法令・告示・通達

廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行について

公布日:平成12年09月28日
衛環78号

(各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成一二年法律第一〇五号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成一二年政令第二四三号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成一二年政令第三九一号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成一二年厚生省令第一〇一号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成一二年厚生省令第一一五号)の施行については、別途、厚生省生活衛生局水道環境部長から通知されたところであるが、なお左記事項に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたい。
 おって、平成一一年四月三〇日付け衛環第四九号本職通知「廃棄物焼却施設の設置許可申請の審査について」及び平成一一年五月一七日付け衛環第五一号本職通知「廃棄物焼却施設の集中地域等における市町村の一般廃棄物焼却施設の新規立地について」は、廃止する。

第一 都道府県廃棄物処理計画

 一 総論

  1.   (一) 廃棄物の減量及び適正処理に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、これまでの産業廃棄物処理計画に代えて、一般廃棄物を含めた廃棄物全般に関する都道府県廃棄物処理計画を策定することとしたこと。
  2.   (二) 廃棄物処理計画は、おおむね五年ごとに策定すること。ただし、環境大臣の定める基本方針の変更その他計画策定の前提となる諸事情に変化があったときは、必要に応じて見直しを行うこと。
  3.   (三) これまでの産業廃棄物処理計画は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)に基づく計画としての位置付けを失い、廃棄物処理計画の策定が義務付けられるので、平成一三年四月一日の法施行後速やかに廃棄物処理計画が策定できるように準備されたいこと。

 二 計画の内容

  1.   (一) 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する基本的事項としては、廃棄物の種類ごとに、廃棄物の排出量、中間処理量、最終処分量及びその適正な処理に関する目標量等を定めるものとしたこと。
  2.   (二) 一般廃棄物の適正な処理を確保するために必要な体制に関する事項としては、一般廃棄物の広域的な処理に関する事項、一般廃棄物の減量その他その適正な処理に必要な市町村間の調整その他の技術的援助に関する事項を定めるものとしたこと。
  3.   (三) 産業廃棄物の処理施設の整備に関する事項としては、産業廃棄物の減量その他その適正な処理に必要な産業廃棄物の処理施設の確保のための方策等を定めるものとしており、具体的には、公的関与に係る施設の整備に関する内容を含めた適正な処理に必要な施設の数及びそのための施設の整備の方針などを定めるものであること。

 三 関係市町村の意見聴取

  1.   (一) 都道府県廃棄物処理計画の策定に際し意見を聴かなければならない関係市町村の範囲としては、その都道府県域内のすべての市町村に加え、計画に関係する他の都道府県域内の市町村も含まれるものであること。
  2.   (二) 都道府県廃棄物処理計画と市町村が策定している一般廃棄物処理計画との関係については、法律上は直接関係を有するものではないこと。しかしながら、その策定に当たっては、関係市町村の意見を聴くことが定められており、一般廃棄物処理計画の内容を踏まえて、整合性のとれた計画としていくことが望ましいものであること。

 四 計画の達成の推進

  1.   (一) 国が講ずべき措置としては、廃棄物処理計画の達成に資する技術的助言、情報提供、産業廃棄物処理施設の整備に対する技術的、財政的支援、廃棄物処理センター制度を活用するための適切な指定などが考えられること。
  2.   (二) 都道府県が講ずべき措置としては、廃棄物処理センター制度等を活用した公的関与による産業廃棄物処理施設の整備、廃棄物処理施設への技術的、財政的支援、市町村間の広域的調整や市町村に対する技術的助言、事業者に対する助言、指導監督などが考えられること。

