法令・告示・通達

廃棄物処理施設に係る水質規制の強化について

公布日:昭和54年11月27日
環整130・環産43

(各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長あて厚生省環境衛生局水道環境部環境整備課長・産業廃棄物対策室長連名通知)

 廃棄物処理行政については、かねてより御高配を賜わっているところであるが、このたび瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律(昭和五三年法律第六八号)の施行(昭和五四年六月一二日)に伴い、廃棄物処理施設からの排出水について排水規制の強化が図られることとなったので、左記事項に留意されるとともに、貴管下市町村に対する指導についてもよろしくお取り計らい願いたい。

第一 主な改正事項

 1 焼却施設の特定施設化について

  1.   (1) 一般廃棄物処理施設(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)第八条第一項に規定するものをいう。)である焼却施設(以下単に「焼却施設」という。)が新たに昭和五四年五月一〇日から水質汚濁防止法(昭和四五年法律第一三八号)第二条第二項に規定する特定施設とされたこと。
  2.   (2) 昭和五四年五月一〇日において現に設置され、又は設置の工事がされている焼却施設については、昭和五五年五月一〇日から同法第一二条第一項の規定が適用されること。

 2 総量規制について

  1.   (1) 瀬戸内海、東京湾及び伊勢湾の水域について、化学的酸素要求量(以下、「COD」という。)に係る総量規制が実施されること。
  2.   (2) 同法第一二条の二に規定する総量規制基準は、中間目標年度の基準については、昭和五六年度において都道府県知事が定める日から、目標年度の基準については、昭和五九年において都道府県知事が定める日から指定地域内事業場(同法第四条の五第一項に規定するものをいう。以下同じ。)に適用されること。
        ただし、都道府県知事が定める日以後に特定施設が設置された指定地域内事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに指定地域内事業場となったものを含む。)及び当該定める日以降に設置された指定地域内事業場に対しては、当該定める日以後にそれらが稼動する日に特別の総量規制基準(同法第四条の五第二項に規定する総量規制基準をいう。以下同じ。)が適用されること。
        なお、試運転期間は、それらが稼動しているとみなされること。
  3.   (3) 総量規制基準を定める際の基礎となる特定排出水(水質汚濁防止法施行規則(昭和四六年総理府令、通商産業省令第二号)第一条の四第一項に掲げるものをいう。以下同じ。)のCOD濃度は、業種等ごとに、都道府県知事が環境庁長官が定める範囲内において定めることとされているが、昭和五四年環境庁告示第一九号により当該範囲が処理対象人員が、五〇一人以上のし尿浄化槽について四〇mg/l以上一二〇mg/l以下、し尿処理業について五〇mg/l以上一二〇mg/l以下、ごみ処理施設等のごみ処理業について中間目標年度の基準に関しては六〇mg/l以上一二〇mg/l以下、目標年度の基準に関しては三〇mg/l以上一〇〇mg/l以下と定められたこと。また、特別の総量規制基準については、処理対象人員が五〇一人以上のし尿浄化槽について四〇mg/l以上八〇mg/l以下、し尿処理業について五〇mg/l以上九〇mg/l以下、ごみ処理施設等のごみ処理業について三〇mg/l以上七〇mg/l以下と定められたこと。
  4.   (4) 指定地域内事業場から排出水を排出する者は、当該排出水中の特定排出水のCODに関する汚染状態当該特定排出水の量等を計測し、当該特定排出水の一日当たりの汚濁負荷量を計算し、その結果を三年間保存しなければならないとされたこと。
        なお、日平均排水量四〇〇立方メートル以上の指定地域内事業場にあっては、前記の計測は、原則として自動的にCOD又はCODに換算できる水質項目及び水量計測することができる機器を用いて行うこととされたこと。
  5.   (5) (4)の計測及び計算は、原則として、日平均排水量が四〇〇立方メートル以上である指定地域内事業場にあっては毎日、日平均排水量が二〇〇立方メートル以上四〇〇立方メートル未満である指定地域内事業場にあっては七日を超えない期間ごとに一回以上、日平均排水量が一〇〇立方メートル以上二〇〇立方メートル未満である指定地域内事業場にあっては、一四日を超えない期間ごとに一回以上、日平均排水量が五〇立方メートル以上一〇〇立方メートル未満である指定地域内事業場にあっては三〇日を超えない期間ごとに一回以上行うこととされたこと。
  6.   (6) 瀬戸内海の関係地域において燐削減対策が関係府県知事が定める燐削減指導方針に沿って推進されることとなったこと。
  7.   (7) 指定地域内事業場から排出水を排水する者以外の者であって、公共用水域に汚水、廃液等を排出するもの(瀬戸内海にあつては、公共用水域に燐を排出するものを含む。(8)において同じ。)に対し、都道府県知事は総量削減計画を達成するために(瀬戸内海にあっては総量削減計画を達成するために又は燐削減指導方針に従い)必要な指導、助言及び勧告をすることができるとされたこと。
  8.   (8) 事業活動に伴って、処理対象人員二〇一人以上のし尿浄化槽から公共用水域に汚水、廃液等を排出する者について、都道府県知事は水質汚濁防止法(瀬戸内海にあっては、水質汚濁防止法又は瀬戸内海環境保全特別措置法とする。)の施行に必要な限度において、汚水、廃液等の処理の方法その他必要な事項に関し、報告を求めることができるとされたこと。

