法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用上の疑義について

公布日:平成14年07月18日
環廃産407号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から各都道府県知事・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長あて)

 標記について、別紙のとおり当職あて照会のあったところ、別添のとおり回答したところであるので了知されたい。

別表

(平成一四年三月二五日) (産廃第一〇五七号) (千葉県環境生活部長から環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長あて照会)

 このことについて、下記のとおり疑義が生じましたので、御回答いただきますようお願いします。

〔事案〕

 本県市川市所在の産業廃棄物中間処理事業者A社は、建設工事汚泥の凝集固化による中間処理を行っている。A社は、中間処理後の固化改良汚泥を、「千葉県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」第二条第二項に定める建設発生土等の埋立事業場である特定事業場に地盤改良材及びのり面強化材と称して販売し搬入を行っている。
 A社は、平成一三年六月一日付け環廃産第二七六号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」別添の「建設廃棄物処理指針」9再生利用の解説(7)を根拠に、改良汚泥を土質材料として利用するにあたり、汚泥の再生利用認定に係る金属等の基準(平成九年一二月二六日厚生省告示第二六一号別表)を満足しているので問題ないとしている。
 本県としては、建設汚泥を中間処理してその性状を改良した改良汚泥は、たとえ再生利用認定に係る金属等の基準をクリアしているとしても、前記建設廃棄物処理指針9(1)①の「有償売却できる性状のもの」との要件を満たさなければ、依然として産業廃棄物であると解している。したがって、改良汚泥の処分は産業廃棄物として管理型最終処分場に搬出し最終処分すべきものであり、有償売却できない改良汚泥を建設発生土等の埋立事業場に投棄することは不法投棄とみなし、当該事業場への搬入を禁止し、既に搬入された改良汚泥については撤去を求めている。

〔質問〕

問 廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断するべきものであるとされている(平成一二年七月二四日衛環第六五号)。
  中間処理事業者Aが行った中間処理後の当該物は、下記事項に照らし判断する限り、全体として法第二条第四項に規定する産業廃棄物と解してよいか。

