法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部改正等について

公布日:平成10年07月16日
環水企299号

(環境庁水質保全局長から各都道府県知事・各政令市市長あて)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成九年政令第三五三号。以下「改正令」という。)が平成九年一二月一〇日に公布され、平成一〇年六月一七日から施行された。
 改正令においては、安定型産業廃棄物に係る見直し、有害な産業廃棄物の埋立処分基準の強化及びPCBに係る処分基準の見直しを内容とする廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号。以下「廃掃令」という。)第六条に規定する産業廃棄物の処分基準の改正を行うとともに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「廃棄物処理法」という。)の施行の際現に存在していた埋立地において行う埋立処分に対しても公共の水域及び地下水の汚染防止措置に係る埋立処分基準を適用することとし、併せて海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令(昭和四六年政令第二〇一号。以下「海防令」という。)に規定する船舶から埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準についても改正された。
 また、これに伴い、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める総理府令の一部を改正する総理府令」(平成一〇年総理府令第三六号)が平成一〇年六月一〇日に、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第一二条の環境庁長官が指定する廃棄物の一部を改正する件」(平成一〇年六月環境庁告示第三二号)、「金属等を含む廃棄物の固型化に関する基準の一部を改正する件」(平成一〇年六月環境庁告示第三三号)、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた安定型産業廃棄物の埋立処分を行う場合における安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入し、又は付着することを防止する方法を定める件」(平成一〇年六月環境庁告示第三四号)、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項第一号に規定する環境庁長官が指定する廃棄物の一部を改正する件」(平成一〇年六月環境庁告示第三五号)及び「特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物を処分又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に関する基準の一部を改正する件」(平成一〇年六月環境庁告示第三六号)が同月一六日にそれぞれ公布され、いずれも同月一七日から施行された。
 ついては、下記の事項に留意され、これらの円滑かつ適正な運用を図られたい。

第一 安定型産業廃棄物に係る見直し(廃掃令第六条第一項第三号イ及びロ)

 1 安定型廃棄物の範囲の見直し

   廃プラスチック類、金属くず並びにガラスくず及び陶磁器くず(自動車等破砕物を除く。)については、改正令による改正前の廃掃令においては、安定型産業廃棄物として、安定型最終処分場(廃掃令第七条第一四号ロに掲げる産業廃棄物の最終処分場をいう。以下同じ。)に埋め立てることが可能とされてきたが、改正令により、これらの安定型産業廃棄物のうち、廃プリント配線板(鉛を含むはんだが使用されているものに限る。以下同じ。)、廃容器包装(固形状又は液状の物の容器又は包装であって不要物であるものをいう。以下同じ。)、鉛蓄電池の電極であって不要物であるもの、鉛製の管又は板であって不要物であるもの、廃ブラウン管(側面部に限る。以下同じ。)及び廃石膏ボードについては、安定型最終処分場への埋立処分を禁止することとしたこと。
   このうち、廃容器包装については、有害な物質(廃掃令別表第五の下欄に掲げる物質。以下第一において同じ。)又は有機性の物質(例えば、食品、油等の有機性の汚濁の原因となる物質)と接触しないように使用され、又は排出前に十分洗浄されたこと等により、これらの物質の混入又は付着がないように分別して排出され、かつ、処分されるまでの間これらの物質が混入又は付着したことがないものは、安定型産業廃棄物として扱うことができること。
   また、石膏ボードについては、紙が付着しているため安定型産業廃棄物から除外することとしたものであり、付着している紙を取り除いた後の石膏については、従来どおり安定型最終処分場に埋め立てることが可能であること。
   なお、有害な物質又は有機性の物質の混入又は付着の有無を判断するに当たっては、廃棄物の排出工程等必要な情報を把握することが有効であること。

 2 混入又は付着の防止措置

   改正令による改正前の廃掃令においては、安定型産業廃棄物の埋立処分を行う場合には、安定型産業廃棄物以外の廃棄物の混入を防止するために必要な措置を講じなければならないとされていたところであるが、改正令により、安定型産業廃棄物以外の廃棄物の付着を防止するために必要な措置についても講じなければならないこととしたこと。
   特に、工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた安定型産業廃棄物については、分別、選別の徹底を図るため、環境庁長官が定める方法による措置を講ずることとし、当該方法については、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた安定型産業廃棄物の埋立処分を行う場合における安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入し、又は付着することを防止する方法を定める件」(平成一〇年六月環境庁告示第三四号)により示したこと。具体的には、工作物の新築、改築又は除去の現場において、安定型産業廃棄物(廃掃令第六条第一項第三号イ(1)に規定する廃プラスチック類若しくは同号イ(2)に規定するゴムくず、アスファルト・コンクリート又は無機性の固形状のものに限る。以下2において同じ。)を紙くず、木くず、繊維くず等と分別して排出する方法(同告示第一号)及び混合して排出されたものについて、手、ふるい、風力、磁力、電気等を用いる方法により安定型産業廃棄物とそれ以外の廃棄物とに選別し、安定型産業廃棄物の熱しゃく減量を五パーセント以下とする方法(同告示第二号)を規定したこと。
   なお、本告示において、安定型産業廃棄物のうち、廃プラスチック類、ゴムくず、アスファルト・コンクリート又は無機性の固形状のものに限っているのは、例えば、コンクリート破片等の無機性の固形状のものと紙、木等の有機性の物質が密接不可分の状態で排出されたものについては、両者を分離することにより無機性の固形状のものに有機性の物質が付着していない状態にしなければ、安定型最終処分場に埋め立ててはならないことを明らかにするためであること。
   また、混合して排出されたものを選別した後に行う熱しゃく減量試験の対象には、廃プラスチック類、ゴムくず及びアスファルト・コンクリートも含まれること。

