法令・告示・通達
廃棄物処理施設整備計画の推進について
衛計5号
(各都道府県知事あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)
廃棄物処理施設については、昭和三八年度から平成七年度まで、七次にわたる整備計画を策定し、計画的にその整備を図ってきたところである。
しかしながら、廃棄物処理については、国民生活の向上等に伴う廃棄物の排出量の増大や質の多様化、最終処分場の逼迫や処理困難物の増大など多くの問題に直面している。
これらの問題に適切に対処するため、これまでの単に燃やして埋める処理からごみの排出抑制、リサイクルの推進等の循環型の廃棄物処理への転換を図ることが喫緊の課題となっている。
こうした状況を踏まえ、先般、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律」(平成八年法律第八七号)が制定され、廃棄物処理施設整備緊急措置法(昭和四七年法律第九五号)の一部が左記第一のとおり改正されたことを受け、平成八年度から平成一二年度を計画期間とする第八次廃棄物処理施設整備計画が左記第二のとおり策定されたので、本計画の達成に向けて各般のご協力をお願いするとともに、管下市町村等に対する周知等について特段のご配意を頂きたい。
記
第一 廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部改正について
1 改正の内容
廃棄物処理施設整備計画の作成期間を平成一二年度まで延長することとした。(第三条関係)
2 施行期日
この法律は、公布の日(平成八年六月一九日)から施行するものとした。
第二 第八次廃棄物処理施設整備計画について
1 計画の決定年月日
平成八年一二月一三日閣議決定
2 計画の要点
- (1) 事業の実施の目標
- ア リサイクルの推進の指標として新たにリサイクル率を設定し、平成一二年度末にごみの一五%をリサイクルできるよう、リサイクル関連施設の整備を図るほか、焼却時の熱エネルギーの有効利用を図るため、ごみ発電等余熱利用施設の設備整備を促進することとした。
- イ 本計画の前提となる、国民一人当たりのごみ排出量の伸び率については、本計画期間中の伸び率を年〇・五%に抑制することとし、また、前計画において新たに指標として設定したごみ減量処理率については、平成一二年度末に九一%とし、焼却処理施設、最終処分場等の整備及び環境保全施設の強化を図るものとした。
- ウ し尿等の処理については、海洋投入処分を原則として廃止し、平成一二年度末に、地方公共団体が処理するし尿及び浄化槽汚泥の九九%をし尿処理施設等で衛生処理できるように、し尿処理施設の整備を図るものとした。
- エ 生活排水対策については、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽等の整備を促進するものとした。
- オ 廃棄物処理センター等地方公共団体が行う産業廃棄物処理施設の整備を促進することとした。
- (2) 事業の量
- ア 平成八年度から平成一二年度までに実施すべき廃棄物処理施設の投資規模を次のとおりとした。
総額 五兆 五〇〇億円
一般廃棄物処理施設 四兆四八三七億円
産業廃棄物処理施設 三〇六三億円
調整費 二六〇〇億円 - イ 本計画の実施に当たっては、各種事業の整合性の確保をはかり、効果的・効率的な整備に努めることとし、また、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとともに、必要に応じ、その見直しにつき検討するものとした。
- ア 平成八年度から平成一二年度までに実施すべき廃棄物処理施設の投資規模を次のとおりとした。
(添付資料)
- 1 廃棄物処理施設整備計画について (平成八年一二月一三日 閣議決定)
- 2 廃棄物処理施設整備緊急措置法 (昭和四七年法律第九五号) 略
- 3 第八次廃棄物処理施設整備計画の解説
資料1
廃棄物処理施設整備計画について
(平成八年一二月一三日)
(閣議決定)
廃棄物処理施設整備緊急措置法(昭和四七年法律第九五号)第三条第一項に規定する廃棄物処理施設整備計画を次のとおり定める。
1 事業の実施の目標
廃棄物の適正処理を確保し、生活排水対策を推進するため、廃棄物の排出抑制に努めつつ、単に燃やして埋める処理から、リサイクルを推進するとともに焼却時の熱エネルギーを活用する循環型の廃棄物処理への転換を図り、環境の保全に配慮しつつ、適切な処理施設、最終処分場等の整備を促進する。
- (1) 一般廃棄物処理施設
