法令・告示・通達

悪臭防止法施行規則の一部を改正する総理府令の施行等について

公布日:平成6年04月21日
環大特31号

環境庁大気保全局長から各都道府県知事・各指定都市市長あて

 悪臭防止法施行規則の一部を改正する総理府令(平成6年4月総理府令第23号。以下「改正総理府令」という。)が平成6年4月21日付けで公布され、平成7年4月1日から施行されることとなった。
 これに伴い、悪臭物質の測定の方法の一部を改正する件(平成6年4月環境庁告示第39号)が、改正総理府令と同様、平成6年4月21日付けで公布され、平成7年4月1日から適用されることとなった。
 今回の改正は、悪臭防止の充実を図るため、悪臭防止法第4条第3号に基づく排出水に含まれる悪臭物質の規制基準の設定方法を定めたものである。
 貴職におかれては、下記の事項に留意の上、改正総理府令等の円滑かつ適正な運用を図られたい。
 また、本通達の趣旨を管下市町村長に周知徹底し、指導に遺憾なきを期されたい。

第1 排出水に含まれる悪臭物質に係る規制基準の設定方法の考え方

 1 設定の背景

   排出水に含まれる悪臭物質に係る規制基準の設定方法については、排出水中の悪臭物質の濃度と大気中に蒸散した当該悪臭物質の濃度との関係が明らかでなかったため、これまで定められていなかった。しかし、近年、事業場から排出される排出水中に含まれる悪臭物質に起因する悪臭苦情に十分対処しきれない実情にあること、また、ビルの地下貯留槽からの排水に伴う悪臭が問題となっていることなどにより、排出水に係る規制基準の設定方法を定めることが強く望まれていたところである。
   このため、環境庁においては、関係機関の協力を得て、悪臭公害の実態、悪臭物質の測定方法、悪臭防止技術等について調査研究を進めてきたが、平成6年3月28日、中央環境審議会の答申を得て、これを基に総理府令等の改正を行い、排出水に含まれる悪臭物質に係る規制基準の設定方法を定めたものである。

 2 設定の考え方

   排出水に含まれる悪臭物質に係る規制基準については、昭和47年1月の中央公害対策審議会の答申に示された要件、すなわち、排出水から放散し、大気中で拡散した悪臭物質の濃度が、当該地域に係る事業場敷地境界線における規制基準値と等しくなるよう排出水中の悪臭物質の濃度の許容限度を定めるべきであるという要件を満たす算出の方法として定めたものである。なお、排出水の量により悪臭物質の放散の度合が異なり、結果として大気中の濃度が影響を受けるので、排出水の量を3段階に区分し、各区分ごとに排出水中における規制基準値を算出することとした。

第2 改正の要点

 1 悪臭防止法施行規則関係

   メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル及び二硫化メチル(以下「硫黄系四物質」という。)について、排出水中における規制基準の設定方法を定めた。(第3条)

 2 悪臭物質の測定の方法の告示関係

   硫黄系四物質について、工場その他の事業場(以下「事業場」という。)から敷地外に排出される排出水に含まれるものの排出水中における濃度の測定方法を定めた。(別表第2の第3)

第3 留意すべき事項

 1 悪臭防止法施行規則関係

  1.   (1) 硫黄系四物質に係る事業場の敷地境界線における規制基準が設定されている地域については、当然に排出水中における規制基準が適用されるものであるから、改正総理府令に基づき規制基準の設定がなされるよう措置されたい。
        なお、硫黄系四物質以外の悪臭物質については、排出水中の悪臭物質の濃度と大気中に蒸散した当該悪臭物質の濃度との関係が明らかでないため、今回は、これら物質についての排出水に係る規制基準の設定方法を定めないこととしたものであるが、これらについては、今後さらに調査研究を行い、可及的速やかに定めることとしている。(第3条)
  2.   (2) 事業場から敷地外に排出される排出水の量の把握は、事業場の操業状況、気象状況等が、生活環境に係る被害が発生したときの状況と同等もしくは類似している条件下で行われたい。
        なお、排出水中における規制基準の適用は、実測された排出水の量(流量:立方メートル毎秒)の区分ごとに行うものである。
  3.   (3) メチルメルカプタンについては、当該事業場から敷地外に排出される排出水の量が0.1立方メートル毎秒を超える場合においては、改正後の悪臭防止法施行規則第3条に定める方法により算出した排出水中の濃度の値が0.002mg/l未満となる場合があるが、その際には、測定方法の精度に鑑み、排出水の濃度の許容限度として、当分の間0.002mg/lを採用すべきこととしている。(附則第2項)

 2 悪臭物質の測定の方法の告示関係

  1.   (1) 硫黄系四物質の排出水中における濃度の測定方法は、ヘッドスペース法と呼ばれる方法であり、これは、JIS K1025揮発性有機塩素化合物の測定方法に採用されているものと同様の原理に基づく方法である。
        すなわち、試料水を一定量注入したバイアルを、密栓・振とう後、一定温度で気液平衡状態におき、そのヘッドスペースガスを直接ガスクロマトグラフ(FPD検出器付き)に導入し、定量するものである。
  2.   (2) 硫黄系四物質は揮散しやすいので、試料採取後直ちに遮光のため、0~5℃の暗所に保管し、可及的速やかに分析の操作を行われたい。
  3.   (3) ph調整は必ずph計を用いて行われたい。
  4.   (4) バイアル用ゴム栓としてテフロンコーティングされたものを使用する場合は、テフロンフィルムの装着は省略できる。