法令・告示・通達

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に係る留意点について

公布日:平成14年01月10日
環廃産12号

(各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長あて環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進については、別途、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長から通知されたところであるが、なお左記事項に留意の上、その運ポリ塩化ビフェニル廃棄物対策の推進に遺漏なきを期されたい。

第一 定義について

  1.  一 ポリ塩化ビフェニル廃棄物
       ポリ塩化ビフェニル廃棄物は、難分解性の性状を有し、かつ、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であることから、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「廃棄物処理法」という。)の処理基準において、廃ポリ塩化ビフェニル等、ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物については、焼却、分解若しくは洗浄又は分離による除去により処分しなければならないこととされているため、これらの方法により処分するために処理したものであってポリ塩化ビフェニルの濃度がポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則(平成一三年環境省令第二三号。以下「特措法施行規則」という。)に規定する基準に適合するものは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の対象から除外している。
       なお、特措法施行規則に規定する基準は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第三五号)第一条の二第四項に規定する基準と同等のものを定めている。
  2.  二 事業者
       ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成一三年法律第六五号。以下「特措法」という。)第二条第二項の事業者とは、あらゆる事業を行なう個人及び法人がこれに含まれ、私企業に限らず、国、地方公共団体等の公共的な法人も含め、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管事業者をいうものである。
       なお、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理を行なう許可業者については、処理に当たって一時的に保管を行なうこととなるが、当該保管は処理行為そのものに含まれることから、同項の事業者には該当しない。

第二 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画

 一 総論

  1.   (一) ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に即して定めることとされているところ、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理体制の確保の見込み等を勘案しつつ、環境省において、今後できる限り速やかに基本計画を策定することとしているので、基本計画が策定された場合には、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画を速やかに策定するよう努められたい。また、環境事業団によるポリ塩化ビフェニル廃棄物の拠点的処理施設の処理の対象区域にある都道府県及び政令で定める市等関係都道府県等の間で必要な調整を図りつつ計画を策定する必要があることに留意されたい。
  2.   (二) ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画は、おおむね五年ごとに策定することが適当である。また、基本計画の変更その他計画策定の前提となる諸事情に変化があったときは、必要な見直しを行なうことが適当である。
  3.   (三) ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の基本となる性格を有するとともに、事業者、国民等にその内容について周知し、理解を深めるように努めることが必要であることから、その公表を行なわなければならないこととしたものであり、計画策定及び変更後には、都道府県広報及びホームページへの掲載、事務所へ備え付け閲覧できるようにするなど速やかに公表されたい。

 二 計画の内容

  1.   (一) ポリ塩化ビフェニル廃棄物の発生量等の見込みは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の種類ごとに定めるものとしている。
  2.   (二) ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の体制の確保に関する事項としては、処理の体制の現状、処理の体制の確保のための方策、処理施設の整備に関する事項及び広域的な処理の体制に関する事項を定めるものとしている。具体的には、保管事業者による自己処理、廃棄物処理業者による処理及び環境事業団による拠点的処理施設における処理のほか公的関与に係る施設における処理等、処理施設の確保・整備に関する内容及び方針を定めるほか、廃棄物処理業者等による収集運搬体制の確保に関する内容等を定めることが適当である。
  3.   (三) ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の推進に関し必要な事項としては、必要な監視、指導その他の措置に関する事項、関係地方公共団体との連携に関する事項、処理を推進するために必要な国民及び事業者等の理解を深めるための方策に関する事項、その他必要と認められる事項を定めるものとしている。具体的には、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正保管、計画的な処分、及び適正な収集運搬に関する事業者に対する指導の方針、環境事業団によるポリ塩化ビフェニル廃棄物の拠点的処理施設が立地される地方公共団体を含め、当該処理の対象区域の地方公共団体間での計画的な処理及び円滑な収集運搬の方針、区域内のポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の状況に関する情報公開の方針等について定めることが適当である。

 三 政令で定める市

   特措法第七条第一項に規定する政令で定める市は、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)に定める政令指定都市若しくは中核市又は地域保健法(昭和二二年法律第一〇一号)に定める保健所設置市に該当する市のうち、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設が設置される市又はポリ塩化ビフェニル廃棄物を大量に保管する事業所等がその区域内にある市であって、当該区域内のポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理を計画的に行うため、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画を策定することが適当である市を定めるものであるが、政令を立案するに当たっては、当該市の申出に基づいて行うものとし、その際には、環境大臣は、関係都道府県と十分な協議を行うこととしている。