第二 多量排出事業者の処理計画

  1.  一 前年度の産業廃棄物の発生量が一、〇〇〇トン以上である事業場又は前年度の特別管理産業廃棄物の発生量が五〇トン以上である事業場を設置している事業者は、処理計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならないこと。
  2.  二 都道府県は、提出された計画及び実施状況を踏まえ、区域内の産業廃棄物の発生及び処理の実態の把握に努めるとともに、計画及び実施状況の報告を受け、これらを一年間公衆の縦覧に供するものとしたこと。これによって、事業者の自主的な減量化や住民への情報提供、周知啓発が推進されることにより、廃棄物の総合的な減量及びその適正な処理が適切に推進されるものであること。
  3.  三 計画には、事業場において現に行っている事業の概要を記載し、計画期間、産業廃棄物の処理に係る管理体制に関する事項、産業廃棄物の排出の抑制、分別、再生利用等に関する事項、産業廃棄物の処理に関する事項などを定めるものとしたこと。
  4.  四 計画は、規則様式に従った書面を添付し、当該年度の六月三〇日までに提出するものとしたこと。

第三 廃棄物処理センター制度の見直し

 一 指定要件の緩和

   地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの三分の一以上を出資している法人、民法(明治二九年法律第八九号)第三四条の規定により設立された法人であって地方公共団体が基本財産たる財産の全部又は一部を拠出しているもの及び民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進に関する法律(平成一一年法律第一一七号)第二条第五項に規定する選定事業者を廃棄物処理センターの指定の対象としたこと。

 二 業務の拡大

  1.   (一) 一般廃棄物の処理責任を負う周辺市町村の協力や住民の理解を得られやすくすることにより、本制度の利用を促進するため、通常の一般廃棄物の処理及び処理施設の建設等を廃棄物処理センターの業務に追加したこと。
  2.   (二) これまで特別管理一般廃棄物又は適正処理が困難な一般廃棄物の処理及び処理施設の整備等が義務付けられていた業務要件を大幅に緩和し、少なくとも産業廃棄物の処理及び処理施設の整備等の業務を行うものとしたこと。

第四 廃棄物処理業の取消し等の要件の追加

  1.  一 廃棄物処理業者が関与する悪質な不法投棄等の事例が後を絶たないことから、他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたときを許可の取消し等の要件に追加したこと。
       具体的には、他人に不法投棄を行わせた者、他人の不法投棄を手助けした者など違反行為に関与した者が広く該当するものであること。
  2.  二 廃棄物処理業者が倒産するなどして、廃棄物が適正に処理されずに放置される事例も後を絶たないことから、事業の用に供する施設又はその者の能力が基準に適合しなくなったときを許可の取消し等の要件に追加したこと。

第五 廃棄物処理施設の設置に係る許可等の要件の追加

 一 申請者の能力

   廃棄物処理施設の設置者の技術的能力や経理的基礎が不十分なために、不適正な処分や維持管理が行われることを防ぐため、申請者の能力が設置計画及び維持管理計画に従って施設の設置及び維持管理を的確に、かつ継続して行うに足りるものとして基準に適合するものであることなどを許可の要件に追加したこと。また、これに伴い、施設の設置及び維持管理に関する技術的能力並びに経理的基礎に係る書類を許可の申請の添付書類として追加したこと。

 二 周辺施設への適正な配慮

  1.   (一) 周辺の施設は、当該施設の利用者の特性に照らして、生活環境の保全について特に適正な配慮が必要であると認められる施設としたこと。
  2.   (二) 周辺の施設の範囲については、その施設の特性上、人が利用し、その利用者に共通の特質がある施設をいうものであって、例えば、病院、保育所、幼稚園、学校などが考えられるが、個別の状況に応じて都道府県知事が判断するものであること。
        なお、周辺の施設に適正な配慮がなされ、かつ、その他の許可の要件を備えるものである場合にあっては、必ず許可しなければならないこと。

