法令・告示・通達

特定悪臭物質の測定の方法

公布日:昭和47年05月30日
環境庁告示9号

[改正]

昭和51年9月22日 環境庁告示47号
昭和59年3月21日 環境庁告示7号
平成1年10月13日 環境庁告示47号
平成5年9月8日 環境庁告示72号
平成6年4月21日 環境庁告示39号
平成8年2月22日 環境庁告示4号
平成12年3月28日 環境庁告示17号
平成29年6月30日 環境省告示59号
平成30年9月21日 環境省告示78号
令和2年1月23日 環境省告示8号

 悪臭防止法施行規則第五条の特定悪臭物質の測定の方法は、次の各号に掲げるとおりとする。

  1. 一 アンモニア 別表第一に掲げる方法
  2. 二 メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル及び二硫化メチル 別表第二に掲げる方法
  3. 三 トリメチルアミン 別表第三に掲げる方法
  4. 四 アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド及びイソバレルアルデヒド 別表第四に掲げる方法
  5. 五 イソブタノール 別表第五、別表第九又は別表第十に掲げる方法
  6. 六 酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン 別表第六、別表第九又は別表第十に掲げる方法
  7. 七 トルエン及びキシレン 別表第七、別表第九又は別表第十に掲げる方法
  8. 八 スチレン 別表第七又は別表第十に掲げる方法
  9. 九 プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸及びイソ吉草酸 別表第八に掲げる方法

     (平元環庁告四七・平五環庁告七二・平八環庁告四・令二環省告八・一部改正)

附則

 令和二年二月一日から適用する。

別表第1

アンモニアの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) 捕集溶液

    ほう酸5gを水に溶解して全量を1lとしたもの

  (2) フェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(Ⅲ)酸ナトリウム溶液

    フェノール5g及びペンタシアノニトロシル鉄(Ⅲ)酸ナトリウム二水和物25mgを水に溶解して全量を500mlとしたもの(この溶液を保存する場合は、冷暗所に保存し、調製後1か月以上経過したものは使用しないものとする。)

  (3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液

    次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素3~10%)60/Cml(ここで、Cは調製時に日本工業規格K0102の36の注3に定める方法により定量した次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素の濃度(単位%)を表すものとする。)、水酸化ナトリウム10g及びりん酸水素二ナトリウム十二水和物35.8gを水に溶解して全量を1lとしたもの(この溶液は、使用の都度調製するものとする。)

  (4) アンモニア標準溶液

    130℃で乾燥した硫酸アンモニウム0.295gを水に溶解して全量を1lとしたものの一部を分取し、これを捕集溶液で50倍に希釈したもの(この溶液1mlは、アンモニア2μl(0℃、1気圧)に相当するアンモニウムイオンを含む。)

 2 装置

   装置は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料捕集装置

    別図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているものとする。

  1.    ア 吸収瓶は、容量が200mlで、半溶融ガラス製のろ過球(注1)が装着されているものを使用し、この中に20mlの捕集溶液を入れ、2本を直列に連結したものであること。
  2.    イ 吸引ポンプは、吸収瓶を装着した状態で、10l/min以上の大気を吸引できる能力を有するものであること。
  3.    ウ ガスメーターは、5~15l/minの範囲の流量を測定し得るものであること。
  (2) 光度計

    分光光度計又は光電光度計

  •    (注1) 瓶内が負圧にならないように十分目の粗いものを使用すること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 試料の捕集

    2の試料捕集装置に10l/minの流量で5分間大気を吸引して、捕集溶液中に試料を捕集する。

  (2) 分析用試料溶液の調製

    捕集後2本の吸収瓶中の捕集溶液を合わせて容量50mlのメスフラスコに移し、更に吸収瓶の内部を捕集溶液で洗浄し、洗浄液を加えて定容する。この溶液10mlを共栓付試験管に採り、分析用試料溶液とする。

  (3) 吸光度の測定

    分析用試料溶液にフェノール・ペンタシアノニトロシル鉄(Ⅲ)酸ナトリウム溶液5mlを加え、よく振り混ぜた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液5mlを加え、栓をして静かに混和する。液温を25~30℃に保ち1時間放置した後、波長640nm付近における吸光度を測定する。対照液には、捕集溶液を分析用試料溶液の場合と同様に操作したものを用いる。

  (4) 検量線の作成

    アンモニア標準溶液0~40mlを段階的に採り、それぞれ捕集溶液を加えて50mlとした後、その溶液10mlを共栓付試験管に採る。これらの溶液を分析用試料溶液の吸光度の測定と同様に操作し、検量線を作成する。

  (5) 濃度の算出

    (4)の検量線により分析用試料溶液中のアンモニアの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
    C=(5A)/(V×(273/(273+t))×(P/101.3))
    この式において、Cは大気中のアンモニアの濃度(単位ppm)、Aは分析用試料溶液中のアンモニアの量(単位μl)、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位l)、tはガスメーターにおける温度(単位℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位kPa)を表すものとする。

備考
  1.  1 本文3の(1)の操作において、ろ過球の目詰まりその他のやむを得ない理由により、10l/minの一定流量で通気する事が困難であり、かつ、分析感度に十分余裕がある場合には、若干低い流量で通気しても差し支えない。
  2.  2 試料の水分が少なく、吸着のおそれがないと考えられる場合には、別表第2の第1の2の(1)のア及び(2)(注2)に示す装置及び器具を用いて、同表の第1の3の(2)のアに示す操作によりいったん試料採取袋に試料ガスを採取しても差し支えない。この場合は試料採取袋に採取した試料ガスを可及的速やかに本表本文2の(1)に示す試料捕集装置を用いて本文3の(1)(注3)に示す操作により捕集すること。
    •   (注2) 試料採取袋の内容積は50l程度のものを用いること。
    •   (注3) 10l/minの一定流量で通気する事が困難である場合には、低い流量で通気しても差し支えないこと。
  3.  3 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 敷地境界線における濃度の測定-イオンクロマトグラフ法

  日本工業規格K0099に定める方法により測定するものとする。ただし、インドフェノール青吸光光度法を除く。

備考
  1.  1 試料の捕集の際、ガラスろ過板の目詰まりその他のやむを得ない理由により、10L/minの一定流量で通気する事が困難であり、かつ、分析感度に十分余裕がある場合には、若干低い流量で通気しても差し支えない。
  2.  2 試料の水分が少なく、吸着のおそれがないと考えられる場合には、別表第2の第1の2の(1)のア及び(2)(注1)に示す装置及び器具を用いて、同表の第1の3の(2)のアに示す操作によりいったん試料採取袋に試料ガスを採取しても差し支えない。この場合は試料採取袋に採取した試料ガスを可及的速やかに第1の2の(1)に示す試料捕集装置を用いて第1の3の(1)(注2)に示す操作により捕集すること。
    •   (注1) 試料採取袋の内容積は50L程度のものを用いること。
    •   (注2) 10L/minの一定流量で通気する事が困難である場合には、低い流量で通気しても差し支えないこと。
  3.  3 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第3 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、同規格K0099に定める方法により測定した排出ガス中のアンモニアの濃度を乗じて算出するものとする。

備考

  この測定方法における用語その外の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

別図 試料捕集装置

図:試料捕集装置

別表第2

メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル及び二硫化メチルの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定

 1 試薬

   メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル及び二硫化メチルの測定に用いる校正用ガスは、パーミエーションチューブ法若しくはこれと同等以上の精度を有する方法又は次に掲げるところにより、使用の都度調製したものを用いるものとする。調製に用いる校正用ガス瓶は、第1図に掲げる形状のほう硅〈けい〉酸ガラス製の瓶にかくはん用ふっ素樹脂片を入れたものであって、容量が既知で、あらかじめ内部を10規定のりん酸で洗い、水洗し、乾燥した後、窒素ガスで置換したものとする。

  (1) メチルメルカプタン校正用ガス

    純度98%以上のメチルメルカプタンガス1mlをガスシリンジに採取し、校正用ガス瓶にシリコーンゴム栓を通して注入し、かくはんした後、10分間以上放置したもの

  (2) 硫化水素校正用ガス

    純度98%以上の硫化水素ガス1mlをガスシリンジに採取し、校正用ガス瓶にシリコーンゴム栓を通して注入し、かくはんした後、10分間以上放置したもの

  (3) 硫化メチル校正用ガス

    硫化メチル3μl(この量は、気体で0.915ml(0℃、1気圧)に相当する。)をマイクロシリンジに採取し、校正用ガス瓶にシリコーンゴム栓を通して注入し、気化させた後、かくはんし、更に10分間以上放置したもの

  (4) 二硫化メチル校正用ガス

    二硫化メチル4μl(この量は、気体で1.00ml(0℃、1気圧)に相当する。)をマイクロシリンジに採取し、校正用ガス瓶にシリコーンゴム栓を通して注入し、気化させた後、かくはんし、更に10分間以上放置したもの

 2 装置及び器具

   措置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置

    次のいずれかの装置

  1.    ア 試料採取用ポンプであって、10l/min以上の大気を吸引できる能力を有するものであり、かつ、試料ガスの通過部分が交換可能であるもの
  2.    イ 第2図に掲げる構成の試料採取装置(注1)(注2)
  3.    ウ 第3図に掲げる構成の、容量が5l以上の気密性を有する試料ガス採取用吸引瓶であって、内側に試料採取袋を接続したもの
  (2) 試料採取袋

    ポリふっ化ビニルフィルム製、ポリエステル(化合物名ポリエチレンテレフタレート)フィルム製又はこれらと同等以上の保存性能を有する樹脂フィルム製で、内容積が5l程度のもの(注3)

  (3) 試料濃縮管

    第4図に掲げる形状のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ほう硅〈けい〉酸ガラス製又はふっ素樹脂製で内径が4mm程度のものであること。
  2.    イ 内部をりん酸(1+4)で洗い、水洗し、乾燥した後、被検成分の分析に使用するものと同種のガスクロマトグラフ充てん剤又はこれと同等以上の性能を有するものを充てんしたものであること。
  3.    ウ 外部にアルミはくを密に巻き、その上をガラス繊維テープで絶縁し、温度測定用熱電対を取り付け、ガラス繊維管に通したニクロム線を等間隔に巻き、再びガラス繊維テープで固定したものであること。
  (4) ガスクロマトグラフ分析装置

