法令・告示・通達
水害廃棄物処理に係る防災体制の整備について
環廃対発050607001号
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課長から各都道府県一般廃棄物行政主管部(局)長あて)
一般廃棄物行政については、かねてから御尽力いただき感謝申し上げる。
さて、災害廃棄物対策については、平成10年10月に「震災廃棄物対策指針」を送付し、震災廃棄物の処理に係る防災体制の整備をお願いしたところである。一方、昨年度は全国的に水害が多発し、甚大な被害を被り、関係者には多大な御尽力をいただいたところである。これらも踏まえ、より一層水害廃棄物の適正・円滑な処理が進められるよう、今般、別添のとおり水害廃棄物対策指針を取りまとめたので通知する。
貴職におかれては、貴管下市町村に対して、同指針について周知するとともに、指針の内容を踏まえ、水害廃棄物を含めて、災害廃棄物の処理に係る防災体制が整備されるよう努められたい。
事務連絡
平成17年6月7日
各都道府県一般廃棄物行政主管部(局) 御中
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
廃棄物対策課
水害及び震災に係る災害廃棄物処理計画の策定について
本日付け環廃対発第050607001号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知で送付した水害廃棄物対策指針においては、平成10年10月に送付した「震災廃棄物対策指針」同様、計画的な水害廃棄物の処理が可能となるよう、予め処理計画を策定することを求めている。
しかしながら、かねてより指摘しているとおり、通知後6年余りを経過した現状においても、震災廃棄物対策指針に基づく震災廃棄物処理計画の策定は、なお芳しくない状況にある。
これらの水害及び震災に係る災害廃棄物の処理計画については、まず、指針に沿って、可能な範囲で情報を収集し、整理してみることが重要であり、必ずしも指針に定める全ての事項について整理した上で、策定しなければならないものではない。
また、それぞれ単独の計画として策定しなければならないものではなく、災害対策基本法に基づく地域防災計画の一部として、水害時や震災時における災害廃棄物処理の対応について規定することでも、十分その役割を果たせるものである。
近年発生した数々の災害の経験を踏まえれば、災害廃棄物の処理を円滑に進めるためには、事前に災害時を想定した処理計画を考えておくことが極めて重要と考えられるところ、水害廃棄物対策指針及び震災廃棄物対策指針を踏まえ、各市町村の災害に対する備えが遺漏なきものとなるよう、周知方よろしくお願いしたい。
水害廃棄物対策指針
平成17年6月
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
廃棄物対策課
目次
- 第1章 水害廃棄物対策指針について
- 1)目的
- 2)水害廃棄物の特徴
- 第2章 廃棄物処理に係る防災体制の整備
- 2―1 一般廃棄物処理施設の点検と浸水対策
- 1)一般廃棄物処理施設の点検と浸水対策
- 2)し尿処理施設等の点検と浸水対策
- 3)廃棄物収集運搬車輌の事前避難
- 2―2 組織・体制の整備
- 1)市町村、都道府県、廃棄物関係団体、国の役割分担
- 2)市町村内の組織・体制の整備
- 3)周辺市町村、都道府県等との連携
- 2―3 水害廃棄物処理計画
- 1)水害廃棄物処理計画の策定について
- 2)被災地域及び水害廃棄物発生量の算定
- 3)排出ルールの計画
- 4)水害廃棄物の収集・運搬計画
- 5)水害廃棄物の仮置場の計画
- 6)水害廃棄物の処分計画
- 7)し尿処理関係の計画
- 2―1 一般廃棄物処理施設の点検と浸水対策
- 第3章 水害発生時の対応
- 3―1 情報の収集
- 3―2 水害廃棄物の処理
- 1)処理の実施
- 2)住民への広報
- 3)進行管理計画
- 第4章 水害復旧・復興対策
第1章 水害廃棄物対策指針について
1)目的
- (1) 平成16年度は、新潟県・福井県における集中豪雨や台風第16号、台風第23号等により例年になく多くの水害が発生した。
大規模な水害が発生した場合、一時に大量の廃棄物(以下「水害廃棄物」という。)が発生し、また道路の通行不能等によって、平常時と同じ収集・運搬・処分では対応が困難となる。このため、水防法(昭和24年法律第193号)により指定される浸水想定区域に該当する場合や高潮による被害が想定されるような場合、市町村においては、洪水ハザードマップなどを参考に、適切な水害廃棄物対策をとることが望まれる。
- 資料1【参考】過去に被害をもたらした主な水害
- (2) 水害廃棄物の処理を迅速かつ的確に行うためには、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)等に基づき、国、都道府県、市町村が、それぞれの役割を積極的に担うことが重要である。
すなわち、水害廃棄物の処理を行う市町村においては、事前に組織・体制を整備し、処理計画を策定し、水害発生時には迅速な対応を行うことが望まれる。また、都道府県においては、市町村間における広域的処理体制の整備に関する助言、水害発生時における市町村、国との連絡調整、広域的な支援の要請・支援活動の調整といった役割を果たすことが望まれる。さらに、国においては、広域的な支援体制の整備に関する助言、水害発生時における情報収集、必要に応じた支援要請活動を行う。 - (3) 環境省では、災害対策基本法に基づく環境省防災業務計画において、地域防災計画の作成の基準となるべき事項として、災害時における廃棄物処理について定めているところであり、都道府県及び市町村においては、このことを踏まえて地域防災計画を作成する必要がある。既に震災時の廃棄物処理については、平成10年10月に「震災廃棄物対策指針」で具体的な内容を示しているところであるが、今般、水害時の廃棄物処理についても、水害廃棄物の特徴等を踏まえてその具体的な内容を示すために「水害廃棄物対策指針」を作成したものである。
- 資料2【参考】環境省防災業務計画(抜粋)
- 【参考】水害廃棄物対策指針の位置づけ
2)水害廃棄物の特徴
以下に水害廃棄物の特徴を示す。
- (1) 粗大ごみ等:水害により一時に大量に発生した粗大ごみ及び生活ごみ
- ・水分を多く含むため、腐敗しやすく、悪臭・汚水を発生する。
- ・水分を含んで重量がある畳や家具等の粗大ごみが多量に発生するため、平常時の人員及び車輌等では収集・運搬が困難である。
- ・土砂が多量に混入しているため、処理に当たって留意が必要である。
- ・ガスボンベ等発火しやすい廃棄物が混入している、あるいは畳等の発酵により発熱・発火する可能性があるため、収集・保管には留意が必要である。
- ・便乗による廃棄物(廃タイヤや業務用プロパン等)が混入することがあり、混入防止の留意が必要である。
- (2) し尿等:水没したくみ取り槽や浄化槽を清掃した際に発生するくみ取りし尿及び浄化槽汚泥、並びに仮設便所からのくみ取りし尿
- ・公衆衛生の確保の観点から、水没したくみ取り便所の便槽や浄化槽については、被災後速やかにくみ取り、清掃、周辺の消毒が必要となる。
- (3) その他:流木等
- ・洪水により流されてきた流木やビニル等、平常時は市町村で処理していない廃棄物について、水害により一時的に大量発生するため、処理が必要となる場合がある。
第2章 廃棄物処理に係る防災体制の整備
2―1 一般廃棄物処理施設の点検と浸水対策
市町村は、一般廃棄物処理施設等の浸水対策を講じる。
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1)一般廃棄物処理施設の点検と浸水対策
- (1) 一般廃棄物処理施設が浸水した場合、処理機能が麻痺あるいは低下し、廃棄物の処理に大きな支障をきたすことが想定される。市町村は、洪水ハザードマップ等により一般廃棄物処理施設の被害の有無を想定し、浸水対策を事前に行い、処理機能を維持する方策を講じておくことが重要である。浸水対策は施設建設時に行うことが望ましいが、既存施設においても浸水対策を行っておくことが必要である。また、都道府県は、市町村が行う一般廃棄物処理施設の浸水対策に関し、必要な助言その他の支援を行う。
- 資料3【事例】水害による施設の被害事例
- (2) 施設の浸水対策としては、次のことが考えられる。
- ① 水の浸入を防ぐため地盤の計画的な嵩上げや、防水壁の設置等の浸水防止対策工事
- ② 浸水防止対策工事ができない場合の浸水応急対策として、事前に土嚢、排水ポンプを用意
- ③ 収集運搬車輌の駐車場位置の嵩上げなどの浸水対策
- ④ 施設が浸水しない場合でも、電気や水道等の供給が停止することがあるので、必要に応じ施設保全用の非常用ユーティリティ設備として、非常用発電機、冷却水予備タンク等の整備
- ⑤ 施設における水害時の人員計画、連絡体制、復旧対策も含めた水害対応マニュアルの整備
- ⑥ 薬品類・危険物が流出しないよう保管状況を点検
- (3) なお、「ごみ処理施設整備の計画・設計要領(社団法人全国都市清掃会議・財団法人廃棄物研究財団)」において、以下のとおり風水害対策が示されており、建設時の参考となる。
(抜粋)I編4.3.3 ごみ処理施設の耐震・防災構造
3)(3)②
風水害は地域性があるので降雨量、積雪量、風速等は過去のデータを十分把握して設計値を定めることが肝要である。建物や煙突の強度、雨水排水対策等は、土木建築的に特に考慮しておく必要がある。機器配置については、できるだけ屋内配置とし、特に浸水が懸念されるような地区にあっては、施設の機能を確保するための重要機器や受配電設備等は地下階への設置を避けるとともに、一階レベルをあらかじめ高く設計する等の配慮が必要である。
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2)し尿処理施設等の点検と浸水対策
- (1) し尿処理施設は水槽やポンプ類が地下に設置されている場合が多く、浸水が起こった場合は、施設は機能しなくなる。そのため予防措置を講じるとともに、水害復旧後は、できるだけ早期に施設の運転を開始し、処理を実施することが望ましい。したがって、市町村は、洪水ハザードマップ等によりし尿処理施設の被害の状況を想定し、浸水対策を事前に講じておくことが重要である。
- (2) 施設の浸水対策としては、次のことが考えられる。
- ① 水の浸入を防ぐ地盤の計画的な嵩上げや、防水壁の設置等の浸水防止対策工事
- ② 浸水防止対策工事ができない場合の浸水応急対策として、事前に土嚢、排水ポンプを用意
- ③ 収集運搬車輌の駐車場位置の嵩上げなどの浸水対策
- ④ 施設における水害時の人員計画、連絡体制、復旧対策も含めた水害対応マニュアルの整備
- ⑤ 薬品類・危険物が流出しないよう保管状況の点検
3)廃棄物収集運搬車輌の事前避難
- (1) 水害後は、直ちに廃棄物の収集を開始することが望ましい。したがって、市町村は、洪水ハザードマップ等により収集運搬車輌駐車場の被害の有無を想定し、気象情報等に注意しながら浸水の事前に収集運搬車輌の避難を行うことを考えておくべきである。
- (2) 収集運搬車輌の避難準備としては、次のことが考えられる。
