法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令等の施行について

公布日:平成15年12月26日
環廃対発031226005・環廃産発031226004

(各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長あて環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長・環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令(平成一五年環境省令第三二号。以下「改正省令」という。)は、平成一五年一二月二四日に公布され、一部を除き、平成一六年一月一日から施行される。
 ついては、下記事項に留意の上、その運用に遺漏なきを期されたい。
 なお、貴管下市町村等に対しては、貴職より周知願いたい。

第一 使用済自動車等に係る保管の高さ及び数量に関する事項(改正省令による改正後の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第三五号。以下「規則」という。)第一条の六、第七条の四、第七条の八)

 一 改正の趣旨

   使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成一四年法律第八七号)の完全施行(平成一七年一月一日)により、使用済自動車等は全て廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「法」という。)上の廃棄物として扱われることとなるため、使用済自動車等の形状や保管の実態に即した保管基準を設けることとしたものである。
   具体的には、使用済自動車等を積み上げて保管する場合については、使用済自動車等の倒壊、車体内部の廃油・廃液類の飛散・流出のおそれがないように適正に積み上げる必要があるところ、使用済自動車等の形状及び保管の実態に即した積上げ高さの制限を設けたものである。
   また、使用済自動車等の積替え又は処分等に係る保管数量については、使用済自動車の再資源化等に関する法律に定める電子情報処理組織を使用した移動報告の制度により使用済自動車等が各段階の事業者間で適切に引取り及び引渡しされていることを確認できること等を踏まえ、法に基づく保管基準とは別の取扱いを定めたものである。

 二 使用済自動車等の定義

   規則においては、使用済自動車等は、使用済自動車の再資源化等に関する法律第二条第二項に規定する使用済自動車及び同法第二条第三項に規定する解体自動車(同法第一六条第四項ただし書又は第一八条第二項ただし書の規定により解体自動車全部利用者(同法第一六条第四項ただし書に規定する解体自動車全部利用者をいう。)に引き渡されたものを除く。)のうち圧縮していないものをいう。

 三 改正の内容

  (一) 使用済自動車等の積上げ高さの制限(別紙参照)
  1.    ① 保管の場所の囲いから保管の場所側への水平距離三メートル以内の部分においては、三メートルを超えない高さ
  2.    ② 保管の場所の囲いから保管の場所側への水平距離三メートルを超える部分においては、四・五メートルを超えない高さ
         ただし、使用済自動車等を格納するための施設(保管する使用済自動車等の荷重に対し構造耐力上安全なものに限る。)を利用して保管する場合であって、使用済自動車等の搬出入に当たり、使用済自動車等の落下による危害が生ずるおそれのない高さとするときは、この限りではないこと。
  (二) 使用済自動車等の積替え及び処分等に係る保管数量の制限

    積替えのための保管の場所において保管することができる使用済自動車等の数量については、通常の産業廃棄物に係る積替えのための保管上限の規定の適用を除外したこと。また、使用済自動車等の処分又は再生を行う処理施設において保管することができる使用済自動車等の数量については、積上げ高さの制限を超えない限りにおいて保管することができる数量としたこと。
    なお、本制限は、平成一七年一月一日以後に引取業者(使用済自動車の再資源化等に関する法律第二条第一一項に規定する引取業者をいう。)に引き渡された使用済自動車等について適用するものであること。

第二 牛海綿状脳症に係る産業廃棄物処理業の許可の特例(規則第九条、第一〇条の三)

 一 改正の趣旨

   牛海綿状脳症の国内での発生に伴い、牛肉等の安全性確保の観点から、厚生労働省及び農林水産省において既に牛の特定部位については除去・焼却、飼料・肥料使用禁止等の規制がされているところであるが、牛海綿状脳症対策特別措置法(平成一四年法律第七〇号)に基づき、平成一五年四月一日以降、農場から排出される原則二四ケ月齢以上の牛の死体(以下「死亡牛」という。)に対して牛海綿状脳症に係る検査が義務付けられるとともに、検査後の死亡牛については、平成一五年一〇月一日から全面的に飼料利用を禁止するよう農林水産省の指導が行われ、死亡牛についても特定部位と同様に不要物になるものと考えられる。
   こうした事実上価値を失うこととなった死亡牛については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号。以下「令」という。)第二条第一一号に規定する「動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)」に該当し、その収集運搬又は処分に当たって、本来法第一四条第一項及び第六項に定める産業廃棄物処理業の許可を要するところであるが、牛海綿状脳症問題という特殊な事情にかんがみ、死亡牛の適正な処理を確保するため、当分の間、死亡牛の収集運搬を業として行う者の産業廃棄物収集運搬業の許可を不要とするとともに、化製場において死亡牛の処分を業として行う者の産業廃棄物処分業の許可を不要としたものである。