    第5図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ガスクロマトグラフは、炎光光度検出器を有するものであること。
  2.    イ ガスクロマトグラフのキャリヤーガス流路を試料導入部の直前において変更し、不純物除去管及び試料濃縮管に接続したものであること。
  3.    ウ 不純物除去管は、モレキュラーシーブ5A等を充てんし、液体酸素又はこれと同等以上の性能を有する冷却剤(以下「液体酸素等」という。)により冷却したものであること。
  4.    エ カラム槽は、ガラス製又はふっ素樹脂製で、かつ、内径が3mm程度、長さが3~5mのものであって、内面をりん酸(1+4)で洗い、水洗し、乾燥したものであること。
  5.    オ 充てん剤は、粒径180~250μmの白色硅〈けい〉藻土担体を酸で洗った後、ジメチルジクロロシラン処理を行い、β,β′―オキシジプロピオニトリルを25%被覆したもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
  6.    カ 試料導入部の温度は、130℃程度であること。
  7.    キ カラム槽の温度は、70℃程度であること。
  8.    ク キャリヤーガスは、窒素を使用し、その流量は40~50ml/minであること。
    •     (注1) 吸引ケースは、透明樹脂製で密閉できる構造のものであること。
    •     (注2) 吸引ポンプは、1l/min以上の大気を吸引できる能力を有するものであること。
    •     (注3) 薄いものは採取した試料が濃度変化を起こすことがあるため、35μm以上の厚さのものを使用すること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料濃縮管に窒素を流しながら70℃に加熱し、約10分間空焼きする。その後(4)手順により分析を行い、被検成分の保持時間にピークの生じないことを確認する。

  (2) 試料ガスの採取

    2の(1)の試料ガス採取用の装置の種類に応じて、次のいずれかの方法により試料採取袋に試料ガスを採取する。

  1.    ア 2の(1)のアによる場合は、試料採取用ポンプと試料採取袋をシリコンゴム管で接続し、6秒以上30秒以内で5l程度の試料ガスを試料採取袋に採取する。(注4)
  2.    イ 2の(1)のイによる場合は、試料採取袋を吸引ケースに入れ、ふっ素樹脂製コックに接続する。ふっ素樹脂製コック及び吸引コックが開いていることを確認した後、吸引コックに接続した吸引ポンプを作動させ、吸引ケースを減圧することによって5l程度の試料ガスを試料採取袋に採取する。流量の調節は、吸引コック及び吸引ポンプの流量調節によって行い、6秒以上30秒以内で一定流量で採取する。
  3.    ウ 2の(1)のウによる場合は、吸引瓶の2つのコックを開き、袋を接続していない側のコック(以下「コックA」という。)を真空ポンプの吸引部で吸引してガラス容器内を排気することにより、内側に接続した試料採取袋に大気がとりこまれ、ほぼ満杯の状態になったら真空ポンプを停止させる。コックAを閉じ、試料採取袋を接続したコック(以下「コックB」という。)に真空ポンプを接続し、吸引することにより試料採取袋内の大気を完全に排気させ、コックBを閉じる。次に、コックBを開くことにより、6秒以上で試料ガスを試料採取袋に採取する。
  (3) 試料の濃縮

    試料ガス採取後12時間以内に試料採取袋を第6図に掲げるところにより液体酸素等で冷却した試料濃縮管に接続し一定量を吸引することにより、試料採取袋中の被検成分を試料濃縮管に捕集する。

  (4) ガスクロマトグラフ分析

    被検成分を捕集した試料濃縮管を液体酸素等で冷却した状態で第5図に掲げるところによりガスクロマトグラフ分析装置に接続する。試料濃縮管にキャリヤーガスを流し、その流量が安定し、かつ、検出器の応答が十分安定していることを確認した後、試料濃縮管を70℃程度まで約2分間で加熱昇温させ、被検成分をガスクロマトグラフに導入する。

  (5) 検量線の作成

    メチルメルカプタン校正用ガス、硫化水素校正用ガス、硫化メチル校正用ガス若しくは二硫化メチル校正用ガス又はこれらをそれぞれ校正用ガス瓶を用いて適宜希釈したものを、段階的に採り、それぞれ液体酸素等で冷却した試料濃縮管に注入した後、(4)と同様の操作を行うことにより得られるクロマトグラムのピーク高さにより検量線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線により、試料濃縮管に捕集したメチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル又は二硫化メチルの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
    C=(A)/(V×273/(273+t))×(P/101.3))
    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位ppm)、Aは試料濃縮管に捕集した被検成分の量(単位μl)、Vは試料濃縮管に捕集した試料ガスの量(単位l)、tは試料濃縮時の気温(単位℃)、Pは試料濃縮時の大気圧(単位kPa)を表すものとする。

  •    (注4) 試料採取用ポンプの試料ガス通過部分及び試料採取用ポンプと試料採取用袋とを接続するシリコンゴム管は使用の都度交換すること。
備考
  1.  1 校正用ガスの調整方法で、パーミエーションチューブ法(液化ガスを封入したテフロンチューブを恒温槽内に保持し、浸透拡散する液化ガスを希釈ガスで希釈して連続的に微量濃度ガスを得る方法)と同等以上の精度を有する方法として、例えば流量比混合法等を利用してよい。
  2.  2 試料濃縮管及び不純物除去管を冷却するために使用する冷却剤であって液体酸素と同等以上の性能を有するものとして、液体アルゴンその他試料濃縮管充てん剤の捕集効率が液体酸素を使用した場合と比べて同等以上であることが確認されているものを使用してよい。なお、液体窒素は不純物除去管の冷却に使用してもよいが、試料濃縮管の冷却に使用してはならない。
  3.  3 クロマトグラムのピークの分離が悪い場合には、カラム槽を40~70℃程度の範囲で、毎分4℃程度の昇温を行うことができるなど最適分離条件を設定できるものを用いてもよい。
  4.  4 分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを用いてもよい。
  5.  5 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、次に掲げる方法により測定した排出ガス中の硫化水素の濃度を乗じて算出するものとする。

 1 試薬

   第1の1に定めるものと同様とする。

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料採取袋

    第1の2の(1)のア及びイ並びに(2)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料濃縮管

    第1の2の(3)に定めるものと同様とする。

  (3) ガスクロマトグラフ分析装置

    第1の2の(4)に定めるものと同様とする。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 試料ガスの採取

    第1の3の(2)のア及びイに定める操作と同様とする。

  (2) ガスクロマトグラフ分析
  1.    ア 試料ガス採取後12時間以内に試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入する。
  2.    イ アの操作により定量上限を超える場合には、試料ガスの一部をガスシリンジによって正確に分取し、これを第1の1に定める校正用ガス瓶を用いて希釈し、アと同様にガスクロマトグラフ分析を行うものとする。
  3.    ウ アの操作により定量下限に達しない場合には、第1の3の(3)及び(4)に定める操作と同様とする。
  (3) 検量線の作成

    第1の1に定める硫化水素校正用ガスを適宜希釈したものを段階的に採り、それぞれ(2)と同様の操作を行うことにより得られるクロマトグラムのピーク高さにより検量線を作成する。

  (4) 濃度の算出
  1.    ア (2)のア又はイの場合は、(3)の検量線により試料ガス中の硫化水素の量(0℃、1気圧)を求め、第1の3の(6)の式により、その排出ガス中の濃度を算出する。ただし、Cは排出ガスの中の硫化水素の濃度(単位ppm)、Aは硫化水素の量(単位 μl)、Vは試料ガス採取量(単位 l)、tは排出ガスの温度(単位 ℃)、Pは排出ガスの圧力(単位 kPa)とする。
  2.    イ (2)のウの場合は、第1の3の(6)に定める方法と同様とする。
備考

  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第1図 校正用ガス瓶

図:校正用ガス瓶

第2図 試料ガス採取装置

図:試料ガス採取装置

第3図 試料ガス採取装置

図:試料ガス採取装置

第4図 試料濃縮管

図:試料濃縮管

第5図 ガスクロマトグラフ分析装置

図:ガスクロマトグラフ分析装置

第6図 試料濃縮方式

図:試料濃縮方式

第3 排出水中における濃度の測定

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  1.   (1) 塩酸(0.1mol/l)
  2.   (2) 校正用ガス
        第1の1に定めるものと同様とする。
 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  1.   (1) 試料採取瓶
        テフロンパッキン付きの栓のできるガラス瓶又は共栓ガラス瓶で容量500ml~1lのもの
  2.   (2) ホールピペット
        ガラス製で容量50mlのもの
  3.   (3) pH計
  4.   (4) 液体用シリンジ
        樹脂製の適当な容量(1~5ml)のもの
  5.   (5) バイアル
        容量100ml(注射用)のもので、バイアル用ゴム栓で密栓できるもの
  6.   (6) テフロンフィルム(四ふっ化エチレン樹脂フィルム)
        厚さ0.05mmの四ふっ化エチレン樹脂フィルムであって、ゴム栓とバイアルの間に挿入した場合に試料がゴム栓と接触しない大きさのもの
       (注5)
  7.   (7) アルミニウムキャップ
        バイアルとバイアル用ゴム栓を固定できるもの
  8.   (8) アルミニウムキャップ締め器
        アルミニウムキャップをバイアルに締めて固定できるもの
  9.   (9) 恒温水槽
        温度を30℃±0.2℃に調節できるもの
  10.   (10) マイクロシリンジ(気体用)
        容量20~1,000μlの適当な容量のもの(注6)
  11.   (11) ガスクロマトグラフ分析装置
        第1の2の(4)に定めるものと同様とする。
  •    (注5) テフロンフィルムを装着したときと同等以上の性能を有するバイアル用ゴム栓を使用する場合は、テフロンフィルムは使用しなくてもよい。
  •    (注6) 使用の都度窒素でよく洗浄し、被検成分の位置にピークを生じないことを確認すること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    水50mlをバイアルにとり、その後(3)の手順により分析を行い、被検成分の保持時間にピークの生じないことを確認する。

