法令・告示・通達
産業廃棄物管理票に関する報告書及び電子マニフェストの普及について
環廃産061227006号
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長あて)
今般、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成18年環境省令第23号。以下「改正省令」という)を平成18年7月26日に公布したところであり、この改正省令において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号。以下「施行規則」という)様式第3号を改正し、また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成12年厚生省令第115号)を改正したので通知する。なお、貴職におかれては、下記の事項に留意の上、その運用に遺漏なきを期されたい。
なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。
記
第一 改正の趣旨
産業廃棄物管理票(以下「管理票」という)については、排出事業者がその処理を委託した産業廃棄物の移動の状況、処理の状況等を自ら把握することにより、排出事業者に対する責任を明確にするため、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第12条の3第1項に基づいて、排出事業者に管理票の交付を義務付けているところである。また、行政が産業廃棄物の流れを管理票により把握することができるよう、法第12条の3第6項に基づいて産業廃棄物管理票交付者は管理票に関する報告書を作成し、これを都道府県知事又は政令市長(以下「都道府県知事」という。)に提出することが義務とされている。本規定は、管理票の電子化が進捗すれば地方公共団体が排出事業者の委託状況を容易に把握することができるため有効なものであるが、実際には管理票の電子化が進展せず、その適用を猶予していたところである。
管理票の代わりに電子情報処理組織を使用した登録及び報告(以下「電子マニフェスト」という。)による場合は、法第12条の5に規定する電子情報処理組織を使用した法第13条の2第1項に規定する情報処理センター(以下「情報処理センター」という。)で情報が一括管理されるため、偽造がされにくく、不法投棄等の不適正処理の防止に資するものである。このことから、電子マニフェストの普及は急務となっており、平成17年3月30日付環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知「電子マニフェストの普及促進について」においても、その普及啓発について貴都道府県・政令市に対して協力を依頼したところであるが、先般、内閣総理大臣を本部長とするIT戦略本部で決定された『IT新改革戦略』(平成18年1月19日決定)において、平成22年度には電子マニフェストの普及率を50%とする目標が設定され、政府全体として電子マニフェストを一層推進していくこととなった。
このような状況を踏まえ、情報処理センターにおけるシステムの改善を行ったところであり、目標達成に向け、関係者が協力して普及促進活動をいっそう強化し、もって不法投棄等の不適正処理の防止に資する必要がある。
以上のように、電子マニフェストが急速に進展していくと見込まれることにかんがみ、今般、管理票の報告に関する適用猶予期間を具体的に設定する改正を行うこととしたものである。
併せて、循環型社会の実現に向け、産業廃棄物に関する基礎的な統計データの精度を高めることが求められていることにかんがみ、管理票に関する報告書の内容に排出量等必要な項目を追加することとしたものである。
第二 改正の内容
1 適用猶予措置について
適用猶予期間を平成20年4月1日までとする。これにより、産業廃棄物を排出する事業者は、事業場ごとに、その年の6月30日までに、その年の3月31日以前の1年間(初年度は平成20年6月30日までに、平成19年4月1日から平成20年3月31日までの1年間)において交付した産業廃棄物管理票の交付等の状況(産業廃棄物の種類及び排出量、管理票の交付枚数等)に関し、様式第3号により報告書を作成し、当該事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出することとする。
ただし、電子マニフェストを利用した場合にあっては、法第12条の5第8項の規定により、情報処理センターが集計して都道府県知事に報告を行うため、事業者が自ら都道府県知事に報告する必要はない。
このことを踏まえ、都道府県及び政令市においては、管下の事業者(排出者としての地方公共団体を含む。)に対し、管理票に関する行政報告について、周知方お願いする。
2 報告書の取扱いについて
都道府県及び政令市においては、管下の報告書の内容を集計する等により、管下の循環型社会形成に向けた計画や、法第5条の5に規定する都道府県廃棄物処理計画の立案等に活用されたい。
