法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について

公布日:平成19年09月07日
環廃対発第070907001号、環廃産発第070907001号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長、産業廃棄物課長から各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長あて)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成 19年政令第 283号。以下「改正政令」という。)が平成 19年9月7日に公布され、平成 20年4月1日から施行される。
 ついては、下記事項に留意の上、その運用に遺漏なきを期するとともに、貴管下市町村等に対しては、貴職より周知願いたい。
 なお、本通知は地方自治法(昭和 22年法律第 67号)第 245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

第1 改正の趣旨

  木くずについては、改正政令による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和 46年政令第 300号。以下「令」という。)において、建設業などの特定の業種に係るもののほか、PCBが染み込んだものが産業廃棄物として定められ、それ以外のものは一般廃棄物として取り扱われてきたところである。
  木製パレット等に係る木くずについては、現状では、いわゆる事業系一般廃棄物である木くずとされているところ、多種多様な業種から少なくない量が恒常的に排出されていること等から、廃棄物の区分の見直し等を求める排出事業者等からの規制改革要望等があり、平成 18年3月 31日の規制改革・民間開放推進3か年計画(再改訂)において、事業系一般廃棄物である木くずの一般廃棄物と産業廃棄物の区分について、その排出実態や排出事業者等の意見を踏まえて検討の上、見直すことが閣議決定された。
  これを受け、令について所要の改正が行われたものである。

第2 改正の内容

 1 産業廃棄物の追加について(令第2条第2号関係)

   事業系一般廃棄物である木くずのうち、「物品賃貸業に係る木くず」及び「貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係る木くず」(以下「物品賃貸業に係る木くず等」という。)が、産業廃棄物として追加されたことから、その取扱いに当たっては、以下の点に留意されたい。
   なお、物品賃貸業に係る木くず等が廃棄物に該当するか否かは、従前どおり、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものである。

  (1)物品賃貸業に係る木くずについて

   「物品賃貸業に係る木くず」とは、日本標準産業分類による中分類 88に該当する事業の事業活動に伴って生じた木くずをいい、具体的には、リース事業者から排出されるリース物品(家具・器具類等)に係る木くずが該当する。
   したがって、例えば、木製のリース物品が、当該リース契約終了後に有価物として売買され、その後、リース事業者以外の事業者から廃棄物として排出される場合には、当該廃棄物は、物品賃貸業から排出されたものではないため、「物品賃貸業に係る木くず」には該当しない。

  (2)貨物の流通のために使用したパレットに係る木くずについて

   「貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係る木くず」については、業種による限定が設けられていないため、排出事業者の業種を問わず、事業活動に伴って生じたものはすべて産業廃棄物に該当することとなる。
   ここでいうパレットとは、貨物を荷役、輸送又は保管するために単位数量に取りまとめて載せる面をもつ台のことであり、積載面の上部に木枠などの構造物を有するものを含むものである。
   なお、魚や野菜などを輸送する際に当該貨物をその中に入れるために用いられる小型の木箱やパレットの使用を伴わない大型の木枠などは、パレットへの積付けのために使用されるものではないため、これらに係る木くずは、「パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材に係る木くず」には該当しない。

 2 経過措置について

   改正政令の施行により、物品賃貸業に係る木くず等が一般廃棄物から産業廃棄物に変更されることに伴い、産業廃棄物である木くずの処理量について急激な増加が見込まれ、その適正処理を確保する必要があることなどから、以下の経過措置が講じられたところである。

  (1)産業廃棄物処理業の許可みなしについて(改正政令附則第2条関係)