  (2) 試料水の採取

    試料採取瓶に試料水を泡立てないように静かに採取し、気泡が残らないように満水にして密栓する(注7)。

  (3) ヘッドスペース試験
  1.    ア 試料水50mlをガラス製容器にとり(注8)、pH3.0~4.0に調整するのに必要な塩酸の量を求める。
  2.    イ 新たに試料水50mlをホールピペットを用いて静かにバイアルにとる(注9)。
  3.    ウ アで求めた量の塩酸を液体用シリンジで静かに注入する(注10)。
  4.    エ 直ちにテフロンフィルムをバイアルにのせ、バイアル用ゴム栓をし、その上からアルミニウムキャップをのせ、アルミニウムキャップ締め器でバイアルとバイアル用ゴム栓を固定する。
  5.    オ バイアルを手で上下に約30秒間振とうする。
  6.    カ バイアルを30℃の恒温水槽に首まで入れて30分間静置する。
  7.    キ 静置した状態で、アルミニウムキャップの上からバイアル用ゴム栓を通して、マイクロシリンジを用いて気相の一定量(例えば0.2~1ml)をとり、直ちにガスクロマトグラフ試料導入部に直接注入し、ガスクロマトグラフ分析を行う。
  8.    ク バイアル用ゴム栓をはずし、バイアルの中に残っている溶液のpHを測定する。pHが3.0~4.0の範囲になかった場合は、その測定は無効として、再度、アからキの操作を繰り返す。
  (4) 検量線の作成

    メチルメルカプタン校正用ガス、硫化水素校正用ガス、硫化メチル校正用ガス若しくは二硫化メチル校正用ガス又はこれらをそれぞれ校正用ガス瓶を用いて適宜希釈したものを、段階的に採り、ガスクロマトグラフ試料導入部に直接注入することにより得られるクロマトグラムのピーク高さにより検量線を作成する。

  (5) 濃度の算出

    (4)の検量線により、気相中のメチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル又は二硫化メチルの濃度を求め、次式によりその排出水中の濃度を算出する。
     CL=((VL+b・Vg)/(a・VL))・Ch
     a=(TR/T)・KH
     b=((KH・P・MA・10-3)/(R・T))
    この式において、CLは排出水中の被検成分の濃度(単位mg/l)、Chは気相中の被検成分の濃度(単位ppm)、VLは液の体積(単位l)、Vgは気相の体積(単位l、「全容積」-「液の体積」で求める。)、TRはバイアルに試料を注入したときの室温(単位K)、KHはヘンリー定数相当値(単位l/kg、次表の値)、MAは分子量(単位g/mol、次表の値)、Tは恒温槽温度(単位K)、Pは大気圧(単位kPa)、Rは気体定数(8.31kPa・l/mol・K)を表すものとする。

     
 
物質名
KH
MA
 
メチルメルカプタン
83.1
48.11
硫化水素
322
34.08
硫化メチル
38.0
62.14
二硫化メチル
18.4
94.20
     
  •    (注7) 採取後直ちに0~5℃の暗所に保管する。また、被検成分は揮散しやすいので、試料採取後、可及的速やかに分析を行うこと。
  •    (注8) 試料水をとった後の試料採取瓶は直ちに密栓し、再び0~5℃の暗所に保管すること。
  •    (注9) ホールピペット及びバイアルは、あらかじめ0~5℃に冷やしておくこと。
  •    (注10) テフロンフィルムとバイアル用ゴム栓をあらかじめバイアルにかるくのせておき、隙間からシリンジを挿入するとよい。
備考

  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

別表第3

トリメチルアミンの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) 分解試薬

    水酸化カリウム500gを水に溶解して全量を1lとしたもの

  (2) トリメチルアミン標準溶液

    トリメチルアミン水溶液(20~40%)を水で20倍に希釈したものであって、ブロムクレゾールグリーンの0.1%エチルアルコール溶液及びメチルレッドの0.1%エチルアルコール溶液を体積比5対1で混合した指示薬を用いて塩酸(0.1mol/l)で滴定することにより、その含有するトリメチルアミンの濃度が測定されているもの

  (3) エチルアルコール

    ガスクロマトグラフに注入したとき、トリメチルアミンの保持時間にピークを生じないもの

  (4) 捕集溶液

    硫酸を水で360倍に希釈したもの

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料捕集装置

    別表第1の第1の2の(1)に定める装置と同様のもの

  (2) 試料濃縮管

    第1図に掲げる形状のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ほう硅〈けい〉酸ガラス製で内径が4mm程度のものであること。
  2.    イ 内部を水酸化カリウム溶液(100g/l)で洗い、水洗し、乾燥した後、被検成分の分析に使用するものと同種のガスクロマトグラフ充てん剤又はこれと同等以上の性能を有するものを充てんしたものであること。
  3.    ウ 外部にアルミはくを密に巻き、その上をガラス繊維テープで絶縁し、温度測定用熱電対を取り付け、ガラス繊維管に通したニクロム線を等間隔に巻き、再びガラス繊維テープで固定したものであること。
  (3) 試料分解濃縮装置

    第2図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 不純物除去管は、モレキュラーシーブ5A等を充てんし、液体酸素等により冷却したものであること。
  2.    イ 分解瓶は、分解試薬20mlを入れ、0.2~0.3l/minの流量で窒素を5分間流すことにより窒素で置換したものであること。
  3.    ウ 試料濃縮管が水分によって短時間で詰まる場合には、分解瓶の直後に水酸化カリウムを充てんした脱水管を接続したものであること。
  (4) ガスクロマトグラフ分析装置

    第3図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ガスクロマトグラフは、水素炎イオン化検出器を有するものであること。
  2.    イ ガスクロマトグラフのキャリヤーガス流路を試料導入部の直前において変更し、不純物除去管及び試料濃縮管に接続したものであること。
  3.    ウ 不純物除去管は、モレキュラーシーブ5A等を充てんし、液体酸素等により冷却したものであること。
  4.    エ カラムは、ガラス製で、かつ、内径が3mm程度、長さが3~5mのものであって、内面を水酸化カリウム溶液(100g/l)で洗い、水洗し、乾燥したものであること。
  5.    オ 充てん剤は、粒度180~250μmの白色硅〈けい〉藻土担体を酸で洗った後、ジグリセロールを15%、テトラエチレンペンタミンを15%、水酸化カリウムを2%被覆したもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
  6.    カ 試料導入部の温度は、130℃程度であること。
  7.    キ カラム槽の温度は、70℃程度であること。
  8.    ク キャリヤーガスは、窒素を使用し、その流量は40~50ml/minであること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料濃縮管に窒素を流しながら70℃に加熱し、約10分間空焼きする。その後(4)の手順により分析を行い、トリメチルアミンの保持時間にピークの生じないことを確認する。

  (2) 試料の捕集

    別表第1の第1の3の(1)と同様に定める操作とする。

  (3) 捕集試料の分解及び濃縮
  1.    ア 捕集後2本の吸収瓶中の捕集溶液を合わせて容量50mlのメスフラスコに移し、更に吸収瓶の内部を捕集溶液で洗浄し、洗浄液を加えて定容し、分析用試料溶液とする。
  2.    イ 分析用試料溶液を一定量注射器により分取し、2の(3)の試料分解濃縮装置中の分解瓶中にシリコンゴム栓を通して注入した後、0.2~0.3l/minの流量で窒素を同装置中に2~3l流すことにより発生するトリメチルアミンを、液体酸素等に冷却した試料濃縮管に捕集する。
  (4) ガスクロマトグラフ分析

    被検成分を捕集した試料濃縮管を液体酸素等で冷却した状態で第3図に掲げるところによりガスクロマトグラフ分析装置に接続する。試料濃縮管にキャリヤーガスを流し、その流量が安定し、かつ、検出器の応答が十分安定していることを確認した後、試料濃縮管を70℃程度まで約2分間で加熱昇温させ、被検成分をガスクロマトグラフに導入する。

  (5) 検量線の作成

    トリメチルアミン標準溶液をエチルアルコール又は水で適宜階段的に希釈した溶液数μlを、それぞれガスクロマトグラフに注入して得られるクロマトグラムのピーク面積により検量線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線により分析用試料溶液から分取した溶液中のトリメチルアミンの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
    C=22.4A/(59,000V×(273/(273+t))×(P/101.3))
    A=50/v×m
    この式において、Cは大気中のトリメチルアミンの濃度(単位ppm)、Aは分析用試料溶液中のトリメチルアミンの量(単位ng)、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位l)、tはガスメーターにおける温度(単位℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位kPa)、mは検量線により求めたトリメチルアミンの量(単位ng)、vは分析用試料溶液から分取した溶液の量(単位ml)を表すものとする。

備考
  1.  1 トリメチルアミン標準溶液の濃度は次式により算出する。
        C=(a×59.11×0.1)/(20)
       この式において、Cはトリメチルアミン標準溶液の濃度(g/l)、aは塩酸(0.1mo/ll)の消費量(ml)を表わすものとする。
  2.  2 指示薬は例えば、ブロムクレゾールグリーン及びメチルレッド各100mgをそれぞれエチルアルコールに溶かして100mlとし、当該ブロムクレゾール溶液50mlと当該メチルレッド10mlとを混合することにより調整する。
  3.  3 試料の水分が少なく、吸着のおそれがないと考えられる場合には、別表第2の第1の2の(1)のア及び(2)(注1)に示す装置及び器具を用いて、同表の第1の(2)のアに示す操作によりいったん試料採取袋に試料ガスを採取しても差し支えない。この場合は試料採取袋に採取した試料ガスを可及的速やかに本表本文2の(1)に示す試料捕集装置を用いて本文3の(2)に示す操作により捕集すること。ただし、流量は10l/min以下で吸引してもよい。
    •   (注1) 試料採取袋の内容積は50l程度のものを用いる。
  4.  4 分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを用いてもよい。
  5.  5 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1に掲げる方法により測定した排出ガス中のトリメチルアミンの濃度を乗じて算出するものとする。

備考

  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第1図 試料濃縮管

図:試料濃縮管

第2図 試料分解濃縮装置

図:試料分解濃縮装置

第3図 ガスクロマトグラフ分析装置

図:ガスクロマトグラフ分析装置

別表第4

アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド及びイソバレルアルデヒドの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定―ガスクロマトグラフ法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) アセトニトリル(溶出液)

    ガスクロマトグラフに注入したとき、アセトアルデヒド-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン、プロピオンアルデヒド-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン、ノルマルブチルアルデヒド-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン、イソブチルアルデヒド-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン、ノルマルバレルアルデヒド-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン及びイソバレルアルデヒド-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(以下「アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン」という。)の保持時間にピークを生じないもの

  (2) 硫酸ナトリウム

    粒径150~250μmのものを450℃で4時間加熱したもの5gをアセトニトリル5mlを加えて振り混ぜ、ろ別後、再びアセトニトリル5mlを加えて振り混ぜ、ろ別し、ろ液を50μl程度になるまで揮散させ、酢酸エチル1mlに転溶したものであって、ガスクロマトグラフに注入したとき、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークを生じないもの

