法令・告示・通達

四塩化炭素等を含む廃棄物の適正処理の推進等について

公布日:平成1年05月16日
衛環80号

(各都道府県・各政令市廃棄物処理行政主管部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)

 廃棄物処理行政については、かねてより御高配を賜つているところである。
 四塩化炭素については、別紙1のとおり化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の第二種特定化学物質に指定されたところであるが、今般、四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針について、環境庁水質保全局長から別紙2のとおり通知がなされたところである。
 ついては、これらの通知等により、四塩化炭素を含む廃棄物の発生量が増大することが予想されること等にかんがみ、廃棄物処理行政においても、四塩化炭素を含む廃棄物の適正処理を一層推進することが必要であるので、左記事項に留意の上、関係部局とも連絡を密にしつつ、関係者に対し指導を強化するとともに、貴管下市町村に対しても指導方お願いする。

1 四塩化炭素を含む廃棄物の適正処理指導について

  1.  (1) 四塩化炭素及び四塩化炭素を含む物を取り扱う工場及び事業場から排出される廃棄物の処理状況について、当該排出事業者が十分に把握すること。
  2.  (2) 四塩化炭素を含む廃棄物の収集、運搬(保管を含む。)及び処分に当たつては、当該廃棄物の飛散・流出防止に留意しつつ、地下水を汚染することのないよう処理基準を遵守すること。
  3.  (3) 四塩化炭素を含む廃棄物の中間処理に伴つて生ずる排水を、公共の水域に放流する場合には、当面、別紙2の管理目標に適合する必要があるとされたこと。
  4.  (4) 四塩化炭素を含む廃棄物の最終処分に伴つて生ずる排水を公共の水域に放流する場合には、当面、(3)と同様に取り扱う必要があること。

2 トリクロロエチレン等を含む廃棄物の適正処理指導について

  トリクロロエチレン等を含む廃棄物の適正処理指導については、昭和五九年八月二三日付け衛環第一○一号の本職通知(以下「五九年通知」という。)において指導をお願いしてきたが、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの有害性が明らかになり、両物質を廃棄物の処理及び清掃に関する法律の「人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質」に追加すること等を内容とする廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第一○三号。以下「改正政令」という。)が公布されたこと等にかんがみ、今後以下のように取り扱うこととするので了知されたい。

  1.  (1) 五九年通知によるトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンを含む廃棄物の適正処理指導については、改正政令が施行される平成元年一○月一日までの間に限つて行うものとすること。
  2.  (2) 一・一・一―トリクロロエタンについては、五九年通知による指導を引き続き行うものとすること。

別表

 略

    四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針等について

(平成元年四月二○日環水管第一○三号・環水規第九三号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて環境庁水質保全局長通知)

1 四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針について

  四塩化炭素については、平成元年三月一八日付けの中央公害対策審議会会長から環境庁長官あての答申(「水質汚濁に関する環境基準等の項目追加等について(答申)」)において、「水環境の汚染を通じて人の健康に及ぼす影響についてさらに検討を続けるとともに、当面、工場、事業場からの排水について指導を行い、併せて水環境中の濃度の推移について十分に監視していくことが必要である。」との提言があつたところである。
  今般、この提言を踏まえ、別紙のとおり、四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針を定めたので、当面、これに基づき工場及び事業場の指導に当たられたい。

2 トリクロロエチレン等の排出に係る暫定指導指針の取扱いについて

  トリクロロエチレン等の排出に係る暫定指導指針については、昭和五九年八月二二日付け環水管第一二七号、環水規第一四八号の当職通知(以下「五九年通知」という。)において指導をお願いしてきたが、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの有害性が明らかになり、両物質を水質汚濁防止法の有害物質に追加するための水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第七六号。以下「改正政令」という。)が公布されたこと等に鑑み、今後以下のように取り扱うこととするので了知されたい。

  1.  (1) トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの特定事業場から公共用水域への排出については、改正政令が施行される平成元年一○月一日までの間に限つて、五九年通知による指導を行うものとする。
  2.  (2) トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの地下浸透の防止については、当面、五九年通知による指導を行うものとするが、この場合においては、五九年通知別表1の管理目標を削除し、両物質を含む水の地下への浸透を禁止する旨同通知を読み替えて指導を行うものとする。
  3.  (3) 一・一・一―トリクロロエタンについては、五九年通知による指導を引き続き行うものとする。

    四塩化炭素の排出に係る暫定指導指針

1 指導の対象

  本指針を適用する工場及び事業場は、四塩化炭素及び四塩化炭素を含むものを取り扱う工場及び事業場とする。

2 地下浸透の禁止

  四塩化炭素を含む水については、地下への浸透を禁止し、そのための適切な措置を講じなければならないものとする。

3 公共用水域への排出の抑制

  四塩化炭素を含む水を公共用水域に排出する工場及び事業場については、四塩化炭素の排出水への混入防止、水分離・回収の徹底等により、四塩化炭素の排出を抑制するものとし、公共用水域に排出する水に含まれる四塩化炭素の濃度を常に管理目標である0.03mg/l以下とするようにしなければならないものとする。

4 地域特性への配慮

  3の管理目標については、地方公共団体において地域の特性に応じた、より厳しい管理目標が別途定められた場合には、当該管理目標を3の管理目標に代えて適用することができるものとする。

5 分析方法

  日本工業規格「用水・排水中の低分子量ハロゲン化炭化水素試験方法 JIS K ○一二五」の5に準拠する。
  この場合、検量線(JIS K ○一二五の5の1の(3)及び5の2の(3))の作成に使用する「塩素化炭化水素類混合標準液」の四塩化炭素の濃度は、溶媒抽出法にあつては0.1μg/ml、ヘッドスペース法にあつては0・05mg/mlとし、その他についてはトリクロロエチレン等の取扱いに準拠するものとする。