- ① 収集運搬車輌駐車場には、水の浸入を防ぐ計画的な嵩上げや、防水壁の設置等の浸水防止対策工事
- ② 洪水ハザードマップ等を参考に浸水しない高台などに収集運搬車輌の避難場所をあらかじめ計画し、土地の所有者等との協力体制を整備
- ③ 水害時の人員計画、連絡体制、復旧対策も含めた水害対応マニュアルの整備
2―2 組織・体制の整備
組織・体制については、基本的に災害の種類によって大きく変わるものではないため、震災時に準じた形で組織・体制を整備することとする。以下、震災時と重複する部分もあるが、水害の特性に配慮しつつ、組織・体制の整備について解説する。
市町村は、市町村内の組織・体制を整備するとともに、周辺の市町村及び廃棄物関係団体等と調整し、水害時の相互協力体制を整備すること。
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1)市町村、都道府県、廃棄物関係団体、国の役割分担
- (1) 大規模な水害が発生した場合、特に市街地が連なっている大都市圏においては、一時的に膨大な水害廃棄物が発生し、市町村内での対応が困難となる場合がある。したがって、市町村、都道府県、廃棄物関係団体がそれぞれの役割をもとに、広域的な協力体制をあらかじめ整備することが必要である。
- (2) 各主体が、あらかじめ整備しておくべき協力体制などは次のようなものである。
- ・市町村:都道府県との連絡体制
周辺市町村との協力体制
関係団体との協力体制
ボランティアへの協力要請 - ・都道府県:市町村間の相互協力体制
周辺都道府県との協力体制
国との連絡体制 - ・国:全国的な支援体制(都道府県、関係団体等)
- 資料4【参考】各機関の連携例
- 資料5【事例】水害廃棄物処理の協力体制の例(平成12年東海豪雨における名古屋南5区の場合)
- ・市町村:都道府県との連絡体制
2)市町村内の組織・体制の整備
- (1) 市町村は、水害発生時に、迅速に組織体制を整えるために、あらかじめ水害等に応じた当該市町村内の具体的な対応(組織及び業務内容)を検討し、各関係者に周知徹底することが必要である。
- (2) 緊急時の処理体制として、被災市町村では被災後速やかに廃棄物担当部局が中心となって水害廃棄物処理に係る指揮所を設置し、災害対策本部の指揮のもと、この指揮所において現場やボランティア等との連絡調整・指揮をとることが考えられる。
緊急時の指揮所における組織・業務内容を整備しておくための方法としては、平常時の組織及び業務内容に緊急時の対応を付加させる方法が有効である。
3)周辺市町村、都道府県等との連携
- (1) 特に大規模な水害が発生した場合、市町村内での対応が困難になると想定されるため、当該市町村においては周辺市町村との協力体制をあらかじめ構築するとともに、必要に応じて都道府県を中心とした広域的な相互協力体制についても整備することが必要である。
- (2) 都道府県においては、必要に応じ、市町村における水害廃棄物処理体制への助言、広域的な処理体制の確保、被害情報収集体制の確保、市町村・都道府県・廃棄物関係団体・関係省庁との連絡調整を行う体制を準備しておく必要がある。
- (3) 市町村における、周辺市町村、都道府県との協力体制の構築は、以下の手順に従って行う。
- ① 周辺市町村、都道府県単位で応援体制の整備を検討する協議会を発足させる。
- ② 市町村内で処理できない廃棄物の委託処理に関する基本方針を検討する。
- ③ 連携図、関係機関のリストを作成する。
- ④ 協定書の締結を行う。
- (4) なお、収集運搬・処分についての市町村間の協定については、個々の事項について十分協議し、緊急時に確実に協力が得られるよう調整しておく必要があり、特に最終処分場については、協力市町村においてもひっ迫している状況が考えられるので、緊急時に協力が得られるよう、協定の締結に併せ、十分な調整も必要である。
- 資料6【参考】周辺市町村及び都道府県への協力支援の要請項目の例
- 資料7【事例】地方公共団体間における災害時の相互応援に関する協定例
- (5) 市町村は、水害時に必要な資機材や人員を確保するため、周辺市町村との協力体制の構築と併せて、廃棄物関係団体、廃棄物処理事業者やボランティア等とも協力支援体制を整備しておくことが有効である。
- 資料8【参考】関係団体への協力支援の要請項目と要請先の例
- 資料9【事例】愛知県の「ボランティアの受入体制の整備とネットワーク化の推進等に関する協定書(抄)」
2―3 水害廃棄物処理計画
市町村は、水害によって生じた廃棄物の一時保管場所である仮置場の配置計画、粗大ごみ等及びし尿等の広域的な処理計画を作成すること等により、水害時における応急体制を確保すること。
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1)水害廃棄物処理計画の策定について
- (1) 水害発生時は、収集経路の不通等、通常の処理が困難となる一方、短い期間に大量の廃棄物が発生し、また、腐敗・悪臭の防止・公衆衛生確保の観点から水害廃棄物の迅速な処理が要求される。
市町村は水害廃棄物の処理に際し迅速な対応を行うため、事前に中間処理及び再資源化計画を作成しておくことが重要である。 - (2) 水害廃棄物の処理計画を作成するための検討事項は次のとおりである。
- ① 被災地域の予測
- ② 水害廃棄物発生量の予測
- ③ 仮置場の確保と配置計画
- ④ 収集運搬、仮置場、中間処理及び最終処分等の処理手順
- ⑤ 市町村内で処理が困難な場合を想定した周辺市町村との協力体制の確保
- ⑥ 仮置場での破砕・分別を行う体制の確保
- ⑦ 収集処理過程における、粉じん・消臭等の環境対策
- ⑧ 収集運搬車輌確保とルート計画
また、水害廃棄物の処理が長期にわたる場合は、計画的に処理を進める観点から、関係機関による協議会を設置して全体の進行管理を行うことが有効な場合があるので、その設置についても併せて検討しておく。
2)被災地域及び水害廃棄物発生量の算定
被災地域及び水害廃棄物の発生量を予測することは、仮置場の設置、処理計画の作成等の検討をするために最も基礎的な資料となるものであり、市町村は、洪水ハザードマップ等を参考にしながら、事前に予測を行うことが重要である。
- 資料10【参考】一棟当たりの水害廃棄物量
3)排出ルールの計画
- (1) 水害廃棄物の迅速かつ適正な処理、リサイクルの推進は分別排出によるところが大きい。このことから、被災後速やかに住民に周知できるよう平常時から排出方法、排出場所等について計画しておくことが重要である。
- (2) 水害廃棄物として発生する粗大ごみ等は、主として畳、ふすま、家具、家電製品、生ごみ等生活ごみで、汚水に浸かっていることから、衛生的な配慮が必要となる。特に畳については腐敗による悪臭が発生するため、迅速な処理が必要となる。さらには家庭用ガスボンべや、ガラス片が混入する場合もあり、処理に支障を生じることもある。したがって、これらを適正に処理するため、あらかじめ分別排出されることが重要となる。
なお、分別例としては、次のようなものが考えられる。
【参考】分別の例
- ・可燃物:衣類、ふとんなど
- ・不燃物:瓦、陶器、ガラス片など
- ・資源化物:自転車、スチール物置など
- ・粗大ごみ:下駄箱、タンス、ベッド、畳など
- ・危険物:家庭用ガスボンベ、消火器など
- ・特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号。以下「家電リサイクル法」という。)対象物:エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機
(フロン回収対象物:エアコン、冷蔵庫)
- (3) 分別が不十分な場合、例えば埋立処分する以外に方法がなくなり処分場の容量不足等から円滑な処理に支障をきたす場合などが想定されることから、一定程度の分別が必要である。
- (4) 排出場所についても、被災後速やかに住民に周知できるよう収集運搬計画をもとに(戸別収集なのかステーション収集とするのか)計画しておくことが必要である。
4)水害廃棄物の収集・運搬計画
- (1) 水害時には、浸水により通常時の収集・運搬ルートの確保が困難となる場合や、収集運搬車輌の不足等が生じる場合があるため、事前に洪水ハザードマップ等を参考に水害時の推定廃棄物発生量と道路状況を勘案の上、収集・運搬期間、収集方法、運行可能なルート、車輌の確保等を計画する必要がある。
- (2) 収集・運搬計画においては、環境保全、分別方法、危険物対策に留意し、次の事項について検討する必要がある。
- ① 水害発生時、被災区域外は通常のごみ収集が望まれるため、過去の浸水被災例や洪水ハザードマップを参考に収集ルートを確認しておく。水害廃棄物の収集においては効率的なルートを事前に(可能であれば)複数設定するとともに、関係者に周知する。
- ② 一時に大量に発生する水害廃棄物を処理するためには一時的な廃棄物の保管場所(仮置場)が必要となる場合がある。収集ルートを検討する際は、保管場所の候補地となりうる場所について、その後背地と搬入ルートも併せて検討する。
- ③ 広域処理を想定した搬出先へのルートも、洪水ハザードマップを参考に事前に確定しておく。
- ④ 家具類や水分を含んだ畳等の重量のある廃棄物が発生するため、積込み・積下しには重機が必要となり、収集運搬車輌には平常に使用しているパッカー車よりも平積みダンプ等を使用する場合が多い。これらの必要な資機材を事前に検討し、市町村で備蓄あるいは関係団体等との支援協定締結により、確保を図る。その際、市町村の域外に支援を要請する場合においては、市町村の域内へ通じる道路の被害を浸水マップにより事前に検討し、経路の確保を図る。
- ⑤ 地域防災計画の中に緊急車輌として位置づけるなど収集運搬車輌の円滑な運行に留意する。
- ⑥ 放置車輌等により道路が遮断されていることも想定されるので、事前に消防署・警察署等にもルートを示し、協力が得られる体制を確保する。
- ⑦ 廃棄物が道路上に排出される場合もあるため、緊急道路に指定されている道路上の廃棄物を除去する収集運搬車輌、人員を用意する。
5)水害廃棄物の仮置場の計画
- (1) 水害廃棄物の多くは水分を多く含んだ状態で排出され、そのままでは処理を行うことが困難である。また一時に大量に排出されるため、通常の体制では処理を行うことが困難である。そのため、水害廃棄物を処理するためには以下の目的の保管場所(仮置場)が必要となる場合がある。
- ① 道路上に出され、緊急的な除去が必要な廃棄物の一時的な仮置き
- ② 処理能力以上に搬入される廃棄物の仮置き
- ③ 中間処理の前後における作業効率向上のための仮置き
- ④ 他の施設又は最終処分場の処理能力や収集運搬車輌の輸送能力を超えるため、堆積する廃棄物の仮置き
なお、仮置場については、基本的に災害の種類によって大きく変わるものではないため、水害の特性(河川敷の使用が困難であること等)に配慮しつつ、震災時に準じた形で計画しても差し支えない。
- (2) 仮置場の配置計画においては、次の事項について検討が必要である。
- ① 仮置場は、場合によっては中継機能を勘案しながら、被災住民が排出する場所として指定する一次仮置場と、一時保管や分別などの諸作業を行う二次仮置場に分けて設置することも検討する。