  (3) 酢酸エチル

    ガスクロマトグラフに注入したとき、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークを生じないもの

  (4) エタノール

    ガスクロマトグラフに注入したとき、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークを生じないもの

  (5) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン

    アセトニトリルと水を容量比1対3の割合で混合した溶液で再結晶させたもの

  (6) 試料捕集剤

    粒径35~105μmの粒状オクタデシルシリル化シリカゲル又はこれと同等以上の性能を有するもの

  (7) 強カチオン交換樹脂

    粒径40~100μmの多孔性親水性ビニールポリマー又はこれと同等以上の性能を有するもの

  (8) 内部標準液

    ジフェニルアミン10mgを酢酸エチルに溶解して100mlとしたもの

  (9) アルデヒド類標準溶液

    次表の第1欄に掲げるアルデヒドの種類ごとに2,4-ジニトロフェニルヒドラジン1g及び濃硫酸2mlを、エタノール5mlに溶解したものを用意する。この溶液それぞれに、当該アルデヒドを第2欄に掲げる分量ずつ5mlのエタノールに溶解した溶液を加える。すぐに結晶が析出するので吸引ろ過し、水及びエタノールでよく洗浄し乾燥する。この結晶をエタノールで再結晶したものを、それぞれ第3欄に掲げる分量ごとに酢酸エチルに溶解して100mlとしたもの(それぞれが、第1欄に掲げるアルデヒドを10mgずつ含む標準溶液となる)

     
 
第1欄
第2欄
(単位mg)
第3欄
(単位mg)
 
アセトアルデヒド 220 50.9
プロピオンアルデヒド 290 41.0
ノルマルブチルアルデヒド 360 35.0
イソブチルアルデヒド 360 35.0
ノルマルバレルアルデヒド 430 30.9
イソバレルアルデヒド 430 30.9
     
 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料採取袋

    別表第2の第1の2の(1)のア及び(2)(注1)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料捕集装置

    第1図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 試料捕集管
    1.     (ア) 第2図に掲げる形状のものであって、樹脂製で、かつ、内径10mm程度、長さ45mm程度のものであり、両端が密栓できる構造であること。
    2.     (イ) 試料捕集剤の被覆は、試料捕集剤をアセトニトリルで洗浄し、窒素を加圧又は吸引により通気乾燥した後のもの0.5g当たり、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン1mg及びりん酸5mgを含むエタノール溶液2mlに含浸させ、余分なエタノール溶液を除去した後、窒素を加圧又は吸引により通気乾燥し、デシケータ中で12時間程度乾燥した後、さらに窒素を毎分50~100mlの割合で流して十分乾燥したもの又はこれと同等以上の被覆方法で調整したものであること。
    3.     (ウ) (イ)で被覆した試料捕集剤0.5g程度を充てんし、試料捕集剤がこぼれないよう両端に少量のガラスウール又はこれと同等以上の性能を有するものを詰めたものであること。
  2.    イ 吸引ポンプは、試料捕集管を装着した状態で、1l/min程度の大気を吸引できる能力を有するものであること。
  3.    ウ ガスメーターは、0~1l/minの範囲の流量を測定し得るものであること。
  (3) 強カチオン交換樹脂管
  1.    ア 第3図に掲げる形状のものであって、樹脂製で、かつ内径10mm程度、長さ60mm程度のものであり、両端が密栓できる構造であること。
  2.    イ 強カチオン交換樹脂0.1g当たり、水、塩化ナトリウム(1mol/l)、水、塩酸(1mol/l)、水、エタノール、アセトニトリルの順に各6mlで洗浄したもの又はこれと同等以上の処理方法で調整したものであること。
  3.    ウ イで調整した強カチオン交換樹脂0.1g程度を充てんし、強カチオン交換樹脂がこぼれないよう両端に少量のガラスウール又はこれと同等以上の性能を有するものを詰めたものであること。
  (4) ガスクロマトグラフ分析装置

    第4図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ガスクロマトグラフは、アルカリ熱イオン化検出器を有するものであること又はこれと同等の性能を有するものであること。
  2.    イ カラムは、溶解石英ガラス製のキャピラリーカラムで、内径0.2mm程度、長さ25m程度のものであって、内面にメチルシリコーンを0.1μm程度の厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの。
  3.    ウ 試料導入部の温度は、250℃程度であること。
  4.    エ カラム槽の温度は、被検成分の最適分離条件を設定できること。(例えば、50℃で約1分間保持したのち、50℃から200℃まで25℃/minで6分間昇温し、続けて250℃程度まで3℃/minで昇温できるもの)
  5.    オ キャリヤーガス及びメイクアップガスは、窒素又はヘリウムを使用し、その総流量は20~30ml/min程度であること。
  6.    カ 試験薬1μl程度を、カラムに全量入れられる構造のものであること。
  •     (注1) 試料採取袋の内容積は50l程度のものを用いること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    第5図に掲げるところにより、試料捕集管を強カチオン交換樹脂管と接続し、試料捕集管の上部から溶出液6mlで自然流下又は1ml/minの程度の流速で共栓付試験管(目盛付き)に落下させる。この溶出液に硫酸ナトリウムを少量加えて脱水し、窒素を上から吹き付けて共栓付試験管中のアセトニトリルを50μl程度(約1滴)になるまで揮散させる。酢酸エチル1mlを加え、共栓付試験管中のアセトニトリルを溶かし、内部標準液80μlを加え、これを試験液とする。その後(4)の手順によりガスクロマトグラフ分析を行い、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークが生じないことを確認する。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)のアに示す操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。

  (3) 試料の捕集

    試料ガス採取後可及的速やかに、試料捕集管の両端の栓を外し、試料採取袋に第1図に示すように接続し、1l/min程度の流量で30l程度吸引して試料を捕集する(注2)。

  (4) ガスクロマトグラフ分析

    試料捕集した試料捕集管を(1)と同様の手順で処理し(注3)、得られた試験液から、マイクロシリンジにより1μl程度分取し、ガスクロマトグラフ試料導入部に注入する。クロマトグラム上にアルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの立体異性体のピークが分離した場合には、それぞれのピーク面積を加えたものを被検成分のピーク面積とする。

  (5) 検量線の作成

    それぞれのアルデヒド類標準溶液を酢酸エチルで適宜段階的に希釈し、その希釈溶液1ml当たり内部標準液80μlを添加した希釈標準溶液1μl程度をガスクロマトグラフに注入し、得られたアルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンのクロマトグラムのピーク面積(Ax)とジフェニルアミンのクロマトグラムのピーク面積(As)の比(Ax/As)を縦軸に、アルデヒド類の注入量(Mx)とジフェニルアミンの注入量(Ms)の比(MX/MS)を横軸にとり、直線関係の範囲で関係線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線(注4)によりガスクロマトグラフに注入したアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド又はイソバレルアルデヒドの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
    C=22.4A/(MV×(273/(273+t))×(P/101.3))
    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位ppm)、Aは試験液中の被検成分の量(単位μg)、Mは被検成分の分子量、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位l)、tはガスメーターにおける温度(単位℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

  •    (注2) 試料捕集管は捕集時以外は両端に栓をし、試料ガスの捕集の前後を問わず保存及び運搬時は遮光すること。
  •    (注3) 捕集を終えた試料捕集管は、可及的速やかに溶出液で溶出すること。
  •    (注4) 試料の試験液中の被検成分の量(A)に対して、ジフェニルアミンの添加量を検量線の範囲内に入るように加えて均一に混合し、ジフェニルアミンのピーク面積が検量線の作成の際とほぼ同じ大きさになるように試験液量を加減し、同一条件のもとでクロマトグラムを記録する。クロマトグラムから被検成分のピーク面積(A′x)ジフェニルアミンのピーク面積(A′s)の比(A′X/A′s)を算出し、検量線から被検成分の量(A)とジフェニルアミンの量(M′s)の比(A/M′s)を求め、ジフェニルアミンの添加量から被検成分の量(A)を算出すること。
備考

  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 敷地境界線における濃度の測定―ガスクロマトグラフ質量分析法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) N,N-ジメチルホルムアミド

    水で10分の1に希釈したもの数μlをガスクロマトグラフ質量分析計に注入したとき、被検成分の保持時間にピークを生じないもの。

  (2) アルデヒド類標準溶液

    次表の第1欄に掲げるアルデヒドの種類ごとに、当該アルデヒド100μlを水又はN,N-ジメチルホルムアミドに溶解して全量を100mlとしたものをそれぞれ作成したもの(それぞれの溶液1μlは、第1欄にかかげるアルデヒドの気体として、第2欄に掲げる量(0℃、1気圧)に相当する。ただし、アセトアルデヒドはアセトアルデヒドの含有率を乗じること。)

     
 
第1欄
第2欄
(単位μl)
 
アセトアルデヒド 0.311
プロピオンアルデヒド 0.311
ノルマルブチルアルデヒド 0.249
イソブチルアルデヒド 0.247
ノルマルバレルアルデヒド 0.211
イソバレルアルデヒド 0.204
     
  (3) ポーラスポリマービーズ

    常温において炭素数6以上の炭化水素を吸着し、かつ、200℃前後で速やかに吸着成分を脱着する性能を有するバラフェニレンオキサイド系等の粒径180~250μのポリマービーズであって、350℃以上の耐熱性能を有するもの

  (4) 多孔性シリカビーズ

    常温において炭化水素を吸着し、かつ、200℃前後で速やかに吸着成分を脱着する性能を有するシリカビーズ系等の粒径100~300μmで表面積10㎡/g程度のもの

  (5) 活性炭

    粒径180~250μmのもの

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料採取袋

    別表第2の第1の2の(1)及び(2)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料捕集装置

    第6図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 試料捕集管
    1.     (ア) 第7図に掲げる形状のものであって、ほう珪〈けい〉酸ガラス製で、かつ、内径が5mm程度、長さ18㎝程度のものであり、一方の開口部に注射針を装着できるものであること。
    2.     (イ) 内部をアセトンで洗い、乾燥した後、注射針を装置できる開口部の方から、充てん剤としてポーラスポリマービーズ0.2g程度、多孔性シリカビーズ0.2g程度、活性炭を0.2g程度ずつ分離して充てんしたもの又はこれと同等の性能を有するものであること。充てん剤がこぼれないように両端に少量の石英ガラスウールを詰めたものであること。
    3.     (ウ) ふっ素樹脂製キャップ及びシリコンゴム栓により両端を密閉できるものであること。
  2.    イ 吸引ポンプは、試料捕集管を装着した状態で、1l/min以上の大気を吸引できる能力を有するものであること。
  3.    ウ ガスメーターは、0~1l/minの範囲の流量を測定し得るものであること。
  (3) 試料濃縮管

