法令・告示・通達

廃棄物処理施設整備国庫補助事業に係る施設の構造に関する基準について

公布日:昭和54年09月01日
環整108号

(各都道府県廃棄物処理担当部(局)長あて、厚生省環境衛生局水道環境部環境整備課長通知)
 標記の基準については、別途水道環境部長通知(昭和五四年九月一日付け環整第一〇七号。以下「部長通知」という。)により指示されたところであるが、その細目については左記によることとしたので通知する。
 ついては、貴管下市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)に、本通知の周知方よろしく取り計らわれたい。
 また、市町村が設置する施設であつて標記事業に係る施設以外のものについても部長通知及び本通知に準じて措置するよう貴管下市町村に対し指導方あわせてお願いする。
 なお、水道環境部環境整備課長通知(昭和五二年六月一〇日付け環整第四七号)は廃止する。

1 ごみ処理施設

  1.  1) 計画一人一日平均排出量は、過去の収集実績が明らかでない場合には、一〇〇〇gを標準とすること。
  2.  2) 計画月変動係数は、過去の収集実績が明らかでない場合には一・一五を標準とすること。
  3.  3) 焼却施設の稼動率(稼動日調整分のみ)は、次のとおりとすること。
    1.   (1) 連続燃焼式
      1.    ① 全連続燃焼式 九六%
      2.    ② 准連続燃焼式 八五%
    2.   (2) バッチ燃焼式
      1.    ③ 機械化バッチ燃焼式 八三%
      2.    ④ 固定火格子バッチ燃焼式 八三%
  4.  4) 連続燃焼式焼却施設は、一日二四時間連続稼動するのを原則とすること。ただし、二四時間連続運転の体制を確保することが困難な場合に限り、一日一六時間の間欠稼動を予定する准連続燃焼式焼却施設を採用することができるものであること。
  5.  5) 粗大ごみ処理施設のうち「破砕施設」及び「併用施設」の基準は、ごみ処理施設構造指針に規定する破砕施設構造指針によるものとすること。
  6.  6) 粗大ごみの破砕施設及び併用施設の能力(単位時間当たり破砕された粗大ごみの重量t/時間)は、粗大ごみの種類によつて大幅に変動するので、機種及び処理能力の決定に当たつては粗大ごみの量のみならず、その標準組成(種類別重量%)又は単位容積重量(t/m3)等によつて示される標準ごみ質によつて判断すること。
       この場合、標準ごみ質は、収集実績が明らかでない場合には、以下を参考として設定すること。
    1.   (1) 可燃性粗大ごみを焼却の前処理として破砕する場合(破砕施設の場合)標準単位容積重量を〇・〇五~〇・一五t/m3の範囲内で設定する。
    2.   (2) 可燃性粗大ごみ及び不燃性粗大ごみを埋立の前処理として破砕する場合(併用施設の場合)標準組成について以下のとおりとする(重量%)。
      •     金属類(家庭用冷蔵庫、自転車等) 二〇%
      •     木製品(家具、木片等) 三〇%
      •     ガレキ類(鉄筋コンクリート片、ブロック等) 三〇%
      •     プラスチック類(容器等) 二〇%
  7.  7) 高速堆肥化施設は、ごみの好気的分解を促進させて、その安定化、減容化を図ることにより、ごみを処理することを目的とする施設をいい、一般に最終生成物は肥料または土壌改良材として利用できるものである。この高速堆肥化施設は以下の基準によるものとすること。
    1.   (1) 高速堆肥化施設は機械式と野積式とに大別されるが、いずれを採用するかは、周辺環境条件、経済性等を勘案して定めること。
    2.   (2) 最終生成物を肥料又は土壌改良材として利用する場合にはあらかじめ、農業協同組合等利用先と緊密な連絡調整を行い円滑な供給利用体制を確立しておくこと。
    3.   (3) 高速堆肥化施設には必要に応じ、以下の設備を設けること。
      1.    ① 受入・供給設備
      2.    ② 選別設備
      3.    ③ 前処理設備
      4.    ④ 発酵処理設備(発酵槽又は発酵敷地)
      5.    ⑤ 後処理設備
      6.    ⑥ 搬出設備
    4.   (4) 発酵処理設備におけるごみの滞留時間は、回転式及び多層階式発酵槽にあつては原則として二~七日間とし、すき返し式発酵槽にあつては二〇~三九日程度とし、ごみ質、天候等に応じて他の実例等を参考として定め、野積式にあつては、三〇日程度を標準とし、ごみ質、天候等に応じて他の実例を参考として定めること。

2 し尿処理施設

  1.  1) 計画一人一日平均排出量は、過去の収集実績が明らかでない場合には、し尿にあつては一・四l、単独処理し尿浄化槽の汚泥にあつては〇・七五l、合併処理し尿浄化槽の汚泥にあつては一・二lを標準とすること。
  2.  2) 計画月最大変動係数は、過去の収集実績が明らかでない場合には一・一五を標準とすること。

