法令・告示・通達

持続可能な適正処理の確保に向けたごみ処理の広域化及びごみ処理施設の集約化について(通知)

  • 公布日:平成31年3月29日
  • 環循適発第1903293号

一般廃棄物行政の推進については、かねてより種々御尽力、御協力いただいているところである。

ごみ処理の広域化については、平成9年に「ごみ処理の広域化計画について」(平成9年5月 28 日付け衛環第 173 号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知。以下「平成9年通知」という。)を発出し、ごみ処理に伴うダイオキシン類の排出削減を主な目的として、各都道府県において広域化計画を策定し、ごみ処理の広域化を推進することを求めてきたところである。

平成9年通知の発出後、全ての都道府県において広域化計画が策定され、都道府県及び市町村によるごみ処理の広域化及びごみ処理施設の集約化(以下「広域化・集約化」という。)に向けた取組が進められてきた。この結果、全国のごみ焼却施設数は平成 10 年度の 1,769 施設から平成 28 年度には 1,120 施設と約4割減少している。施設の規模別では、平成 10 年度には 100 t/日以上の施設が 550 施設と全体の約3割であったところ、平成 28 年度には 100 t/日以上の施設が 591 施設と全体の約5割に増加しており、施設の平均規模も平成 10 年度の 109t/日から平成 28 年度には 161t/日となるなど、集約化・大規模化が着実に進んできた。ごみ焼却施設からのダイオキシン類の排出量についても平成 10 年の 1,550g-TEQ/年から平成 28 年には 24g-TEQ/年と大幅に削減されており、目標である 33g-TEQ/年を達成している。このように、ごみ処理の広域化は一定の成果を上げてきた。

一方、平成9年通知の発出から 20 年以上が経過し、我が国のごみ処理をとりまく状況は当時から大きく変化している。

第四次循環型社会形成推進基本計画(平成 30 年 6 月 19 日閣議決定)においては、「我が国はこれまで経験したことのない人口減少・少子高齢化が進行しつつある。東京などの大都市への人口集中は進んでいるが、大都市においても一部の地域を除いて人口が減少すると推計されている。地方部では人口が大きく減少することが推計されており、特に1万人未満の市町村では 2050 年には 2010 年の約半数に人口が減少すると推計されている。」としており、「3Rの推進等により1人当たりのごみ排出量や最終処分量が着実に減少しているところであるが、これに加え人口減少の進行によりごみ排出量は今後さらに減少していくことが見込まれるところ、他方で廃棄物処理に係る担い手の不足、老朽化した社会資本の維持管理・更新コストの増大、地域における廃棄物処理の非効率化等が懸念されている。」等の課題を指摘している。このため、廃棄物処理施設整備計画(平成 30 年 6 月 19 日閣議決定)においては、「将来にわたって廃棄物の適正な処理を確保するためには、地域において改めて安定的かつ効率的な廃棄物処理体制の構築を進めていく必要がある。」とした上で、「このためには、市町村単位のみならず広域圏での一般廃棄物の排出動向を見据え、廃棄物の広域的な処理や廃棄物処理施設の集約化を図る等、必要な廃棄物処理施設整備を計画的に進めていくべきである。」としている。

また、近年、我が国では平成 28 年熊本地震や平成 30 年7月豪雨等、毎年のように大規模な災害が発生している。様々な規模及び種類の災害に対応できるよう、公共の廃棄物処理施設は、通常の廃棄物処理に加え、災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理するための拠点と捉え直し、平時から廃棄物処理の広域的な連携体制を築いておく必要がある。

以上のように、将来にわたり持続可能な適正処理を確保していくためには、改めて、現在及び将来の社会情勢等を踏まえ、中長期的な視点で安定的・効率的な廃棄物処理体制の在り方を検討することが必要となっている。ついては、各都道府県におかれては、下記事項に留意の上、貴管内市区町村と連携し、持続可能な適正処理の確保に向けた広域化・集約化に係る計画(以下「広域化・集約化計画」という。)を策定し、これに基づき安定的かつ効率的な廃棄物処理体制の構築を推進されたい。

1.広域化・集約化の必要性

(1)持続可能な適正処理の確保

市町村の厳しい財政状況、老朽化した廃棄物処理施設の増加、担い手の不足、地域における廃棄物処理の非効率化等が懸念されているところ、改めて、持続可能な適正処理を確保できる体制の構築を進めていく必要がある。このため、広域化・集約化を推進し、施設整備・維持管理の効率化や施設の長寿命化・延命化を図るとともに、PFI等の手法も含めた民間活力の活用や施設間の連携等により、施設整備費、処理費及び維持管理費等の廃棄物処理経費の効率化を図り、社会経済的な観点も含めて効率的な事業となるよう努めることが必要である。また、都道府県や市町村の連携等により、廃棄物処理に係る人材の確保や技術の継承を図っていくことが必要である。