第二 留意事項

  1.  (1) 焼却施設の排水処理については、従来より処理施設の整備、維持管理の適正化を図ってきたところであるが、引き続き焼却施設からの排水処理について、施設整備、維持管理の徹底に努められたいこと。
  2.  (2) 既存のし尿処理施設については、第一の2(3)の都道府県知事が定めるCODの値を目標として凝集分離施設の設置又は排出水量の削減等のCODの削減対策を必要に応じ実施すること。
  3.  (3) 第一の2(3)のCODの値を都道府県知事が定める場合には、主管部局は廃棄物担当部局等関係部局に協議することとされているので、当該協議があつた場合には、左記の事項に留意の上、CODの排出実態を十分勘案した上で、当該CODの値が定められるよう十分調整されたいこと。
    1.   ① 昭和五四年環境庁告示第一九号別表第二〇九項備考欄の規定は、水質汚濁防止法第三条第三項の規定に基づき制定されている条例により現に高度処理を行つているし尿浄化槽についてのみ適用するものであり、その場合にあっても、CODの値は当該条例に定められている値を下回らないものであるとされていること。
    2.   ② 同告示別表第二一〇項備考欄の規定は、水質汚濁防止法第三条第三項の規定に基づき制定されている条例により高度処理を行うし尿処理業についてのみ適用するものであり、その場合にあっても、CODの値は当該条例に定められている値を下回らないものであるとされていること。
    3.   ③ 指定地域内事業場に付設されている産業廃棄物の処理施設に係るCODの値は、同告示別表中、当該事業場の業種に係る項、第二一七項又はこれらの項の細区分により、実態に即した適切な値を定めるものとされていること。
    4.   ④ 湿式酸化処理方式のし尿処理施設に係るCODの値は、必要に応じ、水質汚濁防止法施行規則第一条の四第三項ただし書の適用を受けるものであるとされていること。
  4.  (4) 第一の2(4)の自動的にCOD又はCODに換算できる水質項目及び水量を計測することができる機器を設置することが必要であると認められる焼却施設又はし尿処理施設にあっては、速やかに当該機器を設置されたいこと。
  5.  (5) 第一の2(6)の燐削減指導方針を関係府県知事が定める場合にあっては、主管部局は廃棄物担当部局等関係部局に協議することとされているので、当該協議があった場合には、廃棄物処理施設における燐の削減の技術の水準等を十分勘案した上で、当該指導方針が定められるよう十分調整されたいこと。
  6.  (6) 第一の2(7)の指導、助言及び勧告は、雑排水をし尿と併せて処理する合併処理のし尿浄化槽の普及を推進する趣旨のものであり、第一の2(8)のし尿浄化槽を設置する者に対する報告徴収は、雑排水の処理対策を推進する趣旨のものであること。
       従って、指導、助言及び勧告並びに報告徴収をし尿浄化槽について都道府県の主管部局が実施する場合には、廃棄物担当部局に協議することとされているので、当該協議があった場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づくし尿浄化槽の適切な維持管理のための従来からの指導行政と重複、混乱のないよう十分調整されたいこと。
  7.  (7) 瀬戸内海の関係地域におけるし尿処理施設等の廃棄物処理施設については、排出水の燐濃度を適宜測定すること。