法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律の施行について

公布日:平成15年11月28日
環廃対発031128002・環廃産発031128006

(各都道府県知事・各政令市市長あて環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成一五年法律第九三号。以下「改正法」という。)は、本年六月一八日に公布されたところであり、その一部は、既に公布の日及び公布の日から起算して二〇日を経過した日から施行されているところであるが、本年一二月一日から完全施行されることとなっている。これに伴い、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成一五年政令第四四九号)が本年一〇月一日に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成一五年環境省令第三〇号。以下「改正省令」という。)が本年一一月二八日に、それぞれ公布され、本年一二月一日から施行されることとなっている。

 これらの改正の趣旨及び内容のうち廃棄物処理施設整備計画については、別途、環境省環廃企発第〇三一〇二八〇〇一号により通知しているところであるが、その他の改正の趣旨及び内容については、下記のとおりであるので、その運用に当たっては十分に留意の上、遺漏なきを期されたい。
 なお、貴管下市町村等に対しては、貴職より周知願いたい。

第一 改正の趣旨

  我が国においては、循環型社会の形成の推進のため、廃棄物の減量化を促進し、安全で適正に廃棄物を処理することができる体制を整備することが大きな課題とされている一方で、累次の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)の改正等にもかかわらず、悪質な不法投棄等がなお後を絶たない状況となっている。

  このような状況を踏まえ、廃棄物の不法投棄等の不適正処理を防止するとともに、廃棄物の効率的かつ適正な処理及びリサイクル等を促進するため、行政調査権限の拡充、罰則の強化、許可に係る規制の厳格化等の措置を講ずるとともに、廃棄物の広域的処理に係る特例制度の創設等の措置を講じたものである。

第二 改正の内容

 一 国の責務の明確化等

   今日の広域的な不法投棄の多発、最終処分場の残余容量のひっ迫等により、産業廃棄物処理対策が環境政策における全国的かつ緊急の課題となっていることから、地方分権改革推進会議において国の総合的な責任の明確化等や関与の強化が求められていることを踏まえ、今回、市町村及び都道府県に対し国が広域的な見地からの調整を行うことに努めなければならないものとしたとともに、都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、市長。以下同じ。)が行う産業廃棄物に係る事務が円滑に実施されるよう、国が職員の派遣その他の必要な措置を講ずることに努めるものとしたこと。
   また、生活環境の保全上特に必要がある場合には、環境大臣が都道府県知事の権限に属する報告徴収及び立入検査について、産業廃棄物に係るものも含め実施できることとしたこと。

 二 事業者の一般廃棄物の処理の委託に係る措置

   事業活動に伴って排出された廃棄物は、排出者が自らの責任において適正に処理することが原則であり、これに該当する一般廃棄物についても排出事業者の処理責任を強化するため、事業者がその一般廃棄物の処理を他人に委託しようとする場合には、一般廃棄物処理業者等に委託しなければならないこととするとともに、その際の基準として、他人の一般廃棄物の処理を業として行うことができる者であって、委託しようとする処理がその事業の範囲に含まれるものに委託しなければならないことを定めたこと。
   また、事業者が特別管理一般廃棄物の処理を他人に委託しようとする場合には、委託しようとする者に対し、あらかじめ、当該委託をしようとする特別管理一般廃棄物の種類、数量、性状等を文書で通知することを定めたこと。

 三 廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置の許可の手続等の適正化

  1.   (一) 廃棄物処理業の許可の有効期限の適正化
        廃棄物処理業の許可の更新の申請があった場合において、許可の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、適切な更新手続の確保を図る観点から、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なおその効力を有することとしたこと。
  2.   (二) 廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置の許可に係る欠格要件の追加
        廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置の許可に係る欠格要件として、廃棄物処理業等の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八八号)第一五条の規定による聴聞の通知のあった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に廃棄物処理業等の事業の全部の廃止の届出をした者(いわゆる「許可の取消し逃れをした者」)で、当該届出のあった日から五年を経過しないもの等を追加することとしたこと。
  3.   (三) 廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置の許可の取消しの処分の一部の羈束行為化
        欠格要件に該当するに至った者及び事業停止等の処分に違反した者等、特に悪質な業者について、都道府県知事又は市町村長は、許可を取り消さなければならないこととしたこと。