- ② 廃棄物量を推計し、それを仮置きできる場所として、最終処分場や未利用空間地など利用可能なスペースについて常に把握し、仮置場の候補となる場所、必要な箇所数を検討する。
- ③ 重機による作業ができる広さを確保する必要があることに留意する。
- ④ 交通の利便性を考慮する。
- ⑤ 保管期間が長期に及ぶ場合も想定し、その土地の利用可能期間を確認する。
- ⑥ 空き地については、水害時の必要性を考慮しつつ都市づくりの中で確保を検討することも重要。また、空き地の情報を一元的に管理する等、災害時にいつでも利用できるようにしておくことも有効。
- (3) 仮置場の運営計画においては、次の事項について検討が必要であり、必要な機材・人員等を確保できる体制を事前に整備しておくこと。
- ① 作業監督員、作業人員
- ② 積下し・積上げ用重機
- ③ 場内運搬用車輌
- ④ 事故、不法投棄防止のために警備員を配置。少なくとも門扉、柵を設ける。
- ⑤ 円滑な収集運搬車輌運行のため、車輌誘導者を配置、入口と出口の区別を設ける。
- ⑥ 発火しやすい廃棄物が混入している場合があるため、警備員、消火器の配置、所轄消防署との連携にも留意
- ⑦ 二次公害防止対策
- ・粉じん対策用散水
- ・汚水処理
- ・ネット、柵により飛散を防止
- ・有機物について、消毒剤、脱臭剤等により腐敗・発酵による悪臭及び害虫発生を防止する必要があり、特に水分を含んだ畳は悪臭を発するので優先的に資源化・焼却処分できるよう留意
- ・騒音又は振動等による公害防止のため作業時間に留意
- ⑧ 緊急性等により、混合収集せざるを得ない場合も考慮する必要があり、次の点に留意し、処理計画を策定する必要がある。
- ・仮置場等の作業スペースとなる所において、分別を行う必要が生じる。分別の手順として、重機による粗選別、保管ヤード・積込みスペースでの仮置き、破砕、磁選、手選等が考えられるので必要な広さ、機材を確保する。
- ⑨ 水害廃棄物からは汚水が発生することが多いため、仮置場として利用する場所によっては、汚水による公共の水域及び地下水の汚染を防止するため、シートや仮舗装等で汚水が土壌に浸透するのを防ぎ、排水溝、排水処理設備等を設けることが必要となる。
- 資料11【参考】消毒剤・消臭剤等の薬剤の散布について
- 資料12【参考】仮置場の例
- 資料13【参考】仮置場の規模
- 資料14【事例】平成16年度の水害廃棄物に係る仮置場の設置例
- 資料15【事例】東海豪雨時の名古屋港南5区Ⅱ工区における一時保管状況例
- 資料16【事例】平成16年度の水害廃棄物に係る仮置場における一時保管状況例
6)水害廃棄物の処分計画
- (1) 水害時には、一般廃棄物処理施設の浸水による被害が想定されること、通常時に発生する一般廃棄物と異なる性状の廃棄物が大量に発生すること、土砂などを含むため大量の最終処分物が生じることなどから、水害廃棄物を処分するためには、特別な配慮が必要となり、事前に処分計画を策定することが重要である。
- (2) 処分計画策定に当たっては次の点に留意が必要である。
- ① 一般廃棄物処理施設について、あらかじめ周辺地域も含め中間処理施設(破砕・選別施設、焼却施設)の処理能力、最終処分場の残余容量を調べておく必要がある。なお、最終処分場については、計画段階あるいは運営段階において、水害廃棄物への対応を考慮し、必要な容量を確保しておくよう検討するとともに、当該市町村のみにおいて対応が困難と考えられる場合には、前述2―2組織・体制の整備3)(4)のとおり、周辺市町村との協力協定等により、協力体制を構築しておくこと。
- ② 廃棄物の性状に応じ、次の点に留意した処理が必要となる。
- ・可燃系廃棄物、特に生活系ごみは腐敗による悪臭・汚水が発生するため、早期の処理を行う。
- ・また、水分を含んだ畳についても悪臭を発するので優先的に資源化・焼却処分を行うようにする。
- ・不燃系廃棄物は、施設・現場にて破砕・圧縮等をし、資源化物を選別、残渣を埋立処分する。
- ・資源化物や危険物等は、必要に応じて専門業者への処分の委託も検討する。
- ③ 水害廃棄物は泥を混入する場合が多く、中間処理や最終処分を行う前に破砕・ふるい等脱泥処理が必要である。
- ④ 特に畳の堆肥化等、リサイクルを軸とした処理の実施により、最終処分量の極小化を図ることが望ましい。
- 資料17【事例】平成12年東海豪雨における愛知県の水害廃棄物分別・破砕フロー
- 資料18【事例】平成16年度の水害事例における水害廃棄物分別・破砕フロー例
- (3) 家電リサイクル法の対象物(テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機)については、災害時には、市町村が、他の廃棄物と分けて回収し、家電リサイクル法に基づき製造事業者等に引き渡してリサイクルすることが一般的である。なお、この場合、市町村が製造業者等に支払う引渡料金は一定の場合を除き国庫補助の対象となる。
- (4) 水害時においても、冷蔵庫等フロンを使用する機器については分別・保管を徹底し、フロンを回収することが重要である。したがって、通常時から住民に対し、次の事項を周知し協力を求めることが有効である。
- ① フロン使用機器及びその排出方法
- ② フロン使用機器からのフロン回収の必要性
- ③ フロン使用機器の分別収集の必要性。特にエアコンの取り外しに当たっては、フロンが放出しないよう、措置が必要であること。
- ④ エアコンの取り外しについての知識や措置方法、または、専門の知識を有する者(電気店等)に措置を委託する必要があること。
- 資料19【参考】災害時における廃家電製品の取扱いについて(平成13年10月2日付け環廃対第398号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知)
- (5) 被災に伴って、有害物質の漏洩等が起こった場合、水害廃棄物に有害物質が混入するとその処理に支障をきたすこととなる。このため、有害物質取扱事業所を所管する関係部局等とも連携し、厳正な保管及び水害時における適正な対応が講じられるようにしておく必要がある。
- (6) 水害時は、河川の上流から流されてきた流木等が堤防の法面に多量に付着し、堆積する場合がある。また、浸水の水位が低下した後、道路上に流木等が残り、交通に支障を生じる場合がある。これらは、腐敗による悪臭の発生等生活環境への影響が生じることも考えられるので、必要に応じてこれらの処理を実施することが望まれる。
7)し尿処理関係の計画
- (1) 水害時は、くみ取り便所の便槽や浄化槽は床下浸水程度の被害であっても水没したり、槽内に雨水・土砂等が流入したりすることがあるので、公衆衛生上の観点から被災後速やかにくみ取り、清掃、周辺の消毒が必要となる。そのため、事前にし尿関係の処理計画を策定しておくことが必要である。
- (2) し尿関係の処理計画を策定するに当たっては次の点に留意が必要である。
- ① 市町村は、洪水ハザードマップ等から浸水被害想定区域の非水洗化人口及び浄化槽人口を割り出すことによってし尿及び浄化槽汚泥の回収量を想定し、想定した回収量から、必要な回収期間、収集運搬車輌、作業員、薬剤などを計画し、確保する。
- ② 当該区域のくみ取りし尿や浄化槽汚泥の処理施設を確保するため、周辺市町村と協力し、広域的な処理体制を確保することを検討する。
- ③ 収集運搬車輌や消毒剤、脱臭剤等の緊急資機材について、一市町村単独で大規模水害に対処しうる備蓄を行うことは合理的でないため、周辺市町村と協力し、広域的な備蓄体制を確保することを検討する。
第3章 水害発生時の対応
- (1) 水害が発生した時は、被災市町村、被災都道府県は、直ちに地域別の床上及び床下浸水等の家屋被害状況、道路状況等の被害状況を的確に把握するとともに、水害廃棄物について計画的、総合的、迅速な対応を講じる必要がある。
- (2) 水害廃棄物処理の実施手順は次のようなものである。
- ① まず豪雨等の予報が出された段階で、早期に水害廃棄物への対応体制を準備するとともに、防災部局と協力して、住民へは家財等を2階ヘ上げる等、浸水しないよう予防策を講じることを呼びかけ、水害廃棄物の発生を最少化するよう努める。
- ② 指揮所を設置する。
- ③ 浸水地域を確認することにより、水害廃棄物の発生量の推計を行う。推計した廃棄物量に応じ、事前に計画した収集・運搬ルート、仮置場配置、資機材・人員の必要数を実態に即したものに修正する。
- ④ 修正した計画に基づき、担当部署より仮置場の確保、資機材・人員の協力支援の要請を行う。
- ⑤ 確保できた仮置場、資機材、人員に基づき、収集・運搬の実施、仮置場の運営、処分の実施を行う。また、住民ヘ広報活動を行う。
- ⑥ 被害状況は変化するため、水害時対応が完了するまで、定期的な情報収集を行い、必要に応じ、計画を修正していく。
3―1 情報の収集
市町村は、施設の被害状況、粗大ごみ等の発生量、建物被害状況等について情報収集を行うとともに、都道府県及び国との情報共有に努めるものとする。
|
- (1) 水害廃棄物について迅速な対応を講じるためには、水害廃棄物発生量を推計し、事前計画を実際の状況に応じたものへと修正する必要がある。そのため、被災市町村は、迅速に被害状況等の情報を収集する必要がある。
また、水害廃棄物への適切な対応を行うため、都道府県及び国へ情報提供を行い、情報共有に努めるものとする。 - (2) 被災市町村が収集すべき情報は次のようなものである。
- ① 災害の発生日時、場所、被害概要、気象状況
- ② 浸水状況(床上・床下浸水、倒壊戸数)
- ③ 一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設、し尿処理施設、最終処分場)、中継基地等で被害を受けた施設数、被害の内容
- ④ 道路、下水道等の被害状況
- ⑤ 利用できる施設、機材、車輌、人的資源等、および経費
- ⑥ 粗大ごみ等の発生量見込みと処理方法、受入先
- ⑦ くみ取り便所、浄化槽の被災状況
- ⑧ 避難所や仮設便所の設置状況とし尿の処理方法、受入先
- ⑨ 応援者の宿泊場所等の確保状況
- ⑩ 必要とする応援内容
- 資料20【参考】情報の流れ
3―2 水害廃棄物の処理
被災市町村は、地域防災計画、水害廃棄物の処理計画に基づき、水害廃棄物の発生量を的確に把握するとともに、水害により生じた廃棄物の処理を適正に行う。
被災市町村は、廃棄物の処理に必要な人員・収集運搬車輌が不足する場合等には、被災都道府県に対して支援を要請する。
被災市町村は、必要に応じ、長期的な視点から、処理の月別進行計画、処理完了の時期等を含めた進行管理計画を作成する。
|
水害廃棄物は、衛生上の観点から、浸水が解消された直後から収集を開始することが望ましく、特にくみ取り便所の便槽や浄化槽は、床下浸水程度の被害であっても水没したり、槽内に雨水・土砂等が流入したりすることがあるので、迅速な対応が必要である。そのため、収集した情報を元に、事前に計画した収集・運搬ルート、仮置場配置、資機材・人員の必要数を実態に即したものに修正し、適正に水害廃棄物の処理を行う必要がある。また、被災市町村は、当該市町村のみでは水害廃棄物の処理を行うことが困難な場合は、水害発生後できる限り早い段階で、必要に応じ協力支援要請を行い、処理体制の確保に努める必要がある。
1)処理の実施
