法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について

公布日:平成18年08月09日
環廃対060809002号・環廃産060809004号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長から各都道府県知事・各政令市市長あて)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)の一部改正を含む石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律(平成18年法律第5号。以下「改正法」という。)が平成18年2月10日に公布された。また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第250号。以下「改正政令」という。)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成18年環境省令第23号。以下「改正省令」という。)が平成18年7月26日に公布された。これらの改正は、一部を除き、平成18年8月9日から施行された。
 ついては、下記事項に留意の上、その運用に遺漏なきを期するとともに、貴管下市町村等に対しては、貴職より周知願いたい。
 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

第一 無害化処理認定制度について(改正法による改正後の法第9条の10及び第15条の4の4、改正政令による改正後の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「施行令」という。)第5条の11、第5条の12、第7条の6及び第7条の7並びに改正省令による改正後の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号。以下「施行規則」という。)第6条の24の2から第6条の24の16まで及び第12条の12の14から第12条の12の19まで関係)

1 改正の趣旨

  石綿を含む廃棄物は、有害性を有するとともに、建築物の解体等の増加により大量に発生することから、円滑かつ安全な処理を確保することが不可欠であるが、石綿を含む廃棄物の処理方法は、最終処分場に埋め立てる方法にほぼ限られているのが現状である。
  しかしながら、石綿を含む廃棄物の排出量の増加が予想される中で、大量の石綿を含む廃棄物が滞留し、不適正処理が頻発して、人の健康又は生活環境に深刻な悪影響を及ぼす事態が懸念される。このため、石綿を含む廃棄物について無害化処理(廃棄物を人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがない性状にする処理をいう。以下同じ。)という新たな処分のルートを早急に確保することが不可欠である。
  こうした無害化処理にはいくつかの方法があるが、施設の種類、炉内温度、投入物の混合割合等の異なる条件の組み合わせから成る新たな技術であるため、安全な無害化処理を円滑に進めるためには、環境大臣が個々の施設と処理方法ごとに安全性を確認し、迅速に施設の設置を進めることを通じて、政策的に促進することが必要となっている。これを踏まえ、今般、無害化処理認定制度を創設することとしたものである。

2 改正の内容

(1)無害化処理認定制度の対象となる廃棄物

  無害化処理認定制度の対象となる廃棄物は、石綿を含む廃棄物その他の人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある性状を有し、かつ、無害化処理認定制度の対象とすることにより、迅速かつ安全な無害化処理が促進されると認められる廃棄物とすることとする。

(2)無害化処理認定制度の認定について
 ① 認定の要件

   無害化処理認定制度の趣旨は、石綿を含む廃棄物その他の人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある廃棄物について、不適正処理の発生や人の健康及び生活環境への被害を防止するために、その無害化による迅速・安全な処理を促進することである。
   このような趣旨から(ア)無害化処理の内容の基準、(イ)無害化処理を行い、又は行おうとする者の基準及び(ウ)無害化処理の用に供する施設の基準に適合することを認定の要件とする。

 ② 認定の法律上の効果

   無害化処理認定制度は、認定を受けることで廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置について、都道府県知事又は市町村長の許可を取得する必要がなくなる。ただし、無害化処理の用に供する施設において無害化処理以外の処理を行う場合、別途処理業及び施設の設置許可の取得が必要となる等、認定の他に別途処理業及び設置許可の取得が必要となるものである。
   認定を受けた処理業者については、廃棄物の処理基準等が適用され、廃棄物収集運搬業者又は廃棄物処分業者とみなされる。

 ③ 認定の申請

   無害化処理認定制度の手続きについては、取り扱う廃棄物が人の健康又は生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがあるものであることを踏まえ、(ア)周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査(以下「生活環境影響調査」という。)の結果を記載した書類の提出、(イ)申請書等の告示・縦覧の実施、(ウ)関係自治体の長からの意見聴取、利害関係者の意見提出の機会の付与等の廃棄物処理施設の施設の設置許可と同様の手続きをとることとする。

 ④ 指導監督について

   無害化処理認定を受けた者に対する指導監督として、認定を受けた者の当該認定に係る無害化処理に関する報告徴収(法第18条)、立入検査(法第19条)、改善命令(法第19条の3)、措置命令(法第19条の4、第19条の5及び第19条の6)及び代執行(法第19条の7及び第19条の8)を環境大臣が行うこととする。

第二 処理基準に係る改正について(施行令第3条及び第6条関係)

1 改正の趣旨

  石綿を含む廃棄物のうち、特別管理産業廃棄物である廃石綿等を除く石綿含有一般廃棄物(工作物(建築物を含む。以下同じ。)の新築、改築又は除去に伴って生じた一般廃棄物であって、石綿をその重量の0.1パーセントを超えて含有するもの。以下同じ。)又は石綿含有産業廃棄物(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1パーセントを超えて含有するもの。以下同じ。)(以下「石綿含有廃棄物」という。)については、個別の処理基準が設けられていないことから、処分等の適正化を図るため、「非飛散性アスベスト廃棄物の取扱いに関する技術指針」(平成17年3月30日付け環廃産発第050330010号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課適正処理・不法投棄対策室長通知)に基づき、他の廃棄物と区分して処理すること等の生活環境保全上の支障を生じさせないための処理方法を事業者に対して指導等していたところであるが、今般、石綿含有廃棄物の処理基準を定め、適正な処理を確保することとする。

