
  環境大臣と協議して承認を得た額
 健康相談事業の実施に必要な報償費、旅費、需用費(消耗品費、印刷製本費)、役務費(通信運搬費)、委託料、使用料及び賃借料
(2) 日常生活支援
  環境大臣と協議して承認を得た額
3 普及啓発事業費
 環境大臣と協議して承認を得た額
 普及啓発事業の実施に必要な需用費(印刷製本費)、役務費(通信運搬費)
4 評価・管理事業費
(1) 重点実施地区事業
  環境大臣と協議して承認を得た額
 評価・管理事業の実施に必要な報償費、旅費、需用費(消耗品費、食糧費、印刷製本費)、役務費(通信運搬費)、使用料及び賃借料
(2) 特定地域健康管理評議会費
  環境大臣と協議して承認を得た額
医療事業
1 給付事業費
 要領の規定による給付に要した額
 療養費、はり・きゅう施術費、温泉療養費、医療費及び療養手当の給付に必要な扶助費
2分の1
2 運営事務費
 環境大臣と協議して承認を得た額
 種目欄に掲げる事業を行うために必要な賃金、共済費、報償費、旅費、需用費(消耗品費、印刷製本費)、役務費(通信運搬費)、委託料、使用料及び賃借料
認定申請者医療事業
1 保留者医療研究費
 研究費として大臣が定める額
 研究治療費支給事業実施基準第二条第一号に該当する者に対する公害医療研究に必要な研究治療費、研究治療手当、離島手当、精密検診手当、はり・きゅう・マッサージ施術費及び研究治療介護手当の経費
2分の1
2 申請者医療研究費
 研究費として大臣が定める額
 研究治療費支給事業実施基準第二条第二号に該当する者に対する公害医療研究に必要な研究治療費及びはり・きゅう施術費の経費
公害医療事業
1 医療研究費
 研究費として大臣が定める額
 公害に係る疾病の医学上の研究に必要な賃金、報償費、旅費、需用費、役務費、委託料、使用料、賃借料及び備品購入費