法令・告示・通達

特定家庭用機器再商品化法の施行について

公布日:平成11年07月01日
生衛発983号

(各都道府県知事・政令市市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

 特定家庭用機器再商品化法(平成一〇年法律第九七号。以下「法」という。)は、平成一〇年六月五日に公布され、特定家庭用機器再商品化法の施行期日を定める政令(平成一〇年政令第三七七号)によって、平成一〇年一二月一日からその一部が施行され、また、これに伴って特定家庭用機器再商品化法施行令(平成一〇年政令第三七八号。以下「令」という。)が、平成一〇年一一月二七日に公布され、平成一〇年一二月一日から施行された。
 また、特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する政令(平成一一年政令第一六七号)が平成一一年五月二八日に公布され、特定家庭用機器再商品化法の一部の施行期日を定める政令(平成一一年政令第一六六号)により、法全体の施行を平成一三年四月一日とした。
 廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図る上で、本法の活用はきわめて重要であり、本法の運用に当たっては左記事項に十分留意の上、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進等に努められるとともに、各都道府県においては、貴管下市町村に対する周知を図られたい。

一 法の趣旨

  本法は、家庭等から排出される機械器具に係る廃棄物の発生量が増大し、市町村等における処理が困難になっていること及び再生資源の利用が十分に行われていない現状にかんがみ、有用な資源を多く含み、その回収及び利用が廃棄物の減量に効果のある家電製品をはじめとする特定家庭用機器について、基本方針、小売業者の義務、製造業者等の義務及び指定法人に関する事項を定めること等により、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るための措置を講じようとするものであること。

二 関係者の責務等

  本法は、特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制、特定家庭用機器廃棄物の適正かつ円滑な収集及び運搬並びに再商品化等の実施のため、特定家庭用機器の製造、輸入等を業として行う者(以下「製造業者等」という。)、特定家庭用機器の小売販売を業として行う者(以下「小売業者」という。)、特定家庭用機器廃棄物を排出する事業者及び消費者(以下「排出者」という。)、国並びに地方公共団体の責務が定められるとともに、収集及び運搬並びに再商品化等の実施に関しては排出者、小売業者及び製造業者等の適切な役割分担を基本としているものであること。
  排出者は、排出する特定家庭用機器廃棄物について確実に再商品化等に必要な行為が行われるよう適切な者に引き渡すことが求められること。その際、収集及び運搬並びに再商品化等に必要な行為に関し請求される料金を支払うものであること。
  また、本法における特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等を総合的かつ計画的に推進するため、主務大臣が基本方針を定めることとしていること。

三 本法第二条(定義)について

 (一) 再商品化等について

   法第二条第一項に示す特定家庭用機器廃棄物の再商品化は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「廃棄物処理法」という。)の再生に該当するものであること。また、法第二条第二項に示す特定家庭用機器廃棄物の熱回収は、廃棄物処理法の焼却処分に該当するものであること。

 (二) 特定家庭用機器及び特定家庭用機器廃棄物について

   特定家庭用機器は、家庭用の機械器具のうち、市町村等の廃棄物の処理設備及び技術では再商品化等が困難であり、再商品化等の必要性が高く、機械器具の設計、材料の選択等により再商品化等を容易にすることができ、また、小売業者による配達が相当数行われているものを政令で定めることとしていること。
   特定家庭用機器については、令第一条の規定により次の四種の家庭用の機械器具を本法の対象機器として定めていること。

  1.   ア ユニット形のエアコンディショナー(ウィンド形エアコンディショナー又は室内ユニットが壁掛け形若しくは床置き形であるセパレート形エアコンディショナーに限る。)
  2.   イ テレビジョン受信機(ブラウン管式のものに限る。)
  3.   ウ 電気冷蔵庫
  4.   エ 電気洗濯機

   特定家庭用機器に該当するかどうかの判断については、特定家庭用機器としての機能を有する機器であればこれに該当するものであり、専ら特定家庭用機器が具備する機能のみを有する機器に限定されないものであること。また、特定家庭用機器は市町村の粗大ごみの収集時に排出されること等を念頭に置いており、建築物と一体不可分のものとして設置され、建築物の解体等の際にのみ排出される状況にある機器については、特定家庭用機器に該当しないものであること。
   法第二条第五項に規定する特定家庭用機器廃棄物は、特定家庭用機器が廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物となったものであり、家庭から排出されるものは一般廃棄物に、事業所から排出されるものは産業廃棄物に該当するものであること。