- (1) 水害廃棄物処理に当たっては次の点に留意しながら、処理計画に基づき、適正処理を行う必要がある。
- ① 水害廃棄物の発生量見込み、平常時のシステムでの対応可能性及び仮置場の確保状況を勘案して、計画的な処理に努める。
- ② くみ取り便所の便槽や浄化槽は水没したり、槽内に雨水・土砂等が流入したりすることがあるので、迅速にバキュームカーによるし尿及び浄化槽汚泥の回収体制を立ち上げ回収を実施する。
- ③ 水害により道路上に流木等が散乱し、又は廃棄物が道路上に排出されるなど、道路交通に支障が生ずることが想定され、そのままでは水害廃棄物の収集運搬にも支障をきたすこととなるため、優先的に道路上の廃棄物等を除去する。
- ④ 可燃物・不燃物・資源化物・危険物等それぞれにつき、環境保全、適正処理に努める。
- ⑤ 水分を含み重量のある多量の廃棄物を扱うこと、また危険物混入のおそれがあることなどから、収集運搬、処分に当たっては、作業員の負傷・疲労等、労働災害への十分な注意をし、労働負荷や労働時間の検討をする。
- ⑥ 緊急時の現場においては廃棄物処理に係る行政及び事業担当者、専門業者、ボランティアも同時に作業するため、作業の安全確保、効率確保に留意する。
- (2) 特に仮置場の運営においては、次の点に留意が必要である。
- ① 保管場所には十分な作業人員、廃棄物の積上げ・積下しの重機、必要により場内運搬用のトラックを配置し、車輌誘導員を置き、搬入導線を決め、効率的な受入れを実施する。
- ② 分別収集区分に沿って、分別して保管する。
- ③ そのまま焼却処分できるもの、埋立処分できるものから処理し、場内のスペースを広げる。
- ④ 資源化されるものは、できるだけ早い時期に資源化施設に順次搬送する。
- ⑤ 現場において破砕し、分別を行う場合は、必要に応じ至急、移動式破砕機などを手配する。
- ⑥ 危険物等の混入に十分留意する。
- ⑦ 便乗による廃棄物(廃タイヤや業務用プロパンボンベ等)が混入する場合もあるため、留意する。
- (3) 被災市町村は、廃棄物の処理に必要な人員・収集運搬車輌が不足する場合等当該市町村のみでは水害廃棄物の処理を行うことが困難な場合は、被災都道府県に対して支援を要請する。被災都道府県は、都道府県内の市町村、関係団体及び国に対して、広域的な支援を要請し、支援活動の調整を行う。
国は、被災都道府県からの要請があった場合又は被災状況から判断して必要と認める場合には、全国的な支援の要請等を行う。また、被災都道府県が他の都道府県に対して支援を要請する場合には、必要な調整を行う。
2)住民への広報
- (1) 水害発生時、廃棄物の排出方法に対する住民の理解を得るため、また、分別排出を徹底するため、住民に対し利用可能なメディアを活用し、できる限り速やかに必要な情報を広報することが重要である。
- (2) 住民に対し、広報する内容は次のようなものである。
- ① 収集方法(戸別収集の有無、ごみの排出場所、分別方法、家庭用ガスボンベ等の危険物、フロン含有廃棄物の排出方法等)
- ② 住民がごみを排出する集積場(場所によって集積するものが異なる場合はその種類を記載)
- ③ 収集時期及び収集期間
- ④ 仮置場の場所及び設置状況
- ⑤ ボランティア支援依頼方法
- ⑥ 市町村の問い合わせ窓口
3)進行管理計画
- (1) 水害による被害が甚大である場合には、広域的な処理が必要であり、また、その処理に長期間を要することから、被災市町村は必要に応じ中長期的な水害廃棄物処理の進行管理計画を作成し、計画的に処理を行う必要がある。
- (2) 被災市町村は、次の事項に留意して進行管理計画を作成する。
- ① 水害廃棄物の発生量
- ② 水害廃棄物の処理方法
- ③ 水害廃棄物の処理に要する期間の見込み
- ④ 水害廃棄物の月別進行計画
この場合、水害廃棄物の発生量を勘案した仮置場の確保、水害廃棄物処理を委託する廃棄物処理業者の確保と適正な委託等に留意する必要がある。
- (3) 被災都道府県又は被災市町村は、必要に応じ関係者による協議会を設置し、水害廃棄物の処理の全体調整、進行管理を行う。
第4章 水害復旧・復興対策
被災市町村は、復旧に当たっては、事故防止等安全対策に十分注意し、施設の稼働を図る。この場合において、応急復旧後、水害に伴う廃棄物の発生量や処理に要する時間等を勘案し、施設ごとの工事期間、工事時期、必要事業費等を定め、計画的に施設の復旧作業を進める。
国は、一般廃棄物処理施設の復旧が適切かつ速やかに実施されるよう、また、再度の被災の防止を考慮に入れ、必要に応じ、国庫補助を活用しつつ復旧が図られるよう努める。
|
- (1) 被災市町村は適正に廃棄物処理施設の復旧を図る。また、施設の水害復旧事業を実施している間に排出される廃棄物を処理するための施設を確保する必要がある。
- (2) 被災した廃棄物処理施設について、その設置者(市町村等)が実施する復旧事業は国庫補助の対象となっており、「廃棄物処理施設災害復旧費の国庫補助について」(昭和50年2月18日付け厚生省環第110号厚生事務次官通知)に基づき実施される。
- (3) 被災市町村等が実施する災害廃棄物処理事業は国庫補助の対象となっており、「災害廃棄物処理事業の国庫補助について」(昭和50年2月18日厚生省環第109号厚生事務次官通知)に基づき実施されている。
- 資料21【参考】国庫補助の概要
- 資料22【事例】平成16年度の水害事例(台風23号、新潟豪雨)の被害概要
添付資料
目次
- 資料1【参考】過去に被害をもたらした主な水害
- 資料2【参考】環境省防災業務計画(抜粋)
- 資料3【事例】水害による施設の被害事例
- 資料4【参考】各機関の連携例
- 資料5【事例】水害廃棄物処理の協力体制の例(平成12年東海豪雨における名古屋南5区の場合)
- 資料6【参考】周辺市町村及び都道府県への協力支援の要請項目の例
- 資料7【事例】地方公共団体間における災害時の相互応援に関する協定例
- 資料8【参考】関係団体等への協力支援の要請項目と要請先の例
- 資料9【事例】愛知県の「ボランティアの受入体制の整備とネットワーク化の推進等に関する協定書(抄)」
- 資料10【参考】一棟当たりの水害廃棄物量
- 資料11【参考】消毒剤・消臭剤等の薬剤の散布について
- 資料12【参考】仮置場の例
- 資料13【参考】仮置場の規模
- 資料14【事例】平成16年度の水害廃棄物に係る仮置場の設置例
- 資料15【事例】東海豪雨時の名古屋港南5区Ⅱ工区における一時保管状況例
- 資料16【事例】平成16年度の水害廃棄物に係る仮置場における一時保管状況例
- 資料17【事例】平成12年東海豪雨における愛知県の水害廃棄物分別・破砕フロー
- 資料18【事例】平成16年度の水害事例における水害廃棄物分別・破砕フロー例
- 資料19【参考】災害時における廃家電製品の取扱いについて(平成13年10月2日付け環廃対第398号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知)
- 資料20【参考】情報の流れ
- 資料21【参考】国庫補助の概要
- 資料22【事例】平成16年度の水害事例(台風23号、新潟豪雨)の被害概要
- 参考 災害廃棄物の処理事業費の推移
資料1【参考】過去に被害をもたらした主な水害
年月日
|
災害名
|
主な被災地
|
被害家屋数(棟)
|
---|---|---|---|
S.20.9.17~9.18
|
枕崎台風
|
西日本(特に広島県)
|
363,727 棟
|
S.22.9.14~9.15
|
カスリーン台風
|
東海以北
|
394,041 棟
|
S.23.9.15~9.17
|
アイオン台風
|
四国~東北(特に岩手県)
|
138,052 棟
|
S.25.9.2~9.4
|
ジェーン台風
|
四国以北(特に大阪府)
|
222,736 棟
|
S.26.10.13~10.15
|
ルース台風
|
全国(特に山口県)
|
359,391 棟
|
S.28.6.25~6.29
|
大雨(前線)
|
九州、四国、中国(特に北九州)
|
489,298 棟
|
S.28.7.16~7.24
|
南紀豪雨
|
東北以西(特に和歌山県)
|
97,368 棟
|
S.29.9.25~9.27
|
洞爺丸台風
|
全国(特に北海道、四国)
|
311,075 棟
|
S.32.7.25~7.28
|
諫早豪雨
|
九州(特に諫早周辺)
|
79,376 棟
|
S.33.9.26~9.28
|
狩野川台風
|
近畿以東
|
538,458 棟
|
S.34.9.26~9.27
|
伊勢湾台風
|
全国(九州を除く、特に愛知県)
|
1,197,576 棟
|
S.40.9.10~9.18
|
台風第23,24,25号
|
全国(特に徳島県、兵庫県、福井県)
|
372,987 棟
|
S.41.9.23~9.25
|
台風第24,26号
|
中部、関東(特に静岡県、山梨県)
|
126,767 棟
|
S.42.7月~8月
|
7,8月豪雨
|
中部以西、東北南部
|
377,219 棟
|
S.47.7.3~7.15
|
台風第6,7,9号及び7月豪雨
|
全国(特に北九州、島根県、広島県)
|
199,030 棟
|
S.51.9.8~9.14
|
台風第17号及び9月豪雨
|
全国(特に香川県、岡山県)
|
453,510 棟
|
S.54.10.17~10.20
|
台風第20号
|
全国(特に東海、関東、東北)
|
44,973 棟
|
S.57.7月~8月
|
7,8月豪雨及び台風第10号
|
全国(特に長崎県、熊本県、三重県)
|
172,230 棟
|
S.58.7.20~7.29
|
梅雨前線豪雨
|
山陰以東(特に島根)
|
20,810 棟
|
H.元.8.31~9.16
|
大雨(前線)
|
全国
|
71,517 棟
|
H.3.9.25~9.28
|
台風第19号
|
全国
|
193,412 棟
|
H.5.7.31~8.7
|
平成5年8月豪雨
|
全国
|
22,811 棟
|
H.7.6.30~7.22
|
梅雨前線豪雨
|
関東以西
|
18,824 棟
|
H.10.8.26~8.31
|
平成10年8月末豪雨
|
福島県、栃木県、茨城県
|
14,413 棟
|
H.10.9.20~9.23
|
台風第7号、第8号、豪雨
|
近畿、中部
|
29,857 棟
|
H.10.10.17~10.18
|
台風第10号
|
中国
|
13,318 棟
|
H.11.6.23~7.3
|
梅雨前線豪雨
|
全国(特に西日本)
|
13,068 棟
|
H.11.9.21~9.25
|
台風第18号
|
全国(特に九州)
|
83,436 棟
|
H.12.9.11~9.12
|
東海豪雨等秋雨前線と台風第14号による大雨
|
全国(特に東海地方)
|
70,626 棟
|
H.13.8.20~8.23
|
台風第11号
|
全国(特に西日本)
|
741 棟
|
H.13.9.8~9.12
|
台風第15号
|
全国(特に東日本)
|
1,000 棟
|
H.14.7.9~7.11
|
台風第6号
|
全国(特に東北)
|
10,417 棟
|
H.14.10.1~10.2
|
台風第21号
|
北海道、東北、関東、中部
|
4,960 棟
|
H.15.7.18~7.21
|
7月梅雨前線豪雨
|
九州(特に福岡県)