- ア ごみの処理については、国民一人当たりのごみ排出量の伸び率を年〇・五%に抑制しつつ、平成一二年度末にごみの一五%(平成七年度末一〇%)をリサイクルできるよう、リサイクル関連施設の整備を図るほか、焼却時の熱エネルギーの有効利用を図るため、ごみ発電等の設備整備を促進するものとする。
また、地方公共団体が処理するごみの九一%(平成七年度末八七%)が減量処理できるよう、焼却処理施設、最終処分場等の整備を図るものとする。 - イ し尿等の処理については、平成一二年度末に地方公共団体が処理するし尿及び浄化槽汚泥の九九%(平成七年度末九三%)がし尿処理施設等で処理できるよう、し尿処理施設の整備を図るものとする。
- ウ 生活排水の処理については、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽等の整備を促進するものとする。
- ア ごみの処理については、国民一人当たりのごみ排出量の伸び率を年〇・五%に抑制しつつ、平成一二年度末にごみの一五%(平成七年度末一〇%)をリサイクルできるよう、リサイクル関連施設の整備を図るほか、焼却時の熱エネルギーの有効利用を図るため、ごみ発電等の設備整備を促進するものとする。
- (2) 産業廃棄物処理施設 地方公共団体が生活環境の保全の見地から必要と認める処理施設及び最終処分場について逐次整備するものとする。
2 事業の量
- (1) 平成八年度から平成一二年度までに実施すべき廃棄物処理施設の投資規模を次のとおり予定する。
総額 五兆五〇〇億円
一般廃棄物処理施設 四兆四八三七億円
産業廃棄物処理施設 三〇六三億円
調整費 二六〇〇億円 - (2) 廃棄物処理施設整備計画の実施に当たっては、財政の健全性の確保に留意しつつ、その促進に努めることとし、各種事業の整合性の確保を図り、建設コストの低減等により効果的・効率的な整備に努める。また、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとともに、必要に応じ、その見直しにつき検討するものとする。
資料3
第八次廃棄物処理施設整備計画の解説
1 計画の基本方針
(1) 廃棄物処理施設整備計画の経緯
廃棄物処理施設の整備計画については、昭和三八年、生活環境施設整備緊急措置法に基づき、第一次計画が策定され、その後同法が廃棄物処理施設整備緊急措置法(昭和四七年法律第九五号)に改正された後も継続的に計画を策定し、平成七年度に第七次の計画が終了したところである。今回の第八次計画は、国民生活の向上等に伴う廃棄物量の増大、質の多様化により、最終処分場の逼迫、処理困難物の増大など多くの問題が生じてきており、引き続き施設整備を進める必要性が極めて高いことを踏まえ、平成八年度から平成一二年度までを計画期間として策定したものである。
このような施設整備の必要性の高さを反映し、計画の事業規模は、第七次計画の事業規模二兆八三〇〇億円に比べ一・七八倍の五兆五〇〇億円としており、この伸び率は、他の公共事業計画の伸びに比べても格段に高いものとなっている。
(2) 第八次廃棄物処理施設整備計画の概要
- ア 廃棄物の処理については、これまで、効率よく廃棄物を焼却し、埋め立てていくことが一貫して追求されてきた。
しかしながら、最近では、環境の保全、資源の有効利用の観点から、廃棄物そのものの絶対量の削減と可能な限りのリサイクルの実施が求められており、平成六年一二月に定められた環境基本計画においても「一般廃棄物について、廃棄物循環型のごみゼロ社会を目指し、二一世紀初頭を目途に、廃棄物のほとんどすべてを、単に燃やして埋める処理から、極力リサイクルを推進し、焼却処理の際には、熱エネルギーを活用するものへの転換を推進する。」こととされている。
また、平成七年六月には「容器包装リサイクル法」が制定されており、平成九年四月から本格施行されるとともに、本計画の最終年に当たる平成一二年度からは完全施行されることとされている。
これらを踏まえ、本計画においても、廃棄物循環型社会基盤施設整備事業等の活用により、リサイクルプラザ、ストックヤード、ごみ燃料化施設の設置等リサイクル関連施設の整備や、焼却施設へのごみ発電の設置等の余熱利用施設の併設等に重点を置いた施設整備を進めることとしており、「リサイクル型社会への転換推進計画(リサイクル・ゴーゴー計画)」と位置付けている。 - イ さらに、廃棄物の焼却施設については、ダイオキシン等国民の健康に与える影響が懸念されていることから、より安全な施設への転換を図るため、処理量の確保と併せて、環境保全対策の強化や焼却施設の大型化、連続運転化、高度化、廃棄物収集主体の広域化等により質的なレベルアップを目指すこととしており、これについては、別途、通知等により周知を図る予定である。
