法令・告示・通達

廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシン類の周辺環境への影響に関する調査の実施候補地の選定について

公布日:平成11年07月29日
衛環66号

(各都道府県・政令市廃棄物処理行政担当部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)

 廃棄物焼却施設におけるダイオキシン対策については、かねてより御尽力を願っているところであるが、今後のダイオキシン対策の検討に資するため、廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシン類が周辺環境に与える影響について、調査を実施することとした。
 調査の概要は別添一のとおりであるが、調査の実施に当たっては、関係者の理解と協力が得られる調査地点を選定する必要があることから、貴管内において調査に協力いただける焼却施設を検討の上、別紙調査票により平成一一年八月二七日までに回答願いたい。調査に協力いただける焼却施設がない場合にあっても、その旨、回答願いたい。
 また、調査地点の選定条件は別添二のとおりとしているが、必ずしもすべての選定条件を満たしていない場合であっても、調査に協力願える焼却施設があれば回答願いたい。

別表
 略

   廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシン類の周辺環境への影響に関する調査について(案)

一 調査目的

  我が国におけるダイオキシン類の主要な発生源と言われている廃棄物焼却施設については、ダイオキシン類の排出を削減するための規制基準が廃棄物処理法に基づいて定められ、必要な削減対策が講じられているところであるが、排出されたダイオキシン類が周辺環境に与える影響に関する知見は必ずしも十分ではない。
  このため、廃棄物焼却施設の排ガスに含まれて排出されるダイオキシン類が周辺の大気、土壌、農産物等に与える影響を把握することにより、今後の規制強化の必要性の検討等に資することを目的とする。

二 調査の概要

 (一) ダイオキシン類の測定

   廃棄物焼却施設を全国で数カ所選定し、その周辺における大気、土壌、農産物等のダイオキシン類濃度(Co―PCBを含む)を調査する

  1.   一) 測定の対象
    •    ・廃棄物焼却施設の排ガスの濃度(施設の稼働状況も併せて調査)
    •    ・大気中濃度(気象状況も併せて調査)
    •    ・土壌の濃度
    •    ・農産物の濃度
  2.   二) 調査地点
        調査対象とする焼却施設の周辺において、気象条件、栽培状況等を考慮に入れて、方向別、距離別に地点を選定する。
 (二) 周辺環境への影響に関する検討

   今回の調査による測定結果及び他地域における既存の大気、土壌、農産物等の測定データをもとに、調査対象となった焼却施設から排出されたダイオキシン類が周辺に与えている影響について、評価・検討を行う。

三 スケジュール

  •   七~八月 調査方法の検討及び調査地域の選定
  •   九~一一月 調査の実施
  •   一二~三月 調査結果のとりまとめ、公表

  調査のイメージ
図:調査のイメージ

   調査対象地域の選定条件

一 選定条件

  1.  ① 調査の実施に関し、市町村及び農業関係者の理解が得られること。なお、調査結果は、公表を原則とする。
      ※ 調査結果は公表を原則とするが、データの取扱いについて地方公共団体から特に要望がある場合には、要望内容について検討する。
  2.  ② 稼働中の廃棄物焼却施設の周辺に葉もの農作物(一般的な濃度レベルが把握されている種類とする。)を栽培する農地(家庭菜園を含む。)があること。
  3.  ③ 廃棄物焼却施設以外に、ダイオキシン類を排出するおそれのある施設等(電気炉、焼結炉等)が近くにないこと。
  4.  ④ 焼却施設からほぼ同じ方向の距離別(数一〇〇m程度)に同じ種類の農産物が採取可能であること。
  5.  ⑤ 農産物を採取する地点の土壌及びその近くの大気の調査を同時に実施することが可能であること。

二 その他の望ましい条件

  調査可能地域が多数ある場合には、左記の条件を参考として選定する。

  1.  ① 焼却施設からの方向が一方向だけではなく、複数方向の距離別に同じ種類の農産物が採取可能であること。
  2.  ② 同一の焼却施設の周辺において、複数の種類の農産物について、同様な調査が可能であること。
  3.  ③ 農産物の生育期の主風向から考えて焼却施設の風下側にも、調査対象とする農産物を栽培する農地があること。また、シミュレーションによって予想される最大着地濃度地点又はその近くの農地で採取が可能であること。