 ・ 当該物の性状
   当該物は、地下鉄工事等の掘削工事において、泥水シールド・リバースサーキュレーション工法等に伴って発生したものであり、その時点で汚泥と判断されたものを石灰や固化材等で脱水・安定化し、凝集固化したもの(以下「改良汚泥」という。)である。
   本件改良汚泥は、依然として流動性を有している状態のものもあり、その余のものも多少の降雨で、即座に流動性を有する状態となる。このため、そのままでは埋め戻し材などとして使用することはできないため、A社は本件改良汚泥を使用するに当たっては、一角に掘った穴で、通常の建設発生土とこね合わせるなどして、ある程度固化させた上で使用している状態にある。
 ・ 排出の状況
   Aは、おおむね月に一万六〇〇〇立方メートル程度の建設汚泥や固化改良土(発生現場で脱水処理されたもの)を受け入れ、減量化等の中間処理後、特定事業場(土砂等の埋立て事業場)等へ四〇〇〇立方メートル程度搬出しているとしている。
 ・ 通常の取引形態
   そもそも建設汚泥を石灰や固化材等で脱水・安定化し、凝集固化したものについては、通常、有用物たる改良土(リサイクル推進の観点から一定の水準を満たしたものについて公共工事等において使用されるもの)として使用することはできないため、管理型最終処分場で埋立処分される以外に方法はない。これは、埋立資材等として土砂が必要な場合には、建設発生土等通常の土砂を容易に入手することができ、あえてリサイクル品の改良土を使用するインセンティブが働かないためであり、建設汚泥のリサイクル利用は一部にとどまっているのが実情である。
   そして、この場合の改良汚泥の県内での改良汚泥の管理型最終処分場への処分費は、通常一立方メートルあたり一万八〇〇〇円から二万八〇〇〇円であり、運搬費は、一立方メートルあたり四〇〇〇円前後である。
   なお、通常、中間処理を必要としない建設発生土は一立方メートルあたり四〇〇円の処理費を払って特定事業場(土砂等の埋立て事業場)に持ち込まれている。
 ・ 取引についてのAの説明
   Aは、当該物を特定事業場(土砂等の埋立て事業場)までの運送料込みで、一立方メートルあたり三〇〇円で販売したので「有価物」であると主張している。しかし、この価格は明らかに通常の運送料を下回る価格である。そこで、県は、販売者が実質的に利益を得られる正当な価格ではない(Aの手元マイナス)として産業廃棄物としての処理を指導した。
   ところが、Aは、価格設定を変更し、運送料抜きで一立方メートルあたり一〇〇円で特定事業場(土砂等の埋立て事業場)に販売することとしたとし、輸送に関しては特定事業場(土砂等の埋立て事業場)が引き取りに来る旨主張している。
 ・ 県の判断
   中間処理を必要としない建設発生土は一立方メートルあたり四〇〇円程度の埋立費用を払って特定事業場(土砂等の埋立て事業場)に持ち込まれている。
   当該物について当初Aは、運送料込みで一立方メートル当たり三〇〇円で販売していたところ、県の指導により即座に運送費をAの負担で一立方メートルあたり一〇〇円で販売することとしており、取引形態が一貫していない。仮にこのような販売価格が成立するには、中間処理業者は排出事業者からの処理費で販売価格の低さを補い、特定事業者(土砂等の埋立て事業者)も事業場の減容積に見合うバックマージン(一立方メートルあたり五〇〇~六〇〇円)を水面下で中間処理業者から受け取っていると考えるほかない。(確証は取れていない。)
   すなわち、本件改良汚泥の性状に照らしても、製品としての正常な価値に見合う価格があるのではなく、実質的な最終処分を売買の形式とするための価格設定をおこなっていると考えられることから、この行為は形式的、脱法的な有償売却と判断できる。
   一方、当該物を購入したとする特定事業場(土砂等の埋立て事業場)について見た場合、A社は、当該改良汚泥について、「のり面強化材」又は「地盤補強材」として使用していると主張しているが、
  1.   (1) 通常、土質材料として利用する場合には、建設汚泥の性状と改良汚泥の用途に応じた品質に適合するよう、当該建設汚泥の処理に当たって搬入汚泥の性状管理、改良汚泥の品質管理を行うことが必要となるが、こうした管理は行われていないこと。
  2.   (2) 「のり面強化材」と称して当該物を使用している場合についても、
    1.    ① のり面の表面だけに使用する場合やのり面が存在する構造基盤までのすべてに使用するなどまちまちであって、のり面の安定性を強化する用途に使用しているとはいい難いこと
    2.    ② 使用後の状況を見ても、時間の経過とともに本件改良汚泥の流出・飛散が見られているほか、当該汚泥が固化材の影響で高アルカリ性を示していることとも関連して、草木も全く生えない状態で放置され、のり面強化の機能があるとは客観的には認められないこと
    3.    ③ また、本件改良汚泥が降雨によって高い流動性を有することを考慮するとこのまま放置した場合には大規模な流出事故の発生も否定し得ない状態であると認められることから、このような使用方法は、通常の建設工事においては到底とられないものであり、社会通念に照らしてのり面強化に用いられているとは考えられないこと、
  3.   (3) 「地盤補強材」として使用する場合も、
    1.    ① 植栽を行うための表層部を形成する植栽対象基盤を除くすべてに埋立材として改良汚泥を使用する場合が見受けられ、地盤を沈下等しないように補強する用途に使用しているとはいい難いこと
    2.    ② 本件改良汚泥が降雨によって高い流動性を有すると認められることからこのような使用方法は、通常の建設工事においては到底とられないものであり社会通念に照らして地盤強化に用いられているとは考えられないこと
  から、特定事業場(土砂等の埋立て事業場)において、改良汚泥が品質等に応じて土質材料として利用されているとは到底認められず、特定事業場において処分されている残土と同様に埋立処分されているのと変わりがないと判断できる。

(平成一四年七月一八日)
(環廃産第四〇六号)
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から千葉県環境生活部長あて回答)

 平成一四年三月二五日付け産廃第一、〇五七号をもって御照会のありました標記について、下記のとおり回答いたします。

 貴見のとおり解して差し支えありません。