    試料濃縮管は第8図に掲げる形状のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ほう珪〈けい〉酸ガラス製で内径4mm程度のものであること。
  2.    イ 内部を水洗し、乾燥した後、粒径180~250μmの白色珪〈けい〉藻土担体を酸で洗い、ジメチルジクロロシラン処理を行ったもの又はこれと同等以上の性能を有するものを充てんしたものであること。
  3.    ウ 外部にアルミはくを密に巻き、その上をガラス繊維テープで絶縁し、温度測定用熱電対を取り付け、ガラス繊維管に通したニクロム線を等間隔に巻き、再びガラス繊維テープで固定したものであること。
  (4) ガスクロマトグラフ質量分析装置

    第9図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 検出器は、電子衝撃イオン化法(EI法)が可能で、選択イオン検出法(SIM法)又はこれと同等の性能を有する方法によるクロマトグラム測定が可能なものであること。
  2.    イ ガスクロマトグラフ質量分析装置のキャリヤーガス流路を試料導入部の直前において変更し、試料濃縮管を接続したものであること。
  3.    ウ カラムは、溶融石英ガラス製のキャピラリーカラムで、内径が0.5mm程度、長さが50m程度のものであって、内面にメチルシリコーンを5μm程度の厚さで被覆したもの又はこれと同等以上の分離性能等を有するものであること。
  4.    エ 試料導入部の温度は、150℃程度であること。
  5.    オ カラム槽の温度は、被検成分の最適分離条件を設定できること(例えば、30℃から100℃程度までを5℃/min程度で昇温できること)。
  6.    カ キャリヤーガスは、ヘリウムを使用し、その流量は10ml/minであること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料捕集管に窒素又はヘリウムを50ml/min程度の流量で活性炭を充てんした側から流しながら200℃に加熱し、6時間以上その温度を保つ。その後(4)の手順によりガスクロマトグラフ質量分析を行い、被検成分の保持時間にピークを生じないことを確認すること。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)に示す操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。

  (3) 試料の捕集

    試料ガス採取後可及的速やかに、試料捕集管のふっ素樹脂製キャップ及びシリコンゴム栓を外し、試料採取袋に接続し、ポーラスポリマービーズを充てんした側から1l/min程度の流量で吸引して試料を捕集する(注5)。

  (4) ガスクロマトグラフ質量分析

    試料捕集管を液体酸素等で冷却した試料濃縮管に第10図に掲げるところにより接続する。試料捕集管に窒素又はヘリウムを50ml/min程度の流量で流しながら試料捕集管を150℃に加熱し、5分間その温度を保つことにより被検成分を試料濃縮管に移し替える。被検成分を移しかえた試料濃縮管を第9図に掲げるところによりガスクロマトグラフ分析装置に接続する。試料濃縮管にキャリヤーガスを流し、試料濃縮管を短時間で150℃に加熱し、被検成分をガスクロマトグラフ分析装置に導入する(注6)。

  (5) 検量線の作成

    アルデヒド類標準溶液を水で適宜段階的に希釈した溶液数μlを、それぞれ室温の状態で試料捕集管にポーラスポリマービーズを充てんした側から注入した後、(4)と同様の操作を行うことにより得られる選択イオン検出法のクロマトグラムのピーク面積により検量線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線により、試料捕集管中のアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド又はイソバレルアルデヒドの量(0℃、1気圧)を求め、次の式によりその大気中の濃度を算出する。
    C=A/(V×(273/273+t)×(P/101.3))
    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位ppm)、Aは試料捕集管に捕集した被検成分の量(単位μl)、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位l)、tはガスメーターにおける温度(単位℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

  •    (注5) 試料捕集管は、捕集時以外は両端に栓をし、試料ガスの捕集の試料採取の前後を問わず、保存及び運搬時は遮光し、採取を終えた試料捕集管は直ちに冷蔵すること。
  •    (注6) アセトアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド及びイソバレルアルデヒドについては質量数44のイオンを、プロピオンアルデヒドについては質量数58若しくは29のイオンを、イソブチルアルデヒドについては質量数72のイオンをモニターすること。
備考

  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第3 敷地境界線における濃度の測定-高速液体クロマトグラフ法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) アセトニトリル(溶出液)

    高速液体クロマトグラフに注入したとき、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークを生じないもの

  (2) エタノール

    高速液体クロマトグラフに注入したとき、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークを生じないもの

  (3) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン

    第1の1の(5)に定めるものと同様とする。

  (4) 試料捕集剤

    第1の1の(6)に定めるものと同様とする。

  (5) アルデヒド類標準原液

    第1の1の(9)の表の第1欄に掲げるアルデヒドの種類ごとに第1の1の(9)のとおり操作して得たアルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの再結晶を、それぞれ同表の第3欄に掲げる分量ごとにアセトニトリルに溶解して100mlとしたもの

  (6) アルデヒド類混合標準溶液

    (5)で作成した、それぞれのアルデヒド標準原液の各10mlを全量フラスコ(100ml)に入れ、アセトニトリルを加えて標線に合わせたもの

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料採取袋

    別表第2の第1の2の(1)のア及び(2)(注1)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料捕集装置

    第1の2の(2)に定めるものと同様とする。

  (3) 高速液体クロマトグラフ分析装置

    第11図 に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 高速液体クロマトグラフは、吸光光度検出器を有するものであって、波長は360nmに設定すること。
  2.    イ カラムは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド及びイソバレルアルデヒドの6物質の定量に適した分離性能を有するもの
  3.    ウ 移動相は、使用するカラムに適したものを用いるものとし、流速は1.0ml/min程度とする。
  4.    エ 試験液10~30µl程度をカラムに全量入れられる構造のものであること。
  •    (注1) 試料採取袋の内容積は50L程度のものを用いること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    第12図に掲げるところにより、試料捕集管の上部からアセトニトリル5mlを、自然流下又は1ml/min程度の流速で全量フラスコ(5ml)に落下させる。この溶出液にアセトニトリルを加えて、全量フラスコの標線に合わせ、密栓してよく振り混ぜ、これを試験液とする。その後(4)の手順により高速液体クロマトグラフ分析を行い、アルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの保持時間にピークが生じた場合は、操作ブランク値とする。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)のアに示す操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。

  (3) 試料の捕集

    第1の3の(3)に定めるものと同様とする。

  (4) 高速液体クロマトグラフ分析

    試料捕集した試料捕集管を(1)と同様の手順で処理し(注2)、得られた試験液から、マイクロシリンジにより20µl程度分取し、高速液体クロマトグラフ試料導入部に注入する。

  (5) 検量線の作成

    アルデヒド類混合標準溶液をアセトニトリルで適宜段階的に希釈し、その希釈溶液20µl程度を、高速液体クロマトグラフに注入し、得られたアルデヒド類-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンのクロマトグラムのピーク面積を縦軸に、アルデヒド類の注入量を横軸にとり、直線関係の範囲で関係線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線により、高速液体クロマトグラフに注入したアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド又はイソバレルアルデヒドの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。

C=
22.4(As-At)×E
MvV  × 273 ×
273+t 101.3
 
    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位 ppm)、As は高速液体クロマトグラフに注入した試験液中の被検成分の量(単位 µg)、Atはアルデヒド類の操作ブランク値(単位 µg)、Eは試験液量(単位 ml)、Mは被検成分の分子量、vは高速液体クロマトグラフへの注入液量(単位 ml)、Ⅴはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位 L)、tはガスメーターにおける温度(単位 ℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

  •    (注2) 捕集を終えた試料捕集管は、可及的速やかに溶出液で溶出すること。

第4 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1、第2又は第3に掲げる方法により測定した排出ガス中のプロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド又はイソバレルアルデヒドの濃度を乗じて算出するものとする。ただし、第1又は第3に掲げる方法により試料の捕集を行う場合には、試料捕集管を2本直列に連結したものを用いるとともに、流量を加減すること。

備考

  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第1図 試料捕集装置

図:試料捕集装置

第2図 試料捕集管

図:試料捕集管

第3図 強カチオン交換樹脂管

図:強カチオン交換樹脂管

第4図 ガスクロマトグラフ分析装置

図:ガスクロマトグラフ分析装置

第5図 溶出操作

図:溶出操作

第6図 試料捕集装置

図:試料捕集装置

第7図 試料捕集管

図:試料捕集管

第8図 試料濃縮管

図:試料濃縮管

第9図 ガスクロマトグラフ質量分析装置

図:ガスクロマトグラフ質量分析装置

第10図 試料濃縮方式

図:試料濃縮方式

第11図 高速液体クロマトグラフ分析装置

図:高速液体クロマトグラフ分析装置

第12図 溶出操作

図:溶出操作

別表第5

イソブタノールの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) ノルマルペンタン

    ガスクロマトグラフに注入したとき、イソブタノールの保持時間にピークを生じないもの

  (2) イソブタノール標準溶液

    イソブタノールの測定に用いる標準溶液は、イソブタノール1.0gをノルマルペンタンに溶解して全量100mlとしたものとする。

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料採取袋及び試料ガス採取装置

    別表第2の第1の2の(1)及び(2)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料濃縮管

    第1図に掲げる形状のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ほう珪〈けい〉酸ガラス製で内径4mm程度のものであること。
  2.    イ 内部をアセトンで洗い、水洗し、乾燥した後、粒径180~250μmの白色珪〈けい〉藻土担体を酸で洗い、ジメチルジクロロシラン処理を行なったものを充てんしたものであること。
  3.    ウ 外部にアルミ箔を密に巻き、その上をガラス繊維テープで絶縁し、温度測定用熱電対を取り付け、ガラス繊維管に通したニクロム線を等間隔に巻き、再びガラステープで固定したものであること。
  (3) ガスクロマトグラフ分析装置