 三 施設の過度の集中の規制

  1.   (一) 多数の廃棄物処理施設が著しく集中することが社会的に問題となったことなども踏まえ、施設の過度の集中によって、大気環境基準の確保が困難となると認めるときは、設置の許可をしないことができるものとしたこと。
  2.   (二) この要件に係る廃棄物処理施設としては焼却施設を定め、また、この要件に係る大気環境基準としては、焼却施設が主たる排出源となり、生活環境保全上特に支障を生ずるおそれのあるダイオキシン類を対象として、ダイオキシン類による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準としたこと。
        なお、基準値としては、ダイオキシン類による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準を定める件(平成一二年六月厚生省告示第二六七号)により、ダイオキシン類対策特別措置法(平成一一年法律第一〇五号)に基づく大気の汚染に係る環境基準と同様の基準値を定めたこと。
  3.   (三) 過度の集中とは、特定の地域に通常の状況を著しく超えて集中して多数設置される状況をいうものであること。

 四 廃棄物処理施設の許可の取消し等の要件

   廃棄物処理施設の設置者が、この法律又はこの法律に基づく処分に違反する行為をしたとき、他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたとき及び欠格要件に該当するに至ったときを許可の取消し等の要件に追加したこと。

第六 廃棄物処理施設の譲受け等に関する許可等

  1.  一 廃棄物処理施設の設置に係る許可を受けた者から施設を譲り受け、又は借り受けようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、施設の維持管理を的確に、かつ継続して行うに足りるものとして基準に適合するものであること及び欠格要件に該当しないことを許可の要件としたこと。
  2.  二 廃棄物処理施設の設置に係る許可を受けた法人が合併する場合には、当該許可を受けた法人が存続するときを除き、都道府県知事の認可を受けなければ、施設の設置者たる地位を承継しないこととし、施設の維持管理を的確に、かつ継続して行うに足りるものとして基準に適合するものであること及び欠格要件に該当しないことを認可の要件としたこと。

第七 排出事業者責任の明確化

  事業活動に伴って生じた産業廃棄物を自ら適正に処理しなければならないとする事業者の処理責任を明確にするため、事業者は他人に産業廃棄物の処理を委託する場合には、最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないものとし、注意義務を負う旨を明らかにしたこと。

第八 廃棄物処理基準の見直し

 一 船舶による廃棄物の収集運搬の基準

   海上への不法投棄が著しく増加しているものの、その発見及び原状回復が著しく困難とされていることを踏まえ、船舶に廃棄物が積み込まれる際に違法な廃棄物の運搬を未然に取り締まるため、廃棄物の収集運搬を行う船舶に許可証の写し等を備え置くことを義務付けるとともに、廃棄物収集運搬船であること、氏名又は名称、許可番号等を記載した標章等の掲示を義務付けるものとしたこと。
   なお、当該廃棄物収集運搬船が非自航の台船(艀、バージ等)の場合には、台船側に表示をするものであること。
   また、標章等の材質については、鉄板、木板等の容易に視認でき、損耗の少ないものを用いることが適当であり、布製、旗状のものは不適当であること。

 二 産業廃棄物の保管基準

   産業廃棄物については、保管と称する野積みが問題とされており、これらに対して改善命令等の行政処分を適正に行うため、保管数量の制限をすべての産業廃棄物に拡大したこと。
   なお、保管数量を超えて産業廃棄物の保管が行われている場合にあっても、保管数量の制限以外の保管基準を遵守し、生活環境の保全上支障が生ずるおそれがないように保管が行われているときは、適正な処理の実施を確保するとの目的に照らして改善命令の対象となるものではないこと。

第九 委託基準の強化

  1.  一 許可を受けた処理業者であって、委託の内容がその事業の範囲に含まれる者に委託することとの委託基準の遵守を担保するため、事業者は産業廃棄物の処理を委託するときは、委託契約書に許可証の写し等を添付するものとしたこと。
  2.  二 無許可業者への再委託を防止するため、事業者が産業廃棄物の処理の再委託を承諾するときは、承諾に係る書面に再委託する処理業者の許可番号等を記載することとし、その承諾に係る書面の写しを五年間保存するものとしたこと。
  3.  三 事業者は産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないことから、産業廃棄物管理票により最終処分の終了を確認することと併せて、委託契約の段階においても最終処分の予定を把握するため、産業廃棄物の中間処理を委託するときは、委託契約書に最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力を記載するものとしたこと。
  4.  四 「最終処分の場所の所在地」は、住所、地名、施設の名称など最終処分の場所を特定する事項を記載するものであること。