3 指針外施設

  1.  1) 指針外施設について協議を行うに当たつては、市町村はあらかじめ別添「指針外施設取扱要領」に基づいて検討するものとする。
  2.  2) 指針外施設について市町村が指針外施設取扱要領に基づいて検討を行うに当たつては、都道府県を通じて厚生省と連絡調整を行うとともに、指針外施設の開発者からの技術情報の聴取及び試験用施設の実地調査等を十分に行うこと。
  3.  3) 市町村が指針外施設について厚生省と協議を行うために作成した資料について、都道府県はその内容を十分に審査し、必要な技術指導を行うこと。
  4.  4) 指針外施設取扱要領において、「主設備」とは廃棄物の処理に関する主要な反応又は操作が行われる設備をいい、「付帯設備」とは主設備以外の設備をいうものであること。

      〔例〕

  5.  5) 外国から導入した技術に基づく設備又は外国から輸入した設備を用いた施設を設置する場合には、あらかじめ、都道府県を通じて厚生省と協議すること。
    1.   (注1) 本通知の用語の定義は、部長通知において定めるところによるものとする。
    2.   (注2) 本通知に伴い、昭和五三年一月二六日付け環整第九号「新処理技術による一般廃棄物処理施設の設備に係る協議に添付する資料について」の用語で、新処理技術は指針外技術に、新処理施設は指針外施設に読みかえるものとする。また、水道環境部長通知は昭和五四年九月一日付け環整第一〇七号の部長通知に読みかえる。

別表

    指針外施設取扱要領

1 し尿又はごみ処理施設としての要件

  指針外施設がし尿又はごみの処理施設として有すべき要件は、次のとおりとする。

  1.  (1) 構造指針及び本通知に示した構造に関する技術上の基準に合致する施設の性能と同等以上の性能を有すること。
  2.  (2) 適切な処理機能が継続的に保持され、排水、排ガス、残済等が環境に排出されたとき、生活環境の保全上支障を生じないような対策が講じられているものであること。
  3.  (3) し尿又はごみの質的量的な変動に対応できること。
  4.  (4) 建設及び維持管理が容易であること。
  5.  (5) 建設及び維持管理に要する経費が適切であること。
  6.  (6) 省資源、省エネルギーの観点からの対策について配慮されたものであること。
  7.  (7) 市町村の清掃事業の実施上、適切なものであること。

2 指針外施設の採用に当たつて検討すべき事項

  指針外施設の採用に当たつて検討すべき事項は、次のとおりとする。

 1) 技術的観点

  1.   (1) 環境汚染防止対策
  2.   (2) 運転管理の細目及び取扱要領(マニュアル)の内容
  3.   (3) 施設各部の耐用性及び耐用限度時点における対応策
  4.   (4) 運転管理条件と当該地域の収集計画との関連性
  5.   (5) 試験用施設等からのスケールアップ上の問題点

 2) 経済的観点

  1.   (1) 単位処理量当たりの人件費、物件費、減価償却費等の管理的経費
  2.   (2) 建設費を基とした投資的経費

 3) 行財政上からの観点

   当該市町村の清掃事業の適正な遂行という観点から検討を行うものとする。

  1.   (1) 当該市町村の技術力に照らして、建設及び維持管理が適切に行えること。
  2.   (2) 当該市町村の財政力に照らして、建設及び維持管理に要する経費が妥当であること。

3 指針外施設に係る実証試験

  指針外施設に関する検討は、当該施設に用いられている技術が構造指針に規定のない技術(以下「指針外技術」という。)による場合と構造指針に規定する技術であつて負荷率を著しく高めた技術(以下「高負荷技術」という。)による場合に区分し、かつ設備の種類に応じ、以下により行つた実証試験の結果を基礎として行うものとする。

 1) 主設備に指針外技術を採用する場合

   ごみ処理施設にあつては、一系列二〇t/日以上、し尿処理施設にあつては、一系列一〇kl/日以上の試験用施設(実際に稼動を予定する施設が、これらの規模以下の施設にあつては、実施設の二分の一程度の規模の施設)によつて、おおむね一年間以上試運転を行い、四季それぞれ一か月程度にわたり必要なデータをとるものとする。

 2) 主設備に高負荷技術を採用する場合、又は付帯設備に指針外技術を採用する場合

   当該設備について、必要な規模で必要な期間試験運転を行い、必要なデータをとるものとする。この場合に、規模及び期間については、厚生省が指示するところによるものとする。

 3) 付帯設備に高負荷技術を採用する場合

   当該設備について、必要な規模で必要な期間試験運転を行い、必要なデータをとるものとする。