法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用上の疑義について

公布日:平成13年11月29日
環廃産513号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から各都道府県知事・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長あて)

 標記について、別紙のとおり当職あて照会のあったところ、いずれの照会事項についても貴見のとおり解して差し支えない旨回答したところであるので了知されたい。
 なお、平成一二年七月二四日付け衛環第六五号及び衛産第九五号をもって通知した「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について」は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する「廃棄物」の定義を明確化したものであり、使用済みタイヤ以外の物についても、それが「廃棄物」に該当するか否かを判断する際に準用できるものである(本通知では、廃棄物である使用済みタイヤが「長期間にわたりその放置が行われている」ことの判断基準として概ね一八〇日以上との期間をあげているが、他の廃棄物についても当該期間が直接適用されるわけではないので、廃棄物の特性及び放置の状態等に照らし、一八〇日以内であっても処分として行政処分を行うことは可能である。)のでその旨了知されるとともに、廃棄物の適正処理の確保に遺漏のないようお願いする。

別表

 A県B市内の民有地(屋外)にフレコンバッグに梱包された非鉄金属の混入、油臭のある自動車等破砕物と思われるもの(以下、「当該物」という。)が四〇〇〇~五〇〇〇m3程度積み上げられていることを確認した。当該物の占有者Aに事実関係を聴取したところ、

  1. ① 当該物は、シュレッダー事業者が排出した自動車等破砕物をX県Y市において中間処理業者B(産業廃棄物処分業<選別>の許可有り)がトロンメル(回転篩)を用いてふるいにかけたもの(ふるい上に残ったもの)を、占有者Aが、燃料として使用する目的で、Bから一〇〇円/tの単価により購入したものであり、今後、A県内に食材生産に用いるためのボイラーを設置して、当該物を焼却することによる熱エネルギーを得る計画である。
  2. ② 当該物は、産業廃棄物収集運搬業者C(事業範囲に自動車等破砕物は含まない。代表者は占有者Aと同一人物。)により当市内に搬入され、前記の民有地とは別の場所にある事業所でフレコンバッグに積み替えている。

旨の申出がなされた。

 また、当該物の一部は、既にA県内のK町に搬出されている。
 ただし、占有者Aは、A県知事及びB市長のいずれからも廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)第一四条第四項の規定に基づく産業廃棄物処分業の許可を受けていない。
 このため、A県及びB市は、保健所設置市であるY市から中間処理業者Bの中間処理に係る情報の提供を受けるとともに、Y市の協力を得て同社に対する立入検査を実施し、処理の状況等を聴取した結果、当該物は、中間処理業者Bがシュレッダーダストをトロンメルを用いてふるいをかけ、ガラスくずなどの小さな粒状物を除くという中間処理のみを行ったものを、占有者Aとの売買契約が整ったことから、Aに売却したものであることが判明した。
 この件について、次のとおり疑義が生じたので、ご教示願いたい。

  1. 問1 廃棄物に該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものとされているところ、中間処理業者Bが行った中間処理後の当該物は、下記事項に照らし判断する限り、全体として法第二条第四項に規定する産業廃棄物に該当すると解して良いか。
     ・ 当該物の性状

      当該物は、シュレッダーダストをトロンメルにより選別した後に上部に残った比較的形状の大きなものであるが、外見上通常のシュレッダーダストと見分けが付かず、また、溶出検査によって有害物質の検出が認められたこと。

       鉛 〇・六~二・四mg/L
       カドミウム 〇・〇〇三~〇・〇一三mg/L
       六価クロム、総水銀、砒素及びシアン化合物については不検出

     ・ 排出の状況
       Bからどの程度排出されているのかは不明である。
     ・ 通常の取扱形態
       通常、シュレッダーダストは、管理型最終処分場に埋め立てられるか若しくは廃棄物焼却炉において焼却処理されている。処理費用は、本件地域ではおおむね三万円/t程度とされている。
       B市において関係業界に確認したところでは、現状国内では、シュレッダーダストから選別された廃プラスチック類などを燃料として使用した事例はない。
     ・ 取引価値の有無
       当事者の真意及び実際の取引状況については不明ながら、AとBとの間で締結された契約書によれば一トン当たり、一〇〇円で売却されることになっている。運搬費用は誰が負担しているのか不明。
     ・ 中間処理業者Bの意思
       当該物の性状、通常の取扱形態等を考慮すると、Bが当該物を廃棄物と認識していなかったとは到底考えられないこと。
     ・ 占有者Aの意思
       Aは、当該物を集積し、これを放置しているものであり、社会通念上合理的に認定し得る占有者Aの意思は、廃棄物を占有していると考えられること。
  2. 問2 当該物が産業廃棄物である場合、占有者Aの計画によれば、中間処理業者Bから当該物を引き受ける段階で当該物を処分することを目的としたものであると解されることから、当該物を数か月にわたって放置している状態をもって、産業廃棄物の処分に該当するものとして、法第一九条の五の規定に基づき、占有者Aに対して、当該物の撤去及び当該物の適正な処理を行うことを命じて良いか。
  3. 問3 当該物が産業廃棄物である場合、占有者Aは当該廃棄物に係る法第一四条第一項及び第四項の規定に基づく産業廃棄物処理業の許可を有しないにもかかわらず、中間処理業者Bが占有者Aに対して当該物を引き渡した行為は、他人の産業廃棄物の処理を業として行うことができない者に対して廃棄物の処理を委託したことになるから、法第一二条第三項に違反するものとして、法第一九条の五の規定に基づき、中間処理業者Bに対して、当該物を撤去の上適正に処理すべきことを命じて良いか。