第一〇 産業廃棄物管理票制度の見直し

  1.  一 事業者が産業廃棄物の中間処理を委託した場合にあっても、中間処理業者から最終処分の終了した旨の記載がされた産業廃棄物管理票(以下「管理票」という。)の写しの送付を受けることにより、最終処分の終了を確認できるものとしたこと。
  2.  二 事業者が管理票に記載すべき事項に、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地を追加するものとしたこと。また、中間処理業者については、中間処理産業廃棄物に係る管理票交付者の氏名又は名称及び当該管理票の交付番号を記載するものとしたこと。
  3.  三 最終処分業者は、最終処分が終了したときは、管理票に最終処分の場所の所在地及び最終処分終了の年月日を記載して、その写しを中間処理業者に送付するものとしたこと。
  4.  四 中間処理業者は、最終処分が終了した旨が記載された管理票の写しの送付を受けたときは、事業者から交付された管理票に最終処分の場所の所在地及び最終処分を終了した年月日を記載するとともに、当該管理票に係るすべての中間処理産業廃棄物について最終処分が適正に終了したことを確認の上、一〇日以内に事業者にその写しを送付するものとしたこと。また、中間処理業者におけるこれらの管理票に係る義務の履行を確保するため、管理票に係る事項を帳簿の記載事項に追加したこと。
  5.  五 事業者は、交付の日から一八〇日以内に最終処分の終了した旨が記載された管理票の写しの送付を受けないときは、処理の状況を把握するとともに、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講じ、さらにその講じた措置等を都道府県知事に報告するものとしたこと。
  6.  六 管理票に係る義務の履行を確保するため、管理票の不交付、管理票の写しの不送付、保存義務違反などを罰則の対象に追加するとともに、措置命令の対象者の要件に追加したこと。
  7.  七 産業廃棄物処理業者の自己名義による架空の管理票の売買が行われ、不法投棄を誘発しかねない問題となっていることから、産業廃棄物処理業者又は特別管理産業廃棄物処理業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を受託していないにもかかわらず、虚偽の記載をした管理票を交付してはならないこととし、この違反を罰則の対象とするものとしたこと。
  8.  八 電子情報処理組織を使用するときは、産業廃棄物を引き渡した後三日以内に情報処理センターに登録するものとしたこと。この期間に登録がなされないときは、管理票の不交付となること。

第一一 暴力団員等に係る欠格要件の追加

  1.  一 産業廃棄物処理業、特別管理産業廃棄物処理業及び産業廃棄物処理施設の許可の欠格要件に暴力団員、暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者、暴力団員が事業活動を支配する法人等を追加したこと。また、これに伴い、これらの許可の申請書に役員の氏名等の記載事項を追加するとともに、申請者及び役員等すべての者について、本籍地の記載のある住民票の写し等を添付書類として追加したこと。
  2.  二 「その事業活動を支配する」とは、典型的には暴力団員等が自己又は他人の名義で多額の出資をし、これを背景として事業活動に相当の影響力を及ぼすことなどが考えられるが、その他にも例えば、融資関係、人的派遣関係又は取引関係等を通じて、結果的に暴力団員等が事業活動に相当程度の影響力を有するに至っている場合も含まれ、具体的には、次の事由がある場合がこれに該当すると考えられること。
    1.   (一) 暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者が、役員等であることのほか、多額の出資又は融資を行い、事業活動に相当程度の影響力を有していること。
    2.   (二) 暴力団員等が、事業活動への相当程度の影響力を背景にして、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益の供与を受けていること、売買、請負、委任その他の多額の有償契約を締結していること。
  3.  三 産業廃棄物処理業、特別管理産業廃棄物処理業又は産業廃棄物処理施設の許可をするときは、暴力団員等に係る欠格要件に該当する事由の有無について、警視総監又は道府県警察本部長の意見を必ず聴取するものとし、許可の取消し等の処分をするときは、意見を聴取することができるものとしたこと。また、産業廃棄物処理業者、特別管理産業廃棄物処理業者又は産業廃棄物処理施設の設置者について、暴力団員等に係る欠格要件に該当する事由があると疑うに足りる相当な理由があるため、これらの者に対し適当な措置を採ることが必要であると認めるときは、警視総監又は道府県警察本部長は、意見を陳述することができるものとしたこと。
  4.  四 警視総監又は道府県警察本部長から暴力団員等に係る欠格要件に該当する事由がある旨又はこれらの欠格要件に該当する事由があると疑うに足りる相当な理由があるため、適当な措置を採ることが必要である旨の意見が陳述されたときは、これらの意見を十分に参酌し、厳正な処分を行うこと。