 (三) 法第二条第六項の委託について

   本号の規定は、特定家庭用機器の製造等をする事業者について、これらの行為に係る様々な委託の形態のうち主務省令で定める委託に該当する場合には委託者を本法の製造業者等とするための規定であり、主務省令については追って定める予定であること。

四 小売業者の収集及び運搬

 (一) 小売業者の引取義務及び引渡義務

   小売業者の収集及び運搬に係る法第三章の規定は、平成一三年四月一日から施行される。小売業者は、法第九条に定めるところにより、自ら過去に小売販売をした特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたとき又は特定家庭用機器の小売販売に際し、小売販売をする特定家庭用機器と同種の特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたときについて、正当な理由がある場合を除き、当該特定家庭用機器廃棄物を引き取らなければならないこととなること。
   また、小売業者が法第九条に定める場合以外であっても特定家庭用機器廃棄物を引き取ることは差し支えないこと。その場合にも、小売業者は、法第一〇条に定めるところにより、再度使用する場合等を除き、当該特定家庭用機器廃棄物を引き取るべき製造業者等(製造業者等が存在しない、又は判明しない場合は指定法人)に当該製造業者等が設置する指定引取場所において引き渡さなければならないこと。

 (二) 廃棄物処理法の適用及び特例

   小売業者が行う特定家庭用機器廃棄物の引取り及び製造業者等への引渡し及びその間の運搬は、廃棄物処理法の廃棄物の収集又は運搬に該当し、一般廃棄物処理基準及び産業廃棄物処理基準の適用があること。
   小売業者は、一般廃棄物及び産業廃棄物の収集又は運搬の業の許可を受けないで特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬を行うことができるが、小売業者がこれらの業務を委託する場合には、廃棄物処理法の一般廃棄物又は産業廃棄物の収集又は運搬の業の許可を得た者に委託して行わなければならないこと。

 (三) 小売業者の収集及び運搬に関する料金等

   小売業者は特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたときは、当該特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬に関し、料金を請求することができること。また、当該特定家庭用機器廃棄物を引き取るべき製造業者等又は指定法人の再商品化等に必要な行為に関し請求する料金を併せて請求することができる場合があるが、これに関する主務省令については追って定める予定であること。
   収集及び運搬に関する料金については、小売業者が設定し公表するものであるが、その公表方法等に関する主務省令については追って定める予定であること。

 (四) 特定家庭用機器廃棄物管理票について

   小売業者は法第四三条等の規定に基づき、特定家庭用機器廃棄物を引き取るときは、主務省令で定めるところにより特定家庭用機器廃棄物管理票(以下「管理票」という。)の写しを排出者に交付することとなること。小売業者は、当該特定家庭用機器廃棄物を製造業者等又は指定法人に引き渡した場合、その旨の記載を受けた管理票を主務省令で定める期間保存しなければならないこと。特定家庭用機器廃棄物が適切に製造業者等又は指定法人に引き渡されたかについて、排出者は小売業者から交付を受けた管理票の写しに基づき照会することができ、小売業者はこれに応じなければならないこと。
   管理票に関する主務省令については追って定める予定であること。