(2)気候変動対策の推進

気候変動問題は人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題の一つである。特に、近年は豪雨による水害等の災害が頻発しており、今後も気候変動の影響による災害の頻発化・激甚化が懸念されているところ、廃棄物分野においても温室効果ガスの削減に配慮することが極めて重要である。

ごみ処理施設の集約化・大規模化により、施設の省エネルギー化のみならず、発電効率や熱利用率の向上が期待されることから、電気や熱として廃棄物エネルギーを効率的に回収し、地域のエネルギーセンターとして周辺施設等にエネルギーを供給するほか、廃棄物の排出から収集運搬・中間処理・最終処分に至るまでの一連の工程において、廃棄物処理システム全体でのエネルギー消費量の低減及び温室効果ガス排出量の削減に努め、気候変動対策に資することが望まれる。

(3)廃棄物の資源化・バイオマス利活用の推進

廃棄物系バイオマスの利活用は、循環型社会や地域循環共生圏の形成のために重要であるとともに、エネルギー利用をすることで温室効果ガスの排出削減にも資することから、地域特性に応じて、メタンガス化施設、ごみ飼料化施設、ごみ堆肥化施設、燃料化施設等を整備し、廃棄物系バイオマスの利活用を推進することが必要である。廃棄物系バイオマスを広域的に収集することにより、マテリアル利用やエネルギー利用に必要な量が確保されることが期待される。

(4) 災害対策の強化

都道府県においては、都道府県内や、都道府県域を越える広域的な廃棄物処理体制の構築に向け、廃棄物処理施設の整備状況を把握するとともに、関係地方公共団体、関係機関及び関係団体との災害協定の締結等の連携体制の構築を進めることが重要である。また、関係者との災害時における廃棄物処理に係る訓練等を通じて、災害時の広域的な廃棄物処理体制の確保に努めることが望まれる。

また、地域の核となる廃棄物処理施設においては、地震や水害等によって稼働不能とならないよう、施設の耐震化、地盤改良、浸水対策等を推進し、廃棄物処理システムとしての強靱性を確保することで、地域の防災拠点として、特に焼却施設については、大規模災害時にも稼動を確保することにより、自立分散型の電力供給や熱供給等の役割も期待できる。

(5)地域への新たな価値の創出

近年では、廃棄物エネルギーを効率的に回収することによる地域のエネルギーセンターとしての機能や、災害時の防災拠点としての活用、処理工程の見学等を通じた環境教育・環境学習の場としての機能など、地域の社会インフラとしての機能を高めた廃棄物処理施設の整備が進んでいる。

上記(2)~(4)の観点も含め、広域化・集約化により、このような特徴を活かした社会インフラとしての廃棄物処理施設の機能を一層高め、地域の特性や循環資源の性状等に応じて、地域循環共生圏の核となりうる施設整備を推進するなど、地域に新たな価値を創出する廃棄物処理システムを構築していくことが重要である。

2.広域化・集約化計画の策定

(1)計画策定主体

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和 45 年法律第 137 号。以下「廃棄物処理法」という。)第5条の2に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」において、都道府県は、一般廃棄物の処理に関する市町村の責務が十分果たされるように必要な技術的助言を与えるよう努めるものとしている。その際、廃棄物処理の広域化に当たっては、区域内の市町村等の関係機関との調整等の推進に努めるものとしている。

このことに鑑み、都道府県が主体となり、管内市町村と密に連携して広域化・集約化計画を策定すること。また、広域化・集約化計画に基づき取組を推進するに当たっては、広域的かつ計画的にごみ処理施設の整備が進むよう、都道府県が市町村の総合調整に努めること。なお、市町村が一般廃棄物の処理に関する事業を実施するに当たっては、広域化・集約化計画との整合性に留意すること。

(2)前回策定の広域化計画の評価

新たに広域化・集約化計画を策定するに当たっては、前回策定の広域化計画のごみ処理施設数の推移やブロックごとの進捗状況等を評価し、その結果を反映すること。

(3)人口及びごみ排出量等の将来予測

廃棄物処理施設は、整備後数十年にわたり地域において継続使用・管理されるものであることを踏まえ、現在の廃棄物処理の状況を把握しつつ、20~30 年後の人口及びごみ排出量等を予測し、考慮した上で、計画策定を行うこと。

