法令・告示・通達

業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器の事故に関する対策について

公布日:平成12年12月13日
生衛発1798号

(厚生省生活衛生局水道環境部長から各保健所設置市長あて(産業廃棄物担当部局扱い))

 業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器については、昭和四七年に製造が中止されているが、現在でも一部の施設において使用が続けられている実態がある。
 こうした状況の中、先般、八王子市等の小学校で蛍光灯の耐用年数を過ぎたPCB使用安定器が破裂し、PCB絶縁油が小学生の身体に付着するという事件が発生した。
 こうした事件は、国民の健康を保持するのみならず、環境汚染を防止する上で見過ごすことのできない事態であることから、政府一体となって対策に取り組む旨別添1のとおり閣議了解されたところである。ついては、貴庁においても、本閣議了解を踏まえ、左記の措置を講じるようご協力願いたい。

  1. 1 今回の事故における事態の緊急性、重要性にかんがみ、地方公共団体の管理する施設・事務所・事業所(以下「施設等」という。)における業務用・施設用照明器具に係るPCB使用安定器について、その使用・保管実態を調査(業務用・施設用照明器具に係るPCB使用安定器の範囲は別添2のとおり)し、原則として平成一三年度末までにその交換を終える等の安全対策(具体的な安全対策は別添3のとおり)を講じること。
  2. 2 1の措置を講じた場合は、処理が実施されるまでの間、取り外されたPCB使用安定器の厳重な保管(具体的な保管方法は別添4のとおり)を徹底すること。

別表
  業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器の事故に関する対策について

(平成一二・一一・二八)
(閣議了解)

 業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器については、昭和四七年に製造が中止されているが、現在でも一部の施設において使用が続けられている実態がある。
 こうした状況の中、先般、八王子市等の小学校で蛍光灯の耐用年数を過ぎたPCB使用安定器が破裂し、PCB絶縁油が小学生の身体に付着するという事件が発生した。
 こうした事件は、国民の健康を保持するのみならず、環境汚染を防止する上で見過ごすことのできない事態であることから、政府は、以下の措置を講じるものとする。

1 今回の事故における事態の緊急性、重要性にかんがみ、使用中の業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器について、原則として平成一三年度末までにその交換を終える等、別紙のとおり緊急の安全対策を講じることとする。 2 環境中に蓄積し人体に有害なPCBを含有する廃棄物について、抜本的な処理方策の確立に取り組んでいくこととする。

  業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器に係る安全対策について

  1. 1 各省庁は、その所掌事務に係る施設・事務所・事業所(以下「施設等」という。)における使用中のPCB使用安定器を用いている業務用・施設用照明器具について、以下の措置を講じる。
    1.  ① 自ら管理する施設等について、PCB使用安定器の使用・保管実態を調査し、原則として平成一三年度末までに交換を終える等の対策を実施する。
    2.  ② 補助金の交付等を行っている施設等(③の施設等を除く。)について、PCB使用安定器の使用・保管実態を調査し、原則として平成一三年度末までに交換を終える等の対策を講じるよう設置者に対し要請する。
    3.  ③ 地方公共団体の管理する施設等について、PCB使用安定器の使用・保管実態を調査し、原則として平成一三年度末までに交換を終える等の対策を講じるよう地方公共団体に対し周知する。
    4.  ④ その他の施設等について、各々実態把握に努め、交換する等の対策を講じるよう周知する。
  2. 2 各省庁は、1の措置を講じた場合の保管者に対し、取り外されたPCB使用安定器の厳重な保管が徹底されるよう周知する。
  3. 3 環境庁、厚生省及び通商産業省(平成一三年一月六日以後は、経済産業省及び環境省)は、PCB使用安定器に係る業務用・施設用照明器具の範囲及びその安全対策並びに保管の方法等に関し、ホームページ等を活用して広く情報を提供するとともに、通商産業省(平成一三年一月六日以後は、経済産業省)は、関係業界に対し、安全対策等の円滑な実施に必要な情報提供等の協力を要請する。

別添2 略

  業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器に係る安全対策の方法

  1. 1 PCB使用安定器に係る業務用・施設用照明器具を確認した場合には、すみやかに当該照明器具の交換又は撤去(以下「交換等」という。)を行う。
  2. 2 ただちに交換等を行うことが困難な場合には、交換等を行うまでの応急措置として、PCB使用安定器に係る照明器具であることを記録したうえで、PCB使用安定器の脱落を防止するため、固定等の必要な措置を講じる。この場合も、すみやかに当該照明器具の交換等を行うことが必要である。

  PCB使用安定器の保管の方法

 PCB廃棄物の保管にあっては、廃棄物処理法施行規則に定められている特別管理産業廃棄物保管基準(規則第八条の一三)に従って保管することが必要である。基準の内容及び具体的に考えられる保管の方法は、次のとおり。

  •  ○周囲に囲いが設けられていること。
    •  (・保管場所に容易に他人が立ち入ることがないようにすべきである。)
    •  (・倉庫や保管庫など施錠できる場所での保管が望ましい。)
  •  ○廃棄物の種類などを表示した掲示板が設けられていること。
      掲示板は縦横それぞれ六〇cm以上とし、以下の事項を表示したものであること。
    1.   ① 特別管理産業廃棄物の保管場所であること。
    2.   ② 保管する特別管理産業廃棄物の種類
    3.   ③ 保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
  •  ○飛散、流出、地下浸透、悪臭が発散しないよう必要な措置を講ずること。
    •  (・ドラム缶などの密閉容器で保管することが望ましい。)
  •  ○ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。
  •  ○他の物が混入するおそれのないよう仕切りを設けること等必要な措置を講ずること。
    •  (・ドラム缶などの密閉容器で保管することが望ましい。)
  •  ○PCB廃棄物については、容器に入れ密封すること等揮発の防止のために必要な措置及び高温にさらされないために必要な措置を講ずること。
    •  (・ドラム缶などの密閉容器で保管することが望ましい。)
    •  (・ボイラー室など高温にさらされる場所は避けるべきである。)
  •  ○PCB汚染物又はPCB処理物については、腐食防止のために必要な措置を講ずること。
    •  (・ドラム缶などの密閉容器で保管することが望ましい。)