五 製造業者等の再商品化等の実施

 (一) 製造業者等の特定家庭用機器廃棄物の引取義務及び再商品化等の実施義務

   製造業者等の再商品化等の実施に係る法第四章の規定は、平成一三年四月一日から施行される。製造業者等は、法第一七条に定めるところにより、自らが製造等をした特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたときについて、正当な理由がある場合を除き、特定家庭用機器廃棄物を引き取る場所としてあらかじめ当該製造業者等が指定した場所(以下「指定引取場所」という。)において当該特定家庭用機器廃棄物を引き取らなければならないこと。
   指定引取場所の設置に当たっては、製造業者等は、地理的条件、交通事情、特定家庭用機器の販売状況等を勘案し、市町村、小売業者等による特定家庭用機器廃棄物の円滑な引渡しが確保されるよう適正に配置しなければならないこと。市町村長及び小売業者は、製造業者等が指定引取場所を適正に配置していないことにより、当該製造業者等への引渡しに著しい支障をきたす事態が生ずるおそれがあると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出ることができること。申出があった場合には、主務大臣は速やかに状況を調査の上、必要な指導、本法に基づく勧告等適切な対応を行うものであること。
   なお、市町村長の申出を受けて、製造業者等への特定家庭用機器廃棄物の引渡しに支障が生じている地域として主務大臣が公示した区域については、その区域の市町村又は住民からの求めに応じ指定法人が特定家庭用機器廃棄物を引き取ることとなること。
   製造業者等が設置する指定引取場所は廃棄物処理法の廃棄物の積替え又は保管を行う場所に該当すること。
   製造業者等は引き取った特定家庭用機器廃棄物について、法第一八条に定めるところにより、再商品化等に必要な行為を実施しなければならないこと。

 (二) 再商品化等の基準について

   製造業者等は引き取った特定家庭用機器廃棄物について、法第二二条の規定により政令で定める再商品化等を実施すべき量に関する基準に従い再商品化等を行わなければならないこと。令第四条に定める当該基準の内容は次のとおりであること。

  1.   ア ユニット形エアコンディショナーについては、当該年度において再商品化されたものの総重量が再商品化等をした特定家庭用機器廃棄物の総重量の一〇〇分の六〇以上であること。
  2.   イ テレビジョン受信機については、当該年度において再商品化されたものの総重量が再商品化等をした特定家庭用機器廃棄物の総重量の一〇〇分の五五以上であること。
  3.   ウ 電気冷蔵庫については、当該年度において再商品化されたものの総重量が再商品化等をした特定家庭用機器廃棄物の総重量の一〇〇分の五〇以上であること。
  4.   エ 電気洗濯機については、当該年度において再商品化されたものの総重量が再商品化等をした特定家庭用機器廃棄物の総重量の一〇〇分の五〇以上であること。

   なお、現段階においては、再商品化等のうち熱回収について実施すべき量に関し定めておらず、再商品化等をした特定家庭用機器廃棄物の総重量と再商品化をした特定家庭用機器廃棄物の総重量とは同じものであること。

 (三) 再商品化等と一体的に行うべき事項

   製造業者等は再商品化等の実施に際し、法第一八条第二項に規定する再商品化等と一体的に行うことが特に必要かつ適切であるものとして政令で定める事項をエアコンディショナー及び電気冷蔵庫に冷媒として使用されていたフロン類の回収と回収したフロン類の破壊、再度使用等であること。

 (四) 廃棄物処理法の適用及び特例

   製造業者等の特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の実施については、指定引取場所から再商品化等を実施する施設までの運搬は、廃棄物処理法の廃棄物の収集又は運搬に該当し、再商品化等を実施する施設における再商品化等の実施は、廃棄物処理法の廃棄物の再生又は処分に該当し、廃棄物処理基準が適用される。特定家庭用機器廃棄物の再生又は処分については、今般、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号。以下「廃棄物処理法施行令」という。)を改正し、厚生大臣が定める方法によることとする等の措置を講じたところであり、これに従い行われることとなること。なお、特定家庭用機器廃棄物に係る廃棄物処理基準の詳細その他の事項については、別途示される環水企第二六六号生衛発第九八四号環境庁水質保全局長・厚生省生活衛生局水道環境部長連名通知を参照されたいこと。
   特定家庭用機器廃棄物の再商品化等を実施する施設は、一般廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設として、廃棄物処理法の規定により都道府県知事の許可を要するものがあること。当該施設が整備されることとなる区域の市町村及び都道府県においては、本法の施行が円滑に行われるよう適正な施設整備について、必要な指導を行うとともに適正かつ円滑な手続を進められたいこと。
   製造業者等は法第二三条の認定を受けなければならないが、当該認定を受けた製造業者等及びこの者の委託を受けた者は、一般廃棄物及び産業廃棄物の収集又は運搬及び処分の業の許可を受けないで一般廃棄物又は産業廃棄物の運搬又は再生若しくは処分に該当する再商品化等に必要な行為を実施することができること。
   なお、指定法人及び指定法人の委託を受けた者についても、一般廃棄物及び産業廃棄物の収集又は運搬及び処分の業の許可を受けないで一般廃棄物又は産業廃棄物の運搬又は再生若しくは処分に該当する再商品化等に必要な行為を行うことができるが、指定法人が他人に委託する場合は、政令で定める基準に従わなければならないこと。本基準については、廃棄物処理法における市町村が収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合に従うべき基準のうち相当するものを定めたものであること。

