法令・告示・通達

入札談合の防止について

公布日:平成17年08月02日
環廃対050802003号、環廃産050802001号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課長 産業廃棄物課長から各都道府県・各政令市廃棄物行政担当部(局)長あて)

 廃棄物行政の推進につきましては、日頃よりご尽力いただきありがとうございます。
 さて、市町村等における一般廃棄物処理施設の整備、都道府県等及び廃棄物処理センターによる産業廃棄物処理施設の整備並びに都道府県等による支障除去等事業に係る談合等不正行為の防止については、かねてよりご留意頂いているところです。今般、国土交通省において、別添のとおり「入札談合の再発防止対策について」が取りまとめられたので、入札談合等の不正行為の防止の取組に当たって参考としていただきだく送付いたします。
 貴職におかれましては、今後とも廃棄物処理施設整備に係る入札談合等の不正行為の防止にご留意いただくとともに、貴管下の市区町村に対し、別添資料を周知の上、入札談合等の不正行為防止について改めて留意するよう指導方願います。

入札談合の再発防止対策について

国土交通省入札談合再発防止対策検討委員会
平成17年7月29日

Ⅰ 趣旨

 公共工事における談合等の不正行為を排除するため様々な取組みを行ってきたにもかかわらず、今般、国土交通省直轄の鋼橋上部工事の発注に関して大規模な談合事件が発生したことを踏まえ、鋼橋上部工事の発注に係る入札・契約の実態の調査把握とこれまでに講じてきた不正行為防止策の効果の検証を行った上で、以下の再発防止策をとりまとめた。
 従来からの取り組みに加えて、以下の対策を早急に実施することにより、入札談合の再発防止に全力で取り組む。

Ⅱ 具体的措置

1.競争性向上のための入札方式の改善等

(1) 一般競争方式の拡大

   客観性・透明性・競争性の高い一般競争方式(現在はWTOの基準額である予定価格7.3億円以上の工事が対象)を、速やかに予定価格3億円以上の工事まで、平成18年度中には予定価格2億円以上の工事まで拡大する。
   なお、新たに対象とする工事に係る一般競争方式は、工事成績、技術提案等の条件を付する。

    (参考)拡大の見込み(平成15年度地方整備局実績による試算)
  •        ・全体:金額べースで27%→57%(概ね2倍)
               件数べースで2.3%→15%(概ね8倍)
  •        ・一般土木:金額ベースで30%→59%(概ね2倍)
                 件数ベースで2.9%→20%(概ね7倍)
  •        ・鋼橋上部:金額べースで54%→89%(概ね2倍)
                 件数べ一スで16%→54%(概ね3倍)
(2) 総合評価方式の拡大と充実
  ①適用する工事の拡大

    総合評価方式により、価格のみによらず総合的な価値による競争を促進することは、談合等の不正防止も期待されることから、そのメリットがより発揮されるよう、評価項目の充実と透明性の向上を図った上で、適用する工事を平成18年度には5割超(金額ベース)まで拡大する。

  ②評価項目の充実

    設計と工事をあわせて発注し、構造物の本体に対する技術提案を可能とすること等により、技術提案の範囲の拡大、評価項目の増加、技術評価割合の拡大等を図る。

  ③透明性の向上

    高度な内容の技術提案の評価を行う場合等必要に応じ、外部の有識者を加えた総合評価審査委員会(仮称)による審査を実施する。

(3) 入札情報の公表方法の改善等
  ①指名業者名の事後公表の推進

    指名業者名については、入札制度の透明性を高めるため、指名通知後なるべく早期に公表することを原則としているが、事前に指名業者名が明らかになると入札参加業者間での談合を助長しやすいとの指摘もあることを踏まえ、全入札件数の概ね5割において入札参加者が事後公表となるよう、指名業者名の事後公表の試行を拡大し、問題がなければ、速やかに事後公表へ移行する。

  ②入札結果に係る情報の公表方法の改善

    入札結果に係る情報については既にインターネット上で公表されているが、これらについて、より検索や解析が容易になるよう措置する。

  ③不落随契の原則廃止等その厳正化

    不落随契は、改めて競争入札を実施することが困難な場合において、真にやむを得ない措置となるよう的確に対応しているところであるが、引き続きこの取り扱いを推進する。
    (参考)平成16年度の不落随契は70件(全体の0.6%)

2.入札契約の過程に対する監視の強化

(1) 談合の疑義案件を発見するための審査内容の改善等

   国土交通省直轄の鋼橋上部工事の発注に係る入札・契約の実態調査の検証結果を踏まえ、入札執行段階や入札後において、談合の疑義案件を発見し、公正取引委員会に通報するため審査内容の改善等を行う。