|
8,014 棟
|
H.16.7.12~7.13
|
新潟・福島豪雨
|
新潟県、福島県
|
13,875 棟
|
H.16.7.17~7.18
|
福井豪雨
|
福井県
|
14,156 棟
|
H.16.7.31~8.5
|
台風第10,11号及び関連する大雨
|
四国
|
2,730 棟
|
H.16.8.19~8.20
|
台風第15号、豪雨及び関連する大雨
|
四国
|
3,286 棟
|
H.16.8.29~8.30
|
台風第16号
|
兵庫県、四国、九州
|
53,727 棟
|
H.16.9.7~9.8
|
台風第18号
|
全国(特に山口県、広島県、北海道)
|
51,500 棟
|
H.16.9.29~9.30
|
台風第21号
|
全国(特に三重県、愛媛県)
|
21,969 棟
|
H.16.10.9~10.10
|
台風第22号
|
東日本(特に静岡県)
|
11,976 棟
|
H.16.10.20~10.21
|
台風第23号
|
全国(特に近畿、四国)
|
75,056 棟
|
資料2【参考】環境省防災業務計画(抜粋)
第3編 風水害、火山災害その他の災害対策
3.災害復旧・復興等
- (3) 復旧・復興における環境配慮の確保
災害からの復旧・復興に当たっては、環境保全への配慮が重要であることから、被災した工場・事業場等の再稼働時に有害物質や油等の漏えいによる汚染等の被害が発生しないよう適切な措置を講じるとともに、災害で生じた廃棄物、汚水等、がれき処理による環境汚染の未然防止のための必要な措置を講じるよう、地方公共団体に対して助言及び指導するものとする。
その際、石綿対策については、一般環境への影響を最小限にする観点から、関係機関との調整の実施を検討する。
また、必要に応じ、大規模公共事業に係る環境影響評価を実施する。
さらに、緑地や公園の整備、低層密度市街地や住工混在地区の改善等環境保全の考え方を取り込んだ街づくりが確保されるよう、地方公共団体の復興計画に協力するとともに、関係省庁へも働きかけることとする。
なお、火山災害、雪害等災害の規模、態様等に応じ、本編の規定は適宜類推して適用されるものとする。
第4編 地域防災計画の作成の基準となるべき事項
地域防災会議又はその協議会は、環境省及び地方公共団体のそれぞれが、法令又は防災計画の定めるところにより行う防災に関する事務が有機的かつ一体的に遂行されることとなるように、前編までに定めるもののほか、次の事項について計画を整備するものとする。
1.災害予防
- (1) 環境関連公共施設の災害に対する安全性を確保するための点検、防災対策の推進等に関する事項
- (2) 都市の防災構造化における環境配慮に関する事項
- (3) 油等の大量流出及び有害物質や油等の漏洩による災害の予防に必要な施設及び設備の整備並びに災害防止に関する事項
- (4) 環境モニタリング用資機材の整備に関する事項
- (5) 支援機材の提供等に係る他機関との相互応援に関する事項
2.災害応急対策
- (1) 公害病認定患者に対する医療活動が迅速かつ適切に実施されるよう活動の組織、方法及び関係機関との協力体制の確立等に関する事項
- (2) 災害時における廃棄物処理に関する事項
- (3) 環境関連公共施設の応急復旧のための手続、方法等に関する事項
- (4) 有害物質や油等の漏洩等を防止するために行う、施設の点検、応急措置、関係機関の連絡、環境モニタリング等に関する事項
- (5) 油等の大量流出による防除資材等の配備状況の把握、防除資材等の整備及び運用、防除活動の協力体制等に関する事項
- (6) 公害病認定患者の相談機能の充実に関する事項
3.災害復旧・復興対策
防災まちづくり等において環境保全への配慮を行うこと
資料3【事例】水害による施設の被害事例
平成16年台風第23号における廃棄物処理施設の主な被災状況
都道府県
|
設置主体
|
被災施設
|
被害の状況
|
稼働停止日数
|
---|---|---|---|---|
岐阜県
|
飛騨衛生施設利用組合
|
し尿処理施設
|
揚水ポンプや電気制御板が浸水により故障
|
2日間
|
京都府
|
宮津市
|
し尿処理施設
|
処理水の放流管等が破損
|
4日間
|
兵庫県
|
豊岡市
|
コミュニティ・プラント
|
処理棟の屋根が破損、処理槽が水没し稼働停止
|
2日間
|
兵庫県
|
北但行政事務組合
|
最終処分場
|
処分場内の遮水シート破損
|
2日間
|
兵庫県
|
北但行政事務組合
|
し尿処理施設
|
施設全体が水没し、稼働停止
|
15日間
|
岡山県
|
玉野市
|
最終処分場
|
処分場内の遮水シート破損
|
93日間
|
資料4【参考】各機関の連携例
資料5【事例】
水害廃棄物処理の協力体制の例(平成12年東海豪雨における名古屋南5区の場合)
月日
|
項目
|
県
|
市町村(協議会)
|
その他
|
---|---|---|---|---|
9月11日~12日
|
東海豪雨発生
|
|
|
|
9月15日
|
災害廃棄物処理協議会設立
|
|
|
|
9月16日
|
一次保管場所の指定
|
|
|
|
9月16日~30日
|
水害廃棄物の収集・運搬・搬入
|
|
|
|
10月
|
保管
|
|
|
|
分別・破砕委託工事の設計~入札
|
|
|
|
|
11月7日
|
分別・破砕委託工事契約
|
|
|
|
12月5日~
|
分別・破砕
|
|
|
|
12月11日
|
搬出・運搬委託契約
|
|
|
|
12月14日~
|
搬出・運搬
|
|
|
|
焼却・埋立処分
|
|
|
|
|
4月10日
|
南5区での処理終了
|
|
|
|
資料6【参考】周辺市町村及び都道府県への協力支援の要請項目の例
協力支援要請項目
| |
---|---|
し尿
|
し尿収集車輌
|
し尿収集人員
|
|
し尿処理施設
|
|
粗大ごみ等
|
粗大ごみ等の排出用機材、積込積替用機材
|
粗大ごみ等の収集車輌
|
|
粗大ごみ等の収集人員
|
|
粗大ごみ等の処理施設、リサイクル施設
|
|
仮置場
|
仮置場の設置
|
仮置場における再搬出用機材・人員
|
資料7【事例】地方公共団体間における災害時の相互応援に関する協定例
○愛知県内の市町村の協定例
一般廃棄物処理に係る災害相互応援に関する協定書(抄)
(目的)
第1条 この協定は、災害の発生により、愛知県内の市町村及び一部事務組合(以下「市町村等」という。)が実施する一般廃棄物処理業務を独自では適正に遂行できない場合において、市町村等の間に相互応援についての必要な事項を定めることにより、一般廃棄物の円滑な処理を図り、もって、生活環境の保全に資することを目的とする。
(協定市町村等)
第2条 この協定は、災害時のし尿及びごみ処理業務に関し、市町村等の相互間において締結するものとする。
(相互応援の範囲)
第3条 この協定における相互応援は、災害の発生に起因して、し尿又はごみの収集・運搬に支障が生じたとき、一般廃棄物処理施設の損傷によりし尿又はごみ処理が不能となったとき、あるいは当該処理施設の処理能力を著しく超えるし尿又はごみが発生したとき等で、応援を要請する市町村等(以下「要請市町村等」という。)と要請市町村等からの要請を受け応援を実施する市町村等(以下「応援市町村等」という。)の合意が整ったときに限るものとする。
(応援要請等)
第4条 この協定に基づく応援の要請は、要請市町村等の長が応援市町村等の長に対し行うものとする。
- 2 前項に既定する応援の要請は、次の事項をできるだけ明確にし、とりあえず電話等により行い、後に、速やかに文書で行うものとする。
- (1) 災害の発生日時、場所、災害の状況
- (2) 必要とする業務の内容及び処理量の見込み
- (3) 必要とする人員、車両、資機材等の品名及び数量
- (4) 応援の場所及び期間
- (5) 連絡責任
- (6) その他必要事項
- 3 応援の要請は、要請市町村等の長が、第一次的には近隣の市町村等又は別表に掲げる同一ブロックの市町村等の長に対し行い、更に必要がある場合には、別のブロックの市町村等の長に対し行うものとする。
- 4 市町村等は、この協定に基づく相互応援を効果的に実施できるよう必要に応じ県に調整及びあっせんを要請するものとする。
(応援の責務)
第5条 応援の要請を受けた市町村等の長は、自らの業務に支障がない限り応援を行うものとする。
- 2 応援の要請を受けた市町村等の長は、前条の応援の要請に応ずることができない場合は、その旨を速やかに要請市町村等の長に通知するものとする。
(経費の負担)
第6条 応援に要する経費は、原則として要請市町村等がこれを負担するものとする。
(民間業者の活用)
第7条 市町村等は災害時の応援を迅速に実施するため、民間廃棄物処理業者等の活用を図るものとする。
(実施細目)
第8条 この協定に定めのない事項、又は疑義が生じたときは、その都度協議して定めるものとする。
この協定の成立を証明するため、本書115通を作成し協定市町村等の長が記名押印の上、各自1通を保管する。
平成8年3月12日
○三重県及び三重県内の市町村の協定例
三重県災害等廃棄物処理応援協定書(抄)
(目的)
第1条 この協定は、災害等の発生時に三重県(以下「県」という。)、三重県内の市町村、一部事務組合及び広域連合(以下「市町村等」という。)が、ごみ、し尿等一般廃棄物の処理を円滑に実施するための応援活動について必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この協定において「災害等」とは、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条第1号に規定する災害(以下「災害」という。)並びに市町村等が設置する一般廃棄物処理施設等の事故等又はその他応援を要すると認められる事故等をいう。
- 2 この協定において「一般廃棄物」とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律137号)第2条第2項に規定する一般廃棄物をいう。
- 3 この協定における「応援」とは、次に掲げる行為をいう。
- (1) 一般廃棄物の処理に必要な施設、機材、物資等の提供及び斡旋
- (2) 一般廃棄物の処理に必要な職員の派遣及び処理業者の斡旋
- (3) 前2号に定めるもののほか、一般廃棄物の処理に関し必要な事項
- 4 この協定において「応援要請市町村」とは、災害等により一般廃棄物の処理に支障が生じ、他の市町村等に応援の要請を行う市町村等をいう。
- 5 この協定において「応援市町村」とは、応援要請市町村からの応援要請を受託し、応援を行う市町村等をいう。
- 6 この協定において「ブロック」とは、別表に掲げる市町村等で構成する区域とする。
(広域応援体制の組織)
第3条 災害等の発生時に迅速かつ適切な一般廃棄物の処理を実施するため、県内を9ブロックに分け、各ブロックに幹事市を置く。
- 2 災害等の状況から市町村等での一般廃棄物処理が困難で、他市町村等からの応援が必要となった段階から、広域応援体制として三重県災害等廃棄物処理対策本部(以下「本部」という。)を県庁に、三重県災害等廃棄物処理現地連絡本部(以下「現地連絡本部」という。)を被災市町村等の属するブロックの幹事市を所管する県民局に設置し、相互に協力する。