- ウ また、公共用水域の水質汚濁の主な原因である生活排水を処理し、自然の河川に返す合併処理浄化槽の整備を促進することとし、本計画期間中に新設される浄化槽については、その全てを合併処理浄化槽とすることを目標としている。
- エ 産業廃棄物処理施設については、産業廃棄物の適正処理及び最終処分場の確保が重要な課題となっていることから、地方公共団体が生活環境の保全の見地から必要と認めた施設の整備を図るとともに、廃棄物処理センターの整備を図る必要がある。
- オ 以上の状況を踏まえ、第八次廃棄物処理施設整備計画では、
- ① ごみの排出抑制・排出時の分別の促進、
- ② リサイクルの推進と焼却時の熱利用の促進、
- ③ 廃棄物処理施設の計画的整備の推進、
- ④ 生活排水を処理し、自然の河川に返す合併処理浄化槽の整備の促進、
- ⑤ 産業廃棄物の適正処理の推進
2 一般廃棄物処理施設整備
(1) ごみ処理施設等整備
計画の前提となる、ごみの排出抑制の指標としては、第七次計画の中で、はじめて国民一人当たりのごみの排出量の伸び率を設定し、目標値を一・五%としたところであるが、第八次計画においては、これをさらに圧縮し、〇・五%とすることとした。これは、容器包装リサイクル法の制定に伴い、平成九年四月から一部の容器包装のリサイクルが実施に移されることを踏まえ、ごみの排出量を極力抑制することを目指したものである。
なお、排出抑制を進め、ごみの伸びをゼロないしマイナスにすることは大きな課題であるが、容器包装リサイクル法が完全実施されるのは、平成一二年四月からであり、第八次計画期間中に同法の効果を完全に見込むことはできないので、今回、ごみの伸びゼロないしマイナスという指標は設定しなかった。
また、第七次計画において、ごみの減量・減容化、資源化の指標として新たに設定したごみ減量処理率については、平成七年度末の八七%を平成一二年度末までに九一%に引き上げることとした。
ア リサイクル率とごみ発電実施率
① リサイクル率
本計画においては、リサイクル型社会への転換推進の指標として、新たにリサイクル率を導入することとした。これは、金属、ガラス、紙類などの再生利用に関する指標であり、今後の進展が期待されるごみ燃料化、高速堆肥化も含めた、いわゆるマテリアルリサイクルの進捗状況を示すものである。算出は次の式による。
リサイクル率=((市町村の資源化総量+集団回収量)/(市町村の計画処理量+集団回収量))×100
平成七年度のリサイクル率の実績見込みは一〇%であり、平成一二年度末に一五%にまで引き上げることとしている。この目標を達成するため、容器包装リサイクル法の実施による容器包装廃棄物のリサイクルの推進、可燃ごみの高速堆肥化、ごみ燃料化などによる資源化、集団回収の一層の推進など総合的なリサイクル推進策を講じる必要がある。
② ごみ発電実施率
ごみを焼却処理する場合には、可能な限り焼却により発生する熱を利用することを目指すこととし、ごみ発電等の余熱利用施設の設置の推進を本計画の重点事項とした。また、その進捗状況を示す指標として、ごみ発電実施率を設定した。算出は次の式による。
ごみ発電実施率=(発電設備付きごみ焼却処理施設能力/全ごみ焼却処理施設能力)×100
平成七年度末の実績見込みは四二%であり、平成一二年度末に五五%にまで引き上げることとした。このため、本計画期間中に新設される全ての全連続式の焼却施設に発電設備を設置することを目指している。
イ リサイクル関連施設
リサイクルの推進は、本計画の重点施策であり、リサイクルプラザ、ストックヤード等のリサイクル関連施設については、第七次計画の二〇六八億円に対して二・六八倍増の五五三四億円の投資額を予定している。
① リサイクルプラザ
リサイクルプラザは、リサイクルセンターの機能に加えて、粗大ごみの処理、不要品の補修、再生品の提示等のための機能等を有する施設である。本計画期間中のリサイクルプラザの整備量は、五一六四t/日を予定しており、一箇所当たりの施設規模を基に算定すると、一七〇箇所を整備する必要があり、これに要する投資額は、一七二五億円である。
なお、本施設は、住民参加によるリサイクル活動を推進するための拠点となるべきものであり、各種の機会をとらえて、住民参加によるリサイクル活動の重要性を普及・啓発することが必要である。
② ストックヤード
ストックヤードは、分別収集により回収した資源ごみを搬出するまでの間、保管する倉庫等の施設である。本施設は、容器包装リサイクル法の施行等に伴い、びん、かん、紙等の分別収集を行う市町村が飛躍的に増えることが予想されることから、今後速やかな整備が必要となる。本計画期間中のストックヤードの必要量は、二四一〇t/日を予定しており、一箇所当たりの資源化量等を基に算定すると、概ね人口三〇万人当たりに一箇所に当たる四〇〇箇所を目途に整備を図る必要がある。これに要する投資額は一三九億円である。