    第2図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ガスクロマトグラフは、水素炎イオン化検出器を有するものであること。
  2.    イ ガスクロマトグラフのキャリヤーガス流路を試料導入部の直前において変更し、試料濃縮管を接続したものであること。
  3.    ウ カラムは、ガラス製で、かつ内径3mm程度、長さ3m程度のものであって、内部をアセトンで洗い、水洗し、乾燥したものであること。
  4.    エ 充てん剤は、粒径180~250μmの白色珪〈けい〉藻土担体を酸で洗った後、ジメチルジクロロシラン処理を行いポリエチレングリコール1500を25%被覆したもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
  5.    オ 試料導入部の温度は、180℃程度であること。
  6.    カ カラム槽の温度は、イソブタノールの最適分離条件を設定できること(例えば、30℃から120℃程度までを毎分5℃で昇温できること)。
  7.    キ キャリヤーガスは、窒素を使用し、その流量は40~50ml/minとすること。
 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料濃縮管に窒素を流しながら200℃に加熱し、約10分間空焼きする。その後(4)手順により分析を行い、イソブタノールの保持時間にピークの生じないことを確認する。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)に定める操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。

  (3) 試料の濃縮

    試料ガス採取後可及的速やかに、試料採取袋を第3図に掲げるところにより液体酸素等で冷却した試料濃縮管に接続し、一定量を吸引することにより試料採取袋中のイソブタノールを試料濃縮管に捕集する。

  (4) ガスクロマトグラフ分析

    イソブタノールを捕集した試料濃縮管を液体酸素等で冷却した状態で第2図に掲げるところによりガスクロマトグラフ分析装置に接続する。試料濃縮管にキャリヤーガスを流し、その流量が安定し、かつ、検出器の応答が十分安定していることを確認した後、試料濃縮管を200℃まで約2分間で加熱昇温させ、イソブタノールをガスクロマトグラフに導入する。

  (5) 検量線の作成

    イソブタノール標準溶液をノルマルペンタンで適宜段階的に希釈した溶液数μlを、それぞれ液体酸素等で冷却した試料濃縮管に注入した後、(4)と同様の操作を行うことにより得られるクロマトグラムのピーク面積により検量線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線により、試料濃縮管に捕集したイソブタノールの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
     C=22.4A/74V×273/273+t×P/101.3
    この式において、Cは大気中のイソブタノールの濃度(単位ppm)、Aは試料濃縮管に捕集したイソブタノールの量(単位μg)、Vは試料濃縮管に捕集した試料ガスの量(単位l)、tは試料濃縮時の気温(単位℃)、Pは試料濃縮時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを使用して酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン並びにトルエン、スチレン及びキシレンと同時に分析してもよい。
  3.  3 検量線の作成において、別表第2の第1の1と同様にイソブタノール校正用ガスを用いてもよい(イソブタノール4μlは、気体で0.969ml(0℃、1気圧)に相当する。)。
  4.  4 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1に掲げる方法により測定した排出ガス中のインブタノールの濃度を乗じて算出するものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを使用して酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン並びにトルエン及びキシレンと同時に分析してもよい。
  3.  3 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第1図 試料濃縮管

図:試料濃縮管

第2図 ガスクロマトグラフ分析装置

図:ガスクロマトグラフ分析装置

第3図 試料濃縮方式

図:試料濃縮方式

別表第6

酢酸エチル及びメチルイソブチルケトンの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定―低温濃縮法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) ノルマルペンタン

    ガスクロマトグラフに注入したとき、被検成分の保持時間にピークを生じないもの

  (2) 酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン標準溶液

    酢酸エチル及びメチルイソブチルケトンの測定に用いる標準溶液は、酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン各1.0gをノルマルペンタンに溶解して全量100mlとしたものとする。

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、別表第5の第1の2に定めるものと同様とする。ただし、ガスクロマトグラフ分析装置の充てん剤は、粒径180~250μmの白色珪〈けい〉藻土担体を酸で洗った後、ジメチルジクロロシラン処理を行い、ユーコンオイル50LB550Xを25%被覆したもの又はこれと同等以上の性能を有するものを用い、また、カラム槽温度は90℃程度とすること。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、別表第5の第1の3の(1)から(5)に定める操作(ただし「イソブタノール」を「酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン」と読み替えるものとする。)及び次に掲げる濃度の算出の手順により行うものとする。    検量線により試料濃縮管に捕集した酢酸エチル又はメチルイソブチルケトンの量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
   C=22.4A/MV×273/273+t×P/101.3
   この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位ppm)、Aは試料濃縮管に捕集した被検成分の量(単位μg)、Vは試料濃縮管に捕集した試料ガスの量(単位l)、Mは被検成分の分子量(単位g)、tは試料濃縮時の気温(単位℃)、Pは試料濃縮時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを使用してイソブタノール並びにトルエン、スチレン及びキシレンと同時に分析してもよい。
  3.  3 検量線の作成において、別表第2の第1の1と同様に被検成分の校正用ガスを用いてもよい(酢酸エチル4μlは、気体で0.916ml(0℃、1気圧)、メチルイソブチルケトン6μlは、気体で1.07ml(0℃、1気圧)に相当する。)。
  4.  4 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 敷地境界線における濃度の測定―常温吸着法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) 酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン標準溶液

    第1の1に定めるものと同様とする。

  (2) ポーラスポリマービーズ

    別表第4の第2の1の(3)に定めるものと同様とする。

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料採取袋

    別表第2の第1の2の(1)及び(2)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料捕集装置

    別表第4の第2の2の(2)に定めるものと同様とする。ただし、試料捕集管の内部にはポーラスポリマービーズ0.6gのみを充てんするものとする。

  (3) ガスクロマトグラフ分析装置

    第1の2に定めるものと同様とする。ただし、試料濃縮管のかわりに、注射針を装着した試料捕集管をガスクロマトグラフに接続し、加熱炉等により試料捕集管を加熱し得るものとする。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料捕集管に窒素を流しながら230℃に加熱し、空焼きを行う。その後(4)の手順によりガスクロマトグラフ分析を行い、被検成分の保持時間にピークを生じないことを確認すること。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)に定める操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。

  (3) 試料の捕集

    試料ガス採取後可及的速やかに試料捕集管のシリコンゴム栓及びふっ素樹脂製キャップを外し、第1図に掲げるところにより、試料採取袋を試料捕集管に接続し、一定量を吸引することにより、試料採取袋中の被検成分の試料捕集管に捕集する。

  (4) ガスクロマトグラフ分析

    被検成分を捕集した試料捕集管をガスクロマトグラフ分析装置に接続する。試料捕集管にキャリヤーガスを流し、その流量が安定し、かつ、検出器の応答が十分安定していることを確認した後、試料捕集管を室温から200℃まで約1分間で加熱昇温させ、被検成分をガスクロマトグラフに導入する。

  (5) 検量線の作成

    酢酸エチル又はメチルイソブチルケトン標準溶液をノルマルペンタンで適宜段階的に希釈した溶液数μlを、それぞれ室温の状態で試料捕集管に注入した後、(4)と同様の操作を行うことにより得られるクロマトグラムのピーク面積により検量線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5)の検量線により、第1の3に定める方法により被検成分の大気中濃度を算出する。ただし、「試料濃縮管」を「試料捕集管」、「試料濃縮時」を「試料捕集時」と読み替えるものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを使用してトルエン、スチレン及びキシレンと同時に分析してもよい。
  3.  3 検量線の作成において、別表第2の第1の1と同様に被検成分の校正用ガスを用いてもよい(酢酸エチル4μlは、気体で0.916ml(0℃、1気圧)、メチルイソブチルケトン6μlは、気体で1.07ml(0℃、1気圧)に相当する。)。
  4.  4 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第3 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1又は第2に掲げる方法により測定した排出ガス中の酢酸エチル及びメチルイソブチルケトンの濃度を乗じて算出するものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムにキャピラリーカラムを使用してイソブタノール並びにトルエン及びキシレンと同時に分析してもよい。
  3.  3 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第1図 試料捕集方式

図:試料捕集方式

別表第7

トルエン、スチレン及びキシレンの測定方法

第1 敷地境界線における濃度の測定―低温濃縮法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) ノルマルペンタン

    ガスクロマトグラフに注入したとき、被検成分の保持時間にピークを生じないもの

  (2) トルエン、スチレン及びキシレン標準溶液

    トルエン、スチレン及びキシレンの測定に用いる標準溶液は、トルエン、スチレン及びキシレンの各異性体(オルト、メタ及びパラ)の各1.0gをノルマルペンタンに溶解して全量を100mlとしたものとする。

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、別表第5の第1の2に定めるものと同様とする。ただし、ガスクロマトグラフ分析装置の充てん剤は、粒径180~250μmの白色珪〈けい〉藻土担体を酸で洗った後、ジメチルジクロロシラン処理を行い、SP―1200を5%、ベントン34を1.75%被覆したもの又はこれと同等以上の性能を有するものを用い、また、カラム槽温度は40℃から100℃までを5℃/minで昇温できること。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、別表第5の第1の3の(1)から(5)に定める操作(ただし「イソブタノール」を「トルエン、スチレン及びキシレン」と読み替えるものとする。)及び次に掲げる濃度の算出の手順により行うものとする。
   検量線により試料濃縮管に捕集したトルエン、スチレン又はキシレンの各異性体の量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。キシレンについては、得られた各異性体の濃度の総和をキシレンの濃度とする。
   C=22.4A/MV×273/273+t×P/101.3
   この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位ppm)、Aは試料濃縮管に捕集した被検成分の量(単位μg)、Vは試料濃縮管に捕集した試料ガスの量(単位l)、Mは被検成分の分子量(単位g)、tは試料濃縮時の気温(単位℃)、Pは試料濃縮時の大気圧(単位kPa)を表すものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムはキャピラリーカラムを使用してイソブタノール並びに酢酸エチル及びメチルイソブチルケトンと同時に分析してもよい。
  3.  3 検量線の作成において、別表第2の第1の1と同様に被検成分の校正用ガスを用いてもよい(トルエン5μlは、気体で1.06ml(0℃、1気圧)、スチレン5μlは、気体で0.975ml(0℃、1気圧)、オルトキシレン5μlは、気体で0.928ml(0℃、1気圧)、メタキシレン5μlは、気体で0.916ml(0℃、1気圧)、パラキシレン5μlは、気体で0.908ml(0℃、1気圧)に相当する。)。
  4.  4 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第2 敷地境界線における濃度の測定―常温吸着法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) トルエン、スチレン及びキシレン標準溶液

