法令・告示・通達

公害健康被害の補償等に関する法律施行令第十条及び第二十条に規定する指定疾病の種類に応じて環境庁長官が定める基準

公布日:昭和49年08月31日
環境庁告示47号

[改定]
昭和56年10月28日 環境庁告示107号

1 慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎及び肺気しゆ並びにこれらの続発症に係る障害補償費及び児童補償手当についての障害の程度の基準

 (1) 障害補償費に係る障害の程度の基準

 
症状及び検査所見
管理区分
息切れ(呼吸困難)
ぜん息(ぜん息様)発作
咳〈せき〉及び痰〈たん〉
心肺機能
特級
会話又は着物の着脱その他身の回りのことをするにも息切れがすること。
重症の発作が年間を通じて月平均10日以上であること。
常に咳〈せき〉及び痰〈たん〉がで、かつ、痰〈たん〉の量が非常に多いか、又は痰〈たん〉の喀〈かく〉出が非常に困難であること。
指数(1秒量/予測肺活量×100をいう。以下同じ。)が35以下であつて、かつ、PaO2(動脈血酸素分圧)が70mmHg以下であるか、又は心電図により右室肥大の所見若しくは肺性Pが認められること。
入院を必要とし、かつ、常時介護を必要とすること。
一級
休まなければ50メートル歩くことができないこと。
重症の発作が年間を通じて月平均5日以上であるか、又は軽症の発作が年間を通じて月平均10日以上であること。
常に咳〈せき〉及び痰〈たん〉がで、かつ、痰〈たん〉の量が多いか、又は痰〈たん〉の喀〈かく〉出が困難であること。
常に治療を必要とし、かつ、入院が望ましいこと。
二級
同年齢の健康な人と同様には歩くことはできないが、自分の歩調なら平地で1キロメートル以上歩くことができること。
重症の発作が年間を通じて月平均1日以上であるか、又は軽症の発作が年間を通じて月平均5日以上であること。
日常生活に支障がある程度、常に咳〈せき〉及び痰〈たん〉がでること。
指数が55以下であること。
常に治療を必要とし、かつ、時に入院を必要とすること。
三級
平地で同年齢の健康な人と同様に歩くことができるが、坂道や階段では遅れること。
軽症の発作が年間を通じて月平均1日以上であること。
日常生活に軽度の支障がある程度、季節的又は1年のうち3月以上常に咳〈せき〉及び痰〈たん〉がでること。
指数が70以下であること。
常に医師の管理を必要とし、かつ、時に治療を必要とすること。

 備考 各等級の「症状及び検査所見」は、次のいずれかに該当する程度であるものとする。

  1.   1 「息切れ(呼吸困難)」及び「心肺機能」が当該等級の欄に掲げる程度であるもの
  2.   2 「ぜん息(ぜん息様)発作」が当該等級の欄に掲げる程度であるもの
  3.   3 「咳〈せき〉及び痰〈たん〉」及び「心肺機能」が当該等級の欄に掲げる程度であるもの
  4.   4 1~3と同等又はそれ以上と認められる程度であるもの

 (2) 児童補償手当に係る障害の程度の基準

 
症状
管理区分
ぜん息(ぜん息様)発作
咳〈せき〉
喘〈ぜん〉鳴
特級
重症の発作が年間を通じて月平均10日以上であること。
   
入院を必要とし、かつ、常時介護を必要とすること。
一級
重症の発作が年間を通じて月平均5日以上であるか、又は軽症の発作が年間を通じて月平均10日以上であること。
年間を通じてほとんど毎日重症の咳〈せき〉がでること。
 
常に治療を必要とし、かつ、入院が望ましいこと。
二級
重症の発作が年間を通じて月平均1日以上であるか、又は軽症の発作が年間を通じて月平均5日以上であること。
年間を通じて3月以上ほとんど毎日重症の咳〈せき〉がでるか、又は年間を通じてほとんど毎日軽症の咳〈せき〉がでること。
年間を通じてほとんど毎日喘〈ぜん〉鳴(ゼイゼイ又はゼロゼロ)があること。
常に治療を必要とし、かつ、時に入院を必要とすること。
三級
軽症の発作が年間を通じて月平均1日以上であること。
年間を通じて1月以上ほとんど毎日重症の咳〈せき〉がでるか、又は年間を通じて3月以上ほとんど毎日軽症の咳〈せき〉がでること。
季節的又はかぜをひいた時に数週間喘〈ぜん〉鳴(ゼイゼイ又はゼロゼロ)があること。
常に医師の管理を必要とし、かつ、時に治療を必要とすること。

 備考 各等級の「症状」は、「ぜん息(ぜん息様)発作」、「咳〈せき〉」又は「喘〈ぜん〉鳴」が当該等級の欄に掲げる程度に該当するか、又はこれと同等若しくはそれ以上と認められる程度に該当する程度であるものとする。