③ リサイクル施設
リサイクル施設は、びん、かん、紙類等の資源ごみを選別し、回収・資源化する施設である。平成一二年度末のリサイクル施設での不燃ごみの処理量は、四六五七t/日と見込まれ、施設規模としては六一四七t/日が必要となる。ここから、平成七年度末のリサイクル施設の処理量三二六六t/日を差し引くと、本計画期間中に整備すべき施設量は二八八一t/日となり、一箇所当たりの施設規模を基に算定すると、四八〇施設を整備する必要がある。これに要する投資額は五五八億円である。
④ 粗大ごみ処理施設
粗大ごみ処理施設は、ごみとして排出された家具、家電製品等の粗大ごみを破砕して、資源ごみ、可燃性ごみ、不燃性ごみ等に選別し、回収を行うものである。本計画期間中に新規に整備すべき施設能力と更新整備される施設の処理能力の合計は、一万一八五七t/日であり、一箇所当たりの処理能力を基に算定すると、必要な施設数は、三九五箇所となるが、ここからリサイクルプラザに併設される施設数を差し引いた、二二五箇所が本計画期間中に整備すべき施設数となる。これに要する投資額は二六三九億円である。
なお、本施設の整備に当たっては、単なる破砕施設だけのものは認めないこととしており、粗大ごみの処理に併せて再利用可能なものを識別し再利用に供する等の再生までを併せて行う施設とする必要がある。
⑤ ごみ堆肥化・燃料化施設
ごみ堆肥化施設は、可燃ごみのうち、木くず等の有機物を分解、発酵させて堆肥にするための施設である。また、ごみ燃料化施設は、可燃ごみを固形燃料化する施設である。平成一二年度末までに可燃ごみ量の一%を処理することとしており、本計画期間中に二一一〇t/日の処理能力が必要となる。これに要する投資額は四七三億円である。
なお、ごみ堆肥化施設の整備を行うに当たっては、各地方公共団体の農林担当部局と十分連携をとるよう留意願いたい。
ウ ごみ焼却処理施設
可燃ごみのうち、資源化回収量(分別回収後資源化されるものと堆肥化・燃料化されるもの)を除いた量が焼却処理の対象となる。平成一二年度における可燃ごみ量は一一万八八六九t/日であり、ここから資源化回収量を除くとともに施設の能力等を勘案すると、一二年度における所要焼却施設能力は、一九万五九五五t/日となる。平成七年度末で整備済みの焼却施設能力は、一八万五九八四t/日であることから、本計画期間中に新たに必要となる施設能力は、九九七一t/日である。また、本計画期間内に更新することが必要な既存施設の能力は、三万二五九五t/日であることから、本計画期間中に整備されるべき施設能力の合計は四万二五六六t/日となる。これらに要する投資額は二兆一二七二億円である。
さらに、今後新設されるごみ焼却施設については、ごみ焼却施設からのダイオキシン類の発生防止のため、原則として焼却方式を全連続方式とし、バグフィルター等の排ガス対策の高度化や焼却灰のリサイクル、減量化を図るための溶融固化施設の設置等質的レベルアップを図ることとしている。また、これらの措置を可能とするため、必要に応じ、複数市町村によるごみ処理の広域化を図られたい。
エ ごみ処理施設改良事業
既設のごみ焼却施設等について、老朽化等により損傷又は機能が低下した設備について当初の能力にまで回復させるための事業等が対象となる。本計画中に二六〇箇所の整備を予定しており、これに要する投資額は六六二億円である。
なお、本事業により改良を行う場合は、単なる旧来機能の回復だけでなく、ごみ発電等の余熱利用施設、ダイオキシン類等発生防止のための廃ガス高度処理等を併せて整備することが必要である。
オ 廃棄物運搬中継・中間処理施設
ごみの収集運搬の効率化を図るため、収集地域と処理施設との間に設置する廃棄物運搬中継・中間処理施設は、本計画期間中に二三〇〇t/日の整備を予定し、これに要する投資額は、一六九億円である。また、ごみ収集運搬車両の整備に要する投資額として一一七五億円を予定しており、総額として一三四四億円が必要となる。
なお、ごみ収集運搬車両の整備に当たっては、地域の特性に応じ、公害防止や快適環境の形成等に資する電動ごみ収集車や低公害車等の整備を進めるものとする。
カ 最終処分場
ごみの排出量の増大や埋立処分用地の確保難から埋立処分残余容量は、減少傾向にあり、今後とも計画的な整備が必要となっている。本計画中に必要となる埋立処分地施設の容量は、本計画中の処分量八六四七万m3と残余年数を現在と同水準の八年とするための容量一億一二四五万六〇〇〇m3の和から、平成七年度末残余容量一億九万四〇〇〇m3と広域臨海環境整備センターの本計画期間中整備量一七五六万九〇〇〇m3を差し引いた八一二六万三〇〇〇m3であり、埋立処分に必要な用地は、埋立厚さ等を勘案して八二二万二〇〇〇m2となる。これに要する投資額は、埋立処分地施設として四九四九億円、埋立処分地用地として四〇九億円である。