第三 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管等の届出

  1.  一 事業者及びポリ塩化ビフェニル廃棄物を処分する者(以下「事業者等」という。)は、毎年度、前年度におけるポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管及び処分の状況について、当該年度の六月三〇日までに都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、市長。以下同じ。)に届け出なければならないものである。
       なお、届出は、特措法第二五条により、罰則の対象とされていることから、届出義務違反に対しては、積極的に告発を行う等届出の確実かつ適正な履行に配慮されたい。
  2.  二 届出は、特措法施行規則第四条により、事業場ごとに行う必要があるとされていることから、届出漏れがないよう区域内の事業者等に確実に周知されたい。
  3.  三 小型のポリ塩化ビフェニル使用電気機器を密閉容器に封印して保管している場合等、その保管形態から特措法施行規則第四条又は同附則第二条に規定する届出様式の備考に規定する単位での記入が困難な場合には、必ずしもその単位での記入は必要ないものである。
       ただし、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の発生量、保管量及び処分量の見込みを円滑に算出できるよう、できる限り、参考事項欄にその様式の単位に換算する値(例えば、ドラム缶一本あたりの台数)を記入することが望ましい。
       また、届出様式における「廃棄物の型式等」についても、今後、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設の立地を進める上で処理施設の規模を計画する際に必要不可欠な情報となることから、型式等の記入に遺漏なきよう指導されたい。
       届出書に添付することとされている写真(デジタルカメラ等によるものを含む。)については、すべての廃棄物について個別の写真の添付を要するというものではなく、例えば、廃棄物の型式が全く同一である場合には、代表となる写真の添付で足りるものである。
  4.  四 ポリ塩化ビフェニル使用製品が既に財団法人電気絶縁物処理協会へ届出がなされている高圧トランス・高圧コンデンサである場合には、届出書に旧財団法人電気絶縁物処理協会のPCB使用電気機器保有台帳の登録番号を備考欄に記入することとされているが、事業者等が既に把握できているもののみの記入で足りるものである。
  5.  五 電気事業法電気関係報告規則により事業者から各経済産業局長(北陸にあっては中部局北陸支局、沖縄にあっては内閣府沖縄総合事務局)に対してポリ塩化ビフェニルを使用した電気工作物の使用状況について(照明用安定器等を除き)平成一四年一〇月一四日までに使用報告が行なわれることとされたところであり、当該報告内容については、各経済産業局等から都道府県・保健所設置市に提供することが可能であるため、当該報告がなされたポリ塩化ビフェニル使用製品に係る届出書への記入については、各経済産業局長等に使用報告を提出している旨を記入することで差し支えないものである。
       なお、おって、各経済産業局等からの情報提供の方法に関し、必要事項を連絡する。
  6.  六 都道府県知事は、毎年度、事業者等により届け出られた保管及び処分の状況について公表することとされたところ、特措法においては、これらの情報を公開することが、特措法の目的である国民の健康の保護及び生活環境の保全のために必要であることから、法律上、これを公表することとしたものであるので、その趣旨を踏まえ、確実な実施に努められたい。また、具体的な公表手続きについては、特措法施行規則第六条の規定に従い、届出書の副本並びに添付書類を公衆の縦覧に供することにより行うものとしている。

第四 期間内の処分等について

  1.  一 特措法では、事業者は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令(平成一三年政令第二一五号)で定める一定の期間内にポリ塩化ビフェニル廃棄物を自ら処分し、又は処分を他人に委託しなければならないこととされたところ、当該委託は、廃棄物処理法に定める委託基準に従った処分委託のみに限られるものである。また、当該処分は、廃棄物処理法に定める処理基準に従った処分であってポリ塩化ビフェニルの濃度が特措法施行規則に定める基準に適合するよう行われる処分のみに限られるものである。
  2.  二 この期間内に自ら処分を行わない場合及び処分を他人に委託しない場合には、特措法第一六条の規定による改善命令により処分等の措置を命ぜられることとなるとともに、改善命令に従わない場合には、罰則の適用があることから、特措法第一四条に基づく指導及び助言を積極的に活用するなどして、期間内におけるポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理を確保されたい。
       なお、指導及び助言は、都道府県知事の広範な裁量により必要に応じて行われるものであるが、特措法施行令で定める期間内処分に係る期限が到来する以前から、事業者に対し、計画的な処理の実施に関して指導を行うことが想定されているものであって、指導及び助言を特措法に基づく義務違反に対する行政処分及び刑事告発の前提とする趣旨のものではない。
  3.  三 特措法において、何人もポリ塩化ビフェニル廃棄物を譲渡し又は譲受けてはならないこととされたものであるところ、特措法は、譲渡し及び譲受け双方の行為を禁止しており、違反行為については直ちに罰則の適用があることから、その趣旨を事業者等に対し十分に周知されたい。
       なお、譲渡し及び譲受けの制限は、特措法及び廃棄物処理法に基づく法的義務についての脱法行為を防止するために設けられたものであることから、事業者が、その保管するポリ塩化ビフェニル廃棄物について、廃棄物処理法に基づく委託基準に従って、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る許可を受けた特別管理産業廃棄物処理業者に処分を委託し、又は当該特別管理産業廃棄物処理業者が処分を受託する場合は、当然に譲渡し及び譲受けの制限に違反しないものである。
       また、譲渡し及び譲受けの制限の例外としては、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理に支障を及ぼすおそれがないものとして、特措法施行規則に地方公共団体にポリ塩化ビフェニル廃棄物を譲渡す場合及び地方公共団体が譲受ける場合を定めている。
  4.  四 特措法第一二条の承継に係る規定にいう「分割」とは、事業者たる会社(分割会社)が、その営業の全部又は一部を、他の会社に承継させるものであるが、特措法においては、会社分割の場合には、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する事業者の実質を備えた者に特措法に基づく地位を承継させる趣旨から、分割によりポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管に係る事業の全部を承継した法人がその事業者の地位を承継することとし、当該事業を承継させない分割の場合やその一部しか承継させない分割の場合には、事業者の地位の承継の効果は生じないものである。
       また、都道府県知事が、特措法に基づく各種措置を講ずるに当たり、承継された者を把握しておく必要があることから、事業者の地位を承継した者は、その承継があった日から三〇日以内に環境省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出なければならないこととしている。