なお、災害等が局所的で本部及び現地連絡本部の設置が必要がないと判断される場合には、本部及び現地連絡本部は設置しないものとする。 - 3 三重県地域防災計画で規定する三重県災害対策本部が設置されたときは、本部はそれに包括される。また、三重県地域防災計画で規定する地方災害対策部が設置されたときは、現地連絡本部はそれに包括される。
(本部)
第4条 本部には本部長及び副本部長を置き、本部長は三重県環境森林部長を、副本部長は環境森林部資源循環室長をもって充てる。
- 2 本部長は本部を統括し、副本部長はこれを補佐する。
- 3 本部の構成員は本部長が指名する者をもって構成する。
(現地連絡本部)
第5条 現地連絡本部長は、本部長が指名する。
- 2 現地連絡本部長は、現地連絡本部を統括する。
- 3 現地連絡本部は現地連絡本部長が指名する者をもって構成する。
(応援要請)
第6条 災害等により一般廃棄物の適切な処理が困難となった場合、応援要請市町村は県へ応援の調整を要請し、県は応援要請市町村における災害等の発生状況や応援要請内容を踏まえ、応援要請市町村の属するブロックの幹事市と調整し、ブロック内での対応が可能な場合、ブロック内の市町村等へ応援を要請する。
なお、応援要請市町村が直接近隣の市町村等ヘ応援を要請することを妨げない。この場合、その旨を県に報告するものとする。
- 2 応援要請市町村の属するブロック内の応援で適切な一般廃棄物の処理が困難な場合には、県は他ブロックの幹事市と調整し、他ブロックの市町村等へ応援を要請する。
- 3 県内のブロック間の応援では適切な一般廃棄物の処理が困難な場合には、県は他県ヘ応援を要請し調整を図る。
- 4 応援市町村は、自らの業務に支障がない限り応援を行うものとする。
- 5 直接一般廃棄物の処理を行わず、民間業者等への委託又は許可により処理を実施している市町村等においては、応援要請市町村と民間業者間の斡旋等の仲介を行うことにより、応援が円滑に実施できるようにするものとする。
- 6 応援要請は、次の条項をできるだけ明確にし、災害等において使用可能な伝達手段により行い、県への応援調整要請を応援調整要請書(様式第1号)により、又、応援市町村への応援要請を応援要請書(様式第2号)により速やかに行うものとする。
- (1) 災害の発生日時、場所、災害の状況
- (2) 必要とする業務の内容、施設及び処理量の見込み
- (3) 必要とする人員、物資、車両、資機材等の品名及び数量
- (4) 応援要請の場所及び期間
- (5) 連絡責任者
- (6) その他必要な事項
(経費の負担)
第7条 応援に要する経費は、原則として応援要請市町村がこれを負担するものとし、支払い方法等については応援要請市町村、応援市町村の双方で協議し、決定するものとする。
- 2 応援要請市町村が負担すべき経費のうち、応援市町村の処理に要する経費については、その内容を考慮し、市町村等及び県で協議のうえ取り決めるものとする。
- 3 応援市町村の職員が応援業務により負傷、疾病又は死亡した場合における公務災害補償に要する経費は、応援市町村の負担とする。
(他の協定との関係)
第8条 この協定は、市町村等が災害対策基本法第67条の規定等により締結した他の協定に基づく応援等を妨げるものではない。
(民間業者への協力要請)
第9条 県及び市町村等は、この協定に基づく応援を迅速に行うため、必要に応じて民間の廃棄物処理業者等に協力を要請するものとする。
(県の組織変更に伴う措置)
第10条 県組織の変更が生じた場合、この協定書の第4条に規定する本部長は変更後の組織の廃棄物を所管する部の長を、又、副本部長は変更後の組織で環境森林部資源循環室長と同等の役職の職員を充てるものとする。
(市町村等の組織変更に伴う措置)
第11条 この協定を締結した市町村等が市町村合併等により新たな市町村等を構成する場合には、新たに構成する市町村等はこの協定を承継したものとする。
(協議)
第12条 この協定の実施に関し必要な事項又は定めのない事項については、県及び市町村等がその都度協議して定めるものとする。
(実施期日)
第13条 この協定は平成16年10月29日から実施する。
この協定の締結を証するため、本書80通を作成し、協定者が記名押印のうえ、各自1通を保有する。
平成16年10月29日
○福岡県内の市町村の協定例
災害時における福岡県内市町村間の相互応援に関する基本協定(抄)
(目的)
第1条 この協定は、福岡県内の地域に災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「災対法」という。)第2条第1号に規定する災害(以下「災害」という。)が発生し、被災市町村のみでは十分な応急対策及び復旧対策を実施することができない場合において、災対法第67条第1項による市町村相互の応援が迅速かつ円滑に実施されるよう、福岡県内のすべての市町村が相互に協力することを確認し、相互応援に関する基本的な事項を定めるものとする。
(応援の種類)
第2条 この協定による応援の種類は次の各号に掲げるとおりとする。
- (1) 食料、飲料水及び生活必需物資並びにその供給に必要な資機材の提供
- (2) 被災者の救出、医療、防疫、施設の応急復旧等に必要な資機材及び物資の提供
- (3) 救援及び救助活動に必要な車両、舟艇等の提供
- (4) 救助及び応急復旧に必要な医療職、技術職、技能職等の職員の派遣
- (5) 被災者の一時収容のための施設の提供
- (6) 被災傷病者の受入れ
- (7) 遺体の火葬のための施設の提供
- (8) ゴミ・し尿等の処理のための施設の提供
- (9) ボランティアの受付及び活動調整
- (10) 前各号に定めるもののほか、特に要請のあった事項
(応援要請の手続き)
第3条 被災市町村の長は、個別に他の市町村の長に応援を要請しようとする場合には、次の各号に掲げる事項を明らかにして電話等により応援を要請するものとする。
- (1) 被害の状況
- (2) 応援の種類
- (3) 応援の具体的な内容及び必要量
- (4) 応援を希望する期間
- (5) 応援場所及び応援場所への経路
- (6) 前各号に掲げるもののほか必要な事項
- 2 被災市町村の長は、複数の市町村の長に同時に応援を要請しようとする場合には、前項に掲げる事項を明らかにして電話等により福岡県知事(以下「知事」という。)に対し応援要請の依頼を行うものとし、知事は、他の市町村の長に対して速やかに要請内容を伝達するものとする。
- 3 応援を受けた被災市町村の長は、応援を実施した市町村の長に対し、後日速やかに要請文書を提出するものとする。
(応援の実施)
第4条 前条第1項の規定により応援要請を受けた市町村の長は、応援の内容を電話等により要請した被災市町村の長に連絡し、その後直ちに応援を実施するものとする。ただし、特別な事情により応援できない場合は、その旨を直ちに電話等により連絡するものとする。
- 2 前条第2項の規定により要請内容の伝達を受けた市町村の長は、受諾の可否を速やかに決定し、応援の可否及び応援を実施する場合は、その内容を知事に対し電話等により連絡するとともに応援を実施するものとする。
(自主応援)
第5条 被災市町村の長からの応援要請又は知事からの応援要請の依頼がない場合においても、被害の状況に応じ緊急に応援することを必要と認めた市町村の長は、自主的に応援を行うものとする。
- 2 前項の場合において、応援を行おうとする市町村の長は、応援の内容をあらかじめ電話等により被災市町村の長に連絡するとともに、応援を実施する旨及びその内容を知事に連絡するものとする。
(応援の調整)
第6条 知事は、前2条に定める相互応援が迅速かつ円滑に実施されるよう応援の調整を行うことができるものとする。
(応援経費の負担)
第7条 応援に要した費用は、応援を受けた市町村で負担するものとする。
- 2 応援を受けた市町村において前項の規定により負担する費用を支弁するいとまがないときは、応援を受けた市町村の求めにより応援した市町村は、当該費用を一時繰替支弁するものとする。
- 3 前2項の規定によりがたいときは、その都度、関係市町村間で協議して定める。
(情報の交換等)
第8条 市町村は、この協定に基づく応援が円滑に行われるよう、必要な情報等を相互に交換するとともに、平常時から応援の受入れ体制の整備に努めるものとする。
(その他)
第9条 この協定の実施に関し必要な事項については、その都度協議して定めるものとする。
附則
- 1 この協定は、平成17年4月26日から施行する。
- 2 この協定の成立は、県内全市町村長の同意書をもって証する。
資料8【参考】関係団体等への協力支援の要請項目と要請先の例
要請先
|
協力支援要請項目
|
---|---|
レンタル業者、建設機械リース業協会等
|
|
浄化槽清掃業者、し尿収集運搬業者
|
|
一般廃棄物・産業廃棄物関係団体
|
|
土地所有者又は管理者
|
|
資料9【事例】愛知県の「ボランティアの受入体制の整備とネットワーク化の推進等に関する協定書(抄)」
21 ボランティアの受入体制の整備とネットワーク化の推進等に関する協定書(抄)
(趣旨)
第1条 この協定は、大規模な災害が発生した場合に、被災地住民の速やかな自立支援を行うボランティア活動を効果的に援助するための前提となるボランティアの受け入れ体制の整備とネットワーク化を推進するために、愛知県(以下「県」という。)がボランティア団体又はボランティア支援団体(以下「協力団体」という。)に協力を求めるに当たって必要な事項を定めるものとする。
(広域ボランティア支援本部の開設)
第2条 県は、大規模な災害が発生したときは、災害対策本部内に必要な資機材や場所を確保して広域ボランティア支援本部(以下「支援本部」という。)を開設する。
- 2 県は、支援本部の開設に当たっては、ボランティアと被災地の住民等からの支援要請との調整役となるボランティアコーディネーター(以下「コーディネーター」という。)の派遣を協力団体に要請する。
- 3 協力団体は、前項の要請があった場合には、速やかにコーディネーターを派遣するよう努めるものとする。
(広域ボランティア支援本部の運営)
第3条 県は、支援本部の運営にあたっては、コーディネーターの自主性を尊重しなければならない。
(広域ボランティア支援本部の閉鎖)
4条 コーディネーターは、ボランティアによる災害応急活動が概ね完了したときは、支援本部の閉鎖について、県と協議するものとする。
- 2 コーディネーターは、支援本部が閉鎖されるときは、当該活動について、行政や社会福祉協議会等の関係機関に円滑に引き継ぐよう努めるものとする。
(経費の負担)
第5条 県は、支援本部の設置及びコーディネーターがコーディネートを行うために必要な経費を負担するものとする。
(平常時の協力活動)
第6条 協力団体は、平常時から県の実施する次の施策について協力するものとする。
- (1) 災害時のボランティア活動に関する講座、研修会等
- (2) 「防災とボランティアの日(1月17日)」及び「防災とボランティア週間(1月15日から21日まで)」に開催される啓発行事
- (3) その他ボランティアの受入体制の整備及びネットワーク化の推進等に関すること
(ボランティアの活動環境の整備等)
第7条 県及び協力団体は、ボランティアが活動しやすい環境づくりを進めるため、災害時におけるボランティアの被害救済制度の充実のほか、自主的なボランティア活動の円滑かつ効果的な実施のために必要な各種制度の整備に努めるものとする。
