法令・告示・通達

土壌中のダイオキシン類及びコプラナーPCBに係る暫定的なガイドラインについて

公布日:平成11年07月14日
衛環61号

(各都道府県(政令市)廃棄物行政主管部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)

 廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類対策の徹底については、かねてから貴管下の廃棄物焼却施設設置者に対する指導方お願いしているところであるが、今般、環境庁において、別添のとおり、居住地等一般の人の日常生活に関わりのある場所について、地域住民の土壌からの直接摂取によるダイオキシン類の健康影響を低減するため、対策をとるべき土壌中のダイオキシン類濃度を、コプラナーPCBを含めて毒性等量(ダイオキシン類の各異性体の毒性を最も毒性の強いダイオキシンの毒性に換算し合計した量)で土壌一グラムにつき一、〇〇〇ピコグラム(一ピコグラム=一兆分の一グラム)とし、ダイオキシン類土壌汚染対策の考え方を示した暫定的なガイドラインが定められ、都道府県知事・政令指定都市長あて通知されたので、参考のため送付する。
 廃棄物焼却施設に起因する土壌汚染については、まずその防止を図ることが重要であり、そのために、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)に基づく廃棄物焼却施設の構造及び維持管理基準の遵守の徹底を図るよう、貴管下廃棄物焼却施設設置者に対する指導方お願いする。
 なお、万が一、廃棄物焼却施設周辺の居住地等において、暫定的なガイドライン値を超過する汚染が検出された場合には、環境部局と十分に連携を図り、適切な対応方お願いする。

別表
   土壌中のダイオキシン類及びコプラナーPCBに係る暫定的なガイドラインについて
(平成一一年七月一四日環水土第一三四号)
(各都道府県知事・各政令指定都市市長あて環境庁水質保全局長通知)

 近年、土壌中から高濃度のダイオキシン類が検出される事例が判明し、また、ダイオキシン類に対する社会的な関心が高まっていることから、環境庁では平成一〇年五月、「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」を設置し、土壌中のダイオキシン類に由来する環境影響の評価方法、対策手法等に関する検討を重ねてきた。このたび、同検討会により、別添のとおり「居住地等に係る暫定ガイドライン」の設定を提案する第一次報告が取りまとめられたところである。
 このため、今般、環境庁として、当面の措置として、居住地等における地域的な高濃度汚染につき地域住民の曝露リスクを低減することを目的として、対策をとるべき暫定的なガイドラインを左記のとおり定めたので、通知する。
 ついては、貴職におかれては、この暫定的なガイドラインを参考に、現地の実状を勘案した上で、事業者等に対する指導等を行い、また必要に応じ土壌汚染に係る調査の実施に努める等適切な対応をお願いする。
 なお、暫定的なガイドラインの考え方の詳細については、別添の「土壌中のダイオキシン類に関する検討会第一次報告」(平成一一年七月)を参照されたい。
 なお、この暫定的なガイドラインについては、今後の科学的知見の充実に応じて適宜再評価していくこととしている。

一 暫定的なガイドライン値
  居住地等一般の人の日常生活に関わりのある場所について、対策をとるべきダイオキシン類及びコプラナーPCBの土壌中濃度を、一、〇〇〇pg―TEQ/gとする。
  毒性等量を求める際には、毒性換算係数は一九九七年にWHOで再評価されたものを用いる。
  このガイドライン値が適用される場所は、住宅地のほか、周辺の通路、休憩・休養・運動の場所など、一般の人が自由に立ち入ることが想定される場所が含まれ得るが、実際に個々の場所に当てはめ、対策の必要性を検討する際には、現地の実状を踏まえ判断するものとする。
  なお、このガイドライン値は、廃棄物の埋立地等ダイオキシン類を含有するおそれのあるものの処分を目的として集積している場所に係る土壌については、一般環境から適切に隔離、区別されている場合にあっては、適用しない。
二 調査及び対策
  土壌中のダイオキシン類及びコプラナーPCBについて調査及び対策を行う場合には、別添の「土壌中のダイオキシン類に関する検討会第一次報告」の他、「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」(平成一一年一月二九日付け環水企第二九号、環水土第一一号環境庁水質保全局長通知)も参考にし、次の考え方により行う。
 (一) 調査
   調査は、あらかじめ土地利用状況等を資料等により調査した上で目的に応じて適切に試料採取地点を選定し、一般環境把握調査又は対象地概況調査の結果、暫定的なガイドライン値を超過する汚染を検出した場合には、汚染源を推定するとともに、深度方向の調査を実施し、対策をとるべき範囲を確定する。
 (二) 対策
   対策は、汚染の規模や濃度、周辺地域の状況や対策技術の適用可能性等を勘案の上、掘削除去した土壌又は原位置の土壌に対して、被覆(覆土、植栽、舗装等)又は浄化(分離・分解)から適切な手法を選択して実施する。
   被覆対策を行う場合には、容易にその機能が損なわれないように施工するとともに、対策の実施後も被覆の状況についての管理及び記録の承継を行う。
   なお、このような対策を早期に行わない場合には、応急対策(立入制限、シート等による被覆、周辺環境モニタリング等)を実施する。
   また、対策の実施、汚染土壌の掘削、運搬、保管等の作業に当たっては、周辺環境に影響を及ぼさないように十分に配慮する。