(4)広域化ブロック区割りの設定見直し

上記(2)及び(3)で評価・検討した結果をもとに、災害廃棄物処理体制、これまでの広域化の進捗状況、市町村合併の状況等を考慮し、広域化ブロック区割りの設定を見直すこと。過去に策定した広域化計画に基づいて広域化を達成したブロックについても、広域化・集約化の進捗状況を評価し、さらなる広域化・集約化の可能性について検討すること。広域化が未達成であったブロックについては、その原因を分析した上で、将来人口の見込みやブロック区割りの再構築も含めて検討すること。必要に応じて都道府県境を超えた広域化・集約化についても考慮すること。

なお、人口の多い都市については、地域の中核となり、積極的に周辺市町村と協力して広域化・集約化を推進することが望ましいことから、ブロック区割り等の検討の際に考慮されたい。

(5)ブロックごとの廃棄物処理体制の検討

ブロックごとの廃棄物処理施設の整備計画や廃棄物処理体制を検討すること。廃棄物処理体制の検討に当たっては、家庭系一般廃棄物の処理のみならず、事業系一般廃棄物の処理や汚泥再生処理センター等による処理も含め、廃棄物の資源化、エネルギー回収・利活用を最大限に進めつつ、収集運搬を含めた廃棄物処理全体を安定的・効率的に行う観点から検討を行うこと。

例えば、ごみの焼却についてはエネルギー利活用の観点から、100t/日以上の全連続燃焼式ごみ焼却施設を設置できるようにすること、既に 100t/日以上 300t/日未満の施設を設置している地域については、300t/日以上のごみ焼却施設の設置を含め検討すること。また、施設の大規模化が難しい地域においても、メタンガス化や燃料化といった廃棄物系バイオマス利活用など、地域の特性に応じた効果的なエネルギー回収技術を導入するなどの取組を促進すること。

なお、広域化・集約化による収集範囲の拡大により収集運搬経費が増加する可能性もあるところ、中継施設の設置の検討等も含め、廃棄物処理経費全体での評価を行うことが重要である。

広域化・集約化の主な方法として以下が考えられるので、地域の実情に応じて参考とされたい。

① 組合設立
近隣市町村が構成員となる一部事務組合・広域連合等を設立し、構成市町村のごみを処理する。

② ごみ種類別処理分担
複数の市町村において、ごみの種類ごとに分担して処理する。

③ 大都市での受入
大都市が周辺市町村のごみを受け入れ、処理する。

④ 相互支援
基幹改良事業等による施設停止時に、他の市町村が協力してごみを処理する。

⑤ 他のインフラとの連携
下水処理施設等の他のインフラと連携し、ごみ処理に必要な機能を集約化する。

⑥ 民間活用
市町村が民間の廃棄物処理施設にごみ処理を委託し、施設の集約化を図る。

3.広域化・集約化計画に記載する内容計画には以下の内容を含めること。

(1)計画期間

原則として 10 年とする。2021 年度末を目途に計画策定を目指すこととし、既に計画を策定・運用している場合においては、本通知の内容を踏まえ、必要に応じて計画の見直し及び推進を行うこと。

(2)広域化ブロック区割り2.(4)で設定したブロック区割りについて記載すること。

(作成例)

○○ブロック

構成市町村

・一部事務組合名

人口(万人)

面積(km2)

将来推計

(人口・ごみ量等)



(3)各ブロックにおける廃棄物処理体制

2.(5)で検討した廃棄物処理体制について、広域化・集約化に向けた廃棄物処理施設の整備計画や処理体制をブロックごとに記載すること。また、可能な限り民間の許可施設等についても記載に含めること。

整備計画の策定に当たっては、下記作成例の項目のほか、必要に応じて、ごみの種類、種類別のごみ量及びごみの収集運搬方法(中継施設の設置等を含む。)等についても記載すること。

(作成例)

○○ブロック

施設種類

処理能力

建設予定年度

エネルギー回収量

/再生利用量

ごみ焼却施設

粗大ごみ処理施設

ごみ堆肥化施設

ごみ飼料化施設

メタンガス化施設

ごみ燃料化施設

汚泥再生処理センター

最終処分場

その他の施設

4.留意事項

(1)既に、今後 10 年程度を計画期間とし、上記と同等の内容が含まれた計画が策定されている場合は、広域化・集約化計画が策定されているものとみなす。また、廃棄物処理法第5条の5に基づく都道府県廃棄物処理計画の中に上記と同等の内容が含まれている場合についても、広域化・集約化計画が策定されているものとみなすことができる。

(2)広域化・集約化の計画を着実に推進していくため、都道府県は毎年度、ブロックごとの施設整備の進捗状況、過渡期の対応等を把握し、広域化・集約化の進行管理を行うこと。なお、進行管理に当たっては、施設の数や規模等の目標設定を行うことが望ましい。

(3)計画は、必要に応じ見直すこと。

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