法令・告示・通達

一般廃棄物焼却施設の維持管理状況等の調査の結果について

公布日:平成11年06月18日
衛環54号

(各都道府県・政令市一般廃棄物行政主管部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)

 一般廃棄物焼却施設の構造及び維持管理の状況については、平成一〇年一一月六日付け衛環第八九号当職通知により、都道府県を通じ、各市町村に対し調査の実施を指示するとともに、その調査結果を取りまとめの上、当職あて報告するようお願いしたところであるが、今般、厚生省において、報告内容を取りまとめたので、御参考までに送付する。
 今回の調査の結果、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)に基づく構造及び維持管理基準に適合しない一般廃棄物焼却施設があることが明らかとなったが、このような施設については、早急に改善措置を講じるよう貴管下市町村を指導されたい。
 なお、改善措置を講じるに当たり、施設の構造の変更に長期間施設を休止させる必要があり、一般廃棄物処理の継続的な実施に支障を生じるため早急な改善が困難である施設については、具体的な改善計画を策定させるとともに、改善計画に基づき施設の構造の変更等を行うまでの間は、排ガス中のダイオキシン類濃度を継続して測定し、排出基準に適合していることを確認するものとする。

   一般廃棄物焼却施設の維持管理状況等の調査の結果について

 市町村の設置する一般廃棄物焼却施設について、構造・維持管理基準の適合状況等について自主点検を行うよう、平成一〇年一一月六日、都道府県を通じ市町村に対し指示するとともに、市町村の実施した点検結果について、都道府県において取りまとめの上、厚生省に報告するよう指示。
 今般、厚生省において、都道府県からの報告を取りまとめたので公表するもの。
 なお、調査対象は、基準が適用される全施設一、五九六施設である。

一 経過等

  ダイオキシン対策については、平成九年八月に廃棄物処理法に基づく政省令の改正を行い、廃棄物焼却施設の構造・維持管理基準を強化し、排ガス中のダイオキシン類濃度排出基準を設定。
  構造・維持管理基準は、新設の焼却施設に関しては、すべての基準について平成九年一二月一日から、既設の焼却施設に関しては、一部の基準について経過措置期間を設け、平成一〇年一二月一日、平成一四年一二月一日から段階的に施行。(別添参考資料参照)
  市町村においては、規制強化に対応して、施設の改造、維持管理の徹底等のダイオキシン削減対策を講じてきており、市町村の設置する一般廃棄物焼却施設からのダイオキシン類の総排出量は、平成一〇年一一月時点で、基準改正前の平成九年一月時点の約三割にまで削減。
  なお、平成九年一二月一日から平成一〇年一一月三〇日までに測定された全国の一般廃棄物焼却施設の排ガス中のダイオキシン類濃度(厚生省ホームページ参照、基準超過の四施設は休・廃止)によれば、稼働中の施設で排出基準を超過している施設はない。
  厚生省においては、豊能郡美化センターの事例も踏まえ、さらにダイオキシン削減対策を推進するため、平成一〇年一一月六日、市町村の設置する一般廃棄物焼却施設について、都道府県を通じ市町村に対し、構造・維持管理基準の適合状況等について自主点検を行い、その結果を踏まえ必要な改善等を実施するよう指示。

二 調査結果及び対応

  本調査においては、市町村において、自主点検の結果に基づき焼却施設の構造・維持管理の状況及び改善計画等を記入し、都道府県において基準に適合しているか否かの判断を行っており、厚生省には、都道府県から各基準への適合状況等について報告があったが、基準対応施設数、未対応施設数は別紙のとおり。
  なお、全施設の施設毎の各基準の適合状況等については、厚生省の発表と同時に、都道府県により公表。
  基準に適合していない施設については、平成九年一二月一日から平成一〇年一一月三〇日までに測定された全国の一般廃棄物焼却施設の排ガス中のダイオキシン類濃度(厚生省ホームページ参照、基準超過の四施設は休・廃止)では、排ガス中のダイオキシン類濃度排出基準を満たしているが、ダイオキシン類の確実な低減を図るため、早急に必要な改善措置を講じるよう、都道府県を通じ市町村を指導。
  ただし、施設の構造の変更に長期間施設を休止させる必要があり、一般廃棄物処理の継続的な実施に支障を生じるため早急な改善が困難である施設については、具体的な改善計画を策定するとともに、改善を実施するまでの間、排ガス中のダイオキシン類濃度を継続して測定し、排出基準に適合していることを確認するよう都道府県を通じ市町村を指導。