2 水俣病に係る障害補償費及び児童補償手当についての障害の程度の基準

 
症状及び検査所見
管理区分
運動障害
感覚器障害
精神障害
先天性心身障害
特級
高度の運動失調があり、かつ、著しい構音障害又は歩行障害等があること。
日常生活に著しい支障がある程度の高度の視力・視野障害、聴力障害又は知覚障害があること。
常に目が離せない程度の高度の精神障害があること。
重症の脳性小児麻痺〈ひ〉の症状があり、かつ、心身の発育が著しく遅れ、ほとんど寝たきりの状態にあること。
入院を必要とし、かつ、常時介護を必要とすること。
一級
高度又は中度の運動失調があり、かつ、相当程度の構音障害又は歩行障害等があること。
労働、就学等ができない程度の高度又は中度の精神障害があること。
重症又は中症の脳性小児麻痺〈ひ〉の症状があり、かつ、心身の発育が相当遅れ、日常生活に相当支障があること。
常に治療を必要とし、かつ、入院が望ましいこと。
二級
中度の運動失調があり、かつ、構音障害又は歩行障害等があること。
日常生活に支障がある程度の中度の視力・視野障害、聴力障害又は知覚障害があること。
労働、就学等に支障がある程度の中度の精神障害があること。
中症又は軽症の脳性小児麻痺〈ひ〉の症状があり、かつ、心身の発育が遅れ、日常生活に支障があること。
常に治療を必要とし、かつ、時に入院を必要とすること。
三級
軽度の運動失調があり、かつ、軽度の構音障害又は歩行障害等があること。
日常生活に軽度の支障がある程度の軽度の視力・視野障害、聴力障害又は知覚障害があること。
労働、就学等に軽度の支障がある程度の軽度の精神障害があること。
軽症の脳性小児麻痺〈ひ〉の症状があり、かつ、心身の発育が軽度に遅れ、日常生活に軽度の支障があること。
常に医師の管理を必要とし、かつ、時に治療を必要とすること。

 備考 各等級の「症状及び検査所見」は、「運動障害」、「感覚器障害」、「精神障害」又は「先天性心身障害」が当該等級の欄に掲げる程度に該当するか、又はこれと同等若しくはそれ以上と認められる程度に該当する程度であるものとする。

3 イタイイタイ病に係る障害補償費及び児童補償手当についての障害の程度の基準

 
症状及び検査所見
管理区分
運動障害
腎〈じん〉障害
特級
骨折を伴う高度の骨障害があり、又は軽い体動によつても強い疼〈とう〉痛を訴え、かつ、ほとんど静臥〈が〉の状態にあること。
高度の燐〈りん〉尿細管吸収率の低下及び高度の代謝性アシドーシスが認められる程度の重症の多発性近位尿細管機能異常症があること。
入院を必要とし、かつ、常時介護を必要とすること。
一級
高度の骨障害があり、又はゆつくり歩いても疼〈とう〉痛を訴え、かつ、つえ等の介助物によつて辛うじて歩行できる程度の状態にあること。
中度の燐〈りん〉尿細管吸収率の低下及び軽度の代謝性アシドーシスが認められる程度の重症又は中症の多発性近位尿細管機能異常症があること。
常に治療を必要とし、かつ、入院が望ましいこと。
二級
中度の骨障害があり、又は普通に歩いても疼〈とう〉痛を訴え、かつ、ゆつくりしか歩けない程度の状態にあること。
軽度の燐〈りん〉尿細管吸収率の低下が認められる程度の中症の多発性近位尿細管機能異常症があること。
常に治療を必要とし、かつ、時に入院を必要とすること。
三級
軽度の骨障害があり、又は急いで歩く時等の強い体動時に疼〈とう〉痛を訴え、かつ、歩行時に軽度の障害があること。
低分子蛋〈たん〉白尿、腎〈じん〉性糖尿、全般性アミノ酸尿等が認められる程度の軽症の多発性近位尿細管機能異常症があること。
常に医師の管理を必要とし、かつ、時に治療を必要とすること。

 備考 各等級の「症状及び検査所見」は、「運動障害」又は「腎〈じん〉障害」が当該等級の欄に掲げる程度に該当するか、又はこれと同等若しくはそれ以上と認められる程度に該当する程度であるものとする。

4 慢性砒〈ひ〉素中毒症に係る障害補償費及び児童補償手当についての障害の程度の基準

 
症状及び検査所見
管理区分
皮膚障害
末梢〈しよう〉神経障害
特級
 
多発性神経炎により四肢に高度の知覚障害又は運動障害があり、かつ、著しい歩行の障害があること。
入院を必要とし、かつ、常時介護を必要とすること。
一級
 
常に治療を必要とし、かつ、入院が望ましいこと。
二級
慢性砒〈ひ〉素中毒症に特徴的な手掌又は足蹠〈せき〉の角化症があり、かつ、手の運動又は歩行に障害があること。
多発性神経炎により四肢に中度の知覚障害又は運動障害があり、かつ、歩行の障害があること。
常に治療を必要とし、かつ、時に入院を必要とすること。
三級
慢性砒〈ひ〉素中毒症に特徴的な手掌又は足蹠〈せき〉の角化症があり、かつ、手の運動又は歩行に軽度の障害があること。
多発性神経炎により四肢に軽度の知覚障害又は運動障害があること。
常に医師の管理を必要とし、かつ、時に治療を必要とすること。

 備考

  1.     1 各等級の「症状及び検査所見」は、「症状及び検査所見」が当該等級の欄に掲げる程度に該当するか、又はこれと同等若しくはそれ以上と認められる程度に該当する程度であるものとする。
  2.     2 長期にわたる気管支炎症状があり、かつ、その原因を総合的に検討し、慢性砒〈ひ〉素中毒によると認められる場合は、当該気管支炎症状について1の(1)又は(2)の表において該当する「症状及び検査所見」の等級に相当する等級の「症状及び検査所見」があるものとする。
  3.     3 三級の欄に掲げる程度に該当するか、又はこれと同等若しくはそれ以上と認められる程度に該当する程度の「皮膚障害」又は「末梢〈しよう〉神経障害」はないが、鼻中隔穿〈せん〉孔があり、かつ、これに伴う障害がある場合は、三級に該当する程度の「症状及び検査所見」があるものとする。