第一二 廃棄物の焼却禁止

  1.  一 焼却禁止の規定は、これまで行政処分では適切な取締りが困難であった悪質な産業廃棄物処理業者や無許可業者による廃棄物の焼却に対して、これらを罰則の対象とすることにより取締りの実効を上げるためのものであることから、罰則の対象とすることに馴染まないものについて、例外を設けていること。
       したがって、焼却禁止の例外とされる廃棄物の焼却についても、処理基準を遵守しない焼却として改善命令、措置命令等の行政処分及び行政指導を行うことは可能であること。
  2.  二 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従って行う廃棄物の焼却とは、これらの廃棄物の処理基準を遵守して焼却されることをいうものであって、焼却を行った者に処理基準が適用されるか否かは何ら関係ないものであること。
  3.  三 他の法令又はこれに基づく処分により行う焼却としては、家畜伝染病予防法(昭和二六年法律第一六六号)に基づく患畜又は擬似患畜の死体の焼却、森林病害虫等防除法(昭和二五年法律第五三号)による駆除命令に基づく森林病害虫の付着している枝条又は樹皮の焼却などが考えられること。
  4.  四 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却としては、河川管理者による河川管理を行うための伐採した草木等の焼却、海岸管理者による海岸の管理を行うための漂着物等の焼却などが考えられること。
  5.  五 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却としては、凍霜害防止のための稲わらの焼却、災害時における木くず等の焼却、道路管理のために剪定した枝条等の焼却などが考えられること。
       なお、凍霜害防止のためであっても、生活環境の保全上著しい支障を生ずる廃タイヤの焼却は、これに含まれるものではないこと。
  6.  六 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却としては、どんと焼き等の地域の行事における不要となった門松、しめ縄等の焼却が考えられること。
  7.  七 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却としては、農業者が行う稲わら等の焼却、林業者が行う伐採した枝条等の焼却、漁業者が行う漁網に付着した海産物の焼却などが考えられること。
       なお、生活環境の保全上著しい支障を生ずる廃ビニールの焼却はこれに含まれるものではないこと。
  8.  八 たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なものとしては、たき火、キャンプファイヤーなどを行う際の木くず等の焼却が考えられること。

第一三 不適正処分に関する支障の除去等の措置命令の強化

 一 措置命令の強化

  1.   (一) 不適正処分された産業廃棄物の発生から処分までの一連の行程で管理票に係る義務に違反した者、他人に不適正処分を要求し、依頼し、若しくは唆した者及び他人が不適正処分をすることを助けた者を措置命令の対象者に追加したこと。
  2.   (二) 不適正処分をすることを要求し、依頼し又は唆した者としては、例えば不法投棄の斡旋、仲介を行ういわゆるブローカーなどが考えられ、不適正処分をすることを助けた者としては、不法投棄について知情性を有する土地所有者などが考えられること。

