法令・告示・通達

産業廃棄物の処理対策の推進について

公布日:昭和50年09月12日
環整75号

(各都道府県知事・各政令市長あて厚生省環境衛生局水道環境部長通達)

 産業廃棄物の処理対策の推進については、常々御配慮いただいているところであり、昭和四八年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行における当面対処すべき問題点について」(昭和四八年三月二三日環整第一四号環境整備課長通知)により当面の留意事項について指示したところにより各般の配慮をいただいていることと思料されるが、最近の六価クロム含有鉱さい問題に端を発し、産業廃棄物処理行政の一層適切な運用が強く要請されている現下の情況に鑑み、更に左記の点に留意のうえ、関係当局とも連絡を密にし、産業廃棄物の適正処理の促進に遺憾なきよう指導の徹低を図られたい。

一 都道府県、政令市における監視指導体制の整備について

  1.  (一) 都道府県、政令市において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)の施行以来、事業者等における産業廃棄物の適正処理を推進させるため、その指導監督に当る担当職員の配置及び資質の向上等に鋭意努力されているものと思われるが、今後さらに複雑多様化が予想される産業廃棄物の処理全般について、一層監視指導の徹底を図り、その適正な処理に資するため、今後とも組織及び人員の充実に努めるとともに、公害担当部局等関係行政機関との情報交換など、その連絡体制を確立し、効果的な行政運営を図られたいこと。
  2.  (二) 産業廃棄物の処理基準に違反した不適正な処理や不法投棄などによる環境汚染を未然に防止するには、その排出から最終処分までの実態を一貫しては握し、事前に適切な指導を行うことが必要である。
       特に有害物質を含む産業廃棄物については、人の健康及び環境に与える影響の重大性に鑑み、公害担当部局、下水道担当部局等と十分連絡をとつて、これを排出する事業場のリストアツプを行うとともに、計画的に事業者、産業廃棄物処理業者を巡回指導し、同時に情報の収集に努め、その排出し、又は取扱う産業廃棄物の種類、量、組成、有害性、処理状況等を確実には握するなど、重点的に監視指導を行われたいこと。なお、その際には、先般送付済みの昭和四九年度厚生省委託研究「有害物質を含む産業廃棄物の発生過程に関する調査研究」等の調査研究結果も参考に供されたいこと。
  3.  (三) 法第一一条に基づく産業廃棄物処理計画は、各都道府県における産業廃棄物処理行政の中核をなすものとして各地域の産業構造等を反映しながら策定されるべきものであり、各道府県、事業者等が各般の対策をすすめるうえでの指針となるべきものである。
       この計画が現在未策定の一八都府県においてはその策定を急ぐとともに、既に策定済みの二九道府県においても随時必要な調査を行つて、その内容の充実に努められたいこと。なおその際には、先般送付済みの昭和四九年度厚生省委託研究「産業廃棄物に関する情報管理および監視システムに関する調査研究」や、近日送付予定の昭和四九年度厚生省委託研究「産業廃棄物の分類および実態調査の手法に関する調査研究」等を参考とされたいこと。

二 事業者に対する指導監督について

  1.  (一) 産業廃棄物の処理は、これを排出する事業者が自らの責任において処理するのが原則であるが、無許可業者への委託など産業廃棄物処理に関する事業者責任の原則がなお十分に認識されていない事例がみられるので、商工会議所等の事業者の組織を活用してその責任意識の徹底を図るとともに、産業廃棄物処理施設(処分地を含む。)についても事業者がまず自らこれを整備、確保し、その排出する産業廃棄物を自己の責任において適正に処理するよう指導されたいこと。
       また、事業者が産業廃棄物処理業者に処理を委託する際には、相手方が法第一四条に基づく許可を得ている者であることを確認するとともに、委託する産業廃棄物の種類、量、組成、有害性等の内容を相手方に充分知らしめるよう指導されたいこと。
  2.  (二) 特に有害物質を含む産業廃棄物については、その発生量及び排出量のは握、適正な保管並びに処理基準の遵守について強力に指導するとともに、その排出及び処理に関する記録を作成し、保存するよう指導されたいこと。
       また、事業所内の有害な産業廃棄物の排出から処分までを一貫して常時は握するとともに指導監督の窓口ともなる部署を明確にさせるなど、事業所の内部組織の整備について指導を行われたいこと。
  3.  (三) 中小企業者が行う産業廃棄物の処理については、個々の事業者に対する監視指導とともに、これが円滑な処理を推進するためには、中小企業振興事業団等の共同公害防止設備に対する融資のあつせんなどを積極的に行い、その共同処理化を推進するとともに、中小企業設備近代化資金の活用などについても十分配慮されたいこと。

三 産業廃棄物処理業者に対する指導監督について

  1.  (一) 産業廃棄物処理業は、事業者責任の原則を補完するものとして、産業廃棄物処理体系の中にあつて重要な役割を担うものであり、その健全な発展を推進する必要があるが、産業廃棄物の広域的動きに対応し、その営業区域も広域化しつつあるため、産業廃棄物処理業者の許可手続の基本的取扱いを統一することとし、別途その取扱いについて通知するので、これに従つて許可制度の運用が円滑に行われるよう努められたいこと。また、許可業者に対してその取扱つた産業廃棄物の処理に関して記録を作成し、保存するよう指導されたいこと。
  2.  (二) 産業廃棄物処理業者による不適正な処理を防止するには、その資質、能力の向上を図ることが不可欠であるが産業廃棄物処理業者に関する認定講習会を利用して、既存の許可業者についても必要に応じてこれを再履習するよう指導し、あるいは都道府県において独自に講習を行うなど、その育成、指導に尽力されたいこと。
  3.  (三) 最近、無許可業者による違法行為の例が見られるが、排出事業者の処理の委託先の調査結果と許可業者のリストを照合する等の方法によつてその発見に努め、一方で許可基準に適合する者については許可をとらせるよう必要な指導を行うとともに、他方で悪質な無許可業者に対しては、捜査当局とも連絡をとり、場合によつては告発する等厳しい婆勢でこれに対処されたいこと。