なお、報告書の活用に当たり、排出量の記載に係る単位の誤り等、報告書の内容に著しい不備がある場合においては、産業廃棄物管理票交付者に対して単位の確認を行う等、適切な対応を図ることとされたい。
3 様式について
施行規則様式第3号において、従来は産業廃棄物の種類、管理票の交付枚数、運搬受託者の氏名又は名称、運搬受託者の許可番号、運搬先の住所、処分受託者の氏名又は名称、処分受託者の許可番号及び処分場所の住所を記載することとしていたところであるが、これらに加え、当該事業者の業種及び排出量の項目を追加することとする。
この際、記入に当たっては以下に留意されたいこと。
- (1)業種
日本標準産業分類における事業区分(中分類)に準拠することとする(別添1参照。) - (2)産業廃棄物の種類
法第2条第4項、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第2条及び第2条の4の区分に準拠することとする。
ただし、電気製品が廃棄物になったもの等、やむを得ず複数の種類の産業廃棄物が混合している場合にあっては、混合廃棄物として取り扱うことも可能であることとする(別添2準拠のこと)。 - (3)排出量
単位には「トン」を用いて記載することとする。実際に委託した産業廃棄物の具体的なトン数を記載することを基本とするが、それが困難な場合にあっては、廃棄物の種類ごとに立方メートルとトンの換算例(参考値)を別添2に整理しているので、これを参考に記入することも可とする。なお、この換算表はあくまでマクロ的な重量を把握するための参考値という性格のものであることに留意されたい。
また、電子マニフェストを使用する場合であって、トン数での報告でない場合にあっては、情報処理センターにおいて別添2の換算表に基づき換算するという取扱いとすることにする。 - (4)石綿含有産業廃棄物
収集運搬又は処分を委託した産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物が含まれる場合はその旨を記載するとともに、各事項について石綿含有産業廃棄物が含まれていることを明らかにすることとする。
4 その他の行政報告の電子化について
電子マニフェストを利用しない事業者の行政報告、多量排出事業者の実績報告(法第12条第8項)、地方公共団体独自で実施している報告の徴収(地方分権改革の際に廃止された旧施行規則第14条に相当するもの)についても、報告者及び地方公共団体の負担を可能な限り軽減する観点から、様式の全国統一化及び電子化について地方公共団体等の関係者も交えて検討しているところである。
第三 電子マニフェストの普及について
環境省としては不法投棄及び不適正処理の未然防止に資するべく、「IT新改革戦略」の目標を達成できるよう電子マニフェストの使用を排出事業者、産業廃棄物処理事業者に強力に働きかけているところである。貴都道府県及び政令市におかれても、下記に示すような利点を紹介しつつ、貴管下の排出事業者、処理業者及び地方公共団体に対し、電子マニフェストの加入促進について、説明会を開催する等により、特に④の観点から本年度中の加入を勧めるなどその普及促進を図られたい。
また、地方公共団体や関連団体が排出する産業廃棄物に関しても、率先して電子マニフェスト導入に取り組まれるよう、特に普及啓発に努められたい。
【電子マニフェスト導入の利点】
①事務の効率化
- ・パソコンや携帯電話から簡単に登録・報告が可能
- ・排出事業者による管理票の保存が不要
- ・廃棄物の処理状況の確認が容易
- ・管理票データの加工が容易
- ・事務効率化による人件費の削減
②法令の遵守
- ・管理票の誤記・記載漏れを防止
- ・排出事業者が処理委託した廃棄物の処理終了確認期限を自動的に通知し、確認漏れを防止
③データの透明性
- ・管理票の偽造を防止
- ・管理票情報を第三者である情報処理センターが管理・保存
④管理票交付状況の行政報告
- ・電子マニフェスト利用分は、情報センターが報告するため排出事業者の報告が不要
(別添1)
日本標準産業大・中分類一覧(平成14年3月改訂)
A農業
- 01農業
B林業
- 02林業
C漁業
- 03漁業
- 04水産養殖業
D鉱業
- 05鉱業
E建設業
- 06総合工事業
- 07職別工事業(設備工事業を除く)
- 08設備工事業
F製造業
- 09食料品製造業
- 10飲料・たばこ・飼料製造業
- 11繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く)
- 12衣服・その他の繊維製品製造業
- 13木材・木製品製造業(家具を除く)
- 14家具・装備品製造業
- 15パルプ・紙・紙加工品製造業
- 16印刷・同関連業
- 17化学工業
- 18石油製品・石炭製品製造業
- 19プラスチック製品製造業(別掲を除く)