 二 改正の内容

   規則第九条の産業廃棄物収集運搬業の許可を要しない者として死亡牛の収集又は運搬を業として行う者を追加するとともに、規則第一〇条の三の産業廃棄物処分業の許可を要しない者として化製場(化製場等に関する法律(昭和二三年法律第一四〇号)第一条第二項に規定する化製場をいう。)において死亡牛の処分を業として行う者を追加したこと。

 三 その他留意事項

  1.   (一) 死亡牛について、収集運搬及び処分を委託する場合には、法に基づき書面による委託契約の締結等の委託基準の遵守、産業廃棄物管理票の交付等の義務が課せられることとなるため、その円滑な実施につき、畜産部局と連携して、事業者に対する指導方御配意願いたいこと。
  2.   (二) 死亡牛を、家畜の残さや家畜の死体のうち不要となったものと併せて収集運搬又は処分を行う場合には、産業廃棄物処理業の許可を要するものであること。この旨を化製業者等に周知するとともに、化製業者等から産業廃棄物処理業の許可の申請が行われた場合には、法に基づき可能な限り速やかに適切な処分を行われたいこと。
        なお、令第二条第四号の二で規定する「動物系固形不要物」(と畜場法(昭和二八年法律第一一四号)第三条第二項に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第一項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七〇号)第二条第六号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号に規定する食鳥に係る固形状の不要物をいう。以下同じ。)の収集運搬については、既に規則第九条第一〇号により産業廃棄物収集運搬業の許可を要しないこととされていることから、死亡牛と動物系固形不要物を同時に収集運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可を要しないこと。
  3.   (三) 死亡牛について、不適正な収集運搬又は処分がなされているおそれがある場合には、法第一八条及び第一九条でそれぞれ規定する報告徴収及び立入検査を活用しつつ、畜産部局と連携しながら、適切な指導を行われたいこと。また、不適正な処分がなされ、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときには、法第一九条の五に基づき措置命令を発出されたいこと。

第三 ダイオキシン類対策特別措置法施行令の一部改正に伴う特別管理産業廃棄物の追加

 一 ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設に係る特別管理産業廃棄物に関する事項

  (一) 特別管理産業廃棄物の追加(令第二条の四第五号ン、規則第一条の二第四九項)

    ダイオキシン類対策特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成一五年政令第五一九号。以下「改正令」という。)において、ダイオキシン類対策特別措置法(平成一一年法律第一〇五号。以下「ダイオキシン法」という。)の排出水規制の対象となる特定施設として次の施設が追加された(平成一六年一月一日施行。)。

   ① 四―クロロフタル酸水素ナトリウムの製造の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
  1.     イ ろ過施設
  2.     ロ 乾燥施設
  3.     ハ 廃ガス洗浄施設
   ② 二、三―ジクロロ―一、四―ナフトキノンの製造の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
  1.     イ ろ過施設
  2.     ロ 廃ガス洗浄施設
         従来から、ダイオキシン法の排出水規制の対象となる特定施設として、改正令による改正前のダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成一一年政令第四三三号。以下「ダイオキシン令」という。)別表第二第一号から第一二号までに掲げる施設を有する工場又は事業場において生じた汚泥(同表第一一号に掲げる施設において一般廃棄物の焼却に伴って生じたものを除く。)、廃酸及び廃アルカリ並びにこれらの廃棄物を処分するために処理したもののうち、ダイオキシン類を環境省令で定める基準を超えて含むものが特別管理産業廃棄物とされていたところであるが、今回、改正令により新たにダイオキシン法の排出水規制の対象となる特定施設として追加された上述の①又は②の施設を有する工場又は事業場において生じた汚泥、廃酸及び廃アルカリ並びにこれらの廃棄物を処分するために処理したものについても、環境省令で定める基準を超えるダイオキシン類を含む場合には、これを特別管理産業廃棄物として追加したこと。
  (二) 経過措置(改正省令附則第三条)