  ①入札執行段階での個別チェックの改善
  •     ・工事費内訳書の点検の詳細化
           工事費内訳書の内容について、積算内訳の状況が一定の基準に該当する場合には、積算に係る考え方等についてヒアリングを実施する。
  •     ・再度入札の際の入札金額の順位変動の監視
           入札参加者の相当数について、1回目の入札の入札金額の順位と2回目以降の再度入札の入札金額の順位に変動がない場合には、ヒアリングを実施する。
  ②入札結果の事後的・統計的分析の実施(一定期間分をまとめて実施)
  •     ・工事種別毎の1位不動の状況の監視
           1回目の入札の最低入札金額者が、そのまま2回目以降の再度入札における最低入札金額者となる状況が続いていないかを監視する。
  •     ・低入札の状況の監視
           低入札価格調査対象工事等の入札参加者の入札状況について、特定の者が参入した際にその者を落札させないような動きがなかったかどうかを監視する。
(2) 本省における調査・監視の強化
  ①談合の疑義案件についての審議の実施

    外部からの談合情報、工事費内訳書の点検等による談合の疑義案件(平成16年度は160件)について、現在の地方整備局等での調査等に加えて、本省においても審議し、その間入札を保留する。

  ②入札結果の事後的・統計的分析の実施

    入札結果の事後的・統計的分析を行う。(地方整備局等単位では十分な事後的・統計的な分析が困難と考えられる大規模工事等の分野(一般土木(A、Bランク)、鋼橋上部、PC等)の入札結果について分析)

  ③「公正入札審議委員会(仮称)」の設置等

    上記①及び②の調査、分析等について専門的・客観的に審議するため、外部の有識者からなる「公正入札審議委員会(仮称)」を本省に設置し、事務局等の専従体制を整えたうえで、公正取引委員会等との連携を強化する。

  ④誓約書提出に当たっての企業側の責任ある対応

    「公正入札審議委員会(仮称)」において審議された疑義案件について、誓約書を提出して入札参加する場合には、例えば、企業内に設けられるコンプライアンス委員会に諮るなど、企業側に責任ある意思決定が行われるよう求める。

(3) 地方整備局等における調査・監視の強化
  ①入札結果の事後的・統計的分析の実施

    入札執行段階での個別チェックの改善に加えて、入札結果の事後的・統計的分析を行う。(一地方整備局等内での分析が可能と考えられる工事種別(一般土木(B~Dランク)、法〈のり〉面処理工事、維持修繕工事等)の入札結果について分析)

  ②入札監視委員会によるチェックの拡充
  •    ・委員会に付議する案件に当面、必ず鋼橋上部工事の案件を含める。
  •    ・各地方整備局等において実施する上記①の入札結果の事後的・統計的分析について、入札監視委員会において審議する。

3.ペナルティの強化

(1) 大規模・組織的な談合等に対する指名停止措置の強化(最長24ヶ月のルール化)

    今般の橋梁談合事件のように、大規模・組織的な談合であって刑事告発等がなれさたものについては、厳格な指名停止措置を講じることをルール上明確化することとし、特に、司法手続等において主犯格であることが明らかになった場合や、誓約書の提出があったにもかかわらず違反行為が明らかになった場合、10年以内の入札談合の再犯である場合等、違反企業ごとの情状に照らし、悪質性が際立っている場合には、最長24ヵ月間の指名停止措置(一般競争入札においては競争参加資格が認められない。)を講じる等ルール上所要の見直しを行う。

(2) 違約金特約条項の強化等

    上記(1) と同様に悪質性が際だっている企業に対しては、現行の10%の違約金特約条項に上乗せして5%の違約金(合計15%)を徴収する。
    また、今回の鋼橋上部工事を含め、特約条項導入(平成15年6月)以前の工事で司法当局等により談合の認定が行われたものについて、公訴時効等(3年)の範囲内で、特約条項の適用がなくても損害賠償請求を行う。

(3) 競争参加資格を定める際の総合点数へのペナルティの反映

    建設業法の監督処分と国土交通省直轄工事での指名停止措置について、その状況に応じて、競争参加資格を定める際の総合点数に反映させる。

(4) 建設業法上の監督処分の強化

    3年以内の再犯である企業については営業停止処分が加重されているが、その対象となる期間を3年以内から10年以内に延長する等、建設業法上の監督処分を強化する。

4.受注企業におけるコンプライアンスの徹底

   起訴された26社については建設業法第41条第1項に基づき、再発防止のための法令遵守の徹底等社内体制の整備を求めたところであり、当分の間、毎年、その実施状況の報告を求める。その際、同業他社の担当者相互の接触に関する規範を盛り込むことを求める。また、今回の事件に関し法令違反が明らかとなった他の企業についても同様の求めを行う。

