法令・告示・通達

廃棄物処理事業における爆発事故防止対策の徹底について

公布日:平成9年12月16日
衛産67号

(厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長から各都道府県・各政令市産業廃棄物主管部(局)長あて)

 産業廃棄物の適正処理の推進については、かねてより御高配を願っているところである。
 さて、本年五月以降、返品されたスプレー缶等の廃エアゾール製品の処理に伴い放出された可燃性ガスが原因と思われる爆発及び火災事故が相次いで発生したところである。原因究明は消防当局等が中心となり進められているところであるが、この度、(社)日本エアゾール協会等関係十団体からなる「エアゾール製品処理対策協議会」が、今後の類似事故の発生を防止するための留意事項について、別添のとおり「事業者によるエアゾール製品の安全廃棄処理指針」として取りまとめたので、参考にされたく送付する。各都道府県及び政令市においては、その内容について排出事業者及び処理業者に対し周知するとともに、爆発事故防止対策を含め廃エアゾール製品の適正処理確保を徹底されるようお願いする。
 なお、返品されたスプレー缶等の廃エアゾール製品を破砕し、充てんされているガスを放出させる作業は産業廃棄物の中間処理に該当することに留意されたい。

別表

  事業者によるエアゾール製品の安全廃棄処理指針

(平成九・一一・二〇)
(エアゾール製品処理対策協議会)

はじめに

 本指針は、消費者の手に届かずに処理せざるを得ない製品を廃棄処理する場合に適用します。
 これらの廃棄処理しなければならない製品は、内容物が入っているので、一般的には容器を壊し、内容物を取り除き、容器はスクラップ材、内容物は廃液として、それぞれリサイクル又は産業廃棄物として処理されます。
 この過程において注意しなければならないことは、家庭で使用される場合とは異なり、内容物の入っているものが一度にしかも大量に処理されることです。この場合、安全なエアゾール製品も、不適切な取扱いによってはきわめて危険なものに変わります。放出されるLPガス等の可燃性ガスと内容物による引火、火災、爆発の危険の可能性が予測されます。
 産業廃棄処理に伴う多くの危害を回避するためには、エアゾール製品の特性をよく理解し、適切に設計され設備された施設で処理を行わなければなりません。
 廃棄物の処理に関しては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、事業者の責務(第三条第一項)及び事業者の処理(第一二条)が規定されており、また、産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合の基準(第一二条第三項)及び違反した場合の罰則(第二六条)が規定されています。
 したがって、これらの諸規定を十分に認識するとともに、エアゾール製品を大量に廃棄処理する場合に安全を確保するために事業者において考慮すべき事項を掲げて、当該処理に係る適切な処理及び事故の防止を図るための指針とします。

Ⅰ 事業者自ら廃棄処理を行う場合の留意事項

  1.  (1) エアゾール製品の廃棄処理は、着火源となる火気や静電気の発生を防止するために、以下の条件を備えたエアゾール製品の廃棄のための処理施設で行わなければならない。
    1.   ア 破砕機等の電気を使用した設備が防爆構造となっていること。
    2.   イ 処理に使用する機械器具については、静電気が帯電して火花が発生しないように、接地その他静電気を確実に除去するための措置が講じられていること。
  2.  (2) 処理するエアゾール製品から放出された可燃性ガスが爆発の危険がある濃度に達しないように以下の措置を講ずること。
    1.   ア 換気の良い場所を選ぶとともに、排出された可燃性ガスが滞留しないような換気設備を備えること。
    2.   イ ガス濃度検知器を備え、定期的に可燃性ガスの濃度を測定すること。
    3.   ウ 一度に多量にガスが排出しないように、あらかじめ時間当たりの処理量を定め、これを遵守すること。
  3.  (3) 処理を行う場所では、火花若しくはアークを発生し、又は高温になって点火源となるおそれのある機械又は火気を使用してはならないこと。
  4.  (4) 処理を行う場所は、爆発等の災害が発生した場合を配慮して、民家その他の施設に対して安全な距離を保つこと。
  5.  (5) 内容物についても、引火性が高く可燃性を有するものが多いので、危険物に準じて取扱うこと。
  6.  (6) 処理責任者を定めて、常に監督を怠らないようにすること。
  7.  (7) 処理を行う場合、消防法、労働安全衛生法など他の関連法規の趣旨をよく理解し、安全作業に努めること。

Ⅱ 廃棄を委託する場合の留意事項

  エアゾール製品の廃棄処理を産業廃棄物処理業者に委託する場合は、廃棄処理の最終責任が委託者にあることを自覚し、産業廃棄物処理業者において処理作業が安全に行われることを確保するために、次の手続きを行うこと。

  1.  (1) 処理業者に、左記に記載してある事項及び委託するエアゾール製品の性状についての必要な情報を提供し安全な取り扱いについて十分な情報を提供すること。
      【廃棄処理時の考慮すべき事項】
    1.    ① エアゾール製品は可燃性のガスが使用されていることが予想されること。
    2.    ② 可燃性液化ガスは、気化して多量の可燃性蒸気を発生すること。
    3.    ③ 液化ガスの蒸気は、通常空気より重く、容易に大気中に拡散せず、特に窪地等に滞留する可能性が高いこと。
    4.    ④ 放出された内容液も、可燃性のものが多く、また、少量の液化ガスが溶解していること。
  2.  (2) 事業者は実際に処理業者の現場を確認し、前記「Ⅰ 事業者自ら廃棄処理を行う場合の留意事項」に掲げる措置が採られており、エアゾール製品を安全に処理できることを自ら確認すること。
  3.  (3) 処理終了後は、委託した製品が確実に処理されたこと、処理後の廃液等が法に準拠して処分されたことを確認するとともに、処理完了報告書を受領しておくこと。

以上

 エアゾール製品処理対策協議会

 〒一〇〇 東京都千代田区有楽町一―七―一
     有楽町電気ビル南館一三五九区
     (社)日本エアゾール協会内
    TEL:〇三―三二〇一―四〇四七
    FAX:〇三―三二一五―四六三五
   なお「エアゾール製品処理対策協議会」は、次の一〇団体で構成されています。

  •   ・生活害虫防除剤協議会
  •   ・日本製薬団体連合会
  •   ・社団法人 日本エアゾール協会
  •   ・社団法人 日本塗料工業会
  •   ・日本エアゾール容器協議会
  •   ・日本エアゾル・ヘアーラッカー工業組合
  •   ・日本オートケミカル工業会
  •   ・日本化粧品工業連合会
  •   ・日本殺虫剤工業会
  •   ・芳香消臭脱臭剤協議会