 3 経過措置

   この政令の公布の際、廃プリント配線板、廃容器包装(有害な物質又は有機性の物質が混入又は付着しないように分別して排出され、かつ、処分されるまでの間これらの物質が混入又は付着したことがないものを除く。)、鉛蓄電池の電極であって不要物であるもの、鉛製の管又は板であって不要物であるもの、廃ブラウン管又は廃石膏ボードの埋立処分の用に供されている安定型最終処分場への埋立処分に対しては、前記1及び2の適用について、本政令の施行後一年間(平成一一年六月一六日まで)の猶予期間を置くこと。
   また、この政令の公布の際、工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた改正令による改正前の廃掃令第六条第一項第三号イ(1)から(6)までに掲げる産業廃棄物の埋立処分の用に現に供されている安定型最終処分場への埋立処分に対しては、前記2の適用について、本政令の施行後一年間(平成一一年六月一六日まで)の猶予期間を置くこと。

第二 有害な産業廃棄物の埋立処分基準の強化(廃掃令第六条第一項第三号ハ及びニ並びにカからタまで)

  改正令による改正前の廃掃令では、総理府令で定める基準を超えて有害物質を含んでいる汚泥等の産業廃棄物(以下「有害廃棄物」という。)については、特定の施設から発生したものに限り、特別管理産業廃棄物として、遮断型最終有処分場(廃掃令第七条第一四号イに掲げる産業廃棄物の最終処分場をいう。以下同じ。)への埋立て等の処分基準が適用され、特別管理産業廃棄物以外の有害産業廃棄物については遮断型最終処分場への埋立て等の処分基準が適用されなかったところであるが、同様の性状の廃棄物には同様の埋立処分基準を適用することが環境保全上適切であるとの観点から、特別管理産業廃棄物以外の有害産業廃棄物についても、特別管理産業廃棄物と同様の埋立処分基準を適用することとしたこと。
  特別管理産業廃棄物以外の有害産業廃棄物に適用される総理府令で定める基準については「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める総理府令の一部を改正する総理府令」(平成一〇年総理府令第三六号)による改正後の「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」(昭和四八年総理府令第五号)により、固型化の基準については、「金属等を含む廃棄物の固型化に関する基準の一部を改正する件」(平成一〇年六月環境庁告示第三三号)による改正後の「金属等を含む廃棄物の固型化に関する基準」(昭和五二年三月環境庁告示第五号)により、それぞれ示したこと。

第三 PCBに係る埋立処分基準の見直し(廃掃令第六条第一項第三号ソからネまで、第六条の四第一項第三号ヌ)

  改正令による改正前の廃掃令においては、廃PCB等又はPCB汚染物の埋立処分基準としては、焼却施設を用いて焼却し、当該焼却により生ずるものを総理府令で定める基準に適合するものとする方法又はPCBを除去する方法が規定されていたところであるが、これらに加えて、新たに廃掃令に厚生大臣が定める方法による処分又は再生についての基準が位置付けられたことから、この方法により処分又は再生されたことによって生じた廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。)の埋立処分基準についても新たに定めたこと。
  これらの廃棄物の埋立処分基準については、具体的には、「特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物を処分又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に関する基準の一部を改正する件」(平成一〇年六月環境庁告示第三六号)による改正後の「特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物を処分又は再生したことにより生じた廃棄物の埋立処分に関する基準)(平成四年七月環境庁告示第四二号)により示したこと。
  また、改正令により、PCB処理物が特別管理産業廃棄物に追加されたことに伴い、PCB処理物の埋立処分基準についても新たに定めることとし、PCB汚染物の埋立処分基準と同様のものを適用することとしたこと。

第四 廃棄物処理法施行以前に設置された埋立地に起因する公共の水域及び地下水の汚染の防止(廃掃令附則第二条第二項)

  廃棄物処理法施行の際(昭和四六年九月)現に存在していた埋立地については、公共の水域及び地下水の汚染の防止に係る処分基準が適用されていなかったが、このような埋立地についても浸出液による公共の水域及び地下水の汚染の防止を図る必要があることから、平成一一年六月一七日以後は、埋立地からの浸出液によって公共の水域及び地下水を汚染するおそれがある場合には、そのおそれがないように必要な措置を講ずることとの基準を、廃棄物処理法施行以前に設置された埋立地についても適用することとしたこと。

第五 海防令の改正(海防令第五条第一項から第三項まで)

  海防令に規定する船舶から埋立場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準についても、廃掃令の処分基準の改正(前記第一から第三まで)と同趣旨の改正を行ったこと。

第六 その他の配慮事項

  廃棄物の埋立処分に伴う環境への負荷の最小化を図る観点から、埋立処分に先立ち環境保全上適正な方法で処理することにより廃棄物の埋立処分量の最小化に努めるとともに、廃棄物の性状や形状に応じてより適切な埋立方法を選択するよう配慮すること。
  特に、遮断型最終処分場への埋立処分に当たっては、環境保全上適正な技術により無害化処理が可能な廃棄物については、無害化処理を行うことにより、遮断型最終処分場への埋立処分を回避することが望ましいこと。また、埋立処分を行う場合でも、異種の廃棄物の混合を防ぎ、遮断型最終処分場における処分の安全性を向上する観点から、適切な前処理を実施したり、容器に封入のうえ処分することも有効であること。