    第1の1に定めるものと同様とする。

  (2) ポーラスポリマービーズ

    別表第4の第2の1の(3)に定めるものと同様とする。

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、別表第6の第2の2に定めるものと同様とする。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、別表第6の第2の3の(1)から(5)に定める操作と同様とする。ただし、「酢酸エチル及びメチルイソブチルケトン」は「トルエン、スチレン及びキシレン」と読み替えるものとする。濃度の算出は第1の3に定める方法により被検成分の大気中濃度を算出する。ただし、「試料濃縮管」を「試料捕集管」、「試料濃縮時」を「試料捕集時」と読み替えるものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムはキャピラリーカラムを使用して酢酸エチル及びメチルイソブチルケトンと同時に分析してもよい。
  3.  3 検量線の作成において、別表第2の第1の1と同様に被検成分の校正用ガスを用いてもよい。(トルエン5μlは、気体で1.06ml(0℃、1気圧)、スチレン5μlは、気体で0.975ml(0℃、1気圧)、オルトキシレン5μlは、気体で0.928ml(0℃、1気圧)、メタキシレン5μlは、気体で0.916ml(0℃、1気圧)、パラキシレン5μlは、気体で0.908ml(0℃、1気圧)に相当する。)。
  4.  4 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第3 気体排出口における流量の測定

  気体排出口における流量は、日本工業規格Z8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1又は第2に掲げる方法により測定した排出ガス中のトルエン、又はキシレンの濃度を乗じて算出するものとする。

備考
  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  2 妨害成分がなく、分離定量が可能な場合には、カラムはキャピラリーカラムを使用してイソブタノール並びに酢酸エチル及びメチルイソブチルケトンと同時に分析してもよい。
  3.  3 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

別表第8

プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸及びイソ吉草酸の測定方法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) ぎ酸

    ガスクロマトグラフに注入したとき、被検成分の保持時間にピークを生じないもの

  (2) プロピオン酸標準溶液

    プロピオン酸1.0mlを水に溶解して全量を100mlとしたもの(この溶液の1μlは、プロピオン酸の気体として3.02μl(0℃、1気圧)に相当する。)

  (3) ノルマル酪酸標準溶液

    ノルマル酪酸1.0mlを水に溶解して全量を100mlとしたもの(この溶液の1μlは、ノルマル酪酸の気体として2.43μl(0℃、1気圧)に相当する。)

  (4) ノルマル吉草酸標準溶液

    ノルマル吉草酸1.0mlを水に溶解して全量を100mlとしたもの(この溶液の1μlは、ノルマル吉草酸の気体として2.06μl(0℃、1気圧)に相当する。)

  (5) イソ吉草酸標準溶液

    イソ吉草酸1.0mlを水に溶解して全量を100mlとしたもの(この溶液の1μlは、イソ吉草酸の気体として2.04μl(0℃、1気圧)に相当する。)

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料採取装置

    第1図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 試料捕集管
    1.     (ア) 第2図に掲げる形状のものであって、ほう珪〈けい〉酸ガラス製で、かつ、内径が7~8mm、長さが10㎝程度のものであり、一方の開口部に注射針を装着できるものであること。
    2.     (イ) 内部をりん酸(1+4)で洗い、水洗し、乾燥した後、充てん剤3gを充てんし、充てん剤がこぼれないよう両端に少量の石英ガラスウールを詰めたものであること。
    3.     (ウ) 充てん剤は、粒径500~1180μmのガラスビーズを塩酸(1+3)で洗い、水洗し、乾燥した後、水酸化ストロンチウムを1%被覆したものであること。被覆方法は、ガラスビーズの重量の1%の水酸化ストロンチウムを少量の水と混ぜて懸濁液にし、小型の磁製皿上でガラスビーズに混ぜ合わせ、速やかに乾燥して被覆する方法又はこれと同等以上の性能を有する被覆方法とする。
    4.     (エ) ふっ素樹脂製キャップ及びシリコンゴム栓により両端を密閉できるものであること。
  2.    イ 吸引ポンプは、試料捕集管を装着した状態で、5l/min以上の大気を吸引できる能力を有するものであること。
  3.    ウ ガスメーターは、1~10l/minの範囲の流量を測定し得るものであること。
  (2) ガスクロマトグラフ分析装置

    第3図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア ガスクロマトグラフは、水素炎イオン化検出器を有するものであること。
  2.    イ ガスクロマトグラフのキャリヤーガス流路を試料導入部の直前において変更し、注射針を装着した試料捕集管をガスクロマトグラフに接続し、加熱炉等により試料捕集管を加熱し得るものであること。
  3.    ウ カラムは、ガラス製で、かつ、内径が3mm程度、長さが1.5m程度のものであって、内面をりん酸(1+4)で洗い、水洗し、乾燥したものであること。
  4.    エ 充てん剤は、粒径180~250μmの黒鉛化カーボンブラック単体にFFAPを0.3%、りん酸を0.3%被覆したもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
  5.    オ 試料導入部の温度は、230℃程度であること。
  6.    カ カラム槽の温度は、80~200℃の範囲で昇温制御できるものであること。
  7.    キ キャリヤーガスは、窒素を使用し、その流量は40~50ml/minであること。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料捕集管に窒素を流しながら300℃に加熱し、約10分間空焼きする。試料捕集管をガスクロマトグラフに接続し、180℃に加熱して、窒素ガスを50ml/min程度通気しながら5%ぎ酸20μlを注入し、ガスクロマトグラフで被検成分の保持時間にピークを生じないことを確認する。

  (2) 試料の捕集

    試料捕集管のシリコンゴム栓及びふっ素樹脂製キャップを外し、5l/minの流量で5分間吸引して試料を捕集する。

  (3) ガスクロマトグラフ分析

    被検成分を捕集した試料捕集管に注射針をつけ、180℃に加熱して、窒素を50ml/minで100ml程度流す。窒素を流しながら室温まで冷却した後、試料捕集管を第3図に掲げるところによりガスクロマトグラフ分析装置に接続する。試料捕集管にキャリヤーガスを流し、その流量が安定し、かつ、検出器の応答が十分安定していることを確認した後、試料捕集管にぎ酸20μlを注入し、試料捕集管を室温から180℃まで約1分間で加熱昇温させ、被検成分をガスクロマトグラフに導入する。カラム槽温度を80から200℃まで約10分間で加熱昇温する。

  (4) 検量線の作成

    プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸若しくはイソ吉草酸の標準溶液又はこれらをそれぞれ適宜段階的に希釈した溶液数μlを、それぞれ室温の状態で試料捕集管に注入した後、(3)と同様の操作を行うことにより得られるクロマトグラムのピーク面積により検量線を作成する。

  (5) 濃度の算出

    (4)の検量線により、試料捕集管中のプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸又はイソ吉草酸の量を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。
    C=A/V×273/273+t×P/101.3
    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位ppm)、Aは試料捕集管に捕集した被検成分の量(単位μl)、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位l)、tはガスメーターにおける温度(単位℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

備考

  1.  1 試料の水分が少なく、吸着のおそれがないと考えられる場合には、別表第2の第1の2の(1)のア及び(2)(注1)に示す装置を用いて、同表3の(2)のアに示す操作によりいったん試料採取袋に試料ガスを採取しても差し支えない。この場合は試料採取袋に採取した試料ガスを可及的速やかに本表本文2の(1)に示す試料捕集装置を用いて本文3の(2)に示す操作により捕集すること。
    •   (注1) 試料採取袋の内容積は25l~50l程度のものを用いる。
  2.  2 2の(2)のエに定める充てん剤として、黒鉛化カーボンブラック担体にFFAP及びりん酸を被覆したものと同等以上の性能を有するものを使用する場合には、被検成分のそれぞれのピークが十分に分離し、かつ、二一メチル酪酸とイソ吉草酸のピークが十分に分離するものを使用すること。
  3.  3 この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本工業規格に定めるところによる。

第1図 試料採取装置

図:試料採取装置

第2図 試料捕集管

図:試料捕集管

第3図 ガスクロマトグラフ分析装置

図:ガスクロマトグラフ分析装置

別表第9

イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン及びキシレンの測定方法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) 5%アセトン含有二硫化炭素

    ガスクロマトグラフに注入したとき、被検成分の保持時間にピークを生じないもの

  (2) 炭化水素類標準原液

    各被験成分の標準物質100mgを5%アセトン含有二硫化炭素に溶解して100mlとしたもの

  (3) 炭化水素類混合標準溶液

    (2)で作成した、それぞれの炭化水素類標準原液の各10mlを全量フラスコ(100ml)に入れ、5%アセトン含有二硫化炭素を加えて標線に合わせたもの

  (4) 試料捕集剤

    椰子がら活性炭又はそれと同等以上の性能を有するもの

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料採取袋

    別表第2の第1の2の(1)及び(2)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料捕集装置

    第1図に掲げる構成のものであって、次の条件を具備しているもの

  1.    ア 試料捕集管
    1.     (ア) 第2図に掲げる形状のものであって、ほう珪(けい)酸ガラス製で、かつ、内径3~4mm程度、長さ70~100 mm程度のものであること。
    2.     (イ) 試料捕集剤を2層に分離して充てんし、両層の間と両端に少量の石英ガラスウール又はこれと同等以上の性能を有するものを詰め、両端を密栓したものであること。両端を溶封したものは、長期間の保存が可能であるが、密栓したものではなるべく使用直前に調製する。
  2.    イ 吸引ポンプは、試料捕集管を装着した状態で、1l/min程度の大気を吸引できる能力を有するものであること。
  3.    ウ 流量調整装置は、10~500ml/minの範囲で流量を制御でき、設定流量に対して±10 %以内の制御精度を有するもの、又は、これと同等以上の性能を有するものであること。
  4.    エ ガスメーターは、0~0.5l/minの範囲の流量を測定し得るものであること。
  (3) バイアル

    容量10mlのもので、バイアル用ゴム栓で密栓できるもの

  (4) ガスクロマトグラフ分析装置

    次の条件を具備しているもの

  1.    ア ガスクロマトグラフは、水素炎イオン化検出器を有するものであること。
  2.    イ カラムは、溶融石英ガラス製のキャピラリーカラムで、内径0.25mm程度、長さ30~60m程度のものであって、内面にポリエチレングリコールを0.25μm程度の厚さで被覆したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するものであること。
  3.    ウ 試料導入部の温度は、200 ℃程度であること。
  4.    エ カラム槽の温度は、被検成分の最適分離条件を設定できること。(例えば、40℃から250℃程度までを20℃/min程度で昇温できること)
  5.    オ キャリヤーガスは、ヘリウム等を使用し、その流量は1.5 ml/min程度であること。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料捕集用と同一ロットの試料捕集管を用い、2層に分離して充てんした試料捕集剤を別々にバイアルに取り出し、5%アセトン含有二硫化炭素2ml程度を加えて速やかに栓をし、泡が出なくなるまで振り混ぜながら1時間程度放置した後、上澄液を試験液とする。その後(4)の手順によりガスクロマトグラフ分析を行い、被検成分の保持時間にピークが生じた場合は、操作ブランク値とする。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)に示す操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。(注1)