 四 廃棄物処理業等の許可に係る特例

  (一) 廃棄物の広域的処理に係る特例

  1.    ① 広域的に行うことによって廃棄物の減量その他その適正な処理の確保に資すると認められる廃棄物の処理については、従来、改正省令による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第二条第三号、第一〇号及び第一一号、第二条の三第三号、第七号及び第八号、第九条第三号並びに第一〇条の三第三号に基づく環境大臣の指定制度により、製造事業者等による自主回収及び再生利用を推進してきたところであるが、今般、廃棄物の適正な処理を確保するため、これらの廃棄物の広域的な処理を行う者として環境大臣の認定を受けた者(その委託を受けて当該認定に係る処理を行う者を含む。)について、廃棄物処理業の許可を不要とするとともに、処理基準の遵守、帳簿の記載及び保存の義務等の規制が適用される制度を設けたこと。
  2.    ② 都道府県知事又は市町村長は、認定を受けた者(その委託を受けて当該認定に係る処理を行う者を含む。)に対する報告徴収(改正法による改正後の廃棄物処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)第一八条第一項)、立入検査(法第一九条第一項)、改善命令(法第一九条の三第一項)及び措置命令(法第一九条の四第一項)等の権限を有していることから、これらについて適切に実施されたいこと。なお、環境大臣が認定を行った者(その委託を受けて当該認定に係る処理を行う者を含む。)については、都道府県知事及び関係の市町村長あてに通知することとしていること。
  3.    ③ また、認定を受けた者から委託を受けて当該認定に係る処理を行う者についても廃棄物処理業の許可を不要とすることに伴い、当該者も措置命令の対象としたものであるが、認定を受けた者から委託を受けて当該認定に係る処理を行う者により不適正な処分が行われた場合には、法第九条の九第六項及び法第一五条の四の三第三項において準用する法第九条の九第六項の趣旨を踏まえ、認定を受けた者に生活環境の保全上の支障の除去等を行わせることが適当であるときには、当該認定を受けた者も措置命令の対象としたこと。

  (二) 産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例

    同様の性状を有する一般廃棄物と産業廃棄物を処理する場合に、その処理する施設の構造基準や維持管理基準が同じであるにもかかわらず、一般廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設の設置に関する許可手続を二重に求め、生活環境影響調査等をさせることは合理的ではないとの観点から、産業廃棄物処理施設において処理することのできる産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものを当該産業廃棄物処理施設において処理する場合、都道府県知事に届け出ることによって、その処理施設を当該一般廃棄物を処理する一般廃棄物処理施設として設置することができることとしたこと。
    なお、市町村は、従前どおり一般廃棄物の処理施設の整備に関する事項を含めた一般廃棄物処理計画を定め、同計画に従って、その区域内で発生する一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないよう処理しなければならないものであること。
    また、本特例に基づく施設を用いて他人の一般廃棄物の処理を行う者は、一般廃棄物処理に係る許可業者その他一般廃棄物の処理を業として行うことができる者である必要があること。

 五 報告徴収及び立入検査に係る規定の拡充

  廃棄物であることの疑いのある物が野積みされるなどして生活環境の保全上支障が生じている実態があることから、あらかじめ当該物が廃棄物であると判断されるに足りる客観的な事実を把握していなくても、廃棄物であることの疑いのある物について都道府県知事又は市町村長は、法の施行に必要な限度において、法に基づく報告徴収又は立入検査ができることとしたこと。

六 罰則の強化

   近年、廃棄物の不法投棄等を行おうとする者が、その実行に着手した段階で警察の監視に気付くなどにより実行行為の完遂に至らず、処罰を免れるケースが見られるところ、これらの者が再び不法投棄等を行う蓋然性が極めて高いため、その再発を防止するとともに、環境保全の観点からは、既遂に達する前に取り締まる必要があることから、廃棄物の不法投棄及び不法焼却について、それぞれ未遂行為を罰する旨の規定を新設したこと。
   なお、あわせて、法人が一般廃棄物の不法投棄等に関与した場合に対する罰則を、産業廃棄物に係る罰則と同様に一億円以下の罰金に引き上げることとしたこと。