なお、最終処分場の整備に当たっては、しゃ水工事における二重ライナー化を図る等安全性の確保・向上に十分留意する必要がある。
キ ごみ処理施設等整備に対する総投資額
前記により、ごみ処理施設等整備に対する投資額の合計は三兆四二二二億円とする。
(2) 生活排水の処理施設整備
近年、河川や湖沼などの水質汚濁が大きな社会問題となる中で、台所・風呂等からの生活雑排水が大きくクローズアップされている。このため、し尿と併せて生活雑排水を処理できる合併処理浄化槽の普及が緊急の課題となっていることから、本計画期間中に合併処理浄化槽等による処理人口の割合を平成七年度末の八%から、平成一二年度末には一四%に引き上げるものとする。
ア し尿処理施設
平成一二年度末における各市町村のし尿等計画収集量の規模は、六万一八七一kl/日であり、また、現在、行っている海洋投棄については本計画期間中に原則廃止すること等から、平成一二年度末のし尿衛生処理率の目標値を九九%とし、そこから、下水道投入分三六六一kl/日を除いた五万七八三七kl/日が、し尿処理施設の必要処理量となる。この内、本計画期間中に新たに更新されるべき施設量は、前計画期間中におけるし尿処理施設の更新割合が一三・五%であることから七八〇八kl/日となる。これに、施設の能力を勘案し、本計画期間中のし尿処理施設の必要整備量は、一万五四一kl/日、これに要する投資額は三五七七億円となる。
イ コミュニティ・プラント
コミュニティ・プラントは、下水道と同等の処理を持つ生活排水処理施設であり、コンパクトな施設づくりが可能なことから、建設期間も短く、住民のニーズに迅速に対応できるメリットがある。本計画期間中に三二万人分の整備を予定しており、これに要する投資額は一二九九億円である。
ウ 合併処理浄化槽設置整備事業
し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽は、下水道等とともに、今後の生活排水対策の中核となるものである。また、これまで多く普及してきた単独処理浄化槽については、水質保全上問題があることから、新設される浄化槽については、本計画期間中に全て合併処理浄化槽とすることを目標としている。本計画期間中に六九四万人分の整備を予定しており、これに要する投資額は五三八七億円である。
なお、合併処理浄化槽設置整備事業の実施に当たっては、下水道、農業集落排水等との連携を図ることにより、効率的かつ計画的な整備が推進されるよう留意願いたい。
エ し尿処理施設改良事業
既設のし尿処理施設について、老朽化等により損傷又は機能が低下した設備を当初の能力にまで回復させるとともに、今後増加される合併処理浄化槽からの汚泥の処理に適切に対応するための改良等を行うものである。本計画期間中には、一〇〇箇所の事業を予定しており、これに要する投資額は一三五億円である。
オ 生活排水の処理施設の整備に対する総投資額
前記を踏まえ、生活排水の処理施設に関する投資額の合計は一兆三九八億円とする。
(3) 一般廃棄物処理施設等整備に対する総投資額
(1)、(2)により一般廃棄物処理施設等整備に対する投資額の合計は、四兆四六二〇億円とする。
3 産業廃棄物処理施設整備
産業廃棄物の処理施設は、事業者処理責任の原則に立ち、排出事業者及び処理業者による整備が原則であるが、最終処分場の逼迫や民間による新規整備の困難性から、地方公共団体が生活環境の保全の見地から必要と認める処理施設及び最終処分場については、逐次整備を図ることとする。本計画期間中に整備すべき産業廃棄物処理施設としては、中間処理量として八六三一t/日、最終処分量として三二〇五万m3であり、これに要する投資額はそれぞれ八二六億円、二一九七億円となることから、合計額は三〇二三億円となる。
また、平成三年度の廃棄物処理法の改正において新たに制度化された廃棄物処理センターについては、新規の立地が困難となっている産業廃棄物の処理施設としての期待も大きいことから、本計画期間中に二六箇所の整備を行うことを予定している。
4 広域廃棄物処理施設
広域臨海環境整備事業は、港湾区域内で廃棄物の最終処分場の確保と併せて港湾区域の整備を行う事業である。特に近畿圏、首都圏などの大都市圏では、内陸に個々の自治体が最終処分場を確保することが困難になってきており、海面に広域的な処分場の整備が求められている。このため、本計画期間中に一七五六万九〇〇〇m3の整備を行うこととしており、それに対する投資額は、二五七億円である。
5 総投資額
前記を踏まえ、平成八年度から平成一二年度までの五箇年間の総投資額を、調整費二六〇〇億円を含め五兆五〇〇億円とした。