    改正令によって新たに特別管理産業廃棄物に追加された汚泥、廃酸及び廃アルカリ並びにこれらの廃棄物を処分するために処理したものについて、改正省令施行の際(平成一六年一月一日)現に設置され、又は設置の工事がされている特定施設(ダイオキシン令別表第二第八号又は第九号に掲げる施設)を有する工場又は事業場から排出される廃棄物については、規則第一条の二第四九号に規定するダイオキシン類の含有量の基準を平成一六年六月三〇日まで適用しないこととしたこと。
    また、当該汚泥及び当該汚泥を処分するために処理したもの(当該処理をしたものが廃酸又は廃アルカリである場合を除く。)については、次に掲げる方法(以下「セメント固化等」という。)により処分する限り、当該基準を適用しないこととしたこと。

  1.    ア セメント固化設備を用いて重金属が溶出しないよう化学的に安定した状態にするために十分な量のセメントと均質に練り混ぜるとともに、適切に造粒し、又は成形したものを十分に養生して固化する方法
  2.    イ 薬剤処理設備を用いて十分な量の薬剤と均質に練り混ぜ、重金属が溶出しないよう化学的に安定した状態にする方法
  3.    ウ 酸その他の溶媒に重金属を溶出させた上で脱水処理を行うとともに、当該溶出液中の重金属を沈殿させ、当該沈殿物及び脱水処理に伴って生ずる汚泥について、重金属が溶出しない状態にし、又は製錬工程において重金属を回収する方法

 二 埋立処分基準に関する事項

  (一) 基準の内容(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令(昭和四八年総理府令第五号)第三条第一二項)

    改正令により新たに特別管理産業廃棄物とされた汚泥及び当該汚泥を処分するために処理したもの(廃酸又は廃アルカリである場合を除く。)の埋立処分を行う場合には、従前のとおりあらかじめ金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令で定める、試料一グラムにつきダイオキシン類三ナノグラムとする基準に適合する処理をしなければならないこと。
    また、改正令において特別管理産業廃棄物とされた廃酸及び廃アルカリについては、従前のとおり埋立処分を行ってはならないこと。

  (二) 経過措置(改正省令附則第四条)

    一(二)に掲げるものと同様の経過措置を置くこと。

 三 その他留意事項

  (一) 特別管理産業廃棄物の追加に関する事項
   ① 特別管理産業廃棄物処理業の許可について

     今回追加された特別管理産業廃棄物の処理を業として行う者は、法第一四条の四の規定により当該廃棄物の処理を事業内容に含む特別管理産業廃棄物処理業の許可を有することが必要であるので、これらの者に対し、法第一四条の五に規定する特別管理産業廃棄物処理業の事業範囲の変更の許可の取得等、所要の手続を指導されたいこと。

   ② 特別管理産業廃棄物管理責任者の設置について

     今回の特別管理産業廃棄物の追加により新たに特別管理産業廃棄物を生ずることとなった施設を設置している事業者は、法第一二条の二第六項の規定により、当該特別管理産業廃棄物に関する業務を適切に行わせるため、規則第八条の一七に規定する資格を有する特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならないこと。

  (二) 経過措置に関する事項
  1.    ① (一)①及び②に掲げる事項については、ダイオキシン類の含有量の基準が適用されないこととなる平成一六年六月三〇日までの間に所要の手続を行い、適正な処理が図られるよう指導されたいこと。
  2.    ② 今回規定した経過措置の対象となる施設を有する工場又は事業場が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成一五年環境省令第二号)附則第二条及び第三条に規定される経過措置の対象となる施設を有している場合には、当該工場又は事業場において生じた汚泥及び当該汚泥を処分するために処理したものについては、既に同省令において経過措置が設けられていることから、改正省令による改正後の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成一五年環境省令第二号)附則第二条及び第三条が適用されること。
  3.    ③ 今回規定した経過措置において、今回追加した特別管理産業廃棄物をセメント固化等により処分することを業として行う場合には、特別管理産業廃棄物処分業の許可業者である必要があること。

別表

画像:別表