- 20ゴム製品製造業
- 21なめし革・同製品・毛皮製造業
- 22窯業・土石製品製造業
- 23鉄鋼業
- 24非鉄金属製造業
- 25金属製品製造業
- 26一般機械器具製造業
- 27電気機械器具製造業
- 28情報通信機械器具製造業
- 29電子部品・デバイス製造業
- 30輸送用機械器具製造業
- 31精密機械器具製造業
- 32その他の製造業
G電気・ガス・熱供給・水道業
- 33電気業
- 34ガス業
- 35熱供給業
- 36水道業
H情報通信業
- 37通信業
- 38放送業
- 39情報サービス業
- 40インターネット附随サービス業
- 41映像・音声・文字情報制作業
I運輸業
- 42鉄道業
- 43道路旅客運送業
- 44道路貨物運送業
- 45水運業
- 46航空運輸業
- 47倉庫業
- 48運輸に附帯するサービス業
J卸売・小売業
- 49各種商品卸売業
- 50繊維・衣服等卸売業
- 51飲食料品卸売業
- 52建築材料,鉱物・金属材料等卸売業
- 53機械器具卸売業
- 54その他の卸売業
- 55各種商品小売業
- 56織物・衣服・身の回り品小売業
- 57飲食料品小売業
- 58自動車・自転車小売業
- 59家具・じゅう器・機械器具小売業
- 60その他の小売業
K金融・保険業
- 61銀行業
- 62協同組織金融業
- 63郵便貯金取扱機関,政府関係金融機関
- 64貸金業,投資業等非預金信用機関
- 65証券業,商品先物取引業
- 66補助的金融業,金融附帯業
- 67保険業(保険媒介代理業,保険サ-ビス業を含む)
L不動産業
- 68不動産取引業
- 69不動産賃貸業・管理業
M飲食店,宿泊業
- 70一般飲食店
- 71遊興飲食店
- 72宿泊業
N医療,福祉
- 73医療業
- 74保健衛生
- 75社会保険・社会福祉・介護事業
O教育,学習支援業
- 76学校教育
- 77その他の教育,学習支援業
P複合サービス事業
- 78郵便局(別掲を除く)
- 79協同組合(他に分類されないもの)
Qサービス業
- 80専門サービス業(他に分類されないもの)
- 81学術・開発研究機関
- 82洗濯・理容・美容・浴場業
- 83その他の生活関連サービス業
- 84娯楽業
- 85廃棄物処理業
- 86自動車整備業
- 87機械等修理業(別掲を除く)
- 88物品賃貸業
- 89広告業
- 90その他の事業サービス業
- 91政治・経済・文化団体
- 92宗教
- 93その他のサービス業
- 94外国公務
R公務(他に分類されないもの)
- 95国家公務
- 96地方公務
S分類不能の産業
- 99分類不能の産業
(別添2)
産業廃棄物の体積から重量への換算係数(参考値)
産業廃棄異物の種類
|
換算係数
|
|
---|---|---|
1
|
燃え殻
|
1.14
|
2
|
汚泥
|
1.10
|
3
|
廃油
|
0.90
|
4
|
廃酸
|
1.25
|
5
|
廃アルカリ
|
1.13
|
6
|
廃プラスチック
|
0.35
|
7
|
紙くず
|
0.30
|
8
|
木くず
|
0.55
|
9
|
繊維くず
|
0.12
|
10
|
食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
|
1.00
|
11
|
とさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物
|
1.00
|
12
|
ゴムくず
|
0.52
|
13
|
金属くず
|
1.13
|
14
|
ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶磁器くず
|
1.00
|
15
|
鉱さい
|
1.93
|
16
|
工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
|
1.48
|
17
|
動物のふん尿
|
1.00
|
18
|
動物の死体
|
1.00
|
19
|
ばいじん
|
1.26
|
20
|
産業廃棄物を処分するために処理したものであって、前各号に掲げる産業廃棄物に該当しないもの
|
1.00
|
21
|
建設混合廃棄物
|
0.26
|
22
|
廃電気機械器具
|
1.00
|
23
|
感染性産業廃棄物
|
0.30
|
24
|
廃石綿等
|
0.30
|
- 【註1】上記の換算係数は1立方メートル当たりのトン数(t/立米)。
- 【註2】この換算表はあくまでマクロ的な重量を把握するための参考値という位置付けであることに留意されたい。
- 【註3】特別管理産業廃棄物のうち、感染性産業廃棄物及び廃石綿等以外については、それぞれ1-19に該当する品目の換算係数に準拠。
- 【註4】「2t車1台」といったような場合には、積載した廃棄物の体積を推計し、それに上記換算係数を掛けることによりトン数を計算する方法がある。