 二 排出事業者の措置命令

  1.   (一) 事業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物の処理責任を負い、その発生から最終処分に至るまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずる注意義務を有することから、委託基準や管理票に係る義務を遵守するなど法に違反する行為がない場合においても、不適正処分を行った者等に資力がないときであって、かつ、適正な処理料金を負担していないとき、不適正処分が行われることを知り、又は知ることができたときなど注意義務に照らして事業者に支障の除去等の措置を採らせることが適当であると認められるときは、事業者を措置命令の対象とすることができるものとしたこと。
  2.   (二) 事業者が、他人に産業廃棄物の処理を委託する場合において、その最終処分に至るまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために講ずべき必要な措置としては、委託基準や管理票に係る義務を遵守することに加えて、技術的能力や経理的基礎が不十分な産業廃棄物処理業者に委託しないこと、適正な処理に必要な処理料金を負担すること、不適正処分が行われていることを確知した場合には、処理の委託を中止することなど、個別の状況に応じた適切な措置を講ずることが考えられること。
  3.   (三) 「相当な範囲」とは、不適正処分された産業廃棄物の性状、数量、処分の方法その他の事情からみて、通常予想される生活環境保全上の支障の除去に限定する趣旨であって、複合汚染や二次汚染など通常予想し得ない支障は、これに含まれるものではないこと。

第一四 生活環境保全上の支障の除去等の措置

  不法投棄された廃棄物の河川への流出や地下水への浸透など、緊急に支障の除去等の措置が講じられなければ回復困難な生活環境の保全上の支障を生ずるおそれがある場合について、措置命令又は公告を行うことなく、代執行を行うことができるものとしたこと。

第一五 罰則の強化

  管理票の不交付、廃棄物の焼却禁止違反等に係る罰則を新設したほか、廃棄物の無確認輸出をこれまでの五〇万円以下の罰金から三年以下の懲役若しくは三〇〇万円以下の罰金又はこれらの併科とするなど全般に罰則を大幅に強化したこと。また、投棄禁止違反については、これまで一般廃棄物と産業廃棄物に係るもので異なっていた罰条を統合したこと。

第一六 経過措置

  廃棄物の不適正な処分を防止するために規制を強化するものについては、政策上経過措置を設けていないこと。したがって、改正法施行前になされた許可の申請等について、施行の際に許可又は不許可の処分がされていない場合には、改めて改正後の法による許可の手続が必要となることから、新たな申請書、添付書類等を求めるものであること。
  なお、改正法施行前に許可の申請がなされたものについては、焼却施設の過度の集中によって、大気環境基準の確保が困難となると認めるときに設置の許可をしないことができるとする規定は適用しないものとしたこと。

第一七 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部改正

  1.  一 産業廃棄物処理施設のうち、一日当たりの処理能力が五〇トン以上の焼却施設、面積が一万平方メートル以上又は埋立容量が五万立方メートル以上の安定型最終処分場及び管理型最終処分場、面積が五〇〇平方メートル以上又は埋立容量が二、五〇〇立方メートル以上の遮断型最終処分場並びに一日当たりの処理能力が一〇〇トン(木くずの再生のみを行う施設にあっては、三〇トン)以上の建設廃棄物処理施設と共同利用施設等から構成される一群の施設を特定施設に追加したこと。
  2.  二 特定施設の周辺地域における公共施設の整備と連携して、産業廃棄物の処理施設の立地を促進するため、特定施設の整備に伴い生活環境の保全を図るため公共施設の整備を図ることが適当と認められる地区を特定周辺整備地区に指定できるものとしたこと。

第一八 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正

  不法投棄等の罰則における懲役刑の上限を五年とするなど、罰則を大幅に強化したことに伴い、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成一一年法律第一三六号)の前提犯罪に、一般廃棄物処理業の無許可営業、名義貸し、廃棄物処理施設の無許可設置及び不法投棄の罪を追加したこと。これらの罪により生じ、若しくはこれにより得た財産又はその報酬として得た財産の隠匿、収受及びこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為が処罰の対象となるとともに、没収の対象となるものであること。