2 改正の内容

  石綿含有廃棄物は、そのままでは飛散性はなく、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれはないが、破砕すると飛散により人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるという性格を有するものである。
  このため、①収集又は運搬に当たっては破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と区分して行うこととするとともに、②処分又は再生に当たっては、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれをなくする方法により行い、又は直接に埋立処分をする場合には一定の場所で分散しないように行うこととする。また、石綿含有廃棄物を人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれをなくする方法により処分することにより生じた廃棄物の埋立処分を行う場合には、あらかじめ環境大臣が定める基準に適合するものにすることとする。

第三 産業廃棄物処理施設に係る改正について(施行令第7条第11号の2及び施行規則第12条の2及び第12条の7関係)

1 改正の趣旨

  石綿に係る健康被害の顕在化等を受け、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物(以下「石綿含有産業廃棄物等」という。)の溶融施設についても、溶融処理の過程において石綿含有産業廃棄物等を適正に処理できる構造を有していることや飛散防止を徹底すること、さらに、周辺の生活環境への影響を防止することが求められていることから、当該施設の設置に当たって行政がその構造等を確認するとともに、設置後も適切な維持管理を義務付けることが必要である。
  このため、石綿含有産業廃棄物等の溶融施設について、法第15条第1項の規定による施設の設置許可を要する施設とする。また、当該施設は人の健康又は生活環境に係る被害を及ぼすおそれのある石綿を扱うものであり、当該施設の設置許可をする際には周辺の生活環境への影響を慎重に判断することが求められることから、生活環境影響調査の実施や市町村長の意見聴取等の手続きを要する施設とする。

2 改正の内容

  石綿含有産業廃棄物等の溶融施設を、設置の際に許可を受けることが必要となる施行令第7条の産業廃棄物処理施設に追加することとする。この追加に伴い、施設の構造上の基準及び維持管理の基準を定めることとする。また、石綿含有産業廃棄物等の溶融施設については、小規模であっても生活環境保全上支障がないように適切な構造及び維持管理により飛散を防止し、適切な処理を行う必要があるため、規模要件は定めないこととする。
  また、当該施設において石綿含有産業廃棄物等に他の廃棄物を混合して処理し、焼却が行われるのであれば、当該施設は焼却施設でもあることから、当該施設を設置する者は焼却施設の許可及び石綿含有産業廃棄物等の溶融施設の許可の両方を取得する必要がある。なお、前処理用の破砕設備については、当該施設の一部とみなし、破砕施設の許可を別途取得する必要はないものとする。

第四 特別管理産業廃棄物の範囲(施行令第2条の4関係)

1 改正の趣旨

  飛散性の石綿を含む建材を使用した建築物だけでなく、飛散性の石綿を含む建材を使用した建築物以外の工作物についても、その解体又は除去作業が進められ、飛散性の石綿を含む廃棄物が発生することから、今般、廃石綿等の定義の明確化を行うものである。

2 改正の内容

  建築物に該当しない工作物を発生源とする飛散のおそれがある石綿を含む廃棄物について、廃石綿等と同様に、厳格な処理基準等が適用される特別管理産業廃棄物として規定することとする。

第五 石綿含有一般廃棄物等に関する情報の伝達(施行規則第2条の5、第5条の5、第5条の5の2、第5条の10、第5条の10の2、第8条の4の2、第8条の5、第8条の20、第8条の21、第8条の31の2、第8条の32、第12条の11、第12条の11の2及び第12条の34から第12条の38まで関係)

1 改正の趣旨

  石綿含有一般廃棄物、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物(以下「石綿含有一般廃棄物等」という。)の不適正処理への対策及び廃棄物が地下にある土地の形質変更の際の周辺地域の生活環境の影響を未然に防止するための対策として、石綿含有一般廃棄物等の処理の流れを把握することを可能とするとともに、処分された石綿含有一般廃棄物等が最終処分場のどの位置に埋め立てられているかを把握する必要があるため、所定の改正を行うものである。

2 改正の内容

  石綿含有産業廃棄物等の処理工程の流れ及び排出量を把握するため、産業廃棄物管理票及び委託契約書に石綿含有産業廃棄物等が含まれる旨を記載することとする。なお、当該規定が施行の際現に締結されている委託契約書については、次の更新の際に石綿含有産業廃棄物等が含まれる旨を記載することとする。
  また、最終処分場の埋め立て状況を確認することを可能とするため、最終処分場の設置者は、石綿含有一般廃棄物等を埋め立てた場所がわかる図面を作成し、最終処分場の廃止までの間保存すること等の措置を講じることとする。また、都道府県知事は、法第15条の18に規定する指定区域台帳に記載する事項に、地下にある廃棄物に石綿含有一般廃棄物等を含む場合は、当該石綿含有一般廃棄物等に関する事項を記載することとする。また、指定区域台帳に添付する書類に石綿含有一般廃棄物等が埋め立てられている位置を示す書類を追加することとする。

第六 地方環境事務所について(施行規則第6条の24の3、第6条の24の13から第6条の24の16まで、第12条の12の15及び第12条の12の19関係)

  無害化処理認定制度に関する事務を地方環境事務所の所掌事務に位置付け、環境大臣が行う行政処分等について地方環境事務所長が原則対応することとする。また、申請や変更の届出等の手続きを行う場合は、無害化処理認定を受ける者又は受けている者が地方環境事務所を経由して行うこととする。加えて、申請に係る告示を行った際の関係市町村の長への通知及び意見聴取の権限を地方環境事務所長が有することとする。