 (五) 製造業者等の再商品化等に必要な行為に関する料金等

   製造業者等は特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたときは、当該特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に必要な行為に関し、料金を請求することができること。この場合、製造業者等はあらかじめ公表した料金以外の額を再商品化等に必要な行為に関する料金として請求してはならないこと。
   再商品化等に関する料金については、製造業者等が設定し公表するものであるが、その公表方法に関する主務省令については追って定める予定であること。

六 市町村による特定家庭用機器廃棄物の収集

  小売業者に引き取られることなく排出された特定家庭用機器廃棄物については、一般廃棄物として市町村がその処理責任を負うものであるが、市町村が特定家庭用機器廃棄物を収集した場合、法第五四条の規定により当該特定家庭用機器廃棄物を引き取るべき製造業者等(当該製造業者等が存在しない又は分からない場合は指定法人)に引き渡すことができるものであること。
  この場合、当該製造業者等又は指定法人に支払うべき料金について手数料として排出者から徴収し得るものであるが、具体的な対応方策について検討されたいこと。
  また、市町村においては、特定家庭用機器廃棄物についてなるべく小売業者に引き渡し、製造業者等の再商品化等の実施が行われるよう、住民に対する本法の趣旨の普及啓発及び指導、小売業者、製造業者等との連携に努められたいこと。

七 廃棄物処理法の特例

  四の(二)及び五の(四)に示した以外の廃棄物処理法の特例については、法第五〇条に規定されているとおりであること。
  小売業者の委託を受けて特定家庭用機器産業廃棄物の収集又は運搬を行う産業廃棄物収集運搬業者は当該小売業者の委託を受けて特定家庭用機器一般廃棄物の収集又は運搬を行うことができ、小売業者の委託を受けて特定家庭用機器一般廃棄物の収集又は運搬を行う一般廃棄物収集運搬業者は当該小売業者の委託を受けて特定家庭用機器産業廃棄物の収集又は運搬を行うことができること。この場合、特定家庭用機器一般廃棄物については廃棄物処理法の一般廃棄物処理基準、特定家庭用機器産業廃棄物については廃棄物処理法の産業廃棄物処理基準にそれぞれ従い収集又は運搬を行わなければならないこと。
  一般廃棄物収集運搬業者及び一般廃棄物処分業者が特定家庭用機器一般廃棄物の収集、運搬又は処分を行う場合には、市町村が条例で定める手数料の額に相当する額を超える料金を請求してはならないとする廃棄物処理法第七条第八項の規定の適用を受けないこと。
  特定家庭用機器産業廃棄物を排出する事業者については、当該特定家庭用機器産業廃棄物を小売業者、法第二三条の認定を受けた製造業者又は指定法人に引き渡す場合は、当該特定家庭用機器産業廃棄物についての産業廃棄物管理票を交付する必要はなく、また、廃棄物処理法第一二条第三項の委託に関する規定は適用されないこと。

八 本法の施行期日について

  本法は、以下の日程に沿って施行されるものであること。

 (一) 特定家庭用機器、基本方針、指定法人等に関する規定

   平成一〇年一二月一日

 (二) 小売業者の収集及び運搬並びに製造業者等の再商品化等の実施等に関する規定

   平成一三年四月一日

九 その他

  本法を円滑に実施するためには、関係者はそれぞれの役割を積極的に果たすとともに、相互の連携を密にする必要がある。
  また、小売業者、製造業者等は特定家庭用機器廃棄物の引取りに際し料金を請求できることから、当該料金の請求について排出者の十分な理解を求めるとともに、市町村においては、本法の制度に協力し、本法の円滑な実施を確保するため、住民に対し制度の趣旨についての普及啓発に努めるとともに、小売業者、製造業者等と連携に努めることが求められるものであること。
  なお、本法の施行に当たり必要となる主務省令等については、追って定めるものであること。