5.再就職・早期退職慣行の見直し

   国土交通省発注の鋼橋工事に係る談合事案について、当省職員や元職員が不正行為に関与したとの情報はないが、入札・発注行政など公共事業に係る公務の公正性について、より一層の信頼を確保するため、営利企業への再就職について、人事院の定める基準に基づいた審査・承認を引き続き厳正かつ的確に実施するとともに、以下の措置を講じる。

(1) 重大な法令違反に関与した企業への再就職の自粛

    今回の鋼橋工事に係る談合事案に関与した企業については、当該企業においてコンプライアンスが確立したと認められるまでの間、退職後の年数を問わず、当事者である本人及び関係会社の理解を得て、国土交通省退職者の就職について自粛を要請する。

(2) 直轄工事受注企業への幹部職員の再就職の自粛

    道路公団発注の鋼橋工事に係る談合事案に鑑み、このような談合事案と再就職者の関連性について無用の疑念を抱かれないようにするため、当省において現役時代に大きな影響力を有する枢要ポストに在職した職員(指定職経験者)については、退職後5年が経過するまでの間は、当事者である本人及び関係会社の理解を得て、国土交通省発注の公共工事の受注実績を有する企業への再就職について自粛を要請する。

(3) 早期退職慣行の是正への取組
  ①本省

    平成15年度から19年度の5年間で幹部職員の勧奨退職年齢を段階的に引き上げ、平成20年度には、勧奨退職年齢を3歳以上引き上げることを目標とするという政府方針の実現に取り組む。
    (目標となる平成20年度における平均勧奨退職年齢=55.4歳)

  ②地方整備局等

    公務の世界において出来るだけ長く働ける環境を整備するため、再任用制度についてその的確な運用を行うとともに、定員の純減目標の策定、再任用の大幅増加等の状況を踏まえつつ、職員の新規採用を出来るだけ抑制することで、可能な限り地方整備局の勧奨退職年齢の引き上げ等を図ることとし、概ね5年程度で段階的に平均勧奨退職年齢を58歳程度にまで引き上げることを目指す。
    (地方整備局における平均勧奨退職年齢=約56歳)

6.発注担当職員による的確な職務遂行

   発注担当職員による的確な職務遂行のため、各地方整備局等に局長を本部長とする発注者綱紀保持委員会(仮称)を設置し、必要に応じて外部の有識者の意見も聴取しつつ、研修の実施、職員向けコンプライアンス・マニュアルの作成、問題事案の調査等を行う。

Ⅲ フォローアップの実施と残された課題の検討

  •  ・今回とりまとめた入札談合再発防止対策の実施状況については、「公正入札審議委員会(仮称)」において、継続的にフォローアップを行い、制度の見直しや運用の改善に持続的に取り組む。
  •  ・今回とりまとめた対策に加えて、中期的な課題として、例えば、公正性・透明性の確保に留意した競争的交渉方式の導入等さらに競争性を高める入札契約制度を構築するための残された課題や、例えば、予定価格のあり方等の入札契約の根本問題については、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に基づく基本方針の策定や中央建設業審議会に設置されている「入札契約の適正化に関する検討委員会」での議論などを踏まえながら、今後より積極的に検討を進めていくこととする。

入札談合再発防止対策検討委員会

委員会構成員

  • 委員長 岩村 事務次官
  • 委員長代理 佐藤 技監
  • 三沢 国土交通審議官
  • 委員 峰久 官房長
  • 丸山 総合政策局長
  • 金澤 技術総括審議官
  • 門松 技術審議官
  • 中島 審議官
  • 清治 河川局長
  • 谷口 道路局長
  • 鬼頭 港湾局長
  • 渡辺 関東地方整備局長
  • ※必要に応じて関係者の出席を求める

アドバイザリーグループ委員

  • 梅田 晴亮 弁護士(元札幌高裁長官)
  • 金本 良嗣 東京大学大学院経済学研究科教授
  • 地頭所 五男 城西国際大学経営情報学部教授
    (元公正取引委員会事務局長)
  • 長瀧 重義 愛知工業大学工学部教授
  • 宮本 健蔵 法政大学法学部教授

(五十音順、敬称略)