   改正政令の施行の際現に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和 45年法律第 137号。以下「法」という。)第7条第1項若しくは第6項若しくは第7条の2第1項の許可を受け、又は法第7条第1項ただし書若しくは第6項ただし書の規定に該当して、物品賃貸業に係る木くず等の収集若しくは運搬又は処分を業として行うことができる者(法第 14条第1項ただし書又は第6項ただし書の規定に該当して物品賃貸業に係る木くず等の収集若しくは運搬又は処分を業として行うことができることとなる者を除く。以下「一般廃棄物処理業者等」という。)は、平成 21年3月 31日までに限り、当該業を事業の範囲とする法第 14条第1項又は第6項の許可を受けたものとみなすこととされた。
   なお、一般廃棄物処理業者等が、平成 21年4月1日以降も引き続き物品賃貸業に係る木くず等の収集若しくは運搬又は処分を業として行う場合には、当該業を事業の範囲とする法第 14条第1項又は第6項の許可を受けなければならない。

  (2)産業廃棄物処理施設の許可みなし等について

   ア 産業廃棄物処理施設の許可の申請について(改正政令附則第3条第1項関係)

     改正政令の施行前に、物品賃貸業に係る木くず等の処分の用に供されるごみ処理施設(破砕施設又は焼却施設に限る。)又は一般廃棄物の最終処分場(以下「物品賃貸業に係る木くず等処理施設」という。)について法第8条第1項の許可の申請(法第9条第1項の変更の許可の申請を含む。以下同じ。)を行った者であって、改正政令の施行の際許可又は不許可の処分を受けていないものは、物品賃貸業に係る木くず等の処分の用に供される産業廃棄物処理施設について法第 15条第1項の許可の申請を行ったものとみなすこととされた。
     なお、この場合において、当該施設が剪定枝その他の一般廃棄物の処分の用にも供されるものであるときは、当該申請は、当該施設についての法第8条第1項の許可の申請としての効力も引き続き有することとなる。

   イ 産業廃棄物処理施設の許可について(改正政令附則第3条第2項関係)

     改正政令の施行前に、物品賃貸業に係る木くず等処理施設について法第8条第1項の許可(法第9条第1項の変更の許可を含む。以下同じ。)を受けた者は、物品賃貸業に係る木くず等の処分の用に供される産業廃棄物処理施設について法第 15条第1項の許可を受けたものとみなすこととされた。
     なお、この場合において、当該施設が剪定枝その他の一般廃棄物の処分の用にも供されるものであるときは、当該許可は、当該施設についての法第8条第1項の許可としての効力も引き続き有することとなる。

  (3)罰則に関する経過措置について(改正政令附則第4条関係)

   罰則に関する経過措置として、改正政令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとされた。これにより、例えば、改正政令の施行前に一般廃棄物処理業の許可を受けずに物品賃貸業に係る木くず等の処理を業として行った場合には、改正政令の施行後も一般廃棄物処理業の無許可営業の罪が成立することとなる。

第3 その他

 1 排出事業者等に対する周知について

   都道府県及び市町村においては、改正政令の施行に向けて、物品賃貸業に係る木くず等を排出している事業者や廃棄物処理業者等に対して、制度改正の内容やこれに伴う留意事項等について、適切な周知を図るよう努められたい。

 2 市町村による併せ産廃処理について

   現在、市町村がその一般廃棄物処理施設において物品賃貸業に係る木くず等の受け入れを行っている場合において、当該廃棄物の排出事業者が産業廃棄物処理業者に対して適切な委託処理を行うことが困難であるなどの事情があるときは、当該市町村は、必要に応じて、法第 11条第2項の規定に基づくいわゆる併せ産廃処理を行うなど、物品賃貸業に係る木くず等の適正処理の確保に努められたい。

 3 市町村による処理が困難と認められる事業系一般廃棄物の処理について

   市町村は、当該市町村内におけるすべての一般廃棄物の処理について統括的な責任を有するものとされている。したがって、市町村においては、市町村による処理が困難と認められる事業系一般廃棄物の処理について、「産廃扱い」などと称して放置するのではなく、許可制度若しくは市町村長の再生利用指定制度を活用し、又は民間への処理委託を行うなど、引き続き、その処理が滞らないように適正処理を確保するための方策を的確に講じるよう努められたい。