別表

  構造・維持管理基準への対応状況

 1 平成10年12月1日から適用される基準(平成9年12月1日から適用される基準を含む。)
   (凡例)
  1.         ① 調査時点(平成10年11月)で既に基準に対応できている施設数
  2.         ② 調査時点(平成10年11月)では基準に対応できていない施設数
区分
基準
合計
構造基準
燃焼ガスが800℃以上の状態で燃焼できる燃焼室を設置すること。
1,401
195
1,596
連続燃焼式では外気と遮断された燃焼室を設置すること。
450
1
(注1)
451
助燃装置を設置すること。
1,541
55
1,596
必要な空気を供給できる設備を設けた燃焼室(供給空気量を調節する機能を有するもの)を設置すること。
1,539
57
1,596
燃焼ガスの温度を連続的に測定・記録する装置を設置すること。
1,505
91
1,596
連続燃焼式の場合、ガス冷却設備を設置すること。
446
5
(注1)
451
生活環境保全上の支障が生じないようにすることができる排ガス処理設備を設置すること。
1,491
35
(注2)
1,526
ばいじん又は焼却灰が飛散・流出しない灰出し設備を設置すること。
1,524
72
1,596
維持管理基準
ピット・クレーン方式によってごみを投入する場合には、常時、廃棄物を均一に混合すること。
1,321
4
(注3)
1,325
燃焼ガスの温度を800℃以上に保つこと。
1,474
119
1,593
焼却灰の熱しゃく減量が10%以下になるように焼却すること。
1,418
175
1,593
運転開始時は、助燃装置を作動させる等により、炉温を速やかに上昇させること。
1,486
107
1,593
運転停止時は、助燃装置を作動させる等により、燃焼室の炉温を高温に保ち燃焼し尽くすこと。
1,412
181
1,593
燃焼ガスの温度を連続的に測定・記録すること。
1,490
103
1,593
排ガス処理設備・冷却設備に堆積したばいじんを除去すること。
1,527
33
(注4)
1,560
排ガス中のダイオキシン類濃度が基準以下となるように焼却すること。
1,583
10
1,593
排ガス中のダイオキシン類濃度を年1回以上測定・記録すること。
1,526
67
1,593


 注 対象施設数は構造基準については1,596施設、維持管理基準については休止中の3施設を除く1,593施設。
   合計施設数が対象施設数に一致しない理由は次のとおり。

  •  (注1) 連続燃焼式の施設に限られるため。
  •  (注2) 処理能力5t/日未満の施設には適用されないため。
  •  (注3) ピット・クレーン方式の施設に限られるため。
  •  (注4) 排ガス処理設備・冷却設備のない施設があるため。
 2 平成14年12月1日から適用される基準
   (凡例)
  1.         ① 調査時点(平成10年11月)で既に基準に対応できている施設数
  2.         ② 調査時点(平成10年11月)では基準に対応できていない施設数
区分
基準
合計
構造基準
外気と遮断された状態で、廃棄物を定量ずつ、連続的に燃焼室に供給できる供給装置を設置すること。(ただし、ガス化燃焼方式又は2t/h未満の焼却施設を除く。)
1,312
174
(注1)
1,486
集じん器に流入する燃焼ガスの温度を連続的に測定・記録する装置を設置すること。
1,358
213
(注2)
1,571
排ガス中のCOの濃度を連続的に測定・記録する装置を設置すること。
916
680
1,596
ばいじんを焼却灰と分離して排出し、貯留することができる灰出し設備・貯留設備を設置すること。(ただし、ばいじん及び焼却灰を溶融固化、セメント固化、薬剤処理、酸抽出処理する場合を除く。)
638
943
(注1)
1,581
維持管理基準
燃焼室への廃棄物の投入は、外気と遮断した状態で定量ずつ連続的に行うこと。(ただし、ガス化燃焼方式又は2t/h未満の焼却施設を除く。)
1,286
195
(注1)
1,481
集じん器に流入する燃焼ガスの温度をおおむね200℃以下に冷却すること。(ただし、集じん器内で速やかに200℃以下冷却可能な場合を除く。)
598
968
(注3)
1,566
集じん器に流入する燃焼ガスの温度を連続的に測定・記録すること。
1,346
223
(注4)
1,569
排ガス中のCO濃度が100ppm以下になるように燃焼すること。
811
782
1,593
排ガス中のCO濃度を連続的に測定・記録すること。
908
685
1,593
ばいじんと焼却灰を分離して排出し、貯留すること。(ただし、ばいじん及び焼却灰を溶融固化、セメント固化、薬剤処理、酸抽出処理する場合を除く。)
605
971
(注1)
1,576


 注 対象施設数は構造基準については1,596施設、維持管理基準については休止中の3施設を除く1,593施設。
   合計施設数が対象施設数に一致しない理由は次のとおり。

  •  (注1) ただし書きの施設には適用されないため。
  •  (注2) 集じん器のない施設があるため。
  •  (注3) 集じん器のない施設、ただし書きの施設には適用されないため。
  •  (注4) 集じん器のない施設があるため。


 略