  (3) 試料の捕集

    試料ガス採取後24時間以内に、試料採取袋を試料捕集装置に接続し、0.1~0.5l/min程度の流量で0.5~5l吸引することにより、試料採取袋中の被検成分を試料捕集管に捕集する。(注2)

  (4) ガスクロマトグラフ分析

    被検成分を捕集した試料捕集管を(1)と同様の手順で処理し、得られた試験液から、マイクロシリンジにより1μl程度分取し、ガスクロマトグラフ試料導入部に注入する。

  (5) 検量線の作成

    炭化水素類混合標準溶液を5%アセトン含有二硫化炭素で適宜段階的に希釈した溶液1μl程度を、それぞれガスクロマトグラフに注入して得られるクロマトグラムのピーク面積により検量線を作成する。

  (6) 濃度の算出

    (5) の検量線により、試料捕集管に捕集した被検成分の量(0℃、1気圧)を求め、次式によりその大気中の濃度を算出する。

別表9(6)

    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位 ppm)、Asはガスクロマトグラフ分析装置に注入した試験液中の被検成分の量(単位 μg)、Atは被検成分の操作ブランク値(単位 μg)、Eは試験液量(単位 ml)、Mは被検成分の分子量、vはガスクロマトグラフ分析装置への注入液量(単位 μl)、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位 l)、tは試料捕集時の気温(単位 ℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

  •    (注1) 採取後は、試料採取袋を遮光すること。
  •    (注2) 試料ガスの捕集を終えた試料捕集管は直ちに冷蔵すること。

備考

  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本産業規格に定めるところによる。
  第2 気体排出口における流量の測定

    気体排出口における流量は、日本産業規格Z 8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1に掲げる方法により測定した排出ガス中のイソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン又はキシレンの濃度を乗じて算出するものとする。

備考

    この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本産業規格に定めるところによる。

別表9第1図

第2図 試料捕集管
溶封型

別表9第2図

別表第10

イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及びスチレンの測定方法

 第1 敷地境界線における濃度の測定―ガスクロマトグラフ質量分析法

 1 試薬

   試薬は、次に掲げるところにより調製したものを用いるものとする。

  (1) 5%アセトン含有二硫化炭素

    ガスクロマトグラフに注入したとき、被検成分及び内部標準物質の保持時間にピークを生じないもの

  (2) 炭化水素類標準原液

    各被験成分の標準物質100㎎を5%アセトン含有二硫化炭素に溶解して100mlとしたもの

  (3) 炭化水素類混合標準溶液

    (2)で作成した、それぞれの炭化水素類標準原液の各10mlを全量フラスコ(100ml)に入れ、5%アセトン含有二硫化炭素を加えて標線に合わせたもの

  (4) トルエン-d8内部標準原液

    トルエン-d8 100㎎を5%アセトン含有二硫化炭素に溶解して100 mlとしたもの

  (5) トルエン-d8内部標準溶液

     (4)で作成した、トルエン-d8内標準原液10 mlを全量フラスコ(100 ml)に入れ、5%アセトン含有二硫化炭素を加えて標線に合わせたもの

  (6) スチレン-d8内部標準原液

    スチレン-d8 100 mgを5%アセトン含有二硫化炭素に溶解して100 mlとしたもの

  (7) スチレン-d8内部標準溶液

     (6)で作成した、スチレン-d8内部標準原液10 mlを全量フラスコ(100 ml)に入れ、5%アセトン含有二硫化炭素を加えて標線に合わせたもの

  (8) 試料捕集剤

    椰子がら活性炭又はそれと同等以上の性能を有するもの

 2 装置及び器具

   装置及び器具は、次に掲げるとおりとする。

  (1) 試料ガス採取装置及び試料収取袋

    別表第2の第1の2の(1)及び(2)に定めるものと同様とする。

  (2) 試料捕集装置及びバイアル

    別表第9の第1の2の(3)及び(4)に定めるものと同様とする。

  (3) ガスクロマトグラフ質量分析装置

    次の条件を具備しているもの

  1.    ア 検出器は、電子衝撃イオン化法(EI法)が可能で、選択イオン検出法(SIM法)又はこれと同等の性能を有する方法によるクロマトグラム測定が可能なものであること。
  2.    イ カラムは、溶融石英ガラス製のキャピラリーカラムで、内径0.25mm程度、長さ30~60m程度のものであって、内面にポリエチレングリコールを0.25μm程度の厚さで被覆したもの又はこれと同等以上の分離性能を有するものであること。
  3.    ウ 試料導入部の温度は、200℃程度であること。
  4.    エ カラム槽の温度は、被検成分の最適分離条件を設定できること。(例えば、40℃から200℃程度までを10℃/min程度で昇温できること)
  5.    オ キャリヤーガスは、ヘリウム等を使用し、その流量は1.5ml/min程度であること。
  6.    カ インターフェイス部は、温度を200~300℃程度に保つことができるものであること。
  7.    キ イオン源温度は、160~300℃程度に保つことができ、イオン化電圧は70eV程度であること。

 3 測定の手順

   濃度の測定は、次の手順により行うものとする。

  (1) 空試験

    試料捕集用と同一ロットの試料捕集管を用い、2層に分離して充てんした試料捕集剤を別々にバイアルに取り出し、5%アセトン含有二硫化炭素2ml程度を加えて速やかに栓をし、泡が出なくなるまで振り混ぜながら1時間程度放置した後、トルエン-d8内部標準溶液を1μl加えたものの上澄液を試験液とする。その後(5)の手順によりガスクロマトグラフ質量分析を行い、被検成分の保持時間にピークが生じた場合は、操作ブランク値とする。

  (2) 試料ガスの採取

    別表第2の第1の3の(2)に示す操作により試料ガスを試料採取袋に採取する。(注1)

  (3) 試料の捕集

    試料ガス採取後24時間以内に、試料捕集管にスチレン-d8内部標準溶液を適量添加した後、試料採取袋を試料捕集装置に接続し、0.1~0.5l/min程度の流量で0.5~5l吸引することにより、試料採取袋中の被検成分を試料捕集管に捕集する。(注2)(注3)(注4)

  (4) 抽出

    (3)で得られた試料捕集管を(1)と同様の手順で処理し、試験液とする。

  (5) ガスクロマトグラフ質量分析
  1.    ア イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、スチレン、トルエン-d8及びスチレン-d8に適した測定用質量電荷数比(定量用質量電荷数比と確認用質量電荷数比)を設定する。
  2.    イ (4)で得られた試験液から、マイクロシリンジにより1μl程度分取し、ガスクロマトグラフ試料導入部に注入する。
  3.    ウ 検出された各被検成分(スチレン-d8を含む)の定量用質量電荷数比及びトルエン-d8のピ-ク面積を求め、そのピ-ク面積の比から、あらかじめ(6)により作成した検量線を用いて、試験液中の被検成分の量を求める。
  (6) 検量線の作成

    炭化水素類混合標準溶液及びスチレン-d8内部標準溶液を5%アセトン含有二硫化炭素で適宜段階的に希釈し、その希釈溶液2ml当たりトルエン-d8内部標準溶液1μlを添加した希釈標準溶液1μl程度をガスクロマトグラフに注入し、得られた被検成分及びスチレン-d8の定量用質量電荷数比におけるクロマトグラムのピーク面積(Ax)とトルエン-d8の定量用質量電荷数比におけるピーク面積(Ai)の比(Ax/Ai)を縦軸に、被検成分及びスチレン-d8の注入した量(μg)を横軸に取り、直線関係の範囲で関係線を作成する。

  (7) 濃度の算出

    (6)の検量線によりガスクロマトグラフに注入したイソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン又はスチレンの量(0℃、1気圧)を求め、次式により大気中の濃度を算出する。

別表10(7)

    この式において、Cは大気中の被検成分の濃度(単位 ppm)、Asはガスクロマトグラフ質量分析装置に注入した試験液中の被検成分の量(単位 μg)、Atは被検成分の操作ブランク値(単位 μg)、Mは被検成分の分子量、Eは試験液量(単位 ml)、vはガスクロマトグラフ質量分析装置への注入液量(単位 μl)、Vはガスメーターで測定した吸引ガス量(単位 l)、tは試料捕集時の気温(単位 ℃)、Pは試料捕集時の大気圧(単位 kPa)を表すものとする。

    また、次式によりスチレン-d8の回収率を用いてスチレン濃度を補正する。

    C´=C×B/B´

    この式において、C´はスチレンの補正濃度(単位 ppm)、C は式1で求めたスチレンの濃度(単位 ppm)、Bは試料捕集管へのスチレン-d8の添加量(単位 μg)、B´は試験液中のスチレン-d8の量(単位 μg)を表すものとする。

  •    (注1) 採取後は、試料採取袋を遮光すること。
  •    (注2) スチレン-d8内部標準溶液は、捕集ガス中のスチレン-d8濃度が0.8ppmに相当する濃度に対応する量を添加する。添加量は、捕集ガス量を基に計算すること。
  •    (注3) スチレン-d8内部標準溶液を試料捕集管に添加後、速やかに試料採取袋から試料の捕集を行うこと。
  •    (注4) 試料ガスの捕集を終えた試料捕集管は直ちに冷蔵すること。
  •  

備考

  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ質量分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本産業規格に定めるところによる。
  第2 気体排出口における流量の測定

    気体排出口における流量は、日本産業規格Z 8808に定める方法により測定した排出ガス量に、第1に掲げる方法により測定した排出ガス中のイソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン又はキシレンの濃度を乗じて算出するものとする。

備考

  1.  1 定量が可能な場合には、試料ガスの一部をガスシリンジに分取し、ガスクロマトグラフ質量分析装置の試料導入部に直接注入してよい。
  2.  この測定方法における用語その他の事項でこの測定方法に定めのないものについては、日本産業規格に定めるところによる。