(その他)
第8条 この協定の実施に関し必要な事項又はこの協定に定めのない事項については、その都度県及び協力団体が協議して定めるものとする。
(適用)
第9条 この協定は、平成10年8月28日から適用する。
この協定の成立を証するため、関係者記名押印の上、各1通を保有する。
平成10年8月28日
資料10【参考】一棟当たりの水害廃棄物量
平成13年度に過去水害で被害を受けたことのある171市区町村を対象として実施したアンケート調査(以下「アンケート調査」という。)の結果から、水害廃棄物量の推計にあたっては、全被害家屋1棟当たり2t程度で算出すれば、実際の水害時に発生する廃棄物量と大きく変わらない可能性が高いものと考えられる。(後掲「参考資料」参照)
(参考資料)
アンケート調査にて、水害廃棄物収集量もしくは処理・処分量の設問で水害廃棄物量の記載があったのは100事例であり、竜巻被害による廃棄物の発生事例1例を除く、99事例から整理を行った。また、被害家屋数については、水害統計に記載された数値と、実際にアンケートで回答された数値に開きがある事例がいくつか認められたため、この解析にあたっては水害統計の数値を使用することとした。
廃棄物量と全被害家屋数(床上浸水家屋数+床下浸水家屋数)の関係を図添1 に示す。ここから相関係数を求めるとR=0.8466となり、相関係数としては比較的高い数値を示した。しかし図添1 からわかるように、全被害家屋数が5,000棟以上となるケースが3例あるが、他の事例と比べて被害数が非常に多くこれほどの被害が出るケースがまれであると考えられること、またこれらの点が相関係数を引き上げている要因と考えられることから、この3点を除外して相関を求めた。その結果R=0.3371となり、明確な相関を見出すことはできず、データとしては非常にばらつきがあることがわかった。
図添1 全被害家屋数と水害廃棄物量の関係
以上より、直接的に水害廃棄物量を想定することは困難であることが分かった。そこで、床上被害家屋数が多いと水害廃棄物量も多くなるものと想定し、前述のデータを使用して、床上浸水家屋数の全被害家屋数に占める割合(床上被害割合)と、廃棄物量を全被害家屋数で除した全被害家屋数1棟あたりの水害廃棄物量原単位の関係について整理した。(図添2 参照)
図添2 を見ると、1棟あたり10tを超えるようなデータがいくつか存在する。これらについては、水害廃棄物の中に土砂や流木が多く混入したものや水害に便乗した投棄などがあったなどの理由により、計算上1棟あたりの水害廃棄物量が大きくなったことが分かった。そこで、この3点についても除外して、1棟あたり水害廃棄物量の分布を整理した。(図添3 参照)
図添2 全被害家屋一棟あたりの廃棄物量について
ここでは、0.2t毎に3t以下の区分と3tを超える区分で整理した。これによると、1t/棟以下の事例が非常に多いが、全体的には1区分(2.4t/棟を超えて2.6t/棟以下の区分)を除いてどの区分にも当てはまる事例が存在することが分かった。累積%を見ても、2t/棟以下の区分には全事例の80%が当てはまることも明らかになった。
図添3 一棟あたり水害廃棄物量の分布
また、図添4 で床上浸水比率が50%未満と50%以上に分けて、それぞれの累積%と頻度を表すと、床上浸水比率が50%未満では、2t/棟以下の区分には事例の90%以上、3t/棟以下では事例の100%が当てはまることも分かった。
図添4 床上比率ごとの一棟あたり水害廃棄物量の分布
従って、水害廃棄物量の推計にあたっては、全被害家屋1棟あたり2t程度で算出すれば、実際の水害時に発生する廃棄物量と大きく変わらない可能性が高いことが分かった。
しかし、浸水想定区域図から、①全被害家屋に対する床上浸水家屋の割合が高くなる、②床上浸水高さが高くなる、③浸水想定区域内に事業所や地下施設が存在するなどの要因が見受けられる場合は、全被害家屋1棟あたりの廃棄物量は大きくなるものと考えられるため、地域特性にも十分注意することが望ましいと考えられる。
より正確さを求める場合は、木製建具量や家財道具量、畳量などから1戸あたりの廃棄物量を想定する方法が挙げられる。
A県の調査では、木製建具並びに畳量に関して下表のような結果が得られている。
表添1 木造住宅解体廃棄物排出量(抜粋)
廃棄物の種類
|
発生量(t)
|
---|---|
畳
|
0.8(30.5枚)
|
木製建具
|
0.2
|
- 注)1.解体建物の概要:木造瓦葺平屋住宅120.66㎡=36.5坪
築後29年 - 2.畳1枚当たり25kg
よって25kg/枚×30.5枚÷1,000kg/t=0.762t≒0.8t
水害発生時、畳は水分を含んでいるため非常に重くなっており、ボランティア団体でのヒアリングでは、通常畳1枚を成人男性4人で運ぶ(最大で約100kg/枚)ということだった。
〈参考1〉
水害廃棄物収集量もしくは処理・処分量の設問で水害廃棄物量の記載があった竜巻被害を除く99事例と、水害統計の床下浸水家屋数および床上浸水家屋数から、床上浸水家屋数をx1、床下浸水家屋数をx2、水害廃棄物量をyとした場合の水害廃棄物量計算式
y=ax1+bx2+c
を最小二乗法により求めた。
切片cを0とした場合、
y=3.79x1+0.08x2(r2=0.849)
が得られた。
〈参考2〉
水害廃棄物収集量もしくは処理・処分量の設問で水害廃棄物量の記載があった竜巻被害を除く99事例の中から、アンケート調査結果での床下浸水家屋数および浸水高さ別床上浸水家屋数を回答した44例を抽出し、床上浸水家屋数(0~49cm)をx1、床上浸水家屋数(50~99cm)をx2、床上浸水家屋数(100cm~)をx3、床下浸水家屋数をx4、水害廃棄物量をyとした場合の水害廃棄物量計算式
y=ax1+bx2+cx3+dx4+e
を最小二乗法により求めた。
切片cを0とした場合、
y=16.1x1+1.20x2+1.37x3-0.015x4(r2=0.480)
が得られた。
資料11【参考】消毒剤・消臭剤等の薬剤の散布について
- ①薬剤種類
以前は認定薬剤があったが、現在その制度はなくなっている。薬品メーカーには乳剤、油剤、粉剤・粒剤等、各種薬剤が取り揃えてある。水害発生時には注文が集中するため、平常時にある程度薬剤を備蓄したり、薬剤の有効期限等を考慮して近隣市町村との協定により薬剤を融通し合ったりするなどの工夫で、緊急時の混乱を回避することができる。 - ②散布方法
- ・散布の際は、薬液や粉を吸わないように注意し、必ずマスクや手袋を着用する。
- ・皮膚についたときは石けんと水でよく洗う。
- ・散布は風上から行う。
- ・プラスチック製品にかかると変色・変形のおそれがある。
- ・室内散布の場合、小鳥や金魚は屋外へ退避させる。
- ・皮膚、飲食物、食器、小児のおもちゃ、飼料などに直接かからないようにする。
- ・直接火に向けて噴霧しない。
- ・散布器具は、使用後よく手入れをする。
- ③取扱注意事項
- ・希釈液を作る際は、食品容器類の使用は避けること。
- ・食品、食器、飼料等と区別し、小児の手の届かない冷暗所に保管すること。なお、水性乳剤は極端に低温となる場所には保管しない。
- ・使用後、残った薬剤は必ず保管場所に戻し、栓を確実に締め付けておくこと。
- ・薬剤の種類によっては、「消防法」、「火災予防条例」及び「毒物及び劇物取締法」の適用を受ける場合があるので、その取扱いに当たり留意すること。
資料12【参考】仮置場の例
区分
|
仮置場としての利用場所
|
---|---|
一次仮置場
軒先や路上などに排出された水害廃棄物を早急に撤去するために、被災地区に設けた一次集積場所で、設置期間が数日から1週間程度のもの。 |
|
二次仮置場
中間処理・再資源化が望まれる水害廃棄物を保管するための仮設保管場所で、設置期間が一次仮置場より長期間にわたるもの。選別程度の作業を行うことが可能なものも含める。 |
|
資料13【参考】仮置場の規模
アンケート調査から、以下のとおりの結果となった。
(1) 一次仮置場について
- ①仮置場1箇所当たりの被害家屋数
- 1箇所当たりの家屋数(N=35) 362棟/箇所
- ②被害家屋1棟当たりの一次仮置場面積
- 1家屋当たりの面積(N=29) 5.8㎡/棟
- ③一次仮置場1箇所当たりの宅地他浸水面積
- 1箇所当たりの浸水面積(N=24) 79,500㎡/箇所
(2) 二次仮置場について
水害廃棄物1t当たりの二次仮置場面積(N=23) 3.5㎡/t
資料14【事例】平成16年度の水害廃棄物に係る仮置場の設置例
被災市町村
|
場所
|
規模
|
搬入期間
|
搬入量
|
設置期間
|
---|---|---|---|---|---|
新潟県三条市
|
旧三条競馬場跡
|
25,000 ㎡
|
7/16~9/3
(約1ケ月半) |
28,000 t
|
7/16~2005/2/9
(約7ケ月間) |
兵庫県豊岡市
|
豊岡中核工業団地
|
30,000 ㎡
|
10/23~11/22
(約1ケ月間) |
26,000 t
|
10/23~2005/6/30
(約8ケ月間(予定)) |
兵庫県豊岡市
|
但馬空港駐車場
|
20,000 ㎡
|
10/23~11/22
(約1ケ月間) |
6,000 t
|
10/23~2005/6/30
(約8ケ月間(予定)) |
京都府宮津市
|
宮津市民グラウンド
|
20,000 ㎡
|
10/25~11/10
( 半月間) |
5,700 t
|
10/25~2005/3/15
(約5ケ月間) |
資料15【事例】東海豪雨時の名古屋港南5区Ⅱ工区における一時保管状況例
平成12年の東海豪雨の際、大量に発生した水害廃棄物の処理が困難となった愛知県内の2市7町は協議会を設置し、共同で水害廃棄物を処理することとした。
この時、二次仮置場(一時保管と分別等の処理を実施する仮置場)として利用したのは、埋立てが一部終了した廃棄物最終処分場である愛知県知多市新舞子沖の名古屋港南5区第Ⅱ工区である。
2市7町から搬入された合計約38,000tの水害廃棄物は、約6ケ月をかけて分別、破砕、選別が行われた。
資料16【事例】平成16年度の水害廃棄物に係る仮置場における一時保管状況例
資料17【事例】平成12年東海豪雨における愛知県の水害廃棄物分別・破砕フロー
東海豪雨における愛知県の水害廃棄物分別・破砕フロー
資料18【事例】平成16年度の水害事例における水害廃棄物分別・破砕フロー例
見附市7.13豪雨水害 災害廃棄物分別処理フロー図
【豊岡市災害廃棄物処理フロー:中核工業団地】
災害廃棄物発生推定量:25,780t
【豊岡市災害廃棄物処理フロー:但馬空港】
災害廃棄物発生推定量:6,299トン
資料19【参考】災害時における廃家電製品の取扱いについて(平成13年10月2日付け環廃対第398号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知)
環廃対第398号
平成13年10月2日
各都道府県廃棄物行政主管部(局)長 殿
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部
廃棄物対策課長
災害時における廃家電製品の取扱いについて