なお、本計画の実施に当たっては、各種事業の整合性の確保を図り、建設コストの低減等により効果的、効率的な整備に努めることとする。また、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとともに、必要に応じ、その見直しにつき検討するものとする。
表―1 ごみ処理に関する基本事項
項目
|
7年度
|
12年度
|
根拠
|
---|---|---|---|
(1)全国総人口(千人)
|
125,463
|
127,385
|
厚生省人口問題研究所中位推計
|
(2)自家処理量(t/日)
|
2,105
|
562
|
|
(3)一人一日当たりごみ排出量(g/人日)
|
1,121
|
1,149
|
年0.5%増
|
(4)総排出量(t/日)
|
140,644
|
146,365
|
|
(5)計画処理量(t/日)
|
138,539
|
145,803
|
|
(6)可燃ごみ総量(t/日)
|
112,865
|
118,869
|
|
(7)不燃ごみ総量(t/日)
|
25,674
|
26,934
|
|
(8)可燃ごみ資源化処理量(t/日)
|
226
|
1,189
|
|
(9)うち処理後焼却量(t/日)
|
57
|
297
|
|
(10)焼却量(t/日)
|
109,419
|
115,268
|
|
(11)粗大ごみ処理量(t/日)
|
3,236
|
4,064
|
|
(12)うち処理後焼却量(t/日)
|
1,618
|
2,032
|
|
(13)うち処理後不燃処理量(t/日)
|
1,013
|
1,238
|
|
(14)不燃ごみ処理量(t/日)
|
9,950
|
14,082
|
|
(15)集団回収量(t/日)
|
7,315
|
11,780
|
|
(A)不燃ごみ資源化量(t/日)
|
5,858
|
8,304
|
(7)×資源化率
|
(B)資源化総量
|
6,854
|
11,599
|
|
ごみ減量処理率(%)
|
87
|
91
|
|
リサイクル率(%)
|
10
|
15
|
表―2 ごみ処理施設整備事業の事業量及び事業費
区分
|
事業量
|
事業費
|
---|---|---|
ごみ焼却処理施設
|
42,566(t/日)
|
21,272億円
|
リサイクル関連施設
|
5,534億円
|
|
イ リサイクルプラザ
|
170箇所
|
1,725億円
|
ロ ストックヤード
|
400箇所
|
139億円
|
ハ 粗大ごみ処理施設
|
225箇所
|
2,639億円
|
ニ リサイクル施設
|
480箇所
|
558億円
|
ホ ごみ堆肥化・燃料化施設
|
2,110(t/日)
|
473億円
|
廃棄物運搬中継・中間処理施設
|
1,344億円
|
|
(収集運搬車等整備)
|
(1,175億円)
|
|
ごみ処理施設改良事業
|
260箇所
|
662億円
|
最終処分地施設
|
5,358億円
|
|
イ 埋立処分地施設
|
81,263千m3
|
4,949億円
|
ロ 埋立処分地用地
|
8,222千m2
|
409億円
|
廃棄物処理センター
|
26箇所
|
52億円
|
小計
|
34,222億円
|
|
産業廃棄物処理施設
|
3,023億円
|
|
(廃棄物処理センター)
|
(26箇所)
|
(52億円)
|
広域廃棄物処理施設
|
257億円
|
|
広域臨海環境整備センター
|
17,569千m3
|
注)廃棄物処理センターについては、一般産業廃棄物処理施設として計上した。
表―3 生活排水処理に関する基本事項
項目
|
7年度
|
12年度
|
根拠
|
---|---|---|---|
(1)公共下水道人口(千人)
|
60,410
|
75,667
|
|
(2)浄化槽人口(千人)
|
37,618
|
43,486
|
|
(3)コミュニティ・プラント人口(千人)
|
460
|
780
|
|
(4)水洗化人口(千人)
|
98,488
|
119,932
|
(1)+(2)+(3)
|
(5)非水洗化人口(千人)
|
26,975
|
7,453
|
|
(6)汲み取りし尿等総量(kl/日)
|
85,339
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62,057
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(7)自家処理量(kl/日)
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1,963
|
186
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(8)計画収集量(kl/日)
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83,376
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61,871
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(6)-(7)
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(9)下水道投入量(kl/日)
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4,182
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3,661
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(10)施設処理量(kl/日)
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73,306
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57,837
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(11)衛生処理量(kl/日)
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77,488
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61,498
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(9)+(10)
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し尿の衛生処理率
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93%
|
99%
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表―4 生活排水対策施設等整備事業の事業量及び事業費
区分
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事業量
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事業費
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し尿処理施設整備
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10,541kl/日
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3,577億円
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コミュニティ・プラント
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32万人
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1,299億円
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合併処理浄化槽
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694万人
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5,387億円
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し尿処理施設改良事業
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135億円
|
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計
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10,398億円
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