特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号。以下「法」という。)第2条第4項で定める特定家庭用機器(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)が、災害(暴風、豪雨、こう水、高潮、地震、津波その他異常な天然現象により生ずる災害をいう。以下同じ。)によって廃棄物となった場合の取扱いについて、下記事項にご留意ありたい。
また、貴管下市町村に対しては貴職から周知されたい。
記
- 1.災害により廃棄物となった特定家庭用機器廃棄物については、法第54条に基づいて製造事業者等に引き渡すか、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に定める廃棄物処理基準に従って処理されるべきものであること。
- 2.市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)が上記1.の処理を行った場合(製造業者に引き渡した場合に限る。)には、かかる処理費用は災害廃棄物処理事業として国庫補助対象となること。この場合、法に基づいて製造事業者に引き渡す場合には、法第19条に定める料金が災害廃棄物処理事業の処理費用に該当すること。
なお、市町村が回収すべきものとして特定家庭用機器廃棄物を回収する場合、条例等に基づいて被災者から料金を徴収することは妨げないが、この場合には災害廃棄物処理事業の補助対象には該当しないこと。 - 3.特定家庭用機器廃棄物が災害廃棄物に該当するかどうかは、災害により家屋等が被災した場合(全壊、半壊、床上浸水の場合に限る。以下、「全壊等」という。)に、当該災害が原因で対象家電が廃棄物となり、かつ、災害発生後速やかに廃棄物として市町村に引取りの求めがあった場合を原則とすること。この際、災害に乗じて被災していない廃家電を廃棄されるおそれもあることから、全壊等により被災した家屋等における廃家電の所有台数を市町村で調査を行い、災害廃棄物に該当するかどうか判断する必要があるとともに、他の災害廃棄物と同様に被災後相当の期間が経過した場合は災害廃棄物に当たらない場合もあること。
- 4.フロン回収の観点から、エアコン及び冷蔵庫の回収・保管に際しては、冷媒の漏洩に留意するとともに、できる限り分別して行うこと。
- 5.上記については、個々の災害現場の判断に基づいて、人命や財産の保護、衛生上の措置等が優先して行われることを妨げないこと。また、特定家庭用機器廃棄物の保管の際には不法に廃家電を放置されることのないよう管理を適切に行うこと。
資料20【参考】情報の流れ
資料21【参考】国庫補助の概要
災害廃棄物処理事業費国庫補助金の概要
- 1.事業内容
市町村(一部事務組合を含む)が災害のために実施した生活環境の保全上特に必要とされる廃棄物の収集、運搬及び処分に係る事業(処分等に伴って行う薬剤散布を含む。)及び災害に伴って便槽に流入した汚水の収集、運搬及び処分に係る事業。
特に必要と認めた仮設便所、集団避難所等のし尿の収集、運搬及び処分に係る事業であって災害救助法に基づく避難所の開設期間内のもの。 - 2.補助率 1/2
- 3.補助先 市町村(一部事務組合を含む)
- 4.補助根拠
- ・法律補助
○廃棄物の処理及び清掃に関する法律
昭和45年12月25日法律137号
最終改正 平成17年5月18日第22条 国は、政令で定めるところにより、市町村に対し、災害その他の事由により特に必要となった廃棄物の処理を行うために要する費用の一部を補助することができる。
○廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
昭和46年9月23日政令300号
最終改正 平成17年1月6日第25条 法第22条の規定による市町村に対する国の補助は、次の各号に掲げる額について行うものとする。
- 三 災害その他の事由により特に必要となった廃棄物の処理に要する費用の2分の1以内の額
廃棄物処理施設災害復旧費国庫補助金の概要- 1.事業内容
災害により被害を受けた廃棄物処理施設を原形に復旧する事業並びに応急復旧事業。 - 2.補助率 1/2
- 3.補助先 市町村(一部事務組合を含む)、広域臨海環境整備センター
- 4.補助根拠
- ・予算補助
○廃棄物処理施設災害復旧費の国庫補助について
廃棄物処理施設災害復旧費補助金交付要綱
- (通則)
- 1.環境省所管に係る廃棄物処理施設災害復旧費補助金については、予算の範囲内において交付するものとし、広域臨海環境整備センター法(昭和56年法律第76号)、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)及び補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号)によるほか、この交付要綱に定めるところによる。
- ・予算補助
- 1.事業内容
- 三 災害その他の事由により特に必要となった廃棄物の処理に要する費用の2分の1以内の額
- ・法律補助
資料22【事例】平成16年度の水害事例(台風23号、新潟豪雨)の被害概要
台風第23号の概要
【水害の概要(兵庫県)】
災害の名称
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台風第23号
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---|---|
総降水量
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19日19:00から20日18:00にかけて、24時間最大雨量で382mmを記録(旧三原町)
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避難者数
|
最大約8,439人
|
河川破堤
|
3箇所
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土砂災害
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10件
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仮設住宅
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140戸(被災者が一次入居するために提供された民間賃貸住宅の戸数)
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【兵庫県における被害の概要】
災害救助法指定市町村
|
18市町村(西脇市、小野市、黒田庄町、豊岡市、養父市、城崎町、日高町、出石町、但東町、和田山町、氷上町、洲本市、津名町、津名一宮町、五色町、西淡町、三原町、南淡町)
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人的被害
|
死者
|
26名
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行方不明
|
0名
|
|
負傷者
|
130名
|
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家屋の被害
|
全壊家屋
|
754棟(650世帯)
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半壊家屋
|
7,148棟(6,866世帯)
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一部損壊家屋
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1,265棟(1,250世帯)
|
|
床上浸水家屋
|
1,674棟(1,845世帯)
|
|
床下浸水家屋
|
9,531棟(9,518世帯)
|
【水害廃棄物の処理費用】
ごみ処理費用
|
2,458,166千円
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---|---|
し尿処理費用
|
14,887千円
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家屋の解体廃棄物処理費用
|
84,883千円
|
合計
|
2,557,936千円
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7.13新潟豪雨の概要
【水害の概要】
災害の名称
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新潟・福島豪雨
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---|---|
総降水量
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12日夜から13日夕方かけて400mm以上(1日で2ケ月分降水量)
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避難者数
|
最大約1万8,700人
|
河川破堤
|
11箇所
|
土砂災害
|
341件
|
仮設住宅
|
400戸
|
【新潟県における被害の概要】
災害救助法指定市町村
|
7市町村(長岡市、三条市、見附市、栃尾市、中之島町、三島町、和島村)
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人的被害
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死者
|
15名
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行方不明
|
0名
|
|
負傷者
|
3名
|
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家屋の被害
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全壊家屋
|
70棟(68世帯)
|
半壊家屋
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5,354棟(5,437世帯)
|
|
一部損壊家屋
|
94棟(94世帯)
|
|
床上浸水家屋
|
2,178棟(2,222世帯)
|
|
床下浸水家屋
|
6,117棟(6,176世帯)
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【水害廃棄物の処理費用】
ごみ処理費用
|
2,626,707,641円
|
---|---|
し尿処理費用
|
25,650,122円
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家屋の解体廃棄物処理費用
|
53,379,826円
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参考 災害廃棄物の処理事業費の推移